【変化する日本語】
●子どもたちの日本語
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10年単位で、子どもたちの
使う日本語が大きく変化する。
そのつど、「アレッ!」と思う。
で、最近、気になるのは、2語言葉。
たいていのことを、2語だけで
表現しようとする。
基本的に、形容詞から「~い」を
省略する。
「寒い」は「サム」となる。
ほかに・・・。
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●2語言葉
キモ・・・気持ち悪い
ウザ・・・うざい(うるさい)
ダサ・・・ださい
エロ・・・変態
カタ・・・固い
ヤワ・・・やわらかい
ウマ・・・うまい
チョウ・・・(超)たいへん
スゴ・・・すごい
ヤバ・・・やばい
クサ・・・臭い
マジ・・・本当に?
アツ・・・熱い
サム・・・寒い
アマ・・・甘い
カラ・・・からい
イタ・・・痛い
やがて日本人は、こういう会話をするようになる。
A「あれ、ダサ!」
B「マジ、ダサ!」
A「スゴ、ヤバ!」
B「マジ・・・エロくねえ?」
A「チョウ、エロ!」と。
さらに気になるのは、ネット用語。
今朝も私のYOUTUBEにコメントが入っていた。
「ダコ」と。
意味はわからないが、かなりけなした言葉であることはわかる。
若者たち、とくにネットユーザーたちにしかわからない用語も多い。
●変化
少し前、こんな原稿を書いたことがある。
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司
●「先生は、S? それともM?」
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中学生のSさんが、突然、私にこう
聞いた。
「先生、先生は、S? それとも
M?」と。
ギョッとした。が、そこはとぼけて、
「服はみんな、Mサイズだよ。下着は
Sかな?」と。
が、その子どもの方が一枚、上手だった。
するとSさんは、「そうじゃないわよ。
先生は、サド? それともマゾ?」と。
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学生言葉というのがある。学生しか通じない言葉である。あとで以前、それについて書
いた原稿を添付しておくが、今度は、「SとM」。
そこでSさんに、話を聞くと、こう教えてくれた。
「いじめる側に回って、いじめるのが好きな人を、Sというのよ。反対に、いじめられ
る側に回って、いじめられるのを楽しむ人を、Mというのよ」と。
私「いじめられて楽しい人なんているの?」
S「いるわよ。そういう趣味の人も」
私「それはおかしいよ。趣味だなんて……」
S「いじめられる側って、結構、気楽なものよ」
私「あのねえ、そういう考え方をするバカがいるから、いじめの問題は、いつまでもつづ
くんだよ」と。
しかしサドとか、マゾとか、そういう言葉が、中学生の子どもの口から出てくるとは、
想像もしていなかった。ホント!
Hiroshi Hayashi+++++++++++はやし浩司
●子どもの心をつかむために
あなたは子どもの世界(小学生)を、どれほど知っているだろうか。つぎの言葉の中で、
意味を説明できるのが、いくつあるか、答えてみてほしい。
●アブトロニック
●ムッチョ
●ホグワーツのグリフィンドール
●マッチョ(流行語)
●ブルーアイズ、アルティミッドドラゴン
●かごちゃん、つじちゃん、ごっちん、なっち
●SAKURAドロップ
●桃色の片思い
8問のうち、5~6問までわかれば、あなたはすばらしい親と考えてよい。子どもの心
をしっかりと、つかんでいる。
正解は、つぎ。
○アブトロニック……10分で腹筋を600回、振動する美用具、19800円
○ムッチョ……筋肉モリモリ、「ムキムキマッチョ」……筋肉モリモリの人。
○ハリーポッターの通う全寮制の学校と、宿舎名
○マッチョ……筋肉モリモリ(ムッチョの最近の言葉)
○遊戯王の裏ワザ……ブルーアイズ・ホワイトドラゴンが三枚と、アルティミッドドラゴ
ンが一枚。それと融合カードが一枚で、ブルーアイズ・ホワイトドラゴンが降臨する。
○モーニング娘の、かごちゃん、つじちゃん、ごっちん、なっち
○宇多田ひかるの「SAKURAドロップ」
○松浦あやの「桃色の片思い」
あなたも一度、子どもの前で、こう言ってみたらどうだろう。「あのね、ブルーアイズ・
ホワイトドラゴンが三枚と、アルティミッドドラゴンが一枚。それと融合カードが一枚で、
ブルーアイズ・ホワイトドラゴンが降臨するんだってね。あなた知っている?」と。
あなたの子どもは目を白黒させて、あなたを尊敬するようになるだろう。一度、試して
みてほしい。女子だったら、「私、かごちゃん、つじちゃん、ごっちん、なっちの中で、
やっぱりかごちゃんが一番、すてきだと思うわ」と。コツは、さりげなく、サラリと子
どもの前で言うこと。
●子どもの言葉
●子どもの言語能力(Language Ability of Children)
What is the difference between men and apes? T. Sawaguchi says it is the difference
between men who has language ability and the apes which do not have language ability.
It means to improve the language ability is an essential part of education, especially
when the boys or girls are at the proper age for the education.
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ついでに……、
澤口俊之氏は、「言語能力こそが重要」
と説く(「したたかな脳」日本文芸社)。
私も、そう思う。
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澤口俊之氏は、「言語能力こそが重要」と説く(「したたかな脳」日本文芸社)。
私も、そう思う。
言語能力のあるなしで、その人の知性が決まる。「ヒトとサルの違いは、この言語能力の
あるなしである」(同書)という。
私も、そう思う。
つまりその言語能力を喪失したら、ヒトは、ヒトでなくなってしまう。ただのサルにな
ってしまう。
が、最近、その言語能力のない人が、ふえてきた。いろいろな原因が考えられているが、
要するに、人間、なかんずく日本人が、それだけ「バカ」(養老孟子)になってきたという
ことか。
先日も、コンビニで立ってレジがすむのを待っていたら、前に立っていた母親が、自分
の子どもに向かって、こう叫んでいたという。
「テメエ、騒ぐと、ぶっ殺されるぞオ!」と。
これは、ある小学校の校長先生が話してくれたエピソードである。服装や、かっこうは
ともかくも、その母親の頭の中は、サル同然ということになる。
つまりは思考能力ということになるのだろうが、それを決定づけているのが、大脳の中
でも前頭連合野である。最近の研究によれば、この前頭連合野が、「人格、理性と深いかか
わりがあることがわかってきました」(同書、P34)という。
その前頭連合野の発達のカギを握るのが、ここでいう言語能力である。しかもその発達
時期には、「適齢期」というものがある。言語能力は、ある時期に発達し始め、そしてある
時期がくると、発達を停止してしまう。「停止」という言い方には語弊があるが、ともかく
も、ある時期に、適切にその能力を伸ばさないと、それ以後、伸びるといことは、あまり
ない。
それを「適齢期」という。
私の経験では、子どもの、論理的な思考能力が急速に発達し始めるのは、満4・5歳か
ら5・5歳と、わかっている。この時期に、適切な指導をすれば、子どもは、論理的に考
えることができる子どもになるし、そうでなければ、そうでない。
この時期を逸して、たとえば小学2年生や3年生になってから、それに気がついても、
もう遅い。遅いというより、その子どものものの考え方として、定着してしまう。一度、
定着した思考プロセスを修正、訂正するのは、容易なことではない。
で、言語能力については、何歳から何歳までということは、私にはわからない。わから
ないが、その基礎は、言葉の発達とともに、小学生のころから、大学生のころまでに完成
されるのではないか。
この時期までに、ものを考え、言語として、それを表現する。そういう能力を養ってお
く必要がある。
澤口氏は、「日本人の脳の未熟化が進んでいる」(同書、P130)と、警告しているが、
このことは、決して笑いごとではすまされない。
(はやし浩司 言語能力 大脳 前頭連合野 適齢期 したたかな脳)
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司
●ツイッター
ネット・サービスのひとつに、「ツイッター」というのがある。
「つぶやき」という意味である。
参加者は、一行程度の言葉を書き込む。
それに応えて別のだれかが、やはり一行程度の言葉を書き込む。
言うなれば、文字による一口会話。
それが無限の連鎖をともなって、どんどんと広がっていく。
そんなサービスだが、社会的な影響力となると、計り知れない。
最近では、政治そのものを動かすほどの力をもつまでになった。
「2チャンネル」というサービスもある。
似たようなサービスだが、2チャンネルというのは、テーマ別。
それについて意見を書くことによって、ズラズラと書き込みが連なっていく。
それはともかくとして、つまりツイッターにせよ、2チャンネルにせよ、
文化か文化でないかということになると、答は「NO!」。
恐ろしく無の世界。
虚無の世界と言ってもよい。
言葉としての、価値は、ゼロ。
幼児がだれかに、「バカ」と言うのと同じ。
言うなれば、虚無の世界だけが、不気味に広がりつつある。
●英語をやめて、論語?
ところで昨日、書店で文藝春秋を立ち読みした。
その中に、こんなアーティクル(記事)が載っていた。
「英語教育は不要。代わりに論語を教えろ」と。
2人の学者の対談形式のアーティクルだった。
が、どこかおかしい?
(1)仕事で英語を使っている人は、20%前後(記憶)。
だから全員に英語教育をする必要はない。
(2)会社の社内で、英語を公用語としている会社がある。
そういう会社は、やがてつぶれる。
一生懸命そういう会社を応援しよう。
そしてつぶれるのを待って、他山の石としよう。
(3)イギリスでは、全員英語を話せる。
そのイギリスが今、どういう国かを知れば、英語教育の無駄がわかるはず。
(4)日本語も満足に話せないのに、何が英語教育か、と。
そしてここで英語教育と論語教育をバーター(交換取り引き)。
「学校では論語を教えろ」と。
どうして英語と論語が、バーター?
(1)中学校の教科書で漢文のページが2ページしかないのはおかしい(記憶)。
(2)論語のすばらしさを、教えるべき、と。
中国では、孔子信仰と言って、孔子そのものが、日本でいう宗教団体の対象に
なっている。
思想的にもすぐれているかもしれないが、「学校で聖書を教えろ」というぐらい、
微妙な問題を含んでいる。
どうして今、論語なのか。
それについては、たびたび書いてきたのでここでは省略する。
話は逆。
日本の英語教育は、30年は後れた。
だからこの先、日本はますます国際化の波に乗れず、没落していく。
一読して、「何を今さら」という印象をもった。
それに日本語が変化し、ますますだらしなくなっているのは、英語教育が
始まったからではない。
論語教育をしなかったからでもない。
日本語そのものがもつ、多様性というか、未熟性に起因する。
10年単位で、若者たちが使う日本語を追いかけてみると、それがよくわかる。
それともあなたは、明治時代(たった100年前)に書かれた文章を、スラスラと
読むことができるだろうか。
文藝春秋で対談した両氏には悪いが、あまりにも常識外れな論法。
ちなみにオーストラリアのグラマースクールでは、中1レベルで、外国語として、
中国語、日本語、インドネシア語、ドイツ語、フランス語から選択学習できる。
もちろんラテン語を教えているところもある。
もし両氏の論法が正しいとするなら、両氏は世界に向けて、こう言えばよい。
「みなさん、日本語を勉強するのは、やめなさい。
勉強しても無駄になりますよ。
どうせ今後、没落していきます。
その代わり、中国語、なかんずく論語を勉強しなさい」と。
暴論と言うことは、よくわかっている。
しかし文藝春秋を読んで、私はそう感じた。
「世に暴論、数々あれど、暴論というのがどういうものか知りたかったら、文藝春秋
の今月発売後を読んでみたらよい」と。
(はやし浩司 家庭教育 育児 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林浩司 BW はやし浩司 英語教育 論語教育 文藝春秋 変化する日本語)
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司
【参考】(2005,6年ごろに書いた原稿)
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たしかに、日本語が乱れている。
それはわかる。しかし……。
いろいろ議論されているが、どれも
どこか的をはずれているようにも、
感ずる。
本当に、日本語は乱れているのか?
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中学生レベルの国語力しかない学生が、国立大で …… 6%
4年生私立大で ……20%
短大で ……35%
「大学生の日本語力が低下し、中学生レベルの国語力しかない学生が国立大で6%、四年制私立大で20%、短大では35%にのぼることがわかった」というのだ。
調査したのは、独立行政法人「メディア教育開発センター」(千葉市)のON教授(コミュニケーション科学)ら。(注……04年度に入学した33大学・短大の学生約1万3000人を対象に、中1から高3相当の問題を盛り込んだテストを行い、02年度に中高生に実施したテスト結果と照らし合わせて、レベルを判定したという。)
たとえば「憂える」の意味を「喜ぶ」と思いこんでいる学生が多いなど、外国人留学生より劣る実態で、授業に支障が出るケースもあるという。同教授は「入学後の日本語のリメディアル(やり直し)教育が必要」と指摘する。
その結果、中学生レベルと判定された学生は、5年前に行われた調査と比較して、国立大が0・3%から6%、私立大が6・8%から20%、短大が18・7%から35%と、数年間で大きく増加していることが分かったという。
Yahoo・ニュースは、「テストでは『憂える』の意味を問う設問で、『中学生レベル」』と判定された学生の3人に2人が『うれしい』に音感が近いためか『喜ぶ』を選択。『大学生レベル』とされた学生の中でも正答率は50%にとどまり、文字通り“憂える”結果となった」と伝えている。
【問題の例】
☆露骨に
(1)ためらいがちに (0%)
(2)おおげさに (83.3%)
〔3〕あらわに (16.7%)
(4)下品に (0%)
(5)ひそかに (0%)
☆憂える
(1)うとましく思う (16.7%)
(2)たじろぐ (0%)
(3)喜ぶ (66.7%)
〔4〕心配する (0%)
(5)進歩する (16.7%)
☆懐柔する
(1)賄賂をもらう (50.0%)
(2)気持ちを落ち着ける(33.3%)
(3)優しくいたわる (16.7%)
〔4〕手なずける (0%)
(5)抱きしめる (0%)
(カッコ内は中学生レベルと判定された学生が回答した割合、〔 〕数字が正解)
*小数点計算で合計は必ずしも100にならない
(以上、Yahoo ニュースより)
私も、最近の子どもたちが口にする日本語には、かなり問題があると考えている。しかしそれは、個々の言葉の使われ方にあるのではなく、文全体として、問題があると考えている。数日前にも、それについて書いた。「先生、終わったら、どうするのですか?」と言った子どもがいたので、私は、こう答えてやった。
「先生は、まだ終わらない。元気でピンピンしている。先生が終わったら、葬式でもしてくれればいい」と。
こうした言い方の代表的なもののひとつに、「先生、オシッコ!」というのがある。「トイレへ行きたい」と言うべきときでも、子どもたちは、「先生、オシッコ!」と言う。だから、すかさず、私は、こう言う。「私は、オシッコではない。人間だア!」と。
で、最初の話題。つまり国語力。
「日本の論点」(04)は、「国語に関する世論調査」(04)の結果について、報告している。そして「誤った敬語を含む例文を、正しいと思う人が目立つ」と。
たとえば……
「先ほど、中村さんがお話しされたように、この本は、とても役にたちます」(まちがい)→正しくは「お話しになったように」
「先生が、お見えになります」(まちがい)→正しくは「先生が、見えます」
「ご乗車できません」(まちがい)→正しくは「ご乗車になれません」
しかしこうした議論を一巡すると、つまり、あれこれ議論をしつくすと、そこに、ふと、こんな疑念がわいてくる。つまり、これは国語力の問題ではなく、日本語そのものがもつ、欠陥(けっかん)ではないか、と。
たとえば英語で、「I go to Tokyo.」は、
「私、東京、行く」
「東京、私、行く」
「東京、行く、私」と、どんな言い方をしても、意味が通じてしまう。私が住む浜松市では、こうした言葉の間に、(ジャン)(ダニ)を入れる。たとえば、「私、東京、行く」は、「私、東京、行くジャン」と。
こうした言葉としての欠陥は、100年単位でみると、さらによくわかる。この日本では、たった100年前に書かれた文章ですら、辞書なしでは、理解することができない。200年前、300年前の文章となると、さらに、そうである。
流動的というよりも、言葉としての一貫性が、まだ確立されていない。だから今の今も、日本語は、乱れつづけている。
で、問題は、それが悪いことなのかどうかということ。最近では、コンビニ言葉につづいて、オタク言葉、さらにはネット言葉というのも、生まれている。そしてそういう言葉が、表に出てきて、日常会話の中でも使われるようになってきている。
ためしに中学生たちが話している会話に、そっと耳を傾けてみるとよい。多分、あなたは、彼らが、何を話しているか、その意味すらわからないのではないだろうか。たとえば、彼らは、こんな話し方をする。
「私、あいつにコクられて、いやだった。だって、フタマタよ。それをXXのヤツ、チクってね。あとは、シュラバ。私には、ラブな人、ちゃんといるのよ。私、マッチョは嫌い。腹筋が、8つに分かれている男なんて、サイテー。頭にきたから、デニルしてね。あとは、シカト……」と。
ついでに、若い人たちの間で、よく使われる言葉について、調べてみた。私が中学生たちから、直接、聞き取り調査したものである。
コクル……告白する。
デニル……デニーズ(レストラン)に行く。
マクル……マクドナルドに行く。
カリパク……借りたあと、返さないで、もっていること。
パクル……盗む。
シュラバ……自分のまずいところを見られること。
フタマタ……浮気のこと。二人の異性とつきあうこと。
チクル……告げ口をする。
パシリ……下っ端のこと。子分的な人のこと。
アリガチ……ありえること。
シカト……無視する。
ラブな人……好きな人。
A(エイ)……手を握るつぎの段階。(つぎに、B、Cへと進む。)
マッチョ……筋肉質の人。
もっとも、今の若い人たちは、日常的に、そういう言葉、つまり、「テメエ、殺すぞ」式の言葉を使っている。ドキッとする言い方だが、これも、ごく日常的な言い方で、特別な言い方ではない。が、その一方で、旧来型の日本語を知らないからといって、国語力が落ちていると判断するのも、どうかと思う。
つまり言葉というのは、いつも大衆が先導して決めるもの。そしてその大衆は、いつも、若い世代によって、先導される。つまり一部の学者が、おかしいと言うなら、それを言う学者のほうが、おかしいということになる。「国語に関する世論調査」(04、ON教授ほか)でも、敬語の使われ方を問題にしている。
これについても、「敬語は、日本語の美しさを代表するものだから、守るべき」という意見と、「敬語など、もうどうでもよいではないか」という意見の2つが、するどく対立している。私自身は、めったに敬語など使わない。天皇についても、「天皇が浜松へ来た」と書くことはあっても、「天皇陛下が、浜松へ、おいでになりました」と書いたことは、一度もない。
敬意を表す、表さないということではなく、どこでどのように一線を引くか、それを考えるのが、めんどうだからに過ぎない。いちいちそういうことを考えながら文を書くというのも、たいへん疲れる。それに敬語の底流にあるのは、日本人独特の、上下意識。敬語を考えるときは、いつも、その上下関係を考えなければならない。だから敬語は、無視。大きな流れとしても、敬語は、この先、消えゆく運命にある。
だから「国語に関する世論調査」そのものが、どこか、おかしい。その調査では、「敬語の使われ方がおかしいから、日本語が乱れている」というような結論を出したかったのかもしれない。しかし最近の若い人に言わせると、「今どき、敬語なんて……」ということになる。
だから視点を変えてみたら、どうだろうか。つまりここにも書いたように、個々の言葉の使われ方を問題とするのではなく、文全体として、的確に自分の意思を相手に伝えることができるかどうかという視点で、である。その際、どんな言葉が使われようが、それは問題ではない。
「今日、学校あった」(まちがい)→「今日、学校で、授業がありました」
「これは、パパが建てた家」(まちがい)→「これはパパが、買った家」
「これは、私の学校」(まちがい)→「これは、私が通っている学校」と。
で、反対に、これを調査した、「メディア教育開発センター」のON教授に、こんなテストをしてみたら、どうだろうか。はたして、ON教授は、何点取れるだろうか?
【問題の例】
☆ムッチョ
(1)むっつりしているさま
(2)貯金がないこと
〔3〕筋肉がモリモリしているさま
(4)いやがっていること
(5)怒っている様子
☆コクル
(1)告発する
(2)忠告する
(3)密告する
〔4〕告白する
(5)納得する
☆カリパク
(1)食べ物の名前
(2)借りて返すこと
(3)カリカリと怒ること
(4)道路で座ってものを食べること
〔5〕借りて返さないこと
☆アリガチ
(1)ありがた迷惑
(2)ありがとう
〔3〕ありえること
(4)ありえないこと
(5)いらぬ節介のこと
☆フタマタ
(1)2つのことを同時にすること
(2)2人の人と、同時につきあうこと
〔3〕浮気すること
(4)2つの選択肢のこと
(5)いやなこと
☆シュラバ
(1)喧嘩すること
(2)がんばること
(3)ここ一番というとき
(4)苦労すること
〔5〕何か、まずいことがバレること
日本語も、どんどんと変化している。もともと日本語という言語は、そういう言語であるということ。調査では、「憂える」の意味を知らないことを問題にしているが、実際、若い人たちが使わない言葉であれば、それもしかたないのではないか。
さらに一言つけ加えるなら、私自身は、旧世代の人たちは、もう少し、若い人たちに、謙虚であるべきではないかと思っている。繰りかえしになるが、「自分たちは知っている。しかし今の若い人たちは知らない。だから今の若い人たちは、おかしい」という論法自体が、おかしいということになる。どこかものの考え方が、復古主義的?
ただし世の親たちに一言。
高校入試にせよ、大学入試にせよ、そこで使われる入試問題は、こうしたどこか頭の古い、旧世代の人たちによって作られている。だから、子どもの(進学)ということを考えるなら、体制に迎合したほうがよい。そのほうが、あなたの子どももスイスイと、学歴社会を生きぬくことができる。
そのためにも、あなたの子どもには、ここに書いたように、正しい言葉で、かつ豊かな言葉で話しかけるとよい。「テメエ、殺すぞ」ではなく、「あなたが、そうすれば、あなたは、私によって、殺されますよ」と。
なお、上から(3)(4)(5)(3)(3)(5)の、〔かっこ〕が正解。
(はやし浩司 国語力 日本人の国語力 表現力 敬語 日本語の乱れ はやし浩司 子供の国語力 子どもの国語力 変化する日本語 言語能力 はやし浩司 若者言葉 シカト)
Hiroshi Hayashi++++Dec. 2010++++++はやし浩司・林浩司
2010年12月11日土曜日
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