2011年11月9日水曜日

*Ito-City and Gotenba, Shizuoka, Japan

【伊豆から、御殿場へ】(はやし浩司 2011-11-08)
●伊東市で講演+時之栖(ときのすみか)に一泊

●新幹線の中

 静岡までひかりで行き、静岡駅で、こだまに乗り換える。
乗り換え、熱海まで。
熱海から、伊東まで。
予定では、8時20分前後に、伊東へ着くはず。

●世界経済

 JR浜松駅では、週刊誌(「週刊現代」)と、タブロイド紙の「日刊ゲンダイ」を買う。
いつもならパソコン雑誌を買う。
気分を和らげるなら、パソコン雑誌がいちばんよい。
私(的)には……。

 が、今は緊迫の度をます、世界経済。
それが気になる。

●株

 昨日、X証券とは、完全に縁を切った。
口座に残った金額は、ゼロ。
いつもの社員に電話をかけたが、「接客中です」の繰り返し。
何も怒っているわけではないが、私を避けている雰囲気が、アリアリ。
(そう言えば、どうもこのところX証券の動きが、おかしい?)

 すでに3月のはじめの段階で、日本経済の先行きに暗雲が漂い始めていた。
そのとき私は手持ちの株をすべて売り払った。
その直後に、あの3・11大震災。
ギリギリのセーフだった。
(売り損ねた人も多いと思うが、ゴメン!)

●投資信託

 金融商品には、大きく分けて、3種類ある。
株投資を中心にしたもの。
債権投資を中心にしたもの。
それに外貨(FX)取り引きを中心にしたものもある。
それらの混合型も、もちろん、ある。

 今回、大きく被害を受けた人は、株投資型の金融商品に手を出した人。
が、そこへきて、今度は、債券投資もあぶなくなってきた。
個人だけではない。
たとえば先ほど買った「日刊ゲンダイ」紙によれば、三菱UFJファイナンシャルだけでも、イタリア国債を、2600億円分も保有しているという。
第一生命保険は、イタリアとスペイン国債を、3000億円分も保有しているという。
日本全体で、1兆円(同紙)というが、実態は不明。

●イタリアの金融危機

 そのイタリア。
今朝、出かける前に確かめると、国債の金利が、6・6%を超えていた(11・8朝)。
昨日までは、6・5%だった。
7%を超えると、実質的にデフォルト状態という。

 ペイオフ制度で、銀行のばい、預金は1000万円まで保証される。
しかし外貨預金は、その対象外。
(対象外ということは、1円も戻ってこないということ。)
証券会社は、繰り返し、「分別保管していますから、安全です」と言う。
しかしそんな言葉を信ずる客は、いない。
先に倒産したアメリカのE銀行のばあい、巨額の顧客資金が行方不明になっている。
仮に保証されても、顧客は、どこでどのようにして、自分の債権の取り立てをすればよいのか。
とくに私のようにネットで取り引きしている者は、その証拠となる「書類」そのものがない。
セゾン投信代表取締役社長の中野晴啓氏自身ですら、「投信は今すぐ、手放せ」と論じている(「週刊現代」11・19日号P39)。

●大恐慌のあと……

 で、私はいつも、その先を考える。
大恐慌は避けられないもの。
からなず、やって来る。
すでにその真っただ中にある。
で、問題は、その先。
日本も大被害を受けるが、日本は、どう立ち直っていくか。
とくに教育の分野において、どう立ち直っていくか。
が、私はそれについては、あまり悲観していない。

●頭脳と組織

 たとえばタイへ進出した企業がある。
中国でもよい。
現地でモノを作ることはできても、研究開発はできない。
結局、研究開発は、日本国内で……となる。
日本は、その「日本国内で……」という部分で生き残る。

 加えて日本人がもつ勤勉性。
日本に住んでいるとそれがわからないかもしれない。
しかしあのオーストラリアにしても、なぜ大企業が育たないかといえば、その勤勉性がないから。
もう少し正確には、「組織的勤勉性」。
それがない。
その一言に尽きる。
独立精神が旺盛なのはよいが、それがかえって災いし、「組織」が育たない。
組織が育たないから、組織的な研究や開発ができない。

 この2つ、つまり「頭脳」と「組織」が、大恐慌のあと、この日本を再生させる。

●教育

 が、後発組の国とて、手をこまねいているわけではない。
アジア各国は、日本に追いつけ、追い越せを合言葉にしている。
すでに国民1人当たりの所得では、日本はシンガポールに抜かれている。
経済大国、世界第二位の地位は、中国に明け渡した。

 そこで日本は日本として、独自の教育を組み立てる必要がある。
「世界と同じことをしていて、世界に勝てるわけがない」。

●数学

 わかりやすい例で考えてみよう。
たとえば小学1年生では、(数)→(足し算)→(引き算)→(繰り上がりのある足し算)→(繰り下がりのある引き算)→……と、学習を進めていく。

 しかしこんなカリキュラムでは、子どもを算数嫌いにするだけ。
おもしろくない。
つまらない。

 そこで発想を変える。
1~10までの数の範囲でも、方程式を教えることができる。
分数だって、少数だって教えることができる。
鶴亀算はもちろん、正負の数、棒グラフ、折れ線グラフだって、教えることができる。
そういう発想に切り替える。
どうできるかは、またそれにはどうしたらよいかは、私の「BW公開教室」を見てほしい。

http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/

 繰り返す。
今のような「形」にこだわった教育では、これからの日本を支えることはできない。
つまりそういう子どもを育てることは、できない。

●三島

 時間が飛ぶ。
2時間ほど前に、伊東市での講演を終えた。
そのあと電車を乗り継いで、ここ三島へやってきた。
たった今、昼食を終えたところ。
このあとシャトルバスに乗って、「時之栖(ときのすみか)」というホテルに向かう。
三島駅から40分ほどの距離という。
今、そのバスをまっている。

 伊東市では、佐々木教育長※と、1時間ほど話をする機会があった。
いろいろな話をした。
久々に有意義な時間を過ごした。
同じ団塊の世代。
意見がことごとく一致した。
同志を得たような、喜びを感じた。
うれしかった。

●たくましさ

 現代の子どもたちに欠けるものと言えば、「たくましさ」。
その一言に尽きる。
小学1年生でも、いじめられ、泣くのは男児。
いじめ、泣かせるのは女児。
が、本当のたくましさは、生活力で決まる。

 数日前、あのタイの大洪水のニュース記事を読んだ。
その中に、こんな記述があった。

 何でも洪水をせき止める土のうの上で、屋台を開いている人がいるという。
職を失った若い女性が、舟を借り、ソーセージを焼いて売っているという。
私が言う「たくましさ」というのは、それをいう。

 私が20代のころは、この日本にも、そうしたたくましさが残っていた。
私自身も、そういう生き方をしてきた。
が、今、そのさくましさが消えた。
その結果が、今!

 この先、この日本人は、海千山千の、それこそ海賊や山賊のような外国人を相手に、どうやって戦っていくというのか。
佐々木教育長も、それを心配していた。

(※佐々木教育長……伊東市教育長 佐々木誠氏)

●損得論

 昨夜、損得論について書いた。
何をもって「得」といい、何をもって「損」というか。
その判断は、人によってみなちがう。
つまり人、それぞれ。

 しかし大切なことは、2つある。
それがどんなものであれ、損得論ほど、個人的な幻想に包まれたものはないということ。
私がもっている損得論が正しいというわけではない。
同じように、あなたがもっている損得論が正しいというわけではない。
人々は、それぞれの損得論をもち、その範囲で、「得をした」「損をした」と右往左往する。

 数年前に亡くなった、アメリカ人の友人は、いつもこう言っていた。
「ヒロシ、友だちの数こそが、財産だよ」と。
そういう損得論もある。

●金権教

 金権教については、たびたび書いてきた。
自分自身への戒めの意味もある。
私たち日本人は、戦後、それまでの神国日本教を捨て、金権教に走った。
「国のため」が、「会社のため」となり、さらに「金(マネー)のため」となった。

 金銭的な得を、「得」といい、損を、「損」と、言うようになった。
またそういった基準で、仕事を考え、生き様を考えた。
が、そこはまさにゲームの世界。
お金がなければ、人はたしかに不幸になる。
しかしお金では、幸福は買えない。

●バスの中で

「私たち、今までこうして無事で来られてよかった」と。

 その意味が、今になって、つくづくとよくわかる。
もしそれを「得」と考えるなら、私たちは本当に得をしたことになる。
が、それを声に出して言うことはできない。
そこにだれか相手がいるなら、なおさら。
この世の中、そうでない人も多い。
病気や事故で苦しんでいる人も多い。
金銭的なトラブルや人間関係で苦しんでいる人も多い。

そうした人もいるから、「得をした」という思いは、しっかりと心の中に封印する。
それに、今はそうであっても、この先のことはわからない。
明日、その「無事」が、どこかへ飛んで消えるかもしれない。
だからよけいに口が重くなる。

●時之栖(ときのすみか)

 選択をまちがえたかな……?
ホテルといっても、ロッジ。
ブルーベリーロッジ、スローハウスヴィラ。
部屋に入って外を見ていると、女子中学生らしい一群が、ロッジの中へ消えていった。

 部屋は4部屋ある。
和室、ベッドルーム、洗面所+風呂+トイレ、それにこの居間+台所。
広さはそれぞれ8畳ほど。
ホテルや旅館とは、まったく趣を異にする。
どこかのマンションを借りて入ったよう。
あるいはどこかの有料老人ホームに入ったよう。
よく言えば、外国の大学の家族寮のようでもある。

 あまり楽しくない。
生活臭が強すぎて、旅館に泊まったというな実感がない。
ついでに言えば、旅行で来たというような実感もない。
好き好きもあるだろうし、何とも言えないが、星は2つ?
(あとで、星は4つに上昇。その理由は、あとで……。)

 造りはカナダ風(ロッジの説明書)とある。
「そうだろうな……」と思いつつ、あちこちを部屋の中を探索する。

●林檎の湯(りんごのゆ)

 風呂は、「林檎の湯」だそうだ。
歩いて数分のところらしいが、今夜はこのまま冷えそう。
風呂へ行くためには、一度、部屋を出て、外気の中を歩かねばならない。
だいじょうぶかな?

 また低い雲に隠れて見えないが、目の前には富士山がそびえ立っているはず。
この御殿場は、同じ静岡県の中でも、毎年、初雪が、もっとも早く降る。


 入浴は4時から~とある。
時刻は現在、3時42分。
ほかにも2つの温泉施設がある。
一眠りしてから行こうか、それとも夕食後に行こうか……。
目下、思案中。

●入浴
 
 林檎の湯は、よかった。
客は私、1人だけ。
途中からもう1人、客が入ってきたが、フレンドリーな人だった。
「結構、寒いですね」と声をかけると、ハハハと笑ったあと、「そうですね」と。
そのあと、いろいろ、話がはずんだ。

 浴室で体を洗ったあと、露天風呂に飛び込んだ。
湯加減もよく、気持ちよかった。

●部屋

 今日は「朝食のみ、貸し切り風呂」の料金ということで、1人1泊7500円(ジャラン)。
何かの目的があれば別だが、わざわざこうしたロッジに泊まりに来る客はいない。
フロントで聞くと、スポーツ選手やその団体が、よく泊まりに来るという。
隣には、サッカー場もある。

 私は、居間+台所が気に入った。
ごくふつうの家の台所といった感じ。
ここでなら、思う存分、文章が書ける。

●本

 何冊か、本をもってきた。
ほかに週刊誌や新聞など。
これだけ情報が氾濫しているにもかかわらず、どうも落ち着かない。
「もっと知りたい」というより、知れば知るほど、底が抜けていくように感ずる。
底が抜けていくから、結論が出せない。

 ネットであちこちのニュースサイトを読みあさる。
とくに経済ニュース。

特筆すべきは、オリンパス工業の株価、大暴落。
つづいて野村證券の株価、暴落。
野村證券は、オリンパス工業の「主幹」証券会社になっているという。

(主幹という意味が、よくわからない。
風説によれば、野村證券の元社員が、オリンパス工業の株価大暴落の裏で、インサイダー取り引きを指南していたという。
野村證券側は、即座に否定会見を行ったが、時、すでに遅し。
40%と言われる外国人を中心にした投資家が逃げた(Bloomberg)。
今日の終値は、240円前後。
43円安(15%安)。
一時は、2500円前後(2000年ごろ)もあった。
そのときと比べると、10分の1以下。
「すでに200円割れも視野に入っている」とか。)

 しかし……。
オリンパス工業は、損失を先送りしながら、投資家をだましたということになる。
こうした手法を使ったのは、本当にオリンパス工業だけなのか。
ほかにもあるのではないのか。
それが証明されないかぎり、私たちはますます株式市場を信用しなくなる。
仮に天下の野村證券がそういうインチキに加担していたとするなら、これはとんでもない話。
詐欺以上の、詐欺。

●ラッキー!

 夕方、時之栖の中を散策してみた。
とたん、目に飛び込んできたのが、イルミネーションのアーチ!
それが数百メートルにわたって、つづいていた。

 私とワイフは、まっすぐそのアーチの中に飛び込んだ。
うわさには聞いていたが、これほどまでのものとは想像もしていなかった。
ワイフは何度も「天国みたい」と言った。
私はなんども「夢の中みたい」と言った。

 本格的な展示は、11月10日からという。
(今日は11月8日。)
最後の仕上げ作業ということで、試運転を始めていた。
途中、作業員の男性に、「今夜は何時までですか?」と聞くと、「6時までだよ」と。
時計を見ると、まだ5時少し前。

 私とワイフは、天国と夢の中を歩いた。

●訂正

 時之栖は、旅行で来るようなところではないと、先に書いた。
しかしそれはまちがいだった。
帰る途中、時之栖美術館とBOOKS&CAFEに寄った。
BOOKS&CAFEでは、軽い夕食をとった。

 温泉も3か所、ある。
気楽坊、茶目湯殿、それに林檎の湯。
ホテルもあり、もちろんホテルの中にもあるという。
もちろん目の前には、富士山。
時之栖だけを目的に来ても、じゅうぶん楽しめる。

 「先に星は2つ」と書いたが、星は4つにUPの、★★★★。
ホテルに泊まって、東海地方イチという、イルミネーションのアーチをくぐるのもよい。
小さいが、3-D劇場というのもある。
手づくり工房というのもある。
地元のみやげ物を売っている。

 家族で来ても、じゅうぶん、楽しめる。

●リラックス

 講演のできは、最悪だった。
あれも話そう、これも話そうと、話を広げすぎてしまった。
そのため途中で、あせってしまった。

その分、早口になったが、舌のほうが、それについてこなかった。
 
 で、こういうときは、あまり気分がよくない。
ワイフは、「よかったわ」と慰めてくれたが、それを聞くのも、つらい。
講演のあと、今にいたるまで、その話題は、避けている。

●仮眠

 6時ごろ、仮眠をとった。
2時間ほど、眠った。
深夜の貸し切り風呂になるまで、あと数時間。
フロントの女性は、「(午後)11時半からです」と言った。

 ローソクの灯で、日本酒つきの貸し切り風呂へ入れるという。

●相談

 今日、講演に来てくれた人から、早速、相談が届いていた※。
いわく、「家庭で、いくらしつけをしても、実家などへ帰ったとき、それが破られてしまう。
あまりうるさく言うのもどうかと思い、黙っているが、そういうときは、どう考えたらよいか」と。

 答……何ごとも完ぺき主義は、よくない。
とくに子育てでは、そうで、子どもはファジー(あいまいな部分)で息抜きをする。
またその部分で、伸びる。
言うべきことはいいながらも、あとは子どもに任す。

 というのも、(しつけ)の中身が問題。
日本で(しつけ)というと、(細かい作法やマナー)が多い。
「ウソをつかない」とか、「約束を守る」というのは、世界共通、普遍的な(しつけ)ということになる。
一方、「食事の間は席を離れない」(相談者)などというのは、つまりは作法。
それが破られたからといって、子どもの人格に影響を与えるということはない。
私など、食事中に、いつも席を離れている。

 問題とすべきは、子どもの(しつけ)ではなく、その相談者の完ぺき主義。
程度の問題もあるが、度を越すと、育児ノイローゼになる。
詳しくは、YOUTUBEで。



●YOUTUBE

(注※)「こんにちは、はじめまして。
今日の講演会でお話を聞かせていただきました。
質問したかったのですが手をあげれなかったのでコメントしました。

お話の中の「責任論」につながるんでしょうか、
躾というか、家でのルールがあるのですが、場所が変わると通せなくなり、うやむやになったりします。

例えば、食事中に立ち上がったら食事は終わり、が、家では出来るのですが、実家などでは難しくなります。
周りに厳しい、可愛そうみたいにされてしまうと、私が間違いみたいな状態になってしまうのではないかと思ったりもします。

場所が変わっていることを子供が分かっているので、ルールがリセットされる事はないのですが複雑です。
教えていただけたら嬉しいです。」(以上、ココログへのコメントより)

●11月8日

 現在、時刻は、午後10時45分。
もうすぐ今日も、終わる。
私とワイフは、テーブルに相向かって座り、それぞれ勝手なことをしている。
私はパソコンを叩き、ワイフは、雑誌を読んでいる。
ときどき話しかけてくる。
適当に、私はそれに答える。

 PRESIDENT誌(11・14日号)に、おもしろいことが書いてある。

●幸せなお金持ちの共通点(PRESIDENT誌より)

(1)人と自分を比べない。
(2)がんばらない。
(3)競争しない。
(4)ギラギラしない。
(5)ジタバタしない。
(6)苦労しない。
(7)自己投資している。
(8)大きく発想する。
(9)大きい挫折の経験がある。
(10)好きなことで成功している。
(11)人のためを考えている。
(12)さわやかな図々しさがある。
(13)夫婦仲がよい。(以上P43)

 つまり金持ちかどうかは、収入の額によって決まるのではなく、生き様の問題ということらしい。
本文の中に、こうある。

『夫婦仲がよくないと、お金は残りません。
夫婦間にストレスがあって、それを手っ取り早く解消する方法は、お金を使うことだからです。
反対に、夫婦仲がいい家庭は、お金を使わない傾向がありますね。
家でパスタでもつくって、映画でも観ていれば、それだけでハッピーなんです』(同誌)と。

 (1)~(13)項目の中で、「さわやかな図々しさがある」というのは、どういう意味か。
それをワイフに聞くと、こう教えてくれた。
「図々しいけど、イヤミのない人ね」と。

 ウ~ン、ナルホド?
わかったような、それでいてわからない説明だが、へんに納得。

●福島県の人

 先ほど、フロントの女性に聞いた。
何でもこのロッジには、福島県からの避難してきた人たちが住んでいるという。
フロントの女性は、「女の子たち」と言った。
その言葉通りとするなら、集団で、女の子たちだけが、避難しているということになる。
ここへ着いたとき見かけた女子中学生風の子どもたちは、彼女たちだったかもしれない。

 浜松市にも、福島県からの避難者が来ているという。
私は直接的には知らないが、子ども(生徒)たちから、そういう話を聞いている。
「福島から転校生が来たよ」と。

●カナダ風ロッジ

 このロッジは、カナダ風という(宿の案内書)。
カナダ規格で建てられたロッジにちがいない。
廊下も幅が広く、ドアの高さも高い。
キッチンも高い。
全体に大ざっぱだが、がっしりとしている。

 どこか外国のモーテルに泊まっているよう。
だんだんと、そういう気分になってきた。
つまり気に入ってきた。

●自己投資

 幸せなお金持ちの共通点(PRESIDENT誌より)の(7)に「自己投資」という言葉が出てくる。
自己投資……たいへん重要なこと。

とくに60歳を過ぎたら、重要。
努めて、自己投資する。
というのも、60歳を過ぎると、どうしてもケチになる。
金銭的にケチになるというよりは、自分の保守的な部分が削られるのを、恐れる。
守銭奴ならぬ、守「我」奴になる。

 自己投資ということは、つまりは新しい「我」を、どんどんと注入すること。
そうでなくても、知恵や知識は、容赦なく、こぼれ出て行く。
努めて補充していかないと、要するに、バカになる。
保守的になる。
その「努めて」という部分が、「自己投資」ということになる。
具体的には、「しっかりと金を使え」ということか。

●自己投資

私「なあ、自己投資しろとあるよ」
ワ「どうせまた、パソコンが欲しいと言うのでしょ」
私「ビンゴー(当たり)」
ワ「自分の都合のいいように解釈しないほうがいいわよ」
私「そうかなあ……」と。

 パソコンという機器は、いくら高性能でも、数年たてばただのパソコン。
たとえば数年前、私は当時では最先端を行くデスクトップ・パソコンを買った。
が、今では、ノートパソコンでも、同等の性能をもっている。
言い換えると、パソコンという機器は、使い倒してこそ、価値がある。
飾ってしまっておくようなものではない。

●富士山

 先ほど露天風呂の鍵をFRONTへ返しに行ってきた。
そのときFRONTの男性に、「富士山はどちらですか?」と聞くと、指をさしながら、「そこ!」と言った。
「目の前です」と。

 ついでに天気も調べてくれた。
「明日は快晴ですね」と。

 これまたラッキー。
最近、旅行に恵まれている。
どこへ行っても、「ラッキー」がつづく。

●ロッジ
 
 昼間見たら、さびれたロッジだった。
が、夜のロッジには、独特の風情がある。
都会のホテルのよな冷たさが、ない。
反対に人間的な温もりすら覚える。

私「あのなあ、老人ホームってさあ、こうでなくちゃあ」
ワ「そうねえ。オーストラリアで見たオールドマン・ビレッジ(老人村)によく似ているわね」
私「ぼくも、そう思っていた。二階部分を取り払ったら、まさにオールドマン・ビレッジだ」と。

 またまたケチをつけて、恐縮だが、日本の老人ホームは、お金のかけ過ぎ。
どこも一流ホテル以上。
お金をかければ、それでよいというものではない。
それがわからなければ、日本の役人も、一度、オーストラリアのオールドマン・ビレッジを見学してくることだ。
一戸一戸、それぞれが別棟になっていて、庭もある。
その横には、幼稚園が併設されている。

●就寝

 FRONTでもらった日本酒。
それをワイフが飲み始めた。
私が泊まった、「貸し切り風呂付きコース」には、こうしたサービスがついている。

 「これ発泡酒よ」と言って、今、テーブルに置いてくれた。
「フ~ン」と言って、私はそれを横目で見る。
今日も、これでおしまい。
忙しかったが、それだけ。
成果、なし。

 明日は、午前9時25分にここを離れ、三島駅で10時過ぎの新幹線に乗る。
昼までには、家に帰れるだろう。
途中、義兄に、みやげを届けるつもり。

 ……では、このつづきは、また明日!
Have a good Nite!

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

●11月9日

 朝、7時にモーニングコール。
部屋というより、ロッジ中に響き渡るような大音響だった。
ジリジリジリ……、と。

 目覚ましにはなったが、そのあとすぐ、また夢を見た。
ほんの数分のことではなかったか。
どこかの体育館のようなところにいた。
いろいろな人がいた。
何でもない夢だった。

 起き上がって、「目覚ましが鳴ったあと、夢を見た」と告げると、ワイフは怪訝(けげん)そうな顔をしてみせた。

●朝食

 朝食は近くの朝食センターでとった。
窓の外には、サッカー場が見えた。
どこかの女子チームが、三角のポールを並べているところだった。

 私は和食。
ワイフは洋食。
「9時25分のバスで帰ろうか?」と聞くと、「あわてなくてもいいんじゃない?」と。
朝食のあとのコーヒータイム。
ゆるやかに時間が流れる。
頭の中はまだぼんやりとしている。
まだ夢の中。

●散歩

 朝食のあと、あちこちを散歩した。
お薦めは、『茶目湯殿』。
風情のある建物で、もし時之栖(ときのすみか)に泊まるようなことがあれば、ぜひ行ってみたらよい。

 ほかにもいろいろな催し物が用意されている。
スケート場もある。
私自身は寒いのが苦手。
だから冬場に来ることはない。
来るとしても、春。
今度は来年の春にでも、もう一度、来てみたい。

●批評

 時之栖(ときのすみか)について、ほめてばかりいては、いけない。
全体としてみると、随所に(やる気なさ)が感じられる。
看板は立て放題。
美的感覚も乏しい。
路上の三角ポールに張りつけた紙も、風に舞ってパラパラしている。
建物の形、色づかいにも統一性がない。

 あと数歩崩れると、全体として町中の小さな公園風、もしくはさびれた遊園地風になる。
要するに、手当たり次第というか、その場、その場で、とってつけたような建物が無造作に並んでいる。

 この不況下。
何かとたいへんだろうとは思うが、唯一の救いは、料金が安いこと。
ときにこれからの冬場は楽しそう。

●鼻水

 帰りのバス。
軽い鼻水が出る。
風呂から出たあと、風邪をひいたらしい。
今のところ、症状は鼻水だけ。

●新幹線の中で

 今ごろになって、眠気が襲ってきた。
横では、ワイフが「サンデー毎日」を読んでいる。
「雅子さまの高まるストレス」というタイトルの記事を読んでいる。
女性というのは、皇室でのできごとが気になるものらしい。
よく知っている。

昨日も、「雅子さんは~~だけれども、紀子さんは~~」と、詳しく説明してくれた。
まるで知人か友人でもあるかのように、性格分析までしてくれた。
私は「どうしてそんなことを知っているのだろう?」と思いながら、聞いた。

が、私自身は、ほとんど興味がない。
大切なことは、そっと静かにしておいてやること。
どんな家庭にも、問題がある。
問題のない家庭など、ない。

 それにしても、眠い。
「家に帰ってから寝よう」と言うと、「うん」とワイフは言った。

●新富士

 列車は新富士に着いた。
FRONTの男性は「明日は(=今日は)、快晴」と言った。
ところが起きてみると、どんよりとした雲が、低く垂れ下がっていた。
新幹線の中からも、そうだろう。
向かって太平洋側の席に座ったこともある。
私は見上げることもなく、パソコンを開いたまま、まどろみ始めた。

 ……こんな話をした。

「もし、敦賀原発(福井県)が事故を起こしたら、岐阜県は全滅する。
少し間をおいて、静岡県も全滅する。
そのときは、逃げるしかないね」と。

 浜岡原発(静岡県御前崎町)については、すでに行動計画は立ててある。
間髪を入れず、即、避難。
風向きにもよるが、浜松市は一夜にして、高汚染地帯に入る。
政府の避難勧奨など、まったくアテにならない。
アテにならないことは、一連のフクシマで証明された。

 が、どこへ避難するか?

 ……放射線を浴びても、症状が現れるのは2~5年後(チェルノブイリ)。
だったら、寿命のほうが先にくる。
そんな意見もある。
しかし放射線のような得体の知れないもので、寿命を縮めることはない。
そこらのチンピラにからまれ、怪我をするようなもの。
死ぬときになって、「原因は、あの原子力発電所の事故によるでは?」と疑うことくらい、無念なものはない。
はっきりと因果関係がわかっていれば、まだ救われる。
恨んで死ぬことができる。
が、それもあいまいなままだと、恨んで死ぬこともできない。
つまり生殺し!

 土俵際に立たされたような私だが、まだまだふんばってやる!

●静岡

 新幹線は、静岡駅を離れた。
窓の下には、大井川が見える。
今回の講演旅行も、終わりに近づいてきた。

 ところでボケには、転地療法がよいという。
もちろん予防にもなる。
称して「転地予防」。
部屋の様子が変わるだけでも、脳みそへの刺激になる。
ワイフもそう言った。

 これからも機会を見つけ、もちろん懐(ふところ)とも相談しながら、転地予防をつづけたい。
肉体の老化もこわいが、脳みその老化は、もっと、こわい。
私が私でなくなってしまう。
そう言えば、先ほどバスの中で、うしろに座った老夫婦が、こんな話をしていた。
何でもその老夫婦の知人が、認知症になってしまったという。
そこで家族がその老人を、施設に入れた。
が、入れたとたん、その老人が盲目になってしまったという。
恐らく緑内障か何かになったのだろう。
一時的でも、強力なストレスが加わると、それまでボヤボヤとしていた持病が一気に悪化する。
そういうことは多い。
いくら認知症になっても、まだ「心」は残っていた。
私はその老夫婦の話を、そのように理解した。

 窓の外には、寒々とした冬の景色が広がっている。
こういうときは、気分まで暗くなる。
ア~ア、暖かい布団に入って、昼寝をしたい!
列車は、掛川駅に止まった。
つぎは、浜松駅。

(伊豆、御殿場、講演旅行記、おしまい!)
はやし浩司 2011-11-09


Hiroshi Hayashi+++++++NOV. 2010++++++はやし浩司・林浩司

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