2012年6月17日日曜日

A Big Storm is coming from EU

●嵐の前の静けさ(EUの経済危機)「生き残り合戦」

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

現在(2012/06/17午後)、ギリシャでは、やりなおし選挙が行われている。
結果次第では、世界中の経済が大混乱すると言われている。
が、ギリシャがEUに残るにせよ、EUから去るにせよ、それ自体は大きな問題にはならない。
すでに世界各国は、それを予定し、それなりの準備をしている。
むしろ怖いのは、波及的効果。
スペイン、ポルトガル、イタリアが、そのあとに構えている。
昨今のニュースによれば、キプロスもあぶない。
ギリシャで燃え始めた小さな炎が、EU全体に広がってしまうかもしれない。

そこで、アメリカ(USA)、EU、日本の株価の動向を調べてみた。

(1)USA
USA market

(2)EU
EU Market

(3)日本
Japan Market

このグラフを見てもわかるように、この4月(2012年の4月)(最高値)前後から、日本とEUは、株価を、17%前後、さげている。
一方、アメリカだけは、たったの3・7%!

EUの金融危機問題と日本がいかに連動しているか、このグラフを見ただけでもわかる。
と、同時に、アメリカだけが、ひとり勝ち。
そのこともこのグラフを見ただけでもわかる。
(私もこの3つのグラフを並べてみて、驚いた!)

ここにアメリカのしたたかさというか、アメリカの国家的な経済戦略が見え隠れする。
アメリカにしてみれば、ユーロの台頭は、同時にアメリカ・ドルの弱体化を意味する。
言い換えると、ここでユーロを叩いておけば、その分だけ、アメリカ・ドルは安泰。
もちろんアメリカとて、無傷ですむわけではない。
そこでアメリカが取った戦略は、肉を切らせて、相手の骨を切る。

で、心配なのが、この日本。
おバカ、日本。
本来なら蚊帳(かや)の外であるはずの日本が、EUの株価とほぼ同じような動き方をしている。
ともに17%の下落率(2012年4月~現在)というのも、そのひとつ。
どうしてか?

平たく言えば、日本とEUは、一蓮托生?
「EUの経済危機問題は、遠い海の向こうの話」などと思っていると、とんでもないことになる。
少なくとも、世界は、そう見ている。
「EUのつぎは、日本!」と。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

●借金合戦

 デフレになったら、お金をバラまけばよい……と、私たちは中学生のときに、社会科の授業で、そう習った。
簡単な理屈である。
そこで世界中の国々が、借金に借金を重ね(=国債を発行し)、中央銀行の印刷機を回した。
アメリカなどは、昨年(2011年)だけでも、その前年度(2010年)の3倍ものドル札を印刷した。

 言うなれば、印刷合戦。
借金合戦。
それに負けじと、新興国も、あとにつづいた。

 が、アメリカドルは、強い。
いくら印刷しても、それをほしがる国がある以上、一向に困らない。
EUのユーロがあぶない、日本の円があぶないと危惧されればされるほど、アメリカにとては、有利。
今が、そうだ。
そのことは、冒頭にあげた、株価の動向を見ればわかる。
アメリカだけは、たったの3・7%の下落率で抑えている。

 EUや日本がこければ、そのあと、アメリカのドルは、さらに強くなる。
つまりそれがアメリカの経済戦略。
長期戦略。

(アメリカという国は、本当にすごい!
2000年以後、ノーベル経済学賞の受賞者は、23人。
うち21人が、アメリカ人!
残りの2人は、ノルウェー人とイギリス人。)
そういうアメリカを相手に、日本など、もとから戦えるわけがない。)

 で、この日本は、あまりにも優等生過ぎる。
アメリカの言いなりになり、IMFに5兆円も拠出している(2012年)。
(これに対して、アメリカはゼロ回答。)
どうせ最後にババを引くのは、この日本。
それがわかっていて、5兆円!
どうして日本は、もっと泥臭く、行動できないのか?

……というか、すでに日本は、EU経済にあまりにも深入りし過ぎてしまった。
今さら、手を引くに引けない……そういう状況になってしまった。
つまり一蓮托生。

●嵐

 ギリシャのやりなおし選挙で、どういう結果が出るにせよ、この嵐を収めることは、もうだれにもできない。
日本もそうだが、今さら、印刷しまくった現金を回収するなどということは、不可能。
その(ひずみ)は、産業構造力の弱い国に集中する。
ギリシャやポルトガルは、その一例にすぎない。

 新興国にしてもそうだ。
たとえばここにブラジルのレアル札があったとする。
が、だれもそんなもの、ほしがらない。
(だからレアルは、昨年は1円=55レアルだったが、現在38レアルまで下落。)
インドのルピーにしても、そうだ。

 もちろんこの日本もあぶない。
が、先日、オーストラリアの友人は、こう書いてきた。
「日本はだいじょうぶだろう」と。
オーストラリアの国防省で、アジア分析を専門にしてきた友人である。
「日本には技術力があるから」とも。

 ワインやオリーブでは、この世界で生き残ることはできない。
しかし技術力があれば、生き残ることができる。
友人は、それを言った。

 で、明日から世界は、未曾有(みぞう)の嵐に巻き込まれる。
巨大な台風を何個も集めたような嵐である。
が、日本はふんばる。
こういうときは、最後までふんばった国が勝ち。
お人好しは禁物。
食うか、食われるか。
壮絶な生き残り合戦。
その緊張感だけは、失ってはいけない。

 さあ、がんばろう。
どうであれ、明日はかならずやってくる。
2012/06/17夕方記

追記:先のオーストラリアの友人は、こうも書いてきた。
「韓国には気をつけろ。これ以上、日本は技術を奪われてはいけない」と。

●世界のノーベル経済学賞受賞者(参考)
http://www.ylw.mmtr.or.jp/~gifu-cea/data/nobel/economics.htm


Hiroshi Hayashi+++++++June. 2012++++++はやし浩司・林浩司

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