2009年12月27日日曜日

*How to Inspire Children

● 外発的動機づけ

 無理、強制、条件、比較は、確実に、子どもから、やる気を奪う。一時的には効果があっても、あくまでも一時的。

 このように、外部から、子どもを脅したり、条件をつけたりして、子どもにやる気を引き出す方法を、外発的動機づけという。

 子どもに、本当にやる気を出せせるためには、子ども自身の中から、そのやる気を引き出さねばならない。

 このように、子ども自身が、自分でやる気を起こすことを、内発的動機づけという。

 子どもからやる気を引き出すためには、子ども自身を、その気にさせねばならない。イギリスの格言にも、『馬を水場につれて行くことはできても、水を飲ませることはできない』というのがある。最終的に、やる・やらないと決めるのは、子ども自身ということになる。

 ……と、いろいろな説があるが、やる気の問題は、私たち自身の問題でもある。

 子育てをしていても、がんばれるときと、がんばれないときがある。たとえば子どもが、何かのことで懸命になっている姿を見ると、親の私たちも、がんばろうという気持ちになる。

 しかし何もせず、ぐうたらしている子どもを見ると、やる気も、消える。「どうして、親の私が、子どものためにがんばらなくては、いけないのか」と。

 こうした心理は、子どもも、同じ。そこで、どうすれば、子どものやる気を引き出すことができるかということになる。

  大脳生理学の分野でも、子どものやる気は、大脳辺縁系の中の、帯状回がコントロールしているという説もある(伊東正男氏、新井康允氏ほか)。この部分が、大脳からほどよい信号を受け取ると、やる気を引き起こすという。もう少し具体的には、帯状回が、モルヒネ様の物質を放出し、それが脳内に、心地よさを引き起こすということか。つまり、大脳からのほどよい信号こそが、子どものやる気を決めるというわけである。

 この説に従えば、子どもからやる気を引き出すためには、子どもが何かをしたら、何らかの心地よさを、子ども自身が感じるようにすればよいということになる。

 その一つが、達成感ということになる。達成満足感と言いかえても、よい。「やったア!」「できたア!」という喜びが、子どものやる気を引き出す。つまりは、そういう喜びを、いつも子どもが感じるように指導する。

 方法として、つぎのことに注意したらよい。


● 成功率(達成率)は50%

子どもが、2回トライして、1回は、うまくいくようにしむける。毎回、成功していたのでは、子どもも楽しくない。しかし毎回失敗していたのでは、やる気をなくす。だから、その目安は、50%。その50%を、うまく用意しながら、子どもを誘導していく。そしていつも、何かのレッスンの終わりには、「ほら、ちゃんとできるじゃ、ない」「すばらしい」と言って、ほめて仕あげる。


●無理、強制

無理(能力を超えた負担)や強制(強引な指導)は、一時的な効果はあっても、それ以上の効果はない。そればかりか、そのあと、その反動として、子どもは、やる気をなくす。ばあいによっては、燃え尽きてしまったり、無気力になったりすることもある。そんなわけで、『伸びたバネは、必ず縮む』と覚えておくとよい。無理をしても、全体としてみれば、プラスマイナス・ゼロになるということ。


●条件、比較

「100点取ったら、お小遣いをあげる」「1時間勉強したら、お菓子をあげる」というのが条件。「A君は、もうカタカナが読めるのよ」「お兄ちゃんが、あんたのときは、学校で一番だったのよ」というのが、比較ということになる。条件や比較は、子どもからやる気を奪うだけではなく、子どもの心を卑屈にする。日常化すれば、「私は私」という生き方すらできなくなってしまう。子どもの問題というよりは、親自身の問題として、考えたらよい。(内発的動機づけ)


●方向性は図書館で

どんな子どもにも、方向性がある。その方向性を知りたかったら、子どもを図書館へ連れていき、一日、そこで遊ばせてみるとよい。やがて子どもが好んで読む本が、わかってくる。それがその子どもの方向性である。たとえばスポーツの本なら、その子どもは、スポーツに強い関心をもっていることを示す。その方向性がわかったら、その方向性にそって、子どもを指導し、伸ばす。(役割形成)


●神経症(心身症)に注意

心が変調してくると、子どもの行動や心に、その前兆症状として、変化が見られるようになる。「何か、おかしい?」と感じたら、神経症もしくは、心身症を疑ってみる。よく知られた例としては、チック、吃音(どもり)、指しゃぶり、爪かみ、ものいじり、夜尿などがある。日常的に、抑圧感や欲求不満を覚えると、子どもは、これらの症状を示す。こうした症状が見られたら、(親は、子どもをなおそうとするが)、まず親自身の育児姿勢と、子育てのあり方を猛省する。


●負担は、少しずつ減らす

子どもが無気力症状を示すと、たいていの親は、あわてる。そしていきなり、負担を、すべて取り払ってしまう。「おけいこごとは、すべてやめましょう」と。しかしこうした極端な変化は、かえって症状を悪化させてしまう。負担は、少しずつ減らす。数週間から、1、2か月をかけて減らすのがよい。そしてその間に、子どもの心のケアに務める。そうすることによって、あとあと、子どもの立ちなおりが、用意になる。


●荷おろし症候群

何かの目標を達成したとたん、目標を喪失し、無気力状態になることを言う。有名高校や大学に進学したあとになることが多い。燃え尽き症候群と症状は似ている。一日中、ボーッとしているだけ。感情的な反応も少なくなる。地元のS進学高校のばあい、1年生で、10~15%の子どもに、そういう症状が見られる(S高校教師談)とのこと。「友人が少なく、人に言われていやいや勉強した子どもに多い」(渋谷昌三氏)と。


●回復は1年単位

一度、無気力状態に襲われると、回復には、1年単位の時間がかかる。(1年でも、短いほうだが……。)たいていのばあい、少し回復し始めると、その段階で、親は無理をする。その無理が、かえって症状を悪化させる。だから、1年単位。「先月とくらべて、症状はどうか?」「去年とくらべて、症状はどうか?」という視点でみる。日々の変化や、週単位の変化に、決して、一喜一憂しないこと。心の病気というのは、そういうもの。


●前向きの暗示を大切に

子どもには、いつも前向きの暗示を加えていく。「あなたは、明日は、もっとすばらしくなる」「来年は、もっとすばらしい年になる」と。こうした前向きな暗示が、子どものやる気を引き起こす。ある家庭には、4人の子どもがいた。しかしどの子も、表情が明るい。その秘訣は、母親にあった。母親はいつも、こうような言い方をしていた。「ほら、あんたも、お兄ちゃんの服が着られるようになったわね」と。「明日は、もっといいことがある」という思いが、子どもを前にひっぱっていく。


●未来をおどさない

今、赤ちゃんがえりならぬ、幼児がえりを起こす子どもがふえている。おとなになることに、ある種の恐怖感を覚えているためである。兄や姉のはげしい受験勉強を見て、恐怖感を覚えることもある。幼児のときにもっていた、本や雑誌、おもちゃを取り出して、大切そうにそれをもっているなど。話し方そのものが、幼稚ぽくなることもある。子どもの未来を脅さない。


●子どもを伸ばす、三種の神器

子どもを伸ばす、三種の神器が、夢、目的、希望。しかし今、夢のない子どもがふえた。中学生だと、ほとんどが、夢をもっていない。また「明日は、きっといいことがある」と思って、一日を終える子どもは、男子30%、女子35%にすぎない(「日本社会子ども学会」、全国の小学生3226人を対象に、04年度調査)。子どもの夢を大切に、それを伸ばすのは、親の義務と、心得る。
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 外発的動機付け 外発的動機づけ 内発的動機付け 内発的動機づけ 荷おろし症候群 荷下し症候群)

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。