2011年11月26日土曜日

*Mothers in Japan now!

【不安にかられる母親たち】(気をつけたい不安先行型育児観)

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こういう世相。
EUの金融危機。
景気も悪い。
加えて原発事故。
雨が降るたびに、今日はだいじょうぶかと思う。
不安でいない人をさがすほうが、むずかしい。

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●みんな不安?

 ある母親がテレビで紹介されていた。
関東地方のある都市に住む母親である。
その母親は1歳になる子どものために、野菜類は北海道や九州から仕入れているという。
たまたま野菜(キャベツ)を調理しているところだった。
キャベツの葉を一枚ずつめくり、水で洗い、さらにペットボトルの水で表面をこするようにして洗う。
一枚ずつ、ていねいに、ていねいに……

 気持ちは、よくわかる。
心配なのは、よくわかる。

しかし……。

関東地方あたりまでくると、心配なのは、放射性物質だけではない。
環境ホルモン、農薬、食品添加物、遺伝子操作野菜などなど。
放射性物質は、その中のワンオブゼムに過ぎない。
しかも放射性物質というのは、水で洗って流し落とせるようなものではない。
野菜そのものの中に、取り込まれている。

 私はその番組を見ていたとき、20年近くも前の話を思い出した。

 ある母親が私のところへ来て、こう言った。
「相談したいことがある」ということだったので、相談にのった。
いわく、「今度、幼稚園で英会話を教えてくれることになった。
しかし講師の先生は、アイルランド人です。
アイルランドなまりの英語が身につくのではないかと、心配です」と。

 アイルランド英語というのは、たしかにある。
たとえば「w」の発音を長く言う。
たとえば「what」でも、「ウォーワット」と。
しかしふつう聞いて、それがアイルランドなまりかどうか、それがわかる人はいない。
……当時はいなかった。

 この時期、親、とくに母親は、何かにつけ、神経質になりやすい。
それが悪いというのではない。
とくに今回は、放射性物質である。
色も、においも、何もない。
それだけに、不気味。
恐ろしい。
それはわかるが、(正しく)心配しないと、ときとして過剰反応を引き起こす。
つまり、その母親にはきびしい意見になると思うが、(放射性物質への心配)と、(過剰反応)は、別物。
どこかで一線を引かねばならない。

●限度

 さて、一般論。

 子育ては人生の一大事だが、しかしそれがすべてではない。
ほかの動物や植物とちがい、人間には、(限度)がある。
その限度を踏み越えてまで、子育てに埋没してはいけない。
わかりやすく言えば、本能は本能。
その本能に溺れてしまってはいけない。
……と書くのは、書きすぎだろうか。

 もちろんそれぞれの親には、それぞれの思いがある。
哲学もあれば、同時に心の問題もある。
だから子育てには基準もなければ、標準もない。
家庭の事情も、みな、ちがう。
私は私。
あなたはあなた。
人それぞれということになる。

が、それでも、「?」と思うことはある。
私の理解の範囲を超えることがある。
それが先に書いた母親である。
(だからといって、その母親のしていることが、まちがっているとかそんなことを書いているのではない。
誤解のないように!)

 私が書きたいのは、こうした母親の反応に対して、だれかが適切に指導をしないと、それが子育てのベースになってしまうということ。
放射性物質の危険性についても、そうである。
どの程度、危険なのか。
またどうすれば危険を防げるか、など。
経済的に余裕のある家族は、まだよい。
ペットボトルの水を、ふんだんに使うことができる。
そうでない家族は、どうなのか。

それもしないで、「今ただちに、害はありません」などというウソをつくから、母親たちは不安になり、心配になる。

が、その一方で、子育ての世界で、何が悪いかといって、過保護、過関心、過干渉、溺愛ほど、悪いものはない。
子どもの心をゆがめるだけではない。
母親自身の心までゆがめてしまう。
育児ノイローゼもそのひとつ。

●父親の役割

 『母親は子どもを産み育てる』。
では、父親の役目は何か。
その答は、発達心理学の世界では、2つ用意されている。

(1) 母子関係の是正
(2) 社会性の構築
 
 「母子関係の是正」というのは、子育てというのは、母親だけに任せておいてはいけないということ。
父親がその間に割って入り、母子関係にクサビを打ち込む。
また「社会性の構築」というのは、要するに「狩りの仕方」ということになる。
自立して生きるための能力と技術を、子どもに授ける。 

●花柄パンツ

 が、この日本では、それが大きく狂った。
狂って、今の状況を生みだした。
その第一が、男性の女性化。
男性ホルモンの分泌が弱くなり、精子の数そのものも減ってきているという。
原因のひとつとして、環境ホルモン説が声高に叫ばれるようになって、もう15年になる。

 が、原因が何であれ、10年単位で、子どもたち、とくに男児の質が変化してきたことは、まぎれもない事実。
35年前、花柄パンツをはいている高校生を知って、私は驚いた。
中日新聞でのコラムで、それについて書いた。
が、今では、小学生でも赤やピンクのパンツ(下着)を、ごくふつうにはいている。

 どんなものを着ようが、中身(精神力)とは関係ない。
それはわかるが、私が感ずるこの違和感は、いったいどこから来るのか。

●母子関係の是正

 母子関係は、濃密なものである。
それもそのはず。
子どもは母親の胎内で、10か月近く過ごす。
生まれてからも、母親から乳を受ける。
が、そのままの状態が、正しいというわけではない。

 概して言えば、母子関係が是正されないと、子どもはマザコン化する。
これには男児も女児もない。
(「マザコン」というと、母親と息子だけの関係と思う人は多い。
しかし実際には、母親と娘の関係においても、子どもがマザコン化することも、それ以上に多い。)

 子どもは自立できないまま、母親とベタベタの人間関係を構築する。
子どもと母親が一体化する。
母親は母親で、そうであることを、親の深い愛によるものと錯覚する。

●一億、総マザコン

 が、今では、マザコン化していない子どもを探すほうが、難しい。
おとなでも、難しい。
本来なら、父親が、その間に割って入り、母子関係を是正しなければならない。
が、その父親自身が、マザコン化している。
自分の子どもが母親との関係で、マザコン化していても、それに気がつかない。
またそうであることを、よい親子関係と思い込んでいる。

 こうして日本人全体が、一億、総マザコン化した。
このことと直接結びつけてよいかどうか、わからない。
しかし「草食系」という言葉も、そこから生まれた?
どこかナヨナヨし、ハキがない男性(女性)を、「草食系」というらしい。
平たく言えば、野性的なたくましさに欠ける。

 それが悪いと決めつけるわけにもいかない。
しかし今では男性でも整形をほどこし、朝の化粧に、半時間もかける。
が、こうした現象は、少なくとも、私が若いころには、考えられなかったことである。

●国際経済

 時、折しも、世界的なリセッション(景気後退)期。
今朝のニュースを読んでも、明るいことは何もない。
EUの崩壊すら、可能性として論じられるようになっている。

 もちろん日本の経済に与える影響も、深刻。
すでに日本国債の金利もジワジワと上昇し始めている。
1000兆円以上という借金をかかえ、日本は今、身動きが取れない状態にある。
へたをすれば、日本経済はこのまま奈落の底へ落ちていく。
あの3・11大震災の前ですら、「(日本経済の崩壊は)、可能性の問題ではない。時間の問題」と言われていた。
書店に並ぶ、経済誌は、みな、そう書いていた。

 が、そこへあの3・11大震災。
「復興特需」とやらで、皮肉なことに経済は一息ついたが、しかし根本的な問題は何も解決していない。
むしろ悪化している。

●マスコミの責任

 私も今回、EUが、こんなひどい状況とは知らなかった。
たとえばスペインにしても、建設途中で放棄されたマンションや別荘が、あちこちにある。
セスナ機しか着陸できないような飛行場の周辺にまで、リゾート地を建設したところもあるという(報道)。
そのあたり一帯は、ゴーストタウン化している。

 しかしそれとて、ネットで知ったこと。
テレビではない。
むしろテレビのほうは、「世界のグルメ、食べ歩き」とか、「列車の旅」とか、どこかノー天気な番組ばかりを流している。……流していた。
あるいは意味のないバラエティ番組ばかり。

ギリシャにしても、そうだ。
チャンネル数もふえた。
画面も美しくなった。
旅行番組的なものは、見た記憶がある。
しかしギリシャの現状は、ネットで調べて私ははじめて知った。

 これを「大本営発表」と言わずして、何という。
報道の精神は、どこへ消えた?
あるいは、報道とは何か?
どうしてNHKならNHKでもよいが、「今、スペインはこんな状況になりつつある」というような報道を、どうしてしてくれなかったのか。
それがあれば、被害者は、もっと少なくてすんだはず。
銀行や証券会社に勧められるまま、インチキ外債を買わされた人は、ゴマンといる。

●「現実内」

 冒頭の母親には悪いが、そんなことで放射性物質を避けることはできない。
放射性物質というのは、いわば空気のようなもの。
空気以下の、「気
のようなもの。

 どんな形であれ、1年とか2年とか、そういう年月をかけ、ありとあらゆるものから浸み込んでくる。
今、身に着けている衣服からも、浸み込んでくる。
風呂の水からも、浸み込んでくる。
その母親がどうこう書いているのではない。
この日本は、また東京電力は、それほどまでに深刻な事故を引き起こしてしまったということ。
また原子力発電所というのは、それほどまでに危険なものであるということ。

「想定外」などという言葉に、だまされてはいけない。
そこに原子力発電所があり、日本は地震国であるという事実は、「現実内」である。
そしてこの先、多くの国民が、その後遺的症状に苦しむことになる。
これもまぎれもない「現実内」である。

●無力感

 この無力感。
この脱力感。
そういう母親がそこにいても、またそのそばに子どもがいても、みなが見て見ぬフリをしている。
正直に、「そんなことをしても、あまり意味がありませんよ」と伝える人もいない。
本来なら、そういう不安をかかえる母親や子どもを、もっと遠くに避難させるのがよい。
しかしその国力は、もうこの日本にはない。
ないから、放射性物質を避ける、ひとつの方法として、こうした母親の行為を全国に流してしまう。

 おそらくあの番組を見た多くの母親たちは、同じことを始めていることだろう。
キャベツの葉を一枚ずつめくり、水で洗い、さらにペットボトルの水で表面をこするようにして洗う。
何とも痛ましい光景だが、だれがそうした母親たちの行為を批判することができるだろうか。

●終わりに……

 放射性物質はともかくも、(不安になってもしかたないと思うが)、親のもつ不安感は、かならず子どもに伝播する。
何かにつけ、親は不安先行型の子育てをしてしまう。
子ども自身も、不安の連鎖から抜け出られなくなってしまう。
またそれが一度、子育てのリズムになると、そのまま親の育児観として定着してしまう。
親子関係の基本になってしまう。
子どもが20歳を過ぎても、30歳を過ぎても、「不安だ……」「不安だ……」となってしまう。

 そのため親は、子どもに対して、過干渉になったり、過関心になったりする。
症状は様々だが、子どもの精神の発育にも、悪い影響を与える。
子ども自身も自立できなくなってしまう。
今回の放射性物質の問題はともかくも、不安先行型の子育てには、注意したらよい。

(はやし浩司 教育 林 浩司 林浩司 Hiroshi Hayashi 幼児教育 教育評論 幼児教育評論 はやし浩司 親の心配 不安 不安先行型子育て 過剰心配 神経質になる母親 はやし浩司 過干渉 過関心)はやし浩司 2011-11-26記

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不安先行型の子育てについて書いた
原稿を探してみる。

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●パソコンの傷

 子どものことでトラブルが起きたら、一に静観、ニに静観、三、四がなくて、五に親に相談。
少子化の流れの中で、親たちは子育てにますます神経質になる傾向をみせている。
そうであるからこそなおさら、「静観」。
子どもにキズがつくことを恐れてはいけない。
子どもというのはキズだらけになって成長する。で、ここでいう「親」というのは、一、二歳年上の子どもをもつ親をいう。
そういう親に相談すると、「うちもこんなことがありましたよ」「あら、そうですか」というような会話で、ほとんどの問題は解決する。

 話が少しそれるが、私は少し前、ノートパソコンを通信販売で買った。
が、そのパソコンには一本のスリキズがついていた。最初私はそのキズが気になってしかたなかった。
子どももそうだ。子どもが小さいうちというのは、ささいなキズでも気になってしかたないもの。こんなことを相談してきた母親がいた。

何でもその幼稚園に外人の講師がやってきて、英会話を教えることになったという。
それについて、「先生はアイルランド人です。ヘンなアクセントが身につくのではないかと心配です」と。
子育てに関心をもつことは大切なことだが、それが度を超すと、親はそんなことまで心配するようになる。

 さらに話がそれるが、子どものことでこまかいことが気になり始めたら、育児ノイローゼを疑う。
症状としては、つぎのようなものがある。

(1)生気感情(ハツラツとした感情)の沈滞、
(2)思考障害(頭が働かない、思考がまとまらない、迷う、堂々巡りばかりする、記憶力の低下)、
(3)精神障害(感情の鈍化、楽しみや喜びなどの欠如、悲観的になる、趣味や興味の喪失、日常活動への興味の喪失)、
(4)睡眠障害(早朝覚醒に不眠)など。さらにその状態が進むと、Aさんのように、
(5)風呂に熱湯を入れても、それに気づかなかったり(注意力欠陥障害)、
(6)ムダ買いや目的のない外出を繰り返す(行為障害)、
(7)ささいなことで極度の不安状態になる(不安障害)、
(8)同じようにささいなことで激怒したり、子どもを虐待するなど感情のコントロールができなくなる(感情障害)、
(9)他人との接触を嫌う(回避性障害)、
(10)過食や拒食(摂食障害)を起こしたりするようになる。
(11)また必要以上に自分を責めたり、罪悪感をもつこともある(妄想性)。

こうした兆候が見られたら、黄信号ととらえる。
育児ノイローゼが、悲惨な事件につながることも珍しくない。子どもが間にからんでいるため、子どもが犠牲になることも多い。

 要するに風とおしをよくするということ。
そのためにも、同年齢もしくはやや年齢が上の子どもをもつ親と情報交換をするとよい。とくに長男、長女は親も神経質になりやすいので、そうする。……そうそう、そう言えば、今では私のパソコンもキズだらけ。
しかし使い勝手はずっとよくなった。そういうパソコンを使いながら、「子どもも同じ」と、今、つくづくとそう思っている。(中日新聞発表済み)

Hiroshi Hayashi+++++++Nov. 2011++++++はやし浩司・林浩司

【子育てが不安でならない】

●【佐賀県にお住まいの、Kさん(母親)より、はやし浩司へ】


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佐賀県にお住まいの、Kさん(母親)より、こんな相談のメールが
届いています。
子どもの不登校の問題です。
この問題を、みなさんといっしょに、考えてみたいと思います。

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【Kさんより、はやし浩司へ】

こんばんは。

メールのお返事本当にありがとうございました。パソコンに不慣れなもので、このメールも送れているのか心配ですが・・・。

文字化けした部分は母子登校を続けるべきなのかということです。学校恐怖症というのも拝見しました。

実は今日先生とお話して明日から送迎はするけれど、教室まではついていかないようにするという取り決めをしてきたのです。でもメールを拝見するとそれはかえってよくなさそうですね・・・。

でも私のなかでまだ学校は行かなくてはならないところという気持ちが、100%に近いです。引きずってでも連れていくのは、私はしたくありませんが、私がついていくなら学校へ行くというならついていって連れていくべきなのでしょうか? そして教室にいるべきでしょうか? 私自身、教室にいるとほかの子と比べたり、なんで私だけここにいるのだろうと、悲しくなってきます。

親としては今行かないとずっといけなくなる不安が襲ってきます。これが高学年とか中学生なら休ませているでしょうが、私は低学年からいかないなんて、どんな将来があるのかと思ってしまいます。

今までの息子に対する子育ては本当に大変でした。まわりの人たちに、いい子だねとよく言われるのです。私はそれがずっと嫌で私が息子に圧力をかけてしまっていたと反省の日々でした。私の身近に精神病を抱えた人がいて、その人がまさに小さい頃いい子だねとか親のいうことをよくきく子ででもある時から親を困らせていて、自分もこんな未来が待っているのかと毎日考えてしまいます。

息子はとにかく人前ではにこにこ明るくあまりもめごとをしないことです。でも今まで家ではいちいち文句いったり、癇癪をおこしたり、てこずる場面が多くて障害があるのかと考える時もあります。

私からみた息子は感受性が強く、小さな頃から大人の会話に混ざろうとしたり、まだわからなくていいことがわかったり、カンが強くていろんなことをわかりすぎる半面、幼さゆえに処理しきれなくて悩むといったところが、私の見たところだけですが、そう感じます。

よくいろんなことに気がつくしいろんな状況をみて判断したりできる半面、あんなことできるのにここができないの?と、思ってしまう部分もあります。小さなときから大人と話しているみたいで、私も子供ではなく大人と話している気分になってしまい、息子の返答がおかしなときに、子供らしいと思ったり、大人っぽくみずぎて、この子おかしいと思ったりしてしまいます。ついつい7歳ということを忘れてしまいます。

気になる点は多々ありますが、なかなか次の行動にすんなりうつることができないことです。お風呂とか小さいころからすんなりいきません。あと記憶力がものすごいです。こちらがこわくなるほどです。

息子は本当に今まさに私の不安定さを見事に見抜いています。ついついぼーっとしてしまうと楽しくないの?とか、ご機嫌取りしにきます。分離不安の症状がでてから、すごく私の言うことを聞こうとしていて、私はそれが気持ち悪いのです。今の私は息子に対して否定的でほんとにいけないなあとおもいます。

たぶん何か言ったことに対して反抗的ならほんとうにこの子は言うことを聞かないからおかしい、と思い素直に、はいと返事されると気持悪いしといったかんじです。今は見捨てられ不安のためすごく言うことを聞いていたり、わかっていることをわざわざ言いにきたりそういうときに、私がいらっとした態度や表情をしてしまいます。

先週、学校に行けなかったときに水族館に出かけてきました。そのこともまわりから賛否両論で私は家で、テレビを見たり、ゲームをやってたら腐っちゃうと思って連れ出したのですがまわりから楽しませたら、余計行きたくないんじゃないかといわれましたが、メールをみて安心しました。

今の私は日々が辛くて辛くて、もしもう一度人生があり、結婚したならば子供を持たないという選択をしてしまうぐらいどん底です。かけがえのない宝なのですが・・・今の私は子育てが辛いです。でも守るのは私たちしかいないですもんね。私自身、小さなころから感受性が強く、今の息子みたいにいろいろなことを感じてしまい、辛い思いもしてきて、今の息子をよみとろうとしすぎる部分も、私自身を追い込んでるきがします。間違ってとらえたりもしているだろうけど、昔の自分と重ねてしまっているなあと思います。

書きたいことがいろいろありすぎて何からかけばいいのか、てんでばらばらな文章になってしまいましたがすみません。きっと忙しい方だからメールくるなんておもってもみませんでした。本当にありがとうございます。少し気持ちが楽になりました。またきっと不安になってメールすると思います。よろしくお願いいたします。

【はやし浩司より、Kさんへ】

 「子どもを、全幅に心を開いて信じきれない、母親の葛藤」ということになります。
子どもというのは、親の心をそのまま引き継いでしまいます。
親が「不安だ、不安だ」と思っていると、子どもの方も、自分に自信がもてなく、自己評価力をさげてしまいます。「ぼくは、ダメな子なんだ」とです。

 そういう点では、子どもは、親の(思い)どおりの子どもになるということです。
「うちの子は、すばらしい」「できがいい」と思っていると、その子どもはハツラツとしてきます。そうでないと、そうでない。
不安先行型の子育てのこわいところは、ここにあります。
Kさんの不安、心配は、恐らく妊娠したときから始まっています。
それが出産→育児→現在……とつながっています。

 原因は、母子関係の不全ということになりますが、さらにさかのぼれば、Kさん自身と、Kさんの母親との関係が、疑われます。
KさんとKさんの母親との関係も、不全だったということになります。
これを子育ての世界では、「世代連鎖」と呼んでいます。
つまりKさんは今、自分が受けた子育てを、そっくりそのまま、自分の子育てで再現しているということです。

 Kさん、あなたは、あなたのお母さんの前で、いい子(=人形子)だった。
言いたいことも言えず、がまんし、心を開いて、甘えることもできなかった。
あなたはいい子でいることで、母親に認められようとしていた……。

 少しきびしいことを書きましたが、実のところ、あなたは自分の子どもにさえ心を開けないでいます。
ひょっとしたら、あなたの夫に対してさえも、心を開けないでいるのかもしれません。
「もっと心を開きなさい!」と書きたいのですが、この問題を解決するためには、この先、5年とか、10年とか、長い年月がかかります。

 しかしそうであることに気がつけば、長い年月をかけても、この問題は解決します。
そのつど努力して、自分の心を開いてみてください。
(いい人)ぶるのを、やめるのです。
居直るのです。
「私は私だ」と、です。

 で、今、あなたの子どもが、同じことを繰り返しています。
あなたはそういう子どもの中に、自分の過去を見ています。
それが不安の原因と考えてください。

 昨日もらったメール(一部、文字化け)を、そのまま紹介させてください。

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【Kさんより、はやし浩司へ】

息子の分離不安で悩んでおります。9月の5連休ごろから様子がおかしくなり、ママがいなくなるのが怖いといい、登校しぶりがでています。保育園時代から毎年年に1回1か月ほど登園拒否があります。いつも秋ごろでだいたい同じ時期にでます。年中までは登園拒否でしたが、ママがいなくなるという不安を訴えるのは、去年の登園拒否のときからです。

その時は1か月ほどでぱたっとなくなりました。でもまた今年も同じ症状がでて対応にこまっております。家の中でも私を探したり、友達と遊びに行くのもお迎えの時間を何度も確認して絶対迎えにきてねと念をおします。現在学校へは母子登校しています。今身体的にでている症状は腹痛、頭痛、吐き気、チックです。

特に朝腹痛をうったえます。授業中も集中力がとぎれると、おなか痛い、寒い、疲れた、もうやりたくないと私に助けを求めます。頑張れている時もあるのですが、私が学校にいることが彼にとっていいのかぎもんです。私がいることによって甘えがでてしまい逃げ出す姿勢にさせてしまっているのではないかとおもってしまいます。先生は無理して学校にこなくていい、早退する?それともお母さんにずっといてもら

……(以下、文字化け)……

……息子には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。ちいさなころから甘えさせてなかったり突き放した態度ばかりで下の子たちの入院で1か月以上離れて生活したり、執拗に怒りすぎたり手もあげたりしました。本当に今は反省の日々です。もう過去にはもどれないけど今からでも間に合うのでしょうか。彼の心に傷をつけたと自分を責める毎日です。

小さなころから育てにくく癇癪をおこしたり、何か障害があるんじゃないかと思ったこともあります。ここに書ききれないくらいいろいろありますが今家族みんなが不安定で下の子たちも不安定になっていきて私自身子育てが辛すぎて苦しい日々です。少しでもお力を御貸しいただけることを、ねがっております。

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【Kさんへ、はやし浩司より】

 子どもは、あくまでも家族の(代表)です。
子どもに何か問題(?)があると、親は、懸命に、子どもに向かってそれを直そうとします。
しかしこの見方は、親の身勝手というものです(失礼!)。
子どもに何か問題が起きたら、まず自分を疑ってみる。
子どもは、家族のかかえる問題を、別の形で表現しているだけです。
「代表」というのは、そういう意味です。

 以下、気がついたことを、箇条書きにしてみます。

●「どうしてうち子だけが……


 子どもに何か問題(?)が起きると、ほとんどの親は、「どうしてうちの子だけが……」と悩みます。
これは共通した親の心理と考えてください。
しかし実際には、問題のない子どもはいないし、みな、そうした問題をかかえながら、必死に闘
っているのです。
(外からはわかりませんが……。)

 Kさんのメールを読んでいて気になるのは、その視野の狭さ(失礼!)です。
読んでいるだけでも、読んでいる私の方が窮屈に感ずるほどです。
「学校とは、100%、行かねばならないところ」という部分もそうですが、人生観そのものが、狭い(失礼!)。
「まだ幼いうちからこうでは、先が心配でならない」という部分も、そうです。

 Kさんの子どもは、いわば、心の風邪をひいて、熱を出している。
それを見て、「将来が心配」は、少し飛躍しすぎています。
それともKさん自身が、子どものころ、「学校とは行かねばならないところ」と、親にも迫られ、Kさん自身も、そういう形で、自分を追い込んでいた(?)。
学校神話というのは、それを言います。
日本人は、明治の昔から、そういう意識を叩きこまれていますから、それが今でも亡霊となって、親や子どもたちを苦しめているのです。

 アメリカ人でも、オーストラリア人でも、彼らは、学校に対して、もっとおおらかに考えていますよ。
カナダ人は、もっとそうです。
学校の設立そのものが、自由です。
教科書なんて、もちろんありません。
どの子も、小学生のときから、落第(ドロップアウト)を自由に経験しています。

 が、日本人だけは、「学校、学校、学校……!」と。
バカみたいと言ったら、失礼かもしれませんが、少なくとも外国の人から見れば、そうでしょうね。

●母子登校

 母子登校など、何でもないことですよ。
いっしょに学校へ行ってあげてください。
他人の目が気になるようでしたら、そういう人たちは、河原の石ころとでも思えばよいのです。
まず、あなた自身が、心を開き、大きくなることです。
子どもの心だけを見て、行動すればよいのです。

 最近では、子どもを見る親たちの姿勢も変化してきました。
あなたが明るく、さわやかに母子登校をつづければ、みなも、あなたを暖かく見守ってくれるで
しょうし、あなたのすばらしさ(=度量の広さ)に感銘を受けるはずです。
もっと自分に、そして自分のしていることに自信をもちなさい!

 「私はすばらしい親だ」とです。

 ただ誤解がひとつ、あります。
症状だけを見ると、母子分離不安症のようにも思えますが、神経症による症状もいくつか出ていますので、やはり「学校恐怖症」に準じて考えたほうがよいでしょう。

 7歳という年齢からして、母子分離不安症だけでは、そういった症状は出てきません。
学校恐怖症については、「はやし浩司 学校恐怖症」で検索してみてください。
(これは前回の返事で書いたとおりです。)

 ときどきパニック状態になりますが、どうかじょうずに、パニック期を乗り越えてください。
コツは、「学校恐怖症」のところで書いたように、無理をしないことです。
ここで無理をすると、本当に不登校児ということになってしまいます。
しかも、長期の、です。

●カルト抜き

 Kさんの心には、学校神話が、骨のズイまでしみ込んでいます。
「学校絶対教」と言ってもよいかもしれません。
それを抜くのは、たいへんなことです。

 しかし現実には、アメリカだけでも、ホームスクーラー(=家庭で教育を受ける子ども)が、200万人を超えていますし、EUでは、さらに教育が自由化されています。
みんな学校などほったらかしで、クラブ活動に専念しています。
そういう(自由ぽさ)を見るたびに、「何だ、この日本は!」と、私は感じてしまいます。
あえて言うなら、Kさんも視野を広めて、もう少し高い視点から、一度、子育てを考え直してみたらいかがでしょうか。

 大切なことは、子どもが生き生きと、自分のしたいことをしながら、自分を見つけていくことです。
Kさんは、自分の子どもがいい子ぶることを心配していますが、そういう子どもにしているのは、Kさん自身なのですね。
つまりあなた自身が、子どもにその「型」をあてはめようとしている。
子どもにしても、あなたは息苦しい母親だと思います。

 何をしても、親が心配そうな目つきで、自分をながめている。
何をしても、「あれはだめ」「これはだめ」と言われる。
私があなたの子どもだったら、「バカヤロー!」と言って、家を飛び出してしまうかもしれませんよ。

 仮に、あなたの子どもが学校へすんなりと通うようになっても、あなたの心配や不安は消えません。
あなたはまた別の新たな心配や不安の種を見つけてきては、心配し、不安に思うのです。
「うちの子は、B中学校に入れるかしら?」
「友だちと仲よくやっていかれるかしら?」とか、など。

●これはあなたの問題です

 あなたはあなたで、好きなことをすればよいのです。
目が一方的に、子どもの方ばかりに向いている。
過関心というのは、今のあなたのような状態をいいます。

 親ではなく、妻でもなく、女でもなく、ひとりの人間として、したいことをさがし、それに向かって進みます。
そういう形で、自分の中から、子どもを消していきます。

 (あるいは、これはあくまでも私の推測ですが、ひょっとしたら、あなたは、あなたの夫に対して、おおきなわだかまりをもっているのかもしれません。
不本意な結婚であったとか、あるいは愛情を感じない結婚生活であったとか、など。
それが子どもの問題として、転移している(?)。
そういう可能性もありますから、一度、考えてみてください。)

 どうであるにせよ、ここは自然体で!
あまり深く考えないで、学校の先生と相談して、母子登校が必要であれば、すればよいでしょう。
「取り決め」などという、恐ろしい言葉は使わないこと!
そんなものを取り決めて、どうするのですか?
子どもの心と、そのときの状況を見て、自然体で判断してください。

 また、今、そうであるからといって、この先も、ずっとそうであると考えてはいけません。
そういうのを、「取り越し苦労」と言います。
へたをすれば、あなた自身が、育児ノイローゼ(=うつ病)になってしまいます。
すでにその傾向が強く見られます。

 それについても、「はやし浩司 育児ノイローゼ」で検索してみてください。
いくつか記事をヒットできるはずです。

●子どもが親を育てる

 悪いことばかりではありません。
今、こうして問題にぶつかりながら、実は、あなたは成長しているのです。
あなたは自分の子どもを見ながら、自分の過去まで見ようとしている。
自分を知ろうとしている。

 コツは、「十字架のひとつやふたつ、背負ってやろうではないか」と居直ることです。
その思いっきりのよさというか、割り切りが、あなたの心に風の穴を開けます。
風通しをよくします。

 大切なことは、今、そこにある(運命)を受け入れてしまうということです。
あなたの子どもがそうであるなら、そうであると、受け入れてしまうことです。

 運命というのは、それを避けようとすればするほど、キバをむいて、あなたに襲いかかってきます。
しかし一度受け入れてしまえば、向うから、シッポを巻いて退散していきます。
童心に返って、母子登校を、いっしょに楽しみなさい!
楽しむのです。
人生は一度しかありませんよ!

 それにそういう思い出……つまり、子どもの心を守り切ったという思い出ほど、あとあと光り輝きます。
親子の絆をすばらしいものにします。
仮に万が一、不登校児になったとしても、です。

 そしてあなたはあなたで、自分の運命を受け入れます。
もうそろそろその時期に来ています。
「私は私」と、自分を受け入れてしまうのです。

 そこは実におおらかで、すがすがしい世界です。
『あきらめは、悟りの境地』という格言は、私が考えた格言ですが、あなたも一度、経験してみてください。

●では、どうするか?

 『許して、忘れる』……何か苦しいことがあったら、この言葉を、心の中で何度も念じてみてください。
昔、私が学生のとき、オーストラリアの友人が教えてくれた言葉です。
私の子育て観の根幹にもなっている言葉です。

 これも、「はやし浩司 許して忘れる」で検索してみてください。
その意味をわかってもらえると思います。

 それとやはり心配なのは、Kさん、あなた自身の心の問題です。
私にも似たようなところがあります。
そういうときは、カルシウム分、カリウム分、マグネシウム分の多い食生活(=海産物)に心がけ、あとはハーブ系の安定剤を服用しています。
内科でも、軽い安定剤を処方してくれますので、ひどいときには、それを口の中で溶かしてのんでいます。

 一度、ドクターと相談してみてください。

(1)求めてきたら、すかさず。
これについては、先に書いたとおりです。

(2)二番底、三番底に注意
こうした問題には、必ず、二番底、三番底がありますから、注意してください。
多くの親は、こうした問題をかかえると、「今が最悪」と思います。
しかしその下には、さらに最悪の状態が、待ち構えています。
ですから、「最悪」と感じたら、今の状態をこれ以上悪くしないことだけを考えて、対処します。

なおそうとか、そういうふうに考えていけません。
とにかく現状維持です。
今は、何とか学校に通っていますから、今の状況を大切に!
あとは半年単位、1年単位で、子どもの様子を観察します。
1~2週間程度の範囲で、一喜一憂してはいけません。

また今こそ、あなたの真の愛が試されているときです。
親は子どもを産むことで、親になりますが、しかし真の愛への道は、遠くて険しいものです。
ですから勇気をもって、前に進んでください。
そういう姿に、みなが、気高さを感ずるようになるでしょう。

顔をゆがめてはいけません。
暗い表情をしてみせてはいけません。
明るく、さわやかに、みなにこう笑って言うのです。

「ハハハ、うちも母子登校ですよ」と。

(3)先生と父親との連携プレーを大切に
この問題は、あなたひとりでは、荷が重すぎます。
ですから、学校の先生や、あなたの夫との連携プレーを大切に。
今のあなたはひとりで問題を抱え込みすぎています。
自分に責任を求めすぎています。

いいですか、今、あなたがかかえている問題など、何でもありませんよ!
今どき、不登校など、何でもない問題です。
母子登校にしても、保健室登校にしても、何でもない問題です。
それで子育てに失敗したとか、私はだめな母親だとか、そういうふうに考えて、自分を追い詰めないこと。

私のマガジンでも読んで、もっと視野を広くしてください。

たまたま昨日、別の母親から、こんなメールが届いています。
紹介します。

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M件のEさんより

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はやし浩司 様

いつもHPの記事で勉強させていただいております。
5歳の息子と2歳の息子がいます。
先生があちこちで何度もおっしゃっている通り、
上の息子に対しては、不安先行、心配先行の子育てをしてきました。
(今でもその気はまだあると思います…)

若干、上の息子に神経質な面があると感じられるのは、そのせいだと思います。

…ここまで書いて、あとが続かず、そのままメールソフトの下書きに保存していました。

当時、5歳と2歳だった息子は、7歳と4歳になりました。
上述のようなことを自分で書いていたことが信じられないほど、
今は、楽な気持ちで子どもと過ごしています。

イライラしたりすることもありますが、
子どもたちに対して、不安や心配に思うことは、ほとんどありません。

子どもたちを見て、そのままでいいと思い、細かいことにこだわらない。
それだけで、こんなに楽になるとは思いませんでした。

神経質な面があるなと思っていた上の息子が、
意外と動じないところがあったり、飄々としていたり、
こんな子だったんだ、と面食らう思いです。

下の息子は、最初から、ものすごくあけっぴろげで、
いつもニコニコしており、
「ありがとう」「ごめんね」「可愛いね」「きれいだね」
という言葉を、なんのてらいもなくスッと口にできる子どもです。
荷物を持っていれば、「持ってあげる!○○、力持ちだから!」と言い、
私が台所で何かしていると、「手伝ってあげる!これ、洗うね」と言い、
うーん、逆にオジャマなんだけどなぁと苦笑しつつ、
苦笑してしまうしかないくらい、ものすごく可愛げのある子どもなのです。

この下の息子が、非常にストレートに愛情を表現し、
上の息子は、それに比べるとわかりにくい感じだったのですが、
ここ最近は、素直に甘えてくるようになり、ああ、なんだか変わったなぁと思っています。
私の受け取り方、見る目が変わっただけかもしれません。

子育ての癖・心の癖は、なかなか治らないものだと思いますので、
できるだけ頻繁に先生の記事を読み、
いつも頭の中にあるよう、意識して心がけて行きたいと思っています。

これからも、どうぞよろしくお願いします。
先生とご家族の皆様のご健康をお祈りいたします。

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【Kさんへ】

 では、今朝はこれで失礼します。
「心を解き放て! 体はあとからついてくる!」

 おはようございます。

浜松市・はやし浩司


Hiroshi Hayashi+++++++Nov. 2011++++++はやし浩司・林浩司

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