2012年1月30日月曜日

*An old man I met in a nursery

【健康的優越感について】「明日は我が身」の健康論

●貧者の暖房法

 朝、起きる。
すぐウォーキングマシンに乗る。
30分、歩く。
時速は6キロ。
20分を過ぎたところで、汗が流れ始める。
ときどき、駆け足を混ぜる。
呼吸が激しくなる。
あと5分……
あと2分……
あと1分……
ピーと合図音が鳴って、マシンは停止。
タオルで顔をぬぐう。
体を乾かす。
服を着る。
ワイフが用意してくれた緑茶をググーッと飲む。

 気温は5度。
しかし暑い!

 これ称して、「貧者の暖房法」。

●ある老人

 昨日、ある老人ホームで、1人の老人と話をした。
付属のレストランで、横に並んだ。
年齢は75歳と言ったが、「???」。
何を言っているか、さっぱり理解できなかった。

「ここに住んで、何年になりますか」と私。

「……オラ、エエと、……モゾモゾ……ブツブツ……」と。

 脳梗塞か何かで、脳にダメージを受けているらしい。
見た感じでは若く、肌もツヤツヤとしていた。
質問をすれば何かを答えてはくれるが、意味がわからない。

 75歳といえば、11年後。
が、本当に75歳だったかどうかは、疑わしい。
ワイフは、「70歳くらいじゃない?」と言った。
私には、私と同年齢の、64歳に見えた。

●健康優越感

 そのときふと、私の心の中を、不愉快な感覚が横切るのを感じた。
優越感である。
「私は健康である」という優越感。
低劣な自己満足。
それが心の中を横切るのを感じた。

 といっても、それがわかるようになったのは、ごく最近のこと。
私の知人の中には、自分が健康であることを、ことさら自慢する人がいる。
健康であることに感謝するのはよい。
が、その返す刀で、相手に向かって、あれこれと説教を始める。
そのとき、先に書いた「不愉快な感覚」に襲われる。

私「最近、どうも体の調子が悪くてね」
男「ぼくは、平気だよ。毎朝、近くの湖を一周しているよ」
私「睡眠調整に、苦労することもある」
男「快眠、快便……これがぼくの健康法でね。今のところ、快眠、快便だよ、ぼくは……」
私「無理ができない体になった」
男「林君も、毎朝、ジョギングをしたらどうかね」と。

●明日の私の姿

 相手は、そう言いながら、自分が健康であることを自慢する。
同時に、私に対して、優越感を覚える。
そのときの雰囲気から、それがよくわかる。
相手はそれでよいとしても、言われた私のほうは、イヤ~ナ気分になる。
そのイヤ~ナ気分が、裏返しとなって、私の心の中を、横切る。
先に書いた「不愉快な感覚が横切るのを感じた」というのは、それをいう。

 だから……。
こと健康に関しては、優越感など、もたないほうがよい。
もてばもつほど、逆の立場に立たされたとき、その何倍も、苦しむ。
そうでなくても、私たちの健康は、加齢とともに、不可逆的に後退する。
老人ホームで会った男性にしても、それはまさに、「明日は我が身」。

●腹筋運動

 そのことを今朝、朝食のときにワイフに話すと、ワイフがこう言った。
「そう言えば、あのXXさん、あの人も、そうね」と。

 XXさん……私とほぼ同年齢。
知りあって、もう30年になる。
が、若いときから、自分の健康を自慢している。
あるときは、私に腹筋運動をさせた。
まっすぐ上を向いた状態で寝て、上半身を上に起こすという運動である。
「やってみなさい」と言うから、やってみせた。

 そのときXXさんは、私がそれをできないと思ったらしい。
が、私は軽々と、それをやってみせた。
10回、20回……。
腹筋は、自転車で鍛えてある。

 XXさんは、「ありえない」という顔をして、驚いていた。
「すごいですね」と、何度も言った。

で、つぎに今度は、自分でそれをしてみせた。
毎日鍛えているらしく、私より軽々と、それをしてみせた。
つまりXXさんは、それを自慢したくて、先に、私に腹筋運動をさせた(?)。
イヤ~ナ性格。
しばらくして、それがわかった。

私「そうなんだよな、あの人。会うたびに健康の話をする」
ワ「毎朝、3~4キロは、走っているそうよ」
私「それはその人の勝手だけど、だからといって、そうでない人を下に見てはいけないよ」
ワ「そうね」と。

 私の年齢になると、そういうイヤ~ナ人が、ふえてくる。
それとなく自分の健康を、自慢する。
そういうとき私はすかさず、こう思う。
「だから、それがどうしたの?」と。

 それは金持ちが、金をもっていることを自慢するのに、似ている。
あるいはもしあなたの隣人が、あなたにこう言ったとしたら、あなたはどう感ずるだろうか。

「私ね、宝くじで1億円を当てましたよ。それにねFX取り引きで、1億円。この年末だけで、2億円儲けましたよ」と。

 あなたはイヤ~ナ気分に襲われるはず。
明日の生活費に困っているなら、なおさら。
少しでも分けてもらえるなら、話は別。
しかしそうでないなら、あなたはこう思うだろう。
「だから、それがどうしたの?」と。

●不愉快な感覚

 健康であっても、また健康でなくても、それは個人の話。
中には、会うたびに自分の病気の話をする人もいる。
相手の同情を買うために、である。

 これもまた不愉快。
そのつど、別の同情のし方を考えなければならない。
が、それでもわからなければ、こんな会話を想像してみればよい。
あなたが、がんか梗塞か、何かの大病になったとする。
そのとき……。

私「私ね、先月、心筋梗塞で入院しました。近くバイパス手術を受けます」
相「私は健康です。昨日もプールで、2000メートル泳いできました」と。

 あなたは自分の病気のことを話したのを、後悔するはず。

 つまりこれが冒頭に書いた、「不愉快な感覚」ということになる。
言い換えると、健康的優越感など、そこらの成り金男が感ずる優越感と同じ。

人間に優劣はない。
命にも優劣はない。
健康にも優劣はない。
が、ふと油断すると、その優越感を覚えてしまう。
それがイヤ~ナ気分を引き起こす。

 ……ということで、あなたの周囲にも、1人や2人、このタイプの人がいるはず。
健康であることを、それとなく自慢する人。
長寿であることを、それとなく自慢する人。
中には、婿や嫁、さらには孫に囲まれ幸福そうな写真を送ってくる人もいる。
(そう言えば、今年の年賀状の中には、そういう年賀状があったぞ!)

気持ちはわかるが、世の中には、そうでない人も、多い。
そうでない人にとっては、そういう自慢たらしい行為は、ただの当てこすりでしかない。
そういう当てこすりが平気でできる人というのは、そのレベルの人。
成り金が、札束の上に座った自分の写真を見せびらかすのと、どこもちがわない。
あるいはどこがどうちがうというのか。

 ……というのは、私のひがみかもしれない。
しかし、健康的優越感などというものは、早晩、かならず崩壊する。
今は健康でも、いつまでもそれがつづくとは、かぎらない。

●有料老人ホーム

 有料老人ホームを出たあと、私とワイフはそのあたりを歩いてみた。
まだのどかな田園風景が、あちこちに残っていた。

私「そのうち、いっしょに、ここに入ろうか」
ワ「ここなら、私もいいわ」と。

 ただし……有料といっても、要支援度、もしくは介護度がつかないと入居できない。

私「あえて介護度をつけてもらうのもどうかと思うし……」
ワ「できるだけ、あとにしたいわね」と。

 みなさんも、そういった老人を見かけたら、こう思ったらよい。
「明日は、我が身」と。
とたん、おかしな健康的優越感は、吹き飛んでしまうはず。

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Hiroshi Hayashi+++++++Jan. 2012++++++はやし浩司・林浩司
 

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