2010年9月14日火曜日

●Hypocrisy(2)

●9月14日(火曜日)(日本振興銀行の破綻、アグネス・チャン疑惑)

●日本振興銀行の経営破たん

 9月10日、日本振興銀行が経営破たんした。
それはそれとして、その直前、日本振興銀行の社長の、江上剛(えがみ・ごう)氏が、
雑誌「VOICE」10月号に、寄稿している。
経営破たんはその段階で、だれの目にも明らかだった。
創業した木村剛氏は、検査忌避容疑で逮捕。
社長もあわせて逮捕。
そこでそれまで社外取締役をしていた江上剛氏が、「あえて火中の栗を拾う」と、社長に
就任。
「11万人の預金者、3万人の債務者、6000億円以上の預金、4000億円以上の
貸出金、500人以上の従業員、融資先も入れると数万人もの家族を、漂流させるわけ
にはいかない」(同雑誌)と。

かっこうよい言葉が並んだが、結局破綻。
内部では、猛烈な「とばし」がなされていたという。
つまり破綻を予想して、旧経営陣はやりたい放題。
で、私は江上剛氏がどんなことを書いているか、興味をもった。

●「火中のクリを拾う男」

 内容はありきたりの意味のないものだった。

(1) 本来ならみな逃げるはずの、社外取締役は、だれひとり逃げることもなく、経営
再建にあたっている。
(2) がんばっているので、ぜひ応援してほしい。
(3) 私は週3回、マラソンクラブに参加している。この困難を乗り切ったとき、それを
支えてくれたのは、マラソンクラブだったと言うことができる、と。

 が、結果として、「数万人もの家族が、漂流することになってしまった」。

●とばし(飛ばし)

 簡単に言えば簿外債務を、「とばし」という。
しかし実際には、もっと複雑。
不良債権を少なく見せかけるために、たとえば融資の担保に取っていた不動産などを、
実体のないペーパーカンパニーに買い取らせたりする。
が、それではすぐにバレてしまう。

 そこで最近では、とばしがさらに巧妙化している。
ペーパーカンパニーを、取り引き先の別会社に作らせたり、融資する現金を、いくつかの
銀行を経由させたりする。
さらにその不動産の管理を、別会社にさせる……。
つまり銀行本体は手を汚さず、クリーンさ(?)を保つ。
が、実態はもっとあくどい。

 経営破たんをあらかじめ予定し、どんどんととばしを繰り返す。
最終的には、不良債権として処理して、資金を自分のふところに入れる。
「自分」というのは、旧経営陣ということになる。
日本振興銀行がそれをしていたかどうかは、これからの捜査で明らかになるだろう。
しかし新聞報道によれば、「とばし」という文字が、あちこちに見える。
かなり巧妙なとばしをしていたようだ。

 で、江上剛氏だが、社外取締役として、それを知らなかったというのは、おかしい。
「社外取締役は、自分を含めて、1人も逃げなかった」ことを、「すばらしいこと」と
自画自賛している。
が、それは、どうか?
「VOICE」10月号を読んでも、危機感がまったく感じられない。
ないばかりか、ネットで配信されている動画を見ても、まるで他人事。
今回の経営破たん騒動が、何か、やらせのような疑問をもつのは、私だけではないはず。
ひょっとしたら、旧そごうの倒産劇のときのように、他銀行の不良債権をつけかえた
可能性もある。

この世界は、底なしに深く、その下では人間の欲望がドロドロに渦を巻いている。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

●アグネス・チャン疑惑

 『週刊新潮・今週号』を立ち読みした。
『VOICE』を買ったので、週刊新潮は立ち読みですました(ごめん!)。

 その中でアグネス・チャンの霊感商法疑惑について、当の本人、つまりアグネス・
チャンは、「私にはまったく関係ない」という論陣を張っている。
周辺を取り囲むガードたちが、「私たちが勝手にやりました」というようなことを
述べている。
「教育学博士」という立場上、そういう論陣を張らざるをえない気持ちは、ヨ~ク
わかる。
しかしこの手法は、悪徳政治家のそれと同じ。
「秘書が勝手にやったことです。私には関係ありません」と。
ズル賢い人間は、どこまでもズル賢い。
そういう意味では、一貫性がある。
(アグネス・チャンがそうと書いているのではない。誤解のないように!)
しかしよくよく考えてみると、納得できないことは山のようにある。

(1) 日本ユニセフと、国連の「ユニセフ」との関係
これら2つの組織は、「たがいに密接に連絡を取り合っています」(日本ユニセフ)
というが、まったくの別組織。
日本ユニセフのほうは財団法人格を取得しているが、わかりやすく言えば民間組織。
「ユニセフ」という名前を巧みに利用して、善意の人たちから、金を集めている(?)。
そんな疑惑も浮上してきた。

(2) 連続性と一貫性
難民救済運動というのなら、そこに至るまでの連続性があるはず。
わかりやすく言えば、「積み重ね」。
たとえば若いときから、孤児の世話をしてきたとか、ホームレスの人たちの
ために炊き出しをしてきたとか。
さらにそこまで高邁な精神をもっている人なら、清貧を貫くとか、財産を
投げ出しているとか、そういった一貫性もあるはず。
が、そういったものが、アグネス・チャンには、まるでない(?)。
何かしら私たち一般庶民だけが、もてあそばされている感じがする。
ある週刊誌は、「親善大使くらいは、辞退すべき」と書いていた。

(3) 教育学博士
アグネス・チャンは、小学生のころ香港から日本へやってきたという(伝聞)。
その直後から、歌手として活躍。
どこかの学校に籍を置いていたかもしれないが、当時のあの人気度からして、
とても勉強どころではなかったはず。

ただ英語だけはできただろうと思う。
当時の香港では、中学以上は、授業はすべて英語でなされていた。
が、そのアグネス・チャンが、やがて上智大学の国際部を卒業する。
そしてそのあとしばらく日本から離れたあと、今度は「教育学博士」として帰国。
以後、ワンステージ、100~160万円の講演活動をつづけている(同誌)。

日本では各大学の博士課程に籍を置いて、博士号を取得することになっている。
欧米の大学では、論文審査だけで、博士号を発行することは珍しくない。
私も、アメリカの各大学に直接問い合わせてみたが、アグネス・チャンの経歴
に詐称はない。
ただ博士号取得の原因となった論文については、私の立場では入手できなかった。
「日米の子育て比較」に関する論文だったと記憶している。
私にとっても興味ある内容なので、一度精読してみたい。

(4) 霊感商法(+霊芝販売)
今回問題になっているのが、霊感商法。
加えて霊芝販売(?)(記憶によるものなので、不正確)。
週刊新潮によれば、HP上の販売は停止されているということだが、薬局では、
いまだに自由に購入できるとか。

つまりここでアグネス・チャンの一貫性が崩れる。
「教育学博士」という肩書と、「霊感商法」、さらには「霊芝販売」(?)。
チグハグ?
が、これではまずい。
そこでアグネス・チャンは「私にはまったく関係ない」という論陣を張った(?)。
しかし団体名に「神農」という名前を使っているところからみても、「まったく関係ない」と果たして言えるのか?
神農というのは、中国では薬草の神様。
別名を「炎帝」ともいう。
その炎帝を倒して位についたのが、黄帝(こうてい)と言われている(司馬遷)。

 おかしいものは、おかしい。

●一貫性と連続性(補記)

 一貫性と連続性については、たびたび書いてきた。
つまり人間というのは、器用なようで、そうでない。
とくに脳みそは、そうだ。
50歳を過ぎればなおさらで、ひとつの場面で善人になり、べつの場面で悪人になると
いうことができなくなる。
それを支える気力そのものが、弱くなる。
つまり個人が本来的にもつ「地」が、そのまま表に出てくる。
が、それでも仮面(ペルソナ)をかぶりつづける人はいるにはいる。
しかしそういう人は、それこそ人間性そのものが、バラバラになってしまう。
本人も、それに耐えられなくなる。

 私も50歳前後になったとき、それに気づいた。
いくら表では善人ぶっていても、ふと気を許したところで「地」が出てきてしまう。
私はもともと素性があまりよくない。
そこで私は2つの方法を考えた。

(1) ありのままをさらけ出す。
(2) ウソをつかない。ルールを守る。

 この2つを、ひたすら、守りつづけた。
今も守っている。
それで「地」が修正できるとは思わないが、だからといって放置しておくわけにもいか
ない。

 で、再び、アグネス・チャン。
彼女には個人的な敵意や反感はまったくない。
ただ偽善者だけは、許せない。
ぜったいに許せない。
悪人以上の悪人。
善意の人たちから金を集めて、貧しい人たちをダシにして生きる。
それは許せない。

アグネス・チャンがそうであると書いているのではない。
ただその疑いは、ある。
だから、ここは注視あるのみ!


Hiroshi Hayashi++++++++Sep. 2010+++++++++はやし浩司

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