2009年6月21日日曜日

*A Spoiled Son

●荒れる子ども

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石川県のNさんという母親より、子どもの
(荒れ)についての相談が届いています。
それについて考えてみたいと思います。

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【Nさんより、はやし浩司へ】(1)

はじめまして。時間がなくて、携帯で先生のメルマガ等を読ませていただいていま
した。今回、どうしても力になっていただきたくて、こちらにメールしました。

> 長男が最近荒れています。今小学2年生なのですが、半年ほど前から宿題を嫌がる
ようになり、今では後回し後回しで、結局寝る直前にものすごく雑にやるといった感
じです。

少しでも間違えたり分からなかったりすると、鉛筆を投げ捨ててふてくさ
れ、その後は読めないようなめちゃくちゃな字で怒りながらやったりします。先生の
ブログなどを読むようになり、私の対応がまずかったことに気がついたのですが、今
では手がつけられないような状態になってしまっています。あまり宿題をせかしてや
らせたりしないように、本人の気が向くまで様子を見るようにしているのですが、結
局眠くなってからやるのでよけいに機嫌が悪く、悪循環になっています。

少し前にたくさんほめてちょっとだけやる気がでたこともあったのですが、そこに主人が
いろいろと口うるさく言ったために、またやらなくなってしまいました。昨日は息子が主
人に「一緒に勉強しよう」と言ってやり始めたのですが、また主人が息子がちょっとよ
そ見をするたびに叱るので、最後には大喧嘩になってしまいました。そして今日は主
人が帰ってくるのを見ると、主人の実家(同じ敷地内)に行ってしまい、「パパとご
飯を食べるのはうざいから嫌だ」と言ってなかなか帰ってきませんでした。結局はし
ぶしぶ帰って気きて、一緒にご飯を食べたのですが、私と長男が一日の出来事を話している間に、また主人が子供にうるさく言うので、逃げるように母屋の祖父母のところへ行き
おじいちゃんとお風呂に入ってしまいました。それがまた、主人には面白くないらし
く、その後ずっと不機嫌でした。

実はそういう主人は、子供の頃一度も宿題をやったことがないそうです。主人の父が
プロサッカー選手に育てようと、サッカーの練習以外は必要ないと言って学校の先生にも「宿題はやりません」と言ったくらいです。主人は自分の反省を生かして息子に勉強させ
ようとしているようなのですが、「勉強しろ」と言われたことがないので、そう言わ
れて勉強をやる気になるのかどうかが分からないのかもしれません。そして、とても
父親風をふかせたがります。

私も主人に時々「それは違うんじゃないの」と言ったりするのですが、主人は全く自分のやり方を変える気はないようです。最近は主人に対して私も不信感を持つようになり、息子にとって悪影響ならば離婚したほうがいいのかとまで思うようになりました。主人はこういった先生の本を読むような人ではありませんし、今後も変わらないように思われて、どうしたら分かってくれるのかと悩んでいます。

最近は少しでも気に入らないと、息子が暴れるようになり、私に暴力をふるうように
なりました。10分もするとけろっとして、「ママ、ごめんね。仲直りしよう」と言
うのですが、その直後にまた思うようにならないことがあると暴れます。これからの思春期が恐ろしく、不安でいっぱいです。ドラ息子にしてしまった私がいけないのですが、今すべきことを教えてください。


【Nさんより、はやし浩司へ】(2)

おはようございます。
さっそくのご返事ありがとうございます。朝から返事をいただけたことがうれしく、
涙が出ました。

昨晩は、私もどうしていいかわからず、あせってメールをしたのでうまく内容がまと
まらず、申し訳ありませんでした。肝心なことがいくつかぬけていたので、簡単に補
足します。

●学校でも半年ほど前から授業中に落ち着きがなく、上履きを脱いだり履いたり、何
度も座りなおしたりしています。(参観日に見た限りでは)

●内弁慶で、学校では大人しいのですが、友達はわりと多く、毎日のように帰りに友
達と遊んだりしています。

●ゲームやスポーツで、自分が負けそうになると投げ出す、いわゆるドラ息子です。

●主人は次男に甘く、長男もたまに「パパは○○(弟)には優しいから」と言いま
す。

●小学校に入ったときからですが、最近また「学校を休みたい」と頻繁に言うように
なりました。

以上です。

学校は結局一度も休んでないのですが、休ませたほうがよいのでしょうか。一度休む
と余計に学校に行くのが嫌になる気がしますし、もし休ませたら主人がまたガミガミ
言うのは間違いないので、長男がまた荒れる気がします。

今は学校や家での楽しい話をなるべく長男として、少しずつですが手伝いもやるよう
にさせています。宿題はやらずに学校へいく勇気はないらしく、昨日も怒りながら途
中で寝てしまったので、朝少し早く起こしてやらせました。私に「なんで宿題と学校
の用意をやっておいてくれないの!」と怒っていましたが、少し手伝うことはしても
完全にやってあげるのはまずいと思い、やっていません。

毎日とても迷い、悩みながらの子育てです。でも先生の息子さんも同じように頑張っ
ていると聞いて、少し安心しました。先生の息子さんは、すぐ身近に相談できる人が
いて幸せですね。私は両親にはあまり相談しないので(つまり信頼関係がないので
す)、うらやましく思います。でも私も先生に親切に相談にのっていただけたので、
とてもこころ強いです。

本当にありがとうございました。
先生のアドバイスを参考に、やっていこうと思っています。

7月から次男が保育園に入るので(次男もワガママで手を焼いています)、時間がで
きたら先生の過去のメルマガやブログをゆっくり読みたいと思っています。これから
もたくさんすてきなお話を聞かせてください。楽しみにしています。

【はやし浩司より、Nさんへ】

 思いつくまま、書いてみたいと思います。

●三角関係

発達心理学の世界にも、「三角関係」という言葉があります。
父親と母親の育児方針がバラバラで、子どもとの間に、三角関係ができることをいいます。
(両親が一体化しているときは、三角関係はできません。)

よくあるのは、父親が甘く、母親がきびしいケースです。
Nさんのばあいは、そこへ祖父母の関係が入り、三角関係というより、四角関係(?)
ができあがってしまっているように思います。

こうなると、子どもは、ドラ息子、ドラ娘化します(失礼!)。

とくに、2~4歳期(エリクソンの説く自律期)に、それがあると、子どもは自分で
自分を律することができなくなります。
わがままで、自分勝手で、欲望のおもむくまま行動するようになるというわけです。
さらに父親が母親の悪口を言ったり、批判したりすると、夫婦の間に、キレツが入ることもあります。
そして父親と母親、母親と子ども、子どもと父親の間に、三角関係ができるというわけです。
子どもが幼いうちはまだしも、一度、この三角関係ができると、子どもは、親の指示に従わなくなります。

子どもは、何かあると、甘い父親もしくは祖父母のところへ逃げ込み、そこでわがまま
を通すようになるわけです。
しかしこれは過去の話。
つまり原因は、2~4歳期にあったのでは、私は考えます。
弟さんも、同じような症状が出ているということで、そう判断しました。

問題は、今、どうするか、ですね。

●内弁慶

もうひとつ気になったのは、「内弁慶」という部分です。
外の世界で、自分をすなおに表現できず、その分だけ、不満や不平を、心の内へ内へとためこんでいるのではないかということです。
このタイプの子どもは、内弁慶というよりは、突発的にキレたり、暴れたりします。
以前、母親が、「ピアノのレッスンをしようね」と声をかけただけで、錯乱状態になり、母親に向かって、包丁を投げつけていた女の子(年長児)がいました。

人間関係が外の世界でうまく結べない子どもは、このように、攻撃型になるタイプと、家の中に引きこもるタイプに分けて考えます。
ほかに同情型、依存型、服従型などがあります。

●学校恐怖症

こういうケースでは、まず一番心配なのから疑ってみます。
様子からして、お子さんは、要するに学校へ行きたくないのです。
それが基本にあって、さまざまな症状を示しているというわけです。

学校恐怖症の子ども、つまり不登校児のばあい、その前兆症状としてさまざまな神経症的な症状を示すことが知られています(ジョンソン)。
何か神経症的な症状があれば、注意してください。
(診断シートは、私のHPの中に収録しておきました。)
http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/page080.html

こうした前兆症状がいくつか重なって、そのあと、ある日突然、パニック期(ジョンソン)へと入っていくわけです。

そうでなければ、この話は無視してください。
学校恐怖症について書いた原稿を、ここに載せておきます。

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【子どもが学校恐怖症になるとき】

●四つの段階論
 同じ不登校(school refusal)といっても、症状や様子はさまざま(※)。私の二男はひどい花粉症で、睡眠不足からか、毎年春先になると不登校を繰り返した。が、その中でも恐怖症の症状を見せるケースを、「学校恐怖症」、行為障害に近い不登校を「怠学(truancy)」といって区別している。

これらの不登校は、症状と経過から、三つの段階に分けて考える(A・M・ジョンソン)。心気的時期、登校時パニック時期、それに自閉的時期。これに回復期を加え、もう少しわかりやすくしたのが次である。

(1) 前兆期……登校時刻の前になると、頭痛、腹痛、脚痛、朝寝坊、寝ぼけ、疲れ、倦怠感、吐き気、気分の悪さなどの身体的不調を訴える。症状は午前中に重く、午後に軽快し、夜になると、「明日は学校へ行くよ」などと、明るい声で答えたりする。これを症状の日内変動という。学校へ行きたがらない理由を聞くと、「A君がいじめる」などと言ったりする。そこでA君を排除すると、今度は「B君がいじめる」と言いだしたりする。理由となる原因(ターゲット)が、そのつど移動するのが特徴。

(2) パニック期……攻撃的に登校を拒否する。親が無理に車に乗せようとしたりすると、狂ったように暴れ、それに抵抗する。が、親があきらめ、「もう今日は休んでもいい」などと言うと、一転、症状が消滅する。ある母親は、こう言った。「学校から帰ってくる車の中では、鼻歌まで歌っていました」と。たいていの親はそのあまりの変わりように驚いて、「これが同じ子どもか」と思うことが多い。

(3)自閉期……自分のカラにこもる。特定の仲間とは遊んだりする。暴力、暴言などの攻撃的態度は減り、見た目には穏やかな状態になり、落ちつく。ただ心の緊張感は残り、どこかピリピリした感じは続く。そのため親の不用意な言葉などで、突発的に激怒したり、暴れたりすることはある(感情障害)。この段階で回避性障害(人と会うことを避ける)、不安障害(非現実的な不安感をもつ。おののく)の症状を示すこともある。が、ふだんの生活を見る限り、ごくふつうの子どもといった感じがするため、たいていの親は、自分の子どもをどうとらえたらよいのか、わからなくなってしまうことが多い。こうした状態が、数か月から数年続く。

(4)回復期……外の世界と接触をもつようになり、少しずつ友人との交際を始めたり、外へ遊びに行くようになる。数日学校行っては休むというようなことを、断続的に繰り返したあと、やがて登校できるようになる。日に一~二時間、週に一日~二日、月に一週~二週登校できるようになり、序々にその期間が長くなる。

●前兆をいかにとらえるか

 要はいかに(1)の前兆期をとらえ、この段階で適切な措置をとるかということ。たいていの親はひととおり病院通いをしたあと、「気のせい」と片づけて、無理をする。この無理が症状を悪化させ、(2)のパニック期を招く。この段階でも、もし親が無理をせず、「そうね、誰だって学校へ行きたくないときもあるわよ」と言えば、その後の症状は軽くすむ。一般にこの恐怖症も含めて、子どもの心の問題は、今の状態をより悪くしないことだけを考える。なおそうと無理をすればするほど、症状はこじれる。悪化する。 

※……不登校の態様は、一般に教育現場では、(1)学校生活起因型、(2)遊び非行型、(3)無気力型、(4)不安など情緒混乱型、(5)意図的拒否型、(6)複合型に区分して考えられている。

 またその原因については、(1)学校生活起因型(友人や教師との関係、学業不振、部活動など不適応、学校の決まりなどの問題、進級・転入問題など)、(2)家庭生活起因型(生活環境の変化、親子関係、家庭内不和)、(3)本人起因型(病気など)に区分して考えられている(「日本教育新聞社」まとめ)。しかしこれらの区分のし方は、あくまでも教育者の目を通して、子どもを外の世界から見た区分のし方でしかない。

(参考)

●学校恐怖症は対人障害の一つ 

 こうした恐怖症は、はやい子どもで、満四~五歳から表れる。乳幼児期は、主に泣き叫ぶ、睡眠障害などの心身症状が主体だが、小学低学年にかけてこれに対人障害による症状が加わるようになる(西ドイツ、G・ニッセンほか)。集団や人ごみをこわがるなどの対人恐怖症もこの時期に表れる。ここでいう学校恐怖症はあくまでもその一つと考える。

●ジョンソンの「学校恐怖症」

「登校拒否」(school refusal)という言葉は、イギリスのI・T・ブロードウィンが、1932年に最初に使い、1941年にアメリカのA・M・ジョンソンが、「学校恐怖症」と命名したことに始まる。ジョンソンは、「学校恐怖症」を、(1)心気的時期、(2)登校時のパニック時期(3)自閉期の三期に分けて、学校恐怖症を考えた。

●学校恐怖症の対処のし方

 第一期で注意しなければならないのは、本文の中にも書いたように、たいていの親はこの段階で、「わがまま」とか「気のせい」とか決めつけ、その前兆症状を見落としてしまうことである。あるいは子どもの言う理由(ターゲット)に振り回され、もっと奥底にある子どもの心の問題を見落としてしまう。

しかしこのタイプの子どもが不登校児になるのは、第二期の対処のまずさによることが多い。ある母親はトイレの中に逃げ込んだ息子(小一児)を外へ出すため、ドライバーでドアをはずした。そして泣き叫んで暴れる子どもを無理やり車に乗せると、そのまま学校へ連れていった。その母親は「このまま不登校児になったらたいへん」という恐怖心から、子どもをはげしく叱り続けた。

が、こうした衝撃は、たった一度でも、それが大きければ大きいほど、子どもの心に取り返しがつかないほど大きなキズを残す。もしこの段階で、親が、「そうね、誰だって学校へ行きたくないときもあるわね。今日は休んで好きなことをしたら」と言ったら、症状はそれほど重くならなくてすむかもしれない。

 また第三期においても、鉄則は、ただ一つ。なおそうと思わないこと。私がある母親に、「3か月間は何も言ってはいけません。何もしてはいけません。子どもがしたいようにさせなさい」
と言ったときのこと。母親は一度はそれに納得したようだった。しかし1週間もたたないうちに電話がかかってきて、「今日、学校へ連れていってみましたが、やっぱりダメでした」と。親にすれば一か月どころか、一週間でも長い。気持ちはわかるが、こういうことを繰り返しているうちに、症状はますますこじれる。

 第三期に入ったら、(1)学校は行かねばならないところという呪縛から、親自身が抜けること。(2)前にも書いたように、子どもの心の問題は、今の状態をより悪くしないことだけを考えて、子どもの様子をみる。(3)最低でも三か月は何も言わない、何もしないこと。子どもが退屈をもてあまし、身をもてあますまで、何も言わない、何もしないこと。(4)生活態度(部屋や服装)が乱れて、だらしなくなっても、何も言わない、何もしないこと。とくに子どもが引きこもる様子を見せたら、そうする。よく子どもが部屋にいない間に、子どもの部屋の掃除をする親もいるが、こうした行為も避ける。

 回復期に向かう前兆としては、(1)穏やかな会話ができるようになる、(2)生活にリズムができ、寝起きが規則正しくなる、(3)子どもがヒマをもてあますようになる、(4)家族がいてもいなくいても、それを気にせず、自分のことができるようになるなどがある。こうした様子が見られたら、回復期は近いとみてよい。

 要は子どものリズムで考えること。あるいは子どもの視点で、子どもの立場で考えること。そういう謙虚な姿勢が、このタイプの子どもの不登校を未然に防ぎ、立ちなおりを早くする。


●不登校は不利なことばかりではない

 一方、こうした不登校児について、不登校を経験した子どもたち側からの調査もなされている。文部科学省がした「不登校に関する実態調査」(二〇〇一年)によれば、「中学で不登校児だったものの、成人後に『マイナスではなかった』と振り返っている人が、四割もいる」という。不登校はマイナスではないと答えた人、三九%、マイナスだったと答えた人、二四%など。そして学校へ行かなくなった理由として、

友人関係     ……45%
教師との関係   ……21%
クラブ・部活動  ……17%
転校などでなじめず……14%と、その多くが、学校生活の問題をあげている。  

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【はやし浩司より、Nさんへ】

 以上、心配をかけることばかり書きましたが、こうした子どもの問題には、必ず、二番底、三番底があるということです。
子どもに何か問題が起きると、ほとんどの親は、(100%!)、「今が最悪」と考え、子どもに向かって、子どもを直そうとします。
しかし今は、そういう考え方をしません。
子どもは家族の代表でしかありません。
つまり家族全体で、子どもの問題を考える、です。

 で、対処の仕方をまちがえると、「まだ以前のほうが、症状が軽かった……」ということを繰り返しながら、二番底、三番底へと向かっていきます。
たとえばあなたの子どもが、不登校児になったとします。
そうなったとき、あなたはこう思うはずです。
「宿題ぐらい、何だ!」とです。

 さらに何かの大きな心の病気になったとします。
するとあなたはこう思うはずです。
「不登校くらい、何だ!」とです。

 ドラ息子、ドラ娘についてですが、もちろんそうでないほうがよいに決まっています。
しかし今、そうでない子どもをさがすほうが、むずかしいくらいです。
日本の子どもたちは、総ドラ息子化しています。
だからたしかに問題は問題ですが、あまり深刻に考えてはいけません。
あなたのご主人だって、かなりドラ息子ぽいですね(失礼!)。
あなた自身も、「私はドラ娘ではなかった」と自信をもって、言えますか?

 こうしたドラマを繰り返しながら、子どもは成長し、親は成長するのです。
そのドラマを楽しむ。
そういう広い視野をもつことが大切です。
つまり「突き放すところは、突き放す」です。
しかし温かい無視は、忘れずに……。

●Nさんへのアドバイス

(1)ご主人と対立してはいけません。

 子どもの教育のことで、ご主人と対立してはいけません。
まずご主人の言うことに、耳を傾けることです。
そうでなくても難しいのが子育てです。
ここはあなたのほうが折れて、夫婦は一枚岩で、子育てに対処します。
意外と、ご主人のほうが、あなたを見抜いているかもしれませんよ。

(2)ドラ息子症状について

 ドラ息子症状については、無視します。
口で言ったり、説教したりしても、意味はありません。
無視、です。
黙って聞き、あとは、無視。
けっして感情的になってはいけません。
相手は、子どもですから……。

(3)愛情飢餓

 下に弟がいるということですから、子どもは慢性的な愛情飢餓の状態にあることも考えられます。
(親にその意識はなくても、弟に親の愛を半分、奪われたという事実が、愛情飢餓状態を作ります。)
で、こういうときの鉄則は、ただひとつ。
「求めてきたときが、あたえどき」です。
子どもが何かのアクションを起こしてきたら、すかさず、(間髪を入れず)、それに応じてあげます。
「あとでね……」「待ってね……」は、禁句です。

(4)宿題について

 過負担になっていることはじゅうぶん、考えられます。
(同じ分量でも、子どもによって、とらえ方が違いますので、注意してください。)
ですから(できる範囲でして、それですます)が、原則です。
が、それでも子どもがそれを負担に感ずるようであれば、担任の先生に相談してください。
(担任の先生が、少しきびしすぎるかな?)
ていねいに話せば、先生もわかってくれるはずです。

(5)三角関係について 

 祖父母との同居には、マイナス面もあるいますが、それ以上にプラス面も多いはず。
そういうプラス面を生かして、あなたはあなたで、前向きに生きていけばよいのです。
そういう姿を見て、子どもはまたあなたから、何かを学んでいくはずです。

 ドラ息子の問題は、全体からみれば、マイナーな問題です。
これから先のことを言えば、思春期前後に頂点に達しますが、あなたの子どもへの愛情さえしっかりしていれば、大げさな問題には発展しません。
ガミガミ、カリカリしないことだけには、注意してください。
大切なのは、自分で静かに考え、行動させ、責任を取らせることです。
ガミガミ、カリカリすればするほど、子どもは非常識な行動を繰り返すようになります。
もちろん親子の関係も、そこで断絶!

●今、すべきこと……

 今すべきこと……というよりは、どうか自分をしっかりと保ってください。
このままでは育児ノイローゼも時間の問題かな?
ご主人の協力が何よりも重要です。
ですから、けっしてご主人と対立してはいけません。
またあなたがすべてを背負ってはいけません。
ご主人に任すところは任せて、ご主人に責任を取ってもらいなさい!
あなたが深入りすればするほど、ご主人は逃げてしまいます。
あとはこの悪循環……。
そうならないように、注意してください。

 Nさんがそうだというのではありませんが、念のため、育児ノイローゼについて
たまたま先ほど原稿を書きましたので、ここに載せておきます。
参考にしてください。

 あとは子どもといっしょに、第二の人生を楽しむつもりで、楽しむこと。
あなたの思い通りにならないのが、子育て。
そして子ども。
どこの家も、似たような問題をかかえています。
(ちょっと無責任な回答ですみません。
私のように、子育てが終わったものからすると、Nさんのような方が、うらやましいです。
今が、いちばん楽しいときですよ!)

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●育児ノイローゼに注意

 子育てをしていて育児ノイローゼになる人は多い。圧倒的に母親に多いが、父親がノイローゼになることも、珍しくはない。精神的な打撃によって起こる心的障害のことをノイローゼというが、精神病というほど重くはない。ないが、対処のし方をまちがえると、深刻な結果を招くことがある。次のような症状が続いたら、育児ノイローゼを疑ってみる。

(1)生気感情(ハツラツとした感情)の沈滞、
(2)思考障害(頭が働かない、思考がまとまらない、迷う、堂々巡りばかりする、記憶力の低下)、
(3)精神障害(感情の鈍化、楽しみや喜びなどの欠如、悲観的になる、趣味や興味の喪失、日常活動への興味の喪失)、
(4)睡眠障害(早朝覚醒に不眠)など。さらにその状態が進むと、
(5)風呂に熱湯を入れても、それに気づかなかったり(注意力欠陥障害)、
(6)ムダ買いや目的のない外出を繰り返す(行為障害)、
(7)ささいなことで極度の不安状態になる(不安障害)、
(8)同じようにささいなことで激怒したり、子どもを虐待するなど感情のコントロールができなくなる(感情障害)、
(9)他人との接触を嫌う(回避性障害)、
(10)過食や拒食(摂食障害)を起こしたりするようになる。
(11)また必要以上に自分を責めたり、罪悪感をもつこともある(妄想性)。

もっとも育児ノイローゼになっても、本人がそれに気づくことはまずない。脳のCPU(中央演算部分)が変調するため、本人はそういう状態になりながらも、「自分ではふつう」と思い込む。あるいは他人に「異常」を指摘されたりすると、反対に過度の罪悪感に襲われ、かえって深く落ち込んでしまうこともある。

そこで重要なのが、夫ということになるが、その夫の協力が得られないことが多い。で、もしここに書いたような症状のうち、いくつかに思い当たることがあれば、「今の状態はふつうではない」という前提で、自分のまわりを見なおす必要がある。できれば子育てそのものから離れる。でないと、(こういうことを書くと、ますます症状がひどくなってしまうかもしれないが)、子どもに影響が出てくる。そんなわけで、もし症状がひどいようであれば、一度、精神科のドクターに相談してみる。

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