2011年10月15日土曜日

*Bond that ties the Family

【今日・あれこれ】

●10月15日夕方記

アメリカでデモが多発しているという。
事実はどうか知らないが、1%の富裕層が、アメリカの99%の富を独占しているという。
それに対する抗議のデモという。
フ~ン?
豊かな国で、豊かな生活をしている人たちが、デモをしている?
「私たちは99%」というのが、シュプレヒコールになっているという。

 しかしこれはおかしい。
世界の富の99%を、アメリカが独占している。
……という数字は誇張だが、今まで世界の富を集めるだけ集めてきたのは、アメリカ自身ではないのか。
アメリカへ行ったことのある人ならみな知っていると思うが、郊外へ行くと、日本ではまず見られない大豪邸(マンション)が、ズラリと並んでいる。
ふつうの大豪邸ではない。
サウナルームあり、プールあり、トレーニングルームあり……という家は、当たり前。
映画などで見ると、それほど大きく感じないかもしれない。
が、現実に家の中に入ってみると、ゾッとするほど、広くて、大きい。

 一部屋だけで、日本の家の1軒分はある。

 そういう国の人たちが、今、デモをしている(?)。

●正義

 ただ誤解してはいけないのは、デモをしている人たちが、「正義の人」かというと、そうではないかということ。
不公平に抗議するのはわかる。
しかしそういう人たちだって、自分自身が富裕層に入れば、その時点で口をつぐむはず。
わかりやすく言えば、これほど正義感のあいまいなデモはない。

 辛らつな言い方をすれば、うっぷん晴らし。
こんなデモを繰り返しても、問題は何も解決しない。
しないばかりか、ドルの力を弱くするだけ。
ドルの力が弱くなれば、その分だけ、アメリカの国力は低下する。
回り回って、アメリカはますます貧しくなる。

 平たく言えば、今の今ですら、アメリカの「ドル」は基軸通貨。
言うなれば、ピカソの絵。
(日本の「円」は、よく見て、広重の絵。
世界の人は、あまりほしがらない。)
印刷しても、印刷しても、世界の人たちは、そのドルをほしがる。
だからアメリカはアメリカでいられる。

 その「ピカソの絵」を支えているのが、ウォール街。
ウォール街は、その司令塔のような存在。
もしウォール街が傾けば、アメリカ全体も傾く。

貧富の差は、ブッシュ前大統領が、富裕層の減税を実施したときから始まる。
それがここにきて、「矛盾」として噴き出した。

●資産の逃避

 一方、週刊誌「週刊現代」によれば、資産の逃避がつづいているという。
株、外債からの逃避などなど。
しかも一時は「塩漬け」と決め込んだものの、それにも耐え切れず、逃避する人もふえているという。
(そういう人は、それを「恥」と思うのか、口に出して言わないが……。)

A氏の妻は、今日、私にこう言った。
たまたま昨日、A氏に電話をかけたときのことだった。
A氏は、昼食にでかけていて不在だった。

「主人は、株が好きでねえ……」と。

声が沈んでいた。
それでA氏が株で穴をあけたのを知った。

私「早く逃げればよかったのに……」
A「病気みたいなものですから……」
私「ズルズルともっていると、あぶないですよ」
A「林さんのほうから、主人にそう言っていただけませんかア?」
私「わかりました。今夜にでもまた電話します」と。

●逃げ時

 何ごとにも、逃げ時がある。
その逃げ時に、モタモタしていると、傷口が大きくなる。
「まだ何とかなる……」「様子を見る……」などと言っていると、そのうち株にせよ、債券にせよ、紙くずになる。

 ある経済誌によれば、この8月以降、現在、95%の一般投資家が、損をしているという。
平均して、10%程度の損失なら、まだよいほうだそうだ。
つまり10%程度の損失なら、思い切って「捨てろ」と。
今回の株大暴落で、資産を半分、さらには10分の1にした人もいる。

 逃げるに逃げられなかった?
これも週刊誌で読んだ話だが、あの3・11大震災のとき、東京電力株に投資していた人は、株価の暴落で、大きな損失を被ったという。
東京電力株といえば、退職金の行き先にもなっていた。
私は知らなかったが、電力株というのは、そういう「株」だったらしい。
独占企業体だし、電力会社がつぶれるはずはない。
みなが、そう考えた。

 が、結果は、みなさん、ご覧の通り。
(2月はじめに、2197円、昨日の終値は、215円。)
 
●小5のIGさん

 昨日、小5のIGさん(女児)がこう言った。
「私、SR進学塾にも通っている」と。
隣にいたMTさん(女児)がそれを聞き、「受験するの?」と。
するとIGさんは、「ううん、ただ通っているだけ。中学も高校も、ふつうの学校にする」と。

 ……今、そういう子どもがふえている。
子どもというより、親の意識が変わりつつある。

●外へ出る

 もう10年ほど、前のこと。
名前は忘れたが、こんなことを言っている祖母がいた。
「へたに学力をつけると、外へ出て行ってしまうから、子どもには学力をつけさせない」と。
そのため、「勉強しなさい」と子どもを叱る母親と、「勉強なんかしなくてもいい」と諭(さと)す祖母との間で、嫁姑戦争が起きている、と。

 当の母親からそういう相談を受けたときには、「何という祖母!」と思った。
……というか、当時の私の常識には、まったく反していた。
が、今にして思うと、その祖母には、祖母の哲学があった。
「外へ出て行ってしまう」ということは、家族崩壊を意味する。
「崩壊」とわからないまま、崩壊してしまう。

●家族崩壊

 「家庭崩壊」ではない。
「家族崩壊」。
たとえば欧米では、「家族」というときは、そこには「祖父母」は含まれない。
両親と子どもたち。
それを「家族」という。

 それが欧米では常識になっているから、子どもが社会人になってからは、祖父母がその下の親子関係に顔を出すことは、まず、ない。
(国や地方によっては、祖父母とのつながりを大切にするところもあるが……。)
祖父母は祖父母として、それまでの家族から自らを切り離し、独立して生計を立てる。
子どもは子どもで、今度は自分たちの「家族」を作り始める。

●「経済的に余裕があれば……」

 もう何度も書いてきたが、総理府(現在の内閣府)は、毎年青少年の意識を調査している※。
それを見ても、「将来、親のめんどうをみる」という若者は、どんどんと減っている。
10年前(2000年ごろ)でさえ、28%前後。
3人に1人もいなかった。
多くは、「経済的に余裕があれば……」という条件をつけている。
が、こういう世相。
経済的に余裕のある若者(若い世代)など、まずいない。
以前書いた原稿を添付する。

●希薄になる親子関係(資料)

 自分の子どもが行方不明になれば、親は、必死になってその消息を
求める。
が、子どものほうは、どうか。
つぎの調査結果をみてほしい。
それが結論ということになる。

あるいは親子というのは、もともとそういうものなのか。
またそう考えてよいのか。

 今どきの若者たちに、親が、「親のめんどうはどうするのか?」と聞くと、こう答える。
「お前は(=親は)、見返りを求めて、オレたち(=自分)を育ててきたのか!」と。
あるいは気持ちをたずねただけで、「干渉」という言葉を使って、はねのける。

 日本と韓国は、双子国と揶揄(やゆ)されるほど、中身がよく似ている。
日本人の親子関係も希薄なら、韓国人の親子関係も希薄。
もう一度、日本の内閣府がした調査結果を、よく見比べてみてほしい。

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●第8回世界青年意識調査より

(将来、親のめんどうをみるか?)

年老いた親を養うことの意識は、欧米に比べ、日・韓で弱い。


★年老いた親を養うことについてどう思うか

『どんなことをしてでも親を養う』(1)
イギリス  66.0%、
アメリカ  63.5%、
フランス  50.8%、
韓国  35.2%、
日本  28.3%


★将来、子どもにめんどうをみてもらいたいか?

自分の子どもに老後の面倒をみてもらいたい日本の青年は5割弱で、韓国に次いで低い。


★「自分の子どもに老後の面倒をみてもらいたい」と思うか

『そう思う』(2)
イギリス  70.1%、
アメリカ  67.5%、
フランス  62.3%、
日本  47.2%、
韓国  41.2%
(以上、内閣府、平成21年調査より)


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 ここでは何も書きたくない!

 この数字がすべて。
しかしこの問題は、結局は自分人に返ってくる。
それとも今どきの若者たちは、永遠に、若いままと思っているのだろうか。
もしそうだとするなら、これほど、オメデタイ話はない!

(はやし浩司 家庭教育 育児 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林浩司 
BW はやし浩司 内閣府 親子関係 どんなことをしてでも親のめんどうをみる 親の
めんどう 親のめんどうをみる 成人男女の意識調査 はやし浩司 将来親のめんどうを
みる 親を養う)

●掛け軸の言葉

 が、多くの親たちは、「うちにかぎって、そういうことはない」と思い込んでいる。
つまり幻想にしがみついている。
しかし幻想は、幻想。
いくら親ががんばっても、子どもたちは子どもたちの世界で、自らの哲学を作り上げていく。
親がもっている価値観など、子どもたちの世界では、床の間の掛け軸ほどの意味もない。
いくら立派なことが書いてあっても、ただの飾り。
意識というのは、そういうもの。

 社会へ出たとたん、吸い取り紙が水を吸い取るように、周囲の哲学を吸収していく。
それがわからなければ、あなた自身を観察してみればよい。
あなたは将来、親のめんどうをみるか。
その意識はあるか。

●社会的重圧感

 たいていの人は、「もちろんある……」と答えるだろう。
が、待ったア!

 その意識にしても、相対的なもの。
私たちの世代は、外に出たものは、そのほとんどが、実家への仕送りを欠かさなかった。
私の意識というよりは、それが当時の常識だった。
私も、吸い取り紙のように、周囲の常識を吸収していた。
みながそうしていたから、私もそうした。

 今のワイフと結婚するときも、毎月、実家への仕送りが条件になっていた。
毎月だぞ!
だからワイフは結婚してからも、以後、私が45歳になるまで、一度もそれを欠かさなかった。
それだけではない。
27歳ごろからは、実家での冠婚葬祭の費用、さらには税金の支払い、商品の購入代金の支払いまで、私が負担するようになった。

 が、経済的な負担というより、社会的な負担……「重圧感」と書いた方が正確かもしれないが、それには相当なものがあった。
母は、冠婚葬祭だけは、派手にやった。
そのたびに、20万円~30万円の現金が消えた。

 その哲学と、私の哲学が、まっこうから対立した。
私はそれを乗り越えなければならなかった。

●恋愛第一主義

 私たちの世代にとっては、「親のめんどうをみる」というのは、それをいう。
またその程度のことをして、はじめて、「親のめんどうをみた」となる。
が、その意識も変わった。
盆と暮れに実家へ帰る程度で、「親のめんどうをみている」と、多くの若い人たちは考えている。
が、今ではそれすらしない若い人たちもふえている。
多くは、結婚したとたん、「ハイ、さようなら!」。
おかしな恋愛第一主義が、はびこっている。

 古い世代と思われるかもしれないが、私たちの時代には、そうではなかった。
親の許可がないと、結婚できなかった。
が、いまどき「許可」を求める若い人たちはいない。
恋愛したとたん、それがすべて。
後先のことも考えず、「結婚します!」と。
「恋愛」を、一世一代の大仕事と誤解している。
が、そんなことなら、そこらのイヌやネコでもしている。
サルでもしている。

 (だからその一方で、離婚率も鰻上り。
現在離婚率は、30%近くになっている※。)

(注※……離婚率の算出の仕方はむずかしい。
たとえば平成19年度に結婚した人の数が719,822人に対して、離婚した人の数は254,832となっている。
単純に、離婚した人を、結婚した人の数で割ってみると、35・4%という数字が出てくる。)

●無縁老人

 それもあって独居老人がふえている。
しかも従来、親子関係が濃密と思われていた農村部で、ふえている。
もちろん都会部でも、ふえている。
この先すぐ、つまり私たちが後期高齢者になるころは、約60%の人たちが独居老人になると言われている。

 が、今はさらに一歩進んで、「無縁老人」。
それもそのはず。
2050年には、1・2人の勤労者が、1人の老人を支えなければならなくなる。
(現在は、2・6人の勤労者が、1人の老人を支えている。)
少子高齢化の問題が、いかに深刻なものであるかは、この数字を見ただけでもわかる。
「2050年」と言えば、39年後。
あなたの年齢に、39歳を足してみればよい。
それがあなたの老後ということになる。

●加山雄三
 
 どうしてこのエッセーに、「加山雄三」が出てくるか?
理由は簡単。
あの加山雄三がギターを片手に、「♪二人を夕闇がア~」と歌った。
そのとたん、日本人の意識は大きく変わり始めた。
すでにその時、底流はあったのかもしれない。
ともかくも、そのときから、恋愛至上主義が始まった。

 いや、ひょっとしたら、私たちは「恋愛」の中に、「自由」を見たのかもしれない。
それまでの私たちは、体中を、ぐるぐると取り巻いていたクサリに、もがき、苦しんでいた。
加山雄三はアメリカ式の恋愛映画を見せてくれることで、それを取り除いてくれた。
たとえひと時の幻想ではあっても、甘い夢を見ることで、自分をなぐさめることができた。

 加山雄三がまちがっていたというのではない。
加山雄三は、そのクサリを解いてくれた。
が、今、そのクサリを解きすぎてしまった。
ユルユルから、パサパサに。

●親としての限度

 老後は、確実にやってくる。
それもあっという間にやってくる。
私自身もそうだった。
つまり私も、20代、30代のころは、老後なんて、ありえない世界のように考えていた。
だから50歳になった人を見たとき、とんでもないジーさんのように感じた。

 が、その私ももうすぐ64歳になる。
そういう自分を振り返ってみても、「あっという間」だった。
つまり今、もしあなたが、「老後の問題など、私には関係ない」と思っているとしたら、それはとんでもないまちがい、ということになる。

 回りくどい言い方をしたが、あなたはあなたで、自分の老後を最優先で考えたほうがよい。
子どもは子ども。
子どもの学費は学費。
しかしそこには一定の限度をしっかりともつ。
「親としてやるべきことはする。しかし限度を超えてはしない」と。

 でないと、……というか、現実に、60歳の定年退職時に貯金ゼロという家庭は、現在50%もいる(S生保会社調査)。
全体でも約33%程度の家庭は、貯金ゼロ(財務省)。
年金など、もしあなたが公務員でないなら、まったくアテにならない。
そんな状態で、どうやってこれからの老後を生きていくというのか。

●親子関係の復権

 IGさんが、そう言ったとき、私はすかさず、こう言った。
「君のお母さんは、賢い人だよ」と。
「あなたも、お父さん、お母さんの近くで住みなさいよ」と。
言い忘れたが、IGさんは、ひとり娘。
それを聞いて、IGさんは、にっこりと笑った。

 が、これはけっしてIGさんの両親のことだけを考えてでのことではない。
IGさん自身にとっても、そのほうがよい。
そうでなくても、……つまり家族の絆があっても、生きていくだけでたいへん。
こんな世相で、家族がバラバラで、どうやって生きていくというのか。

●日本の将来

 とても悲しいことだが、日本の将来は、暗い。
この8月から始まった大不況を契機に、日本も、やがてすぐ他のアジアの国々と同等、あるはそれ以下になる。
日本人が外国へ出稼ぎにいかねばならなくなる時代は、すぐそこまできている。
これは可能性の問題ではない。
確実な数字として、そう予測されている。

 わかりやすく言えば、きれいごとだけでは、子育てはできないということ。
それとも死ぬか、生きるかという瀬戸際に立たされたときでも、あなたは子どもに向かって、こう言うことができるか。

「親のめんどうはみなくてもいい。お前はお前で、自由に空をはばたけ」と。
羽ばたき方に、意味があるのなら、それもよいだろう。
が、それは怪しい?
それほどまでに意味のある仕事をしている人は、少ない?

 ……という悲観的な見方はさておき、現実は現実。
子育ても、その現実を見失っては、できない。

●私には理解できない

 高校生にしても、大学生にしても、今や形態端末機は、必需品。
新SNSだの、スマホだの、さらにはi-Padだの、アンドロイドだの……。
話題はつきない。

 しかしそれほどまでの文明の利器を用いて、結局は、何をしている?
アホで馬鹿で、意味のない情報を回しあっているだけ。
つまりそれが今の日本の若い人たちを象徴している。

 たとえば今週号の「A」(パソコン誌)は、あのジョブズ氏の追悼記事を並べている。
前アップル社の会長である。
3人の識者(日本人)が、ああでもない、こうでもないと、ジョブズ氏を称えている。
が、私はそうは思わない。

 1978~79年にかけての、あのホームパソコン(当時)の黎明期を直接経験している。
日本製のパソコンは、アメリカ製につぎつぎと駆逐されていった。
言うなれば、今、ジョブズ氏を称えるということは、サッカーの試合で、オウンゴールで相手を勝たせた上、さらに相手の選手を称えるようなもの。
ジョブズ氏は、アメリカ人にとっては、英雄かもしれないが、私たちはアメリカ人ではない。
原爆を落とされた上に、マッカーサーを称えるような記事を書いて、みじんも恥じない。

●ペンタブレット

 話が過激になったので、話題を変える。

 今日、ワイフが誕生日プレゼントにということで、ペンタブレットを買ってくれた。
前からほしかった、Wacom社製の「Bamboo」。
描画ソフトが4種類も、おまけでついていた。

 が、今日は、どのひとつもじゅうぶん使いこなせいないまま、ギブ・アップ。
この世界も、格段に進化した。
つまり複雑になった。

 10年ほど前には、いろいろなソフトを使いこなしていたが、今日は惨敗。
明日は日曜日だから、もう一度、挑戦してみる。

 ……ということで、今日は、ここまで。
これからワイフと、「アメリカン・ヒーロー」という映画を観てくる。
今夜が公開日。
あまり観たいとは思わないが、これもボケ防止のため。
がんばって観てくる。
2011/10/15記

Hiroshi Hayashi++++++Oct. 2011++++++はやし浩司・林浩司

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