2009年8月14日金曜日

*Mental Disorder of My Case

●トラウマ(心的外傷)

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覚えているというような、生やさしいものではない。
脳の一部に、(焼きついている)といった感じ。
それがいつまでも、心の中に残り、その人を苦しめる。
それがトラウマ、つまり「心的外傷」ということになる。

人は、何か強烈な体験をすると、それを抑圧という形で、
心の別室に押し込む。
押し込んで、それ以外の脳がダメージを受けるのを守ろうとする。
それを「防衛」という言葉を使って、心理学の世界では説明する。

強烈な印象といっても、慢性的にダラダラとつづくものであることもある。
これを「蓄積的外傷」という。
必ずしも瞬間的なものとはかぎらない。

育児拒否や親の冷淡、無視など。
家庭内騒動、夫婦喧嘩、離婚騒動など。
断片的な記憶が積み重なって、それがトラウマになることもある。
もちろん瞬間的な強烈な印象が、そのままトラウマになることもあるが・・・。
(ふつう「トラウマ」というと、そういうケースによるものいう。)

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●トラウマ、マイ・ケース

 だれにでも、ひとつやふたつトラウマはある。
・・・という前提で、話をしたい。
「私だけが特殊な経験をした」と考えるのは、それだけでも荷が重い。
またもしそうであるなら、普遍性に欠けるという点で、こうして文章にしても意味がない。

 私のばあい、トラウマの原因となったのは、主に2つある。

(1) 父の酒乱
(2) 商売の行き詰まり

 さきに父を擁護しておく。
父とて、あの戦争の犠牲者にすぎなかったということ。
戦地の台湾で、アメリカ軍と接近戦を経験している。
貫通銃創といって、1~2発、銃弾が腹を通り抜けている。
それがどういう経験なのかは、現在のベトナムやイラクへ派遣された、アメリカ軍兵士の
それを知ればわかる。
だから父は酒に溺れるようになった・・・というように、短絡的に結びつけることは
できない。
が、戦争は関係ないとは、さらに言えない。

 心というのは、もう少し複雑な手順を経て、それをトラウマと化す。

●稼業の衰退

 私が中学生になるころから、稼業は衰退の一途をたどった。
近くに大型スーパーができ、そこで自転車を安く売るようになったこともある。
私には、苦しくて、つらい毎日だった。

 基本的には、私は慢性的な不安神経症をかかえていた。
最近では、それを「パニック障害」と呼ぶ。
病名がなんであるにせよ、さらにその原因がなんであるにせよ、私は不安だった。

 父と母が、それなりに和合していれば、まだよかったのかもしれない。
家庭が「家庭」としての機能を果たしていれば、まだ救われたかもしれない。
が、事実は、そうでなかった。
そこへ商売不振が重なった。
私が感じていた不安は、父や母が感じていた不安と言ってもよい。
私は知らず知らずのうちに、それを受け継いでいた。

●伝染する心

 心というのは、伝染する。
ためしにこんなことを調べてみるとよい。

 あなたの親類、あるいは近所の人たちには、いろいろな人がいる。
それらの人のうち、あなたとあなたの母親が、共通してよく知っている人の名前を
書き出してみる。
たとえば・・・

愛子さん(  )
石尾くん(  )
宇佐さん(  )
江藤くん(  )
緒方さん(  )・・・、と。

それらの人を、つぎのように評価して、( )の中に書き込んでみる。
(あなたが子どものころ、どう思っていたかを思い出しながら、評価する。)

たいへん好意的に思っている人・・・(◎)
好意的に思っている人    ・・・(○)
なんでもない人       ・・・(-)
不愉快に思っている人    ・・・(x)
たいへんいやば人      ・・・(xx)と。

 そしてあなたの結果を伏せたまま、同じテストをあなたの母親にしてもらう。
このテストを通してあなたは、あなたの心が、実は母親によって作られている
ことを知るだろう。

●フラッシュ・バック

 私にも、子どものころ、好きな人や、嫌いな人がいた。
しかしそれはずっとあとになってわかったことだが、それはそっくりそのまま母の
心だと知った。

 「心の伝染」というのは、それをいう。

話はそれたが、私は子どもながらに、稼業の衰退を、父や母と同じように、肌で
強く感じていた。
「私が感じていた」というよりは、「そういう心になっていた」ということになる。
だから社会へ出てからも、私は貧乏というのが、なによりも怖かった。
たとえばこんなことがあった。

 コンビニで弁当を買おうとしたときのこと。
ポケットの中を見ると、わずか、数百円しかなかった。
気づかなかった。
で、私はその数百円で買える弁当をさがした。
が、適当なのがなかった。
とたん、言いようのない不安感に襲われた。
鼓動が激しくなり、体が固まっていくのを感じた。

 私が感じたのは、軽いフラッシュ・バックということになる。
過去の、抑圧されたいやな体験が、心の別室から顔を出し、それが私を裏から操った?

●こだわり

 そんなわけで、私は(お金)について、強いこだわりをもっている。
たとえば借金にしても、返済を1週間以上、延ばしたことはない。
どんな借金でも、即日、もしくは数日以内に返済するようにしている。

 もちろんお金を借りたことは、ただの一度もない。
(一度だけ、幼稚園の先生に、電話料として10円借りたことがある。
私にとっては、それが生涯でただ一度の、借金ということになる。)

 だから今でも、(失業)することについて、強い恐怖感を覚える。
失業というより、収入として入ってくる(お金の流れ)が、止まることが怖い。

 私がここでいう(こだわり)というのは、それをいう。
だから以前から、私をよく知る人は、みな、こう言う。
「浩司は、お金の話ばかりする」と。

 しかし誤解しないでほしい。
私がケチで、守銭奴というのではない。
また金儲けばかりしているというのでもない。
そういう私だから、相手に対しても、同じように期待してしまう。
相手が、私に払うべきお金を、予定をすぎても払わなかったりすると、強い苛立ち感を
覚える。

●症状

 こうしてそれぞれの人の中に、なんらかのトラウマが作られていく。
もちろん強烈な印象が、そのままトラウマになることはある。
先にも書いたように、私は父の酒乱に苦しんだ。
その中でも、(あの夜)のことは忘れない。
私はそのとき、6歳だったと思う。
その夜、いつもになく父は酒を飲み、暴れに暴れた。

 私と姉は、物干し台の陰に隠れて、「怖いよ、怖いよ」と言って、抱き合って泣いた。

 そのこともあって、私は、今でもときどきフラッシュ・バックに襲われる。
ただ症状といっても、それを並べて書くというのは、むずかしい。
症状の出方そのものが、トラウマと直接、結びつかない。
いろいろ、ある。

(1) 今でも、ひとりで寝るのが苦手。(・・・できない。)
(2) ワイフに冷たくされると、「離婚」というレベルまで突っ走ってしまう。
(3) ヒャッとした恐怖感を覚えると、車(バスやタクシー)から降りてしまう。
(4) 他人を信じなく、嫉妬深い、など。

 一般的には、睡眠障害や驚愕反応、神経の異常な高ぶりや、感覚の鈍磨などの
症状を示すといわれている(「心理学用語辞典」)。
もちろんうつ病を引き起こすことも多い。

 私のばあいは、抑圧が転じて、二重人格性をもつようになってしまった。
ただ救われるのは、どちらが主人格であるか、自分ではっきりとわかっていること。
副人格になる時間が短く、そのときでも主人格のほうが、副人格をコントロール
していること。
他人に対しては、副人格がめったに出てこないこと、など。
正確には、「解離性同一障害」というべきか。

 こうした制約、壁がなくなってしまったら、私はほんとうに人格障害者ということに
なってしまう。

●では、どうするか?

 私がもっているようなトラウマをもっている人は、多い。
恵まれた環境で生まれ育った人のほうが、少ない。
それぞれの人は、それぞれ、何らかの(こだわり)をもって生きている。
こだわりのない人はいない。

 心理学の世界では、そうした(こだわり)を「固着」という言葉で説明する。
(ただしこだわりイコール、固着ではないので、注意!)

 その(こだわり)の中から、コンプレックスが生まれる。
(「コンプレックス」についても、「劣等感」と考えている人は多い。
しかしコンプレックスイコール、劣等感ではないので、注意!
「コンプレックス」というのは、複雑な心的反応を総称する。)

 で、そこで重要なことは、(1)まず、自分を知るということ。
たいていの人は、「私は私のことをいちばん、よく知っている」と思い込んでいる。
しかし実際には、なにも知らない。
・・・と断言してよいほど、知らない。
「知っている」と思い込んでいるだけ。

 こうした(心の問題)は、それが(ある)ということよりも、それに気付かないまま、
それに振り回されることが、問題。
それによって、いつも同じ失敗を繰り返す。

 親子喧嘩にせよ、夫婦喧嘩にせよ、友人、知人とのトラブルなど、形を問わない。
そういったものが、繰り返し起こるようなら、その向こうにあるものをさぐる。
薬などで治すという方法もないわけではないが、こうした(心の問題)は、
できるだけ人との接触の中で、解決していくのがよい。
グループディスカッションに出たり、カウンセリングを受けるなど。
(ついでに私の原稿を読むのも、よい!)

 自分に気がつけば、あるいは「私」がわかれば、あとは時間が解決
してくれる。
「時間が解決する」というのは、「それだけ時間がかかる」ということ。
5年や10年は、かかる。

 ただし一言。
トラウマというのは、一度心に刻み込まれると、一生消えることはない。
それはちょうど顔についた、切り傷のようなもの。
あとは、その「傷」と、じょうずにつきあっていく。
私のばあいも、そのつど、「ああ、これは本当の私ではないぞ」とか、「今の
私はおかしいぞ」と判断しながら、つきあっている。
そういう姿勢も大切である。

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