2011年5月2日月曜日

*As to the Power Plant in Fukushima

【油断が事故を生む】(原発事故に思う)

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インターネットを立ち上げると、真っ先に
見るのが、「原発事故ニュース」。

私の知らない間に、原子炉が爆発していたら……と。
今朝もそうだった。
が、「爆発」の文字は、どこにもなかった。
それを見て、ホッとする。

こんなことが、この先、何か月もつづく。
へたをすれば、何年もつづく。

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●小沢派民主党議員よ、少しは自分に恥じろ

 福島の第一原発事故は、何も解決していない。
解決していないばかりか、事態は悪化の一途をたどっている。
こんなことは、報道されたニュースの内容を、ほんの少し注意深く読めば、わかるはず。

解決に向かって、いろいろな動きは見られる。
そういう様子はある。
が、どれもアドバルーン。
「ああする」「こうする」と言うだけで、実行に移されたものはない。
何もない。
温度計を、どうやったら原子炉格納庫の中に入れることができるか。
いまだにそんなレベルの話で、立ち往生している。

 が、国会ではすでに責任問題。
同じ与党の民主党議員が、管総理大臣をはげしく追及している。
その愚かさ。
小沢派議員たちも、少しは自分に恥じたらよい。

今ここで原子炉が爆発したら、この日本はどうなる?
今、議員も含めて、私たちがすべきことは、現状を「原点」として、どう問題を
解決していくかということ。
今、そこにある危機とどう立ち向かっていくかということ。
責任問題は、そのあと。
つぎのつぎ。

 第一号機についても、まさに綱渡り。
手探りによる綱渡り。
水を入れすぎれば、温度はさがる。
しかし圧力がさがれば、外部からの空気が入りこむ。
それが水素と混ざって、水素爆発を起こす。

 が、かといって、水を減らせば、温度があがる。
核燃料がむき出しになって、メルトダウンを起こす。
もし原子炉が爆発すれば、東京だって、あぶない。
人が住めなくなる。
だいたいにおいて、水位がどの程度まであるかさえ、よくわかっていない
という(1号機)。
そういう危機感が、まるでない。
……まるで感じられない。
多くの人は、原発事故はすでに解決したかのように誤解している。

 ……子どもの世界にも、「二番底」「三番底」という言葉がある。
私が考えた言葉だが、子どもというのは、たとえば非行に走るとき、「まだ以前の
ほうがよかった……」を繰り返しながら、症状が悪化していく。

 今の原発事故にしてもそうだ。
今が最悪と考えてはいけない。
最悪の下には、さらに最悪、つまり二番底、三番底が待っている。
原子炉の爆発ということにでもなったら、そのときこそ、日本は万事休す。
息の根は止まる。

●御用学者

 週刊誌などを読むと、「御用学者」という言葉が、よく目につく。
代表的な御用学者に、NHKの解説委員たちがいる。
ウソは言わない。
しかし本当のことも言わない。
都合の悪いことは、隠す。
ごまかす。
一応専門家の肩書きはもっている。
民衆を煙に巻くことなど、朝飯前。

 その御用学者が問題になっている。
つぎつぎと新事実が明るみになるにつれて、御用学者たちが、いかに私たちを
欺いてきたか、それがわかってきた。

たとえば日本経済新聞は、「隠蔽体質」という言葉を使っている(5月2日)。
いわく『情報開示巡り隠蔽体質あらわ 政府、国民の不信招く』と。

 『……放射性物質の飛散状況の開示を巡っては、政府の「隠蔽体質」が際立った。

 113億円かけて開発・運用している「緊急時迅速放射能影響予測ネットワーク
システム(SPEEDI」の飛散情報を毎日ホームページ上で開示するようになった
のは事故後1カ月半たった4月26日になってからだった……』(同、日本経済新聞)と。

 それまでは、口をそろえて、みな、こう言っていた。
「ただちに健康に害が及ぶという数値ではありません」と。
(「ただちに」でなければ、いつなんだ!)

 事故は事故なのだから、何も隠す必要はない。
しかし政府には政府の論理というものが、働くらしい。
が、政府はそれでよいとしても、問題はNHK。
本来なら率先して「事実」を追及すべきマスコミの代表が、このザマ。
政府の言いなりになって、大本営発表を繰り返す。
戦時中のNHKもそうだった。
今も、そうだ。
ならば問う。
「NHKって、何?」と。

 ついでに「御用学者って、何?」と。

●薄れゆく緊張感

 何よりもこわいのは、緊張感そのものが薄れていくこと。
被災者の方たちや、街頭で募金活動をしている人たちの気持ちもよくわかる。
しかしことは、そんな問題ではない。
ここで対処の仕方をまちがえたら、それこそ、日本全体がひっくり返ってしまう。
かりに何とか、爆発を食い止めたとしても、つぎに待っているのが、経済危機。
すでに多くの経済誌(月刊誌)は、「5月危機説」を唱え始めた。

 思い起こしてみればよい。
3・11大震災の直前ですら、日本は薄氷の上を恐る恐る歩いていた。
「デフォルト(=国家破綻)は時間の問題」とささやかれていた。
で、そこへ3・11大震災。
問題は何も解決していない。
ただ日銀は、3・11大震災直後、38兆円という現金を市中にばらまいた。
言うなれば、心臓への電気ショック。
それで日本は、かろうじて生き延びた。

が、繰り返す。
そこにある問題、そこにある危機が、それで解決したわけではない。
「現実」は、3・11大震災以前より、悪化している。

●油断 

 緊張感が緩めば、そこに油断が生まれる。
その油断が、恐い。
今の状況からすれば、いつなんどき原子炉の爆発が起こっても、おかしくない。
今日かもしれない。
明日かもしれない。

 今は、原子炉問題に、すべてを集中すべきとき。
日本がもてる財力、知力、技術力すべてを、集中すべきとき。
そのためには、情報の開示、開示、開示あるのみ。
何なら、毎日実況中継でもしたらよい。
定点にカメラをすえつけ、それで発電所の様子を随時知らせる方法だってあるはず。
YOU・STREAMというサービスだって、ある。

 情報の開示させあれば、さらに多くの専門家たちの意見を集約することもできる。
より効率的に働く機材の情報も集まる。
が、何よりも重要なことに、私たちもそれを見て、自分で判断することができるように
なる。
準備もできるし、退避行動も取れる。

 一方、国民のほうも、「国が……」「国が……」という言い方は、しなくてすむ。
それを言われる政府のほうだって、気が重いだろう。
だったら、開示、開示、開示あるのみ。
あとの判断は、私たち国民に任せればよい。

 ……ともあれ、今回の3・11大震災、それにつづく原発事故は、戦後の日本が迎えた、
最大の危機。
その最大の危機は、今もつづいている。
その緊張感だけは、忘れてはいけない。
……忘れたときが、こわい。
そのとき新たな事故が発生する。


Hiroshi Hayashi+++++++May. 2011++++++はやし浩司・林浩司

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