2009年7月7日火曜日

*July 7th 2009

● DVD『コッポラの胡蝶の夢』

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ビデオショップで、DVD『胡蝶の夢』を借りてきた。
夜、10時を過ぎてから、ワイフと2人で、それを見た。
字幕の翻訳がよくないのか、内容がよく理解できなかった。
理解できないまま、最後まで見た。

星は、1、2個の、★。
『地獄の黙示録』で、世界的な監督になった、フランシス・
コッポラの監督作品ということで、かなり期待していた。
が、がっかり。
……というのが、私の率直な感想。

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その『地獄の黙示録』では、こんな強烈な思い出がある。
ある夫婦なのだが、その映画を、ある日の午後、劇場で見た。
その夜のこと、妻が自宅にガソリンをまいて、焼身自殺。
その火事に巻き込まれて、夫と、1人の息子も焼死。
手伝いで住み込んでいた女性も、焼死。
何とも痛ましい事件だった。

私は縁があって、その夫婦とは、それまでの10年近く、
深く交際させてもらった。
そのこともあって、そこにいたる経緯(いきさつ)を
私はよく知っている。
で、『地獄の黙示録』。

今でもその題名を聞くたびに、「あの映画が関係あった
のではないか」と、思う。
「あの映画を見たので、奥さんは、自殺を決意した」と。
つまり当時としては、それくらい強烈な印象を与えた映画だった。

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●人間的な(やさしさ)

 その人のもつ、社会性、大衆性は、その人の人格の完成度を知る、重要な
バロメーターのひとつと考えてよい。
EQ理論(ピーター・サロベイ)でも、「他者との良好な人間関係」でもって、
人格の完成度を量る。
より深い社会性、大衆性があれば、それでよし。
そうでなければ、そうでない。
それだけ人格の完成度は、低いということになる。

 で、『コッポラの胡蝶の夢』。
SF映画のようだが、SF映画でもない。
恋愛映画のようだが、恋愛映画でもない。
過去と現在が、複雑に交錯する。
そのうちわけがわからなくなる。
おまけにコッポラの哲学。
難解なセリフ。
意図はよくわかるが、観客の目で見て、「おもしろくない」の一言。
私はその映画を見ながら、若いころ、主婦と生活社にいた、INという
編集長が教えてくれた話を思い出した。

●「まず相手を楽しませろ」

 INという編集長は、こう言った。
『林君(=私のこと)、原稿を書くときは、まず、相手を楽しませること。
相手をいい気分にさせること。
「あなたはすてきだ」「あなたはすばらしい」と。
それが80~90%。
残りの10~20%を使って、その中に自分の意見を織り込む。
「だけど、私はこう思います」と、ね。
それでじゅうぶん。
いいかね、文章というのは、まず読んでもらわなければならない。
それを忘れてはいけないよ』と。

 また別の出版社の社長は、こう教えてくれた。
東京の神田で、出版社を経営していた人である。
当時『磯野家の謎』という本を出して、大当たりした。
いわく、「どんな本を書くときも、全力で書け。
けっして、出し惜しみしてはいけない」と。

 どういうわけか、これら2人の人たちが話してくれたことが、私の
耳に鮮明に残っている。

 そうそう、もう1人。
学研の幼児局にいた、STという編集長も、私にこう教えてくれた。

『エッセーを書くときは、具体例を3分の1は入れること』と。
さらにこうも言った。
『読者を批判したら、かならず、「ではどうしたらいいか」という意見を
書き添えること。
けっして読者を批判したままで、終わってはいけない』とも。

それらが今でも、こうしてものを書くときの(私の柱)になっている。

(1) まず、読んでもらうこと。
(2) 出し惜しみしないこと。
(3) 具体例を書くこと。
(4)読者を批判したままでは、終わらないこと、と。

●大監督

 映画に限らないが、芸術家というのは、「大」の文字を冠(かんむり)に
かぶるようになると、製作に対する姿勢が大きく変わってくる。
どうしてだろう?
で、その映画だが、たとえば昔、黒沢Aという名前の監督がいた。

 若いころ監督した映画は、たしかにおもしろかった。
私も大ファンだった。
しかし晩年の作品になればなるほど、がっかりすることが多くなった。
それを最初に強く感じたのが、『デルスウラーザ』。
それに『影武者』『乱』とつづく。
(このあたりの順序は、記憶によるものなので、不正確。)

 どれも見るに耐えないというか、駄作(失礼!)ばかり。
「大作」と銘打って、豪華な俳優と、製作費をふんだんに使った映画だった。
が、どこかひとりよがり。
「どうだ、これが映画だ」という傲慢さばかりが、目だった。

 先日見た、『コッポラの胡蝶の夢』も、そうだった。
先にも書いたように、おもしろくなかった。
私は途中で何度か、席を離れた。
(だから余計に内容が、理解できなかったかもしれない。)


● 「初心、忘れるべからず」

結局は、「初心、忘れるべからず」ということになる。
初心を忘れたとたん、作品は、現実から遊離してしまう。
現実から遊離すればするほど、そのまま自分の殻(から)にこもってしまい、
独善と独断の世界に入りこみやすくなる。
が、一度、こうなると、あとは(殻にこもる)→(現実からの遊離)の悪循環。
へたをすれば、人格そのものが、後退するようになる。

 フランシス・コッポラ監督がそうだとは思わない。
が、ここまで(現実)から遊離した映画を製作するようになると、
彼自身の人格を疑われてもしかたないのではないか。
映画を通してみる彼の人格は、偏屈で、がんこ。
人間らしい(やわらかさ)を、見失ってしまった(?)。
だから星は、やはり1つの、★。

 難解な哲学書を読んでも平気な人は、DVD『コッポラの胡蝶の夢』を見たらよい。
もう一度、よく見れば、私にも内容が理解できるようになるかもしれない。
が、私は、一度で、たくさん!

 今度、劇場で、ニコラス・ケイジ主演の、『ノウイング(Knowing)』が封切られる。
楽しみ!
見るぞ!
私には、ああいう映画のほうがあっている。
(まだ見てないが……。)


Hiroshi Hayashi++++++++June09++++++++++はやし浩司

●静岡県知事選挙

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現在、居間でこの原稿を書いている。
時は、7月5日(日曜日)、午後10時25分。
昨日、故障していたミニノート(ASPIRE・1)が、
修理から返ってきた。
その初期設定が、先ほど、終了。
今は試し打ちをしているところ。

テレビ(NHK)では、ウィンブルドンの試合を実況中継している。
ロジャー・フェデラーが新たな記録を作るか……?
その合間に、ときどき今回の静岡県知事選挙の投票結果が、報道される。
開票率17%前後だが、前副知事のSK氏(自民・公明推薦)が、得票数
1位をキープしている。
2位のKK氏とは、2万票の差をつけている。
県知事選挙とはいえ、国政選挙のような雰囲気。

 どうなるのだろう?

たった今、開票率22%の結果が出た(10時40分)。
SK氏とKK氏が、やや間を縮めてきた。

フェデラーの試合も気になる。
選挙結果も気になる。
ウィンブルドンも、静岡県知事選挙も、大接戦。
今夜は、このまま徹夜になりそう。

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