2009年12月11日金曜日

*As to the relationship between Japan and USA

●日米関係(091211)

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日米関係が、急速に悪化している。
日本側が申し入れていた日米首脳会談についても、
アメリカ側が、それを拒否してきた。
ここにきて、あの古典的とも言える、『ジャパン・
バッシング(日本叩き)』が、再び始まった(?)。
私には、そんな感じがする。

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●小細工

 日本の外交の歴史は、「小細工の歴史」と言い換えてもよい。
日本は、世界を欺くため、小細工に小細工を重ねてきた。
これは日本人自身が生来的にもつ民族性のようなもの。
古い話で恐縮だが、「軍隊」を、「自衛隊」と表現したときも、そうだった。
当初、私がそれをオーストラリアの友人たちに話すと、みな、こう言った(1969年当時)。

「セルフ・デフェンス・フォース? ヒロシ、一体、それは何だ?」と。

 そう言われてはじめて、私は、「自衛隊」という言葉のもつ欺瞞性に、気がついた。
「専守防衛」を目的とした軍隊だから、日本政府は、「自衛隊」とした。
しかし古今東西、そんなことは世界の常識。
自国を守らない軍隊が、どこにある!
それを日本政府が、「自衛隊は軍隊ではありません。セルフ・デフェンス・フォースです」と説明したから、話がおかしくなった。

 これはほんの一例だが、こうした言葉のごまかしは、世界では通用しない。
とくにアメリカには通用しない。

●安保ただ乗り論

 アメリカの財政事情も、きびしさを増している。
こうした動きに連動して、これまた再び、日米貿易摩擦が再燃しつつある。
その顕著な例として、現在、アメリカでは、「TOYOTA・バッシング」が始まっている。
理由にもならない理由をこじつけて、TOYOTAの車が、ねらいうちにされている。
「アメリカの自動車産業が打撃を受けたのは、日本車のせい」と。

 そういう中、これまた再び、『安保ただ乗り論』が、浮上してきた。
「日本が安い防衛費で、平和でいることができているのは、アメリカのおかげ」と。
若い大統領ということもある。
オバマ大統領は、こうした一連の日米関係を、振り出しから、リピートし始めている。

(日本異質論・1970年代)→(安保ただ乗り論・1970年代)→(日米経済摩擦・1990年代)→(ジャパン・バッシング・1990年代)と。

 で、現在は、北朝鮮問題、中国の軍事的脅威にからんで、再び、『安保ただ乗り論』というわけである。

●アメリカの言う「ただ」
 
 アメリカが言う「ただ」というのは、「お金」のことではない。
「人命」のことをいう。
そこを誤解してはいけない。
イラク戦争だけをみても、実際のところ正確な数字は公表されていないが、アメリカ兵の死者は、5269人(05年1月まで)とも言われている(イラク・レジスタンス・レポート)。

 が、そういう現実を日本は見て見ぬふりをしながら、「思いやり予算」とか、「インド洋での給油活動」とか、アメリカ側から見れば、小細工に小細工を重ねて、「ただ乗り」をつづけてきた。
これが鳩山政権になって、一気に問題化した。

 だからといって、自衛隊員に死んでこいと書いているのではない。
もしそれがだめというなら、日米関係は、終焉させるしかない。
つまりこの問題は、それほどまでに深刻な問題であり、日本側にも大きな覚悟が必要ということ。
が、とても残念なことに、母親から小遣いをもらっているような鳩山首相には、荷が重すぎる。
きびしさそのものが、ちがう。

●今、アジアは……

 アメリカは、(冷戦)→(ベトナム戦争の敗退)→(それにつづくスタグフレーション)→(湾岸戦争)を経験している。
その間に、世界の勢力地図も、大きく変わった。
当然、アメリカの軍事戦略も、大きく変わった。
同時に、日本の地位、沖縄の戦略的立場も、大きく変わった。

 が、日本だけは、いまだに井の中の蛙(かまず)というか、井戸の中からときどき、外の世界を垣間見ている程度。
世界の動きを、つかみきれていない。
そのひとつが、あの『東アジア・サミット』。

 ASEAN10か国に、日本、中国、韓国を加えたのが、「ASEAN+3」。
そのASEAN+3に、さらに、オーストラリア、ニュージーランド、インドを加えたのが、鳩山首相が説く、「東アジア・サミット」。

 当初この東アジア・サミットに、アメリカを加えなかったから、さあ、たいへん!
アメリカの日本不信に、鳩山首相は、火をつけてしまった。
アメリカには、APEC構想というものがある。
東アジア・サミットは、それに対抗する構想として、理解(あるいは誤解?)されてしまった。
鳩山首相は、あわてて「東アジア・サミット構想には、アメリカも含む」と訂正したが、これはあとの祭り。

●「アメリカと社民党と、どちらが大切なのか」

 鳩山首相というより、それを裏で操る小沢政権は、早々と、「脱・アメリカ構想」を決め込んでしまった。(……ようだ。)
今の今、小沢氏は、総勢600人もの随行者を伴って、中国を訪問している。
アメリカやオーストラリアで、鳩山民主党政権の誕生を、「社会主義国の台頭」と報じているのは、そのため。

 が、これは現在の日本にとっては、たいへん危険なことでもある。
「なぜ今なのか?」という理由も明確でないまま、ここで脱・アメリカを事実上宣言するのは、この日本にとっては自殺行為に等しい。
北朝鮮問題ひとつ取りあげても、それがわかるはず。

 日本には、まともな外交能力はない。
北朝鮮がすでに実戦配備しているノドンミサイルや、化学・生物兵器に対しても、まったく無力。
中国を信用するには、まだ時期が早すぎる。
ジョン・ルース駐日アメリカ大使が、鳩山首相に向かって、「アメリカと社民党と、どちらが大切なのか」と息巻いた背景には、そんな(現実)がある。

●では、どうするか?

 民主党は先の衆議院議員選挙で、大勝利を収めた。
が、それは反自民というよりは、反麻生でかたまった浮動票層が動いたからである。
しかしだからといって、一気に反米へ進めということではない。
まただれも、そこまでは予想していなかった。

 鳩山首相は、もう少し時間をかけるべき。
どうしてこうも急いでいるのか、私にはその理由がわからない。
とくに国際外交、なかんずく日米関係については、そうである。
戦後60数年の歴史を、わずか1年足らずで、ひっくり返してしまうような政策が、はたして智策と言えるのか。

 それをいきなり社民党にすり寄って、沖縄問題についての日米合意を白紙に戻すとは!
そんなことは、国際常識からしても、ありえない。
またそんなことは、してはいけない。

 その選挙で民主党に一票を入れた人たちは、今、大きな失望感を覚えつつある。
「私たちが選んだ首相だから、しかたない」と、自分で自分を慰めている。
しかしそんな(慰め)は、いつまでもつづかない。
自民党もだめだが、民主党もだめということになったら、この日本は、いったい、どこに向かって進めばよいのかということになる。
その責任は、重い。
そんなことも考えながら、ここは慎重に!
自民党政権のそれというよりは、戦後の日本の歴史の中で、踏襲すべきものは踏襲しながら、時間をかけて軌道修正していく。

 私は、切にそれを望む!

(09年12月11日朝、記)


Hiroshi Hayashi++++++++Dec. 09+++++++++はやし浩司

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