2011年10月23日日曜日

*Our Age after 60 years old

●10月23日(日曜日)「退職した団塊の世代」

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昨夜午前3時ごろ、ワイフが私を起こした。
「寝損(ぞこ)ねたみたい」と。

睡眠導入剤と精神安定薬をもってきて、
ワイフの口に含ませる。
「寝損ねたときはね、自然体がいちばんいいよ。
無理に眠ろうとすると、かえって眠れなくなるよ」と。

しばらく2人でそのまま横になっていたが、
今度は私が眠れなくなってしまった。
で、ワイフを寝室に残し、私は書斎に。

……こうして今朝を迎えた。
時刻は、午前9時を過ぎていた。
雨の音とジェット機の騒音。
今日は「浜松航空フェスタ」のある日。
つまり自衛隊基地で航空祭のある日。

テーブルでお茶を飲む。
新聞に目を通す。
ワイフに「そのあとは、どうだった?」と聞く。
「そのあとは朝まで、ぐっすりと眠ったわ」と。
で、私はそれを聞き、ウォーキングマシンで30分、汗をかく。

のどかな朝。
日曜日。
今日は、部屋の掃除。
今週、オーストラリアの友人が来る。
現在、台湾の北部を旅行中。
そのあと日本に向かってくる。
昨夜、そんなメールが届いた。

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●ワイフの友だち

 ワイフは現在、週3回、テニスのクラブに通っている。
その中の1つのクラブは、どういうわけか、同年代の人たちが集まっている。
「同年代」というのは、それぞれの夫の年齢をいう。
みな私と同じ、団塊の世代という。

 で、昨夜もワイフとこんな話をした。

私「お前さ、10人のうち、仕事をつづけているのは1人くらいと言ったよね」
ワ「そう、1人くらいね」
私「でね、ぼくは、残りの9人の人たちが気になる。残りの9人の人たちは何をしているの?」
ワ「Nさんのダンナは、一日中、テレビを見ているそうよ」
私「一日中?」
ワ「そうみたい……」と。

 あとは孫の世話をしている人。
ときどき旅行などに行って、息抜きをしている人。
町内会の仕事をしている人。
妻の仕事の手伝いをしている人、など。

 仕事をつづけている人というのは、ずっと自動車の販売会社にいた。
その延長線上で、今も、自動車のセールスをしているという。
歩合制で給料をもらっているとか。

 時刻は午前3時を回っていた。
話をしながら、ワイフの意識がだんだんと遠のいていくのがわかった。
が、そのうち、そのままワイフは眠ってしまった。

 私はそれを見届けたあと、暗い天井に向かって、こう思った。
「10人に1人かア……」と。

 そのあと、私は自分の書斎に入った。

●こりごり

 「私なら、そんな生活、1日も耐えられないだろう」と。
テレビを1時間見ただけでも、「しまった!」と思う。
「時間を無駄にした」と思う。

そう考えれば考えるほど、そういった人たちは、どんな思いで毎日を過ごしているのか、それを知りたくなった。
が、本心を明かしてくれる人は、少ない。
同窓会に出ても、そこまで踏み込んだ話はしない。
……しないというより、たがいに避ける。

 ワイフはこう言った。
「パソコンで遊んでいる人は、1人か2人ね」と。
あるいは「みな、仕事はもうこりごりと言っているみたいよ」とも。

 こりごり?

 サラリーマンの仕事の切なさは、この一語に集約される。
「こりごり」。

 私も仕事で多くの人たちとつきあってきた。
しかしそこに金銭関係がからむと、深い人間関係など、望むべくもない。
「金の切れ目が縁の切れ目」。
いわんや大半の退職者は、リストラ、解雇を経験している。
その瞬間、それまで自分と会社をつないでいた糸は、すべて灰となって消える。
ついでに友人関係も消える。
その人が「こりごり」と言い、仕事をしないからといって、だれがその人を責めることができるのか。

●人生の不可逆性

 しかしそれでも私は心配する。
一度、仕事から離れると、その人は、2度と仕事に戻れなくなる、と。
若いときはまだ柔軟性に富んでいる。
しかし40歳を過ぎると、その柔軟性が急速に消える。
硬化する。
ゴムにたとえると、伸びたまま縮まなくなる。

 そのことは、10日前後の休暇のあとによくわかる。
若いときは、そのスイッチングが簡単にできる。
が、年を取ると、それができなくなる。
休み明けの数日間は、仕事場に向かうことすら、つらい。
調子を戻すのに、数日もかかったりする。

 そう言えば、原稿を書くときもそうだ。
2、3日も書かないでいると、自分の手を重く感ずる。
ミスタイプも多くなる。
その前に、考えそのものが、まとまらない。

 だから脳の水は、つねに流しつづけたほうがよい。
止めたとたん、そこでよどみ、腐る。

 先の同年代の人たちにしても、ひょっとしたら、内心ではこう考えているかもしれない。
「そのうち、できる仕事でも見つかれば、やってみよう」と。

 が、実際には、仕事に復帰するのは不可能。
私の周辺を見ても、3~5年のブランク(休職期間)のあと、仕事に復帰した人はいない。
1年でもいない。

 だから今、あなたが仕事をしているなら、石にかじりついてでも、仕事はつづけたほうがよい。
収入のためではない。
あなたの脳みそのため。
肉体と精神の健康のため。

●老人観察

 50歳を過ぎるころから、私は老人観察を務めてするようになった。
それまでは、老人というのは、私の関心の外にいた。
が、最初に気になったのは、歩き方。
とくに脳梗塞を起こした人の歩き方。

 「右側が不随なのだろうか、それとも左側が不随なのだろうか」と。

 今では見た瞬間、それはわかるようになったが、歩き方に影響を与えるのは、脳梗塞だけではない。
いろいろな病気がある。
病気によって、歩き方も、微妙にちがう。
私は歩き方を見ただけで、その人がどんな病気をかかえているか、おおよその見当がつくようになった。

●寿命

 さらにこうも考える。
「60歳前後の人の健康状態を見れば、その人の寿命も予測できる」と。

 もちろん、がんや脳梗塞などの大病は除く。
しかし60歳前後の人の健康状態を見れば、「ああ、この人は70歳を過ぎて生きるのはむずかしいだろうな」とか、反対に「この人は90歳を過ぎても元気だろうな」とか、そんなことまでわかる。

 言い換えると、老後の健康状態は、60歳で決まる。
たとえて言うなら、街道の関所のようなもの。
60歳という関所を通るとき、それがわかる。

 で、そういう視点で、今度は私自身を観察する。
「私はどうなのか?」と。

 その結果、大病さえなければ、80歳までは生きられるのではないかということ。
が、それには条件がある。
体重を現在の65キロ前後から、60キロ前後に落とすこと。
毎日の運動を欠かさないこと。
それさえ守れば、今のままで、80歳までは生きられるのではないか。

●時刻は12時

 時計を見たら、もう12時!
これから部屋の大掃除。
買い物。
その他、いろいろ。
書斎の階下からは、ワイフが掃除機をかけている音がする。
私も手伝わなければならない。

 ……ということで、今朝はここまで。

 今は、雨もやみ、航空ショーも始まったにちがいない。
鳥のさえずりが、急に耳に飛び込んできた。
暑くもなく、寒くもなく、湿った秋風が心地よい。

2011/10/23朝記


Hiroshi Hayashi++++++Oct. 2011++++++はやし浩司・林浩司

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