2011年5月17日火曜日

*Radiation Detector

●文部科学省の「都道府県別環境放射能水準調査結果」に疑念あり

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「週刊現代」(5月28日号)は、こう伝える。
「(実際の放射線測定値は)、2倍から5倍」(P46)と。

文部科学省(文科省)は、毎日、「都道府県別環境放射能水準調査結果」なるものを
発表している。
しかしその「結果」がどうもあやしい(?)。

たとえば東京都のばあい、新宿区百人町にある、東京都健康安全研究センターの
屋上に設置されたモニタリングポストによって、計測されているという。
その高さ、地表からの距離はおよそ18メートル、とか。

「放射線量(放射能)の濃度は、地表近くで測定してはじめて意味がある」と。

その結果、文科省の発表する数値と、実際、地表近くで測定した数値には、大きな
開きがある。
それが冒頭に書いた、「3~5倍」という数字である。

●週刊現代より

 週刊現代は、(文科省の発表する数値)と、(実際の測定値)を比較して掲載して
いる。
そのまま紹介させてもらう。
(かっこ内)は、文科省が発表している数値(週刊現代・P48)。

群馬県……0・071(0・034)
栃木県……0・243(0・062)
茨城県……0・166(0・102)
埼玉県……0・074(0・058)
東京都……0・359(0・068)
千葉県……0・394(0・054)
神奈川県…0・090(0・056)
(単位は、マイクロシーベルト)

●文科省の言い分

 週刊現代によれば、文科省は、放射線の測定をかなり高い位置で測定しているという。
「岩盤の影響を受けないように」ということらしい。
岩盤があれば、それが発する放射線の影響を受ける(?)。
しかしこの論理は、おかしい。
どう考えても、おかしい。

 仮に岩盤があるとしても、それは地下深くの話。
仮に18メートル程度高くしたとしても、影響がなくなるわけではない。
(新宿区百人町は、岩盤の上にあるのか?)
また新宿区が、「岩盤の上にある」などという話は聞いたことがない。
さらに言えば、岩盤があるとするなら、岩盤をはずした位置で、測定することもできる
はず。

 が、何よりも重要なことは、地表近く、つまり人間がもっとも影響を受ける位置でこそ
測定してはじめて意味をもつ。
週刊現代は「人間ではなく、鳥の被爆量」(P47)と皮肉っている。

●静岡県は、0・04~0・05前後(?)

 文科省の発表によれば、静岡県での測定値は、連日、0・04~0・05程度。
「過去最大平常値」より、低い数値となっている。
しかし本当に、そのまま信じてよいのか?

 同じく神奈川県でも、連日低い数値が報告されている。
しかしその神奈川県では、先日、地域によって茶の出荷が停止された。
基準値を超えた放射線量が測定されたためである。
つまり「話が矛盾している」!

 そこで私がとるべき方法は、ただひとつ。
自分で調べる!

●放射能測定器

 現在、ネットで放射線測定器が10種類以上、販売されている。
値段は4万~8万円程度。
しかしよくみると、どれも中国製。
あの国の製品は、どうも信用がおけない。

 そこでオーストラリアのM大学の研究室にいる友人にメールを送った。
「大学の研究室で使っているものを教えてほしい」と。
すかさず、返事が届いた。

G'day mate,

I am trying to find out about this. Actually at the moment there is a world wide
shortage of radiation detectors because so many people in Japan and USA are buying
them.

『これについて、今、さがしている。
実際、現在のところ、放射測定器は、世界的に不足している。
日本およびUSAのそんなにも多くの人たちが、買いに走っているから』と。

 私は自分で調べる。
文科省の発表している数値が、正確なものであるかどうかを、自分で調べる。
もしインチキだったら、私は許さない。
あの文科省は、戦時中は、先頭に立って軍事教育(洗脳)を推し進めていた。
その文科省は、今もそのまま。
敗戦と同時に、クビになった官僚はひとりもいない。

 ……ともあれ、「週刊現代」に書いてあることは事実なのか。
命にかかわる問題だから、自分で調べるしかない。
放射能測定器は、自分で手に入れる。

 それに加えて一言。

 新聞社にせよ、ほかのマスコミ機関にせよ、どうして独自に調べようとしないのか。
この浜松市には、中日新聞と静岡新聞社がある。
そういうところが、たとえば1キロ四方単位で、放射線を測定し、それを発表しても、
私はおかしくないと思う。

 どうしてか?
2011/05/17記

Hiroshi Hayashi+++++++May. 2011++++++はやし浩司・林浩司

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去る5月15日に書いた原稿を
再掲載します。

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●たったの5・24マイクロシーベルト(?)

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25年前にメルトダウンを経験した
ロシアのチェルノブイリ。
その周囲30キロは、今でも「立ち入り禁止
区域」になっている。

誤解があるといけないので、正確に
記事を転載させてもらう。

+++++++++++以下、JIJICOM++++++++++++++

……炉心溶融事故が起きた原発4号機。コンクリート製の「石棺」で覆われているが、近づくと放射線量計が毎時5.24マイクロシーベルトを表示し、「ピッピー」と警告音が鳴り続けた。通常の50倍を超える放射線量だ。

●放射線量と人体への影響

 「石棺内部には溶解した核燃料が約180トン残っているが、放射能が外部に漏れないよう新たなシェルターを建設する国際プロジェクトが開始された」。原発の周囲30キロの立ち入り規制区域管理局のハロシャ局長は記者団との会見でこう強調した。
 事故直後に建設された石棺は老朽化が進んでおり、放射能漏れの懸念がある。このため、欧州連合(EU)や日本などの支援で新シェルター建設が計画され、昨年から基礎工事が始まった。

+++++++++++以上、JIJICOM++++++++++++++

●たったの5・24マイクロシーベルト

 本当のところ、「シーベルト」という単位を聞いても、私には何もわからない。
センチとかグラムとか、そういう単位がもつ実感が、わいてこない。

 が、あのチェルノブイリでは、今でも5・24マイクロシーベルトの放射線量が
観測されるという。

「5・24マイクロシーベルト」?
「たったの5・24マイクロシーベルト」?
福島県では、校庭利用の基準は、毎時3・8マイクロシーベルトだそうだ(注※)。
つまり3・8マイクロシーベルト以下になれば、校庭の使用が許可される。
5・24と3・8。
その差は、たったの1・4!

 日本で聞いている数値と、あまりにもかけ離れているような気がする。
今では「マイクロシーベルト」と聞いて、驚く人はいない。
その1000倍の「ミリシーベルト」という単位が、ふつうになりつつある。

 が、ロシアのチェルノブイリでは、たった5・24マイクロシーベルトで、
「周囲30キロが、今でも立ち入り禁止区域」になっているという。
もしそんな基準をこの日本に当てはめたら、やがてこの日本は、全土が、
立ち入り禁止区域になってしまう。

 放射性物質というのは、拡散される時期が長ければ長いほど、そこで積算される。
毎日、0・1マイクロシーベルトでも、体内で蓄積されれば、10日で、
1マイクロシーベルトになる。
もちろん地中にしみこんだり、水とまざって流れていく分もあるだろう。
しかし基本的には、「溜まっていく」。

 さらにおかしなことに、毎日の放射線量はそれほどでもないはずなのに、
昨日(5月12日)、神奈川県の茶から、基準値を超える放射線が観測された。
いったい、こういう現象を、どう理解したらよいのか。

(毎日、文科省は、各地で観測された最大放射線量をネット上で、公開している。
それによれば、東海地方では、おおむね0・04~0・05マイクロシーベルトで、
「平常値」となっている。

神奈川県も「平常値」のはず?)

平たく言えば、日本は、今、たいへんなときにある。
その存亡の危機の崖っぷちに立たされていると言っても過言ではない。
不測の事態が不測の事態を呼ぶ。
さらに「想定外」のことが、連続して起こる。
今は、そういう状態。

●鈍化する感覚

 それにしても、日々に感覚が鈍化していくのには、驚かされる。
私自身ですら、「メルトダウン」の恐ろしさは、よく知っていたはず。
チェルノブイリ事故のときは、体が震えた。
しかし今、それがこの日本で起きている。
明日には、その影響が、この静岡県にまで及んでくるかもしれない。
しかし今は、それがない。
つまり緊張感がない。
緊迫感もない。
ニュースを見ながら、「コンクリートで塞げばいい」などと、のんきなことを言っている。

 つまりこうして、(現実)と(感覚)が遊離していく。
「ミリシーベルト」くらいでは、驚かない。
現に今、「5・24マイクロシーベルト」と聞いて、「たったの?」と思っている。

 しかし現実は、重い。
5マイクローシーベルトと言えば、静岡県で観測されている放射線量の約100倍。
25年たった今でも、チェルノブイリでは観測されているという。
周囲30キロが立ち入り禁止区域になっているという。

 そこで重要なことは、この緊張感を失わないこと。
失ったとたん、油断が生まれる。
事故が拡大する。

 あのとき、みな、こう思ったはず。
「原発なんて、もうこりごり」と。
しかしもうすでに、産経新聞などは、原発必要悪論を堂々と論じ始めている。
この変わり身の速さこそが、危険。
心配。
油断こそ、禁物ということになる。

(2011年5月14日夜記)

(注※)(日本経済新聞より)

文部科学省は13日、福島第1原子力発電所事故を受けて屋外活動を制限していた福島市立渡利中学校で実施した放射線量調査で、校庭利用の基準である毎時3.8マイクロシーベルトを12日に続いて下回ったと発表した。屋外活動の制限対象になった13校・園すべてで基準を下回ったことになる。制限解除の対象になるが、同省は放射線量が比較的高い学校などの調査を続ける。


Hiroshi Hayashi+++++++May. 2011++++++はやし浩司・林浩司

【奥三河・湯谷温泉・「湯の風・HAZU」】

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昨日(13日)はいろいろあった。
いろいろあって、疲れた。
夜(9時ごろ)になって、突然、
温泉に入りたくなった。
ネットで温泉をさがす。

私は山の中の山育ち。
海の見えるホテルもよいが、川のせせらぎが
聞こえる、山の宿も好き。
・・・ということで、ここ、湯谷温泉へは
たびたび来る。

で、今日は、「湯の風・HAZU」に一泊。
土曜日の夜だから・・・とあきらめていたが、
「いい部屋が空いています」とのこと。

この湯谷温泉には、10軒近く、温泉が
並んでいる。
「湯の風・HAZU」は、その温泉通りとは、
川をはさんで反対側にある。
一軒宿である。
ワイフも驚いた。
私も驚いた。

和風の、造りは古いが、温泉宿としては、最高!
眼下に清流。
深い木々に囲まれ、5月の、どこか夏を
思わせる、さわやかな陽気。
部屋に一度入ったあと、ワイフと散歩。
歩いて数分のところに赤いつり橋があった。
そこを渡ると、そのままJR湯谷駅。

「いいところだね」と、ワイフは、
何度も言う。
もちろん私も異存なし!
そのつど、「いいところだね」と。

・・・ということで、湯谷温泉イチの旅館を発見。
ついでに露天風呂よし。
料理よし。
「湯の風、HAZU」。
名前もよい。

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●体重オーバー

 このところ考えることと言えば、原発事故のことばかり。
私のような「うつ族」は、ひとつのことにこだわると、そのことばかり。
それが頭にこびりついて、離れない。
週刊誌、雑誌・・・。
いろいろ買い込んでは、読む。
が、これは精神の健康にはよくない。

 そこで先週から、運動量をふやした。
体重がふえたこともある。
4、5日前、恐る恐る体重計に乗ると、3キロオーバーの、54・5キロ!
「太ったな」とは感じていたが、3キロは、きつい。

 サイクリング1単位(40分)+ウォーキング1単位(1時間)。
ほかにあれこれ。
おかげで今日は、体もすっきり。
腹のポタポタ感もなくなった。
 
●「これから起こる原発事故」(宝島社)

 週刊誌は「週刊現代」。
3・11台震災以来、もっとも「事実」に近いことを書いている。
その一方で腹立たしいのは、NHK。
御用学者を並び立て、大本営発表を繰り返す。
今にして思うと、ウソばかり。
そのためこの先、どれだけ多くの犠牲者が出ることか!
たとえば最初に原発が爆発したときも、そうだった。
「落ち着いて」「冷静に」と。
そのとき大量の放射性物質が、風に乗ってあたりを汚染していた。

で、今日は、この旅館へ来る前、「これから起こる原発事故」(宝島社)
を買った。
「2007年10月、第一刷発行」とある。
つまり4年前の本。

 が、一読して、驚いた。
「どうしてこんなことが4年前にわかっていながら、政府は何も手を
打たなかったのか!」と。
ズバリ、現在の状況を言い当てている。
そのまま!
だから、買った。

●100キロ単位で汚染

 原発事故の恐ろしさは、規模が大きいこと。
100キロ単位で、被害が広がる。

 そう言えば、昨日、小田原市(神奈川県)が、新茶の出荷を停止した。
それについて農家の人たちは、「(福島から)何百キロも離れているのに!」
(新聞報道)と驚いていた。
しかしこれはまったくの認識不足。
その程度ですむならなら、まだよいほう。

チェルノブリイ事故のときは、半径300キロ(15キューリー/平方キロ)から、
半径600キロ(5~15キューリー/平方キロ)まで、汚染されている。
600キロといえば、名古屋を中心とする中部圏内まですっぽりと入ってしまう。

 「キューリー」と聞いてもピンとこないかもしれない。
しかしつぎの事実を知ったら、あなたもまちがいなく震えるだろう。

『・・・急性障害死50%を引き起こす放射線量は、4シーベルト。
これは国際放射線防護委員会(ICRP)の認めた、「半数致死」に
相当する。
ちなみに、2・2シーベルトで、5%が急性障害死、9・3シーベルトで、
99%が急性障害死する』(ゴフマン博士、同書、P24)という。
わかりやすく言えば、10シーベルトが限界。
10シーベルトの放射線を浴びたら、人間は、その場で即死。
かろうじて生きても、「そのままひからびて」(本書)死ぬ。

 では、福島第一原発では、どの程度の放射線が観測されているか。
それは、つぎのニュースを読めばわかる。
そのまま転載する。

+++++++++以下、yahoo・news+++++++++++

 経済産業省原子力安全・保安院は14日、東京電力福島第1原発1号機の原子炉建屋内を13
日午後にロボットで調べたところ、最大で毎時2000ミリシーベルトの線量が観測されたと発表した
(5月14日)。

+++++++++以上、yahoo・news+++++++++++

 ゴフマン博士によれば、2・2シーベルトで、約5%の人が、急性障害死するという。
が、1号機では、13日、2000ミリシーベルトが観測されたという。
2000ミリシーベルト=2シーベルト!

 さらに、ゴフマン博士は、晩発性のガン死について、「1万人・シーベルト」という
推計値を提起している。
これは「1万人の人が、1シーベルトの放射線を浴びたばあい、何人がガン死するか」を
推定したもの。
その計算によれば、つまりゴフマン説によれば、やがて1万人中、4000人がガン死
するという。
2シーベルトといえば、その2倍。

 福島第一原発のばあい、最初の爆発とともに、桁はずれの放射性物質が飛び散ったと
推定される。
その量は、その爆発だけでチェルノブイリの爆発時の、約半分程度と言われている。

●MOX燃料

 5月14日現在、1号機が、「最悪の状態」(官房長官)にあるという。
が、それよりもこわいのが、実は、3号機。
3号機では、MOX燃料、つまりウランとプルトニウムの混合酸化物
燃料を使っている。

 プルトニウム・・・放射線そのものは、それほどないが、プルトニウムは、
1ミクロン単位の微粉末となって、空中に散る。
空中に散った放射性プルトニウムは、呼吸によって体内に取り込まれる。
内部被爆を引き起こす。
それがこわい。

 横尾試算(京都大学原子炉実験所)によれば、たった7キログラムの
MOX燃料が火災にあっただけで、風下600メートルで、プルトニウム
による短期の被ばく線量は、4・3シーベルト。
それだけで約半数の人が、そのまま急性死するという。
(風力、火災時間などのこまかい条件は、省略する。)

 「1シーベルト」という放射線量が、いかに恐ろしいものであるか、
これでわかってもらえたと思う。

●広島型原子爆弾x4万7000発

 原子炉の中には、いったいどれだけの放射性物質があるのか。
それについても、同書は、くわしく解説している。
ほとんどの人は、たとえば広島型原爆と比較して、原子力発電所のそれは、
それほどたいしたことはないと考えている。

 しかしこれは誤解!
同書には、こうある。

「100万キロワットの原発が、1年間稼動した場合に燃えるウランの
量は、広島型原発のそれの1000発分ある。
2年稼動した場合には、2000発分、3年では原爆3000発分。
事故が起きれば、それだけの放射能が環境中に漏れ出ることになる」(P32)と。

 福島第一原発の発電能力は、計4696KW(川北英隆)だそうだ。
つまり4696x1000=約470万キロワット。
1年間稼動しただけで、広島型原発の4700発分。
10年で、4万7000発分。
福島第一原発は、稼動し始めてから、すでに40年が経過している。
 
 が、政府はさかんに、「風評被害」という言葉を使う。
つまり「政府の言うこと以外は、信用するな」と。

 しかし実際はその逆。
風評のほうが、はるかに現実に近い。
近いばかりか、現実のほうが、はるかに深刻。
私たちが「予断」しているより、はるかに深刻。

声を張り上げ、「募金活動」なるものをしている子どもたちには悪いが、
今、日本が直面している問題は、そんな生やさしい問題ではない。
リビアの戦場で募金活動をするようなもの。
募金活動で、どうこうなるような問題ではない。
「明日は、わが身」。
明日は私たちが、この浜松から逃げなければならない。
このあと事故処理に何年かかるか知らないが、長引けば長引くほど、
被害は拡大する。

●1時間当たり、0・04ミリシーベルト

 毎日のように、日本各地の放射線量が新聞に載っている。
この静岡県では、平均して、約0・04~0・05ミリシーベルト。
1時間あたりの放射線量である。
そしてそれと同時に、「過去最大平常値」というわけのわからない
数値が併記してある。
私たちはそれを見て、「ああ、平常値以下なのか」と、へんに安心する。
が、「過去最大平常値」とは何か。
それはさておき、0・045ミリシーベルトにしても、それを24倍し、
さらに365倍すると、1年間の被爆量ということになる。

 0・045x24x365=400ミリシーベルト。

 ところで最初に書いたように、チェルノブイリでは、1平方キロメートル
あたり、40キューリーもの放射線が観測されたという。
その値をベクレルに換算すると、1キューリー=370億ベクレル。
たいへんな放射線量のように思うかもしれないが、この値を、
1000x1000=100万で割ると、1平方メートルあたりの放射線量
が計算できる。

 それによれば、370億÷100万=3万7000ベクレル。
すごい量に思うかもしれないが、食品衛生法で決められている暫定規制値は、
1キログラムあたり、500ベクレル。
すでに福島県のアユなどからは、1キログラムあたり、720ベクレル(いわき市)の
放射線が観測されている。
アユ100キログラムで、7万2000ベクレル!

 つまりこの程度の放射線なら、福島第一原発の周辺では、日常的に観測されている。

・・・と、とんでもない数字ばかり並ぶが、結論は、ただひとつ。
日本は、現在、きわめて深刻な状況にあるということ。
今のような状況がつづけば、数か月以内には、東京都ですら、高汚染地域に
なってしまう。
放射性物質の恐ろしいところは、日々にそれが積算されること。
チェルノブイリでも、事故後3年後には、高汚染地域は、300キロに拡大
している(同書)。

 いうまでもなく、福島第一原発は、世界でも最大級の原子炉。
チェルノブリイで爆発した4号機も、出力100万キロワット。
福島第一原発には同規模の原子炉が4機もある。
それだけでもチェルノブイリの約4~5倍ということになる。

●では、どうするか

 どこかのニュースサイト(産経新聞)に、こんな言葉があった。
「(1号機は)、もう打つ手なし」(注※3)と。
先にも書いたように、1~10シーベルトの放射線が観測されたと
するなら、人間は、その場で「急死」。
「穴を塞げばそれでいい」という問題ではない。
穴そのものを塞ぐ方法がない。
そこでコンクリート詰めということになるが、3000度もある核燃料は
コンクリートすらも、溶かしてしまう。

 (さらに今夜になって、2号機、3号機も同じようにメルトダウンしていると
いうことがわかった。5月14日。)

●気休めはもうやめよう

 政府にも、原子力保安院にも、東京電力にも、がんばってもらうしかない。
・・・というか、現場で作業している作業員のみなさんには、本当に頭がさがる。
そうした人たちの努力のおかげで、今の今も、私たちは何とかこうして無事でいられる。
希望を捨てたわけではない。
しかし同時に、私たちは、さらに最悪のばあいに備えて、準備をしておかなければ
ならない。
心の準備と行動的な準備。
具体的には、日本経済の崩壊と国外脱出。
そうなったとき、私たちは自分をどう支えたらよいのか。
気休めは、もうよい。
ウソとゴマカシは、もうたくさん。

 「今」を原点として、前向きに生きていくしかない。
たまたま昨日、事故現場で、1人の作業員の方が急死した。
放射性物質が原因だったとは、まだ断定されたわけではない。
緊張感とストレス。
それが急死の原因とも考えられる。

 その作業員の方の死を受けて、菅総理は、つぎのように述べている。

「本当に気の毒に思っている。原因が放射能被害かどうか、しっかりと確かめてもらいたい」と。

 首相官邸で記者団の質問に対して、そう答えた(ヤフー・ニュース)と(注※)。

(注※)15日になって、この作業員は、心筋梗塞で死亡と発表された。

●川

 旅館の下を、川が流れている。
先ほど窓の外を見たワイフが、こう言った。
「わっ、きれい。川がライトアップされている!」と。

 その声につられて私も外を見た。

 美しかった。
幻想的だった。
いろいろなライトアップを見てきたが、ここは格別。
川のライトアップは、はじめて。
しばし見とれる。

 これから露天風呂に入ってくる。

 ・・・それにしても、私はその本(「これから起こる原発事故」(宝島社))を読んで、
驚いた。
心底驚いた。
4年前に、すでにこういう本が出版され、今回の事故をそのままズバリ、言い当てて
いる。
東京電力の「再循環冷却型原子炉」の危険性についても、言及している。
しかも今回と同じような事故が、1989年1月に、福島第二原発で、起きていることが
わかった。
「この事故では、再循環ポンプが破損し、炉心に大量の金属片が流入し、炉心を傷つける
という事態に立ち至ったのである」(同書、P60)と。

にもかかわらず、起こりうる地震や津波を、「想定外」とし、何ら対策をとらなかった。
さらに職員たちの士気の低さについても言及している。
「言われたことはする。しかしそれ以上はしない」と。
役人根性丸出しというか、平たく言えば、そういうこと。

 権限と組織にしがみつき、管轄外のことは何もしない。
何か問題が起きると、すかさず責任逃れ。
給料(収入)や権限が侵害されると、ワーワーと騒ぐ……。

 ・・・原子力発電所。
そこにあるのは、冷徹なマネーの論理だけ。
金儲け優先の原子力政策(「週刊現代」)。
その結果として、今回の事故につながった。

 そこに私は人間が原罪的にもつ愚かさを感じた。

(はやし浩司 2011-05-14記)

(補記)

 私の近辺にも、国外脱出を試み家族がふえてきた。
祖父母が外国人のばあい、その祖父母のいる外国へ避難していった人も多い。
政府は、「年間20ミリシーベルト」という基準をもちだし、「子どもについて
は、10ミリシーベルト」とまで言い出した。
が、すかさずアメリカの学者が、それに対して異議を唱えた(注※2)。
「放射線障害に、しきい値は存在しない」(5月14日)と。

 少量であればあるほど、(かえって少量のほうがこわいという説もある)、より
晩発性になるだけ。
10年後、20年後に、症状が現れてくる。
20年後でなければ、30年後に症状が現れてくる。
チェルノブイリのときは、遠く離れたスェーデンでがん死亡者が、その後、急増した。

 だからあえてこう言う。
「機会とツテがあるなら、福島の子どもたちよ、今すぐ、福島から脱出せよ」と。

 ……ア~ア、またまた福島第一原発の、事故のことを書いてしまった。
ゴメン!

(注※2)「日本経済新聞WEB版」より(5月15日)

 福島第1原発事故で政府が、福島県内の小中学校などの屋外活動制限の可否に関する放射線
量の基準を、年間20ミリシーベルトを目安として設定したことに対し、米国の民間組織「社会的責
任のための医師の会(PSR、本部ワシントン)」が2日までに、「子供の発がんリスクを高めるもの
で、このレベルの被曝(ひばく)を安全とみなすことはできない」との声明を発表した。

 PSRは1985年にノーベル平和賞を受賞した「核戦争防止国際医師の会」の米国内組織。

 声明は、米科学アカデミーの研究報告書を基に「放射線に安全なレベルはなく、子供や胎児は
さらに影響を受けやすい」と指摘。「年間20ミリシーベルトは、子供の発がんリスクを200人に1人
増加させ、このレベルでの被曝が2年間続く場合、子供へのリスクは100人に1人となる」として
「子供への放射線許容量を年間20ミリシーベルトに引き上げたのは不当なことだ」と批判した。

(注※3)

 産経新聞はつぎのように書いている。
「12日、東京電力福島第1原発1号機で、原子炉圧力容器内の核燃料棒が完全に露出したことが判明し、圧力容器損傷の可能性も浮上した。原子炉を安定冷却するための作業が進められているが、見直しは避けられない。専門家からは「圧力容器に穴が開いているなら、もう打つ手がない」と危惧する声も上がり、事故の収束に向けた工程表の達成に「黄信号」がともった。(原子力取材班)」
2011/05/15記

Hiroshi Hayashi+++++++May. 2011++++++はやし浩司・林浩司

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