●【結果主義】(希望と落胆)
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『我らが目的は成功することではない。
失敗にめげず、前に進むことである』(スティーブンソン)。
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●A氏のケース
A氏は、競馬でその日、もっていたお金のほとんどを
すってしまった。
残ったのは、1000円。
食事は、コンビニのパンですまし、おつりで、宝くじを買った。
が、この宝くじがあたった。
X賞で、賞金200万円!
A氏はそのお金で、念願だった、新車を購入した。
が、買ってまもなくのこと、追突事故を起こしてしまった。
幸い、双方ともに軽い損傷程度ですんだ。
が、それが縁で、つまり追突した車を運転していた女性と知りあい、
そのままその女性と結婚してしまった。
電撃結婚だった。
その女性は財産家の1人娘だった。
甘いハネムーンから覚めてみると、その女性は、まったく家事が
できないことがわかった。
食事は、ほとんど外食、あるいは弁当。
洗濯の仕方も知らなかった。
A氏の給料だけでは、生活できなくなってしまった。
その女性は、実家からA氏の給料以上の支援を受けるようになった。
が、そのためA氏と女性の間では、夫婦喧嘩が絶えなかった。
女性が妊娠したところで、女性は「生活ができない」と言って、
実家に帰ってしまった。
そのまま離婚。
A氏は、女性の実家から、かなりの額の慰謝料を受け取った。
女性の実家の両親は、もともと、2人の結婚には、反対していた。
A氏はその慰謝料を元手に、町の中に人材派遣業を開いた。
最初はそれまでの仕事の関係で、けっこう収入があったが、やがてすぐ左前。
半年くらいで、事務所を閉じてしまった。
●大切なのは「今」
A氏の話は、私の作り話である。
(運)と(不運)を交互にまぜてみた。
つまりそのつど(結果)があり、その(結果)が、つぎの(結果)の
始まりであることを、この話を通して理解してもらえれば、うれしい。
このことは、子どもの受験勉強についても言える。
中学受験で合格する。
その喜びも、数か月も過ぎると、消える。
今度は高校受験が始まる。
で、何とか、目的の高校に合格できた。
同じように、その喜びも、数か月も過ぎると、消える。
今度は大学受験が始まる。
このばあいも、(結果)はつぎの、過程への一里塚でしかないことがわかる。
もっと言えば、(結果)は常に、(次の始まり)でしかない。
さらに言えば、(結果)と(始まり)を分けるほうが、おかしい。
またA氏のケースを読んでもわかるように、(もちろん作り話だが)、
結果がよくても、また悪くても、そこで流れが止まるということでもない。
では、どう考えたらよいのか。
結果というのは、「今」のあとに必ず、やってくる。
「結果」という言葉にこだわる必要はない。
「今」のあとには、必ず、「次の今」がやってくる。
私たちがなすべきことがあるとすれば、それは「今」を懸命に生きること。
そのあとのことは、そのあとのこと。
そのときは、また、そのとき懸命に生きればよい。
子どもの受験勉強にしても、そうだ。
子どもがそのとき、生き生きと楽しそうに生活していれば、それでよい。
もちろん懸命に勉強していれば、さらによい。
入学試験という関門はそのつどやってくるが、それはあくまでも関門。
結果がよくても悪くても、一喜一憂しない。
またその価値もない。
この世界でもっとも愚劣な生き方といえば、取り越し苦労に、ヌカ喜び。
結果主義の生き方をしている人は、えてして、そのときどきの結果に、
振り回されてしまう。
……日本の仏教は、結果を重んじ、ともすれば結果主義に走るきらいがある。
『終わりよければ、すべてよし』と。
『死んだ人は、みな仏』というのも、同じように考えてよい。
「死に際の様子を見れば、その人の人生のすべてがわかる」と教える仏教教団も
ある。
こうした仏教的なものの見方は、私たち日本人の骨のズイにまでしみこんでいる。
だからそれを自分の体から抜き出すのは、容易なことではない。
ないが、その努力だけは怠ってはいけない。
怠ったとたん、再び、その流れの中に、体ごと飲みこまれてしまう。
あなたが今、どういう状態であれ、あなたはあなた。
私は私。
そして今は今。
大切なことは、今というこのときを、懸命に生きること。
過去を悔やんでも始まらない。
未来を嘆いても始まらない。
とにかく今を、懸命に生きること。
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 結果主義)
●希望と落胆
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希望と落胆は、ある一定の周期をおいて、
交互にやってくる。
希望をもてば、そのあとには、必ず
落胆がやってくる。しかしそこで終わる
わけではない。
朝のこない夜はないように、落胆の
あとには、これまた必ず希望がやってくる。
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最近、何かと落ちこむことが多くなった。失敗(?)も重なった。調子も悪い。何をし
ても、空回りばかりしている。
で、そういうときというのは、おかしなもので、自分の書いた原稿に慰められる。つま
り自分で書いた原稿を読みながら、自分を慰める。今朝もそうだ。ふと自分に、『私たちの
目的は、成功ではない。失敗にめげず、前に進むことである』と言い聞かせたとき、それ
について書いた原稿を読みたくなった。
検索してみたら、3年前に書いた原稿が見つかった。
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【私たちの目的は、成功ではない。失敗にめげず、前に進むことである】
ロバート・L・スティーブンソン(Robert Louise Stevenson、1850-1894)と
いうイギリスの作家がいた。『ジキル博士とハイド氏』(1886)や、『宝島』(1883)
を書いた作家である。もともと体の弱い人だったらしい。44歳のとき、南太平洋のサモ
ア島でなくなっている。
そのスティーブンソンが、こんなことを書いている。『私たちの目的は、成功ではない。失
敗にめげず、前に進むことである』(語録)と。
何の気なしに目についた一文だが、やがてドキッとするほど、私に大きな衝撃を与えた。
「そうだ!」と。
なぜ私たちが、日々の生活の中であくせくするかと言えば、「成功」を追い求めるからで
はないのか。しかし目的は、成功ではない。スティーブンソンは、「失敗にめげず、前に進
むことである」と。そういう視点に立ってものごとを考えれば、ひょっとしたら、あらゆ
る問題が解決する? 落胆したり、絶望したりすることもない? それはそれとして、こ
の言葉は、子育ての場でも、すぐ応用できる。
『子育ての目的は、子どもをよい子にすることではない。日々に失敗しながら、それで
もめげず、前向きに、子どもを育てていくことである』と。
受験勉強で苦しんでいる子どもには、こう言ってあげることもできる。
『勉強の目的は、いい大学に入ることではない。日々に失敗しながらも、それにめげず、
前に進むことだ』と。
この考え方は、まさに、「今を生きる」考え方に共通する。「今を懸命に生きよう。結果
はあとからついてくる」と。それがわかったとき、また一つ、私の心の穴が、ふさがれた
ような気がした。
ところで余談だが、このスティーブンソンは、生涯において、実に自由奔放な生き方を
したのがわかる。17歳のときエディンバラ工科大学に入学するが、「合わない」という理
由で、法科に転じ、25歳のときに弁護士の資格を取得している。そのあと放浪の旅に出
て、カルフォニアで知りあった、11歳年上の女性(人妻)と、結婚する。スティーブン
ソンが、30歳のときである。小説『宝島』は、その女性がつれてきた子ども、ロイドの
ために書いた小説である。そしてそのあと、ハワイへ行き、晩年は、南太平洋のサモア島
ですごす。
こうした生き方を、100年以上も前の人がしたところが、すばらしい。スティーブン
ソンがすばらしいというより、そういうことができた、イギリスという環境がすばらしい。
ここにあげたスティーブンソンの名言は、こうした背景があったからこそ、生まれたのだ
ろう。並みの環境では、生まれない。
ほかに、スティーブンソンの語録を、いくつかあげてみる。
●結婚をしりごみする男は、戦場から逃亡する兵士と同じ。(「若い人たちのために」)
●最上の男は独身者の中にいるが、最上の女は、既婚者の中にいる。(同)
●船人は帰ってきた。海から帰ってきた。そして狩人は帰ってきた。山から帰ってきた。(辞
世の言葉)
(03―1―1)
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希望を高くもてばもつほど、必ずそのあとに、落胆がやってくる。希望通りにものごと
が進む例など、100に1つもない。1000に1つもない。
しかし希望のない人生は、そのものが闇。だからつぶされても、つぶされても、人は何
かの希望をもとうとする。そして再び、前に進もうとする。朝のこない夜はないように、
落胆のあとには、これまた必ず希望がやってくる。
こうして人は、希望と落胆を、周期的に繰りかえす。そして歯をくいしばりながら、前
に進む。
子育ても、また同じ。
そこで大切なことは、仮に子育てをしていて、落胆したり、ときには絶望感を覚えたと
しても、決して、それがドン底であるとか、終わりであると思ってはいけないということ。
私たちにとって大切なことは、『私たちの目的は、成功ではない。失敗にめげず、前に進
むことである』。
今朝は、この言葉に、私は慰められた。
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司
結果主義 林浩司 スティーブンソン はやし浩司 我らが目的 希望論 落胆 希望と
落胆)
2009年5月27日水曜日
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