2010年5月2日日曜日

*Variety of Fernery

●生物の「多様性」

(新・進化推論・仮説)

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生物は、形質(形態、機能、成分)が似たものどうし、
分けられ、体系づける分類方式がとられている。
これを自然体系(自然分類)という。

「分類階級」は、上位のものから、

「界(かい)」
「門(もん)」
「綱(こう)」
「目(もく)」
「科(か)」
「属(ぞく)」
「種(しゅ)」の順になる。

分類階級が上のものほど、より広い共通点や相違点で
より分けられる。
「種」は生物分類上の基本的な単位で、
通常は、同じ種の個体間でしか繁殖しない。

一方、同じ種でも分布する地域により
色や形に違いがみられ、地域間で異なる
集団と認められる場合、これらを「亜種」という。
(例えば、「ニホンザル」という種に対して、
「ヤクシマザル」は亜種)。
亜種の中で最初に学会に登録されたものを、
「基亜種」という。
(以上、参考、EICネット)

たとえば私たち人間、つまりヒトは、つぎのように
分類される。

「界(かい)」……動物界
「門(もん)」……脊椎動物
「綱(こう)」……哺乳綱
「目(もく)」……サル目
「科(か)」 ……ヒト科
「属(ぞく)」……ヒト属
「種(しゅ)」……サピエンス

「界」より上に、「ドメイン」というのもある。
ヒトは、「真核生物」に分類される。
これに対して大腸菌などは、「細菌」に分類される。

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●名倉智道先生からのメール

 昨日、名倉智道先生(浜松市湖西市在住)から、こんなメールが届いた。
先生は、シダ植物の研究家としても、知られている。

「はやし 浩司 様

爽やかで、よい気候となりました。
ここ何日かシダを探して歩いています。歩くといっても1株1株じっくり見るので、とても歩くなんて言えたものではありません。まだ新葉の展開中で柔らかく、標本には向かない種類がたくさんあります。

気合いを入れて探しているのはイノデという仲間の雑種です。
イノデは「猪の手」が語源で、葉の根元の部分・葉柄に毛のような鱗片というものが沢山あって、イノシシの手のようだからと名付けられたのです。

このイノデ属は雑種を作りやすいのか多くの雑種が確認されています。今回探しているのはミウライノデとオオタニイノデです。それぞれの親となるアスカイノデとアイアスカイノデ、それにこの地域では一般的なイノデの3種類が同じ谷間に生育していることは分かりました。それらを片親とする雑種の存在の可能性が考えられますから、これぞと思う株をしらみつぶしにあたって見ているのです。雑種は両親種の特徴を併せ持っているので、検索表などでははっきりと違いが示されています。現物もどちらかなあと迷うタイプは雑種である可能性を秘めています。

アスカイノデ   × アイアスカイノデ  =  オオタニイノデ
アスカイノデ   × イノデ        =  ミウライノデ
アイアスカイノデ × イノデ      =  ドウリョウイノデ


ところが、経験の少ない小生にはあれもこれも同じように見えたり違うように見えたり、なかなか判断できません。いきおい沢山の標本を採集することになってしまいます。

1970年代、伊豆で採集した標本まで引っ張り出して「ウンウン」うなりながら見比べています。
昨日は、田原市の百々(どうどう)海岸の谷間へも行ってみました。ここに先に挙げた種類の混生地だと教えてもらっていたからです。ここでじっくり観察すれば分かるようになるはず、そう考えたのです。しかし、現実はそうは甘くありませんでした。
やはり、あれかこれかと迷うばかりなのです。

伊豆の標本、百々海岸の標本をもとに雄踏の採集品を見てみるとオオタニイノデか?と考えられる株が含まれています。小生の知っているドウリョウイノデという雑種のほかに新たに記録を加えることができたかも知れません。いずれ分類の専門家に標本を送って同定してもらうつもりで、結果はそれから先ということになります。

雑種の難しさは、両親種の形質をきっぱり半分ずつを受け継いでいるのではなく、片親からもう片方へと移行していることです。人間でも父親似と言えばそうだよなあと感じてもやっぱり母親に似ているところはある、というようなことです。両親から少しずつその形質をもらっているのですから当然のことです。

探す楽しみはもちろんです。加えて、そうしている間は他のことを全く忘れていること、気分転換には欠かせません。

近況をお伝えしました。   名倉智道」

●生物の多様性

 私はこれを読んだとき、生物の「多様性」に、改めて驚いた。
「多様性」というのは、進化の過程で、分化と進化を重ね、多様な生物になって
いくという、生物本来の「特質」をいう。
もちろん個体としての特定性を確保し、環境に適応していくためである。

 たとえば海の中には、私たち人間が想像もつかないような生物がいる。
たとえば地上の動物を例にあげてみると、目が口の下についていたり、
耳が顔の真ん中についていたりする、など。
現実にそういう生物がいるというのではない。
それくらい奇想天外な生物がいるということ。
それを「生物の多様性」という。

 が、何も海の生物だけではない。
陸上の生物、しかも植物の中にも、こうした多様性をもった生物がいる。
それがシダ植物ということになる。

 もっとも、「植物」の種類そのものは、多い。
多いが、「歴史※1」「分化の過程がわかっている」「分類学が進んでいる」という
点では、シダ植物にかなうものはない。
シダ植物は、この地球に「緑」が芽生え始めたことから、存在する。

(注※1)
陸上植物の中ではコケ植物がまず現れ、苔類、蘚類、ツノゴケ類の順に古い起源を持つ。維管束植物は、ツノゴケ類と同一の起源から進化してきたと考えられる(以上、
ウィキペディア百科事典より)。

●シダ植物

 シダ植物(真葉シダ植物)の「科」「属」については、現在、
つぎのように分類されている。

(表は、HPのほうに収録。
BLOG、メールのほうでは、ハナヤスリ科のみを例とあげて、
あとは省略。

(科)              (属)
ハナヤスリ科          ハナワラビ属
                ミヤコジマハナワラビ属
                ハナヤスリ属

(以下、30種以上の「科(か)」および100種類の「属」に分類。)
   
●真葉シダ植物

科 属
ハナヤスリ科
ハナワラビ属
ミヤコジマハナワラビ属
ハナヤスリ属
マツバラン科
マツバラン属
トクサ科
トクサ属
リュウビンタイ科
リュウビンタイ属
リュウビンタイモドキ属
ゼンマイ科
ゼンマイ属
コケシノブ科
ホソバホラゴケ属
キクモバホラゴケ属
ソテツホラゴケ属
アオホラゴケ属
マメゴケシダ属
コケシノブ属
ハイホラゴケ属
ウラジロ科
コシダ属
ウラジロ属
ヤブレガサウラボシ科
スジヒトツバ属
ヤブレガサウラボシ属
マトニア科   -
カニクサ科
カニクサ属
アネミア科   -
フサシダ科
フサシダ属
デンジソウ科
デンジソウ属
サンショウモ科
アカウキクサ属
サンショウモ属
ティルソプテリス科   -
ロクソマ科   -
クルキタ科   -
キジノオシダ科
キジノオシダ属
タカワラビ科
タカワラビ属
ヘゴ科
ヘゴ属
ディクソニア科   -
メタキシア科   -
ホングウシダ科
ホングウシダ属
ホラシノブ属
ゴザダケシダ属
コバノイシカグマ科
コバノイシカグマ属
ユノミネシダ属
イワヒメワラビ属
フモトシダ属
オオフジシダ属
ワラビ属
イノモトソウ科
ミミモチシダ属
ホウライシダ属
タキミシダ属
ミズワラビ属
エビガラシダ属
イワガネゼンマイ属
リシリシノブ属
タチシノブ属
ギンシダ属
イノモトソウ属
シシラン属
チャセンシダ科
チャセンシダ属
ヒメシダ科
ホシダ属
ヒメシダ属
イワデンダ科
ウスヒメワラビ属
メシダ属
シケチシダ属
ナヨシダ属
オオシケシダ属
イワヤシダ属
ノコギリシダ属
ウサギシダ属
ヌリワラビ属
イワデンダ属
シシガシラ科
ヒリュウシダ属
コモチシダ属
コウヤワラビ科
クサソテツ属
コウヤワラビ属
オシダ科
タイワンヒメワラビ属
カナワラビ属
ヘツカシダ属
カツモウイノデ属
ヤブソテツ属
オシダ属
アツイタ属
キンモウワラビ属
イノデ属
ツルキジノオ科
ツルキジノオ属
タマシダ属
ナナバケシダ科 ワラビツナギ属
ナナバケシダ属
ツルシダ科   -
シノブ科
シノブ属
キクシノブ属
ウラボシ科
カザリシダ属
オオクボシダ属
イワヒトデ属
キレハオオクボシダ属
クラガリシダ属
ヒメウラボシ属
マメヅタ属
ノキシノブ属
オキノクリハラン属
サジラン属
クリハラン属
カラクサシダ属
エゾデンダ属
ヒトツバ属
☆オオクボシダ属

●多様な植物

 わかりやすく言えば、「種類(種ではない)」の豊富さもさることながら、
特異な生活形態をもっているものも多いということ。

 たとえば、マツバラン類は、ほぼ全体が茎のみからなり、根も、葉もない、
構造は茎だけで、葉がなく、地中に向かって伸び、その「上に」、根を生ずるもの
もあるという(担根体)。
しかもクラマゴケ類では、根に見える根をもつが、ミズニラ類では、短くつまった
形であるという。
さらに、茎が「限定成長」し、その上に、「胞子葉と栄養葉」をつけるものもあると
いう。

 これだけでも私たちがもっている植物観をひっくり返すには、じゅうぶんである。
(参考:ウィキペディア百科事典)

●仮説

 そこで私のもった仮説というのは、こうだ。

あるひとつの生物が、ひとつの「目(もく)」から、10の「科(か)」に進化、
分化したとする。 
さらにひとつの「科(か)」から、10の「属(ぞく)」に進化、分化したとする。
で最終的に、ひとつの「属(ぞく)」から、10の「種(しゅ)」に進化、分化した
とする。

 これを短冊様に並べると、つぎのようになる。

1つの目(もく)→10の「科(か)」→100の「属」→1000の「種」。

 実際には、数字がこれほど単純に表されるわけではない。
あくまでも仮定として、そう考える。

 で、現在、シダ植物に、100の属があり、1000の種があったと仮定する。
その「100」という数字と、「1000」という数字で、シダ植物の「歴史」を
割ってみる。

(植物の起源は、古生代オルドビス紀~デボン紀までさかのぼることができる。
そのころ世界最古の陸上植物の化石が見つかっている。
シダ植物が地上に現われるのは、そのつぎの「石炭紀」ということになる。
このころ、初期の木本性植物、前裸子植物が地上に現われる。)

 石炭紀というのは、古生代の後半、デボン紀のあと、ペルム紀までの間をいう。
年代的には、3億6700万年前から、2億8900万年前までに当たる。
このころ、昆虫や両生類が誕生し、つづいて爬虫類も誕生した。

 平均して、「3億年」とする。
(おおざっぱな数字で、ごめん。)

 その3億年を、100で割ると、「属(ぞく)」は、300万年ごとに進化、分化し、
「種(しゅ)」は、30万年ごとに進化、分化するということになる。
つまりこの方法を使えば、進化、分化の過程を、「定数的」に、表示することが
できるようになる。

シダ植物には、その「歴史」があり、また私が知るかぎり、シダ植物ほど、分類学の
進んだ植物は、ほかにない。
シダ植物には、そういう「秘密」と、「秘密を解く鍵」が隠されている。
一説によるとあのダーウィンですら、「忌まわしい植物」と呼んで、シダ植物には、
手をつけなかったという。
あまりにも複雑に分化しているからである。

●あくまでも仮説

 もちろんこれはひとつの仮説であり、仮にシダ植物については正当性をもったとしても、
ほかの植物は、またべつの定数が算出されるかもしれない。
さらに「植物」と「動物」はちがう。

しかし「進化」「分化」が、すでにDNAレベルで予定されたものであるとするなら、
「定数」で表示されても、何ら、おかしくない。
また「突然変異」という言葉もあるように、何らかの外的な影響がDNAレベルに影響を
もたらすということも考えられる。
そうした変数はあるが、それとて「数値化」することは、不可能でない。
それを「変異指数」という。

 つまり生物の多様性と、進化の過程を、「数字」として、公式化することができる。
またそれができると、逆に計算して、生物の未来的進化と分化を、予想することができる。
さらに応用すれば、未知の生物を、公式に従って探し出すことも可能になる。
(もちろん絶滅したものも、あるだろうが……。)

地球規模で、探し出すことも可能になるし、地域規模で、探し出すことも可能になる。
さらに近年のコンピュータ・アルゴリズムを使えば、新種そのものを、コンピュータ上で、
再現することもできる。
(もちろん絶滅したシダ植物を、再現して示すことも可能になる。)

●モンタージュ写真付きの捜索

 名倉智道先生は、そうしたシダ植物の新種の発見に努力している。
が、それはある意味で、地図のない宝探しのようなもの。
が、この公式と定数がわかれば、どの地域に、どの程度の数の未発見のシダ植物があるか、
おおよその見当をつけることができる。

 もちろんそのためには、基礎となるデータが必要である。
「種(しゅ)」「属(ぞく)」「科(か)」「目(もく)」……の、正確な数字がわかればよい。

 つぎにそれぞれのシダ植物の特徴を、できるだけ細かく、短冊化して並べる。
それをコンピュータ・アルゴリズムを使えば、いわゆるミッシングリンクとなっている
シダ植物を、コンピュータ上で、再現できる。
あとは、その再現されたシダ植物を、統計学的な手法を使って、探し出せばよい。
たとえば「A大陸のB地方には、B1種と、B3種のシダ植物が見つかっている。
その間のB2種もあるはず」と。

 つまり地図のない宝探しから、地図と、それにモンタージュ写真付きの情報をもとに、
新種のシダ植物を発見することができる。

 実に突飛もない仮説かもしれないが、名倉智道先生からのメールを読んだとき、
私はそれを真っ先に思いついた。
言うまでもなく、生物のもつ「多様性」は無限であり、それぞれの「種(しゅ)」は、
連続した「リンク」でつながっている。

 ところでもう20年ほども前のことだろうか。
恩師の田丸謙二先生は、私にこう教えてくれた。
「遺伝子工学が、ここまで進歩するとは、思ってもみませんでした」と。
田丸先生が、東大の理学部長をしていたころの時代と比べると、という意味である。
その遺伝子工学を使えば、ミッシングリンクとして、今は絶滅したシダ植物を、
現実の植物として、再出現させることもできるようになるかもしれない。
もっともそこまでできるようになると、おもしろいというよりは、こわい。
それにひょっとしたら、「楽しさ」という点では、地図のない宝探しのほうが、
おもしろいかもしれない。
時間はかかるが、そこにロマンを覚える。

名倉智道先生は、毎週のように、その宝探しを楽しんでいる。

(補記)

名倉智道先生へ、

 以上、この道のド素人が思いつくまま、仮説を立ててみました。
どうか笑わないでください。
しかしいつか本当に、「変異指数」のようなものが、見つかるかもしれませんね。
(あるいはそれよりも先に、人間が人工的に変異種を作り出してしまうかも
しれません。)

 しかしその一方で、生物のもつ多様性が、人間の手で破壊されつつあるというのも、
悲しいことです。
たまたま昨日ですが、夕刊にこんな記事が載っていました。

「生物多様性・国際目標、達成できず」(中日新聞・4月30日)と。

「国連などの科学者の分析によると、個体数の減少が続いている」というのです。
いわく「自然保護区の拡大は進んでいるが、生物種の個体数の減少や、外来種の
増加傾向に歯止めがかからず、『2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に
減少させる』との国際目標は、達成できなかったとの分析を、国際環境計画
(UNEP)などの科学者チームがまとめ、アメリカ科学誌サイエンスに30日、
発表した」と。

「・・・生物多様性への圧力に関する、5指標すべてが、悪化傾向で、「生物多様性
の損失が穏やかになる傾向は認められないと結論づけた」とも。

 シダ植物という目立たない植物であるだけに、先生たちのご努力が、しっかりと
実を結ぶことを願ってやみません。
生物の多様性が失われるということは、即、生物体系の崩壊を意味します。

 では、おやすみなさい。
今夜は、ボケ防止のため、劇場で、『ウルフマン』という、まったくナンセンスな
映画を観てきました。
週に1、2度は、劇場に足を運び、脳みそを刺激しています。
観たいとか観たくないとか、そういう選択はしていません。
先週は、『不思議な国のアリス』とか、『タイタンの戦い』とか、途中で眠くなる
ような映画を、がんばって観てきました。

 ついでに星評価をするなら、
『不思議な国のアリス』・・・★★
『タイタンの戦い』  ・・・★★
『ウルフマン』    ・・・★★

 制作技術にはものすごいものがありますが、どれもパッとしません。
あくまでもボケ防止用です。

 おやすみなさい。

 はやし浩司

(はやし浩司 家庭教育 育児 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林浩司 BW はやし浩司 シダ植物 種 属 科 目 仮説 進化仮説 新進化論 生物 多様性 進化の定数化 進化定数 進化の公式 公式化)


Hiroshi Hayashi+教育評論++April.2010++幼児教育+はやし浩司

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