2011年11月22日火曜日

*Men tire themselves in pursuit of rest

●『休息を求めて疲れる』"Men tire themselves in pursuit of rest."

 Laurence Sterne(ローレンス・スターン:1713~1768)の言葉という(「英語で読む世界の名言サイトより)。
『イギリスの小説家。奇抜な発想とスタイルを持った作品が多い』(同サイト)とある。

 が、ネットで調べてみると、Florence Nightingale(フロレンス・ナイチンゲール)の言葉という説もある。
あのナイチンゲール(1820-1910)である。

生年月日でみるかぎり、Laurence Sterneのほうが先ということになる。

 ……しかし何よりも驚くのは、こうした調べが、私の小さな書斎で、しかも瞬時にできてしまうということ。
以前は、図書館まで出かけ、1日仕事だった。

 で、私はこの言葉を、1970年に、オーストラリアで知った。
オーストラリアの友人の、いつもの口癖だった。
それで耳に残った。
が、訳は私がつけた。
『休息を求めて疲れる』。

 もっともだれが訳しても、同じ訳になる。
Men tire themselves in pursuit of rest.……「直訳すれば、人は休息の追求の中で、自らを疲れさせる」ということになる。
が、これではおかしい。
だから「休息を求めて疲れる」と。
20年ほど前に書いた本の中で、この格言を紹介した。
が、その訳で検索をかけてみると、460万件近くもヒットした。

 が、何よりもすばらしいのは、こうして過去と現在が、ひとつの格言を通してつながること。
「あのとき、あの人が言った言葉は、Laurence Sterneの言葉だったのだ」と。

 繰り返しになるが、この格言は、愚かな生き方の代名詞のようにもなっている。
言外で、「そういう生き方をしてはいけませんよ」と。
今日はこの言葉を、肝に銘じたい。

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はやし浩司 休息を求めて、疲れる)

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10年ほど前、中日新聞に書いた
コラムを紹介する。2011/11/22

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 ●「休息を求めて疲れる」。

 イギリスの格言である。愚かな生き方の代名詞にもなっている格言でもある。
「いつか楽になろう、なろうと思っているうちに、歳をとってしまい、結局は何もできなくなる」という意味である。「やっと楽になったと思ったら、人生も終わっていた」と。

 ところでこんな人がいる。
もうすぐ定年退職なのだが、退職をしたらひとりで、四国八八か所を巡礼をしてみたい、と。
そういう話を聞くと、私はすぐこう思う。「ならば、なぜ今、しないのか?」と。

私はこの世界に入ってからずっと、したいことはすぐしたし、したくないことはしなかった。
名誉や地位、それに肩書きとは無縁の世界だったが、そんなものにどれほどの意味があるというのか。
私たちは生きるために稼ぐ。稼ぐために働く。これが原点だ。

だから○○部長の名前で稼いだ100万円も、幼稚園の講師で稼いだ100万円も、100万円は100万円。
問題は、そのお金でどう生きるか、だ。
サラリーマンの人には悪いが、どうしてそうまで会社という組織に、義理立てをしなければならないのか。

未来のためにいつも「今」を犠牲にする。
そういう生き方をしていると、いつまでたっても自分の時間をつかめない。
たとえばそれは子どもの世界を見ればわかる。
幼稚園は小学校の入学のため、小学校は中学校や高校への進学のため、またその先の大学は就職のため……と。社会へ出てからも、そうだ。
子どものときからそういう生活のパターンになっているから、それを途中で変えることはできない。
いつまでたっても「今」をつかめない。つかめないまま、人生を終わる。

 あえて言えば、私にもこんな経験がある。
学生時代、テスト週間になるとよくこう思った。「試験が終わったら、ひとりで映画を見に行こう」と。
しかし実際そのテストが終わると、その気力も消えてしまった。
どこか抑圧された緊張感の中では、「あれをしたい、これをしたい」という願望が生まれるものだが、それから解放されたとたん、その願望も消える。

先の「四国八八か所を巡礼してみたい」と言った人には悪いが、退職後本当にそれをしたら、その人はよほど意思の強い人とみてよい。
私の経験では、多分、その人は四国八八か所めぐりはしないと思う。退職したとたん、その気力は消えうせる……?

 大切なことは、「今」をどう生きるか、だ。
「今」というときをいかに充実させるか、だ。明日という結果は明日になればやってくる。
そのためにも、「休息を求めて疲れる」ような生き方だけはしてはいけない。
(以上、中日新聞のコラムより)

++++++++++++++++++はやし浩司2011/11/22

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