●TOYOTA車は、宇宙船ではない!(Re-written on April 1st)
(改作・10-04-01)
Toyota Cars are not Spacecrafts!
Be ashamed, NHTSA!
Why NASA now?
(2日前の3月30日に書いた、「TOYOTA車は、宇宙線ではない」の
原稿が、あちこちのサイトで紹介され、今までにない波紋を広げている。
その原稿を補足してみる。)
2010年4月1日。
++++++++++++++++++++
交通事故の95%は、運転手の操作ミスに
よるもの。
そのうちの何割かは、アクセルとブレーキの
不適切な操作によるもの。
ところで、こんな仰天ニュースが、読売
新聞に載っていた。
そのまま紹介させてもらう。
+++++++++++以下、読売新聞、2010-3-30日++++++++++
【ワシントン=岡田章裕】トヨタ自動車の車の急加速問題で、米航空宇宙局(NASA)と全米科学アカデミー(NAS)が、米高速道路交通安全局(NHTSA)の要請を受けて事故原因の調査に乗り出すことが30日、明らかになった。
米ワシントン・ポスト紙が報じた。
トヨタ車の急加速問題では、ラフード米運輸長官が2月に電子制御系の調査を数か月かけて行う方針を表明したが、事故原因は特定されていない。放射線などが電子制御系に影響を与えているとの見方もあり、NHTSAは両機関の協力を得てより科学的な調査を行う考えだ。
+++++++++++以上、読売新聞、2010-3-30日++++++++++
●悪玉づくり
米高速道路交通安全局(NHTSA)は、何としても、TOYOTA車を、悪玉に仕立てあげたいらしい。
つまり引くに引けなくなった。
そこで今度は、NASAに事故調査依頼をいたという。
「放射線などが電子制御系に影響を与えているとの見方もある」とか?
ハア~~~?
電子制御装置を使用していない車など、いまどき、ない。
何らかの形で、使用している。
TOYOTA車だけが、電子制御装置を使用しているわけではない。
仮に放射線が電子制御装置に影響を与えるとするなら、すべての車に影響を与えるはず。
また与えるとしたら、平均して、すべての車に影響を与えるはず。
すべてのTOYOTA車に影響を与えるはず、でもよい。
つまりすべてのTOYOTA車が、急加速現象を起こすはず。
そこでまたまた論理学の話。
●疑問
(1)「放射線が影響を与える」というのなら、(仮にそれがわかったとしても)、では、その放射線とやらは、どこから発せられたのか。
そこまで解明しなければならない。
仮に宇宙からの放射線ということであれば、すべての車にまんべんなく、影響を与えるはず。
アメリカを走るTOYOTA車全体が、急加速現象を起こしてもおかしくない。
(2)この発想は、絶縁体をはがして、電線をショートさせてみた、どこかのアホ教授のそれと、どこもちがわない。
「通常では起こりえない状態を人為的に作り、それでもって、急加速の原因」と。
もしこんな手法がまかり通るなら、あちこちの電線を切ってつないでみればよい。
それでおかしくならない車など、ない!
つまりバカげている。
(3)米航空宇宙局(NASA)と全米科学アカデミー(NAS)に、調査を依頼したとか?
TOYOTA車は、宇宙船ではない。
地上を走る車である。
素人の私でも、放射線が、(強弱の程度にもよるのだろうが)、電子制御装置に影響を与えるかもしれないという程度のことは、おおかた予想がつく。
もしそうなら、さらに宇宙線の影響を受けやすい、航空機はどうなのかという問題がある。
もし「YES」という結果が出たら、車の心配より、飛行機やミサイルの心配をしたほうがよい。
(4)仮に「YES」という調査結果が出たとしても、それでもって、急加速現象の証拠とはならない。
もしこんな論法がまかりとおるなら、この先、運転の操作ミスで事故を起こした人は、こぞって、放射線影響説を唱えるようになるだろう。
「運転ミスではない」と。
●論理学(必要・十分条件)
もう一度、論理学の世界で、この問題を考えてみたい。
つぎの問題を考えてみてほしい。
【問】
ここに4枚のカードがある。
表には、(△)か(□)が描いてある。
『表が(△)のときは、裏には赤の(●)が、かならず描いてある』。
このことが正しいことを証明するために、あなたはつぎの4枚のカードのうち、
どれをめくってみるか。
1枚目……(△)
2枚目……(□)
3枚目……赤の(●)
4枚目……青の(●)
単純に考えれば、1枚目と3枚目をめくればよいということになる。
1枚目をめくってみて、赤の(●)。
3枚目をめくってみて、(△)。
しかしこれでは先の命題を、正しいと証明したことにはならない。
1枚目をめくったとき、裏に赤の(●)があれば、命題の条件に合致する。
3枚目の赤の(●)をめくってみたときも、そうだ。
表に(△)があれば、命題の条件に合致する。
が、これでは十分ではない。
だからといって、「(△)のカードの裏は、赤の(●)」ということが、証明された
わけではない。
つまり先の命題が、正しいことを証明したことにはならない。
この命題が正しいと証明するためには、この命題はまちがっていない
ことを明らかにしなければならない。
が、その前に書いておかねばならない。
3枚目は、めくっても意味はない。
仮に3枚目をめくったとき、表に(△)が描いてなくても、(つまり(□)で
あったとしても)、この命題の証明には、影響を与えない。
では、どれをめくればよいのか。
1枚目をめくって、赤の(●)が出てくることは、命題の証明には必要。
しかし十分ではない。
そこでこの命題はまちがっていないことを証明しなければならない。
それを決定するのは、4枚目のカードということになる。
4枚目は青の(●)。
もしこのカードをめくってみて、(△)が出てこなければ、この命題はまちがって
いることになる。
そこで4枚目をめくってみる。
表に(△)が出てくる。
この段階ではじめて、命題は、まちがっていないということになる。
これが「論理」である。
●必要・十分
話を戻す。
「放射線が、TOYOTAの車の電子機器に影響を与える」ことを証明するためには、
TOYOTAの車に、放射線を照射して、不具合を起こすだけでは足りない。
「必要な実験」かもしれないが、「十分」ではない。
ほかのメーカーの車にも、照射してみなければならない。
つまり「ほかの車では、何ともなかった」ということを証明しなければならない。
(いまどき何らかの形で、電子機器を搭載していない車は、ない。)
さらに、もし放射線が原因であるとするなら、(放射線というのは、すべてのTOYOTA
車に、まんべんなく降り注いでいるものだから)、「なぜ特定の車だけに、影響が出たのか」
も証明しなければならない。
まだある。
「どうしてアメリカのTOYOTA車だけに、集中的に影響を与えたか」についても、
証明しなければならない。
そこまで証明して、はじめて、「十分」となる。
また仮に放射線が原因であったとしても、そこまで予測可能であったかという問題も残る。
私もコンピュータを使うようになって、すでに35年になる。
コモドール社のPETの時代から、使っている。
が、今にいたるまで、一度だって、「放射線の影響」など、考えたこともない。
パソコン雑誌を書かさず読んでいるが、それが話題になった記事を見たこともない。
「放射線」という言葉は、いったい、どこから出てきたのか?
●振り上げた拳(こぶし)
調査が進むにつれて、話がおかしくなってきた。
米高速道路交通安全局(NHTSA)は、ふりあげた拳(こぶし)を、おろすにおろせなくなってしまった。
そこで言うに事欠いて、今度は、NASAに調査依頼?
バカげているというか、常軌を逸している。
もし米高速道路交通安全局(NHTSA)が調査すべきことがあるとするなら、両足を、アクセルとブレーキにかけて走っているドライバーが、アメリカには、何%いるか、だ。
飲酒運転をしているドライバーの数や、携帯電話をかけながら走っているドライバーの数でもよい。
最後に、現在、TOYOTAのハイブリッド車は、アメリカだけで、600万台以上も走っている。
そのうちの数百台に急加速現象が起きたという。
が、全体からみれば、1万分の1。
0・01%!
事故の95%は運転手の運転操作ミスという数字は、いったい、どうなるのか。
先にも書いたように、その大部分は、アクセルとブレーキの踏みまちがいによるもの。
アクセルとブレーキを踏みまちがえれば、どんな車だって、急加速する。
●統計的調査(補足)
ここで私は、冗談ぽく、「両足を、アクセルとブレーキにかけて走っているドライバーが、アメリカには、何%いるか」を調べたらよいと書いた。
しかしこれは冗談ではない。
たまたま昨日も、近くのTOYOTAの販売会社のディーラーの人と話した。
その人(50歳くらい)も、こう言っていた。
「アクセルとブレーキを同時に踏んで運転するなどということは、日本では考えられない」と。
つまり車の運転の仕方が、日本とアメリカとでは、ちがうらしい、と。
そこでこんなことを調査してみたらどうだろう。
(1)両足を乗せて運転する人の割合(%)と、急加速問題が起きた割合(%)。
たとえばA国では、両足を乗せて運転する人が、10%いたとする。
そしてそのA国では、TOYOTA車につき、100件の急加速現象が起きたとする。
割合が、全体の、0・01%だったとする。
これが基礎データ。
つぎにB国について調べる。
B国では、両足を乗せて運転する人が、5%いたとする(A国の10%の半分)。
同じようにB国でも急加速現象が起きたとする。
そのときその割合が、0・01÷2(半分)=0・005%と同じか、かぎりなくその数値に近ければ、急加速現象は、TOYOTA車の欠陥ではなく、運転の仕方に原因があるということになる。
同じように、(2)TOYOTA車における、運転操作ミスによる交通事故の割合(%)と、ほかのメーカーにおける、運転操作ミスによる交通事故の割合(%)でもよい。
●車の欠陥
交通事故の95%は、ドライバーの運転操作ミスによるものだという(米高速道路交通安全局(NHTSA))。
残りの5%が、車の欠陥によるものということになる。
そこで改めて数字を拾ってみる。
現在、アメリカでは、600万台のTOYOTAのハイブリッド車が走っている。
うち数百台が急加速現象を起こし、事故につながった可能性があるという(米高速道路交通安全局(NHTSA))。
仮に600台としても、0・01%。
もし私が米高速道路交通安全局(NHTSA)の幹部なら、TOYOTAの車を問題にする前に、車の車検制度を考える。
私の二男もアメリカで学生をしているころ、車を買った。
が、ドアを満足に開けることさえできなかった。
そういう日本では考えられないような車が、アメリカでは、平気で走っている。
どうしてそういうことを、問題にしないのか。
さらにドライバーの教育問題もある。
アメリカでは、高校生のとき、授業のひとつとして、運転教習を受け、免許を手にしている。
どういう教習をしているのかは知らないが、そのあたりにまで一度、メスを入れてみる必要があるのでは?
●放射線?
それにしても、今度は、「放射線」というところがすごい!
その少し前にも、TOYOTAのディーラーの人と話したが、この日本では、急加速問題は起きていないという。
(このところ車の買い換えもあって、たびたびTOYOTAの販売会社に、足を運んでいる。)
つまり放射線なるものは、どうして日本には降り注がないのか、そのあたりもきちんと証明しなければならない。
(あるいは大病院の放射線照射ルームの近くで、そういう事故が多発したというデータでもあれば、話は別だが……。)
また論理学の世界で考えるなら、先にも書いたように、「放射線が、電子制御装置に影響を与える」というだけでは、十分ではない。
「ほかの車の電子制御装置が、なぜ影響を受けないか」ということまで証明して、はじめて十分となる。
これ、称して、「必要・十分条件」という。
(私たちが子どものころは、こんなことは、中学校で学んだぞ!)
●だいじょうぶか、アメリカ!
私は、今度ほど、アメリカ人の脳みその程度を疑ったことはない。
また調査依頼を受けたNASAもNASA。
そのあたりの情報は、すでにもっているはず。
改めて調査するまでもなく、その情報を公開したらよい。
なお私なら放射線より先に、たとえば静電気とか、稲妻とか、あるいは走行中の振動が与える影響について調べる。
ついでに肉食人種たちが出す、あの臭いおならでもよい。
さらに悪霊のたたりでもよい。
一度、そのあたりも、調査してみてほしい。
NASAに調査依頼するよりは、スカリーとモウルダーに依頼したほうがよいのでは?
これぞまさしく、X-File!
……というのは、少し書き過ぎということはわかっている。
先に「どこかのアホ教授」とも書いた。
しかしアホはアホ。
そういう常識では考えられないような実験を真に受け、それでもって、「急加速現象が証明できた」とした、米高速道路交通安全局(NHTSA)も、アホ。
まともに相手にするのもバカバカしいほど、常識をはずれている。
だから「アホ」と書いてしまう。
言葉は汚いが、私はそれ以外の言葉を思いつかない。
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Hiroshi Hayashi+教育評論++April.2010++幼児教育+はやし浩司
2010年4月1日木曜日
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