2011年3月23日水曜日

*Nuclear Power Plant

●原子力発電所事故(東京消防庁のみなさん、ありがとう!)

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原子力発電所が、かくも恐ろしいものだった
ということは、正直に告白するが、知らなかった。
事故の可能性を考えたことはある。
しかしそれ以上に、「事故は日本では起こらない」
と考えていた。
「日本はロシアやアメリカとはちがう」と。
ほかのほとんどの日本人同様、私は日本の
技術力を信じていた。

たとえば御前崎にも、原子力発電所がある。
浜松市から43キロしか離れていない。
(グーグルアース上で測定。)
何度か見学に行ったことがある。
そこを見学してまず驚くのが、耐震構造。
腕の太さもあるような鉄筋で、構造物が守られている。
加えて、三重、四重の防御策が講じられている。
私もそれを見て、「ああ、これならだいじょうぶ」と思った。

が、やはり、恐ろしいものだった。
大震災、それにつづく津波。
まだこちらのほうは、「敵の顔」が見える。
「敵の顔」が見える分だけ、戦いやすい。
が、原子力発電所の事故のばあいは、
それが見えない。
見えないだけに不気味。
恐ろしい。

3月23日午前10時。
現状はどうなっているのか。
日本経済新聞社の記事をまとめてみる。

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+++++++++++++以下、日経新聞(電子版)より+++++++++++++

 東電によると、3号機は補給水系ポンプの起動準備も整ったが、作動試験は23日に行う。
4号機も中央制御室に外部電源が供給されると、同ポンプを動かせる状態となる。中央制御
室の計器も復活すれば、原子炉の詳しい状態が分かるようになる。一方、1、2号機の補給
水系ポンプは海水をかぶり、状態が厳しいと判明。1号機では23日以降に代替ポンプを据
え付ける。

 非常用発電機で冷却装置が動き、既に安全な冷温停止状態にある5、6号機では、外部電
源への切り替えが終わった。

 大震災発生時、運転を自動停止した1~3号機の原子炉圧力容器には、海水を消防ポンプ
で消火用配管を通じて注入し、最低水準の冷却機能を維持している。しかし、いつまで続
けられるか分からず、冷却装置の稼働を急ぐ必要がある。放水は東京消防庁も大阪市消防
局と連携し、3号機プールへ約50分間実施。放水量は150トン。東電は2号機プールにも
内部配管を経由する方法で海水を注入した。

+++++++++++++以上、日経新聞(電子版)より+++++++++++++
+++++++++++++以下、読売新聞(電子版)より+++++++++++++

東日本巨大地震で被災した東京電力福島第一原子力発電所では22日夜に3号機で中央制御室に電気が通り、照明が点灯、23日朝から3、4号機の使用済み核燃料一時貯蔵プールや原子炉に真水を送り込む補給水系ポンプを稼働する作業が進められている。

 1号機でも中央制御室の計測器の一部に電気が届き、原子炉内の温度が設計温度より約100度高くなっていることなどが判明した。2号機は電源接続作業を行うタービン建屋の放射線量が高く、この日の作業を一部中断した。

 3号機については、中央制御室の計測データを取得するための電源が入っている。24日をめどに、炉心に送り込む水を海水から真水に切り替え、注水する装置を復活させる予定。また、放水で冷やしている使用済み燃料プールについては、消防ポンプを使って海水を送り込む装置を動かすことを検討している。放水が続けられている4号機の使用済み燃料プールについても、同様に消防ポンプを利用した注水ができないか検討を行う。

 中央制御室は、核物質防護上、詳細な位置は明らかにされていないが、3、4号機のタービン建屋に挟まれるように建つ中央制御棟の2階にある。通常、2交代制で数人~十数人の作業員で監視している。高い放射線を防ぐため、鉛板を設置して、ここを拠点に、制御系を動かす地下のバッテリー充電器室の修理や機器の交換、タービン建屋の西側に隣接する原子炉建屋のポンプ類、電気系統などの点検を急ぐ。

 一方、経済産業省原子力安全・保安院は、1号機の圧力容器内の温度が上昇しているのを受け、消防ポンプで2系統の配管を稼働させ、毎時18トンの海水を注入し始めたことを明らかにした。1、3、4号機については22日夜から23日未明にかけて、炉心などの様々なデータを取得するための計器用の電源に通電に成功したという。

 1号機の原子炉内の温度は、午前6時には設計上の温度(302度)を大幅に上回る400度以上となったが、注水を始めてから少しずつ温度が下がり、午前10時には390度となった。

 2号機については、津波による浸水被害が大きく、放射線量も非常に高いことから電源回復作業が難航している

+++++++++++++以上、読売新聞(電子版)より+++++++++++++

●整理

 現状を順に整理してみる。

【日本経済新聞より】

(1)1号機は補給水系ポンプは使用不能→23日以後に代替ポンプに付け替える。

(2)2号機も補給水系ポンプは使用不能。

(3)3号機は、補給水系ポンプの準備は整った。作動試験を23日に行う。

(4)4号機は、外部電源が供給されると、ポンプを動かせるようになる。

(5)5、6号機は、外部電源への切り替えが終った(以上、日経新聞)。

 なお1~3号機については、「海水を消防ポンプで消火用配管を通じて注入し、最低水準
の冷却機能を維持している」とのこと。

 いちばんあぶないとされた3号機(報道)については、作動試験を23日(本日)行う
という。
これが成功すれば、山を越えたということになるのか。

【読売新聞より】

(1)1号機の中央制御室の計測器の一部に電気が届き、原子炉内の温度が設計温度より
約100度高くなっていることなどが判明した。
1号機の圧力容器内の温度が上昇しているのを受け、消防ポンプで2系統の配管を稼働させ、毎時18トンの海水を注入し始めたことを明らかにした。

(2)2号機については、電源接続作業を行うタービン建屋の放射線量が高く、この日の作業を一部中断した。

(3)3号機で中央制御室に電気が通り、照明が点灯、23日朝から3、4号機の使用済み核燃料一時貯蔵プールや原子炉に真水を送り込む補給水系ポンプを稼働する作業が進められている。
中央制御室の計測データを取得するための電源が入っている。24日をめどに、炉心に送り込む水を海水から真水に切り替え、注水する装置を復活させる予定。

(4)4号機については22日夜から23日未明にかけて、炉心などの様々なデータを取得するための計器用の電源に通電に成功したという。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

 両者を読み比べれば比べるほど、頭の中が混乱してくる。
日本経済新聞のほうを読むと、すべてが順調に解決に向かって進んでいることを示す。
が、読売新聞のほうを読むと、ほとんど何も変化していないようにも見える。
が、全体としてみると、福島第一原子力発電所は、「管理下(under control)」に入った
状態で、解決に向かって一歩一歩、進んでいることになる。

 よかった!
まずますよかった!
「まだ余談を許さない状況」(官房長官)ということだが、解決に向かって、ことが
進んでいる。
命がけで作業をしてくれた東京消防庁、自衛隊、東京電力のみなさん、ありがとう。

●自分で確かめる

 大切なことは、情報は自分で集め、それに基づいて自分で判断すること。
たとえば原子炉についても、この日本では、チェルノブイリ型の爆発事故、それにつづく
放射能汚染は、起きないと言われている。
原子炉の「形式」そのものがちがうという。

●黒煙炉型原子炉(ウィキペディア百科事典より)

黒鉛炉(こくえんろ)とは、減速材に黒鉛(炭素)を用いる原子炉のこと。
黒鉛は安価で大量に入手でき、中性子の吸収が少なく減速能力も比較的大きな優秀な減速材である。中性子吸収量が少ないため、黒鉛炉は濃縮していない天然ウランを燃料として使用できる。
世界ではこの炉が約12%使われている(原子炉基数ベース、1999年現在)。
エンリコ・フェルミの世界最初の原子炉「シカゴ・パイル1号」がこの形式。
現在の商用黒鉛炉の直接のルーツはプルトニウム生産炉(原子爆弾の材料を作る為の炉)である。

●軽水炉(ウィキペディア百科事典より)

軽水炉(けいすいろ)は、減速材に軽水(普通の水)を用いる原子炉である。
水は安価で大量に入手でき、高速中性子の減速能力が大きく、冷却材を兼ねることも出来る。
しかし、中性子吸収量が大きいため、運転に必要な余剰反応度を確保するには、濃縮ウランを燃料とする必要がある。
アメリカで開発され、現在、世界の80%以上のシェアを占めている(原子炉基数ベース、1999年現在)。
2007年現在、日本で商用稼動している原子力発電所は全て軽水炉。

●チェルノブイリ型原子炉

 チェルノブイリの原子炉は、黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉と言われている。
素人の私には、さっぱり理解できない。
が、ここであきらめるわけにはいかない。
私たちの生命と安全が、それに託されている。

●黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉(ウィキペディア百科事典より)

黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉(RBMK)は、核分裂反応によって生じた熱エネルギーを、軽水を沸騰させることで取り出す原子炉である。
旧ソ連が軍事用に開発した黒鉛減速プルトニウム生産炉をベースに、独自に軽水冷却型原子炉として発電用動力炉を開発したものである。
一群の開発プロジェクト「ソビエト計画」の最高峰であった。
それらのうちの最初のものはAM-1 ( Atom Mirniy, ロシア語で "peaceful atom"、「平和な原子力」)と呼ばれ、電気出力5MW(熱出力30MW)を発電し、発生した電力を1954 年から 1959年までオブニンスクへと送っていた。

●結論

 率直に言えば、原子炉というものについて、私はほとんど何も知らなかった。
これだけの説明文を読んでも、チンプンカンプン。
そんな状態。
どこかに構造図のようなものがあれば、わかりやすい。
しかし今のところ、それも見あたらない。
(福島第一原発の構造図については、連日テレビでも説明されているので、よくわかって
いるが……。)

 言い換えると、私たちは、(私だけかもしれないが)、ほとんど何も知らないまま、(知ら
されていないまま)、日ごろ電力を無造作に使用している。
無知、無学がこわいというより、それが理由で、今回のような事件が起きたとき、やみくもに右往左往する。
パニック状態になる。
それがこわい。

 やはり日ごろから、電力会社の言いなりになるのではなく、自分の頭で考えるという
習慣を身につけなければならない。
反省すべき点があるとしたら、この点ということになる。
というのも、仮にここでこの問題が解決してしまえば、(そうなるだろうが)、また何ごと
もなかったかのように、人々はめんどうな問題からそのまま遠ざかってしまう。
それがいけない。

 ある男性(酪農業経営)は、こう言っていた。
「私ら、何も悪いことはしていない。(していないのに、どうして被害者になるのか?)」と。
福島県の牛乳は、現在、出荷が停止されている。
それについて、その男性はそう言った。

 しかし本当にそうか?
そう考えてよいのか?
今まで、私たちはあまりにも無知だった。
それを棚にあげて、「私ら、何も悪いことはしていない」は、ない。
無知そのものは、「罪」である。
その男性を責めているのではない。
私やあなたを責めている。
そういう前提で、ものを考える。

 「軽水炉」というと、何となく安全な印象をもつ。
またそのように教育されている。
しかし本当に安全なのか。
爆発はしないのか。
そのあたりから、もう一度、考えなおしてみる必要がある。
今日が、その第一歩ということになる。


Hiroshi Hayashi+++++++March. 2011++++++はやし浩司・林浩司

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