2009年5月10日日曜日

*those kids who deny everything

●何でも否定する子ども(拒否児)

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私の近くに、何でも否定する子ども(小5女児)がいる。

「これはいい本だよ」と声をかけると、「そんな本、おもしろくない」と。
「今日はいい天気だね」と声をかけると、「寒いから、いい天気ではない」と。
「こんにちは!」と言って、肩でもポンと叩こうものなら、「このヘンタイ!」と叫んで、
足蹴りを入れてくる。

私が何をしても、おもしろくないらしい。
そこで私が、「そんなに何でも拒否しなくてもいいじゃないか」と声をかけると、
「私は何も拒否していない」「本当のことを言っているだけ」と言い返してくる。

私「逆らうな!」
女「逆らっていない!」
私「逆らっていないって言いながら、逆らっている」
女「じゃあ、どう言えばいいのヨ」と。

このタイプの子どもに一度からまれると、こちらのほうが気がへんになる。
が、当人には、その自覚はない。

類型的には、他責型人間ということになる。
心の奥深いところに、欲求不満が、海の底にたまったヘドロのように、
たまっている。

特徴としては、

(1) 感情の発露が見られない。何を考えているかわからない。
教える側からすると、心が読めない。
(2) がまん強く、表面的には、おだやかな性格に見える。
いやなことがあっても、内へ内へとためこんでいく。
(3) 表情と心の状態が一致していないことが多い。
うれしいはずなのに、笑みが浮かばない、など。
(4) 自分の失敗でも、すかさず他人の責任にする。
自分でお茶をこぼしても、「あなたがそこへ置いておくから悪い」とやり返す。
(5) あとから理由(=こじつけ)が、うまい。
「先生が、いつも急げというから、お茶をこぼした」などと行為を正当化する。
(6) 心が冷たい。豊かな感情表現が苦手。
みなが涙をポロポロ流すような映画を見ても、平然としている、など。

俗にいう、「ヒネクレ症状」が見られる。
あるいは、他人からは、「ヘソ曲り」と呼ばれる。
では、どうするか?

●自分に気づかせる

何よりも大切なのは、子ども自身に自分に気づかせること。
静かなカウンセリングが効果的だが、やり方をまちがえると、かえってかたくなになり、
自分の殻(カラ)に閉じこもってしまう。
つまりますますがんこになる。

原因は乳幼児期の不適切な育児姿勢、愛情飢餓、経済的貧困などがある。
そのため、「根」は深い。
叱ったりすれば逆効果。
また説得しても、効果は一時的。
意識的な行動というよりは、無意識下で起こる反応とみる。
よく観察すると、融通がきかず、臨機応変に行動ができないなどの特徴も見られる。
が、最大の問題は、心を開かないこと。
発達心理学的には、『基本的不信関係』ということになる。
先にも書いたように、乳幼児期における母子関係の不全が原因と考えてよい。

●印象

私はそういう子どもを見ると、同情のほうが、先にきてしまう。
「かわいそうな子どもだな」と思うと同時に、「これから先、たいへんだろうな」と。
思春期前夜の反抗期の反抗とちがうのは、反抗の向こうに、ポリシーを感じないこと。

思春期前夜の反抗には、そこに子どもらしいポリシー、つまり理由を感ずる。
「私はこうしたい」「ぼくはこうありたい」という目的性を感ずる。
しかしこのタイプの子どもには、それがない。
何もかもが、おもしろくない。
おもしろくないから、反抗するというよりは、あらゆるものを拒否する。

現実問題としては、一度、こうした否定的態度が身についてしまうと、よほどのことが
ないかぎり、そうした態度は一生、つづく。
「よほどのこと」というのは、結婚、出産、育児……などのような、一大事をいう。
しかしそれでも、「直る」ということは、まず、ないと考えてよい。
が、方法はないわけではない。

もしあなたが今、ここに私が書いているような、「拒否児」、あるいはその延長線上に
いると感ずるなら、静かに自分を反省してみること。
まず、自分に気づく。
すべてはそこから始まる。
あとは時間が解決してくれる。
10年単位の時間がかかるかもしれないが、時間に任す。

まずいのは、そういう自分であることに気づかず、いつまでも同じ失敗を繰り返すこと。
他人と衝突しやすい、夫婦げんかが絶えない、親子関係がしっくりしない、あるいは
反対に、他人と接すると疲れやすい、家庭でも落ち着かない、他人を信じられないなど。
そういう失敗を繰り返すこと。

「拒否児」の問題は、そういう問題である。

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