●大学生、貧乏盛り
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親元から離れて暮らす大学生への仕送り額が、
25年前の水準まで落ち込んでいることが10日、
全国大学生活協同組合連合会(東京)の調査でわかった。
(以上、読売新聞記事より)
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読売新聞は、つぎのように伝える(2010年2月10日)。
『・・・調査は全国31大学の学生を対象に昨年10~11月に実施し、9660人から回答があった。
マンションやアパートなど自宅外(寮を除く)から通う大学生への仕送り額は、月7万4060円(前年比3520円減)で、月7万4240円だった1984年並みに下がった。仕送りゼロと回答した学生は全体の10・2%(同1・9ポイント増)に上り、70年以降で初めて1割を突破した。
不況の影響からアルバイト収入も減少し、月2万2370円(同2230円減)となった。奨学金は前年比2100円増の月2万6430円で、仕送りなどの減収分を補っている様子がうかがえる。
一方、支出を切り詰める傾向も続き、住居費以外の支出はすべて減少。特に食費は月2万3350円(同1080円減)で、1976年以降で最低の金額になった。
大学生協連では「08年秋のリーマンショック以降、親の生活が厳しくなり、仕送りが減っている。アルバイトにも頼れず、弁当を持参したり、研究室に炊飯器を持ち込んでご飯を炊いたりといった食費節約の努力をする学生が目立つ」と話している』(以上、読売新聞より)。
●月、7万4060円
親からの仕送り額の平均は、月、7万4060円。
この額は、1984年並という。
25年前というと、私が、37、8歳のころ。
私が大きな転機を迎えたころである。
このころ、私は、2つの世界から、足を洗った。
ひとつは、東洋医学の世界。
もうひとつは、教材作りの世界。
幼児教室も、閉鎖寸前まで追い込まれた。
私にとっても、何かときびしい状況だった。
もっとも貧乏学生の話になれば、私だって負けない。
この私だって、学生のころ、実家からの仕送りは、1年生のとき、8000~9000円。
4年のときも、1万2000円前後だった。
つまり下宿代だけ。
学費、その他の諸費用は、すべてバイトで稼がねばならなかった。
(学費は、月額1000円で安かった。1年生のとき。)
●奨学金制度の充実を!
欧米では、奨学金制度が発達している。
企業も、「税金としてどうせ取られるなら・・・」と、その分を奨学金として、学生に渡している。
つまり奨学金として支出すれば、その分だけ、税金から控除される。
そのため学生たちは、「どこの大学へ入るか」よりも、「どこから奨学金を得るか」のほうに、より強い関心をもっている。
そのために動き回る。
いくら大学への入学が決まっても、お金がなければ、勉強できない。
もちろん優秀な学生には、大学からも奨学金が出る。
が、日本では、それをしない。
奨学金制度が貧弱なことは、すでにみなさん、ご存知のとおり。
理由など、今さら、ここに書くまでもない。
●貧乏は悪いことではない
若いうちに、貧乏をしっかりと経験しておく。
そこを原点として、あとは、はい上がる。
ただバイト、バイトの学生生活にも、問題がある。
本を買うためにバイトというのはわかるが、携帯端末の使用料金のためにバイトというのは、おかしい。
いわんや遊興費を稼ぐためにバイトということなら、もとから大学など行かなければよい。
その前に、「何のための大学か」ということになる。
大学の英文科といっても、高校の教科書より簡単なテキストを使っているところは、いくらでもある。
最近もある女子大生(英文科3年)にこう聞いてみたことがある。
「目的格補語って、何?」と。
するとその女子大生は隣にいた別の女子大生に話しかけながら、「何だったけ? どこかで聞いたことがある~~ウ」と。
そこそこに名前の通った、私立の大学である。
●学費
もちろんこの7万4060円には、大学への納入学費は含まれていない。
またこの額は、あくまでも平均。
読売新聞の記事にも書いてあるように、仕送りゼロと回答した学生が、全体の10・2%もいることに、注目しなければならない。
月に、20~30万円も仕送りをしてもらっている学生がいる一方、ゼロの学生もいる。
さらに親に車を買ってもらったり、何かの資格を取るためと親をだまし、金を取っている学生もいる。
そういう学生も含めて、平均「7万4060円」である。
が、「仕送りゼロ」というのは、私にも想像がつかない。
私のばあいもバイトをしたが、試験期間中は、それもできなかった。
そんなときは、朝、夕の2食だけで、何とか生き延びた。
最長、20日間、生き延びた。
夏場は、大学のプールを風呂代わりにした。
ときどきパチンコ屋を回り、落ちている玉を拾って、それでタバコ代を稼いだこともある。
が、それとて下宿代だけは、親に出してもらったから、できた。
「仕送りゼロ」というのは、「勉強もゼロ」ということではないのか。
10年ほど前だが、年に数回、講義に顔を出しただけで卒業できたと投書欄に投書していた大学生(?)すら、いた。
●無駄な教育
無駄な教育イコール、税金の無駄づかいと考えてよい。
もとから勉学意識のない学生が、大学に入る。
だから遊ぶ。
国にそれだけの余裕があれば、話も別だが、今のような状況で、子どもたちに、そこまでぜいたくをさせる必要はない。
大学をもっと選別して、閉鎖すべき大学は、閉鎖する。
一方、お金をかけるべき学生には、お金をかける。
お金をかけるべき大学には、お金をかける。
たとえば大学への進学率を、欧米並みに日本ももっと下げたらよい。
少なくとも少子化に並行して、大学の数を減らすべきではないのか。
が、それもだめなら、これも欧米並に、落第制度をもっときびしく活用したらよい。
「年に数回、講義に・・・」という学生がいること自体、異常なのである。
(1)奨学金制度の充実。(2)大学の選別化。(3)落第制度の厳格化。
読売新聞の記事を読んで、私は、この3つを考えた。
(はやし浩司 家庭教育 育児 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林浩司 BW はやし浩司 仕送り額 平均仕送り額
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ついでに以前書いた原稿を
再掲載します。
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●教育費の公的支出割合
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日本の公的支出割合は、OECD(経済協力開発機構)の
調査によれば、対GDP比において、日本は3・3%と、28
か国中、下から2番目だった(2009年9月9日)。
わかりやすく言えば、その分だけ親の負担が大きいということ。
「全教育費に占める私費負担の割合は、33・3%と、
韓国に次いで、2番目に高く、平均の2倍以上だった」(中日新聞)と。
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●子ども大学生、親、貧乏盛り(When boys are Univ. students, Parents in Japan are the
poorest.)
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8年前(2001年)に書いた
原稿を、再掲載。
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子どもの教育費を考える法(学費を安くせよ!)
親が子どもの学費で苦労するとき
●親、貧乏盛り
少子化? 当然だ! 都会へ今、大学生を一人送ると、月々の仕送りだけで、毎月二七
万円(九九年東京地区私大教職員組合連合調べ、学費含む)(※)。が、それだけではすま
ない。アパートを借りるだけでも、敷金だの礼金だの、あるいは保証金だので、初回に四
〇~五〇万円はかかる。それに冷蔵庫、洗濯機などなど。パソコンは必需品だし、インタ
ーネットも常識。となると、携帯電話のほかに電話も必要。入学式のスーツ一式は、これ
また常識。世間は子どもをもつ親から、一体、いくらふんだくったら気がすむのだ! そ
んなわけで昔は、『子ども育ち盛り、親、貧乏盛り』と言ったが、今は、『子ども大学生、
親、貧乏盛り』という。大学生を二人かかえたら、たいての家の家計はパンクする。
●親の負担が大きい日本
一方、アメリカでもオーストラリアでも、親のスネをかじって大学へ通う子どもなど、
さがさなければならないほど、少ない。たいていは奨学金を得て、大学へ通う。企業も税
法上の控除制度があり、「どうせ税金に取られるなら」と、奨学金をどんどん提供する。し
かも、だ。日本の対GNP比における、国の教育費は、世界と比較してもダントツに少な
い。欧米各国が、七~九%(スウェーデン九・〇、カナダ八・二、アメリカ六・八)。日本
はこの一〇年間、毎年四・五%前後で推移している(UNESCO調べ)。大学進学率が高
いにもかかわらず、対GNP比が少ないということは、それだけ親の負担が大きいという
こと。日本政府は、あのN銀行という一銀行の救済のためだけに、四兆円という大金を使
った。それだけのお金があれば、全国二〇〇万人の大学生に、それぞれ二〇〇万円ずつの
奨学金を渡せる!
●もの言わぬ従順な民
が、日本人はこういう現実を見せつけられても、誰も文句を言わない。教育というのは
そういうものだと、思い込まされている。いや、その前に日本人の「お上」への隷属意識
は、世界に名だたるもので、戦国時代の昔から、そういう意識を徹底的にたたき込まれて
いる。いまだに封建時代の圧制暴君たちが、美化され、英雄化され、大河ドラマとして放
映されている! 日本のこの後進性は、一体、どこからくるのか。親は親で、教育といい
ながら、その教育を、あくまでも個人的利益の追求の場と位置づけている。世間は世間で、
「あなたの子どもが得をするのだから、その負担はあなたがすべきだ」と考えている。だ
から隣人が、子どもの学費で四苦八苦していても、誰も同情しない。こういう冷淡さが積
もりに積もって、その負担は結局は、子どもをもつ親のところに集中する。
日本の教育制度は、欧米に比べて、三〇年は遅れている。その意識となると、五〇年は
遅れている。かつてジョン・レノンが日本の税関で身柄を拘束されたとき、彼はこう叫ん
だ。「こんなところで、子どもを育てたくない」と。「こんなところ」というのは、日本の
ことをいう。彼には彼なりの思いがいろいろあって、そう言ったのだろうが、それからほ
ぼ三〇年。この状態はいまだに変わっていない。もしジョン・レノンが生きていたら、き
っとこう叫ぶに違いない。「こんなところで、孫を育てたくない」と。私も三人の子どもを
もっているが、そのまた子ども、つまりこれから生まれてくるであろう孫のことを思うと、
気が重くなる。日本の少子化は、あくまでもその結果でしかない。
(参考)
※……東京地区私立大学教職員組合連合の調査(一九九九年)によると、関東圏内の三一
の私大に通う大学生のうち、約九三〇〇人の学生について調べたところ、次のようなこと
がわ
かったという。親の平均年収 ……一〇三四万円(前年度より二四万円減)
受験費、住居費、学費、仕送りの合計金額 ……三二二万円
子どものために借金した親 ……二八・〇%(自宅外通学のばあい)
親の平均借り入れ額 ……一七六万円
教育費の負担が「たいへん重い」と答えた親……四四・六%
このため、子どもの学費は、親の年収の三一・八%を占め、平均仕送り額は、一二万一
〇〇〇円。そこから家賃の五万六九〇〇円を差し引くと、自宅外通学生の生活費は六万四
〇〇〇円ということになる(以上一九九八年度)。
(参考)
●かたよった日本の行政予算
これは2001年度、静岡県浜松市における予算案だが、それによれば、歳出のうち、
土木費が25・0%、民生費が19・5%、公債費が12・1%、教育費が10・3%、
衛生費が9・4%、以下総務費9・3%、商工費4・5%、となっている。
教育費が少ないのはともかくも、土木費が25%(4分の1)というのは、世界的にみ
ても異常としか言いようがない。家計にたとえるなら、月収50万円の人が、毎月、13
万円ものお金を家や庭の増改築に使っているようなものだ。こうしたいびつな予算配分が、
結局は子どもをもつ親の負担となってはね返ってくることを忘れてはならない。
+++++以上、2001年ごろ書いた原稿より(中日新聞掲載済み)+++++
この中で、1999年の調査結果を書いた。
ここに出てくる数字と、今回公表された数字を比較してみたい。
【1999年】
スウェーデン9・0、カナダ8・2、アメリカ6・8)。日本はこの10年間、毎年4・5%
前後で推移している(UNESCO調べ)。
【2006年】(今回、公表)
アイスランド……7・2%
デンマーク、スウェーデンとつづき、
日本は、2005年の3・4%より、さらに0・1%さがり、3・3%。
とくに大学などの高等教育費は、0・5%と、各国平均の1%の半分以下!
『子ども、大学生、親、貧乏盛り』の意味は、ここにある。
今回政権を取った民主党は、これを5%にするといっている。
おおいに期待したい。
が、同時に、こんなことも言える。
私などは国民年金しかないので、死ぬまで働くしかないと思っている。
が、その一方で、月額30万円前後の年金を手にして、優雅な生活を楽しんでいる
老人も多い。
そういう老人個人には、責任はないが、こんな偏(かたよ)った行政予算をしている
国は、OECDの調査結果を見てもわかるように、この日本だけ。
どうして元公務員たちの年金が、私たちの5倍近くもあるのか!
最近、私の友人はこう言った。
「この日本では、自営業など、バカ臭くて、そのうちだれもしなくなるだろう」と。
ホント!
江戸時代の士農工商という身分制度が、形を変えて、そのまま現代の世界に復活している。
「士」だけが特権階級を形成し、残りの93~94%の民衆は、増税にあえぐ。
そのあたりから根本的に改善しないかぎり、結局はそのしわ寄せは、子どもをもつ
親にのしかかってくる。
それにしても、たったの3・3%とは!
その一方で、土木費が、25%!
どこの公共施設も、超の上に超がつくほど、立派。
豪華。
そんな施設の中で、何が、「育児相談会」だ。
笑わせるな!
Hiroshi Hayashi++++++++Feb.2010+++++++++はやし浩司
2010年2月11日木曜日
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