2012年5月16日水曜日

At Grand Hotel at Yaidu Shizuoka, Japan

【焼津・グランドホテル】 はやし浩司 2012-05-15 Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司 今日は沼津市で講演。 そのあと、帰りの途中で、焼津のグランドホテルに一泊。 今は、その沼津市に向かう途中。 新幹線の中。 午前7時31分発。 三島で乗り換え、沼津へは、午前8時ごろ着く予定。 が、旅行記を書くのは、あと。 今は、講演の原稿に目を通す。 その中のひとつ。  引きこもりも含めて、うつ病(Melancholia)の原因は、その子どもの乳幼児期にあると考える学者がいる。 たとえば九州大学の吉田敬子氏は、母子の間の基本的信頼関係の構築に失敗すると、子どもは、『母親から保護される価値のない、自信のない自己像』(九州大学・吉田敬子・母子保健情報54・06年11月)を形成すると説く。 さらに、心の病気、たとえば慢性的な抑うつ感、強迫性障害、不安障害の(種)になることもあるという。 それが成人してから、うつ病につながっていく、と  うつ病の原因が、すべて、これで説明できるというわけではない。 そうでない人も多いだろう。 が、それくらい人にとって、乳幼児期というのは重要。 この時期に子どもの心は形成される。 そういう意味では、吉田敬子氏の意見には、納得できる。 Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司 ●午後  現在、時刻は、午後1時58分。 焼津へ向かう電車の中。 地理的には、つぎのようになっている。  (浜松)=(焼津)=(静岡)=(沼津)=(三島)  つまり沼津からの帰り道に、焼津に寄る。 前回、焼津では、焼津アンビア松風閣に泊まった。 星は5つの、★★★★★。 あのホテルで、文句をつける人はいない。  が、今回は、その隣にある焼津グランドホテル。 そこに一泊。 料金はほとんど同じか、やや割安といった感じ。 さて、どうなることやら。 このところ私たちの目は、旅行評論家程度に、肥えている。 あまりひどいようなら、実名は伏せる。 が、それはあとでの作業。 今は、こうして実名を出しておく。 Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司 ●ボッタクリ・レストラン  沼津で、昼食をとった。 駅前近くにある、Xというレストラン。 味は、最低。 最悪。 料理という料理ではない。 素人が、見よう見まねで作った我流料理。 食材をそれらしく並べただけの、駄作料理。 が、値段だけは、一人前。 ワイフのが、1300円。 私のが、900円。 ともに材料費は、200円もかかっていないのでは? 家庭で作れば、150円程度。 まさにボッタクリ・レストラン。 ●睡魔    電車に乗ってから、睡魔が襲ってきた。 今が、そう。 眠い。  その目をこすりながら、パソコンのキーボードを叩く。 うっすらと意識が遠ざかる。 ぼんやりと窓の外をながめる。  小雨。 肌寒い風。 低く、近くの山々を包む、霧。  車掌が「興津(おきつ)、興津、つぎは興津です」と案内した。 静岡までは10分と少し。 眠るには、時間が足りない。 (ワイフは、眠ったら……と言っているが。) ●電車の中  目の前の女性が、笑っている。 携帯端末を見ながら、笑っている。 ……というか、うれしそう。 純朴そうな女性。 飾り気もなく、都会ズレもしていない。 足で、雨傘をしっかりとはさんでいる。  ……今日の講演の中で、映画『タイタニック』を酷評してやった。 ハハハ。 若い母親たちが多かったから、そうした。 いわく、「ジャックにしても、ローズにしても、少しは親のことを考えたことがあるのか!」と。  みなさんは、あのあとの話を知っているか? タイタニック号が沈没したあとの話。  そのあとジャックの両親は、ジャックを気が狂ったように探したという。 アイルランド中を探した。 「船でアメリカへ行くかもしれない」とジャックが話していたのを聞いた仲間がいた。 そこでそのあとジャックの両親は、船という船の乗船名簿を、すべて調べたという。 が、どこにも、「ジャック・ドーソン」という名前はなかった。 ジャックの両親は、一時は、どこかの国に拉致されたかもしれないとか、そんなことまで考えたらしい。  一方、ローズの母親は、タイタニックが沈没したあと、現場へ数回も足を運んだ。 そのたびに、花を海にたむけ、涙を流したという。  ……というのは、私の作り話だが、逆に考えてみればよい。 あなたの息子や娘が、あのジャックやローズのような運命を選んだとしたら、あなたはどうするだろうか。 「ああ、どこかで死んだかもね」と、笑ってすますだろうか。 それとも行方を捜しつづけるだろうか。 つまりあの映画には、親の視点が欠けている。 親の苦しみや悲しみが、抜け落ちている。  若い人たちは、あの映画の中に、愛の理想形を見るかもしれない。 しかしそんなものは、愛でも、何でもない。 ただの欲望。  ……というのは、書き過ぎ。 それはよくわかっている。 しかしあの映画を、私のような目で批判する人は少ない。 30代、40代までの人には、すばらしい映画かもしれない。 (たしかにすばらしい映画だが……。) しかし60代、70代の人には、そうではない。 ただの恋愛至上主義映画。 アメリカ文化に毒された、ただの恋愛至上主義映画。 それをあえてみなさんに、伝えたかった。 ●グランドホテル  グランドホテルには、午後3時ごろ着いた。 部屋は6階のxx号室。 最上階。 仲居さんが、先ほど、こう言った。 「明日の朝は、天気もいいそうです」と。  天気がよければ、駿河湾をはさんで、手前左側に、富士山が見えるはず。 部屋も広く、18畳。 和風の禁煙室。 先ほどB1の大浴場から戻ったところ。 眠気は取れたが、頭のほうは、ぼんやりしている。 雑誌をパラパラとめくる。 グランドホテル……前回、隣の松風閣に泊まったこともあるので、よけいにそう思うのかもしれないが、玄関は狭い。 全体に古い。 バスタブなどは、ところどころ割れ、補修がしてあった。 が、それをのぞけば、部屋も広く、眺望もよい。 ●脳神経の周波数  以前、こう書いた。 脳の中心部からは、パソコンように、電気信号が発せられているのではないか、と。 それがあらゆる生命の原動力になっている。 で、その電気信号には、周波数がある。 脳の神経細胞は、数Hzから数10Hzほどの電気信号を発しているというから、その程度ではないか。 もちろんコンピューターのようには、速くない。 最近のコンピューターでは、クロック数が、3・2GHzとか、3・4GHzとかいうのまである。 単純に計算すれば、コンピューターのもつ能力は、人間のそれの、10の9乗、つまり10億倍ということになる。 人間が1問、計算する間に、10億問、解くことができる。  が、だからといって、コンピューターのほうがすぐれているとは思わない。 反対に、人間のほうが劣っているとも思わない。 それよりも重要なのは、電気信号の伝達速度。 人間のばあいは、電気信号と化学反応を併用した方法で、信号を伝達している。 が、これには、限界がある。 つまりどうしても遅くなる。  だから一般論してよく言われるのは、脳が大きくなればなるほど、その分だけ、頭の回転も鈍くなるということ。 当然、動作も鈍くなる。 人間と象の動きを比べてみれば、わかる。 あるいは、ハエと人間でもよい。 (注※……脳内の電気信号と活動電位(電気パルス))  脳内の電気信号をミクロな視点で見ると、具体的には一つ一つの細胞による活動電位などと呼ばれる電気パルスである。 (極小の時間だけ電圧波形が生じるパルス波形の信号。)(以上、ウィキペディア百科事典) (注※……脳波) 『この一つ一つの細胞の電気パルスを個別にいくら調べても具体的に価値のある情報(音声情報、視界情報など)が含まれていることはない。 実際に、脳波を測定することにより思考に応じて何かを動かすという装置はあっても細胞の電気パルス信号を測定することにより、思考に応じて何かをするという装置はない。  ここで、脳波とは、脳波 = 各種細胞で生じる電気パルス信号の総和で、数Hz~数十Hz程度の電気信号をいう。(電気パルスではない) 各細胞で生じた電気パルス信号を足し合わせた総和である脳波が、思考に応じて変化することがわかっている』(以上:思考盗聴の技術サイト)と。  しかしつぎのようなことは、すでにわかっている。 たとえば外界の刺激に応じて、脳内の反応部分がちがうということ。 たとえば母親が赤ん坊の泣き声を聞いたりすると、ちょうど麻薬を服用したときと同じ分野が反応するという。 つまり麻薬を服用したときと同じように、甘い陶酔感に襲われるという。  同じように、美しい音楽を聞いたり、すばらしい絵画を見たときも、それぞれ、ある特定の分野が反応するという。 (注※……母親の反応) 2008年7月13日は、つぎのように伝える。 『はじめて赤ちゃんを産んだ母親が、わが子の笑顔を見たときには、麻薬を服用した際と似たような脳の領域が活発に働き、自然に高揚した状態になるとの実験結果を、アメリカ・ベイラー医科大の研究チームが、13日までにアメリカ小児科学会誌の電子版に発表した』(以上、時事通信)と。  だんだん面白くなってきた。 が、こんな話をつづけて書くと、読者の方の負担になる。 少し話題をそらす。 ●橋下市長と入れ墨  橋下市長が、こう宣言した。 入れ墨のある職員に対して、「分限(免職)もあり得る」※と。  だったら……というわけでもないが、茶髪もだめ、ついでにプチ整形もだめということになるのか。 拡大解釈をすれば、そうなる。 というか、いくらでも、拡大解釈できる。  なぜ入れ墨がだめか……ということになれば、イメージが悪い。 この日本では、入れ墨イコール、暴力団関係者というイメージが焼き付いている。 しかし入れ墨のある人イコール、暴力団関係者ということではない。 反対に、暴力団関係者がみな、入れ墨をしているわけでもない。  たとえば私の知人は、元NTTの職員。 退職後の現在は、高利貸し金融の取り立て業をしている。 人相が悪いのが、幸い(?)した。 「調査に来ました」とか言って、不良債務者を脅している。  なおこれに対して、橋下市長は、「私を批判したら、100倍にして返してやる」と息巻いている(報道)。 橋下市長が、少しずつだが、本性を現し始めた。 私は以前、「橋下市長は、ヒットラーか、ジャンヌダルクか」という原稿を書いた。 (私が「ヒットラー」という言葉を最初に使った。 そのあと自民党の幹部が、その言葉を使い始めた。) で、現在は、さらに警戒心を強くもつようになった。 ものの言い方が、どこか独裁者的? ●合理性  外国では、入れ墨は、ファッション。 飛行機のパイロットはもちろん、スチュワーデスでもしている。 だからといって、入れ墨を奨励しているわけではない。 が、私には、入れ墨と、プチ整形の境目が、よくわからない。 あるいはどこがどう違うというのか。  入れ墨は、視覚的に、色として認識できる。 プチ整形は、視覚的に、形として認識できる。 では、アザはどうなのか。 人相の悪い人はどうなのか。 橋下市長の主張には、合理性がない。 ないばかりか、こう思う。 「市長なら、もっとほかに、やるべきことがあるだろう!」と。 入れ墨にしても、入れ墨がどうのこうのというくらいなら、暴力団と、裏でつながっている人を調べたらどうか。 もっとも、そんなことを調べたら、ほとんどの公共事業はストップしてしまうだろうが……。  ……私は、それ以上に、橋下市長の政治姿勢を心配する。 ひとつのことにこだわり始めると、とことんこだわる。 そのこだわりかたが、ふつうではない。 どこか偏執的。 それに今回の発言は、入れ墨を象徴とする暴力団の逆鱗に触れるのでは? 入れ墨問題に介入するということは、暴力団を敵に回すことになる。 (けっして、暴力団を擁護しているのではない。誤解のないように!) 暴力を仕事とするから、暴力団という。  というか、橋下市長は、じゅうぶん、注意したほうがよい。 勇気ある発言というよりは、無鉄砲(?)。 この日本に、言論の自由があるというのは、幻想にすぎない。 どうでもよい、くだらないことについては、書いたり言ったりする自由はある。 が、一線を越えると、とたんに命すらあぶなくなる。  実は、私にも経験がある。 ある本を書いたとき、私は3人の男たちに、付け回された。 そういう意味でも、橋下市長は、発言に、もう少し慎重になったほうがよい。 (けっして、暴力団を擁護しているのではない。誤解のないように。)   (注※……入れ墨) 『大阪市の橋下徹市長(42)が14日、入れ墨をしている市職員に対し、「分限(免職)もあり得る」と発言したことで、橋下氏と入れ墨職員のバトルはいよいよ“実戦”の段階に入った。 14日に回答期限を迎えた市の全庁調査では、入れ墨をしている職員が次々に見つかっており、「入れ墨職員は100人を超すかも」と市幹部は頭を抱えている。 ただ、橋下氏が免職という最終手段を行使できるかどうかについては疑問の声もある』(Yahoo・News・2012・05・15より)と。 ●脳下垂体  脳下垂体から、パルス信号のようなものが発せられている。 それはすでに脳科学の世界では、証明された事実と考えてよい。 で、そのパルス信号には、強弱もあり、周期性もある。 興味のある人は、以下の記述をゆっくりと読んでみたらよい。 漢字と横文字を見ただけで、拒絶反応を起こす人は、つぎの部分を、とばしたらよい。 (注+参考資料……脳下垂体の働き) 『GnRHの姿は1977年ノーベル賞受賞者のロジェ・ギルマンとアンドリュー・ウィクター・シャリーにより次の様に明らかにされた。 ●神経ホルモンとしてのGnRH GnRHは特定の神経細胞で産生され、その神経末端から放出される神経ホルモンと考えられている。 視床下部のGnRHの産生の主要エリアは視索前野で、そこに殆どのGnRH分泌ニューロンが含まれている。 GnRHは正中隆起の高さで門脈血流へ分泌され、性腺刺激ホルモン産生細胞の膜上にある受容体を活性化させる。 GnRHはタンパク質分解によって数分の内に分解される。 ●FSHとLHのコントロール 下垂体ではGnRHはFSHとLHの合成と分泌を刺激し、その過程はGnRHパルスの頻度と強さ、それからアンドロゲンとエストロゲンのフィードバックである。 GnRH分泌には性差が存在し、男性ではGnRHは一定の頻度で分泌されるのに対し、女性では月経周期によってその頻度が異なり、排卵前にGnRHが急激に高まる。 GnRHの拍動性は全ての脊椎動物において見られ、正しい生殖機能を確実にするのに不可欠である。 従って雌ではホルモンであるGnRHが単独で卵胞成長、排卵、黄体の保持という複合した過程、そして雄では精子形成をコントロールする』。 (以上:ウィキペディア百科事典より)と。 ●「性的エネルギー」(Ribido) その点、心理学のほうの説明は、わかりやすい。 以前書いた原稿の一部を、ここに転載する。 Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司   「性的エネルギー」という言葉を考えたフロイトは、すばらしい。 後にフロイトの弟子のユングは、それを「生的エネルギー」という言葉に置き換える。 どちらであるにせよ、それが生きる原点になっている。  で、最近の脳科学によれば、そうした原点的な信号が、脳下垂体の下部あたりから発せられていることがわかってきた。 コンピューターのパルス信号のようなものではないかと、私は勝手に想像している。 その信号が、たとえばドーパミン(欲望と快楽を司るホルモン)の分泌を促したりする。 それが生きる原動力となって働く。 さらに今では、私たちが「感情」と称しているものにしても、ホルモン説、つまり脳内ホルモンによって引き起こされるという説は、常識である。 つまり脳内ホルモンを軽く考えてはいけない。  この脳内ホルモンこそが、人間を裏から操る。 ●「私」  少し前、小学生が私にこう聞いた。 「先生は、エロ本を見たことがあるか」と。 私は鼻先で、「フン」と笑って、その場を去った。 が、それが青春。 この時期の子どもに、「君は性欲の奴隷になっているよ」と諭しても意味はない。 理解することさえ、不可能。 ぜったいに不可能。 その子どもは子どもなりに、それが「私」と思い込んでいる。 思い込みながら、つぎつぎと行動を発展させていく。  恋愛もあるだろう。 結婚もあるだろう。 育児もあるだろう。 その過程で名誉を求めたり、肩書きを求めたりする。 欲望には際限がない。 富や権力を求め、それなりに苦労もするだろう。 そして最後に、こう思う。 「どうだい、私はすばらしいだろう!」と。 ●メタ認知能力  だからといって、「性的エネルギー」にせよ、「生的エネルギー」を否定してはいけない。 それがあるからこそ、人生も、これまた楽しい。 男が女を求め、女が男を求める。 そこから無数のドラマが生まれる。 そのドラマが、楽しい。  あえて言うなら、できればその間に一線を引く。 (タマネギの皮の私)と、(タマネギの芯の私)の間に、一線を引く。 一線を引き、自分を客観的に見る。 これを「メタ認知能力」と言ってよいかどうかは知らない。 しかしこれこそが、まさに「高次(メタ)な認知能力」ということになる。  大切なことは、性欲の奴隷であるにせよ、その奴隷のまま性欲に溺れてはいけないということ。 常に自分を客観的に、醒(さ)めた目で見る。 そういう自分を見失ってはいけない。  私は鼻で「フン」と笑ったとき、そう考えた。 ●「精神のメルトダウン」  また少し前、「精神のメルトダウン」という言葉を知った。 外国の社会学者が、何かの評論の中で使っていた。 「日本人は、精神的にもメルトダウンしている」と。  ナルホド!  私に欠けるのは、こうした自由な発想。 造語能力。 実にうまい。 的確。 精神的メルトダウン!  たしかに日本人は、精神的にメルトダウンしてしまっている。 日本語的に表現すれば、「もの言わぬ従順な民」に、なりさがってしまっている。  自分で考えない。 自分で行動しない。 自分で責任を取らない。  その前に、そこにある不正、腐敗、矛盾、不公平、不平等に対しても、声をあげようともしない。 「だれかが何とかしてくれるだろう」 「何とかなるだろう」と。  そしてその返す刀で、「自分だけ、そこそこによければ、それでいい」と、そこにある問題から逃げてしまう。 まさに精神のメルトダウン。 実にうまい表現。 昨日、その言葉に感心した。 Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司 ●グランドホテルの夕食    話を戻す。  今夜の料理は、和懐石。 「懐石」というのは、もともとは、「簡素な料理」を意味する。 しかし今では、超豪華。 つぎつぎと料理が並んだ。 おいしかった。 大満足に近い、満足。  で、結論。 経済的に余裕があるなら、新館のほうで。 (あとで聞いたら、「新館というのは、とくにない」とのこと。 そのつど改装工事はしているとのこと。) 私たちは旧館のほうに、宿泊。 追加料理は、いろいろできる。 ●弱音(よわね)  少し弱音(よわね)を吐く……。 今日も講演をした。 が、終わったとき、ふとこう感じた。 「ぼくの時代も、終わったな」と。 「いろいろやってみたが、ここまで」とも。 このところ(繰り返し感)が強くなった。 自分のしていることが積み重なっていかない。 話を聞きに来てくれた人にしても、数か月もすれば、私のことなど、すっかり忘れるだろう。 名前さえ、記憶に残らない。 そのころ私はまた別のところで話をする。 あとは、その繰り返し。  が、その私も、もうすぐ65歳。 この年齢まで、無事、こうして生きてこられたことを感謝する。 同時に、「もうそろそろ潮時かな?」とも。  とは言っても、昨日、高校時代の友人のMY君と、こう約束しあった。 「75歳まで、現役でがんばろう」と。  その気になれば、不可能ではない。 体力を維持し、気力をみがく。 日々に精進あるのみ。 75歳までがんばれるかどうかは、あくまでもその結果。  しかしあの田丸謙二先生は、76歳まで、東京理科大学(山口)の理学部長を勤めた。 それを思えば、75歳といっても、けっして不可能な年齢ではない。 私だって、がんばれるはず。  しかしときどき、自信をなくす。 疲れているせいもある。 こういうときは、気力も、弱くなる。  もう少ししたら、もう一度、温泉につかってくる。 そのあとは、そのまま就寝。 自分で自分に、「ご苦労さま」。 ●5月16日  まばゆいばかりの朝日。 窓から飛び込んできた、その朝日で、目が覚めた。  眼下は駿河湾。 左端に崖が見え、その向こうに、富士山が見えた。 日の出直前。 さっそくビデオカメラを回す。  が、こういうときというのは、ワイフは、無頓着。 朝日を背に、向こう側を向いて眠っている。 私は、こうしてパソコンを立ち上げ、ニュースに目を通す。 真っ先に読んだのが、ギリシャ関連のニュース。 今朝のニュースによれば、ギリシャのEU離脱は、どうやら不可避の状況になってきた。 が、「?」。 明日になると、それがひっくり返る可能性もある。 ちょっとしたきかっけで、黒石が、ゾロゾロと白石に変わる。 まさにオセロゲーム。  どうであるにせよ、ギリシャの人たちには、きびしい時代が待っている。 EUに残るも地獄。 EUから離脱するのも地獄。  で、昨日の日本の株価は、73円安の8900円。 EUの株価は、23ユーロ安の、2178ユーロ。 つづくアメリカは、63ドル安の、12632ドル(午前5:51現在)。 経済ニュースのどこかに、「泥沼化」(Bloomberg)という文字が見えた。 ●ぼたんインコ  昨日もそうだった。 今朝もそう。 早く家に帰って、ぼたんインコの、ピッピに会いたい。 今は、息子がめんどうをみてくれているが、息子も忙しい。 おとなしく巣の中で、眠っていてくれればよいのだが……。  本当に人間によく慣れた鳥で、手の中では、安心しきって眠っている。 ときおり、顔を近づけると、私の顔を、愛くるしそうになめてくれる。 あんな小さな鳥だが、懸命に愛情表現を繰り返す。 そのいじらしさ。 それが、心を癒す。 ●証券会社  世界のことは知らないが、この日本では、証券会社は、ブラック企業に含めてよいのではないか(失礼!)。 今回も、株価が暴落する直前は、こう言っていた。 「日本の株価は出遅れ感が強い。夏にかけて1万3000円から1万5000円をねらう展開になる」(N証券アナリスト)と。  が、その直後からの大暴落。 「直後」というのは、その「数日後」という意味。 証券会社の言葉を信じ、大損をした人も多いはず。 最後は一般庶民(素人投資家)にババをつかませ、自分たちは逃げる。 そんな構図が、この日本では、定着してしまった。  証券会社に責任があるというよりは、制度、さらには意識そのものに原因がある。 アメリカでは、どんな企業でも、投資家の所有物。 投資家の利益を第一に考える。 それを忘れたら、証券会社は、成り立たない。 が、この日本では、企業は銀行の所有物。 「投資家の利益保護」を第一に考えている企業など、どこにもない。 言うなれば、バクチ。 そのバクチの大元締めが、証券会社。  が、こうした現状は、日本の経済にとっても、たいへん不幸なことである。 こんなことを繰り返していたら、日本人は、ますます証券会社から離れていく。 経済活動は、停滞する。 その結果が今。 いくら日銀が札をばらまいても、最終的にはみな、タンス預金へと化けていく。  ……たとえばアメリカでは、証券会社が顧客に大きな損失を与えたばあいは、即、捜査の対象になる。 今朝も、Bloombergは、つぎのように伝える。 『…… 5月15日(ブルームバーグ): 米司法省と米連邦捜査局(FBI)は、JPモルガン・チェースで発生した20億ドルのトレーディング損失について刑事捜査に着手した。事情に詳しい関係者が明らかにした』と。  が、この日本では、そういう理由で、関係者が投獄されたという話は、聞いたことがない。 あの日債銀事件でも、トップの責任者は、一応逮捕されたが、結局は無罪。 無罪放免。 2兆円という国税をドブに捨てさせながら、無罪放免。 隣の家から、1000円盗んでも、窃盗罪。 4兆円盗んでも、無罪※。 罪名すらつかない。 4兆円という額がどういう額か、ここに数字で書いておく。  4兆円=4000000000000円。 100万円の札束を1センチの厚さにすると、4兆円は、40キロの高さになる。 (40キロだぞ!) そんな金を、税金から盗んでも、窃盗罪にもならない。  私の知人は、その日債銀にいた。 そのあと、子会社のSリースに天下り。 現在の今も、満額の退職金と企業年金を手にし、悠々自適の老後生活を楽しんでいる。 (注※)ウィキペディア百科事典より 『……この売却にあたり、金融再生委員会と預金保険機構は、日本債券信用銀行の債務超過を穴埋めするため、3兆2,428億円の公的資金投入を行った。 この結果、1998年に投入した600億円を含め、実質的国民負担額は、金融機関の負担する預金保険料1,714億円を差し引いた3兆1,314億円に上った(公的資金投入額のうち、一時国有化月時点の不良債権処理費用は3兆1,497億円。 国有化後に発生した損失は931億円とされる)。但し、この数字には瑕疵担保条項によって、国による不良債権買い上げによって生じる損失は、考慮されていない』 『ちなみに、“日債銀破綻のA級戦犯”と名指しされるも、時効により刑事立件を逃れた頴川史郎の役員退任時の退職金は約6億円といわれる。 日債銀は損害賠償とは別に、頴川史郎元会長ら旧経営陣16人に対して総額19億円の退職金の自主的返還も要請した。 全員が返還に合意したものの、これまでの返還額は計約2億5000万円にとどまっている。こうしたなか、2007年3月7日、頴川は死去、享年84』(以上、ウィキペディア百科事典より)と。  アメリカだったら、無期懲役。 都市銀行も含め、日本の金融界はそういう世界と知った上で、つきあえばよい。 あとは、自己責任!  ……そう言えば、この日本では、「株で損をした」という話を聞いても、だれも同情しない。 「馬鹿だ」と笑われて、おしまい。 だから損をした人は、黙る。 が、証券会社にとっては、これほど都合のよい話はない。 一説によると、(経済誌などによると)、一般投資家(素人)の95%が損をしているという(2010年現在)。 FX取り引きともなると、今ではロボットが、数百分の1秒単位で取り引きを繰り返している。 (数千分の1秒単位という説もある。) 一般投資家(素人)に勝ち目はない。 ●帰宅 さて、今日も始まった。 ワイフも、床から起きてきた。 なお、今週は、オーストラリアの友人がやってくる。 10月には、別の友人がやってくる。  「7時には帰り支度をしよう」と声をかけると、「うん」と。  窓からの日差しがますます強くなってきた。 窓は海に向かって、全面に開いている。  ……たった今、ワイフは、レースのカーテンを閉めながら、こう言った。 「あまり変わらないね」と。 朝日のまぶしさが、あまり変わらないという意味で、そう言った。 ●電車の中で  浜松まで45分。 今回の講演旅行の総括。  講演のできは、ふつう。 2時間近く、話しつづけた。 みな、最後まで真剣に聞いてくれた。 それを思えば、まずまずといったところか。  ホテルは、焼津のグランドホテルに泊まった。 料金を勘案するなら、星は4つの★★★★。 団体客が多かったように思う。 火曜日(平日)だったが、かなりの混みよう。 仲居さんたちも、やる気度100%。 キビキビと働いていた。  朝食はバイキングだったが、ほぼ満足。 メンタイコなど、中級以上の食材が、数多く並んでいた。 意見を求められたので、「満足」に丸をつけておいた。 次回は御殿場。 ホテルは、決めてある。 楽しみ。  なお反対側の通路に、3人の女性が座っている。 年齢は、40歳前後。 その中の1人が、甲高い声で、しゃべりつづけている。 先ほど軽く注意したが、効果なし。 キャッ、キャッ、ペチャクチャ、ペチャクチャ……。 席はほぼ満席だが、その3人組の声だけが、車内で響き渡っている。 のどかな、それでいて、きわめて日常的な光景。 こうして今日も始まり、やがて終わる。 ●心の実験  心の実験をしてみることにした。 こんな実験。  先ほど、私はこう思った。 帰りに、ぼたんインコの栄養剤を買って帰ろう、と。 駅から自宅までの間に、一軒、ペットショップがある。 そこで栄養剤を買う。  が、多分、そのことはやがて忘れてしまうだろう。 意識の奥、つまり無意識の世界にそのまま入ってしまうはず。 雑誌を読んだり、ワイフと話したりしている間に、忘れてしまうはず。 メモ帳か何かにメモでもすれば、覚えているかもしれない。 が、忘れてしまうはず。 またそうでないと、ほかのことが考えられなくなる。  果たして私は、あのペットショップの近くを通り過ぎるとき、それを思い出すだろうか。 それとも本当に忘れ、そのまま通り過ぎてしまうだろうか。 つまりこれがここでいう「心の実験」である。 ●無意識の世界に操られる脳  人間の心は、常に無意識の世界に操られている。 意識している部分は、脳の中でも、ほんの一部にすぎない。 もし私がペットショップの近くを通り過ぎたとき、栄養剤のことを思い出せば、思い出したというより、無意識の世界からの命令に従ったということになる。 そうでなければ、そうでない。  さて、どうなるか?  ということで……眠い。 少し眠ることにした。 ●自宅で……  電車の中では夢を見た。 バスか何かに乗っていた。 ワイフが、「浜松よ」よ、私を揺り起こした。 私はフラフラと立ち上がった。 電車を出た。 駅を出た。 事務所の前まで歩き、そこで自分の車に乗った。  で、帰り道、あのペットショップの近くにやってきた。 「ピッピの栄養剤を買って帰るよ」と言うと、ワイフは、車をその店の前に回してくれた。 私は、ショップで、栄養剤を買った……。  さてそのときのこと。 私は自分の意思で、栄養剤を買ったことになるのか。 それとも無意識の世界からの命令に応じて、買ったことになるのか。  最近の脳科学では、後者のほうが正しいということになる。 私たちが自分の意思でしていると思っている行動のほとんどは、実はそれ以前に、無意識の世界で決められている。 私たちはその無意識の世界からあがってくる命令に従い、それを意識としてとらえ、行動する。  電車を降りたとき、車に乗ったとき、私は、栄養剤のことは、まったく忘れていた。 意識の中に、なかった。 が、ペットショップの近くへやってきたとき、無意識の世界からの命令に従い、「ピッピの栄養剤を買って帰るよ」と言った。  ……ということで、実験、終了。 最近の脳科学の進歩は、すごい。 本当に、すごい。 ここまで人間の心がわかるようになった。 (はやし浩司 教育 林 浩司 林浩司 Hiroshi Hayashi 心の実験 無意識の世界 意識とは はやし浩司 意識論 意識の中身 幼児教育 教育評論 幼児教育評論 はやし浩司 焼津グランドホテル はやし浩司 2012-05-16)2012/05/16記 Hiroshi Hayashi+++++++May. 2012++++++はやし浩司・林浩司

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