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子育て最前線の育児論byはやし浩司 09年 7月 10日
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★★★HTML版★★★
HTML(カラー・写真版)を用意しました。
どうか、お楽しみください。(↓をクリックしてみてください。)
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メルマガ(6万3000誌)の中で、2008年度、メルマガ・オブ・ザ・イヤーに
選ばれました!
【1】(子育てのこと)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
●友だちから、孤立する子ども(中1)
++++++++++++++++++
仙台市にお住まいの、KUさん(母親)から、
長男についての相談が届いています。
「学校で、友だちもできず、いつも独り」とか。
++++++++++++++++++
【KUさんより、はやし浩司へ】
はじめまして。突然の相談ですみません。
息子のことで夫婦ともに悩んでいます。アドバイスお願いします。
今年4月から中学になり2か月が経ちましたが、友達もできず、教室ではいつも独りの
ようなんです。
息子は、「今のクラスは嫌、友だちになりたい子がいない」と言います。
私は、無理に友だちを作らなくても自然にできるよ。と考えています。でも、主人は、
嫌でも自分から積極的に話しかけて友だちを作れと考えています。
小学生のころは友だちもいましたが、その友だちが新しい友だちを連れてくると、
急におとなしくなり、黙り込んでしまったりします。
家族で外出した際に学校の友だちを見つけると隠れることもあり、そんな息子を見てつ
い叱ってしまったこともあります。
中学の今でも登校する時、偶然同じ学年の子と会っても挨拶すこともなく、避けるよう
に行ってしまいます。
先生に聞くと、学校では積極的に自分から動くことはなく、授業中もうつむいている
ことが多い、ということです。
そのせいか、先生からも注意されたり、やる気がないようなことを言われたみたいです。
自分に自信がないことがすべてなのかもしれない、自然に友だちができるということでも
ない。もっと自信をつけてあげなければ、と思っていました。
でも、これまで私は息子に口うるさく言いすぎたのかもしれません。
歯磨きしなさい・宿題しなさい・学校の用意をしなさい・早く起きなさい・塾の宿題
は?・・・・
(娘にはあまり言った記憶がない。お兄ちゃんが注意されるのを見て、自分もしなけ
れば・・・と思い、していたからかもしれません。)
息子は周りを気にするあまり、自分が見えていない。主人と話すときも自信がなさそ
うな小さな声でボソボソ話したり、黙り込んでしまいます。
主人がイライラして叱ることもあります。
私から見ると、人の話をちゃんと聞いて、自分の考えを人に伝えることが苦手なように
思えます。
アトピーも中学に入ってひどくなり、授業中も頭をかいたり、目をこすったりしてい
るようなので、薬を飲んで塗りなさいと言うのですが、私たちが言うまで塗りません。
下の娘は明るくともだとも多い方です。娘はお兄ちゃんのこと好きですが、周りの友
だちから「おとなしいお兄ちゃんやな」と、よく言われると言っています。
今、一番息子にとって楽しいのは部活の卓球です。
部活だけは毎日頑張って練習したり、家でも練習したりしています。
このままだと、集団生活ができず、高校・社会人になったときに必ず苦労するから、
いま私たちが夫婦で決めたことは、
私は息子にガミガミ言わず、学校のことは聞かない・言わない。
主人が息子と話すようにし、叱ったり、褒めたり、勉強を見たりしています。
今朝、息子は宿題・時間割をしないで、ダラダラしていたので主人に叱られていました。
いろいろと書きましたが、息子が自分から何でも興味を持って毎日楽しく、学校も友
達も部活も笑顔でできるには何をしてあげたらいいのでしょうか。
【はやし浩司よりKUさんへ】
●K君の問題点
息子さんの名前を、K君(中1)とします。
そのK君は、今、心の中で、こう叫んでいます。
「ぼくは、どうすればいいのだ!」「どこへ行けばいいのだ!」、とです。
親の過関心と過干渉で、K君の「私」(=自我)は、こなごなにされてしまっている(?)。
……いきなりきびしいことを書きましたが、症状としては、回避性障害、対人恐怖症、
あるいは軽い抑うつ状態が考えられます。
アトピーがひどくなったということですから、神経症も疑われます。
ほかにもあれこれ症状が出ているはずですが……。
しかし病名など、どうでもよいのです。
まずK君の今の状態を、あなたがすなおに受け入れてあげてください。
だれにでも、得意、不得意があります。
「Kにも、不得意なことがあるのだ」と、です。
またメールを読む範囲では、KUさんの夫は、かなり権威主義的なものの考え方を
しているような印象をもちます。
「男だから……」「長男だから……」「中学生にもなったのだから……」とです。
しかし遠因をさぐれば、KUさんとKUさんの父親の関係、さらにはKUさんの夫と、
母親の関係の不全が疑われます。
それと1、2歳しか離れていない妹さんも、この問題には、からんでいます。
もっとも濃密な愛情を必要とするときに、妹さんが生まれてしまった。
その結果、K君は、愛情飢餓、愛情不足、欲求不満の状態に追い込まれてしまった(?)。
赤ちゃん返りを起こす暇もなく、「お兄ちゃんだから……」と、親の身勝手な
『ダカラ論』をぶつけられてしまったことも考えられます。
K君のさみしさ、悲しさは、そのあたりから出発しています。
またここにも書いたように、KUさん自身が、KUさんの両親との関係がうまく
いっていなかったことも疑ってみてください。
とくに父親との関係です。
だから男児であるK君の育児に、いつも戸惑いを感じていたし、K君の立場で言うなら、
基本的信頼関係の構築に失敗したというわけです。
時期的には、0歳から2歳前後までです。
だからK君は、心を開いて、友人の輪の中に飛び込んでいくことができない。
それも実のところ、あなた自身が、心を開くことができなかったからです。
こういうのを世代連鎖といいます。
(妹さんとの人間関係はほどほどにうまくいっているようですが……。)
K君にしてみれば、つらい毎日です。
さみしいし、孤独だが、しかし人の間に入っていくと疲れる……。
それについて、親が、見るとはなしに見ながら、神経質にあれこれ言う。
干渉する。
「嫌でも自分から積極的に話しかけて友だちを作れ」とは!?
(ゾーッ! 実に乱暴な言葉ですね。暴言と言ってもよいでしょう。)
発達心理学的には、思春期に入り、自我の同一性をめざす時期に来ています。
(やりたいこと)と、(現実にしていること)を一致させる時期です。
が、K君は、それができないでいる。
役割混乱から、自我の不一致が起きている(?)。
K君にしてみれば、たいへん苦しいことです。
このことをしっかりと、理解してあげてください。
●では、どうすればよいか
「卓球が好き」ということですね。
だったら、ここは、思う存分、卓球をさせます。
応援します。
励まします。
時間と金(マネー)を、そこへ集中させます。
(ただしやりすぎないように!)
このタイプの子どもは、人間関係がうまく結べない分だけ、しかし(顔のない
自分)にも耐えられず、(1)攻撃型、(2)同情型、(3)服従型、(4)依存型
のうちの、どれかのパターンをとります。
今のK君には、卓球をすることが、その(顔)ということになります。
卓球を利用して、攻撃型に転ずれば、しめたものです。
(仮にK君から卓球を奪ったら、たいへんなことになりますから、くれぐれも注意して
ください。)
K君にしてみれば、卓球をしているときだけ、自分を忘れることができる。
また卓球をしているときだけ、自分を主張できる。
で、それをうまく利用すれば、K君は、今の状況(=同一性の危機)から、抜け出る
ことができます。
このあたりのことは、私は何度も書いてきましたので、(はやし浩司 自我の一致)
(はやし浩司 基本的信頼関係)(はやし浩司 基底不安)(はやし浩司 対人恐怖症)
などを、ヤフーで検索してみてください。
参考にしていただけると思います。
で、今度は、親子関係です。
(1)『ダカラ論』は意味がありません。
K君は幼いときから、「あなたはお兄ちゃんだから……」と、耳にタコができるほど、
言われつづけてきたように感じます。
とくに父親からです。
(KUさんの夫の父親を、観察してみてください。
KUさんの夫の父親は、かなりの権威主義者だったように推察されます。
また親が権威主義的であればあるほど、親子関係は断絶しやすくなります。
親が、親風(=悪玉親意識)を吹かせば吹かすほど、子どもは見た目には従順で、
おとなしくなります。
KUさんの夫と、夫の父親の関係は、見た目ほど、うまくいっていなかったと
思うのは、そんな理由によるものです。)
(2)暖かい無視を大切に
今どき、対人恐怖症など、何でもありません。
まともな人ほど、そうなります。
友だちの数にしても、多ければ多いほどよいというものでもありません。
それともKUさん、あなたには、友だちがいますか?
何でも話したり、相談にのってくれる友だちは、いますか?
私など、友だちといっても、数えるほどしかいません。
ワイフを含めて、2人とか3人とか、そんなものです。
つまり親の期待を、子どもに求めすぎないこと。
もしそれでも「友だちを!」と考えるなら、あなた自身が交際のワクを広くすれば
よいでしょう。
その輪の中に、子どもを巻き込んでいくのです。
心というのは、そういうものです。
つまりいくらあなたが親でも、子どもの心の中にまでは、入っていくことはできません。
だからここは、「友だちを作りなさい」ではなく、「お母さんも、集団が苦手よ。あなたも
つらい思いをしているのね」と、K君には話します。
そういう愛情で子どもを包んであげたあと、無視すべきところは無視します。
あせったところで、逆効果。
この時期、一度、このような症状を示したら、最低でも、今のような状態は、10
年続くと覚悟してください。
対処の仕方をまちがえると、20年どころか、それが引き金となって、引きこもったり、
家庭内暴力へと悪化します。
こうした問題には、必ず2番底、3番底があります。
KUさんは、「今が最悪」と思っているかもしれませんが、まだその下には、2番底、
3番底があるということです。
そのため、コツは、「今の状態を保つこと」です。
(K君は、今、親の前では、静かでおとなしいようですが、その一方で、不平、不満を
心の別室に、「抑圧」という形で、ため込んでいますから、注意してください。
耐えているのでもなければ、それだけ包容力があるからでもありません。
つらいこと、さみしいことを、心の別室に、押し込んでいるだけです。)
で、友だちにしても、1人、2人の友だちを大切に、また家族もそれを応援しながら、
それでよしとします。
それで十分ではないですか?
(3)一芸を伸ばす
先ほども書きましたが、ここは卓球に望みをつなげてください。
卓球がK君の(命)と思ってください。
今のK君から卓球を奪ったら、それこそ不登校程度ではすまなくなりますよ!
(脅かして、すみません。これもK君のためです。)
あとは子ども自身がもつ、自然治癒力を信じてください。
やる気についても、最近の大脳生理学では、カテコールアミンというホルモンが
作用していることがわかってきました。
K君の脳の中では、その分泌が何らかの理由で、阻害されているのかもしれません。
慢性的な抑うつ感が、ホルモンの分泌に変調をきたしている……。
だからあとは自然治癒力にゆだねるしかありません。
まだ成長期ですから、時間はそれほどかからないと思います。
コツは、繰り返しになりますが、「今の状態をこれ以上悪くしないことだけを
考えて、数か月単位で様子をみる」です。
(抑圧がひどいと、いつか爆発する可能性もあります。
母親父親に対して、「こんなオレにしたのは、テメーだろうがア!」とです。)
そんなわけで、「治そう」とか「直そう」などとは、考えないこと。
K君が苦しんでいたら、(まちがいなく苦しんでいますから)、今日、このメールを
読み終えたら、K君にこう言ってあげてください。
「ごめんね、K。
つらかったのね、K。
苦しかったのね、K。
さみしかったのね、K。
お母さんがあなたの苦しみをわかってあげなくて、ごめんね。
苦しかったのね。
友だちなんかいなくても、気にしてはだめよ。
うるさい友だちなんか、いないほうがいいのよ。
そのかわりにね、お母さんが、あなたの友だちになってあげるからね。
これからもずっと、いっしょに、仲のよい友だちでいましょうね。
ずっと、ずっと、友だちでいましょうね。
本当のところ、お母さんにも友だちがいないのよ。
だからあなたが私の友だちになってね」と。
あなたが負ければ、この問題は解決します。
負けることの美しさというか、すばらしさを、あなたも実感してみてください。
「私は親だ」という、おかしな親意識は、今すぐ、捨てなさい。
「私は親だ」という気負いも、今すぐ、捨てなさい。
対等の人間として、K君の横に立つのです。
その向こうには、すばらしい親子関係が待っていますよ。
応援します!
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て Hirosh
i Hayashi 林浩司 BW BW教室 友達 子供の友だち 友人問題)
Hiroshi Hayashi++++++++June.09+++++++++はやし浩司
●家庭内暴力
++++++++++++++++++
ますます荒れる子ども(中1)。
そんな子どもをもてあまし、悩んでいる
母親がいる。
掲示板への書き込みから……
(090603)
++++++++++++++++++
【UKさんより、はやし浩司へ】
先生の掲示板を拝読するようになってからもう5年がたちました。いつもなにかに迷った
り辛いことがあったときにホームページを開いてきました。そして先生の言葉を心の糧に
してきたこと、今までに何度もあります。でも今回だけはどうしても他の方の投稿を読む
のではなく自分の言葉で先生にお話し、先生ならなんとおしゃるのかを聞きたくてメール
しました。辛い毎日が続き誰かに聞いてもらいたい、でも学校にどこまで話していいのか
わからない。そんな日が続いています。
4月に私立中学に入学した長男のことです。1月に受験も終わり子供の生活が乱れてきた
のはそのころからです。特に春休みはひどいものでした。テレビゲームとカードゲームに
明け暮れ、テレビを見ながらゴロゴロしてばかり。はじめは注意していましたがだんだん
反抗がエスカレートしてきて、子供の顔色をみて生活をするようになりました。黙ってみ
ていることも結構私におは忍耐がいることで、時々やはり口うるさく言ってしまうと、息
子はキレて壁に大きな穴を開けるくらい怒鳴り、ベットの背もたれもパンチで穴を開けま
した。私が無視をすると2歳違いの弟に手を出し始めます。私が弟をかばうとまたそれが
気に入らないらしくキレて怒鳴りちらしテレビやエアコンのリモコンを投げつけます。
息子が穏やかに過ごした日は自分のほしかったカードやゲームを買ってあげた日だけです。
春休み中に「彼方の仕事は勉強だからまずは勉強を決めた時間やってからゲームなりカー
ドで遊んだらどうか?」と、比較的穏やかのときに話をしたりしましたが、やはりむしゃ
くしゃするのか長続きしません。私が無理やりゲームを隠したりしても、結局息子が切れ
てしまうのが怖くて出してしまうのが現状です。そばに座って話をしようとしても「うる
せぇんだよ、黙ってろ、あっちいけ」と。私のことも興奮しているときは「お前」「あんた」
と言います。さすがにショックでした。
先日子供の締めたドアに小指が挟まり爪がはがれました。痛さよりも絶望感が私の中でい
っぱいになりました。先生のおっしゃっている「許して忘れる」と言う言葉を何回自分に
言い聞かせたかわかりません。でもズキズキをする指を押さえながら、「あんたなんか死ん
じゃえばいいのに」「あなたさえいなかったらこの家は平和なんだ」と、子供に言ってしま
いました。あんなに大切に思ってきた子供に私はこんな言葉を言う親になってしまったの
です。大切で大切でだからこそ、言いたくないことも言ってきました。でもそれがかえっ
て子供をこんなふうにさせてしまったのかと思うと辛いです。自分の思うとおりにいかな
いとキレてしまう、わがままに育ててしまったのは私です。私自身、あの子に少しでも楽
しませてやりたい、皆がゲームを持っているのなら息子にも買ってあげたい。そんなふう
にして育てた私が一番悪いことはわかっています。
私立中学に入った以上多少は勉強してくれないと・・・自分で行きたいと望んで入った学
校なのに朝起きれないことから「辞める。あーもう、学校辞めて家でブラブラしているか
ら」と言い出します。やめられたら困ると言う考えが私の中にあり、やっぱり子供の顔色
をみています。小学校のころから朝が弱くなかなか起きないことが悩みの種でした。でも
毎朝うるさがられながらも私が何十分もかけて起こしていました。いつからか私の中でそ
れがストレスになっていました。中学に入ったら自分で起きてもらおう。私も仕事がある
ため、子供に時間を費やしておられずいっぱいいっぱいになっていることに気がつきまし
た。遅刻させることが怖かった私ももう、いいや!!、と割り切り一度起こしてだけでや
めてみました。案の定遅刻です。子供から「どうして起こさなかった!!」と怒りの電話
が私の職場にかかってきました。遅刻なら今日は学校行かない!と結局休んでしまいまし
た。私は自分の感情を抑えるだけで精一杯でした。その日からまた時間をかけて起こす日々
が始まりました。
もういいかなと思った昨日1度起こして私は職場に向かいました。ところが2度寝をして
しまったらしく今度は学校から無断欠席の電話です。私は慌てて家に戻りました。居間で
テレビを見ていた息子は学校は行かない!と言い張ります。着信暦を見ると何回も学校か
ら電話が入っていたようでした。息子は電話にでなかったのです。私がこれから我っこに
送っていくと学校に電話をいれたことでまた息子は怒鳴り始めました。正直に寝坊したと
先生に伝えたのがいけなかったと言うのです。何で体調が悪いと嘘をいわないんだ!
担任の先生が自分の授業が午後からないので家まで来てくださいましたがとうとう息子は
トイレに鍵をかけたまま1歩も出てきませんでした。一生懸命呼びかけてくださる先生に
対して「明日は学校にいく」と約束しました。先生が家まで来てくださっているのに申し
訳ないと思わないの?と訊ねると「頼んだわけじゃない!」と言い放ちました。私は悲し
くてこんなことを言うような子供になってしまった息子が情けなくて怒りでいっぱいにな
り子供に向かってなにか?物を投げつけました。
もうこうなってしまうと収拾がつかなくて私は家を飛び出ました。でもこのことがあって
から担任の先生に少し家でのことを話すことができました。部活も勝手に休んでいること
が多いらしいこともわかりました。二言目には「学校行かない。部活やめる。」でも決して
そんなつもりはないのだと私は感じます。いままで何十回も繰り返しているものの学校に
は結局行っているんです。
ゲームのこと、朝起きれないこと、今、この場から逃げ出したいと実は本当に思ったりし
ています。もうどうなってもいいから。次男と一緒に出て行こうかと考えたりしています。
がんばれって自分に言うのですが、夕方になり息子が学校から帰ってくるのが怖いです。
朝になってカーテンを開けるのが怖いです。
いろいろダラダラととり止めなく書いてすみません。でも先生にメールを送れるようにな
っただけでもここ数日で一番心にゆとりのある日です。先生、私に力を貸してください。
がんばれって。
++++++++++++++++++++++
UNKNOWN様へ
お子さんの心理状態は、「抑圧」という言葉を使って説明できます。
幼いころから、(弟が生まれたときから)、「いい兄」を演じながら、欲求不満を別の心の中
に押し込めてきたと考えてください。それが今、思春期で爆発しているのです。つまり今、
見せているあなたの子供の姿は、本来の姿ではなく、抑圧され、ゆがんだ姿なのです。ユ
ングは、「シャドウ」という言葉を使ってそれを説明しています。
依存したいという甘え、しかし依存しきれない歯がゆさ、その両者の間で、葛藤している。
幼年期は(いい子)で、思う存分、自己主張できなかった。言いたいことも言えなかった。
いつも(がまん)を強いられた。プラス、弟への憎しみすら、押し殺さねばならなかった。
そういう思いが、抑圧され、別の心にたまってしまったのです。
またこの時期は、(おとな)と(子ども)の間で、ときには「おとなっぽくなり、子ども扱
いをされると怒り」、反対に「幼児ぽくなり、そういう自分に嫌悪感を覚える」を繰り返し
ます。つまりその両者を行ったり来たりします。私はこれを(揺り戻し現象)と呼んでい
ます。
また同一性の確立に失敗し、自分でも何をしたらよいのか、どうしたらよいのか、わから
ないでいます。楽しくてゲームをしているのではありませんよ。ほかに自分をどうしよう
もないから、ゲームをしているのです。一番苦しんでいるのは、つまり母親に悲しい思い
をさせて苦しんでいるのは、息子さん自身です。が、それすらも、素直に表現することが
できない。ではどうするか?
(1)お母さん自身が学歴信仰から抜け出ます。「学校なんか、くそくらえ」(尾崎豊)く
らいに思うことです。(2)「あなたも苦しんでいるのね」と、子供の苦しみを分かち合い
ます。(3)温かい無視を大切に。(4)子供のほうから求めてきたときが、求めどきと考
えて行動します。
あなたが心のどこかで「学校とは行かねばならないところ」という意識をもっているかぎ
り、その意識は子どもに伝わり、子どもはその意識と現実の間で、もがき苦しみます。掲
示板を見るかぎり、あなたはたいへん強い(学校教)の信者のように感じます。反対に言
うと、どうしてそこまで(学校)にこだわるのですか? 今はかなり時代も変わり、この
あたりでも、約60%の中学3年生は、「勉強でがんばるより、部活でがんばって……」と
か、「勉強で苦労したくないから、進学校には入りたくない……」と考えています。
また言えば、あなた自身が子離れできずにいます。子どもの方はとっくの昔に親離れして
いますが、それにすら気づいていないように感じます。あなた自身の親意識も強く、中学
生のゲームを「隠す」というのも、やりすぎです。つまり一方的に親意識をふりかざし、
思うようにならないと、混乱する。
要するに、子育てに対する期待が強すぎます。「よい家庭を作ろう」「よい親子関係を作ろ
う」とです。気負いが強い分だけ、あなたも疲れますが、子どもも疲れます。「どうせ子ど
もというのは、去っていく」「去って行きたければ去っていけばいい」「勝手にどうぞ」「私
は私で、自分の生活を楽しみますからね」と、心のどこかで割りきってください。
あなたはもうじゅうぶんがんばってきました。それにお子さんは、中1とはいえ、すでに
おとなです。長くなりそうなので、つづきは、またマガジンのほうで考えてみます。7月
上旬に載せます。できればその前に、また掲示板のほうに書いておきます。
大切なことは、こうした問題には、まだ二番底、三番底がありますから、今を決して最悪
と思ってはいけないということです。対処の仕方を間違えると、二番底、三番底へと進ん
でしまいます。中退、非行……と進んでいく可能性もあります。「今の状態をこれ以上悪く
しないことだけ」を考えて対処してください。あまり乱暴がひどいようでしたら、一度、
心療内科の先生に相談してみるとよいでしょう。こだわりを取り除く、よい精神安定剤を
処方してくれるはずです。
『許して、忘れる』は、まちがっていません。どん底から、さらにどん底へ落とされても、
この言葉を心の中で念じてみてください。これは子どもとの闘いというよりも、あなた自
身との闘いなのです。その闘いに勝ったとき、あなたの子どもは、こう言うでしょう。「お
母さん、ありがとう」と。と、同時に、あなたは「子どもを信じきった」という喜び、「子
どもを育てた」という満足感を味わいます。約束します。
で、幸い学校の先生があれこれと心配してくれているようなので、あなたのほうも心を開
いて、相談したらよいでしょう。あなたから見ると、特殊な問題のように見えるかもしれ
ませんが、ケースとしては、珍しくありません。そのあたりのことは、学校の先生も、よ
く知っているはずです。
こうして子どもはおとなになっていきます。それを(巣立ち)と言いますが、巣立ちのし
かたは、みなちがいます。中にはたがいにののしりあいながら、巣だっていく親子もいま
す。しかしそれでも巣立ち。あなたは愛情だけをしっかりともちながら、あとは静かに見
送れば、それでよいのです。あとはやるべきことはやる。またその範囲にとどめる、です。
いつか子どもは帰ってきます。そのときは、窓をあけ、思いっきり子どもを抱きしめてあ
げればよいのです。そうそう、悲しくてつらいときがあったら、アルバムを見るとよいで
すよ。私もそうしました。
この時期も、その最中の人には長く感じられるかもしれませんが、あっという間に終わり
ます。本当にあっという間です。今こそ、親は真の愛が試されているときと覚悟して、こ
の時期を乗り越えてください。あなたはすばらしい女性になりますよ。いいですか、あな
たの子どもがあなたを育てようとしているのです。それに気がついたとたん、心が軽くな
ります。繰り返しますが、『許して、忘れる』ですよ。生活態度がだらしなくなっても、許
して、忘れる。どうかあきらめずに、がんばってください。家族がみな、ここにいて、み
なががんばっている。そのすばらしさ、尊さを、すなおに喜んでください。
【UKさんより、はやし浩司へ】
早速返信を頂きありがとうございました。
先生に言われてはっとすることが何か所もありました。
何をしたらいいのかわからなくてもがいていて息子も辛いのかもしれません。お恥ずかし
いのですがそんなふうに考えたことはありませんでした。私はどうやって息子と向かい合
っていいかわからずに、息子から逃げ出したくて自分がどうやったら毎日生きていけるの
かばかり考えていました。
単身赴任先でがんばっている主人に現在の子供の状況を話しているとき思わず泣いてしま
った私に、背中をさすっている長男がいました。自分の話をしているとわかっていて隠れ
て聞いていたのだと思います。私が泣いているときに顔を覗き込み、心配そうにしていま
した。でも私はあまりの子供の態度のギャップに戸惑い、耐えられず「触らないで!」と
突き放しました。テレビを見ながら私のひざに顔をうずめてきたりしますが、またその後
何分か後にキレたりする事も度々あるからです。私はひどい言い合いをしたときでもしば
らく引きずってしまいます。でも息子はまるで何もなかったかのように甘えてこれる!ど
うして?と思ったりするのです。本当はこんなときに受け止めてあげなければいけなかっ
たのですね。私に心の余裕がなくて・・情け無いです。
ここのところ、本当にこの場からいなくなることばかり考えていました。
逃げちゃいけない、現実から息子から。もう少しがんばらなくては・・
電話で主人に息子の話をしたところ「何のためにがんばっているかわからなくなってしま
った。虚しくなっちゃたよ。」と落ち込まれました。遠く離れた場所で聞くほうが辛いのか
も知れません。帰って来たくてもすぐには駆けつけられないのだからその分辛いと思いま
す。
4年前に十二指腸にガンが見つかり膵臓と胆のう、十二指腸を切除する手術を受けました。
5年間は再発の恐怖におびえながら生活を送っている主人にこんな辛い話を聞かせたこと
に後悔しました。でも父親として力を貸してほしかった。私も疲れていたんです。遠いと
ころで長男のことを思いため息をついている主人を思うと、私の力のなさが情けないです。
2年前単身赴任が決まったときに再発のことを心配しながらも、男の子2人を私1人で育
てていけるだろうか? 一番父親の力が必要なときに・・・と不安に思っていました。
たまに帰って来る主人のこの家でのポジションを(家長という)確保しておく事の難しさ
も感じたりしています。普段父親のいない生活をしているとそれに慣れてしまってペース
ができてしまうので久々に主人が登場すると家の中が乱れるのも事実です。
先生からすぐに返事をいただけて、それだけで私の心がすごく軽くなっています。言葉の
力がありがたくて感謝の気持ちでいっぱいです。
慌てていてメッセージを読んでいなかったのですが(一般の方)に書き込まないといけな
かったんですね。すみません。
【2】(特集)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
【子どもの人格】
●幼児性の残った子ども
++++++++++++++++
人格の核形成が遅れ、その年齢に
ふさわしい人格の発達が見られない。
全体として、しぐさ、動作が、
幼稚ぽい。子どもぽい。
そういう子どもは、少なくない。
++++++++++++++++
「幼稚」という言い方には、語弊がある。たとえば幼稚園児イコール、幼稚ぽいという
ことではない。幼稚園児でも、人格の完成度が高く、はっと驚くような子どもは、いくら
でもいる。
が、その一方で、そうでない子どもも、少なくない。こうした(差)は、小学1、2年
生ごろになると、はっきりとしてくる。その年齢のほかの子どもに比べて、人格の核形成
が遅れ、乳幼児期の幼児性をそのまま持続してしまう。特徴としては、つぎのようなもの
がある。
(1)独特の幼児ぽい動作や言動。
(2)無責任で無秩序な行動や言動。
(3)しまりのない生活態度。
(4)自己管理能力の欠落。
(5)現実検証能力の欠落。
わかりやすく言えば、(すべきこと)と、(してはいけないこと)の判断が、そのつど、
できない。自分の行動を律することができず、状況に応じて、安易に周囲に迎合してしま
う。
原因の多くは、家庭での親の育児姿勢にあると考えてよい。でき愛と過干渉、過保護と
過関心など。そのときどきにおいて変化する、一貫性のない親の育児姿勢が、子どもの人
格の核形成を遅らせる。
「人格の核形成」という言葉は、私が使い始めた言葉である。「この子は、こういう子ど
も」という(つかみどころ)を「核」と呼んでいる。人格の核形成の進んでいる子どもは、
YES・NOがはっきりしている。そうでない子どもは、優柔不断。そのときどきの雰囲
気に流されて、周囲に迎合しやすくなる。
そこであなたの子どもは、どうか?
【人格の完成度の高い子ども】
○同年齢の子どもにくらべて、年上に見える。
○自己管理能力にすぐれ、自分の行動を正しく律することができる。
○YES・NOをはっきりと言い、それに従って行動できる。
○ハキハキとしていて、いつも目的をもって行動できる。
【人格の完成度の低い子ども】
○同年齢の子どもにくらべて、幼児性が強く残っている。
○自己管理能力が弱く、その場の雰囲気に流されて行動しやすい。
○優柔不断で、何を考えているかわからないところがある。
○グズグズすることが多く、ダラダラと時間を過ごすことが多い。
では、どうするか?
子どもの人格の核形成をうながすためには、つぎの3つの方法がある。
(1)まず子どもを、子どもではなく、1人の人間として、その人格を認める。
(2)親の育児姿勢に一貫性をもたせる。
(3)『自らに由(よ)らせる』という意味での、子育て自由論を大切にする。
++++++++++++++++++
今までに書いた原稿の中から
いくつかを選んで、ここに
添付します。
内容が少し脱線する部分があるかも
しれませんが、お許し下さい。
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(1)【子どもの人格を認める】
●ストーカーする母親
一人娘が、ある家に嫁いだ。夫は長男だった。そこでその娘は、夫の両親と同居するこ
とになった。ここまではよくある話。が、その結婚に最初から最後まで、猛反対していた
のが、娘の実母だった。「ゆくゆくは養子でももらって……」「孫といっしょに散歩でも…
…」と考えていたが、そのもくろみは、もろくも崩れた。
が、結婚、2年目のこと。娘と夫の両親との折り合いが悪くなった。すったもんだの家
庭騒動の結果、娘夫婦と、夫の両親は別居した。まあ、こういうケースもよくある話で、
珍しくない。しかしここからが違った。なおこの話は、「本当にあった話」とわざわざ断り
たいほど、本当にあった話である。
娘夫婦は、同じ市内の別のアパートに引っ越したが、その夜から、娘の実母(実母!)
による復讐が始まった。実母は毎晩夜な夜な娘に電話をかけ、「そら、見ろ!」「バチが当
たった!」「親を裏切ったからこうなった!」「私の人生をどうしてくれる。お前に捧げた
人生を返せ!」と。それが最近では、さらにエスカレートして、「お前のような親不孝者は、
はやく死んでしまえ!」「私が死んだら、お前の子どもの中に入って、お前を一生、のろっ
てやる!」「親を不幸にしたものは、地獄へ落ちる。覚悟しておけ!」と。それだけではな
い。
どこでどう監視しているのかわからないが、娘の行動をちくいち知っていて、「夫婦だけで、
レストランで、お食事? 結構なご身分ですね」「スーパーで、特売品をあさっているあん
たを見ると、親としてなさけなくてね」「今日、あんたが着ていたセーターね、あれ、私が
買ってあげたものよ。わかっているの!」と。
娘は何度も電話をするのをやめるように懇願したが、そのたびに母親は、「親に向かって、
何てこと言うの!」「親が、娘に電話をして、何が悪い!」と。そして少しでも体の調子が
悪くなると、今度は、それまでとはうって変わったような弱々しい声で、「今朝、起きると、
フラフラするわ。こういうとき娘のあんたが近くにいたら、病院へ連れていってもらえる
のに」「もう、長いこと会ってないわね。私もこういう年だからね、いつ死んでもおかしく
ないわよ」「明日あたり、私の通夜になるかしらねえ。あなたも覚悟しておいてね」と。
●自分勝手な愛
親が子どもにもつ愛には、三種類ある。本能的な愛、代償的愛、それに真の愛。ここで
いう代償的愛というのは、自分の心のすき間を埋めるための、自分勝手でわがままな愛を
いう。たいていは親自身に、精神的な欠陥や情緒的な未熟性があって、それを補うために、
子どもを利用する。子どもが親の欲望を満足させるための道具になることが多い。そのた
め、子どもを、一人の人格をもった人間というより、モノとみる傾向が強くなる。いろい
ろな例がある。
Aさん(60歳・母親)は、会う人ごとに、「息子なんて育てるものじゃ、ないですねえ。
息子は、横浜の嫁にとられてしまいました」と言っていた。息子が結婚して横浜に住んで
いることを、Aさんは、「取られた」というのだ。
Bさん(45歳・母親)の長男(現在18歳)は、高校へ入学すると同時に、プツンし
てしまった。断続的に不登校を繰り返したあと、やがて家に引きこもるようになった。原
因ははげしい受験勉強だった。しかしBさんには、その自覚はなかった。つづいて二男に
も、受験期を迎えたが、同じようにはげしい受験勉強を強いた。「お兄ちゃんがダメになっ
たから、あんたはがんばるのよ」と。ところがその二男も、同じようにプツン。今は兄弟
二人は、夫の実家に身を寄せ、そこから、ときどき学校に通っている。
Cさん(65歳・母親)は、息子がアメリカにある会社の支店へ赴任している間に、息
子から預かっていた土地を、勝手に転売してしまった。帰国後息子(40歳)が抗議する
と、Cさんはこう言ったという。「親が、先祖を守るために息子の金を使って、何が悪い!」
と。Cさんは、息子を、金づるくらいにしか考えていなかったようだ。その息子氏はこう
話した。
「何かあるたびに、私のところへきては、10~30万円単位のお金をもって帰りました。
私の長男が生まれたときも、その私から、母は当時のお金で、30万円近く、もって帰っ
たほどです。いつも『かわりに貯金しておいてやるから』が口ぐせでしたが、今にいたる
まで、1円も返してくれません」と。
Dさん(60歳・女性)の長男は、ハキがなく、おとなしい人だった。それもあって、
Dさんは、長男の結婚には、ことごとく反対し、縁談という縁談を、すべて破談にしてし
まった。Dさんはいつも、こう言っていた。「へんな嫁に入られると、財産を食いつぶされ
る」と。たいした財産があったわけではない。昔からの住居と、借家が二軒あっただけで
ある。
……などなど。こういう親は、いまどき、珍しくも何ともない。よく「親だから……」「子
だから……」という、『ダカラ論』で、親子の問題を考える人がいる。しかしこういうダカ
ラ論は、ものの本質を見誤らせるだけではなく、かえって問題をかかえた人たちを苦しめ
ることになる。「実家の親を前にすると、息がつまる」「盆暮れに実家へ帰らねばならない
と思うだけで、気が重くなる」などと訴える男性や女性はいくらでもいる。
さらに舅(しゅうと)姑(しゅうとめ)との折り合いが悪く、家庭騒動を繰り返している
家庭となると、今では、そうでない家庭をさがすほうが、むずかしい。中には、「殺してや
る!」「お前らの前で、オレは死んでやる!」と、包丁やナタを振り回している舅すら、い
る。
そうそう息子が二人ともプツンしてしまったBさんは、私にも、ある日こう言った。「夫
は学歴がなくて苦労しています。息子たちにはそういう苦労をさせたくないので、何とか
いい大学へ入ってもらいたいです」と。
●子どもの依存性
人はひとりでは生きていかれない存在なのか。「私はひとりで生きている」と豪語する人
ですら、何かに依存して生きている。金、モノ、財産、名誉、地位、家柄など。退職した
人だと、過去の肩書きに依存している人もいる。あるいは宗教や思想に依存する人もいる。
何に依存するかはその人の勝手だが、こうした依存性は、相互的なもの。そのことは、子
どもの依存性をみているとわかる。
依存心の強い子どもがいる。依存性が強く、自立した行動ができない。印象に残ってい
る子どもに、D君(年長児)という子どもがいた。帰りのしたくの時間になっても、机の
前でただ立っているだけ。「机の上のものを片づけようね」と声をかけても、「片づける」
という意味そのものがわからない……、といった様子。そこであれこれジェスチャで、し
まうように指示したのだが、そのうち、メソメソと泣き出してしまった。多分、家では、
そうすれば、家族のみながD君を助けてくれるのだろう。
一方、教える側からすれば、そういう涙にだまされてはいけない。涙といっても、心の
汗。そういうときは、ただひたすら冷静に片づけるのを待つしかない。いや、内心では、
D君がうまく片づけられたら、みなでほめてやろうと思っていた。が、運の悪いことに(?)、
その日にかぎって、母親がD君を迎えにきていた。そしてD君の泣き声を聞きつけると、
教室へ飛び込んできて、こう言った。ていねいだが、すごみのある声だった。「どうしてう
ちの子を泣かすのですか!」と。
そういう子どもというより、その子どもを包む環境を観察してみると、おもしろいこと
に気づく。D君の依存性を問題にしても、親自身には、その認識がまるでないということ。
そういうD君でも、親は、「ふつうだ」と思っている。さらに私があれこれ問題にすると、
「うちの子は、生まれつきそうです」とか、「うちではふつうです」とか言ったりする。そ
こでさらに観察してみると、親自身が依存性に甘いというか、そういう生き方が、親自身
の生き方の基本になっていることがわかる。そこで私は気がついた。子どもの依存性は、
相互的なものだ、と。こういうことだ。
親自身が、依存性の強い生き方をしている。つまり自分自身が依存性が強いから、子ど
もの依存性に気づかない。あるいはどうしても子どもの依存性に甘くなる。そしてそうい
う相互作用が、子どもの依存性を強くする。言いかえると、子どもの依存性だけを問題に
しても、意味がない。子どもの依存性に気づいたら、それはそのまま親自身の問題と考え
てよい。
……と書くと、「私はそうでない」と言う人が、必ずといってよいほど、出てくる。それは
そうで、こうした依存性は、ある時期、つまり青年期から壮年期には、その人の心の奥に
もぐる。外からは見えないし、また本人も、日々の生活に追われて気づかないでいること
が多い。しかしやがて老齢期にさしかかると、また現れてくる。先にあげた親たちに共通
するのは、結局は、「自立できない親」ということになる。
●子どもに依存する親たち
日本型の子育ての特徴を、一口で言えば、「子どもが依存心をもつことに、親たちが無頓
着すぎる」ということ。昔、あるアメリカの教育家がそう言っていた。つまりこの日本で
は、親にベタベタ甘える子どもイコール、かわいい子イコール、よい子とする。一方、独
立心が旺盛で、親を親とも思わない子どもを、「鬼っ子」として嫌う。私が生まれ育った岐
阜県の地方には、まだそういう風習が強く残っていた。今も残っている。
親の権威や権力は絶対で、親孝行が今でも、最高の美徳とされている。たがいにベタベタ
の親子関係をつくりながら、親は親で、子どものことを、「親思いの孝行息子」と評価し、
子どもは子どもで、それが子どもの義務と思い込んでいる。こういう世界で、だれかが親
の悪口を言おうものなら、その子どもは猛烈に反発する。相手が兄弟でもそれを許さない。
「親の悪口を言う人は許さない!」と。
今風に言えば、子どもを溺愛する親、マザーコンプレックス(マザコン)タイプの子ど
もの関係ということになる。このタイプの子どもは、自分のマザコン性を正当化するため
に、親を必要以上に美化するので、それがわかる。
こうした依存性のルーツは、深い。長くつづいた封建制度、あるいは日本民族そのもの
がもつ習性(?)とからんでいる。私はこのことを、ある日、ワイフとロープウェイに乗
っていて発見した。
●ロープウェイの中で
春のうららかな日だった。私とワイフは、近くの遊園地へ行って、そこでロープウェイ
に乗った。中央に座席があり、そこへ座ると、ちょうど反対側に、60歳くらいの女性と、
五歳くらいの男の子が座った。おばあちゃんと孫の関係だった。その2人が、私たちとは
背中合わせに、会話を始めた。(決して盗み聞きしたわけではない。会話がいやおうなしに
聞こえてきたのだ。)その女性は、男の子にこう言っていた。
「オバアちゃんと、イッチョ(一緒)、楽しいね。楽しいね。お山の上に言ったら、オイ
チイモノ(おいしいもの)を食べようね。お小づかいもあげるからね。オバアちゃんの言
うこと聞いてくれたら、ホチイ(ほしい)ものを何でも買ってあげるからね」と。
一見ほほえましい会話に聞こえる。日本人なら、だれしもそう思うだろう。が、私はそ
の会話を聞きながら、「何か、おかしい」と思った。60歳くらいの女性は、孫をかわいが
っているように見えるが、その実、孫の人格をまるで認めていない。まるで子どもあつか
いというか、もっと言えば、ペットあつかい! その女性は、5歳の子どもに、よい思い
をさせるのが、祖母としての努めと考えているようなフシがあった。そしてそうすること
で、祖母と孫の絆(きずな)も太くなると、錯覚しているようなフシがあった。
しかしこれは誤解。まったくの誤解。たとえばこの日本では、誕生日にせよ、クリスマ
スにせよ、より高価なプレゼントであればあるほど、親の愛の証(あかし)であると考え
ている人は多い。また高価であればあるほど、子どもの心をつかんだはずと考えている人
は多い。しかし安易にそうすればするほど、子どもの心はあなたから離れる。仮に一時的
に子どもの心をつかむことはできても、あくまでも一時的。理由は簡単だ。
●釣竿を買ってあげるより、一緒に釣りに行け
人間の欲望には際限がない。仮に一時的であるにせよ、欲望をモノやお金で満足させた
子どもは、つぎのときには、さらに高価なものをあなたに求めるようになる。そのときつ
ぎつぎとあなたがより高価なものを買い与えることができれば、それはそれで結構なこと
だが、それがいつか途絶えたとき、子どもはその時点で自分の欲求不満を爆発させる。そ
してそれまでにつくりあげた絆(本当は絆でも何でもない)を、一挙に崩壊させる。「バイ
クぐらい、買ってよこせ!」「どうして私だけ、夏休みにオーストラリアへ行ってはダメな
の!」と。
【3】(近ごろ、あれこれ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
●今日も1日、終わった
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今日、講演の様子を、ビデオに収めた。
県の教育委員会・健全育成会総会での講演である。
舞台のそでから撮ったので、映像はともかくも、
音がどうもよくない。
ゴーッというか、何かの雑音が混ざっている。
空調の音か?
全体で90分の長さがある。
それを9分ごとに分割して、10本のビデオにする。
YOUTUBEでは、10分以上のビデオは
アプロードできない。
ということで、10分割して、10本!
ノーカット、ノー編集。
興味のある方は、どうか見てほしい。
(今回撮った講演は、『BW公開教室』に収録。)
たまたま明後日は、K中学校区の健全育成会で同じ話を
することになっているので、もう一度、録画しなおして
みることにする。
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi
Hayashi 林浩司 BW BW教室 講演 健全育成会講演 静岡市 あざりあ)
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●嫉妬(しっと)
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私も嫉妬をよく覚える。
「ねたみ」と言った方が、わかりやすい。
「嫉妬」というと、そこに色恋沙汰を感ずる。
しかし何も、色恋沙汰にかぎらない。
その(ねたみ)をよく覚える。
覚えないとは、言わない。
しかし最近は、ぐんとそれが少なくなった。
なぜか?
このところ、「私は私、人は人」と思うことが多くなった。
割り切って考えることが、多くなった。
そういう意味では、「私は私」という思いと、それは反比例の関係にあるのでは?
つまり「私は私」という思いが強くなればなるほど、
人に嫉妬することは、その分だけ、少なくなる。
このことを言いかえると、こうも言えるのでは?
つまり、「私」がない人ほど、人に嫉妬しやすい、と。
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自己概念(「私はこうありたい」)という思いは、だれにでもある。
人はその自己概念に合わせて、現実の自分を作りあげようとする。
自己概念をもつことは、悪いことではない。
自己概念がないと、それこそ人は、糸の切れた凧のようになる。
フワフワと空中をさまよい、自分でも何をしているのか、わからなくなる。
が、それにも限度がある。
つまり自己概念が肥大化すると、やがてその落差に苦しむことになる。
わかりやすく言えば、「夢は大きい方がよい。しかし大きすぎるのも困る」と
いうことになる。
嫉妬は、その(落差)の間から生まれる。
が、ここで誤解してはいけないことがある。
「嫉妬」というと、それ自体が「悪」と考える人は多い。
しかしその嫉妬が、生きる原動力として働くこともある。
たとえばすばらしい家を見かけると、「私もほしい」と思う。
それが明日への(やる気)につながることもある。
あるいはスタスタと走っている人を見かけると、「私もああして走ってみたい」と思う。
それが自分の健康法につながることもある。
大切なことは、その嫉妬を、どうコントロールするかということ。
嫉妬を、どう向上心に結びつけていくかということ。
その前に、嫉妬の原点を、もう一度考えてみたい。
●兄弟を殺す
毎年庭先の木の間に、野生のドバトが巣を作る。
そのドバトには、興味深い習性がある。
たいてい1組のつがいは、2羽の雛(ひな)を孵(かえ)す。
そのあとのこと。
たまに1羽のこともあるが、たいてい2羽である。
そのときのこと。
その双方がおとなの握りこぶし大くらいにになると、1羽のより強い雛が、もう1羽の
より弱い雛を、巣から追い落としてしまう。
追い落とされた雛のほうは、そのまま犬や猫に襲われて、死んでしまう。
理由はわからないが、空腹感が基本にあって、親が与える餌を独り占めしたいから
ではないか。
私は勝手にそう解釈しているが、私はそこに嫉妬の原点を見る。
つまり嫉妬の原点には、「生存欲」がからんでいる。
生存欲がからんでいるだけに、原始的な感情と言うこともできる。
それこそ「相手を殺してでも……」という感情に結びつくこともある。
現に嫉妬がからむと、人間関係も陰湿なものになりやすい。
子育ての世界でも、ときどき経験する。
●子どもの世界で
市内のある幼稚園でこんなことがあった。
その母親は、その幼稚園でPTAの役員をしていた。
その立場をよいことに、いつもその幼稚園に出入りしていたのだが、ライバルの
母親の娘(年中児)を見つけると、その子どもに執拗ないじめを繰り返していた。
手口はこうだ。
その子どもの横を通り過ぎながら、わざとその子どもを足蹴りにして倒す。
そして「ごめんなさいね」と作り笑いをしながら、その子どもを抱きかかえて起こす。
起こしながら、その勢いで、またその子どもを放り投げて倒す。
以後、その子どもはその母親の姿を見かけただけで、顔を真っ青にしておびえるように
なったという。
ことのいきさつを子どもから聞いた母親は、相手の母親に、それとなく話をしてみたが、
その母親は最後までとぼけて、取りあわなかったという。
父親同士が、同じ病院に勤める医師だったということもあった。
被害にあった母親はそれ以上に強く、問いただすことができなかった。
似たようなケースだが、ほかにマンションのエレベータの中で、隣人の子ども
(3歳男児)を、やはり足蹴りにしていた母親もいた。
この話を、80歳を過ぎた私の母(当時)にすると、母は、こう言って笑った。
「昔は、田舎のほうでは、子殺しというものまであったからね」と。
子どものいじめとて例外ではない。
Tさん(小三女児)は、陰湿なもの隠しで悩んでいた。
体操着やカバン、スリッパは言うに及ばず、成績表まで隠されてしまった。
しかもそれが一年以上も続いた。
Tさんは転校まで考えていたが、もの隠しをしていたのは、Tさんの親友と思われていた
Uという女の子だった。
それがわかったとき、Tさんの母親は言葉を失ってしまった。
「いつも最後まで学校に残って、なくなったものを一緒にさがしていてくれたのは
Uさんでした」と。
Tさんは、クラスの人気者。背が高くて、スポーツマンだった。
一方、Uは、ずんぐりした体格の、どうみてもできがよい子どもには見えなかった。
Uは、親友のふりをしながら、いつもTさんのスキをねらっていた。
そして最近でも、こんなことがあった。
ある母親から、「うちの娘(中二)が、陰湿なもの隠しに悩んでいます。
どうしたらいいでしょうか」と。
先のTさんの事件のときもそうだったが、こうしたもの隠しが長期にわたって続くときは、
身近にいる子どもをまず疑ってみる。
そこで私が、「今一番、身近にいる友人は誰か」と聞くと、
その母親は、「そういえば、毎朝、迎えにきてくれる子がいます」と。
そこで私は、こうアドバイスした。
「朝、その子どもが迎えにきたら、じっとその子どもの目をみつめて、
『おばさんは、何でも知っていますからね』とだけ言いなさい」と。
その母親は、私のアドバイス通りに、その子どもにそう言った。
以後、その日を境に、もの隠しはウソのように消えた。
●では、どうコントロールするか
繰り返しになるが、嫉妬は、それ自体が問題ではなく、……というのも、
本脳として人間の脳に刻まれているが故に、私たちがもつ知性や理性の力に
は限界があるので……、つまりどう扱うかが問題ということ。
わかりやすく言えば、(扱い方の問題)ということになる。
もっとも私の年齢になると、限界を感ずることが多くなる。
その限界の中で、「まあ、こんなもの」と思うことが多くなる。
それは心さみしい瞬間でもあるが、同時にこうも思う。
「今、残っているものを大切にしよう」と。
喪失感といえば、喪失感ということになる。
人生そのものが、どんどんと減っていく。
あといくらがんばってみたところで、10年がよいところ。
それ以後は、あくまでも平均論に従えば、もろもろの病気をかかえ、そのあと
10年くらいをして寿命が尽きる。
それに諸行無常とまではいかないにしても、常に『だから、それがどうしたの?』
というブレーキが、心の中で働いてしまう。
いい車を買った……だから、それがどうしたの?
いい家を買った……だから、それがどうしたの?
有名になって、名誉や地位を手に入れた……だから、それがどうしたの?、と。
若い人たちから見れば、ジジ臭い考え方ということになるが、そう決めつけるのは
少し待ってほしい。
だからといって、そこで車を止めてしまうわけではない。
生きるエネルギーはたしかに弱くなるが、なくなってしまったわけではない。
ただその方向性というか、進むべき道を選択するようになる。
その分だけ、「エネルギーを無駄なことはしたくない」とか、
「無駄に時間を過ごしたくない」と考えるようになる。
そう考えた上で、「では、私は何をすべきか」を考えるようになる。
そんなわけで嫉妬と闘う方法があるとするなら、(1)「私」の確立と、(2)統合性
の確立ということになる。
「統合性」というのは、何度も書いてきたように、(すべきこと)と(現実にしている
こと)を一致させることをいう。
この2つが確立できれば、(まだ私は暗中模索の段階だが……)、おそらく嫉妬という
原始的な感情からは解放されることになる。
そしてそれ自体がもつ、(生きるエネルギー)を、もっと有意義な方向へ、もっていく
ことができる。
どうであるにせよ、嫉妬に毒されると、人間性まで腐る。
それだけは、何としても避けたい。
そのためにここでこうして2つの方法を考えてみた。
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi
Hayashi 林浩司 BW はやし浩司 嫉妬論)
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はやし浩司のホームページ http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/
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