2011年6月3日金曜日

●無念(猫にやられたドバト)

●無念

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朝、起きる。
一番に、庭に鳥の餌をまく。
そのとき合図として、数回、ピーッ、ピーッと
口笛を吹く。
とたんスズメたちが、屋根の端でにぎやかくなる。

それがすむと、私は、縁側にあるウォーキングマシンの
上に乗る。
今朝も30分。
途中、2回、ウォーキングからランニングに変える。
このところずっと4分を限度にしてきた。
が、今朝は心に決めた。
5分間ずつ、2回、ランニング、と。

そうして歩き始めて数分のこと。
庭先のスズメたちを見ながら、歩いていると、
突然、上方から猫が飛びかかってきた。
白と黒の、目立つ色をした猫だった。
スズメたちは、一斉に飛び散った。

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●消えたドバト

 そう言えば、ここ1か月、庭からドバトが消えた。
どれも私の庭の木の上で生まれ育ったドバトである。
先月だったか、庭先を掃除していると、ドバトの羽が一本、落ちていた。
ちょうど換羽期。
それほど気にはとめなかった。

 また3週間ほど前。
ワイフがやはり庭先で、ドバトの雛を拾ってきた。
冷たく、すでに死んでいた。
そのときも巣から落ちたのだろうくらいにしか、考えなかった。
が、理由がわかった。
猫だった!
猫がドバトを襲った!

●土手

 それ以前は、庭の中に餌をまいていた。
この20年近く、そうしてきた。
が、犬のハナがその餌を食べるようになった。
このところややボケてきた。
腹が減ると、何でも口にする。
それで数か月ほど前から、庭の前にある土手に餌をまくようにした。
土手は、囲いの外にある。

 土手の高さは、数メートル。
土手の上方には、ツツジの低木が生えている。
猫にはかっこうの隠れ場所である。
そこに猫は陣取り、ドバトやスズメの来るのを待つ。
上からジャンプすれば、スズメは逃げられるかもしれないが、ドバトにはそれができない。
それがわかったとたん、何とも言えない無念さが胸をしめつけた。

「しまった!」と。

●運動

 ウォーキングの上で運動している自分がもどかしかった。
今すぐにでも、土手に行き、ツツジをすべて切り払いたかった。
見通しをよくすれば、スズメたちにも、それがわかるだろう。

「明日からは、また庭にまこう」
「気を切ろう」
「柵を作ろう」と。

 しかしドバトは、もういない。
この1か月、姿を見ていない。
私は予定どおり、10分が過ぎたときから、ランニング・モードに入った。
とたん汗がにじみ出てきた。
一番汗は、ちょうど13分が過ぎたときのことだった。
ポタリとベルトの上に汗が落ちた。

 猫だった。
ドバトが消えた理由は、猫だった。
繰り返し、そう思った。
そのたびに、無念さが、何度も胸をしめつけた。

●柵

 運動がすむととすぐ、庭へ出た。
全身に汗をかいていた。
ひんやりとした風が、パジャマの下から流れ込んできた。

長靴に履き替えた。
このところの雨で、土手もすべりやすくなっている。
私は庭切りバサミをもつと、土手に登った。
低木の枝を片っ端から切った。
何度も、「チクショー」とつぶやいた。

 で、それが終わると、今度は網をもってきた。
温室の中にそれが残っていた。
それを土手の上方に、かけた。
何という無念さ。
「こんなところに餌をまかなければよかった」と。
何度も、自分を責めた。
何度も責めたが、責めきれなかった。

 土手に網をかけたところで、作業はストップ。
猫は上方ばかりから飛びつくとは、考えにくかった。
横からも、あるいは下からも飛びつく。
地形的に、それがわかった。

●無意味な権力闘争

 昨日、内閣不信任案が、国会で否決された。
簡単に言えば、小沢一郎がしかけた、政治的ワナ。
それに管総理が、ハマった。

 何という醜悪な権力闘争。
ヘドが出そうなほど、醜悪な権力闘争。
その醜悪さは、あの小沢一郎の顔を見ればわかる。
今の今も、東北地方では、被災者たちが苦しんでいる。
その最中に、内閣不信任案?
管おろし?

 火事で家が燃えさかっている。
家の中では、子どもたちが「助けて!」「助けて!」と泣き叫んでいる。
そんなときに夫婦げんか?
離婚騒動?

私は私なりに政治をながめてきたが、これほどまでに醜悪な権力闘争を見たことがない。
2011年という、今どき。
ああいう旧態依然の、つまり出世欲にとりつかれたような政治家がいること自体、信じられない。
国会を、『国盗り物語』の舞台にしている!

……というより、無念。

 今は、すべての責任問題を棚にあげてでも、挙国一致態勢で、震災処理、原発処理をしなければならないとき。
そんなときに、揚げ足をとり、内閣の足を引っ張っている。
その愚かさ。
その醜さ。

 小沢一郎がどうのこうのというより、そういう政治家しか選べない私たち。
そういう政治しかできない、この日本!
それが無念。
ただただ無念。

 何も管首相に肩入れするつもりはない。
しかしこんな時期に、首相を務めたいと願う人はいるだろうか。
想像を絶する重責。
私なら、とても務まらない。
頼まれても、断る。
事実、東京電力の社長は、イチ逃げた!

 それがわかったら、自民党にせよ、公明党にせよ、はたまた小沢一郎一派にせよ、今すべきことは、管首相に知恵を出し、協力すること。
そうでなくても、日本経済は崖っぷちに立たされ、よろめいている。
被災地での復興、復旧、さらには被災者たちの救済も、今、やっと始まったばかり。
何よりも心配なのは、原発。
原発事故は、日増しに深刻さをましている。

●無念

 今朝は、そういうわけで、どうも気分がすっきりしない。
何とも言えない無念さが、胸の中でじゅうまんしている。
やりようのない無念さ?
壁をかきむしるような無念さ?

 自分の愚かさを恥じ、日本の愚かさを恥じる。
小沢一郎も、少しは自分に恥じたらよい。
ヘラヘラと意味のわからない高笑いを繰り返すのではなく、もう少し国民の目線で、政治をながめてみたらよい。
そうすれば少しは、自分の醜さもわかるだろう。

 ただただ無念。
もうすぐワイフが床から起きてくる。
どうやって猫の話をしようか。
ワイフも悲しむだろう。
それを想像すると、つらい。

 今朝の「日本経済新聞」の見出しには、こうある。

『「菅降ろし」早くも再燃
 延命狙い、民主内部に反発』と。

 もう私には、バカとしか言いようがない!

 2011年6月3日、朝記。


Hiroshi Hayashi+++++++June. 2011++++++はやし浩司・林浩司

【ある相談より】

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徳島県に住んでいる、HSさんという
女性より、こんな相談が届いた。

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●離婚問題

夫(37歳)、私(35歳)、長女(小5)、長男(小4)

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【HSさんより、はやし浩司へ】

先日は、子どもの友達のことでの返信を頂き、ありがとう
ございました。

今回は以前にも相談にのって頂いたことがあるのですが、夫の
ことで相談させて下さい。

何年か前に「離婚」を考えている内容の相談をさせていただきましたが、
未だに離婚には至っておりません。

子どもに対して、それほどヒドイ言動や態度はありませんが、
長女は朝起こした時によく、「パパは(今何してる)?」と聞きます。
息子(小2より不登校中)は、「パパと留守番するなら一人の
方がいい」と言ったことがあります。
夫が一緒だと出かけるのも嫌がります。

息子が不登校児になってからは、私の勤務時間が短くなり、食費を
出せなくなりました。
(それまでは私のパート代から食費を出していました)
それを夫に伝えると、食費を渡すことはしてくれませんでしたが、夫が食事
の支度(買い物も)を、してくれるようになりました。

食事の支度をしてくれることは、ありがたいと思っています。

 私が今回お話したいのは、夫にコミュニケーションをとる気が
ないことです。

「明日のお弁当いるみたいだよ」と言っても返答なし。
「聞いてる?」と言うと、「さっき、聞いた」と。

こんな感じの会話ばかりです。
家では(子供の前でも)ニコリともせず、口を開けば不機嫌そう
な言い方や命令ばかり。
挨拶もロクにしません。

最近は、晩御飯を食べ終わったあとに、子どもたちは私の実家へ
行きたがり、近いこともあり、毎日行っています。
(夫が飲み会などでいない時も行っていますが。)

2年ほど前に、電話の受話器を投げつけられ、私の腕に当たって
ケガをしたこともあります。
 
 コミュニケーションをとろうとしない夫は、どこにでも
いますか?

私自身、子どものまえでは明るく振る舞っていますが、家の中の
雰囲気がが暗くてうんざりしています。

家計を夫が握り、子どものものを買うのにも、いちいち夫に
言わなければ買えなかったり、嫌な顔をされたりするのにも
疲れました。

こんな気持ちで離婚せずに今の生活を続けることは、子どもに
とってどうなんでしょうか?
不登校中の次女にとって、離婚は悪影響ですか?

長くなってしまいすみません。
よろしくお願いします。

【はやし浩司より、HSさんへ】

●家庭騒動

 現在のHSさんの家庭を支えているのは、HSさんの実家の両親ということになります。
あなたと実家の両親との関係がよくわかりませんが、良好なものであることを願っています。
また良好であれば、まず相談すべき相手は、あなたの両親ということになります。
離婚という形になればなおさら、実家の存在は大きくなるでしょう。

書き忘れましたが、いまどき離婚など、何でもありません。
珍しくもありません。
日本人でも、20数%の人が、離婚を経験しています。
5人に1人です。
アメリカ人の離婚率と、それほど、ちがいません。

 離婚が問題ではありません。
離婚に到る家庭騒動が問題です。
子どもの心に影響を与えるのは、離婚ではなく、そこに到る家庭騒動、ということです。
家庭騒動だけは、避けてください。

●まず自立

 現在、お子さんがその年齢なので、あなた自身の経済的自立はむずかしいかもしれません。
しかしもう少したてば、あなたも仕事ができるようになります。
そのときは、経済的自立をめざしてください。
あとのことは考えない。
まず経済的自立。
あとは、成り行きに任せます。
水が流れ行く場所を求めて流れていくように、自然な形で、あるべき方向に向かってものごとは進んでいきます。
それでも夫婦であれば、それもよし。
離婚に向かうようであれば、それもまたよし。
あとは自然体。
自然の流れに任せます。

(実際、私の周辺でも離婚していく人というのは、本当に静かです。
なるようになっていくという感じです。)

どうせこの世に、完ぺきな夫婦など、いません。
みな、外から見ると幸福そうに見えますが、そう見えるだけ。
どの夫婦も毎日、いろいろな問題をかかえ、悩んだり迷ったりしています。

 とにかく今は、2人の子どもをかかえ、たいへんなとき。
経済的にもきびしい様子なので、がまんできるなら、がまんしたほうがよいでしょう。
「それでも離婚!」ということなら、実家の両親に相談してみてください。
実家の両親の協力なくして、今の状況では、離婚は不可能です。

●夫婦の会話

 ああでもない、こうでもないと、それを繰り返しながら、たがいに生きていくのが、夫婦です。
私たち夫婦も、公式どおり(?)、倦怠期→緊張期→爆発期(夫婦げんか)→冷淡期→仲直り期→円満期→倦怠期を、繰り返しています。
周期は、2~3か月といったところでしょうか。
若いころ(30~40代)は、1~2か月でした。

 現在HSさんが、どういう状況にあるかわかりませんが、夫婦というのは、そのつど変化するものです。
だから昔からこう言います。
『夫婦げんかは、犬も食わない』と。

 で、どうであるいせよ、今まで夫婦でいられたということは、それなりにたがいに惹かれるものがあったからではないでしょうか。
あなたは愚痴を言いながらも、少しゆがんだ形かもしれませんが、内心では夫を愛しています。
本当に離婚を考えるときというのは、子どものことなど考えられなくなります。
つまり子どもの心配をしているようであれば、離婚などできないということ。
まだその段階ではないということ、です。

●倦怠期

 「うんざり」ですか?
 
 だったら、HSさんは、HSさんで好き勝手なことをすればよいのです。
夫にそれを求めるのではなく、自分で自分のしたいことをする。
今の私も、こうしてパソコンに向かって好き勝手なことをしています。
ワイフはワイフで、台所で好き勝手なことをしています。
だから夫婦でいられるのです。

 ある賢人は、こう言いました。

『結婚前はよく見つめ合う。結婚したら、たがいに前だけを見て、進む』と。
あるいはアンネ・フランクは、こう書いています。

Think of all the beauty that's still left in and around you and be happy!
(まだあなたのまわりに残っているすべての美しいものを頭の中で考えなさい。そして幸福を感じなさい。)

 危機とまではいかないにしても、危機的な状況かもしれませんが、心のどこかで「夫婦って、まあ、こんなもの」と割り切れるようであれば、割り切ってください。
いろいろ不満もあるでしょうが、夫に期待しすぎないこと。
求めすぎないこと。

 私の年齢になるとですね、平均余命も少なくなってきたこともありますが、同時にあちこちで友人や知人、その妻や夫が、ポツポツと他界していきます。
そのため、ものの考え方が大きく変化してきます。
たとえば今のHSさんの家庭の様子を読んでも、内心では、うらやましく思ってしまいます。
「いいなあ」とです。

 健康だし、死の影はどこにもない。
その気になれば、やりたいことが、何でもできる。
歩ける、走れる、見える、聞こえるということだけでも、すばらしい。
そこに夫がいて、2人の子どもがいる。
それだけでも、すばらしい。
孤独とは無縁。
孤独の恐ろしさも知らないですむ。
うらやましいです。

 どうかそういう私のような人間もいることを、心のどこかにとめ、もう一度自分や家族、みなの置かれた環境をながめてみてください。
アンネ・フランクのいう「beauty(美)」の意味がわかると思いますよ。


Hiroshi Hayashi+++++++June. 2011++++++はやし浩司・林浩司

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