2010年1月30日土曜日

*Don't make the intellectual the God

【知性vs人間性】

●人間性の喪失

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近くの郵便局で、元局長が、客や仲間から、
数億円を詐取するという事件が起きた。
「儲かるから、投資しないか」と、客たちに
呼びかけていたという。
あるいは客からの預かり金を、そのまま、
ネコババしていたという。

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●他者との共鳴性

 人間性は、一言で表現すれば、「他者との共鳴性」で決まる。
共鳴性の深い人を、人間性の高い人という。
そうでない人を、そうでないという。
他者を平気で(?)だます人は、それだけ人間性が低いということになる。
ここにあげた事件では、元局長(当時は局長)が、客を、つぎつぎとだまして、金をネコババしていた。

 罪の意識はあったのだろうか?
それともなかったのだろうか?
他人への迷惑を考えるなら、とてもできなかった犯罪である。
身近で起きた事件だけに、いろいろ考えさせられた。

●親をだます子どもたち

 親に学費を出させ、その学費で、遊びまくる。
勉強など、しない。
専門書も、買わない。
買うといえば、漫画やコミック本ばかり・・・。
親子の関係とはいえ、これは立派な犯罪である。

 今、そんな学生がふえている。
・・・というより、もとから学ぶ意識など、ない。
目的もない。
だから遊ぶ。
で、金がなくなると、「~~の資格を取るために、30万円、必要」とか
何とか言って、親に金をせびる。
あとはバイト、バイトの生活。

●知的な人間

 このタイプの学生にかぎって、外面(そとづら)だけはよい。
ボーイフレンドやガールフレンドに、献身的に仕えたりする。
服代や化粧代だけに、金をかける。
あるいは相手の両親には、献身的に仕えたりする。
実家では掃除の「ソ」の字もしたことのないような学生が、正月には、相手の家で、
大掃除を手伝ったりする。

 一事が万事。
万事が一事。

 はげしい受験競争をくぐり抜けた学生ほど、そうで、あのアインシュタインも、
こう書いている。
「知的な人間を、神にしてはいけない」と。

いろいろに解釈できるが、「知性」と「人間性」は、別物と考えてよい。

●予兆

 数億円・・・新聞の報道によれば、7億円~とか!
どこかの投資会社にのめりこんで、それで金額がふえていったということらしい。
私はその記事を読んで、その犯罪性よりも、その男性の過去に興味をもった。
年齢は、40代半ば。

 「こんな男なら、親をだますのは、平気だろうな」と思った。
あるいは「親は、それに気づかなかったのだろうか」とも思った。
あるいはその逆でもよい。
バカな親がいて、息子をして、そういう息子にしてしまった。
が、こうした予兆は、早ければ子どもが小学生のときから、見られるようになる。

●小ズルさ

 「ズルイ」といっても、2種類ある。
子どもらしいズルさ。
表面的で、どこかイタズラぽい。
もうひとつは、その子どもの奥深くから発している、ズルさ。
「ズルい」というより、「狡猾(こうかつ)」。

 親のキャッシュカードから現金を引き出して、遊んでいた子ども(小学生)がいた。
あるいは親と教師を、その間に立って、自分の意のままに操る。

 親には、「あの先生は、依怙贔屓(えこひいき)する」と訴える。
一方、先生には、「ぼくのママが、先生のことを、教え方がヘタだと言っていた」と言う。
こうして親と先生の信頼関係をこわしながら、自分にとって居心地のよい世界を作る。

●親バカ

 結局、行き着くところは、「親バカ」論。
本来なら、こんな子どもには、1円も渡してはいけない。
必要なことはしても、それ以上のことをしてはいけない。
が、親にもメンツや世間体がある。
「何とか、学歴だけは・・・」という弱みもある。
そこで金を出す。
出しつづける。

 が、肝心の子どもは、感謝の「か」の字もしていない。
中には、「親がうるさいから、大学だけは出てやる」と豪語(?)する子どもいる。
大半の学生は、大学を出ると同時に、「ハイ、さようなら!」。

 内閣府の調査によっても、「将来、親のめんどうをみる」などと考えている若者は、
28%前後しかいない(後述、注※)。

 で、親は、あるとき、ハタと気がつく。
「私の子育ては、いったい、何だったのか」と。

●ツケ

 ずいぶんときびしいことを書いたが、結局は、そのツケは、子ども自身に回ってくる。
目一杯の派手な生活。
余裕のない生活。
その先で待っているのは、孤独。
「豊かな貧困感」。
見た目には豊かだが、心はいつも飢餓状態。
貧しい。
しかも、都会の一流大学を出た子どもほど、そうなるというのは、人生の皮肉としか
言いようがない。

すべてをあの受験競争のせいにするわけにはいかない。
が、受験競争が影響を与えていないとは、もっと言えない。
思春期前夜から思春期にかけて、成績という数字だけに振り回されるようになると、
子どもは、とたんに冷たくなる。
その(冷たさ)は、親にはわからない。
が、私には、わかる。

 私は、この40年間、幼稚園の年中児から高校3年生まで、子どもたちを教えてきた。
そういう(流れ)の中で、子どもたちの心が、あの受験期を境に、どんどんと
変わっていくのを知っている。
それを毎年のように、目の当たりに見ている。
わかりやすく言えば、過酷な競争は、その子どもから共鳴性を奪う。
人間性を殺す。
親は、「おかげで一流大学に合格できました」と喜んで見せるが、そのうしろで
吹きあげている秋の空風(からかぜ)には、気づいていない。

 40代で郵便局の局長をしていたということだから、きっと頭のよい男だった
のだろう。
そこそこの学歴もあったに、ちがいない。
しかし7億円とは・・・!

 「これでいいのか?」と、疑問をぶつけて、このエッセーを終える。
これでいいのか?

(はやし浩司 家庭教育 育児 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林浩司 BW はやし浩司 受験教育の弊害 人間性 共鳴性 スポイルされる子どもたち 親バカ論)

(参考)

(注※)日本と韓国の若者は、将来、親の面倒を見ようという意識が低い・・・。日韓、欧米の計5カ国の若者を対象にした内閣府の調査で、こんな実態が浮き彫りとなった。
調査は日本、韓国、米国、英国、フランスで、18~24歳の男女各1千人前後を対象に5年ごとに面接方式で実施しており、今回(2009年)で8回目。

現在、母と暮らすのは韓国が77%(父とは74%)と最も多く、次いで日本が74%(同68%)で、欧米3カ国の平均は48%(同37%)だった。

「親から経済的に早く独立すべきだ」という考え方について、「そう思う」が各国とも75%を超え、日本は89%と最も高く、次いで韓国の84%だった。

一方、将来、年老いた親を「どんなことをしてでも養う」と答えたのは英66%、米64%、仏51%と欧米が高かったが、日本は28%、韓国も35%と低かった。逆に「将来、自分の子どもに老後の面倒をみてもらいたいか」の問いでは、「そう思う」は欧米3カ国の平均67%に対し、日韓は40%台だった。

日韓の若者の傾向について、内閣府の担当者は「親との同居世帯は多いが、将来への独立志向が高く、親の面倒をみるという意識も低い。欧米に比べると親子関係はドライなのかもしれない」と話している。(石塚広志氏HPより引用)


Hiroshi Hayashi++++++++Jan.2010+++++++++はやし浩司

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