2009年5月29日金曜日

*Sleepers' Effect

●仮眠効果(Sleeper Effect)

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心理学の世界に、「仮眠効果」という言葉がある。
「スリーパー効果」ともいう。

仮眠効果というのは、脳の中に入った情報が、しばらく仮眠したあと、
効果をもち始めることをいう。
子どもの世界では、こうした現象が、よく観察される。

たとえば子どもをほめたとする。
そのときは、子どもは「フン」と言って、軽く受け流す。
私の言ったことを深く考えない。
が、しばらく時間がたつと、つまりしばらく子どもの脳の中で仮眠したあと、
そのほめた効果が現れたりする。

「あのとき、林先生(=私)が、ぼくにこう言ってくれた!」と。

よく昔の恩師の話をしながら、「あのときあの先生が言ってくれた言葉が、
おとなになってから、ぼくの励みになった」という人がいる。
それも仮眠効果の現れとみてよい。

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●情報の熟成

情報というのは、脳の中に入った段階では、ただの(情報)。
それに加工を加えて、情報は情報としての意味をもつ。
(加工を加えることを、「思考」という。)
それまでは、たとえていうなら、座右に積み上げられた本のようなもの。
必要なときは取り出して読むが、そうでなければ、やがて脳みその中から消えていく。

が、ときとしてその情報そのものが、ひとり歩きすることがある。
ここでいう「仮眠効果」というのも、そのひとつ。
たとえば私が子どもをほめたとする。
そのときは、その子どもはそれを、軽く受け流す。
私が言った言葉に、重きを置かない。
たとえば、「君の空間思考力には、ものすごいものがある」と、私が言ったとする。
そのときは、子どもは、「そんなものかなあ……」と思ってすます。

が、しばらくしたあと、「空間思考力はすばらしい」という情報だけが、
脳みその中で熟成され、それが今度は、子どもの脳みその中で充満するようになる。
そしてこう思うようになる。

「ぼくは、空間思考能力にすぐれている!」と。

これは情報が、(仮眠)というプロセスを経て、効果をもたらしたことを意味する。
言いかえると、つまり教える側からすると、この仮眠効果をうまく使うと、子どもの
指導がうまくできる。

コツは、ポイントをとらえて、うまくほめる。
(叱ったり、欠点を指摘するときは、この方法は使ってはいけない。)
そしてその場では効果を求めない。
(求めても意味はない。)
それをブロックのように組み立てていく。

「君は、コツコツとやるところがすばらしい」
「式なんかも、だれが見ても、わかりやすい」
「考え方が緻密だね」と。

こうした情報は一度仮眠したあと、(私は「熟成」という言葉の方が好きだが……)、
子どもの脳みその中で、大きくふくらんでくる。
子どもの自信へとつながっていく。

もちろんそのとき、子どもは、私に誘導されたということは、覚えていない。
ほとんどのばあい、情報源は忘れてしまう。
だれに言われたかは、たいていのばあい、記憶に残らない。
しかし情報だけが、脳みその中に残り、その子どもを前向きにひっぱっていく。
これを「仮眠効果」という。

(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司
仮眠効果 スリーパー効果 情報の熟成 暗示 子どもの指導 林浩司)


Hiroshi Hayashi++++++++May. 09+++++++++はやし浩司

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