2010年11月30日火曜日

*At GD Hotel in Hamamatsu

●浜松・GDホテルに一泊

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今夜は、浜松・GDホテルに一泊。
12階のスカイラウジで書き始める。

窓が大きく開け、その向こうにはアクト・タワー。
眼下はもちろん、浜松市街。
すばらしい。
無数の星々が、漆黒の絨毯(じゅうたん)に撒き散らされたかのよう。
それが地上でまばたきもせず、銀色に光っている。
都会的な、きらびやかさ。
静寂と孤独。
それらが、みごとに溶け合わさっている。
まるで無数の宝石のよう。
その美しさに、しばし見とれる。

たった今、ピアノの弾き語りが終わったところ。
女性がいくつかのクリスマスソングを歌った。
ピアノの白いふたを音もなく閉じ、ゆっくりとした
足取りで、ラウンジを出て行った。

うしろの席で、7、8人の客が、会話ごとに
ゲラゲラ、ガハハハと笑っている。
その笑い声が、何と場違いなことよ。

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●気分転換

 このホテルへ来る前に、義兄の家に立ち寄った。
途中の店で買ったケーキを、義兄たちと4人で分けて食べた。
「今夜はGDホテルに泊まります」と言うと、「いいねえ」と。

浜松市内でも1、2を争う高級ホテル。……だった。
が、朝食付きのみなら、1人1泊5000円前後で泊まれる。
朝食なしなら、4000円前後(じゃらん経由)。
気分転換には、もってこい。
それに今日は、ささやかだが、雑誌社から原稿料が入った。
それでその気になった。

 ジジイの私がこう言うのもへんだが、……本当にへんだが、
久々に、おとなのムードを味わった。

●偏頭痛
 
 で、昨夜は最悪だった。
真夜中に、偏頭痛。
寝る前に食べたぜんざいが、悪かった(?)。
1時間ほど四転八転したあと、Z(偏頭痛薬)を2つに割ってのむ。
ワイフがふとんの下に、座布団を2枚重ねてくれた。
頭を高くしてくれた。
それがよかった。
30分もすると、痛みがスーッと消えていった。

 こういう見分け方が正しいのかどうか、知らない。
しかし風邪による頭痛は、眠っている間は忘れる。
偏頭痛は、眠っていても痛い。
それに偏頭痛をがまんして眠っていると、悪夢の連続。
悪夢といっても、不気味な悪夢。
昨夜は、目のない女性が、顔から青い血を流しながら、そこに立っていた。
今、思い出しても、ゾッとする。
 
●沽券(こけん)

 そんなわけで今日は、一日、家の中でのんびりしているつもりだった。
言うなれば病後。
11月28日、日曜日。
午前中に、電子マガジンの12月号を完成させる。
(結構、たいへんな作業だったぞ!)
午後は、軽い昼寝。
3時過ぎになって、運動もかねてワイフと2人で、大通りから佐鳴湖、
佐鳴湖から大平台団地と、ぐるりとこのあたりを一周した。
そのときワイフが、こう言った。
「今夜は、どこかへ行かない?」と。

 こういうときワイフの提案を断ると、あとがこわい。
……というか、私にも夫としての沽券(こけん)がある。
言うなれば、メンツ。
ケチなことを言うと、嫌われる。
若いころから、そういう点では気をつかう。
「どこか、ホテルに泊まろうか」と。
そう答えると、ワイフはうれしそうに笑った。

●浜松GDホテル

 浜松GDホテルには、大浴場はない。
もちろん温泉もない。
そういう楽しみはない。

若いころはよく来た。
何かにつけ、よく来た。
「GDホテルで……」と、名前を口にするだけで、ステータス。
気分がよかった。

 で、そのころは、TDさんという人が、このホテルを経営していた。
2人のお嬢さんがいたが、私の教え子ということもあった。
が、一度、倒産。
理由はよく知らないが、改築費でつまずいたと、だれかから聞いた。
そのあと、このホテルは、別の経営者の手に渡った。

 そういうこともあって、このホテルに、星をつけることはできない。
あまりにも、おこがましい。

●縁

 40年以上も住んでいると、人の世の浮き沈みがよくわかる。
「おごれる者、久しからず」とも言う。
が、その一方で、大成した人もいる。
入れ替わり立ち替わり……というか、そういう人が出てきては、また消える。
人口60万人とも、80万人ともいわれる浜松だが、たいていの人とは、
どこかでつながっている。
縁がある。
「あの人がねえ」という会話が、このところ多くなった。

 たとえば目の前には、TKというホテルもある。
そのホテルの子どもたち(兄と妹)も、私の教え子。
親たちも、よく知っている。
私が浜松へ来たころには、小さな旅館風のホテルだった。
GDホテルの陰に隠れて、目立たなかった。
が、今は、全国にチェーン・ホテルを展開している。

●浮き沈み

 こうして振り返ってみると、「歴史」とは何か、
そこまで考えてしまう。
たとえば江戸時代。
あの時代にも、浮き沈みはあったはず。
今よりは、スローテンポだったかもしれない。
今は、10~20年単位で、ものごとが変化する。
江戸時代には、それが100年単位だったかもしれない。
どうであるにせよ、そうした(変化)は、私たちに何を残したのか。
だからといって、そうした変化が無駄というのではない。
その逆。
その結果として、今の私たちがいる。
それを歴史という。

●万年倦怠期

 ところで先に、「沽券(こけん)」という言葉を使った。
「値打ち、品位、体面」という意味である。
が、60歳を過ぎた夫婦には、もうひとつ別の意味が生まれる。
過ごし方をまちがえると、「万年倦怠(けんたい)期」。
人生そのものが、どんよりとした鉛色のモヤに包まれてしまう。
だからあえて、こうして機会を見つけて、外に出る。
雰囲気を変える。

 夫婦の倦怠をどう防ぐか。
これも老後のひとつのテーマということになる。

●気力

 それに健康というのは、気力の問題。
病気に遠慮していると、ますます病気ぽくなってしまう。
そこで多少の不調程度なら、無視して行動に出る。
体を動かす。
今朝の私がそうだった。

 朝は偏頭痛に苦しんだ。
静養するかどうかは、そのときの判断。
「もうだいじょうぶ」と判断したら、あとは思い切って外へ飛び出す。
気力が病気を治してくれる。

●離婚

 オーストラリアの友人の息子が、先週、離婚した。
結婚してまだ数年。
子ども(孫)ができたばかりだった。
つい先日のメールでは、孫の写真を送ってくれた。
理由はいろいろ書いてあった。
それについては、ここには書けない。
が、これも「浮き沈み」のひとつ。
(離婚したからといって、沈んだことにはならないが……。)

 つまり、生きていく過程では、いろいろある。
私たち夫婦も、何度か離婚の危機にさらされた。
とくに今年の夏には、あぶなかった。
が、基本的には、私はワイフなしでは生きていかれない。
ワイフも、私なしでは生きていかれない。
そのつど、たがいにあきらめ、よりを戻す。

 が、若い夫婦のばあい、たがいの密着度がそれほど強くない。
積み重ねられた思い出も少ない。
そのため「あきらめる」という力が働かない。
だから簡単に離婚する。

●ホテル、旅館業界

 ところでホテル、旅館業界は、大不況のまっただ中。
そのため料金のダンピングが、はげしい。
利用者である私たちにとっては、うれしい。
が、その分、このところサービスの低下が、目立ってきた。
とくに料理が悪くなってきた。

 先週泊まった、焼津のSKホテルも、そのひとつ。
目玉はカニ一杯。
それだけ。
あとはスーパーで売っているような刺身と天ぷら。
それらをそれらしく並べて、それでおしまい。
料理らしい料理は、何もなかった。

 つまり「安かろう、悪かろう」が目立ってきた。
つまりホテル、旅館業界は今、底なしの悪循環の世界に入りつつある。
このままでは良質のホテルや旅館まで、つぶれてしまう。

●加齢臭

 部屋に戻ってから、風呂に入った。
私にとっては、2日ぶりの風呂。
このところ鼻水が出た。
「風邪かもしれない?」と思っているうちに、2日が過ぎた。
それで2日ぶり。

 一説によると、55歳前後から、加齢臭が始まるという。
この加齢臭のこわいところは、自分ではわからないこと。
そのため55歳を過ぎたら、毎晩、風呂に入るのがよい。
60歳を過ぎたら、なおさら。

 よく子ども(生徒)たちは、私にこう言う。
「先生は、ジジ臭い」と。
ヘアートニックなどの匂いを言うこともあるが、本当にジジ臭いのかも。
風呂の中でタオルをゆすぐと、体の垢(あか)が、プラプカと湯面に上ってきた。

●北朝鮮

 こうして何でもない一日は終わった。
ワイフは、ベッドからテレビのニュースを観ている。
心配なのは(?)、朝鮮半島。
しかしあの金xxは、戦争など、しない。
その度胸もない。
ありもしない外国の脅威を作りあげ、それでもって
国内を引き締めているだけ。
そのためにアメリカや韓国が利用されているだけ。

 で、今日の午後5時半。
中国が重大発表(?)なるものを行った。
内容は「12月はじめに、6か国協議を開く」というもの。

 バ~カ!

 日米韓は、即座に反応。
「何を今さら」と。
これで中国のメンツは丸つぶれ。
が、問題はなぜ、それがわかっていながら、中国はあえて重大発表
という形で、そんな提案をしたか、だ。
それに先だって、中国政府は各国の高官と協議を重ねていた。
それを通して、その雰囲気がわかっていたはず。

 が、テレビに出てきた北朝鮮専門家(?)と言われる人たちは、
トンチンカンな解説を繰り返しすのみ。
「北朝鮮は、本気のようです」
「これ以上、追い詰めない方がいい」と。

 つまり中国は、北朝鮮にせがまれて、そういう提案をしてみただけ。
中国は北朝鮮を失うこと、つまり南北が、韓国とアメリカ主導で統一
されることを、何よりも恐れている。
そんな中国を、6か国協議の議長国にしたのが、そもそものまちがい。
泥棒に、泥棒の管理をかませたようなもの。

 午後11時15分。
ニュースは終わった。
私も寝る。
おやすみ。

●翌朝(11月29日)

 このところ温泉でも、朝風呂は避けている。
どういうわけか、朝風呂に入ると、体力の消耗がはげしい。
ばあいによっては、そのあと、立ちくらみや、めまいがすることがある。

 起きて身支度を整える。
朝食は6時半からという。
時計を見ると、7時半。
そのまま2階の食堂へ。

 が、並べられた料理を見て、がっかり。
割引料金で、1500円弱。
GDホテルには悪いが、こんな朝食で、1500円は高い。
やる気ゼロ、本気ゼロという中身だった。

 私は近くに陳列してある、S社の超大型船外機(たぶん、模型?)を
ながめながら、不満感をなぐさめた。

食堂を出るとき、ワイフはこう言った。
「私たち、目が肥えているから……」と。

 先に書いた、KTホテル(ビジネスホテル)のばあい、1泊3500円前後。
朝食は無料。
品数は少ないが、それでもGDホテルの朝食よりは、よい。

 ……とまあ、悪口を書いてしまった。
しかしホテルにせよ、旅館にせよ、評価は本気度で決まる。
先月泊まった、西浦温泉の竜宮ホテルは、見栄えは質素だったが、
廊下ごとに、茶の香が立ててあった。
そういうのを見て、私たちは「本気度」を知る。

 とても残念なことだが、GDホテルでは、その本気度を
感ずることができなかった。
建物だけは、立派だが……。

●補記

 「今度は、アクトタワーに泊まってみたい」とワイフは言っている。
私も、泊まってみたい。
で、こういうのを「冥土のみやげ」という。
先日、「朝食のみ付き」で、一泊8500円前後という宣伝が新聞に
載っていた。
会員制の大浴場にも、無料で入れるという。
地元にいながら、地元のホテルや旅館のことは、あまり知らない。
死ぬまでに、一度は、堪能(たんのう)しておきたい。


Hiroshi Hayashi++++Nov. 2010++++++はやし浩司・林浩司

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