2012年5月5日土曜日

Are games safe for children?

【ゲームははたして、安全か?】


●子どもとゲーム

(Children & their TV Games)
TV games apparently affect children badly. The English Government has submitted a report,
regarding TV games and its possible dangerousness to children.)

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「ゲームは安全だ」と、がんばっている、愚か者どもよ、
少しは、世界に目を開き、世界の人の意見を聞け!

イギリス政府は、つぎのような報告書を提出した。
まず、それをそのまま紹介する。

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【ロンドン27日・時事通信】

イギリス政府は3月27日(2008)、ビデオゲームやインターネットが、子どもに及ぼす影響に関する報告書を公表、産業界や家庭と協力して対策に取り組む方針を明らかにした。

ゲームのパッケージに「子どもの健康を害する恐れがある」といった警告文が印刷される可能性もありそうだ。

報告書は政府の委託を受けた臨床心理学者が作成。
ゲームによって子供は暴力に対して鈍感になるなどと結論づけた。
また、英国では性と極端な暴力描写を含むゲームについてのみ、年齢制限が設けられているが、制限の拡大を求めた。(ヤフー・ニュースより抜粋)

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この日本でも、「ゲーム脳」という言葉を使って、その危険性を説いた教授がいた。

が、その直後から、その教授のところには、抗議の嵐!

どうして? 

一方、「ゲーム脳というのは、ない」「安全です」と説く教授も現れた。
こちらの教授は、ゲームの世界では、今、神様のような存在になっている。

どうして?

危険か、危険でないか、そんなことは、ゲームに夢中になっている子どもを見れば、わかる。
(もちろんゲームの内容にもよるが……。)

明らかに、どこかヘン。
おかしい。
様子もおかしいが、目つきもおかしい。
そうなる。

あるいはあなた自身が、あのテレビゲームをしてみればよい。

数分もしないうちに、頭の中がクラクラしてくるはず。

「殺せ!」「やっつけろ!」と騒ぐ子どもは、まだよいほう。
ほとんどは、無表情のまま。
無表情のまま、うつろな目つきで、指先だけを動かしている。

隣の韓国では、その中毒性が問題になり、各学校に、カウンセラーまで配置される状況になっ
ている。
(知っているか?)

が、この日本では、野放し! まったくの野放し!

私が書いた「ポケモン・カルト」(三一書房)にしても、書いてから9年にもなるのに、いまだに、抗議の書き込みがあとを絶たない。

どうして?

いったい、この日本は、どうなっているのだ!

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Hiroshi Hayashi+++++++Feb. 2012++++++はやし浩司・林浩司

【ゲーム中毒の子どもたち】

●韓国のネット中毒(ゲーム脳)

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相変わらず韓国では、ネット中毒
患者による、悲惨な事件がつづいて
いる。

今朝の時事通信も、こんなニュースを
伝えている。
しかしこういうニュースが話題になるだけ、
韓国社会は健全と考えてよい。
この日本では、ニュースにもならない。
なぜか?

そのヒントは、このニュースの末尾に
ある。
よく目を凝らして読んでみてほしい。

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********以下、韓国・より**********

 【ソウル時事】

 韓国南部の釜山で最近、オンラインゲームのやり過ぎをとがめられたことに激高した中学3年の少年が、母親を絞殺し、自らも命を絶つ事件が起きた。
ネット先進国といわれる韓国では、青少年の「ゲーム中毒」が深刻な社会問題となっており、対策が求められている。

 韓国メディアによると、少年は幼いころからオンラインゲームにのめり込み、銃や剣を使うゲームを好んでいた。
母親を殺害後、「コンピューターのことでお母さんとけんかをし、興奮してしまった」との遺書を残し、首をつった。
同国では今年2月にも20代の男性が同様の理由で母親を殺害している。

 行政安全省傘下の情報化振興院によれば、同国青少年(9~19歳)の12.8%に当たる93万8000人が「ネット中毒」で、このうちの大部分が「オンラインゲーム中毒」とされる。
ゲームをしないと禁断症状が現れ、日常生活への支障がある状態で、アルコールや幻覚剤の中毒と症状が近いという。

 学力が低下し、社会に適応できなくなるほか、釜山の事件のように暴力性の高いゲームをやり過ぎ、実際の暴力に及ぶ例もある。
背景には激烈な受験戦争のストレスもあるといわれる。
同院は、ゲーム中毒のまん延は国家的損失とみなし、小中高校への訪問相談や、ゲーム禁止のキャンプなどの対策に取り組んでいる。

 午前0~6時の青少年のオンラインゲームを禁じる法改正案も国会に提出された。
しかし、有力な輸出産業であるゲーム業界の反対もあり、立法化に至っておらず、有効な対策をなかなか打ち出せていない。 

********以上、韓国・より**********

●禁断症状

 時事通信は、「行政安全省傘下の情報化振興院によれば、同国青少年(9~19歳)の12.8%に当たる93万8000人が「ネット中毒」で、このうちの大部分が「オンラインゲーム中毒」とされる」と伝えている。

 が、この日本では、ゲームを批判しただけで、熱心なゲーマーから嵐のような抗議を受ける。
どう受けるかは、「ゲーム脳」という言葉を最初に使った、某教授も告白している。
その一方で、「ゲーム脳などというのはありません」と主張した某教授のところには、仕事が殺到し、今ではこの世界では、カリスマ的な存在になっている。

 その韓国。
数字が具体的に表示されている。

「……同国青少年(9~19歳)の12.8%に当たる93万8000人がネット中毒」と。

 どの程度のレベルを「ネット中毒」と診断してよいのか。
その診断基準はあるのか。
そういった問題点もある。
さらに「パソコン中毒」「携帯電話中毒」とどう区別するのか。
そういった問題点もある。

またゲームといっても、内容はざまざま。
将棋のようなゲームもあれば、スピードを競う、ドライブゲームのようなものもある。
問題になっているのは、「少年は幼いころからオンラインゲームにのめり込み、銃や剣を使うゲームを好んでいた」(時事通信)ということらしい。

 が、健全なゲーム(?)だからといって、安心できない。
TBS-iは、こんなニュースも報道している。

**********以下、TBS-iより(2010-11-18)*******

 ……韓国政府によると、韓国国内のネット中毒患者はおよそ190万人。今年3月には夫婦そろって「育児ゲーム」にのめり込み、生後3か月の娘を餓死させる事件が起きるなど社会問題化しています。

 さらにネット中毒の低年齢化も進んでいて、来年から予防対象を幼児にまで拡大することが決まっています。

**********以上、TBS-iより(2010-11-18)*******

 「夫婦そろって、育児ゲームにのめりこみ……」と。
「育児ゲームなら問題ないのでは?」という常識は、この世界では、通用しない。

●禁断症状

 ゲーム漬けの子どもに、特異な症状が現れることは、教育界では常識。
ほかの子どもたちと比較してみると、それがよくわかる。
「どこかおかしい?」「どこかへん?」という症状に併せて、一度ゲームをさせると、今度は一転、別人のようになってしまう。
その「落差」が、ここでいう「特異な症状」ということになる。

 「どこかおかしい?」というのは、たとえばゲームをしていないときは、
(1)ボーッとした表情で何を考えているかわからない。
(2)突発的に、ふつうでない行動に走る。
(3)ものの考え方が衝動的、ゲーム的になる。が、ひとたびゲームをはじめると、
(4)別人のように無表情になり、能面的になる。
(5)何時間もゲームをつづける、など。
もちろん
(6)他者との良好な人間関係が結べなくなる。

 そうした子どもについては、たびたび書いてきた。
で、禁断症状についてもたびたび書いてきた。
たとえば携帯電話症候群というのもある。
これは子どもにかぎらない。
おとなでも、さらに家庭の主婦でも、携帯電話を片時も離さない人は多い。
『弁当を忘れても、携帯電話は忘れない』と、そういう人は、よくそう言う。
そういう人から携帯電話を奪ったら……。
やはりここでいう禁断症状が現れる。
中には落ち着いて仕事ができなくなる人も多い。

●ゲーム業界

 『……有力な輸出産業であるゲーム業界の反対もあり、立法化に至っておらず、有効な対策
をなかなか打ち出せていない』と。

 少し前、「ゲーマーの世界がカルト化している」と書いたことがある。
こうした記事を書くと、すかさず反応(コメントや書き込み)が入る。

 「このオッサン……頭がおかしいんじゃないの。
ゲームと現実の区別くらい、つくヨ~~。
テメエの息子たちは、大丈夫なのかヨ~~」と。

 こうした批判は、ネットのあちこちに書き込まれているから、興味のある人は、検索をかけてみたらよい。
「はやし浩司」で検索してみれば、100~150番目あたりから、急速にそういった批判が目にとまるようになる。

 が、問題は、「ゲーム業界」。
韓国でさえ、こうした「ゲーム業界の力」が働いている。
いわんやこの日本をや……と書きたいが、この日本では、不思議なことに、本当に不思議なことに、「ゲーム中毒」すら話題にならない。
現実はむしろ逆で、あのポケモンにしても、ゲーマーの世界では、「子どもの夢」と位置づけられている。
言い替えると、それだけゲーム業界の「力」が、韓国とは比較にならないほど強いと考えてよい。

日本人の脳みそだけ、ほかのアジア人とはちがうということは、ありえない。

●脳のCPU(中央演算装置)

 話はぐんと脱線するが、私はこんな経験をしている。

 私が子どものころは、まだ馬に引かれた馬車が、通りを歩いていた。
車も走っていたが、どこか遠慮がちだった。
町中で、庭のある家は、ほとんどなかった。
つまり道路が私たちの遊び場であり、おとなにとっては、職場だった。
私の実家は小さな自転車屋だったが、道路があったおかげで、それなりに仕事ができた。
道路に大きく自転車を並べても、文句を言う人はいなかった。

 が、車社会の発展とともに、道路の性格は大きく変わった。
その結果が「現在」ということになる。
とくに歩道のない旧街道のような通りは、悲惨である。
店という店は、総じてシャッターを下ろした。
私の近所にも、「雄踏(ゆうとう)街道」と呼ばれる昔からの街道がある。
が、その街道で今でも商売をつづけている商店は、ほとんどない。

 この問題と脳のCPUとどう関係があるか?

 つまり今の若い人たちに、「道路の性格は変わった」という話をしても、恐らく理解できないだろうということ。
昔から道路というものは、そういうものだったと思っているにちがいない。
またそういう前提で、ものを考える。
だから道路に植木鉢をひとつ置いただけでも、「じゃま」と、それを排除してしまう。

 こうしたズレが積み重なって、「狂い」となる。
あまりよいたとえではないことはわかっている。
たまたまこの原稿を書いているとき、ふと「道路」の話が横切った。
それで書いたが、しかし人は、ある日突然、狂うわけではない。
徐々に少しずつ、時間をかけて狂う。
もちろんたいはんの子どもは、(おとなも)、現実とゲームの世界を区別できる。
が、中には、その区別ができなくなる子どもが、現れる。
それをどう防ぐか。
それが問題と、私は書いている。

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古い原稿だが、2003~5年に
かけて書いた原稿を紹介します。

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【ゲーム脳】

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「ゲーム脳はあるのか、それともないのか?」

これについての記事を、「毎日JP」より、抜粋
してみる。

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●火付け役は、、森昭雄・日本大教授(脳神経科学)。
曰く、

 『・・・「15年間、ゲームを毎日7時間やってきた大学生は無表情で、約束が100%守れない」「ゲームは慣れてくると大脳の前頭前野をほとんど使わない。
前頭前野が発達しないとすぐキレる」
 森教授は02年、「ゲーム脳」仮説を提唱した。テレビゲームをしている時には脳波の中のベータ波が低下し、認知症に似た状態になると指摘。
その状態が続くと前頭前野の機能が衰えると警告した。
単純明快なストーリーはマスコミに乗って広がり、暴力的な描写に眉(まゆ)をひそめる教育関係者や、ゲームをやめさせたい親に支持された』(毎日JPより)と。

 これに対して、「森教授の意見には、学術的な裏付けがない」と批判する人も多い。

『・・・森教授は一般向けの本や講演を通して仮説を広めてきた。
本来、仮説は他の科学者が同じ条件で試すことで初めて科学的な検証を受けるが、その材料となる論文はいまだに発表されていない。
 手法にも批判がある。森教授は自ら開発した簡易型脳波計による計測で仮説を組み立てたが、複雑で繊細な脳機能をその手法でとらえるのは不可能、というのが専門家の共通した見方だ』(毎日JPより)と。

●利潤追求の世界

 こうした批判を尻目に、ゲーム業界は、大盛況。
その先頭に立たされているのが(?)、東北大加齢医学研究所の川島隆太教授(脳機能イメージング)。
ここで注意しなければならないのは、川島隆太教授自身は、「加齢医学」が専門。
その研究に基づいて、

『・・・認知症の高齢者16人に半年以上学習療法を受けてもらった結果、認知機能テストの成績が上がったと報告。
何もしなかった16人の成績が低下傾向だったことから「認知機能改善に効果がある」と考察した』(2003年)(毎日JPより)と。

 これにゲーム業界が飛びついた(?)。

『・・・こうした成果を企業が応用したのが、脳を鍛えるという意味の「脳トレ」だ。06年の流行語となり、川島教授の似顔絵が登場する任天堂のゲームソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」は、続編も含め1000万本以上を売り上げた』(毎日JPより)と。

 こうして今やこの日本は、上も下も、「脳トレ」ブーム。
「1000万本」という数字は、そのほんの一部でしかない。

 もちろん批判もある。

『・・・ ただ、脳トレの過熱を心配する声もある。日本神経科学学会会長の津本忠治・理化学研究所脳科学総合研究センターユニットリーダーは、「川島氏の研究は科学的な手続きを踏んでいるが、認知機能の改善が本当に学習療法だけによるかはさらなる研究が必要だ。『改善した』という部分だけが拡大解釈され広がることで、計算さえやれば認知症にならないと思い込む人が出てくるかもしれない」と話す』(毎日Jより)と。

●三つ巴の論争

 現在、「ゲーム脳支持派の森教授vsゲーム脳否定派の川島教授」という構図ができあがってしまっている。
しかし実際には、この両教授が、ゲーム脳を間に、対立しているわけではない。

 森教授は、「ゲームばかりしていると、危ない」という警鐘を鳴らした。
一方川島教授は、ここにも書いたように、「老人の認知機能」が専門。
その立場で、「脳トレは(ボケ防止には)効果がある」と、自説を発表した。

 が、一方、教育の世界には、『疑わしきは罰する』という原則がある。
(私が考えた原則だが・・・。)
完全に安全が確認されるまで、あやしげなものは、子どもの世界からは遠ざけたほうがよい。
事実、私は1日に何時間もゲームばかりしている子どもを、よく知っている。
中には、真夜中に突然起きあがって、ゲームをしている子どももいる。
もともとおかしいから、そうするのか、あるいはゲームばかりしているから、おかしいのか?
それは私にもわからないが、このタイプの子どもは、どこか、おかしい。
そういう印象を与える子どもは、少なくない。

(1)突発的に感情的な行動を繰り返す。
(2)日中、空をぼんやりと見つめるような愚鈍性が現れる、など。

「ゲーム脳」があるかないかという論争はさておき、その(おかしさ)を見たら、だれだって、こう思うにちがいない。

「ゲームは本当に安全なのか?」と。

 そうでなくても、「殺せ!」「つぶせ!」「やっつけろ!」と、心の中で叫びながらするゲームが、子どもの心の発育に、よい影響を与えるはずがない。
ものごとは常識で考えたらよい。
(もちろんゲームといっても、内容によるが・・・。)

 仮に百歩譲っても、認知症患者に効果があるからといって、子どもや、若い人たちにも効果があるとはかぎらない。

●脳トレへの疑問

 私も脳トレなるものを、さまざまな場面で経験している。
それなりに楽しんでいる。
しかし子どもの知能因子という分野で考えるなら、脳トレで扱っている部分は、きわめて狭い世界での訓練にすぎない。

 たとえば教育の世界でいう「知的教育」というのは、広大な原野。
脳トレというのは、その広大な原野を見ないで、手元の草花の見分け方をしているようなもの。
あまりよいたとえではないかもしれないが、少なくとも、脳トレというのは、「だからそれがどうしたの?」という部分につながっていかない。

 仮にある種の訓練を受けて、それまで使っていなかった脳が活性化されたとする。
それはそれで結構なことだが、「だからといって、それがどうしたの?」となる。
もう少し具体的に書いてみたい。

 たとえば脳トレで、つぎのような問題が出たとする。

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【問】□には、ある共通の漢字が入る。それは何か。

 □草、□問

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 答は※だが、こうした訓練を重ねたからといって、それがどうしたの?、となる。
というのも、私はこうして今、文章を書いているが、こうした訓練は、常に、しかも一文ごとにしている。
的確な言葉を使って、わかりやすくものを書く。
的確な言葉をさがすのは、ほんとうに難しい。
さらにそれを文章にし、文章どうしをつなげるのは、ほんとうに難しい。

つまりこうした脳トレを繰り返したところで、(よい文章)が書けるようになるとは、かぎらない。
・・・書けるようになるとも、思わない。

 それ以上に重要なことは、本を読むこと。
文章を自分で書くこと。

 つまり本を読んだり、文章を書くことが、先に書いた「広大な原野」ということになる。
(※の答は、「質」。)

●疑わしきは罰する

 子どもの世界では、疑わしきは罰する。
先手、先手で、そうする。
以前、ゲーム脳について書いた原稿をさがしてみた。
5年前(05年9月)に書いた原稿が見つかった。
それをそのま、手を加えないで、再掲載する。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

【ゲーム脳】(05年9月の原稿より)

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ゲームばかりしていると、脳ミソがおかしくなるぞ!

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最近、急に脚光を浴びてきた話題に、「ゲーム脳」がある。
ゲームづけになった脳ミソを「ゲーム脳」いう。
このタイプの脳ミソには、特異的な特徴がみられるという。
しかし、「ゲーム脳」とは、何か。NEWS WEB JAPANは、つぎのように報道している(05年8月11日)。

『脳の中で、約35%をしめる前頭葉の中に、前頭前野(人間の拳程の大きさで、記憶、感情、集団でのコミュニケーション、創造性、学習、そして感情の制御や、犯罪の抑制をも司る部分)という、さまざまな命令を身体全体に出す司令塔がある。

この司令塔が、ゲームや携帯メール、過激な映画やビデオ、テレビなどに熱中しすぎると働かなくなり、いわゆる「ゲーム脳」と呼ばれる状態になるという。
それを科学的に証明したのが、東北大のK教授と、日大大学院のM教授である』(以上、NEWS WEB JAPAN※)。

 つまりゲーム脳になると、管理能力全般にわたって、影響が出てくるというわけである。
このゲーム脳については、すでに、さまざまな分野で話題になっているから、ここでは、省略する。要するに、子どもは、ゲームづけにしてはいけないということ。

 が、私がここで書きたいのは、そのことではない。

 この日本では、(世界でもそうかもしれないが)、ゲームを批判したり、批評したりすると、ものすごい抗議が殺到するということ。上記のK教授のもとにも、「多くのいやがらせが、殺到している」(同)という。

 考えてみれば、これは、おかしなことではないか。たかがゲームではないか(失礼!)。
どうしてそのゲームのもつ問題性を指摘しただけで、抗議の嵐が、わき起こるのか?

 K教授らは、「ゲームばかりしていると、脳に悪い影響を与えますよ」と、むしろ親切心から、そう警告している。それに対して、(いやがらせ)とは!

 実は、同じことを私も経験している。5、6年前に、私は「ポケモンカルト」(三一書房)という本を書いた。
そのときも、私のところのみならず、出版社にも、抗議の嵐が殺到した。名古屋市にあるCラジオ局では、1週間にわたって、私の書いた本をネタに、賛否両論の討論会をつづけたという。
が、私が驚いたのは、抗議そのものではない。
そうした抗議をしてきた人のほとんどが、子どもや親ではなく、20代前後の若者、それも男性たちであったということ。

 どうして、20代前後の若者たちが、子どものゲームを批評しただけで、抗議をしてくるのか? 
出版社の編集部に届いた抗議文の中には、日本を代表する、パソコン雑誌の編集部の男性からのもあった。

 「子どもたちの夢を奪うのか!」
 「幼児教育をしながら、子どもの夢が理解できないのか!」
 「ゲームを楽しむのは、子どもの権利だ!」とか何とか。

 私の本の中の、ささいな誤字や脱字、どうでもよいような誤記を指摘してきたのも多かった。
「貴様は、こんな文字も書けないのに、偉そうなことを言うな」とか、「もっと、ポケモンを勉強してからものを書け」とか、など。

 (誤字、脱字については、いくら推敲しても、残るもの。
100%、誤字、脱字のない本などない。その本の原稿も、一度、プロの推敲家の目を経ていたのだが……。)

 反論しようにも、どう反論したらよいかわからない。
そんな低レベルの抗議である。で、そのときは、「そういうふうに考える人もいるんだなあ」という程度で、私はすませた。

 で、今回も、K教授らのもとに、「いやがらせが、殺到している」(同)という。

 これはいったい、どういう現象なのか? どう考えたらよいのか?

 一つ考えられることは、ゲームに夢中になっている、ゲーマーたちが、横のつながりをもちつつ、カルト化しているのではないかということ。
ゲームを批判されるということは、ゲームに夢中になっている自分たちが批判されるのと同じ……と、彼らは、とらえるらしい(?)。
おかしな論理だが、そう考えると、彼らの心理状態が理解できる。

 実は、カルト教団の信者たちも、同じような症状を示す。
自分たちが属する教団が批判されたりすると、あたかも自分という個人が批判されたかのように、それに猛烈に反発したりする。
教団イコール、自分という一体感が、きわめて強い。

 あのポケモン全盛期のときも、こんなことがあった。
私が、子どもたちの前で、ふと一言、「ピカチューのどこがかわいいの?」ともらしたときのこと。子どもたちは、その一言で、ヒステリー状態になってしまった。
ギャーと、悲鳴とも怒号ともわからないような声をあげる子どもさえいた。

 そういう意味でも、ゲーム脳となった脳ミソをもった人たちと、カルト教団の信者たちとの間には、共通点が多い。
たとえばゲームにハマっている子どもを見ていると、どこか狂信的。
現実と空想の世界の区別すら、できなくなる子どもさえいる。
たまごっちの中の生き物(?)が死んだだけで、ワーワーと大泣きした子ども(小1女児)もいた。

これから先、ゲーム脳の問題は、さらに大きく、マスコミなどでも、とりあげられるようになるだろう。これからも注意深く、監視していきたい。

 ところで、今日の(韓国)の新聞によれば、テレビゲームを50時間もしていて、死んでしまった若者がいるそうだ。
たかがゲームと、軽くみることはできない。

注※……K教授は、ポジトロンCT(陽電子放射断層撮影)と、ファンクショナルMRI(機能的磁気共鳴映像)いう脳の活性度を映像化する装置で、実際にゲームを使い、数十人を測定した。
そして、2001年に世界に先駆けて、「テレビゲームは前頭前野をまったく発達させることはなく、長時間のテレビゲームをすることによって、脳に悪影響を及ぼす」という実験結果をイギリスで発表した。

この実験結果が発表された後に、ある海外のゲーム・ソフトウェア団体は「非常に狭い見識に基づいたもの」というコメントを発表し、教授の元には多くの嫌がらせも殺到したという(NEWS WEB JAPANの記事より)。

(はやし浩司 ゲーム ゲームの功罪 ゲーム脳 ゲームの危険性)

++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

●ゲーム脳(2)

【M君、小3のケース】

 M君の姉(小5)が、ある日、こう言った。
「うちの弟、夜中でも、起きて、ゲームをしている!」と。

 M君の姉とM君(小3)は、同じ部屋で寝ている。
二段ベッドになっていて、上が、姉。
下が、M君。そのM君が、「真夜中に、ガバッと起きて、ゲームを始める。
そのまま朝まで、していることもある」(姉の言葉)と。

 M君には、特異な症状が見られた。

 祖父が、その少し前、なくなった。その通夜の席でのこと。
M君は、たくさん集まった親類の人たちの間で、ギャーギャーと笑い声で、はしゃいでいたという。
「まるで、パーティでもしているかのようだった」(姉の言葉)と。

 祖父は、人一倍、M君をかわいがっていた。
その祖父がなくなったのだから、M君は、さみしがっても、よいはず。
しかし、「はしゃいでいた」と。

 私はその話を聞いて、M君はM君なりに、悲しさをごまかしていたのだろうと思った。
しかし別の事件が、そのすぐあとに起きた。

 M君が、近くの家の庭に勝手に入り込み、その家で飼っていた犬に、腕をかまれて、大けがをしたというのだ。
その家の人の話では、「庭には人が入れないように、柵がしてあったのですが、M君は、その柵の下から、庭へもぐりこんだようです」とのこと。

 こうした一連の行為の原因が、すべてゲームにあるとは思わないが、しかしないとも、言い切れない。こんなことがあった。

 M君の姉から、真夜中にゲームをしているという話を聞いた母親が、M君から、ゲームを取りあげてしまった。
その直後のこと。M君は狂ったように、家の中で暴れ、最後は、自分の頭をガラス戸にぶつけ、そのガラス戸を割ってしまったという。

 もちろんM君も、額と頬を切り、病院で、10針前後も、縫ってもらうほどのけがをしたという。
そのあまりの異常さに気づいて、しばらくしてから、M君の母親が、私のところに相談にやってきた。

 私は、日曜日にときどき、M君を教えるという形で、M君を観察させてもらうことにした。
そのときもまだ、腕や顔に、生々しい、傷のあとが、のこっていた。

 そのM君には、いくつかの特徴が見られた。

(1)まるで脳の中の情報が、乱舞しているかのように、話している話題が、めまぐるしく変化した。
時計の話をしていたかと思うと、突然、カレンダーの話になるなど。

(2)感情の起伏がはげしく、突然、落ちこんだかと思うと、パッと元気になって、ギャーと騒ぐ。
イスをゴトゴト動かしたり、机を意味もなく、バタンとたたいて見せたりする。

(3)頭の回転ははやい。しばらくぼんやりとしていたかと思うと、あっという間に、計算問題(割り算)をすませてしまう。
そして「終わったから、帰る」などと言って、あと片づけを始める。

(4)もちろんゲームの話になると、目の色が変わる。
彼がそのとき夢中になっていたのは、N社のGボーイというゲームである。
そのゲーム機器を手にしたとたん、顔つきが能面のように無表情になる。
ゲームをしている間は、目がトロンとし、死んだ、魚の目のようになる。

 M君の姉の話では、ひとたびゲームを始めると、そのままの状態で、2~3時間はつづけるそうである。
長いときは、5時間とか、6時間もしているという。
(同じころ、12時間もゲームをしていたという中学生の話を聞いたことがある。)

 以前、「脳が乱舞する子ども」という原稿を書いた(中日新聞発表済み)。
それをここに紹介する。もう4、5年前に書いた原稿だが、状況は改善されるどころか、悪化している。

++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

●子どもの脳が乱舞するとき

●収拾がつかなくなる子ども

 「先生は、サダコかな? それともサカナ! サカナは臭い。それにコワイ、コワイ……、
ああ、水だ、水。冷たいぞ。おいしい焼肉だ。鉛筆で刺して、焼いて食べる……」と、話がポンポンと飛ぶ。頭の回転だけは、やたらと速い。まるで頭の中で、イメージが乱舞しているかのよう。動作も一貫性がない。騒々しい。

ひょうきん。鉛筆を口にくわえて歩き回ったかと思うと、突然神妙な顔をして、直立! 
そしてそのままの姿勢で、バタリと倒れる。ゲラゲラと大声で笑う。その間に感情も激しく変化する。目が回るなんていうものではない。まともに接していると、こちらの頭のほうがヘンになる。

 多動性はあるものの、強く制止すれば、一応の「抑え」はきく。小学2、3年になると、症状が急速に収まってくる。集中力もないわけではない。気が向くと、黙々と作業をする。30年前にはこのタイプの子どもは、まだ少なかった。が、ここ10年、急速にふえた。小1児で、10人に2人はいる。今、学級崩壊が問題になっているが、実際このタイプの子どもが、一クラスに数人もいると、それだけで学級運営は難しくなる。あちらを抑えればこちらが騒ぐ。こちらを抑えればあちらが騒ぐ。そんな感じになる。

●崩壊する学級

 「学級指導の困難に直面した経験があるか」との質問に対して、「よくあった」「あった」と答えた先生が、66%もいる(98年、大阪教育大学秋葉英則氏調査)。

「指導の疲れから、病欠、休職している同僚がいるか」という質問については、15%が、「1名以上いる」と回答している。そして「授業が始まっても、すぐにノートや教科書を出さない」子どもについては、90%以上の先生が、経験している。ほかに「弱いものをいじめる」(75%)、「友だちをたたく」(66%)などの友だちへの攻撃、「授業中、立ち歩く」(66%)、「配布物を破ったり捨てたりする」(52%)などの授業そのものに対する反発もみられるという(同、調査)。

●「荒れ」から「新しい荒れ」へ

 昔は「荒れ」というと、中学生や高校生の不良生徒たちの攻撃的な行動をいったが、それが最近では、低年齢化すると同時に、様子が変わってきた。

「新しい荒れ」とい言葉を使う人もいる。ごくふつうの、それまで何ともなかった子どもが、突然、キレ、攻撃行為に出るなど。多くの教師はこうした子どもたちの変化にとまどい、「子どもがわからなくなった」とこぼす。

日教組が98年に調査したところによると、「子どもたちが理解しにくい。常識や価値観の差を感ずる」というのが、20%近くもあり、以下、「家庭環境や社会の変化により指導が難しい」(14%)、「子どもたちが自己中心的、耐性がない、自制できない」(10%)と続く。そしてその結果として、「教職でのストレスを非常に感ずる先生が、8%、「かなり感ずる」「やや感ずる」という先生が、60%(同調査)もいるそうだ。

●原因の一つはイメージ文化?

 こうした学級が崩壊する原因の一つとして、(あくまでも、一つだが……)、私はテレビやゲームをあげる。「荒れる」というだけでは、どうも説明がつかない。家庭にしても、昔のような崩壊家庭は少なくなった。

むしろここにあげたように、ごくふつうの、そこそこに恵まれた家庭の子どもが、意味もなく突発的に騒いだり暴れたりする。そして同じような現象が、日本だけではなく、アメリカでも起きている。実際、このタイプの子どもを調べてみると、ほぼ例外なく、乳幼児期に、ごく日常的にテレビやゲームづけになっていたのがわかる。ある母親はこう言った。

「テレビを見ているときだけ、静かでした」と。「ゲームをしているときは、話しかけても返事もしませんでした」と言った母親もいた。たとえば最近のアニメは、幼児向けにせよ、動きが速い。速すぎる。しかもその間に、ひっきりなしにコマーシャルが入る。ゲームもそうだ。動きが速い。速すぎる。

●ゲームは右脳ばかり刺激する

 こうした刺激を日常的に与えて、子どもの脳が影響を受けないはずがない。もう少しわかりやすく言えば、子どもはイメージの世界ばかりが刺激され、静かにものを考えられなくなる。その証拠(?)に、このタイプの子どもは、ゆっくりとした調子の紙芝居などを、静かに聞くことができない。

浦島太郎の紙芝居をしてみせても、「カメの顔に花が咲いている!」とか、「竜宮城に魚が、おしっこをしている」などと、そのつど勝手なことをしゃべる。一見、発想はおもしろいが、直感的で論理性がない。ちなみにイメージや創造力をつかさどるのは、右脳。分析や論理をつかさどるのは、左脳である(R・W・スペリー)。

テレビやゲームは、その右脳ばかりを刺激する。こうした今まで人間が経験したことがない新しい刺激が、子どもの脳に大きな影響を与えていることはじゅうぶん考えられる。その一つが、ここにあげた「脳が乱舞する子ども」ということになる。

 学級崩壊についていろいろ言われているが、一つの仮説として、私はイメージ文化の悪弊をあげる。

(付記)

●ふえる学級崩壊

 学級崩壊については減るどころか、近年、ふえる傾向にある。99年1月になされた日教組と全日本教職員組合の教育研究全国大会では、学級崩壊の深刻な実情が数多く報告されている。「変ぼうする子どもたちを前に、神経をすり減らす教師たちの生々しい告白は、北海道や東北など各地から寄せられ、学級崩壊が大都市だけの問題ではないことが浮き彫りにされた」(中日新聞)と。「もはや教師が一人で抱え込めないほどすそ野は広がっている」とも。

 北海道のある地方都市で、小学一年生70名について調査したところ、
 授業中おしゃべりをして教師の話が聞けない……19人
 教師の指示を行動に移せない       ……17人
 何も言わず教室の外に出て行く       ……9人、など(同大会)。

●心を病む教師たち

 こうした現状の中で、心を病む教師も少なくない。東京都の調べによると、東京都に在籍する約6万人の教職員のうち、新規に病気休職した人は、93年度から4年間は毎年210人から220人程度で推移していたが、97年度は、261人。さらに98年度は355人にふえていることがわかった(東京都教育委員会調べ・99年)。

この病気休職者のうち、精神系疾患者は。93年度から増加傾向にあることがわかり、96年度に一時減ったものの、97年度は急増し、135人になったという。

この数字は全休職者の約五二%にあたる。(全国データでは、97年度は休職者が4171人で、精神系疾患者は、1619人。)さらにその精神系疾患者の内訳を調べてみると、うつ病、うつ状態が約半数をしめていたという。原因としては、「同僚や生徒、その保護者などの対人関係のストレスによるものが大きい」(東京都教育委員会)ということである。

●その対策

 現在全国の21自治体では、学級崩壊が問題化している小学1年クラスについて、クラスを1クラス30人程度まで少人数化したり、担任以外にも補助教員を置くなどの対策をとっている(共同通信社まとめ)。

また小学6年で、教科担任制を試行する自治体もある。具体的には、小学1、2年について、新潟県と秋田県がいずれも1クラスを30人に、香川県では40人いるクラスを、2人担任制にし、今後5年間でこの上限を36人まで引きさげる予定だという。

福島、群馬、静岡、島根の各県などでは、小1でクラスが30~36人のばあいでも、もう1人教員を配置している。さらに山口県は、「中学への円滑な接続を図る」として、一部の小学校では、6年に、国語、算数、理科、社会の四教科に、教科担任制を試験的に導入している。大分県では、中学1年と3年の英語の授業を、1クラス20人程度で実施している(01年度調べ)。
(はやし浩司 キレる子供 子ども 新しい荒れ 学級崩壊 心を病む教師)


++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

●失行

 近年、「失行」という言葉が、よく聞かれるようになった。
96年に、ドイツのシュルツという医師が使い始めた言葉だという。

 失行というのは、本人が、わかっているのに、できない状態をいう。
たとえば風呂から出たとき、パジャマに着がえなさいと、だれかが言ったとする。
本人も、「風呂から出たら、パジャマに着がえなければならない」と、理解している。
しかし風呂から出ると、手当たり次第に、そこらにある衣服を身につけてしまう。

 原因は、脳のどこかに何らかのダメージがあるためとされる。

 それはさておき、人間が何かの行動をするとき、脳から、同時に別々の信号が発せられるという。行動命令と抑制命令である。

 たとえば腕を上下させるときも、腕を上下させろという命令と、その動きを抑制する命令の二つが、同時に発せられる。

 だから人間は、(あらゆる動物も)、スムーズな行動(=運動行為)ができる。
行動命令だけだと、まるでカミソリでスパスパとものを切るような動きになる。
抑制命令が強すぎると、行動そのものが、鈍くなり、動作も緩慢になる。

 精神状態も、同じように考えられないだろうか。

 たとえば何かのことで、カッと頭に血がのぼるようなときがある。
激怒した状態を思い浮かべればよい。

 そのとき、同時に、「怒るな」という命令も、働く。
激怒するのを、精神の行動命令とするなら、「怒るな」と命令するのは、精神の抑制命令ということになる。

 この「失行」についても、精神の行動命令と、抑制命令という考え方を当てはめると、それなりに、よく理解できる。

 たとえば母親が、子どもに向かって、「テーブルの上のお菓子は、食べてはだめ」「それ
は、これから来る、お客さんのためのもの」と話したとする。

 そのとき子どもは、「わかった」と言って、その場を去る。
が、母親の姿が見えなくなったとたん、子どもは、テーブルのところへもどってきて、その菓子を食べてしまう。

 それを知って、母親は、子どもを、こう叱る。
「どうして、食べたの! 食べてはだめと言ったでしょ!」と。

 このとき、子どもは、頭の中では「食べてはだめ」ということを理解していた。
しかし精神の抑制命令が弱く、精神の行動命令を、抑制することができなかった。
だから子どもは、菓子を食べてしまった。

 ……実は、こうした精神のコントロールをしているのが、前頭連合野と言われている。
そしてこの前頭連合野の働きが、何らかの損傷を受けると、その人は、自分で自分を管理できなくなってしまう。
いわゆるここでいう「失行」という現象が、起きる。

 前述のWEB NEWSの記事によれば、「(前頭連合野は)記憶、感情、集団でのコミュニケーション、創造性、学習、そして感情の制御や、犯罪の抑制をも司る部分」とある。

 どれ一つをとっても、良好な人間関係を維持するためには、不可欠な働きばかりである。
一説によれば、ゲーム脳の子どもの脳は、この前頭連合野が、「スカスカの状態」になっているそうである。

 言うまでもなく、脳には、そのときどきの発達の段階で、「適齢期」というものがある。
その適齢期に、それ相当の、それにふさわしい発達をしておかないと、あとで補充したり、修正したりするということができなくなる。

 ここにあげた、感情のコントロール、集団におけるコミュニケーション、創造性な学習能力といったものも、ある時期、適切な指導があってはじめて、子どもは、身につけることができる。
その時期に、ゲーム脳に示されるように、脳の中でもある特異な部分だけが、異常に刺激されることによって、脳のほかの部分の発達が阻害されるであろうことは、門外漢の私にさえ、容易に推察できる。

 それが「スカスカの脳」ということになる。

 これから先も、この「ゲーム脳」については、注目していきたい。

(補記)大脳生理学の研究に先行して、教育の世界では、現象として、子どもの問題を、先にとらえることは、よくある。

 たとえば現在よく話題になる、AD・HD児についても、そういった症状をもつ子どもは、すでに40~50年前から、指摘されていた。
私も、幼児に接するようになって36年になるが、36年前の私でさえ、そういった症状をもった子どもを、ほかの子どもたちと区別することができた。

 当時は、もちろん、AD・HD児という言葉はなかった。
診断基準もなかった。だから、「活発型の遅進児」とか、「多動性のある子ども」とか、そう呼んでいた。
「多動児」という言葉が、雑誌などに現れるようになったのは、私が30歳前後のことだから、今から、約30年前ということになる。

 ゲーム脳についても、最近は、ポジトロンCT(陽電子放射断層撮影)や、ファンクショナルMRI(機能的磁気共鳴映像)いう脳の活性度を映像化する装置などの進歩により、脳の活動そのものを知ることによって、その正体が、明らかにされつつある。

 しかし現象としては、今に始まったことではない。私が書いた、「脳が乱舞する子ども」というのは、そういう特異な現象をとりあげた記事である。

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Hiroshi Hayashi++++Nov. 2010++++++はやし浩司・林浩司

【韓国・朝鮮日報紙の記事より】(はやし浩司 2012-05-05)

●子どもとゲーム脳

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

どういうわけか、この日本では、「子どものゲーム」が、
ほとんど問題にならない。
……というか、話題にもならない。

が、隣の韓国では、ゲーム中毒の子どもが続出し、その
更正施設まである。

日本人と韓国人の脳の構造は、ちがうのか。
が、それはない。
つまり(ちがい)があると考えるほうが、おかしい。

ちがわないとするなら、どうしてこの日本では、「ゲーム」が、
問題にならないのか。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

●朝鮮日報紙

 このほど朝鮮日報紙が、たいへん骨太の記事を掲載した。
読みごたえのある長編の論文である。
ひとつひとつを吟味していたら、何日もかかるかもしれない。
が、どの一部を取りあげても、かなり衝撃的な内容である。
私たち日本人も、この論文のもつ重大性を、しっかりと認識しなければならない。

 じっくりと読んでみたい。

(資料)以下、韓国朝鮮日報紙から転載**********************


【1】


 幼児期のゲーム中毒は、脳の正常な発達を阻害する。嘉泉医科大学のキム・ヨンボ教授は「人が頻繁に通る道路が先に舗装されるのと同じで、発達が旺盛な幼児の脳も、刺激を多く受ける部分が特に発達する。幼児期にゲーム中毒に陥ると、脳が視覚的な刺激だけに集中するようになり、嗅覚や触覚などほかの感覚処理能力が低下する」と指摘する。

 2010年には米国アイオワ州立大学の研究チームが「1日2時間以上ビデオゲームで遊ぶ子どもは、注意欠陥・多動性障害(ADHD)を発症する可能性が2倍高くなる」と発表した。同研究チームは「子どもがゲームに集中するのは、画面が目まぐるしく切り替わるのが原因」と指摘し、ゲームに熱中する子どもたちは学校の授業をつまらないと感じるようになると説明した。また「ゲームに集中すると、休みなく押し寄せる刺激に脳が適応するようになる。たばこによって、がんを発病する危険性が高まるように、ゲームによってADHDを発症する可能性が高まる」とも説明した。

 さらに問題なのは、ゲーム中毒に陥って脳が損傷すると、中毒になる前の正常な状態に戻るのが困難という点だ。韓国科学技術研究院(KIST)脳科学研究所のシン・ヒソプ所長は「麻薬中毒者は治療を受けると、ひとまず正常な行動を取るが、再び麻薬に接すると、一般の人に比べ麻薬に対する欲求がかなり強くなる。ゲーム中毒もこの症状と同じ」と指摘した。

 国内外でさまざまな議論があるものの、日本の脳神経科学者、森昭雄・日本大学教授は『ゲーム脳の恐怖』という著書で「脳の神経回路は通常、10歳以前に形成されるが、幼児期にビデオゲームばかりやっていると、ゲームをやめることができなくなる」という論理を展開した。同教授は「幼児期に形成された脳の神経回路のせいで、ゲームをやめることができず、ゲーム機を見ただけで自然に手が動くようになる。ゲームをする年齢は中学生以降、できれば大学生になってからが望ましい」と主張している。


【2】


 午後2時。目を覚ますと窓の外が明るい。すぐにパソコンの前に座る。電源を入れっぱなしのパソコンのチャットウィンドウに友人たちが残したメッセージを読みながら、ゲームトーク(音声メッセージをやり取りできるプログラム)を立ち上げ、ヘッドフォンををセットする。長い言葉は必要なかった。

 「よく寝たか。ゲームを始めよう」

 いつアクセスしても、友人10人ほどがログインしている。私の『スタークラフト』(オンラインゲームの一種)の通算戦績は10万戦7万5000勝。この世界で私を知らない人はいない。かなり実力のある友人たちと2対2で対戦した。私はいつものごとく「ザーグ」(「プロトス」「テラン」と共にスタークラフトの3種族の一つ)を選択し、仲間はプロトスを選んだ。相手も同じ種族を配置する。私は兵力を減らしてドローン(ワーカー)を増やす「12ドローン」という戦略を準備し、偵察したところ、相手は兵力を強化する「9ドローン」の戦略を使っていることが分かった。

 ヘッドフォンのマイクで仲間に序盤の戦闘を避けるよう伝えると、防御に専念した。12ドローン戦略は、序盤の防御さえうまく行えば、絶対に9ドローン戦略に勝てる。頭の中には数百、数千パターンの状況に対応する戦略が思い浮かぶ。思ったより時間がかかったが、9分40秒で無難に勝利した。

 何時間経過したのか分からない。空腹を感じ、中華料理店にチャジャン麺(ジャージャー麺、日本のラーメンのように庶民的な食事メニュー)とチャンポン、そして焼き餃子を注文した。いつの間にか、暴食した後に眠る習慣がついた。きょうも14時間ほどゲームをしたようだ。普段もこのくらいはプレーしている。

 私はこの4年間、親に学費を負担してもらい江原道の大学に籍を置き、小遣いをもらって生活している。だが、大学に行った日数は1カ月に満たない。4年の間、勉強するために親が借りてくれた部屋でゲームばかりしていたことを告げたら、親は何と言うだろうか。不安が募り、暴食しなければ眠れなかった。いつの間にか、70キロ後半だった体重は113キロにまで増えた。

 ゲームの世界では、まさに戦績が序列だ。年齢が上でも、ゲームが下手なら敬意を払うことはしない。強い人が指揮を執ってこそ勝てるからだ。ゲーム仲間の中には工場や飲食店で時々働く人もいるが、皆私と似たような状況だ。


【3】


 科学者たちは最近、ゲーム中毒に陥った子どもたちの脳が麻薬中毒の脳の状態と同じで、認知能力や感情をコントロールする機能が大幅に低下するという事実を明らかにした。このような子どもたちはさらに暴力的になり、ひどいケースでは注意欠陥・多動性障害(ADHD)のような精神疾患を発症することもあるという。ゲームが子どもたちの脳を破壊しているというわけだ。

 ビデオゲームが子どもたちに有害かどうかという問題は、世界中で絶えず議論されている。ゲームが子どもたちの創意・工夫能力や運動能力を発達させるという肯定論もあるが、子どもの脳がゲームによって破壊されるという反対論も根強い。2010年にはこのような議論が米国の最高裁にまで持ち込まれたが、「児童の脳に長期的に悪影響を及ぼすという科学的な証拠がない」との理由でで結論は出なかった。

 だが昨年11月、科学専門誌「ネイチャー」が発行する精神医学専門誌「トランスレーショナル・サイキアトリー」に、ゲーム中毒に陥った青少年の脳は麻薬中毒の脳の状態に似ているとの研究結果が掲載され、状況は一変した。ビデオゲームが子どもたちの脳に変化を及ぼすという事実が、科学的に初めて立証されたのだ。

 ベルギー・ゲント大学のシモン・クーン博士による国際共同研究チームは、ベルギー、英国、ドイツ、フランス、アイルランドで14歳以下の少年少女154人の脳を撮影し分析を行った。その結果、ゲームで遊ぶ時間が調査対象の平均値(1週間に9時間)を上回る少年少女の脳は、左側の線条体が非常に大きくなっていた。この部分は、脳の中でも快楽に関わる部分で、麻薬中毒に陥ると肥大化することが分かっている。

 先日、中国・上海精神健康センターは、オンライン科学誌「公共科学図書館(PLoS)ワン」に、ゲームに熱中するインターネット中毒者の脳で、白質の損傷が確認されたと発表した。白質とは、感情処理や注意・集中、意思決定、認識コントロールなどをつかさどる領域を結ぶ神経線維で、コカインのような麻薬を常習的に乱用すると、この部分が損傷する。

 韓国でも09年に同様の研究結果が発表された。盆唐ソウル大学付属病院のキム・サンウン教授(核医学科)は、ゲーム中毒者の脳について、コカイン中毒者と同様の異常が認められることを明らかにした。脳の眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ=前頭葉のうち眼球周辺の一部分)の機能に異変が生じるという。キム教授は「眼窩前頭皮質は、合理的な意思決定や衝動性のコントロールと密接に関わっている領域。ゲーム中毒や麻薬中毒に陥った人は、この部分に異変が生じ、将来のことについて考えることができず目先の利益だけを追求するようになる」と説明した。

 ゲーム中毒によって脳が変化すると、行動にも変化が現れる。嘉泉医科大学のキム・ヨンボ教授は「前頭葉は仮想と現実を区別し、刺激を自制する働きを担う。ゲームによる短期的な快楽・刺激が大幅に増えれば、前頭葉が正常に反応しなくなり、その結果、我慢できず深く物事を考えずに行動するADHDを発症する恐れがある」と指摘する。昨年12月には、ドイツのボン大学の研究チームが「生物心理学」誌に掲載した論文で、1週間に平均15時間、1人称シューティングゲーム(ゲームの中の主人公になりきり、的を狙って銃を発射するゲーム)を行った場合、前頭葉中部の活動がゲームをしない人に比べて弱まることが確認されたと発表した。前頭葉中部は、恐怖や攻撃性をコントロールする部分だ。ゲームの影響で脳が暴力に対して鈍感になることが、立証されたわけだ。

 韓国国内の脳科学者たちは「ゲーム中毒は一方的に規制したところで根本的な解決は困難だ。政府とゲーム業界が一丸となって、暴力的なゲームが子どもたちの脳に与える影響について研究し、解決策を見いださなければならない」と口をそろえた。


【4】


 ソウルに住む主婦イ・ジャヨンさん(35)=仮名=は、タブレット型パソコン「iPad」に夢中の娘ヘインちゃん(3)に絵本を与えたとき、とても驚いた。ヘインちゃんが絵本を指でタッチし、ドラッグするなど、「iPad」を操作するように扱っていたからだ。さらに、「iPad」のように画面が変わるなどの反応がないことに気づくといら立ち、絵本を投げつけて泣き叫んだ。

 イさんが子どもに「iPad」を与えたのは教育的な目的からだった。ハングル教育用アプリケーションのクイズゲームなどを利用し、ハングルを楽しく覚えさせようと思ったのだ。ヘインちゃんは一日に何時間もハングルの勉強に集中し、IT(情報技術)機器を上手に使いこなすなど、最初は成功したかのように見えた。外出するときも来客時にも、「iPad」で静かに勉強する娘を、イさんはえらいと感心していた。

 しかし数カ月後、事態の深刻さに気づき始めた。同年代の友人が遊びに来ても、ほかの子どもたちが人形やおもちゃのロボットで遊んでいても、ヘインちゃんは「iPad」に夢中だった。初めは目を輝かせていたハングルの学習も進展がなく、同年代の子どもたちに比べ言語駆使能力も遅れを取るようになった。最近イさんは、ヘインちゃんから「iPad」を取り上げるために毎日が「戦争」だ。イさんは「一瞬の間違った考え方が子どもをだめにしてしまったのではないかと思うと、とてもつらい」と話した。

 スマートフォンやタブレット型パソコン、携帯ゲーム機などが広く一般家庭に普及し、子どもたちの周囲にはゲームがあふれている。言葉を学び、同世代の子どもたちとの集団生活を学ばなければならない幼児が「ゆりかご」からゲーム中毒の危険にさらされている。初めてゲーム機に触れるときから時間制限などの管理をきちんと行っていればゲーム中毒を防ぐことはできるが、保護者がゲーム中毒の深刻さを知らずに放置していると、子どもたちは文字を読んだり、言葉を習うよりも前からゲームの画面が与える面白さに目がくらみ、ゲーム中毒への道を歩み始める。

 カトリック大学ソウル聖母病院のキム・デジン教授は「ゲームをすると、楽しみや快楽を与えるホルモン、ドーパミンの量が増加し、脳がこれに作用することで、ゲーム以外の楽しみを感じられなくなってしまう。そして、大人になってからも本能であるかのようにゲームを求めてしまう危険性がある」と話した。専門家たちは、ゲームを始める時期をできるだけ遅らせることが望ましいと話す。しかし実際に、ゲームに初めて触れる年齢は下がり続けている。

 幼児用ゲームの内容が暴力的だったり、扇情的ではないからといって安心してはいけない。インターネット夢希望広場のイ・ヒョンチョセンター長は「美しく穏やかそうなゲームが最も危険だと考えるべきだ。実際に幼いゲーム中毒者の場合は『子ども用』ゲームから始まって、次第に暴力性や扇情性が強いゲームに移行するケースが多い」と話した。

 あまり認識されていないが、幼児・小児期のゲーム中毒が青少年になってから深刻化するケースも多い。今年中学校2年のチョ君(14)の母親は「10年前に戻ることができれば…」と毎日後悔している。4歳のときからコンピューターを上手に使いこなしていたチョ君は、共働きの親が放置している間に、メイプルストーリー、スタークラフトのような、中毒性の強いゲームに没頭するようになった。そのためチョ君の父親がパソコンに暗証番号を設定し使えないようにすると、今度はインターネットカフェに出掛けるようになった。チョ君のゲーム中毒で離婚の危機にまで追い詰められた母親は、勤めていた会社を辞めてチョ君の治療に専念するという。母親は「一人でゲームをさせるというのは、子どもに刃物を持たせるのと同じくらい危険なことだと今になって分かった」と話した。


【5】


 ギョンス(仮名)=ソウル市江西区加陽洞=は今年4歳だが、言葉をうまく話せない。「水」「お菓子」「ママ」のような短い単語を発するだけで、うまく文章にして話せない。実際、ギョンスの一日の生活の中では言葉があまり必要ない。同年代の友だちとも遊ばず、家に親戚や客が来ても見向きもしない。

 ギョンスは1歳を過ぎたばかりのときからゲーム機で遊び始めた。有名なインターネットカフェの運営を手掛ける母親は、結婚後に夫と不和になり、パソコンに没頭するようになった。ギョンスにはゲーム機を与え、一人で遊ばせた。ギョンスは今、オンラインゲームもスマートフォンのゲームも自由に操作する。言葉を覚えるよりも、同世代の友人と過ごすよりも、ゲームに没頭した。母親がゲーム中毒に陥ったギョンスの深刻な症状に気づいたときには、時すでに遅しだった。ゲームを取り上げようとすると泣き叫び、母親をたたくなど、ギョンスは乱暴な行動も見せた。

 一日中ゲームに没頭していたギョンスの脳は、世の中との間に壁を作ってしまった。言葉を学び、社会性を身に付け、人間らしい性格を育み、素質を啓発すべきギョンスの脳には、ゲーム以外の何も入り込むことはできなかった。

 子どもが喜んで遊ぶからと、深く考えずにゲーム機を与える親、IT機器を上手に使いこなす子どもを「IT神童」と勘違いする親、ゲームでもほかの子に負けてはならないとライバル意識の強い親たちが「幼児ゲーム中毒」の悪影響に頭を抱えている。パソコン、ゲーム機、スマートフォンが各家庭にあふれている昨今、幼い子どものゲーム中毒をめぐり親子げんかをしたことがない家庭はほとんどないだろう。

 特に、ゲームに初めて触れる年齢が年々下がっており、ゲーム中毒が韓国の子どもたちに及ぼす影響が次第に増大している。また、幼い子どもほどゲームをする時間が長くなっているのも実情だ。

 昨年ゲーム等級委員会が行った実態調査によると、ゲームに初めて触れた平均年齢は2009年の5歳から、昨年は4.8歳へと低下し、1週間にゲームを利用する平均回数も、3-7歳の幼児・児童(3.7回)が、9-18歳の青少年(3回)より多いことが分かった。また、1週間に7回以上ゲームをする幼児・児童も13.5%と、青少年(11.4%)に比べ多かった。チャンセム精神科相談センターの関係者は「病院を訪れる幼児のゲーム中毒者が毎年30%程度増加している」と話した。

 ゲーム中毒は、視力・成長発達障害など身体的問題を引き起こすが、最も恐ろしいのは、幼児の脳を破壊してしまうという点(こと)だ。

 関東大学明知病院神経精神科のキム・ヒョンス教授は「3-6歳児の脳の発達過程では、脳梁(左右の大脳半球を接続する部分)が著しく発達し、高次的な判断力、思考力、注意集中力と関連する前頭葉が急速に成長する時期。幼児期のゲーム中毒は前頭葉の機能に相当な影響を及ぼし、脳の非正常的発達を招く恐れがある」と警告した。

 さらに中毒性も幼児の方が強いと指摘する。ディディム・クリニック(ソウル市蘆原区)のチェ・サンチョル院長は「幼児期のゲーム中毒は、成長過程でいつでも再発する可能性があると言えるほど中毒性が強く、精神健康の問題を引き起こす可能性もある」と警告した。

**************************以上、韓国朝鮮日報紙から転載

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