2009年11月22日日曜日

*Secret Money in the Cabinet

【内閣官房報償費】(機密費)

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こんな記事が、中日新聞のトップに載っていた(09年11月21日)。

『官房・機密費・麻生氏退陣前、2億5000万円』

いわく「麻生内閣の河村建夫官房長官(当時)が、先の
衆院選2日後の9月1日に、機密費2億5000万円を
引き出していたことが判明。
毎月の支出額は、1億円程度で、退陣が決まっていた
麻生内閣の最後の支出は、突出している」と。

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●大敗北の2日後に、2億5000万円?

わかりやすく言えば、衆議院銀選挙で、大敗北した麻生前首相が、その選挙の2日
あとに、機密費2億5000万円を引き出していたという。

何のために?
どうして?

機密費(正式には、「内閣官房報償費」という)について、ウィキペディア百科事典は
つぎのように説明する。

『官房報償費は国政の運営上必要な場合、内閣官房長官の判断で支出される経費。
内閣官房機密費とも呼ばれる。
会計処理は、内閣総務官が所掌(閣議決定等に基づく各本部等については、当該事務局が
分掌)する。

支出には領収書が不要で、会計検査院による監査も免除されている。
原則、使途が公開されることは無い。毎年約12億円ほどが、計上されている。
以前から「権力の潤滑油」などと呼ばれ、不透明な支出に疑惑の目を向けられていた。

しかし、近年の外務省や都道府県警察本部の報償費が裏金としてプールされたり、横領さ
れていた問題の発覚を受け、元内閣官房長官塩川正十郎が「外遊する国会議員に餞別とし
て配られた」、「政府が国会対策の為、一部野党に配っていた」、「マスコミ懐柔の為に、一
部有名言論人に配られていた」など、内閣官房報償費の実態をテレビで暴露する。

報償費の使い方にマスコミや一部野党による批判や追及が激しくなり、与野党政治家主催
のパーティ券購入や会食、紳士服の購入、さらには官房長官による私的流用疑惑なども噴
出する。

これを受け、会計検査院も管理が不十分と指摘する。政府は1998年には支出の基準(内
規)を設けた』と。

●機密費=報償費

 機密費というのは、

(1) 領収書が不要。
(2) 毎年、12億円ほどが計上されている、という。

 またその内容については、

(1)「権力の潤滑油」とも呼ばれている。
(2)国会議員に選別として配れたこともある。
(3)一部、野党にも配れたこともあるという。
(4)一部有名言論人に配られたこともあるという。
(5)パーティ券の購入や、紳士服の購入などにあてられたこともあるという。

 これもわかりやすく言えば、機密費というのは、内閣のポケット・マネーということに
なる。
では、どうして「機密費」と呼ばれるのか?

 機密的な仕事、たとえば「ゴルゴ13」に出てくるような、諜報活動などに使われる
から、「機密費」というのか。
それとも内閣が、極秘に使えるから、「機密費」というのか。
前者的な使用方法であれば、外務省あたりに、そうした機関があり、予算もそれなりに
つけられているはず。
内閣が独自に、諜報活動をするということは、役職的にも限界がある。

 となると、「機密費」の「機密」というのは、やはり「報償費」ということになる。

●大敗北の2日後に、2億5000万円?

 衆院選挙で大敗北したあと、麻生内閣は、機密費を、2億5000万円も引き出して
いたという。
もしこれが事実であるとするなら、(事実であることには、ほぼまちがいないが)、この
一事によって、麻生前総理大臣がどういう人であったかが、わかる。
一事が万事。
万事が一事。

 まさかとは思いたいが、麻生前総理大臣以下、当時の内閣は、退職金がわりに、
機密費を山分けしたとも考えられなくはない。
本来ならその時点で、政権交代は確実だったはず。
麻生前総理大臣の政治活動は、(終わり)に向かって、掃除段階に入っていたはず。
その日の授業がすべて終わり、「さあ、みなさん、掃除ですよ」というときの、「掃除」
である。

 どうしてそんなときに、2億5000万円も、必要だったのか?
私には、2億5000万円の上に、あの小ずるそうな笑みを浮かべた麻生前総理大臣
の顔がダブる。

●浮動票

 私は、自称、「浮動票の王様」。
(あるいは「川面に浮かぶ、枯れ葉」?)

「王様」というのもヘンだが、私はずっと、浮動票層の1人として、投票してきた。
そのときどきによって、支持政党が変わる。
自民党に入れることもあれば、共産党に入れることもある。
公明党に入れることもあれば、民主党に入れることもある。
が、私が動くところ、浮動票層もいっしょに、ザザーッと動く。
(その逆でもよいが……。)

 その浮動票層には、いくつかの「掟(おきて)」がある。

(1) ギリギリまで、支持政党、支持候補者を決めない。
(2) 自分が投ずる1票は、死に票にしない。
(3) 極端な勝ち組は作らない。
 
 これは私が決めた掟だが、浮動票層の人たちは、おおむね、同じような掟をもっている
とみてよい。

 世間一般の人は、「浮動票層」というと、半ば軽蔑の念をこめて、私たちをそう見る。
が、ひょっとしたら、どこかの政党を支持する人たちよりも、はるかに政治について
真剣に考えている。
(もちろん、そうでない人もいるが……。)

何も考えないで、盲目的に、どこかの政党を支持するほうが、実際には楽。
そういう人のほうが、多い(?)。

●「やっぱり、なア~」

 が、前回の衆議院議員選挙では、自民党が大敗退した。
浮動票層が、ドドーッと、雪崩(なだれ)をうって、民主党支持に回った。
本来なら、ここで「極端な勝ち組は作らない」というブレーキが働いたはず。
しかし前回は、そのブレーキが働かなかった。

 なぜか?

 理由は簡単。
「あの麻生だけには、勝たせたくない」という思いが、先に立った。

 が、一抹の不安はあった。

 民主党は、かねてから、反米意識が強く、選挙の前から、「脱・アメリカ追従外交」を
唱えていた。
そのうしろでは、さらに訳のわからない、OZ氏という、闇将軍が君臨していた。

 果たして、あの結果でよかったのか?
自民党は、大敗退。
民主党は、大勝利。
それでよかったのか?

……そんな疑念を、選挙のあと、浮動票の多くは、もったはず。
が、今回の機密費の公表で、その疑念は消えた。
「やっぱり、なア~」と。
つまり麻生前総理大臣は、自己の政治姿勢を、自ら証明して見せてくれた。
それが「2億5000万円」という数字ということになる。

●付記

 が、あえて、一言。
今、こうして機密費の支出が公表されたわけだが、それを公表した民主党の歯切れも、
あまりよくない。
「今度は、自分たちの番だ」と言わんばかりの、雰囲気である。

 政治の世界は、ドロドロした欲望の渦に、よくたとえられる。
今回の公表にしても、どこか陰謀臭い。
「やられたから、やり返す」と。
OZ氏の1億円の闇献金発覚の翌週に、こうした公表がなされた?

 何かしら国民である私たちだけが、振り回され、もてあそばれているような感じが
しないでもない。
そういうことも頭のどこかに入れながら、こうした記事は読んだほうがよい。
つまり一方的に、あの麻生氏は、悪だと決めてかかることもできない。
(善人でないことは、たしかだが……。)

 で、私の立場で、気になったのは、ウィキペディア百科事典に書いてあった、つぎの
一文。

「マスコミ懐柔の為に、一部有名言論人に配られていた」と。

 当時、いろいろとうわさされていた言論人(評論家やニュースキャスター)が、
いるにはいた。
ある大学教授の書いた本を、大量に購入し、ベストセラーに祭りあげたという話も、
聞いている。
さらにある政党では、機関誌に投稿してもらうことによって、常識では考えられない
高額の原稿料を払っていた。
つまりそういう形で、「一部有名人」を、懐柔していた。

もちろんそういうことのために、機密が使われたと言っているのではない。
ひょっとしたら、2億5000万円程度なら、この世界では、ハシタ金なのかも
しれない。
それ以上に、この世界は、ドロドロとした闇に包まれている。

 何とも言われない(怒り)を覚えて、一気にこの原稿を書いた。
(2009年11月22日・朝)

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