2009年7月17日金曜日

*Japanese Youth who complain

●イライラする若者たち(文部科学省所管の統計数理研究所)

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このほど文科省は、「日本人の国民性・
宣告調査」の結果を公表した。

産経新聞、7月17日の記事を、そのまま
紹介させてもらう。

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●産経新聞の記事より

+++++++++++以下、産経新聞(090717)+++++++++++

 経済の低迷が続く中で「自信喪失」から抜け出せず、心のよりどころを模索する傾向が強まっている……。文部科学省所管の統計数理研究所は16日、5年ごとに実施している「日本人の国民性」全国調査の結果を公表した。「生活は貧しくなる」と将来を悲観する人が57%を占め、若者層を中心に「いらいら」が募っているという。同研究所は「調査は不況の影響が広がり始めた昨秋に行った。影響が深刻化している現在は不安感がさらに増しているはず」と分析している。

 調査によると、最近20年間で「社会に対する悲観的な見方」が急速に浸透。バブル崩壊後では4回目となる今回の調査でも、「自信喪失」は続いている。

 日本の経済力に対しては「非常によい」「ややよい」を合わせた肯定的な評価が37%で、日本経済への自信に満ちていた昭和63年の82%には遠く及ばない。将来展望では「人々が貧しくなる」が5年前の47%から57%に跳ね上がり、「豊かになる」と希望を持つ人は14%から11%に減った。

 今回の調査で目立ったのは、社会状況を反映して「いらいら」を募らせる若者が急増したこと。1カ月間に「いらいら」した」人の割合が、20~40代で急増し、20、30代では初めて6割を超えた。

 一方、家庭や職場での人間関係を重視し、精神的な充足感を求める傾向も読み取れる。自分にとって一番大切なものは、「家族」が最も多い46%で、50年前(昭和33年)の12%の4倍に迫る。また、「仕事以外で上役とのつき合いがあった方がよい」とする人が20、30代では6割を超え、若い社会人が職場での人間関係を見直す傾向が強まっている。背景には、派遣社員など不安定な雇用環境の広がりがあるとみられる。

 人間として大切な道徳を2つ選ぶ質問では「親孝行」(76%)や「恩返し」(57%)を上げる人が多く、「個人の権利を尊重」(27%)や「自由を尊重」(36%)に差を付けた。

 初めて質問項目となった「生まれ変わりたい国」では77%が日本と回答。また、科学技術の水準が「非常によい」とする人が10年前の24%から今回は35%に、芸術では7%から13%に伸び、経済以外の分野では「自信回復」の兆しも読み取れる。

 調査は昭和28(1953)年から実施。今回は昨年10月下旬から約1カ月かけ、無作為に選んだ20歳以上80歳未満の男女約3300人から回答を得た。

+++++++++++以上、産経新聞(090717)+++++++++++

 記事の中に出てくる数字を、まとめると、つぎのようになる。

「生活は貧しくなる」と将来を悲観する人……57%

日本の経済力に対しては「非常によい」「ややよい」……37%
(注:日本経済への自信に満ちていた昭和63年の82%には遠く及ばない。)
「人々が貧しくなる」……5年前の47%から、57%に増えた。
「豊かになる」と希望を持つ人……14%から11%に減った。

1カ月間に「いらいら」した」人……20、30代では、初めて60%を超えた。

人間として大切な道徳を2つ選ぶ質問では、

「親孝行」     ……76%
「恩返し」     ……57%
「個人の権利を尊重」……27%
「自由を尊重」   ……36%

●マイナス変化

 こうしたアンケート調査が公表されたとき、それに驚くときもある。
しかしその一方で、「まあ、こんなものだろうな」と、納得するときもある。
今回の文科省の統計数理研究所の調査結果を見たときは、後者のほうだった。

 私たち団塊の世代は、日本の急速な変化に対して、それについていくだけでたいへん
だった。
が、結構それなりに楽しむこともできた。
実際には、怒涛をかけ分け、船をこぐような緊張感とスリルを、いつも肌で感じていた。
こうした前向きな変化を、「プラス変化」と呼ぶなら、現在の若者たちが感じている
変化は、「マイナス変化」ということになる。

 たとえばボットン便所から水洗便所への変化は、「プラス変化」、
水洗便所からボットン便所への変化は、「マイナス変化」ということになる。

 ものごとは、サッカーの試合でもそうだが、攻勢のときは、おもしろい。
押せ押せムードで、意気もあがる。
しかし一度守勢に回ると、ハラハラドキドキの連続。
それが長くつづくと、この調査結果のように、イライラ感に変化する。
とくに今の20代、30代の若者たちは、日本の高度成長期の波に乗り、飽食と
ぜいたくを、ほしいままにした。

 私は当時から、現在の(結果)を、予測し、心配していた。
「飽食とぜいたくに慣れきってしまったら、この先、子どもたちは、どうなる
のだろう」と。
「今のまま、高度成長がいつまでもつづくはずがない。
経済がマイナス成長になったとき、今の若者たちは、はたしてそれに耐えられるだろうか」
と。
それがそのまま、「60%」という数字になったと考えてよい。

●親孝行

 その一方で、「大切な道徳」として、興味深いことに、76%の人たちが、
「親孝行」をあげている。
年代別の数字がわからないので、コメントできないが、「日本人全体としてみれば、
そんなものだろうな」というのが、私の感想。

 とくに50代以上の人たちは、「親孝行論」を強く主張する。
しかしここで注意しなければならないのは、「親孝行論」には、2側面性があるということ。

(1) 自分自身が「子」の立場にいて、健在する「親」をもっているときの親孝行論。
(2) 自分自身が「親」の立場にいて、健在する「子」をもっているときの親孝行論。

 76%の人が、(1)と(2)のどちらの立場にいるのか、この報道だけではわからない。
が、もし(2)の立場だったら、親孝行論も、ずいぶんと身勝手なものと言わざるを
えない。
自分の息子や娘に対して、「私に親孝行しろ」とは!

 もっともこういうケースのばあい、ほとんどの親は、「先祖」という言葉を使って、
自分への親孝行論を正当化する。
「先祖を大切にしろ」と。
まさか「自分を大切にしろ」とは言えない。
だから「先祖を大切にしろ」となる。

●若者たちの老人観

 若者たちがいらいらしている気持ちは、これでよくわかった。
わかったが、しかし私はもうひとつの変化を、心配する。
そのいらいらした気分を、最近の若者たちは、私たち古い世代に向け始めているという
こと。
(これは多分に、私の杞憂(=取り越し苦労)か?)

つまり「老人がふえたから、日本は貧しくなったのだ」と。
あるいは「老人がふえればふえるほど、日本は貧しくなる」でもよい。
この先、私たち団塊の世代が75歳になるころには、日本人の約3分の1が、その
老人になる。
そうなったとき、若い世代の人たちは、私たち老人をどう見るだろうか。
想像するだけで、ソラ怖ろしくなる。

 さて、この先、この日本はどうなるのだろう?
日本人は、どう変化していくのだろう?
ただひとつ言えることは、「今のままではいけない」ということ。
 
 産経新聞は、「精神的な充足感を求める傾向も読み取れる」とコメントを寄せているが、
私は、この言葉に期待したい。
こうした閉そく感を打ち破るには、「精神的な充足感」しかない。
カネやモノではない。
心。
そのためにも、ひとりでも多くの人が、精神的な充足感を求めるために、
立ち上がってほしい。
今回の調査結果を見て、私は、そう感じた。

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