●わかりすぎるほど、わかっているが……
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わかりすぎるほどわかっているが、あまりにも
わかりすぎているため、慎重に
ならざるをえない。
こういう場面に出会うことは、よくある。
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●X氏(60歳)のケース
穏やかでない事件が、起きた。
X氏(60歳)の塀のコンクリート壁が、放火されたという。
見ると、塀の一部が、黒くこげていた。
その下には、枯れ草が燃えた痕跡が残っていた。
X氏はそれを見て、即座に、道路をはさんだ、
隣のY氏のしわざとわかった。
放火というのは、ふつうのいたずらとは、ちがう。
一線を画す。
そこでX氏は警察に連絡をした。
パトカーがやってきた。
しかしコンクリート壁ということで、そのまま警察官は
帰ってしまった。
Y氏によるX氏への、(いやがらせ)は、毎年のようにあった。
が、「証拠がない」という理由だけで、X氏は、何もできなかった。
言い忘れたが、Y氏は、何かの痴呆症にかかっていた。
言動がおかしくなって、すでに10年以上になる。
●子どもの世界でも……
盗癖のある子どもというのは、いる。
盗むのがうまいというよりは、人目を盗むのがうまい。
ちょっと油断したスキに、サッと盗んでいく。
加えて、ウソもうまい。
が、何年もつきあっていると、同じパターンでそれが起こるため、
その子どもの(しわざ)ということがわかる。
しかし証拠がないため、何も言えない。
いじめの世界でも、似たようなことがある。
もう15年になるだろうか。
いじめについて、こんな原稿を書いたことがある。
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●いじめの陰に嫉妬(中日新聞にて発表済み)
Jealousy often drive man and woman crazy and it is the same in the world of children.
陰湿かつ執拗ないじめには、たいていその裏で嫉妬がからんでいる。この嫉妬というのは、恐らく人間が下等動物の時代からもっていた、いわば原始的な感情の一つと言える。それだけに扱いかたをまちがえると、とんでもない結果を招く。
市内のある幼稚園でこんなことがあった。その母親は、その幼稚園でPTAの役員をしていた。その立場をよいことに、いつもその幼稚園に出入りしていたのだが、ライバルの母親の娘(年中児)を見つけると、その子どもに執拗ないじめを繰り返していた。手口はこうだ。
その子どもの横を通り過ぎながら、わざとその子どもを足蹴りにして倒す。そして「ごめんなさいね」と作り笑いをしながら、その子どもを抱きかかえて起こす。起こしながら、その勢いで、またその子どもを放り投げて倒す。
以後、その子どもはその母親の姿を見かけただけで、顔を真っ青にしておびえるようになったという。ことのいきさつを子どもから聞いた母親は、相手の母親に、それとなく話をしてみたが、その母親は最後までとぼけて、取りあわなかったという。父親同士が、同じ病院に勤める医師だったということもあった。被害にあった母親はそれ以上に強く、問いただすことができなかった。
似たようなケースだが、ほかにマンションのエレベータの中で、隣人の子ども(三歳男児)を、やはり足蹴りにしていた母親もいた。この話を、八〇歳を過ぎた私の母にすると、母は、こう言って笑った。「昔は、田舎のほうでは、子殺しというものまであったからね」と。
子どものいじめとて例外ではない。Tさん(小三女児)は、陰湿なもの隠しで悩んでいた。体操着やカバン、スリッパは言うに及ばず、成績表まで隠されてしまった。しかもそれが一年以上も続いた。Tさんは転校まで考えていたが、もの隠しをしていたのは、Tさんの親友と思われていたUという女の子だった。
それがわかったとき、Tさんの母親は言葉を失ってしまった。「いつも最後まで学校に残って、なくなったものを一緒にさがしていてくれたのはUさんでした」と。Tさんは、クラスの人気者。背が高くて、スポーツマンだった。一方、Uは、ずんぐりした体格の、どうみてもできがよい子どもには見えなかった。Uは、親友のふりをしながら、いつもTさんのスキをねらっていた。そして最近でも、こんなことがあった。
ある母親から、「うちの娘(中二)が、陰湿なもの隠しに悩んでいます。どうしたらいいでしょうか」と。先のTさんの事件のときもそうだったが、こうしたもの隠しが長期にわたって続くときは、身近にいる子どもをまず疑ってみる。
そこで私が、「今一番、身近にいる友人は誰か」と聞くと、その母親は、「そういえば、毎朝、迎えにきてくれる子がいます」と。そこで私は、こうアドバイスした。「朝、その子どもが迎えにきたら、じっとその子どもの目をみつめて、『おばさんは、何でも知っていますからね』とだけ言いなさい」と。その母親は、私のアドバイス通りに、その子どもにそう言った。以後、その日を境に、もの隠しはウソのように消えた。
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●韓国の駆逐艦
韓国の駆逐艦が爆発、沈没してから、もう10日以上が過ぎた。
が、いまだに原因がつかめず、ああでもない、こうでもないという
議論がつづいている。
しかしこれなども、だれがやったか、わかりすぎるほど、わかっている。
どんな方法を使ったかも、わかっている。
わかっているが、証拠がないため、だれも何とも言えない。
『悪人は、自ら悪あがきをする』というのは、私が考えた格言だが、たまたま
今朝、こんなニュースが、ニュースサイトに載っていた。
何でも韓国が、K国に対して、砲撃をしかけたというのだ。
肝心の韓国側は、「そんな事実はない」と否定している。
「古い地雷が爆発した可能性はある」とも。
「?」
もうすぐ駆逐艦が引き上げられる。
爆発、沈没した原因が、わかる。
それを恐れてか、K国は、先手を打った。
つまり悪あがきを始めた。
わかりすぎるほど、わかりきったことなのだが、このばあいも、
証拠がないため、話はここまで。
●口にフタはできない
わかりすぎるほど、わかっている。
が、証拠がない。
どこかの政党の幹事長の、汚職事件もそうだ。
結局、立件が難しいということで、不起訴処分になってしまった。
が、それでその幹事長がシロというわけではない。
見る人は見ている。
似たような事件に、昔、アメリカで、ある男性の妻が射殺されるというのがあった。
あの事件のときも、犯人がだれか、わかりすぎるほど、わかっていた。
が、同じように、証拠不十分で、その男性は逃げ切ってしまった。
しかし世論(=有権者)は、それほどバカではない。
こうした事件を外からながめながら、だれが犯人なのか、しっかりと見抜いている。
それから生まれる(怒り)を、しっかりと心の中にためている。
一見、静かなのは、「証拠がないから」。
理性というブレーキが働くから。
が、行動に出るときは、出る。
今朝の中日新聞によれば、どこかの政党の支持率は、低下の一途。
33%前後を低迷し、不支持率は、53%を超えた(共同通信社)。
(比例代表投票先では、支持率は、たったの26%!)
どこかの政党の幹事長に対しては、「やめるべき」と答えた人が、81%にも達している。
ここでいう「どこかの政党」というのは、どこの政党をさすか、
わかりすぎるほど、わかっている。
わかっているが、それを口に出すことはできない。
が、こうして数字には出てくる。
……というようなことは、この世の中には、多い。
Hiroshi Hayashi+教育評論++April.2010++幼児教育+はやし浩司
2010年4月5日月曜日
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