●船頭は1人(三角関係)
子どもを指導するときの鉄則のひとつが、これ。
『船頭は、1人』。
たとえば子どもを相手にして、父親と母親が
意見の対立を見せるのは、たいへんまずい。
発達心理学の世界にも、「三角関係」という
言葉がある。
これは(父親)、(母親)、(子ども)を
頂点として、三角の関係ができることをいう。
一度、この三角関係ができると、子ども自身が
混乱する。
そのため、子どもはどちらの指示に従ってよいか、
わからなくなる。
そればかりか、その時点で、家庭教育は崩壊する。
子どもが小さいうちはまだしも、やがて大きくなると、
父親の指示にも、また母親の指示にも、従わなくなる。
まずいのは、悪口、批判。
子どもの前では、あなたが母親なら、父親の批判は
してはいけない。
あなたが父親なら、母親の批判はしてはいけない。
ともかくも、家庭教育の場においては、『船頭は、1人』と
決めておく。
たとえば父親と母親が、教育的な問題で対立
したようなときは、子どものいないところで
先に調整しておく。
「あなたはこう言ったけど、私はこう思う」と。
そして子どもの前では、「お父さんの意見に
従いなさい」と指示する。
(反対に、父親であれば、「お母さんの指示に
従いなさい」と指示する。)
が、それだけではない。
父親と母親が対立すると、そこに「二重拘束」
(宮崎圭子氏)が生まれる。
二重拘束(ダブル・バインド)が生まれると、
子どもは、どちらの指示に従ってよいか、
わからなくなる。
父親は、「親は絶対」と子どもに迫る。
母親は、「親子は平等」と、子どもに教える、など。
子どもは父親の前では、親の権威に同調する。
しかし母親の前では、親の権威を否定する。
そのため「子どもは、ものごとを論理的に判断する
能力を麻痺させてしまう」(宮崎圭子)。
わかりやすく言えば、自分で考えることができなく
なってしまう。
そのため、優柔不断になったり、相手に対して
いつもシッポを振るような行動に出たりするようになる。
私も、「塾」という立場で、子どもたちと接している。
そのため学校の教師の教え方と、私の教え方が
異なる場面に、ときどき出会う。
そういうときは、すかさずこう言うようにしている。
「学校の先生に合わせなさい」と。
教育面においても、船頭は1人。
これは家庭教育のみならず、子どもを指導する
ときの鉄則のひとつということになる。
●付記
私は子どものころ、優柔不断なところがあった。
Aのグループへ入れば、Aのグループに合わせて、自分の意見を作った。
Bのグループへ入れば、Bのグループに合わせて、自分の意見を作った。
また相手から何かを申し込まれると、「いや」と言うことができなかった。
相手の機嫌を損ねるのを、何よりも恐れていた。
原因のひとつとして、私の父と母が、いつも対立状態にあったことが考えられる。
実際には、母はわがままな人で、父の意見には耳を傾けなかった。
そういう家庭環境の中で、私は「私」を定めることができなかった。
もう少し掘り下げて言えば、私は自分の考えていることに、自信がもてなかった。
その結果として、だれにでもシッポを振るような、優柔不断な人間になった(?)。
もしあなたが今、優柔不断で、ものごとを論理的に考えることができないというのであれば、あなた自身が生まれ育った家庭環境を、一度、思い起こしてみるとよい。
まず「環境」を知る。
そのあと「私」の姿が、少しずつ、浮かびあがってくる。
(はやし浩司 家庭教育 育児 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林浩司 BW はやし浩司 三角関係 ダブルバインド ダブル・バインド 二重拘束)
Hiroshi Hayashi+教育評論++March.2010++幼児教育+はやし浩司
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