2010年5月25日火曜日

*How to cope with Children at Home

○ミスは、大目に

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たとえば20問、計算問題をする。そのとき、1、2問くらいなら、まちがっていても、何も言わない。「よくがんばったね」と、ねぎらう。そして大きな丸を描いてすます。とくに子どもが、懸命にしたときは、そうする。正解よりも、この時期大切なのは、達成感。その達成感が、子どもを伸ばす。こまごまとした神経質な指導は、一見、親切に見えるが、かえって子どもの伸びる芽をつんでしまうこともあるので注意する。

○テーマは、ひとつ

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子どもに何かを教えようとするときは、いつも、テーマは、一つにする。あれこれ、同時に指示を与えても、意味がないばかりか、かえって、「二兎を追うもの、一兎……」ということになりかねない。たとえば作文練習のときは、作文の内容だけを見て、文字のまちがいなどは、無視する。作文の内容だけを見て、判断する。

○子どもを伸ばすのは、子ども

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子どもを伸ばすのは、子ども。しかしその子どもをつぶすのも、これまた子ども。とても残念なことだが、「質」のよい子どももいれば、そうでない子どももいる。質がよいというのは、おだやかで、知性的。自己管理能力もしっかりしていて、もの静か。そういう子どもは、そういう子どもどうし集まる傾向がある。で、もしあなたの子どもが、そういう子どもであれば、努力して、そういう子どもどうしが集まれるような環境をつくってやるとよい。あなたの子どもは、さらに伸びる。

○サエをのばす

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子どもが、「アレッ」と思うようなヒラメキを示したときは、すかさず、それをほめて、伸ばす。この時期、あとあと子どもほど、思考が柔軟で、臨機応変に、ものごとに対処できる。趣味も多く、多芸多才。興味の範囲は広く、何か新しいことを見せると、「やる!」「やりたい!」と食いついてくる。この時期、することと言えば、テレビゲームだけ。友だちも少ないというのは、子どもにとっては、望ましいことではない。

○一歩手前で、やめる

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子どもが30分ほど、勉強しそうだったら、20分くらいのところで、やめる。ワークを10ページくらいしそうだったら、7~8ページくらいのところで、やめる。子どもを伸ばすコツは、無理をしない。強制をしない。もしあなたが、「子どもというのは、しぼればしぼるほど伸びる」とか、「子どもの勉強には、きびしさが必要」と考えているなら、それは、とんでもない誤解。どこかの総本山での、小僧教育ならともかくも、今は、そういう時代ではない。

○バカなフリをして伸ばす

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おとなは、決して、おとなの優位性を子どもに、見せつけてはいけない。押しつけてはいけない。子どもにとって、最大の喜びは、父親や、母親を、何かのことで、負かすことである。親の立場でいえば、子どもに負けることを、恥じることはない。反対に、ときには、バカな親のフリをして、子どもに自信をもたせる。「こんな親では、アテにできない」と子どもが思うようになったら、しめたもの。

○集中力も力のうち

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よく、「うちの子は、集中力がありません。集中力をつけるには、どうしたらいいでしょうか」という質問をもらう。しかし集中力も、「力」のうち。頭をよくする方法が、そんなにないように、集中力をつける方法というのも、それほど、ない。あれば、私が知りたいくらいである。ただ指導のし方によって、子どもを、ぐいぐいとこちらのペースに引きこんでいくことはできる。しかし集中力のある・なしは、子どもの問題ではなく、指導する側の問題ということになる。

http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/++++++++++++++++はやし浩司

○一貫性

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内容がどうであれ、よき親と、そうでない親のちがいといえば、一貫性のある、なしで、決まる。権威主義的なら権威主義的でもかまわない。(本当は、そうでないほうがよいが……。)親にその一貫性があれば、やがて子どものほうが、それに合わせる。私の叔父の中には、権威主義のかたまりのような人がいた。しかし私は、その叔父は叔父として、認めることで、良好な人間関係をつくることができた。それなりに尊敬もしている。子どもの前では、いつも、同じ親であること。それが子どもの心に、大きな安定感を与える。

☆上下意識は、親子にキレツを入れる

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「親が上、子ガ下」という上下意識は、親子の間に、キレツを入れる。「上」の者にとっては、居心地のよい世界かもしれないが、「下」の者にとっては、そうでない。言いたいことも言えない、したいこともできないというのは、親子の間では、あってはならないこと。親はいつも子どもの友として、横に立つ。そういう姿勢が、良好な親子関係を育てる。

☆「ダカラ論」は、論理にあらず

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「親だから……」「子だから……」「長男だから……」「夫だから……」というのを、『ダカラ論』という。このダカラ論は、論理ではない。えてして、問答無用式に相手をしばる道具として、利用される。使い方をまちがえると、相手を苦しめる道具にもなりかねない。先日もテレビを見ていたら、妻が、夫に、「あなたは一家の大黒柱なんだからね」と言っているのを見かけた。それを見ていて、そういうふうに言われる夫は、つらいだろうなと、私は、ふと、そう思った。

☆親の恩着せ、子どもの足かせ

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「産んでやった」「育ててやった」「大学まで出してやった」と親が、子どもに恩を着せれば着せるほど、子どもの心は親から遠ざかる。そればかりか、子どもが伸びる芽を摘んでしまうこともある。たとえ親がそう思ったとしても、それを口にしたら、おしまい。親に恩を押しつけられ、苦しんでいる子どもは、いくらでもいる。

☆家族主義は、親の手本から

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まず子どもを幸福な家庭で包んでやる。「幸福な家庭というのは、こういうものですよ」と。それが家族主義の原点。見せるだけでは足りない。子どもの体の中にしみこませておく。その(しみこみ)があってはじめて、子どもは、今度は、自分が親になったとき、自然な形で、幸福な家庭を築くことができる。夫婦が助けあい、いたわりあい、励ましあう姿は、遠慮なく、子どもに見せておく。

☆離婚は淡々と、さわやかに

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親が離婚するとき、離婚そのものは、大きな問題ではない。離婚にいたる家庭内騒動が、子どもの心に暗い影を落とす。ばあいによっては、それがトラウマになることもある。だから離婚するにしても、子どもの前では淡々と。子どものいない世界で、問題を解決する。子どもを巻きこんでの離婚劇、それにいたる激しい夫婦げんかは、タブー中のタブー。夫婦げんかは、子どもへの「間接虐待」と心得ること。

☆よい聞き役が、子どもの思考力を育てる

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親は、子どもの前では、よき聞き役であること。ある人は、『沈黙の価値を知るものだけが、しゃべれ』というが、この格言をもじると、『沈黙の価値を知る親だけが、しゃべれ』となる。子どもの意見だから、不完全で未熟であるのは、当たり前。決して頭ごなしに、「お前の考え方はおかしい」とか、「まちがっている」とかは、言ってはいけない。「それはおもしろい考え方だ」と言って、いつも前向きに、子どもの意見を引き出す。そういう姿勢が、子どもの思考力を育てる。

☆子どもの前では、いつも天下国家を論じる

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子どもに話すテーマは、いつも大きいほうがよい。できれば、天下国家を論ずる。宇宙の話でも、歴史の話でもよい。親が小さくなればなるほど、子どもは小さくなる。隣や近所の人たちの悪口や批判は、タブー。見栄、体裁、世間体は、気にしない。こうした生き様は、子どものものの考え方を卑屈にする。「日本はねえ……」「世界はねえ……」という語りかけが、子どもを大きくする。

☆仮面をはずし、子どもには本音で生きる

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あなたが悪人なら、悪人でもかまわない。大切なことは、子どもの前では、仮面をはずし、本音で生きること。あるがままのあなたを、正直にさらけ出しながら生きる。かっこつけたり、飾ったりする必要はない。そういうあなたの中に、子どもは、いつか(一人の人間)を見る。ただし一言。子育てといっても、あなたはいつも一人の人間として、自分を伸ばしていかねばならない。それが結局は、真の子育て法ということになる。

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☆優越感の押しつけは、子どもをつぶす

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おとなや親の優越性を、子どもに押しつけてはいけない。賢い親は、(教師もそうだが……)、バカなフリをしながら、子どもに自信をもたせ、そして子どもを伸ばす。相手は子ども。本気で相手にしてはいけない。ゲームをしても、運動をしても、ときにはわざと子どもに負けてみる。子どもが、「うちの父(母)は、アテにならない」と思うようなったら、しめたもの。勉強について言うなら、「こんな先生に習うくらいなら、自分でしたほうがマシ」と思うようになったら、しめたもの。

☆親の動揺、子どもを不安にする

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たとえば子どもが不登校的な拒否症状を示すと、たいていの親は、狂乱状態になる。そして親が感ずる不安や心配を、そのまま子どもにぶつけてしまう。が、この一撃が、さらに子どもの心に、大きなキズをつける。数か月ですんだはずの不登校が、1年、2年とのびてしまう。子どもの心の問題を感じたら、一喜一憂は、厳禁。半年単位でものを考える。「半年前はどうだったか?」「1年前はどうだったか?」と。

☆言うべきことは言っても、あとは時を待つ

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親は言うべきことは言っても、そこで一歩引き下がる。すぐわからせようとか、実行させようと考えてはいけない。子どもの耳は、そういう意味で長い。脳に届いてから、それを理解するまでに、時間がかかる。実行するまでには、さらに時間がかかる。まずいのは、その場で、とことん子どもを追いつめてしまうような行為。子どもはかえってそれに反発し、その反対のことをするようになる。

☆質素が子どもの心を豊かにする

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子どもには、質素な生活は、どんどん見せる。しかしぜいたくは、するとしても、子どものいないところで、また子どもの見えないところでする。子どもというのは、一度、ぜいたくを覚えると、あともどりできない。だから、子どもにはぜいたくを、経験させない。

なお質素とケチは、よく誤解される。質素であることイコール、貧乏ということでもない。質素というのは、つつましく生活をすることをいう。身のまわりにあるものを大切に使いながら、ムダをできるだけはぶく。要するに、こまやかな心が通いあう生活を、質素な生活という。

☆うしろ姿を押し売りは、子どもを卑屈にする

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 生活のためや、子育てのために苦労している姿を、「親のうしろ姿」という。日本では、うしろ姿を子どもに見せることを美徳のように考えている人がいるが、これは美徳でも何でもない。子どもというのは、親が見せるつもりはなくても、親のうしろ姿を見てしまうかもしれないが、しかしそれでも、親は親として、子どもの前では、毅然(きぜん)として生きる。そういう前向きの姿が、子どもに安心感を与え、子どもを伸ばす。

☆生きる力は、死を厳粛に扱うことから

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 死があるから、生の大切さがわかる。死の恐怖があるから、生きる喜びがわかる。人の死の悲しみがあるから、人が生きていることを喜ぶ。どんな宗教でも、死を教えの柱におく。その反射的効果として、「生」を大切にするためである。子どもの教育においても、またそうで、子どもに生きることの大切さを教えたかったら、それがたとえペットの死であっても、死は厳粛にあつかう。

☆度量の大きさは、立方体で計算する

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子育ての度量の大きさは、(たて)X(横)X(高さ)で決まる。(たて)というのは、その人の住む世界の大きさ。(横)というのは、人間的なハバ。(高さ)というのは、どこまで子どもを許し、忘れるかという、その深さのこと。もちろんだからといって、子どもに好き勝手なことをさせろということではない。要するに、あるがままの子どもを、どこまで受け入れることができるかということ。

☆「今」を大切に、「今」を懸命に生きる

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 過去なんてものは、どこにもない。未来なんてものも、どこにもない。あるのは、「今」という現実。だからいつまでも過去を引きずるのも、また未来のために、「今」を犠牲にするのも、正しくない。「今」を大切に、「今」という時の中で、最大限、自分のできることを、懸命にがんばる。明日は、その結果として、必ずやってくる。だからといって、過去を否定するものではない。また何かの目標に向かって努力することを否定するものでもない。しかし大切なのは、「今」という現実の中で、自分を光り輝かせて生きていくこと。

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☆『休息を求めて疲れる』は、愚かな生き方

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 イギリスの格言である。愚かな生き方の代名詞のようにもなっている格言である。つまり「いつか楽になろう、楽になろうとがんばっているうちに、疲れてしまい、結局は何もできなくなる」ということ。しかしほんの少し考え方を変えれば、あなたの生活はみちがえるほど、豊かになる。方法は簡単。あなたも1呼吸だけ、今までのリズムを遅くすればよい。

☆行きづまったら、生きる源流に視点を

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 「子どもがここに生きている」という源流に視点をおくと、そのとたん、子育てにまつわるあらゆる問題は、解決する。「この子は生きているだけでいい」と思いなおすことで、すべての問題は解決する。あなたももし、子育てをしていて、行きづまりを感じたら、この源流から、子どもを見てみるとよい。それですべての問題は解決する。

☆モノより思い出

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 イギリスの格言に、『子どもには、釣りザオを買ってあげるより、いっしょに魚釣りに行け』というのがある。子どもの心をつかみたかったら、そうする。親は、よく、「高価なものを買い与えたから、子どもは感謝しているはず」とか、「子どもがほしいものを買い与えたから、親子のパイプは太くなったはず」と考える。しかしこれはまったくの誤解。あるいは逆効果。子どもは一時的には、親に感謝するかもしれないが、あくまでも一時的。物欲をモノで満たすことになれた子どもは、さらにその物欲をエスカレートさせる。

☆子育てじょうずは、よき先輩をもつことから

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あなたの近くに、あなたの子どもより、1~3歳年上の子どもをもつ人がいたら、多少、無理をしてでも、その人と仲よくする。その人に相談することで、たいてい「うちも、こんなことがありましたよ」というような話で、あなたの悩みは、解消する。「無理をしてでも」というのは、「月謝を払うつもりで」ということ。相手にとっては、あまりメリットはないのだから、これは当然といえば、当然。が、それだけではない。あなたの子どもも、その人の子どもの影響を受けて、伸びる。

☆子どもの先生は、子ども

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あなたの近くに、あなたの子どもより1~3歳年上の子どもをもつ人がいたら、その人と仲よくしたらよい。あなたの子どもは、その子どもと遊ぶことにより、すばらしく伸びる。この世界には、『子どもの先生は、子ども』という、大鉄則がある。子ども自身も、同じ仲間という意識で見るため、抵抗がない。また、こと「勉強」ということになると、1、2年、先を見ながら、勉強するということは、それなりに重要である。

☆指示は具体的に

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子どもに与える指示は、具体的に。たとえば「あと片づけしなさい」と言っても、子どもには、あまり意味がない。そういうときは、「おもちゃは、一つですよ」と言う。「友だちと仲よくするのですよ」というのも、そうだ。そういうときは、「これを、○○君に渡してね。きっと、○○君は喜ぶわよ」と言う。学校で先生の話をよく聞いてほしいときは、「先生の話をよく聞くのですよ」ではなく、「学校から帰ってきたら、先生がどんな話をしたか、あとでママに話してね」と言う。

●汝自身を知れ

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古代ギリシアの7賢人の1人のターレスは、『汝自身を知れ』という言葉を残した。その言葉が、アポロン神殿の柱に書かれているのを見て、ソクラテスが、『無知の知』という言葉を導いた。「私たちは、自分のことを知っているようで、実は何も知らない」と。この言葉を子育てにあてはめてみると、こうなる。「自分の子どものことは、自分がいちばんよく知っていると思いこんでいる親ほど、自分の子どものことがわかっていない」と。

●約束(ルール)を守る,

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日々の積み重ねが月となり、その月が積み重なって、年となる。その年が、10年、20年と積み重なって、その人の人格となる。その日々の積み重ねは、身の回りのほんのささいなことから始まる。子どもが見ているとか、見ていないとか、そういうことには関係なく、約束(ルール)を守る。ウソをつかない。そういう親の姿を、子どもは、うしろから見る。自分の人格とする。

●子どもは使う

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子どもは使えば使うほど、よい子になる。忍耐力(=いやなことをする力)も、それで身につく。社会性も身につく。が、それ以上に、他人の苦しみや悲しみを理解できるようになる。言うまでもなく、子どもにかぎらず人は、自分で苦労をしてみてはじめて、他人の苦労が理解できるようになる。その心のポケットができる。あなたが重い荷物をもって歩いているとき、「もってあげる!」と子どもが助けてくれれば、それでよし。そうでなければ、家庭教育のあり方を、猛省する。

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●夢と希望、そして目的

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目的(目標)をもった子どもは、強い。多少の誘惑くらいなら、自らはねのけてしまう。心の抵抗力ができていると考える。その心の抵抗力をつける第一。それが夢と希望。その先に目標(目的)ができる。そのため、子どもの夢や希望は、大切にする。親の価値観を、けっして、押しつけてはいけない。子どもが「花屋さんになりたい」と言ったら、すかさず、「そうね、それはすてきね」と言い返してやる。そういう親の姿勢が、子どもの夢や希望を育てる。

●子どもの横に立つ

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子育てには、3つの役目がある。ガイドとして、子どもの前に立つ。保護者として、子どものうしろに立つ。そして友として、子どもの横に立つ。日本人は、伝統的に、子どもの前やうしろに立つのは得意だが、横に立つのが苦手。そのため多くのばあい、子どもが親離れを始めるころから、親子の間にキレツが入るようになり、さらに多くのばあい、そのキレツは、断絶へとつながっていく。

●忍耐力は、いやなことをする力

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試しに、台所のシンクにたまった生ごみを、始末させてみればよい。あるいは風呂場の排水口にたまった毛玉でもよい。そのとき、「ハ~イ」と言って、あなたの子どもがそれを始末したとしたら、あなたの子どもは、すばらしい子どもとみてよい。またこのタイプの子どもは、学習面でも、伸びる。なぜなら、勉強というのは、もともと(イヤなもの)。そのイヤなことを乗り切る力が、ここでいう忍耐力ということになる。その忍耐力を育てるためには、子どもは、使う。

●思考回路というレール

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夢や希望をもち、さらには目標(目的)をもち、その目標に向かって努力する。その道筋を、思考回路という。大切なのは、その思考回路。というのも、夢や希望というのは、そのつど変化する。変化して当然。幼児のころは、「お花屋さんになりたい」と言っていた子どもでも、小学生になると、「パン屋さんになりたい」「ケーキ屋さんになりたい」と言うかもしれない。中身は何であれ、思考回路にできている子どもは、その思考回路の上に夢や希望を乗せて、前向きに進んでいくことができる。




○「やればできるはず」は、禁句

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たいていの親は、「うちの子は、やればできるはず」と思う。しかしそう思ったら、すかさず、「やってここまで」と思いなおす。何がそうかといって、親の過関心、過負担、過剰期待ほど、子どもを苦しめるものはない。それだけではない。かえって子どもの伸びる芽をつんでしまう。そこで子どもには、こう言う。「あなたは、よくがんばっているわよ。TAKE IT EASY!(気を楽にしてね)」と。

○子育ては本能ではなく学習

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 だれしも、「頭の中では、わかっているのですが、ついその場になると……」と言います。子育てというのは、もともと、そういうものです。そこでいつも同じようなパターンで、同じような失敗をするときは、(1)あなた自身の過去を冷静に見つめてみる。(2)何か(わだかまり)や(こだわり)があれば、まず、それに気づくことです。あとは時間が解決してくれます。

○子育ては世代連鎖する

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 子育ては、世代を超えて、親から子へと、よいことも、悪いことも、そのまま連鎖します。またそういう部分が、ほとんどだということです。そういう意味で、「子育ては本能ではなく、学習によるもの」と考えます。つまり親は子育てをしながら、実は、自分が受けた子育てを、無意識のうちに繰りかえしているだけだということです。そこで重要なことは、悪い子育ては、つぎの世代に、残さないということ。

○子育ては見本を見せる

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 子育ての重要な点は、子どもを育てるのではなく、子育てのし方の見本を、子どもに見せるということです。見せるだけでは、足りません。包みます。幸福な家庭というのは、こういうものだ。夫婦というのは、こういうものだ。家族というのは、こういうものだ、とです。そういう(学習)があって、子どもは、親になったとき、はじめて、自分で子育てが自然な形でできるようになります。

○子どもに優位性を見せつけない

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 子どもに、勝とうと思わないこと。つまり親の優位性を見せつけないこと。どうせ相手にしてもしかたないし、本気で相手にしてはいけません。ときに親は、わざと負けて見せたり、バカなフリをして、子どもに自信をもたせます。適当なところで、親のほうが、手を引きます。「こんなバカな親など、アテにならないぞ」と子どもが思えば、しめたものです。

○子育ては重労働

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 子育ては、もともと重労働です。そういう前提で、します。自分だけが苦しんでいるとか、おかしいとか、子どもに問題があるなどと、考えてはいけません。しかしここが重要ですが、そういう(苦しみ)をとおして、親は、ただの親から、真の親へと成長するのですよ。そのことは、子育てが終わってみると、よくわかります。子育ての苦労が、それまで見えなかった、新しい世界を親に見せてくれます。どうか、お楽しみに!

○子育ての前に生きザマを

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 子育てをしながらも、親は、親で、自分の生きザマを確立します。「あなたはあなたで、勝手に生きなさい。私は私で、勝手に生きます」と。そういう一歩退いた目が、ともすればギクシャクとしがちな、親子関係に、風を通します。子どもだけを見て、子どもだけが視野にしか入らないというのは、それだけあなたの生きザマが、小さいということです。あなたはあなたで、したいことを、すればいいのです。

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○問題のない子育てはない

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子育てをしていると、子育てや子どもにまつわる問題は、つぎからつぎへと、起きてくる。それは岸辺に打ち寄せる波のようなもの。問題のない子どもはいないし、したがって、問題のない子育ては、ない。できのよい子ども(?)をもった親でも、その親なりに、いろいろな問題に、そのつど、直面する。できが悪ければ(?)、もっと直面する。子育てというのは、もともとそういうものであるという前提で、子育てを考える。

○解決プロセスを用意する

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英文を読んでいて、意味のわからない単語にぶつかったら、辞書をひく。同じように、子育てで何かの問題にぶつかったら、どのように解決するか、そのプロセスを、まず、つくっておく。兄弟や親類に相談するのもよい。親に相談するのも、よい。何かのサークルに属するのもよい。自分の身にまわりに、そういう相談相手を用意する。が、一番よいのは、自分の子どもより、2、3歳年上の子どもをもつ、親と緊密になること。「うちもこうでしたよ」というアドバイスをもらって、たいていの問題は、その場で解決する。

○動揺しない

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株取引のガイドブックを読んでいたら、こんなことが書いてあった。「プロとアマのちがいは、プロは、株価の上下に動揺しないが、アマは、動揺する。だからそのたびに、アマは、大損をする」と。子育ても、それに似ている。子育てで失敗しやすい親というのは、それだけ動揺しやすい。子どもを、月単位、半年単位で見ることができない。そのつど、動揺し、あわてふためく。この親の動揺が、子どもの問題を、こじらせる。

○自分なら……?

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賢い親は、いつも子育てをしながら、「自分ならどうか?」と、自問する。そうでない親は親意識だけが強く、「~~あるべき」「~~であるべきでない」という視点で、子どもをみる。そして自分の理想や価値観を、子どもに押しつけよとする。そこで子どもに何か問題が起きたら、「私ならどうするか?」「私はどうだったか?」という視点で考える。たとえば子どもに向かって「ウソをついてはダメ」と言ったら、「私ならどうか?」と。

○時間をおく

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言葉というのは、耳に入ってから、脳に届くまで、かなりの時間がかかる。相手が子どもなら、なおさらである。だから言うべきことは言いながらも、効果はすぐには、求めない。また言ったからといって、それですぐ、問題が解決するわけでもない。コツは、言うべきことは、淡々と言いながらも、あとは、時間を待つ。短気な親ほど、ガンガンと子どもを叱ったりするが、子どもはこわいから、おとなしくしているだけ。反省などしていない。

○叱られじょうずにしない

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親や先生に叱られると、頭をうなだれて、いかにも叱られていますといった、様子を見せる子どもがいる。一見、すなおに反省しているかのように見えるが、反省などしていない。こわいからそうしているだけ。もっと言えば、「嵐が通りすぎるのを待っているだけ」。中には、親に叱られながら、心の中で歌を歌っていた子どももいた。だから同じ失敗をまた繰りかえす。

○人格攻撃はタブー

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先生に叱られたりすると、パッとその場で、土下座をしてみせる子どもがいる。いわゆる(叱られじょうずな子ども)とみる。しかしだからといって、反省など、していない。そういう形で、自分に降りかかってくる、火の粉を最小限にしようとする。子どもを叱ることもあるだろうが、しかしどんなばあいも、最後のところでは、子どもの人権だけは守る。「あなたはダメな子」式の、人格の「核」攻撃は、してはいけない。

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○「核」攻撃は、タブー

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子どもを叱っても、子どもの心の「核」にふれるようなことは、言ってはいけない。「やっぱり、あなたはダメな子ね」「あんたなんか、生まれてこなければよかったのよ」などというのが、それ。叱るときは、行為のどこがどのように悪かったかだけを、言う。具体的に、こまかく言う。が、子どもの人格にかかわるようなことは言わない。

○子どもは、親のまねをする

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たいへん口がうまく、うそばかり言っている子どもがいた。しかしやがてその理由がわかった。母親自身もそうだった。教師の世界には、「口のうまい親ほど、要注意」という、大鉄則がある。そういう親ほど、一度、敵(?)にまわると、今度は、その数百倍も、教師の悪口を言い出す。子どもに誠実になってほしかったら、親自身が、誠実な様子を、日常生活の中で見せておく。

○一事が万事論

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あなたは交通信号を、しっかりと守っているだろうか。もしそうなら、それでよし。しかし赤信号でも、平気で、アクセルを踏むようなら、注意したほうがよい。あなたの子どもも、あなたに劣らず、小ズルイ人間になるだけ。つまり親が、小ズルイことをしておきながら、子どもに向かって、「約束を守りなさい」は、ない。ウソはつかない。約束は守る。ルールには従う。そういう親の姿勢を見ながら、子どもは、(まじめさ)を身につける。

○代償的過保護は、愛情にあらず

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「子どもはかわいい」「私は子どもを愛している」と、豪語する親ほど、本当のところ、愛が何であるか、わかっていない。子どもを愛するということは、それほどまでに、重く、深いもの。中には、子どもを自分の支配下において、自分の思いどおりにしたいと考えている親もいる。これを代償的過保護という。一見、過保護に見えるが、その基盤に愛情がない。つまりは、愛もどきの愛を、愛と錯覚しているだけ。

○子どもどうしのトラブルは、子どもに任す

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子どもの世界で、子どもどうしのトラブルが起きたら、子どもに任す。親の介入は、最小限に。そういうトラブルをとおして、子どもは、子どもなりの問題解決の技法を身につけていく。親としてはつらいところだが、1にがまん、2にがまん。親が口を出すのは、そのあとでよい。もちろん子どものほうから、何かの助けを求めてきたら、そのときは、相談にのってやる。ほどよい親であることが、よい親の条件。

○許して忘れ、あとはあきらめる

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子どもの問題は、許して、忘れる。そしてあとはあきらめる。「うちの子にかぎって……」「そんなはずはない」「まだ何とかなる」と、親が考えている間は、親に安穏たる日々はやってこない。そこで「あきらめる」。あきらめると、その先にトンネルの出口を見ることができる。子どもの心にも風が通るようになる。しかしヘタにがんばればがんばるほど、親は、袋小路に入る。子どもも苦しむ。

●強化の原理

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子どもが、何かの行動をしたとする。そのとき、その行動について、何か、よいことが起きたとする。ほめられるとか、ほうびがもらえるとか。あるいは心地よい感覚に包まれるとか。そういう何かよいことが起こるたびに、その行動は、ますます強化される。これを「強化の原理」という。子どもの能力をのばすための大鉄則ということになる。

●弱化の原理

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強化の原理に対して、弱化の原理がある。何か、行動をしたとき、つまずいたり、失敗したり、叱られたりすると、子どもは、やる気をなくしたり、今度は、その行動を避けるようになる。これを弱化の原理という。子どもにもよるし、ケースにもよるが、一度弱化の原理が働くようになると、学習効果が、著しく落ちるようになる。

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●内面化

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子どもは成長とともに、身長がのび、体重が増加する。これを外面化というのに対して、心の発達を、内面化という。その内面化は、(1)他者との共鳴性(自己中心性からの脱却)、(2)自己管理能力、(3)良好な人間関係をみるとよい(EQ論)。ほかに道徳規範や倫理観の発達、社会規範や、善悪の判断力などを、ふくめる。心理学の世界では、こうした発達を総称して、「しつけ」という。

●子どもの意欲

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子どもは、親、とくに母親の意欲を見ながら、自分の意欲を育てる。一般論として、意欲的な母親の子どもは、意欲的になる。そうでない母親の子どもは、そうでない。ただし、母親が意欲的過ぎるのも、よくない。昔から、『ハリキリママのションボリ息子』と言われる。とくに子どもに対しては、ほどよい親であることが望ましい。任すところは子どもに任せ、一歩退きながら、暖かい無視を繰りかえす。それが子育てのコツということになる。

●ほどよい目標

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過負担、過剰期待ほど、子どもを苦しめるものはない。そればかりではない。自信喪失から、やる気をなくしてしまうこともある。仮に一時的にうまくいっても、オーバーヒート現象(燃え尽き症候群、荷卸し症候群)に襲われることもある。子どもにとって重要なことは、達成感。ある程度がんばったところで、「できた!」という喜びが、子どもを伸ばす。子どもには、ほどよい目標をもたせるようにする。

●子どもの恐怖症

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恐怖症といっても、内容は、さまざま。対人恐怖症、赤面恐怖症、視線恐怖症、体臭恐怖症、醜形恐怖症、吃音恐怖症、動物恐怖症、広場恐怖症、不潔恐怖症、高所恐怖症、暗所恐怖症、閉所恐怖症、仮面恐怖症、先端恐怖症、水恐怖症、火恐怖症、被毒恐怖症、食事恐怖症などがある。子どもの立場になって、子どもの視線で考えること。「気のせいだ」式の強引な押しつけは、かえって症状を悪くするので注意。

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