2011年11月2日水曜日

*Psychopathy

●サイコパス(反社会性性格)Psychopathy

+++++++++++++++++++++

【問】

 A男氏は、45歳。
2人の息子がいる。
ともに高校生。
この10年以上、仕事らしい仕事はしていない。
親の残した遺産と、妻のパートの仕事で、何とか生計を立てていた。

 が、2人の息子が高校生になったところで、家計がパンク。
医師をしている遠い親戚のNさん宅を訪ねた。
「このままでは一家心中しなければなりません。助けてください」と。
シクシクと泣きながら、土下座までしてみせた。

 見るに見かねて、その親類は、「100万円くらいなら……」といって、現金を渡した。
それが15年ほど、前。
A男氏は、「ありがとうございます」「恩は忘れません」と何度も頭をさげ、その場を去っていった。

 そこでクエスチョン。
あなたは、A男氏をどのように判断するだろうか。

●サイコパス

 『私たちはどんな悪人も、少しくらいは良心を持っているだろうと信じていると思います。しかし、世の中にはそんな考え方が全く通用しない「サイコパス」と呼ばれる人間が存在しているのです』(「サイコパスとは何か」サイトより転載)と。

 この一文が、サイコパスのすべてを語っている。
診断基準として、同サイトは、つぎの7つをあげている。

(1)口達者で、一見、魅力的。
(2)同情を引こうとする。
(3)無責任で問題行動が目立つ。
(4)責められると逆ギレする。
(5)非常によくウソをつく。
(6)感情が浅く、思いやりがない。
(7)衝動的に行動する。

 「ウソがうまく、泣いても空涙」。
「言葉はよく知っていても、心に響かない」などが、大きな特徴としてあげられている(同サイト)。

 詳しくは、
http://www.psy-nd.info/
で。

 またウィキペディア百科事典には、つぎのようにある。

++++++++++以下、ウィキペディア百科事典より++++++++++++

三省堂の大辞林によると「性格が逸脱し、そのために社会を困らせたり自らが悩むもの。性格異常」とある。
連続強姦殺人犯、シリアルキラー(連続殺人者)や、重度のストーカー、常習的詐欺師・放火魔、カルトの指導者の多くがサイコパスに属すると考えられている。
さらに、窃盗/万引き、ドメスティックバイオレンス、幼児虐待、非行少年グループ、資格を剥奪された弁護士・検察官や医師、テロリスト、組織犯罪の構成員、金のためならなんでもやる人間、悪徳実業家なども当てはまることがある。

サイコパスは社会の捕食者(プレデター)であり、生涯を通じて他人を魅了し、操り、情け容赦なく我が道だけをいき、心を引き裂かれた人や期待を打ち砕かれた人、財産を奪われ尽くした人を後に残して行く。

良心や他人に対する思いやりに全く欠けており、罪悪感も後悔の念もなく社会の規範を犯し、人の期待を裏切り、自分勝手に欲しいものを取り、好きなように振る舞う。
その多くは刑務所内にいるが、社会に出ている者もまた多い。
その大部分は殺人を犯すことなく自分たちの業を押しつけてくる。北米には少なくとも200万人、ニューヨークだけでも10万人のサイコパスがいると、犯罪心理学者ロバート・D・ヘア(en:Robert D. Hareは統計的に見積っている。

++++++++++以上、ウィキペディア百科事典より++++++++++++

 ついでに「はてなキーワード」の説明文も、掲載する。

『精神病質者の意。現在サイコパスという言葉は無く、反社会性人格障害(APD)と変更されている。

サイコパスの特徴は極端に自己中心的で、慢性的な嘘つきで後悔や罪悪感が無く、冷淡で共感が無い。加えて自分の行動に責任が取れない。

多くは脳の前頭葉に問題がある可能性が高く、ホルモン異常と考えられる。
それに加えて幼少時の虐待・生育環境の劣悪が重なりサイコパスとなる可能性が高い。
8~9割のサイコパスは言語能力を司る認知機能に障害があり、通常左脳で行われる言語処理が右脳で行われている。

一般的にサイコパスとサイコは同じ意味で捉えられている』(以上「はてな・キーワード」より)と。

●サイコパスの自己診断

 自分がサイコパスであるかどうかは、つぎのところで自己診断できるようになっている。

http://www.psy-nd.info/diagnosis.html

興味のある人(心配な人)は、このサイトで、自己診断をしてみるとよい。

●問に対して

 冒頭の【問】を読んで、もしあなたが、「A男氏は、親戚の医師に感謝し、喜んでいる。A男氏は、自分の家に帰り、息子たちにこう言うにちがいない。『あのNさんのおかげで、お前たちは、高校へ通うことができる。恩を忘れるな』と。A男氏は、それからは定職につき、妻に毎月給料を渡すようになったはず」と答えるようなら、あなたは、ここでいうサイコパスではない。(断定はできないが、その可能性はほとんど、ない。)

 が、サイコパスは、そうは考えない。
「しめしめ、うまくだましてやった。あのバカ医師め。まんまとオレの空涙にひっかった。あんなヤツ、オレが土下座をすれば、イチコロよ」と。

●Nさん(医師)

 冒頭にあげた話は、実話である。
このあともたびたびA男氏は、親類の医師、つまりNさん宅を訪れている。
が、そのつど、ああでもない、こうでもないと言葉巧みに、Nさんからお金を引き出すのに成功している。

 Nさんは、私にこう言った。
「何でも毎朝、毎晩、私の家のほうに向かって、家族全員で手を合わせて感謝しているというのですね。
でもね、私は仏様でも神様でもないから、そんな気味の悪いことはしなくていいって、言ってやりました」と。

 が、A男氏の話は、すべてウソだった。
その証拠に、……というか、私はそれが証拠と考えているが、Nさんが亡くなったとき、A男氏はもちろん、家族はだれも葬儀に来ていなかった。
「2人の息子は来ているだろう」と思って、Nさんの家族に聞いてみたが、息子も、そして妻も来ていなかった。
A男氏というのは、そういう人間だった。

●サイコパス

 ……だからといって、A男氏が、サイコパスというわけではない。
しかし実際に、このタイプの人は少なくない。
もう一度、先に引用した文を読んでみてほしい。

 『私たちはどんな悪人も、少しくらいは良心を持っているだろうと信じていると思います。しかし、世の中にはそんな考え方が全く通用しない「サイコパス」と呼ばれる人間が存在しているのです』(「サイコパスとは何か」サイトより転載)と。

【サイコパスの診断基準】(DSM-IVによる診断基準)

●Psychopathy Checklist (PCL)

1 口達者/表面的な魅力
2 過去におけるサイコパスあるいは類似の診断
3 自己中心性/自己価値の誇大的な感覚
4 退屈しやすさ/欲求不満耐性の低さ
5 病的に嘘をついたり人を騙す
6 狡猾さ/正直さの欠如
7 良心の呵責あるいは罪悪感の欠如
8 情緒の深みや感情の欠如
9 無神経/共感の欠如
10 寄生虫的な生活様式
11 短気/行動のコントロールの欠如
12 乱交的な性関係
13 幼少期からの行動上の問題
14 現実的で長期的な計画の欠如
15 衝動性
16 親として無責任な行動
17 数多くの結婚・離婚歴
18 少年時代の非行
19 保護観察あるいは執行猶予期間の再犯の危険が高い
20 自分の行動に対する責任を受け入れることができない
21 多種類の犯罪行為
22 薬物やアルコールの乱用が反社会的行動の直接の原因ではない

●注意

 このサイコパスの診断基準について、つぎのような注意書きが添えられている。

『サイコパスチェックリスト」は専門家が使う場合でも相当に複雑な臨床診断の道具であり、自分自身やそばにいる人をこれを使って診断してはいけない。この診断にはしっかりした訓練と、正式な採点方法が必要である』と。

 安易な素人判断は、危険であるという意味である。

●善意の通じない人

 私のまわりにも、サイコパス(?)と思われる人は、少なくない。
あなたのまわりにも、ひょっとしたらいるかもしれない。
あるいはあなた自身が、そうかもしれない。
つまり善意の通じない人である。

 その人がサイコパスというわけではない。
しかし私もNさんに似たような経験を、いくつかしている。
「これだけのことをしてあげたのだから、相手はそれなりに感謝しているはず」と。親切にしてあげたほうは、そう思いがちだが、このタイプの人には、そうした(お人好し)は通用しない。
心そのものが欠けている……振り返ってみると、そんな印象をもつ。

 私の知人にMさん(女性、60歳くらい)がいる。……いた。

●Mさん(女性、60歳くらい)

 Mさんの第一の特徴をあげるなら、とにかくウソがうまいということ。
10のうち1つも、本当のことがない。
その場その場で、ペラペラと適当なウソをつく。
あまりウソが多いので、自分でも忘れてしまうよう。

 口もうまい。
近所の独居老人たちの世話をしている……みなに感謝されている……市から表彰されそうになったが、辞退した……先週も、ある独居老人のために、一日中、車であちこちへ行ってやった……という話が、つぎつぎと口から出てくる。

 さらに近所の別の独居老人が死んだときには、自分が喪主になって葬儀をしてやったなどという話もした。
しかもその内容が、詳細。
こっちらが聞きもしないのに、葬儀社との電話のやり取りまで話した。

 先にも引用したように、『言葉はよく知っていても、心に響かない』の通り。
ペラペラと話すが、真実味に欠ける。
「私は親切だ」「やさしい」とは言うが、そうした行為にあるべきはずの「温もり」が伝わってこない。

 そしてあとは、お決まりの同情論。
Mさんが、実の父親の介護をするようになったときのこと。
Mさんは毎晩のように親戚中に電話をかけた。
私のところにもかかってきた。
「あれがたいへん」「これがたいへん」と。

 実際に、親の介護はたいへん。
そういう意味でMさんの気持ちを理解できなかったわけではない。
が、同時にMさんは妹氏の悪口を、あれこれと言った。
「近くに妹が住んでいるが、見舞いにも来ない」「来ても10分足らずで帰ってしまった」などなど。
が、一度、こんなことがあった。

 私のワイフが、Mさんの妹氏のことをよく知っていた。
妹氏は、共働きで、父親の介護ができなかった。
そこでその代わりにということで、毎月10万円の現金を、Mさんに直接、届けていた。
そのことを私は知っていたので、ふとこう言ってしまった。

 「でも、妹さんもあなたと同じようにお父さんのことを心配していると思いますよ」と。

 この一言が、Mさんを激怒させた。
ふつうの激怒ではない。
錯乱状態に近い、激怒だった。
突然ギャーギャーと声を張り上げ、「あなたは他人の家族のことだと思って、勝手なことを言う!」と。

 以来、私はMさんからの電話には、出ないことにした。

●離婚歴
 
 DSM-IVによる診断基準によれば、17番目に、「数多くの結婚・離婚歴がある」という項目がある。
が、Mさん自身には、離婚歴はない。
(こうした診断基準は、あくまでも多数決的なものだから、みながみな、そうなるというわけではない。)
しかしMさんの、2人の娘と1人の息子は、みな、離婚しているか、離婚状態にある。
離婚状態というのは、現在別居中ということ。

 Mさんの反社会的人格と、子どもたちの離婚と、どういう因果関係にあるかは、私にはわからない。
何かの影響を与えたということは、じゅうぶん、考えられる。
つまりMさんは、明らかに「温かい家庭作り」に、失敗していた。
3人の子どもたちは、そういう状態にありながらも、Mさんの家(子どもたちにとっては実家)には、寄りつかないという。

●劣悪な家庭環境

 医学的な見地で「サイコパス」と呼ばれている人は、(子どもでもよいが)、そういう点で、かわいそうな人とみる。
同情的な意味で、そう言うのではなく、「自分自身でもコントロールできない」という意味で、そう言う。

原因としては、『幼少時の虐待・生育環境の劣悪が重なりサイコパスとなる可能性が高い』(はてな・キーワード)とあることからもわかるように、乳幼児期の育児環境が第一に考えられる。

 というのも、私が知るかぎり、サイコパスは後天的なもの。
しかも幼児期に入るころには、その傾向がはっきりしていることがあげられる。

心の冷たさだけが、強く印象に残る。
やさしくしてあげても、それがスーッとどこかへ抜けていってしまう、など。
また空想的虚言(妄言)といって、頭の中に別の世界をつくり、それに基づいて、それをあたかも事実のように話したりする。
一見、明るく快活だが、調子がよいだけ。

 このタイプの子どもがすべてサイコパスというわけではないが、(というのも、サイコパスと診断されたケースはないので)、サイコパスの診断基準に照らし合わせてみると、このタイプの子どもがなぜそうなのか、それがよく理解できる。

 ともあれこのサイコパスには、さらにいろいろな問題が隠されている。
たとえば私がよく使う『貧者の論理』『弱者の論理』『被虐待者の心理』など、総じてみると、(心のゆがみ)の問題と、その底辺でつながっている。

 貧者にせよ、弱者にせよ、はたまた被虐待者にせよ、サイコパスもしくは、サイコパス的な症状を示す。
が、それについては、また別の機会に考えてみたい。

(はやし浩司 家庭教育 育児 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林浩司 BW はやし浩司 幼児教室 育児 教育論 Japan はやし浩司 サイコパス Psychopathy サイコパス診断 診断基準 反社会性性格 人格障害 異常心理学)


Hiroshi Hayashi++++++Nov. 2011++++++はやし浩司・林浩司

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。