2011年11月5日土曜日

●野村證券は安全なのか?

●野村證券研究(はやし浩司 2011-11-05)

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おととい、市内の地下街を歩いてみた。
その一角に、特設販売をしているコーナーがあった。
見ると、「福島産の野菜市」と書いてあった。
それを目ざとく見つけ、ワイフがこう言った。
「安いわ」と。

たとえばキュウリが2本で、50円など。
ほかにもいろいろあったが、値段は忘れた。

が、そのときのこと。
私の心が複雑に揺れ動いた。
「買うべきか、買わないでおこうか」と。
しかし目の前に立ちはだかる現実という壁を、
どうしても乗り越えることができなかった。
たとえその野菜は、規制値以下であっても、
放射線物質は蓄積される。
すでに産地偽造問題も発覚している。
大手のスーパーなどでも、約50%の魚が、
すでに放射性物質に汚染されているという。
キュウリだけですむ話ではない。

だから私はこう言った。
「やっぱり、やめとこう」と。

福島県の人たちが聞いたら、がっかりするだろうと思う。
その心情は痛いほど、よくわかる。
しかし買えないものは、買えない。

そこを去るとき、振り返り、特設販売会を見た。
通りを7、8人の人が歩いていたが、だれも立ち止まらなかった。
それを見て、私はもう一度前を向きなおした。
足早にその場を立ち去った。

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●CDS値

 週刊文春誌、最新号(10・20日号)によれば、日本の金融機関にも影響が及び始めたという。

 名指しで経営危機が危ぶまれているのが、(1)「三菱UFJ」銀行(P24)。
(2)「野村ホールディングズ」(P25)。
ともにEU経済に、深く入りこんでいる。

 で、ここではじめて聞いた言葉が出てきた。
「CDS値」という言葉である。
週刊文春誌によれば、「経営破綻の危険度」を示す指標だそうだ。
(CDS……クレジット・デフォルト・スワップ)

 それによれば、モルガン・スタンレー銀行は、529ベーシスポイント。
この値は、リーマンショック時の値を超えているという。

(CDS値がどの程度なら危険かということは、よくわからない。
しかしモルガン・スタンレー銀行が、三菱UFJに買収されたときの値よりも、現在、モルガン・スタンレー銀行は、さらに高い値になっているという。
529ベーシスポイントというのは、そういう数字らしい。)

 ほかにバンク・オブ・アメリカが、458ベーシスポイント。
野村ホールディングズが、340ベーシスポイント。
三菱UFJは、モルガン・スタンレー銀行を、リーマンショックのあと、1兆円で買収している。
なおイタリアでは、主要金融機関のCDS値が、軒並み400~600ベーシスポイントに上昇しているという。

●大本営発表

 私が韓国というより、野村證券に疑問をいだいたのは、つぎのような記事を読んだときである。
その記事は、韓国の東亞日報に、紹介されていた。
(日本の新聞にでなく、韓国の新聞にだぞ!)
いわく、『野村證券の首席エコノミスト、クォン・ヨンソン氏は27日の記者懇談会で、「ファンダメンタルの側面から見たとき、韓国はアジアで通貨危機発生の可能性が最も低い」と主張した』(東亞日報・9月27日)と。

 そんはずはない。
 実はギリシャより危ないのが、韓国。
韓国政府は、「韓国経済は盤石である」というような大本営発表を繰り返している。
が、だれもそんな話は信用しない。

 『韓国の対外債務、4000億ドルに迫り、過去最高額を相次いで更新している』(中央日報・11年09月)と。
一般家庭債務も、「63兆円を越えた」(朝鮮日報)と。
4000億ドルだぞ!
63兆円だぞ!

 これに対して、韓国政府は、「各家庭の純資産も、その程度あるから心配ない」と、繰り返し、応戦している。
が、その中身といえば、住宅バブル。
バブル資産。
そこへ来て、今回の大恐慌。
世界の新興国からの資金引きあげ。
韓国もそのひとつ。

 モノを売りたくても、売り先の国々の経済が収縮してしまった。
韓国政府は、「外貨準備もじゅうぶん」と豪語しているが、大半は現金ではなく、有価証券。
(外国からの借金)ですら、(投資)に組み入れてしまう国である。
数字のインチキは、し放題。

 が、それを救済したのが、日韓スワップ協定。
それについては、すでに何度も書いてきた。
ここでは野村證券に焦点をあて、考えてみたい。

 つまりIMFですら、「韓国は数か月以内にデフォルトする可能性がある」と発表した。
これに対して、野村證券は、「韓国はアジアで通貨危機発生の可能性が最も低い」と。
まったく正反対の意見を並べた。
この意見の乖離(かいり)こそが、私が野村證券に疑問をいだいた、突破口だった。

●大きくてつぶせない!

 ところでロイターは、つぎのように伝える。

++++++++++以下、ロイター+++++++++

 ……フランスのカンヌで開かれていた20カ国・地域(G20)首脳会議は4日、国際金融システム上重要な金融機関(GーSIFIs)として世界の大手金融機関29行を指定した。
金融安定理事会(FSB)が公表したリストによると、内訳は欧州が17行、米国が8行、日本が3行、中国が1行となっている。

これらの金融機関には、2016年から段階的に自己資本の1~2.5%上積みが求められる。

 邦銀でG-SIFIsに指定されたのは、三菱UFJ、みずほ、三井住友の3行。
中国は中国銀行が指定された。
米銀ではシティグループゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースなどが含まれる。

++++++++++以上、ロイター+++++++++

 要するに、「大きくて、つぶせない」ということらしい。
が、ここに野村證券が含まれないのは、どうしたことか。
ロイター伝も、わざわざそう書いている。
「野村證券もうわさされていたが、今回のリストには含まれなかった」(同)と。

●株価

 そこで残るは、株価ということになる。
つまり経営状況はどうなのか。

 今年の最高値は、557円(2月17日)
最安値は、261円(10月4日)
昨日(11月4日)は、290円で今週の取り引きを終えている。
ヨーロッパの動向に敏感に反応しているところから、今は、ヨーロッパ次第というところか。

 ただ銀行と証券会社は、ちがう。
銀行はつぶれると、大きな波紋を広げる。
融資という形で、それぞれの地域の産業と深くかかわっている。
が、証券会社は、つぶれても、困らない。
あの山一証券の倒産劇のときのことを、思い出してみれば、それがわかるはず。
いくら「ガリバー」の異名をもつ野村證券であっても、つぶれるときは、つぶれる。
そのヒントは、「290円」という数字にある。

●なぜ?

 なぜ、野村證券は、韓国の経済を「安全」というのか。
「340ベーシスポイント」を、どう読んだらよいのか。
三菱UFJは、モルガン・スタンレー銀行を、リーマンショックのあと、1兆円で買収している。
つまり経営危機がささやかれているモルガン・スタンレー銀行と三菱UFJは、深く関わり合っている。
その三菱UFJと野村證券も、これまたたがいに深く関わり合っている。

 本当に野村證券は、安全なのか。
だいじょうぶなのか。
これ以上のことは私には、わからない。
わからないから、私は来週中には、すべての縁を切ることにした。

 三菱UFJとは、東海銀行時代からのつきあいを含めると、40年以上になる。
野村證券とのつきあいは、25年以上になる。
いくら「安全です」「心配ない」と言われても、客である私たちは、別の考え方をする。
その心情は、福島産のキュウリを見たときに感じた、あれと同じ。

●後記

 ところで福島県の人たちは、今、どうしているのか。
地元産の野菜を食べているのか。
それとも他県産の野菜を、選んで食べているのか。

 が、率直に言えば、私はこんなことを心配している。
たとえばこのあたりでも、良心的な店は、「うちでは、メキシコ産の牛肉を使っている」(「スキヤ」ほか)とか、「うちの肉は、アメリカ産です」(「吉野屋」ほか)とか言って、ちゃんと説明してくれる。
「オーストラリア産牛肉使用」とか、メニューに表示している店も多い(「サイゼリア」ほか)。

 が、その一方で、まったく説明してくれない店もある。
昨夜立ち寄った「N食堂」にしても、そうだ。
自分でおかずを選んで買うのだが、そこには、サンマ、サバなどの魚類、野菜類が50~70種類並んでいる。
もちろん「ご飯」もある。
そういった食品の産地は、どこなのか。
いくら規制値以下であっても、できるだけ汚染された食品は、避けたい。
あとになって「汚染されていました」では、困る。

 私の印象では、むしろ浜松市のような、どこかのんびりした市で、汚染食品が多く出回っているような気がする。
今のところガイガーカウンターなどで、調べ回っている人もいない。
が、警戒するにこしたことはない。


Hiroshi Hayashi++++++Nov. 2011++++++はやし浩司・林浩司

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