2011年12月21日水曜日

●浜名湖弁天リゾート・ジ・オーシャンにて

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 彡彡人ミミ      彡彡彡彡彡
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 子育て最前線の育児論byはやし浩司   12月  21日号
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【1】(子育てのこと)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

休みます。

【2】(特集)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

●「浜名湖弁天リゾート・ジ・オーシャン」にて

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弁当を買う。
DVDショップで、DVDを借りる。
雑誌「Sapio誌」(小学館)を1冊仕入れる。
「中国・大崩壊」という特集が気に入った。

そのあと一度、家に戻り、そのままジ・オーシャンに。
先ほど電話を入れたら、「今日は、けっこう混んでいます」と。
で、和室で頼んだら、太平洋側ではなく、裏弁天側という。
「裏弁天側なら、和室が空いています」と。

この際、ぜいたくは言わない。
温泉に入れるだけでも、ありがたい。

+++++++++++++++++++++

●雨

 今朝から、土砂降り。
昼ごろになって雨脚(あまあし)が、やや弱くなった。
庭に出てみると、生暖かい南の風。

 私とワイフは、弁当屋に向かった。
600円の弁当でも、ホテルで食べると、おいしい。
言い忘れたが、今回は、1泊朝食。
夕食なし。
料金は6200円+消費税+入湯料とか。
通いなれたホテルだけに、気分も落ち着く。

●無理

 が、いつもそうだが、迷わなかったわけではない。
せっかくの土曜日だから、一日、家の中でのんびりしていたいという気持ちもないわけで
はない。
それに土曜日は、どこへ行っても、混雑している。
ホテルにしても、料金は割高。

 が、そこは思い切って、アクセルを踏む。
この「踏む」という部分で、かなり無理をする。
年を取れば取るほどなおさらで、その(無理)がないと、「一日中、家の中で……」となる。
しかしこれは、まずい。
気力がますます弱くなる。
刺激を求めなくなる。
廊下の入り口に立つと、そうなる。

●老人性無気力症

 老人になると、何ごとにつけ、無気力になる。
フロイトが説いた「性的エネルギー」は、そのままユングの説いた「生的エネルギー」に
一致する。

 性的エネルギーの衰退は、当然、生的エネルギーの衰退と考えてよい。
その生的エネルギーが衰退する。

 だから「アクセルを踏む」となる。
しかしこれは努力の問題というよりは、習慣の問題。
その習慣があればよし。
そうでなければ、そうでない。
それは(運動)に似ている。

 運動することよりも、「運動をする」という習慣が大切。
その習慣をどう作るか。
老後に向け、どう作っていくか。
その習慣作りに失敗すると、あとは死の待合室にまっしぐら!

●中国大崩壊

 中国がおかしい。
……ということは、みな、感じている。
不動産(マンション)価格が、今年に入ってから、暴落に近い値下がりをつづけている。
日本でもそういう事件はあった。
先にマンションを買った住人たちが、価格を下げた業者に対して、暴動を起こしたという。
そんなニュースも伝わってきている。
そのためマンションの売買取引は、「(昼間はあぶないので)、夜になされている」(上海)
とか。

 しかしこれはおかしい。
いくら値下がりしたとはいえ、そのときはそのときで、納得して買ったはず。
あとになって価格がさがったからといって、つまり高いでマンションを買わされたからと
いって、怒るほうがどうかしている。

 私が住んでいるこの団地にしても、買ったときは坪11万5000円だった。
が、あのバブル時代には、坪50万円近くまで、はねあがった。
現在は坪30万円前後で落ち着いている。
つまり中国政府は、ここにきて突然、急ブレーキを踏んだ。
(まだSapio誌を読んでいないが、たぶんそのあたりを切り口にしているはず。)

●R631(28D)、TOSHIBA・ウルトラブック

 今日のお供は、R631。
たいへん気に入っている。
指紋認証が、こんなに便利なものとは、知らなかった。
それに光るキーボードというのも、よい。
スイッチONから、デスクトップ画面が現れ、スタンバイになるまで、10秒前後。
軽くて、持ち運びやすい。
世界イチ、軽くて薄いとか。
まるでふつうのノートのよう。

 今、そのパソコンを、車の中で使っている。
楽しい。
気持ちよい。
指が慣れてきたせいか、キーボードの感触がよい。
今夜はだれにもじゃまされず、思う存分、文章を叩ける。

●大雨注意報

 3時に家を出た。
こういう日は、駐車場の確保に苦労する。
夕方になると、温泉が混雑してくる。
だから3時。
早めのチェックイン。

 バイパスから国道1号線へ抜けるとき、東海道線の線路をまたぐ大橋を渡る。
そのときのこと、車が風で、左右に大きく揺れた。
ワイフは、「台風みたい……」と、2、3度、言った。
見ると、どこかの倉庫を包むビニール・シートが、風に大きくはためいていた。
国道1号線に出てからも、みな、速度を落として走っている。
そういえば現在、大雨注意報、発令中。

 もうすぐ弁天島に到着。

●中国とEU

 風呂から出て、先ほどまで居間のほうでSapio誌を読んでいる。
中国では、不動産価格が、今年に入って20%下落したとある。
「高値づかみした住民が暴動を起こした」という記事も載っていた。
ハイパーインフレも目下、進行中。
おおかたの見方は、予想範囲というか、常識的。
(偉そうなことを書いて、ごめん。このところ私も、経済にかなり明るくなってきた。)

 ただ知らなかったのは、中国がEU経済に深く、関わりこんでいるということ。
Sapio誌によれば、「ギリシャ国債やポルトガル国債、スペイン国債など、危機に直面
するEU各国の国債を、数10億ユーロ単位で大量に保有している」(P8)とか。
具体的な数字は書いてなかったが、「日本の対EU貿易は全体の1割にすぎず、デフォルト
が懸念される欧州国債を保有する金融機関もわずか」(P6)だ、そうだ。
道理で中国は、「助ける」「助ける」を連呼している。
助けなければ、自分があぶない。

 悪魔のシナリオを考えるなら、EUが破産し、中国と韓国が破産し、日本だけ何とか生
き延びる。
……というのは、どうやら無理のようだ。
崩壊度にもよるが、中国が中程度以上の崩壊をすれば、日本経済もそのまま崩壊する。

●世界の荒波

 要するに、今、世界中の銀行が、札を印刷機をフル回転で増刷した。
世界中が、通貨安競争を繰り返した。
その結果が、今。

この際いつまでも優等生ぶらないで、日本も印刷機をフル回転させたらよい……というの
は、暴論だが、このままでは本当に1ドル=50円になってしまう。
ハイパーインフレ、やむなし!
またそれによって、日本の借金も、(仮に物価が2倍になれば)、半分に減る。
……つまりそこまで腹を決めないと、この激流は、乗り切れない。

 とはいっても、やがてそうせざるをえなくなる。
たとえるなら、日本は小さな防波堤で囲まれた一軒家。
世界の荒波は、そのすぐそこまで押し寄せてきている。

●ジ・オーシャン

 ホテルは、2間つづきの広い和室を用意してくれた。
寝室と居間が分かれている。
このホテルの中でも、スィートルーム。
こういう心遣いがうれしい。

 夕食は、もちろん弁当。
ほかに家からもってきた、柿とみかん。
景色がいつもとはちがうので、部屋に入った瞬間、かなりとまどった。
今回は裏弁天側。
いつもはそこにあるはずの太平洋が、今日は見えない。

 ……浜松に来たころには、この裏弁天にあった友人の別荘に寝泊まりしていた。
冬場は、だれも使っていないということだった。
それでその別荘の一部屋を貸してもらった。
そのこともあって、浜松市内に居を構えてからも、夏になると毎週のようにこの裏弁天へ
遊びに来ていた。

東海道線のガードをくぐると、西山貸し船店というボート屋がある。
私と同年齢の主人が、その店を経営していた。
今も、その主人が経営しているという。
2、3年前だったか、その西山氏が、何かのことで新聞に紹介されていた。
なつかしいというより、うれしかった。
そのボート屋でボートを借り、浜名湖へ出た。

 ジ・オーシャン……大理石に覆われたピカピカのホテルではない。
古い旅館をていねいに改装したホテルである。
それだけに居心地がよい。
従業員の人たちも、やる気満点。
随所に本気度が満ち溢れている。
今回は夕食抜きで泊まったが、いつも一流ホテルの客のように、私たちを扱ってくれる。
満足度で評価するなら、文句なしの5つ星の、★★★★★。
今ならキャンペーン中ということで、1泊2食付で、7500円前後で泊まれる。

正確には、1室4名……6510円(1泊2食付)
      1室3名……7035円
      1室2名……7560円
 詳しくは……053-592-1155まで

●年賀状

 今年も年賀状の季節になった。
ときどき文面を考える。
が、年々、簡素なものになってきた。

 今日もこのホテルへ来るまで、遠くの景色を見ながら考えた。
「どうしようか?」と。

 そういえば、すでに喪中の知らせが、何通か届いている。
が、そのたびに、私はこう思う。
「なぜ日本人は、こうまで年賀状にこだわるのか」と。

 5、6年前、私は年賀状廃止宣言をした。
が、そののち、少しずつ復活。
昨年も、X百枚かの年賀状を出した。
もちろん今年、世話になった人には、令状として年賀状を出す。
親しい知人や友人にも出す。
毎年欠かさず年賀状をくれる人にも出す。
しかしそこまで。

 虚礼で出す年賀状ほど、意味のないものはない。
そういう相手からだと、年賀状をもらっても、かえって不愉快になるだけ。

 その年賀状だが、2年ほど前までは減少傾向にあったという。
が、今年になって発行枚数の減少が止まったとか。
しかしその今年。
あの3・11大震災が日本を襲った。
「明けましておめでとうございます」という気分には、どうしてもなれない。
放射線による被害が出てくるのは、これから。
チェルノブイリ事故のばあい、2~5年後から被害が現れ始め、10年後にピークを迎え
たという。

 ともあれ、そういうことも考えながら、文面を考える。
 
2008年……40億2000万枚
2009年……39億5000万枚
2010年……38億2000万枚
2011年……38億2000万枚(財経新聞)

●午後5時2分

 ワイフがこう言った。
「5時で、真っ暗よ」と。
時計を見ると、5時02分。
日が沈むのが、早くなった。

 隣の部屋には、ダブルのベッドが2つ、ゆったりと並べてある。
1つだけでも、自宅のダブルベッドより広い。

……先ほどワイフが「少し頭が痛い」と言った。
私も少し痛い。
若いころは偏頭痛に苦しんだ。
が、ワイフはちがう。
若いころから、頭痛とは無縁だった。
が、このところ急に、体力が衰えてきた。
そんな感じがする。

 ……たった今、ワイフが「寒いわね」と言った。
見るとエアコンが切ってあった。
スイッチを入れ、24度に設定した。

●私流の尺度

 私にとって経済学というのは、もっと直接的なもの。
つまり肌で感ずるもの。

 たとえば今回の一連のEU金融危機についても、30分ごとに入れ替わるニュースを読
んでいても、実感がわかない。
それよりもむしろ株価の動きを見ていたほうがよくわかる。
グラフで示される。
たとえば野村ホールディングズ(野村証券)の株価。

 私は野村ホールディングズの株価を見ながら、EUの動向を探っている。
株価が上がれば、EU経済は快方に向かっている。
下がれば、EU経済は悪化している。
私のような素人があれこれ判断するより、無数のプロたちが集合して出す結論のほうが正
しい。
(ただし私は野村株は、一度ももったことはない。
株は、3・11大震災の1週間前に、すべて売り払った。)

 同じように中国経済をみるときは、100円ショップを見ればよい。
今では大きなゴミ箱まで、100円で買える。
が、もし品数が減ってくれば、中国の中小企業が傾き始めたことを示す。
品質が悪くなり、小物ばかりになってきたら、元高に向かっていることを示す。
(それほど単純でないことは、よくわかっているが……。)

 言うまでもなく、あの100円ショップの商品は、そのほとんどが中国から入ってきて
いる。
私はいつも、「どうしてこんなものが、100円でできるのだろう」と思いながら、買い物
をしている。
それもやがて限界にくる。
そのとき中国は崩壊する。

 ほかにたとえばガソリン価格。

 ガソリンの価格が上がれば、資源の価格が上昇している。
下がれば、下降している、などなど。
おおまかに言えば、原油価格と貴金属価格は連動している。
たとえばガソリン価格が上昇していて、貴金属価格が上昇していないときは、「貴金属は買
い」と判断できる。

●Sapio誌

 Sapio誌は、「中国崩壊」について、つぎのような記事を並べている。

(1)倒産→夜逃げラッシュ、不動産価格の一斉下落で、中国経済崩壊はもはや秒読み。
(2)日経平均株価5000円、冷凍食品が消滅、日本経済&生活は、こう変わる。
(3)来年1月総選挙が分岐点…追い詰められた中国は、台湾併合で覇権の歩を進める
(4)中国は焦っている! TPP日本参加の本質は、日米同盟強化と中国封じ込め
(5)「2歳女児ひき逃げは見殺し」は、氷山の一角! 「冷漠社会」よりこわい「誘拐
(6)多発地帯」
(7)極貧生活者3億人、大卒失業者800万人…世界最悪の格差社会と反格差デモ。
(8)中国GDPを押し上げてきた「金持ち愛人」たちの逆襲。
(9)胡錦濤「共青団」と習近平「太子党」が暗闘中、ほか。
 
 どれもギョーギョーしい記事ばかり。
この雑誌は、何かにつけ、ギョーギョーしい。
信頼性は、あまりない。

●資本主義

 資本主義は、今、大きな曲がり角に来ているのではないか。
またそういう視点で考えると、世界の動きが、より正確に理解できる。
たとえば(資本=マネー)そのものが、ゲーム化している。
神聖な……とまでは言えないが、労働力の対価としてのお金(マネー)が、ばくち(バク
チ)の対象になっている。

1日中働いて、数ドルしか稼げない人もいれば、一昼夜で、数億ドルも稼ぐ人もいる。
ドル、ユーロ、元、円は強いが、そうでない通貨は、そのつどジャンク(ゴミ)になって
しまう。
強い通貨をもった国は繁栄し、弱い通貨をもった国は、ますます貧乏になっていく。

 こんなバカげたことをつづけていたら、世界は本当におしまい。
やがて世界は、メチャメチャになってしまう。
精神的な部分から、破壊されてしまう。

●11月20日

 日本の若者たちで、何がいちばん欠けているかといえば、(たくましさ)。
数日前、高校生と大学生の就職率が発表された。
それを見ても、かなり悪い。
が、仕事がないわけではない。
(きれいな仕事)がないだけで、その気になれば、何だってできるはず。

 タイの若者たちは、先般の大洪水のとき、土嚢の上で屋台を開いていた。
16歳の少女だが、自分でボートを借り、ソーセージを焼いて売っていた。
そういう(たくましさ)が、この日本から消えてしまった。
かわりに、あのトレンディ・ドラマ。

 就職したら、マンション住まい。
車もあり、冷蔵庫も、エアコンもあり……。
そのつど「給料があがったら、金を返す」と言っては、親から金をせびる。
最初からこんな生活をしようと思うから、「就職先がない」となる。

 が、日本国内ではそれでよいとしても、日本を一歩外に出れば、そこは猛獣が行き交う
野獣の世界。
そんな連中を相手に、この先、どうやって日本人は生きていくというのか。

 日本の若者たちよ、仕事先ではなく、仕事をさがせ!

●二日酔い

 今朝は4時30分に目が覚めた。
毎度のこと。
エアコンのサワサワとした乾いた風が、どうも肌に合わない。
温度を23度に設定したが、寒い。
……ということで、午前4時30分、起き。

 頭が痛いのは、昨夜、寝る前に飲んだチューハイのせい。
いつもより多く、飲んだ。
つまり二日酔い。

●仕事

 先に「仕事先ではなく、仕事をさがせ」と書いた。
それについて、追記。

 これはその年齢の若者たちだけの問題ではない。
子どもたちの問題でもある。
さらに言えば、(依存性)の問題でもある。

 子どもたちにしても、仕事、つまり家事をまったくといってよいほど、しない。
親自身がさせない。
「家事をさせなさい」などと言うと、「させることがありません」と。

 掃除は掃除機で、ものの10分足らずですんでしまう。
料理にしても、レトルト食品。
電子レンジに入れて、ポンで終わってしまう。
洗濯は、もちろん全自動。

 だから最近の子どもたちは、(してもらうこと)を、当然と考えている。
が、(すべきこと)がないわけではない。
アメリカ人の友人が、こんな話をしてくれた。

その友人は、浜松市内で英語を教えていたとき、ときどき生徒を自宅へホームスティとし
て招いていた。
そのときのこと。
そのアメリカ人は、こう言った。

 「ヒロシ、日本の子どもたちは、みなスポイルされているよ」と。

 「スポイルされている」というのは、簡単に言えば、「ドラ息子・ドラ娘」という意味。
そこで私が、「君は、どんなところを見て、そう言うのか」と聞いてみた。
するとその友人は、こう話してくれた。

「何もしない。ぼくが料理をしているときも、遊び回っている。
食べた食器は、いつもそのまま。
シャワーを使っても、泡を流さない。
朝起きても、ベッドをなおさない。
何もしない」と。

 そういう子どもが勉強だけして、やがて就職先をさがすようになる。
が、この不況。
おいそれと仕事先が見つかるわけではない。
だからある女子大生は、中日新聞の投書欄にこう書いた。
「就職先を(私たちのために)用意するのは、社会の役目」と。

 私はその投書を読んで、こう思った。
「こんな女子大生が公務員にでもなったら、日本はおしまい」と。

●経営者は1人

 私の教室は、経営者は、私1人だけ。
ワイフが手伝ってくれるから、従業員は1人ということになるが、実際には、家族経営。
だから、それがよくわかる。
「1人」の意味がよくわかる。

 つまり1人の人間が生きていくだけで、精一杯。
もしアルバイトの人を雇ったら、私の教室など、あっという間に閉鎖。
それだけの余力は、どこにもない。

 ……というようなことを、先日も、道路清掃をしている人たちを見たときに考えた。
道路の落ち葉を片づけていた。
清掃車の前後に、旗振りの男女が1人ずつ。
清掃する人、落ち葉を清掃車に詰め込む人、それが4人。
合計で、6人!

 私はそれを見ながら、「6人の人を食べさせていくのは、不可能」と思った。
半ば公的な仕事で、国からそれなりの補助金でも出ればまだ、できる。
しかしそれもなかったら、不可能。

 だいたい落ち葉など、その近所の人たちが清掃すれば、すむはず。
それを6人がかりで、清掃する。
税金の無駄というより、馬鹿げている。

 つまり(仕事)に対する感覚が、完全にズレている。
それがわからなければ、一人(独りでもよい)で生きてみること。
何ができて、何ができないか、すぐわかるはず。
(仕事)の原点は、いつもそこにある。

●雨上がり

 20日になって、雨が上がった。
同じ雨雲だが、空が高い。
車はゆっくりと自宅に向かっている。
頭痛が残っているため、最適のコンディションとは言えない。
文章を書いていても、どうしても暗くなる。

 ……今日の予定。

 アメリカに住む孫に、「石」を送ること。
何でも「石」に興味があるとか。
私の家に来たときも、庭のあちこちを掘っていた。

 ……実は私もちょうどその年齢のころ、石に興味があった。
何かの本の付録についてきた石である。
最近までその石の名前を覚えていたが、忘れた。
黒く、コーヒーの結晶のような石だった。
私は毎日、その石を磨いて遊んでいた。

 あとは昼寝をしてから考える。
やろうと思えば、いくらでもやることはある。
しかしどうも気が進まない。
今日一日は、おとなしくしていよう。

(はやし浩司 教育 林 浩司 林浩司 Hiroshi Hayashi 幼児教育 教育評論 幼児教
育評論 はやし浩司 はやし浩司 ジ・オーシャンズ はやし浩司 2011-11-2
0 浜名湖弁天リゾート・ジ・オーシャン)


Hiroshi Hayashi+++++++Nov. 2011++++++はやし浩司・林浩司

【3】(近ごろ、あれこれ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

●老人心理と貪欲さについて(はやし浩司 2011-11-20)
(John Milton's "On Time")

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今夜の夕食は、私がインスタント焼きそばと白いご飯。
ワイフが、レトルトの牛丼。
息子が、インスタント・ラーメン。
まことにもって、質素な夕食。……でした。

++++++++++++++++++++++

●運動2単位

 先ほど、ウォーキングマシンの上で30分、歩いた。
時速は6キロ(MAX)。
ダラーと汗をかいたところで、終了。
これで1単位。
(1単位=約30~40分。全身に汗をかく程度を1単位とする。)

●竹やぶ

 自宅の横に、大きな竹やぶがある。
その竹やぶの竹を、草払機で100本ほど、切り倒した。
放っておけば、自宅のほうまで伸びてくる。
壁をこする。

また枯れた竹や葉が、かなり積もっている。
だれかがタバコの吸い殻でも捨てたら、そのまま火事になる。
……ということで、毎年、今の時期になると、竹やぶの竹を切る。

 夏場は、ハチの巣があるので、それはできない。
切るなら、今ごろ。
毎年、それが恒例行事になっている。
で、今日はそのあと、庭の芝生も刈った。
その運動が、ちょうど1単位。

だから今日は、計2単位。
運動の量としては、まずまず。

●半眠状態

 脳みその健康のためには、運動は欠かせない。
とくに私のような低血圧気味の人間には、欠かせない。
運動をする前と、運動したあととでは、脳みその働きはまったくちがう。
ものを書いていると、それがよくわかる。

 が、今は、どこかぼんやりとしている。
集中力というより、(怒り)がわいてこない。
食後ということもあって、脳みそは半眠状態。
平和。
穏やか。
さて本論。

++++++++++++++++++はやし浩司

イギリスの詩人、ミルトンはこう書いている。
『老人が落ち込む、その病気は、貪欲である』と。

私は英語の原文を知らない。
「貪欲」というのは、「greedy」のことか。
卑しい意味で、「greedy」という。
「あなたはgreedyだ」と言われ、それを喜ぶ人はいない。
日本語で言うと、「むさぼる」という意味になる。

++++++++++++++++++はやし浩司

●老人のこだわり

 ある老人が、自宅で倒れた。
たまたま隣人が医師だった。
それでその老人は隣人の家まで、這うようにしてやってきた。
が、ここからが常人には、理解できないところ。

 その医師が「救急車を呼びましょう」と声をかけると、「それだけはやめてくれ」と。
理由を聞くと、「近所に恥ずかしいから」と。

●見栄?

 こうした老人特有の(こだわり)は、あちこちでよく耳にする。
たとえばA氏、82歳。
A氏の妻も、同じく、82歳。
A氏は自宅に住んでいる。
A氏の妻は、有料老人ホームに住んでいる。

 ところが最近、A氏の体調が悪くなってきた。
10年ほど前に、前立腺がんの手術を受けている。
それが再発。
大腸がんを併発した。

 が、A氏は、どんなことがあっても、自宅の雨戸を閉めたまま、あるいは開けたままに
しない。
A氏が自宅にいないときは、A氏の妻が有料老人ホームからタクシーでやってきて、その
時刻になると、雨戸を開けたり、閉めたりしている。

 見栄なのか?
それとも虚栄なのか?

 これらの老人に共通しているのは、自分の弱みを人に知られることを、極度に警戒して
いるということ。
私の母にしても、そうだ。
兄と自転車店を経営していたが、60歳を過ぎてからは、めったに外泊すらしなかった。
店を閉める……ということを、極端にいやがっていた。
たとえば兄が胃潰瘍で入院したときも、医師とかけあって、1週間程度で病院から連れ出
してしまった。

●恥?

 こういう老人特有の心理を、どう理解したらよいのか。
ふつうの常識のある人なら、ケース・バイ・ケースでものを考える。
若い人なら、なおさらであろう。
救急車を呼ぶことを、恥と考える。
自宅や店を閉めることを、恥と考える。

 他人の目の中で生きてきた人ほどそうかもしれない。
が、それだけでは、理解できない。
もうひとつ考えられるのは、そうした老人たちは、そういう目で他人を判断してきたとい
うこと。
たとえば近所の人が救急車で運ばれたりすると、それを喜んだり、笑ったりする。
店を閉めた人についても、そうだ。
あれこれとその家の事情を詮索し、それを世間話にして花を咲かせる。

 低俗な人たちだが、そういう人は、たしかにいる。

●他人の不幸をのぞく人

 義姉の母親が倒れた。
義姉の義母、つまり夫の母親だった。
その母親は2年間ほど、義姉の家にいた。
義姉が介護した。

 そのときのこと。
ある日突然、夫の従姉と従兄の2人が見舞いに来たという。
いろいろ事情があった。
その事情について書くのは、ここでの目的ではない。
簡単に言えば、「来るはずもない2人が来た」(義姉)と。

 義姉はこう言った。
「好奇心というか、物見見物といった感じです。義母が倒れたのが、よほどうれしかった
のでしょうね。それを自分の目で確認するために来たのです」と。

 私にも似たような経験がある。
あるので、そのときの義姉の気持ちがよく理解できた。
世の中には、本当に残念なことだが、他人の不幸を酒の肴(さかな)にして、喜ぶ人がい
る。

●人生の総決算

 老齢期になると、それまで奥に隠し持っていた醜悪な人間性が、そのまま表に出てきて
しまう。
隠そうという意欲そのものが、薄れてくる。
(反対に若いときは、気力で、それをごまかすことができる。)
言うなれば、持病のようなもの。
それがどっと表に出てくる。

 老齢期というのは、そういう意味で、人生の総決算期。
老齢期の人間性を見れば、その人がどういう人生観をもっていたかが、おおよそわかる。
もちろんそれがよいものであれば、よし。
しかしそうでなければ、そうでない。
みなにあきられ、嫌われる。

●では、どうするか

 釈迦は、「精進」という言葉を使った。
「日々に鍛練あるのみ」と。
この鍛練にみによって、自分の人生観を変えることができる。
しかもその時期は、早ければ早いほど、よい。
30歳や40歳を過ぎてからでは、遅い。
50歳では手遅れ。
60歳では、先に隠された人間性のほうが表に出てきてしまう。

 つまり一度できた人間性は、簡単には改まらない。
ゆがんだ心となると、さらにそうだ。
ばあいによっては、(ほとんどがそうだが)、死ぬまでそのまま。

●縁を切る

 あなたの周囲にも、ずる賢い人はいくらでもいる。
小細工に小細工を重ね、善人ぶっている人はいくらでもいる。
ウソをつき、インチキを繰り返す。
大きな悪事こそできないが、平気で人をだます。

実のところ、私のまわりにもそんな人がいた。
が、50歳を過ぎるころから、私は心に決めた。
「縁を切ろう」と。

 そういう人たちとつきあっていても、得るものは何もない。
ないばかりか、しばらくつきあっていると、そういう人たちがもつ、あの独特の毒気に染
まってしまう。
そういう人たちは、そういう人たち同士が集まり、独特の社会を形成している。
そういう社会に取り込まれると、それこそ私やあなたは、酒の肴にされてしまう。

 が、それが本当の被害ではない。
本当の被害は、時間を無駄にすること。
時間を無駄にすること以上の、「損」はない。

●総決算

 「救急車を呼ぶな」と言った老人。
毎日、雨戸をきちんと開けたり閉めたりする老人。
それがその老人たちがもつ人生観の、総決算ということになる。

 ……この話は以前にも書いた。
原稿をさがしてみる。

++++++++++++++++++++

「救急車を呼ぶな」と言った老人。
日付を見ると、2002年となっている。
今から9年前。
その前後に書いた原稿と併せて、再掲載する。

++++++++++++++++++++


●ある退職者


 退職してからも、現役時代の肩書きや地位を引きずって生きている人は多い。とくに「エ
リート」と呼ばれた人ほど、そうだ。そういう人にしてみれば、自分が歩んだ出世コース
そのものが、自分の人生そのものということになる。Y氏(六七歳)もその一人。


 私に会うと、Y氏はこう言った。「君は、学生時代、学生運動か何かをしていたのかね? 
それでまともな仕事につけなかったのかね?」と。


 彼は数年前まで、大手の都市銀行で、部長をしていた。この浜松へは、生まれ故郷とい
うことで、定年と同時に、移り住んできた。彼の父親の残した土地が、あちこちにあった。
そこで私が、「本も書いています」と言うと、「いやあ、こういう時代だから、本を書いて
もダメでしょ。本は売れないでしょ」と。たしかにそうだが、しかしそういうことを面と
向かって言われると、さすがの私でもムッとくる。


 問題は、なぜY氏のような人間が生まれるか、だ。仕事第一主義などという、生やさし
いものではない。彼にしてみれば、人間の価値まで、その仕事で決まるらしい。いや、そ
れ以上に、なぜ、人は、そこまで鼻もちならないエリート意識をもつことができるのか。
自尊心という言葉があるが、その自尊心とも違う。肩書きや地位にしがみつくのは、自尊
心ではない。自尊心というのは、生きる誇りをいう。肩書きや地位とは、関係ない。彼の
ような人間は、戦後の狂った経済社会が生みだした、あわれなゾンビでしかない。


 もっとも彼にしてみれば、過去の肩書きや地位を否定するということは、自分の人生そ
のものを否定することになる。最後は部長になったが、その部長をめざして、どれほど身
を粉にして働いたことか。家庭を犠牲にし、自分を犠牲にしたことか。それはわかるが、「で
は、Y氏は何か?」という部分になると、実のところ何もない。何も浮かんでこない。少
なくとも私には、ただの定年退職者(失礼!)。


 別れぎわ、「今度、また自治会の仕事をよろしくお願いします」と言ったら、こう言った。
「ああ、県や市でできることがあれば、私に一度、連絡してください。私のほうから口を
きいてあげます」と。そうそう、こうも言った。「林君は、カウンセリングもできるのです
か。だったら、国のほうでも、そういう仕事があるはずですから、今度、私のほうで、話
しをしてあげますよ」と。


 おめでたい人というのは、Y氏のような人をいう。が、私は心の中で、Y氏とは、完全
につながりを切った。「何かの仕事の話になっても、(そういうことはありえないが)、断ろ
う」と心に決めた。
(02-12-2)


Hiroshi Hayashi+++++++Nov. 2011++++++はやし浩司・林浩司


●老後


 おととい、Pペイントという、日本でも一、二を争うペンキ会社で、会長をしていたとい
うT氏が、久しぶりに我が家へ寄ってくれた。一五年ぶり? 玄関で会ったとき、「お元気
ですか」と言いかけたが、思わず、その言葉がのどの奥に引っ込んでしまった。T氏は、
すっかり老人ぽくなってしまっていた。


 居間でしばらく話していると、やがて年齢の話になった。私が「五五歳になりました」
と言うと、「いいですねえ、これからですよ」と。私が驚いていると、こうつづけた。「ち
ょうどバブルのころということもありましてね。私が本当に自分の仕事ができたと思うの
は、五六歳から六三歳までのときでした。頭も体も、すこぶる快調で、気持ちよく仕事が
できました」と。


 実のところ、私は、自分でも実感できるほど、体の調子がよい。昨日も講演先の小学校
で、階段を三段とびにのぼっていたら、あとから追いかけてきた校長が、「足がじょうぶで
すね」とほめてくれた。「はあ、自転車で鍛えていますから」と答えたが、そのおかげとい
うか、健康には、これといって、不安なところはない。ダイエットしたおかげで、どこか
頭の中もスッキリしている。


 私は年配の人が、私に向かって、「若くていいですね」と言うときは、いつもそれを疑っ
てしまう。「本当にそうかな?」「なぐさめてくれているのかな?」「お世辞かな?」と。五
五歳になった私の印象としては、「先が読めない」という不安感のほうが強い。「これから
はガンになる確率がぐんと高くなる」とか、「これからはすべてが先細りになる」とか、そ
んなことばかり考える。よくワイフは、「あなたは、見かけは若々しいけど、中身は老人ぽ
い」と言うが、本当にその通りだと思う。


 ルソー(フランスの思想家、一七一二~七八)が、『エミール』の中でこう疑問を投げか
けている。多分、これを書いたとき、彼も今の私と同じ、五〇歳代だったのだろう。


 「一〇歳では菓子に、二〇歳では恋人に、三〇歳では快楽に、四〇歳では野心に、五〇
歳では貪欲に動かされる。人間はいつになったら、英知のみを追うようになるだろうか」
と。


 あのルソーですら、「貪欲に動かされる」と。いわんや私をや……と、居なおるわけでは
ないが、五五歳というのは、ちょうど、「そうであってはいけない」「しかしそういう自分
も捨てきれない」と、そのハザマで悩む年齢かもしれない。まだ野心の燃えカスのような
ものも、心のどこかに残っている?


 T氏はさかんに、「まだまだ、これからですよ」と言ってくれたが、「これから先、何が
できるのだろうか」という思いも、また強い。またそういう思いとも戦わねばならない。「貪
欲さ」がよくないとはわかっているが、しかしそれがなくなったら、生活の基盤そのもの
が、あやうくなる。働いて、仕事をして、稼ぎを得て、それで生きていかねばならない。
私のばあい、悠々自適(ゆうゆうじてき)の年金生活というわけにはいかない。いわんや
「英知のみを追う」などというのは、夢のまた夢。


 そうそうT氏は別れぎわ、こうも言った。「林さんは、いいねえ。道楽が多くて……。私
なんぞ、人間関係のウズの中で、自分を支えるだけで精一杯でした」と。しかしこれは、
T氏一流の、私への「なぐさめ」と理解した。


Hiroshi Hayashi+++++++Nov. 2011++++++はやし浩司・林浩司

●アンビリーバブル


 世の中には、信じがたい人たちというのは、たしかにいる。ふつうの常識では、考えら
れない人たちである。実は、先日も、こんなことがあった。


 その男性は、現在、八五歳。子どもはいない。大手の自動車会社の研究所で、研究員を
長年したあと、筑波(つくば)の国立研究所で、一〇年ほど研究員をした。そのあと、し
ばらく私立大学の教壇に立ったあと、今は、退職し、年金生活を送っている。が、そのあ
といろいろないきさつがあって、このH市に住んでいる。


 ここまではよくある話だが、実は、その男性は、がんを患っている。もう余命はそれほ
ど、ない。手術も考えたが、年齢が年齢だからという理由で、抗がん剤だけで治療してい
る。が、私が「信じがたい」というのは、そのことではない。その男性は、莫大な資産家
でもある。市内だけでも、大きなビルを、三か所もっている。それに大地主。市の中心部
と郊外に、一〇〇〇坪単位の土地をいくつかもっている。ハンパな金持ちではない。


 が、だ。その男性、今、別の男性(五二歳)と、わずか一〇坪の土地について、民事調
停をしている。本来なら、話しあいでどうにかなった問題だが、関係が、こじれてそうな
った。先日も、その土地をはさんで、二人が道路で、大声で怒鳴りあう喧嘩(けんか)を
していたという。


 私はこの話を聞いて、「へえエ~」と言ったきり、言葉が出なかった。


 もし私ががんを宣告されたら、それだけで意気消沈してしまうだろう。何もできなくな
るだろう。しかも八五歳といえば、私より三〇歳も年上ということになる。そういう人生
の大先輩が、その上、大金持ちが、わずか一〇坪の土地のことで、言い争っている? 人
間の「生」への執着心というか、はっきり言えば、愚かさというか、それが私には信じら
れなかった。あるいは何がそうまで、その男性を、駆り立てるのか?


 ここまで考えて、私はしばらく、あちこちの本を読みなおしてみた。で、最初に目につ
いたのが、ミルトン(一六〇八~七四、イギリスの詩人)の『わめく女』。その中でミルト
ンは、こう書いている。「老人が落ち込む、その病気は、貪欲である」と。これだけを根拠
にするわけではないが、どうも年をとればとるほど、人間的な円熟味がましてくるという
のは、ウソのようだ。中には、退化する人もいる? そういえば、ギリシャのソフォクレ
スも、「老人は再び子ども」という有名な言葉を残している。


 私はこの男性の話を聞いたとき、「老年とは何か」、それを考えてしまった。あるいはこ
ういう人たちは、その年齢になっても、まだ人生は永遠につづくとでも、思っているのだ
ろうか。仮にあの世があるとしても、あの世まで、財産をもっていくことができるとでも
思っているのだろうか。さらに「死」を目前にして、我欲にとりつかれることの虚しさを
覚えないのだろうか。さらにあるいは、老年には老年の、私たちが知る由もない、特別の
心理状態があるのだろうか。


 これは近所の男性(八〇歳)のことだが、こんな話もある。ある夜、隣の家の人に、そ
の男性が「助けにきてほしい」と電話をしてきたという。そこでその隣の人が、その男性
の家にかけつけてみると、その男性は玄関先で倒れていたという。隣の人がそれを見て、「救
急車を呼びましょうか?」と声をかけると、その男性は、こう言ったという。「恥ずかしい
から、それだけはやめてくれ」と。


 この話を聞いたときも、私はわが耳を疑った。その男性は、だれに対して、何を恥ずか
しいと思ったのだろうか。


 さてさて、人はだれしも、老いる。それは避けることのできない未来である。末路と言
ってもよい。そういうとき、どういう心理状態になり、どういう人生観をもつか。私は私
なりに、その準備というわけでもないが、それを知りたいと思っている。で、こういう人
たちが一つの手がかりになるはずのだが、しかし、残念ながら、私には、まったく理解で
きない。冒頭に書いたように、どれだけ、また何回、頭の中で反芻(はんすう)しても、
理解できない。信じられない。つまりアンビリーバブルな話ということになる。この問題
は、ひょっとしたら、私自身がもう少し年をとらねば、わからない問題なのかもしれない。


 ただここで言えることは、老人のなり方をまちがえると、かえってヘンな人間になって
しまうということ。偏屈でがんこになるのならまだしも、邪悪な人間になることもある。
そういう意味では、人間は、死ぬまで、前向きに生きなければならない。うしろを向いた
ときから、その人間は、退化する。釈迦も、「精進(しょうじん)」という言葉を使って、
それを説明した。「死ぬまで精進せよ(前向きに生きろ)」と。
(02-12-4)


●老人が、人生の大家であるというのは、まったくの幻想である。何と醜い老人が多いこ
とか。またこの世の中に、のさばっていることか。……と書いて、私たちはそうであって
はいけない。またそういう老人になってはいけない。一方的に老人を礼さんする人という
のは、その人自身がすでに、その老人の仲間になっているか、前向きに生きるのをやめた
ということを意味する。本当にすばらしい老人というのは、自らが醜いことを知っている
老人である。安易な老人美化論には、注意しよう!


●私の観察では、人間は、早い人で、もう二〇歳くらいから進歩することをやめてしまう。
あるいは三〇歳くらいから、それまでの人生を繰り返すようになる。毎年、毎月、毎日、
同じことを繰り返すことで、そのときどきを、無難に生きようとする。あるいは考えるこ
とをやめてしまう。が、なおさらに、タチが悪いことに、自らを退化させてしまう人もい
る。そういう意味で、人間にとっては、「停滞」は、「退化」を意味する。それはちょうど、
川の流れのようなものではないか。よどんだ水は、腐る。


●自らを輝かせて生きるためには、いつも前向きに生きていかねばならない。恩師は、一
つの方法として、「新しい情報をいつも手に入れることだ」と教えてくれた。また別の恩師
は、「いつもトップクラスの人とつきあうことだ。新しい世界にチャレンジすれば、自然と、
自分が磨かれる」と教えてくれた。方法はいろいろある。山に登るにも、道は必ずしも一
つではない。


●そこで考えてみよう。あなたのまわりには、老人と呼ばれる人がたくさんいる。あなた
自身も、すでにその老人の仲間になっているかもしれない。そういう老人や、あなたは、
今、輝いているか、と。実は、これは私自身の問題でもある。私は今、満五五歳。このと
ころとみに気力が衰えてきたのがわかる。何かわずらわしいことが起きると、それが若い
ころの何倍も気になるようになった。チャレンジ精神も薄れてきたように思う。できるな
らひとり、のんびりと暮らしたいと思うことも多い。つまり私自身、輝きをなくしつつあ
るように思う。


●そこで、考える。どうすればいいのか、と。逃げるわけではないが、この問題は、これ
から先、私にとっては、大きな問題になるような気がする。今は、ここまでしか書けない
が、この問題は、近々、決着をつけなければならないと思っている。


Hiroshi Hayashi+++++++Nov. 2011++++++はやし浩司・林浩司

●ルソーとミルトン

 ルソーもミルトンも、同じ言葉を使っている。
「貪欲」という言葉である。

(1)まず、ルソー。

 ルソー(フランスの思想家、一七一二~七八)が、『エミール』の中でこう疑問を投げか
けている。
多分、これを書いたとき、五〇歳代だったのだろう。

 「一〇歳では菓子に、二〇歳では恋人に、三〇歳では快楽に、四〇歳では野心に、五〇
歳では貪欲に動かされる。
人間はいつになったら、英知のみを追うようになるだろうか」と。

(2)ミルトン(一六〇八~七四、イギリスの詩人)は、『わめく女』の中で、こう書いて
いる。
「老人が落ち込む、その病気は、貪欲である」と。

 ただしミルトンは、敬虔なキリスト教徒の立場で、「貪欲」という言葉を使っている。
そのことは、ここにあげる「On Time」という詩を読んでもわかる。

 ともあれ年を取れば取るほど、貪欲になっていく老人は多い。
少なくとも、加齢とともに、人は賢くなっていくわけではない。
多くは世俗に巻き込まれ、自分を見失い、強欲になっていく。
それを避けるために、私たちは何をすべきか。
何を準備すべきか。
結局は『精進』という言葉に行き着く。

 それがそのまま、このエッセーの結論ということになる。

●補記(John Miltonの詩より・「On Time」)

ON TIME(予定どおりに)

FLY, envious Time, till thou run out thy race;ねたましい時よ、燃え尽きるまで過ぎ

Call on the lazy leaden-stepping hours,怠惰で、鉛にように重い時を訪ねよ
Whose speed is but the heavy plummet's pace;その速さは、恐ろしく遅い
And glut thyself with what thy womb devours,子宮がむさぼるもので、汝の食欲を満た

Which is no more then what is false and vain,それは失敗でも無駄でもない
And merely mortal dross;ただの死すべき無価値なもの
So little is our loss,失うものは、ほとんどない
So little is thy gain.得るものも、ほとんどない。
For when, as each thing bad thou hast entomb'dなぜなら悪しきものはすべて墓に葬ら

And last of all thy greedy self consumed,汝の貪欲さは、すべて消耗されるから
Then long Eternity shall greet our bliss,そのとき長い永遠が、祝福で私たちを迎える
With an individual kiss;それぞれの接吻で
And Joy shall overtake us, as a flood,喜びが洪水のように、私たちを包み、
When every thing that is sincerely good,誠実でよきものすべてが
And perfectly divine,完ぺきに神々しいものとなる
With truth, and peace, and love, shall ever shine,真実と平和と愛が、永遠に輝く
About the supreme throne神の最高位の王位の上に
Of Him, to whose happy-making sight, alone,そこに見えるのは、幸福な光景のみ
When once our heavenly-guided soul shall climb,ひとたび魂が天に導かれ昇るなら
Then all this earthly grossness quit,地上の世俗は、消え失せる
Attired with stars, we shall for ever sit,星々で飾られ、私たちは永遠にそこに座る
Triumphing over Death, and Chance, and thee, O Time死と運命と汝を乗り越えて。

(注:訳は私が直感的につけたので、かなり不正確。
ミルトンの基本的なものの考え方を知るにはよい。
ミルトンは、こう言っている。

『貪欲にやりたいことを、とことんやってみろ。
自分を燃やし尽くしてみろ。
それは失敗でも、無駄でもない。
やがてそれが無価値であったことがわかれば、
あなたも神の座に座ることができる』と。)

(はやし浩司 教育 林 浩司 林浩司 Hiroshi Hayashi 幼児教育 教育評論 幼児教
育評論 はやし浩司 「救急車を呼ぶな」 老人の見栄と体裁 貪欲 人格の暴露 人間
性 邪悪な人間性)


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