2010年2月5日金曜日

:Short Advices for Parents

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 彡彡人ミミ      彡彡彡彡彡
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凸/Σ▽乃q ・ ・ p ̄Σ▽乃 ̄` /
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 子育て最前線の育児論byはやし浩司      2月   5日号
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【1】(子育てのこと)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

●エビでタイを釣る
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「名前を書いてごらん」と声をかけると、体をこわばらせる子どもが、多い。年長児でも、
10人のうち、3、4人はいるのでは。中には、涙ぐんでしまう子どももいる。文字に対
して恐怖心をもっているからである。原因は、親の神経質で、強圧的な指導。この時期、
一度、文字嫌いにしてしまうと、あとがない。この時期は、子どもがどんな文字を書いて
も、それをほめる。読んであげる。そういう努力が、子どもを文字好きにする。まさに『エ
ビでタイを釣る』の要領である。

●子どもは、人の父
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空に虹を見るとき、私の心ははずむ。
私が子どものころも、そうだった。
人となった今も、そうだ。
願わくは、私は歳をとっても、
そうでありたい。
子どもは、人の父。
自然の恵みを受けて、
それぞれの日々が、そうであることを、
私は願う。

(ワーズワース・イギリスの詩人)

●冷蔵庫をカラにする
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子どもの小食で悩んだら、冷蔵庫をカラにする。ついでに食べ物の入った棚をカラにする。
そのとき、食べ物を、袋か何かに入れて、思い切って捨てるのがコツ。「もったいない」
と思ったら、なおさら、そうする。「もったいない」という思いが、つぎからの買い物グ
セをなおす。子どもの小食で悩んでいる家庭ほど、家の中に食べ物がゴロゴロしているも
の。そういう買い物グセが、習慣になっている。それを改める。

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●正しい発音で
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世界広しといえども、幼児期に、子どもに発音教育をしないのは、恐らく日本くらいなも
のではないか。日本人だから、ほうっておいても、日本語を話せるようになると考えるの
は、甘い。子どもには、正しい発音で、息をふきかけながら話すとよい。なお文字学習に
先立って、音の分離を教えておくとよい。たとえば、「昨日」は、「き・の・う」と。そ
のとき、手をパンパンと叩きながら、一音ずつ、子どもの前で、分離してやるとよい。

●よい先生は、1、2歳年上の子ども
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子どもにとって、最高の先生は、1、2歳年上で、めんどうみがよく、やさしい子ども。
そういう子どもが、身近にいたら、無理をしてでも、そういう子どもと遊んでもらえるよ
うにするとよい。「無理をして」というのは、親どうしが友だちになるつもりで、という
意味。あなたの子どもは、その子どもの影響を受けて、すばらしく伸びる。

●ぬり絵のすすめ
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手の運筆能力は、丸を描かせてみるとわかる。運筆能力のある子どもは、スムーズで、き
れいな丸を描く。そうでない子どもは、ぎこちない、多角形に近い丸をかく。もしあなた
の子どもが、多角形に近い丸を描くようなら、文字学習の前に、塗り絵をしてくとよい。
小さなマスなどを、縦線、横線、曲線などをまぜて、たくみに塗れるようになればよし


●ガムをかませる
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もう15年ほど前のことだが、アメリカの「サイエンス」と雑誌に、「ガムをかむと、頭
がよくなる」という研究論文が発表された。で、その話を、年中児をもっていた母親に話
すと、「では」と言って、自分の子どもにガムをかませるようになった。で、それから4、
5年後。その子どもは、本当に頭がよくなってしまった。それからも、私は、何度も、ガ
ムの効用を確認している。この方法は、どこかボーッとして、生彩のない子どもに、とく
に効果的である。

●マンネリは、知能の大敵
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変化は、子どもの知的能力を刺激する。その変化を用意するのは、親の役目。たとえばあ
る母親は、一日とて、同じ弁当をつくらなかった。その子どもは、やがて日本を代表する、
教育評論家になった。こわいのは、マンネリ化した生活。なお一般論として、よく「転勤
族の子どもは、頭がいい」という。それは転勤という変化が、子どもの知能によい刺激に
なっているからと考えられる。

●本は、抱きながら読む
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子どもに本を読んであげるときは、子どもを抱き、暖かい息をふきかけながら、読んであ
げるとよい。子どもは、そういうぬくもりを通して、本の意味や文字のすばらしさを学ぶ。
こうした積み重ねがあってはじめて、子どもは、本好きになる。なお、「読書」は、あら
ゆる学習の基本となる。アメリカには、「ライブラリー」という時間があって、読書指導
を、学校教育の基本にすえている。

●何でも握らせる
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子どもには、何でも握らせるとよい。手指の感覚は、そのまま、脳細胞に直結している。
その感触が、さらに子どもの知的能力を発達させる。今、ものを与えても、手に取らない
子どもがふえている。(あくまでも、私の印象だが……。)反面、好奇心が旺盛で、頭の
よい子どもほど、ものを手にとって調べる傾向が強い

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●才能は見つけるもの
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子どもの才能は、つくるものではなく、見つけるもの。ある女の子は、2歳くらいのとき
には、風呂にもぐって遊んでいた。そこで母親が水泳教室に入れてみると、水を得た魚の
ように泳ぎ出した。そのあとその女の子は、高校生のときには、総体に出るまでに成長し
た。また別の男の子(年長児)は、スイッチに興味をもっていた。そこで父親がパソコン
を買ってあげると、小学3年生のときには、自分でプログラムを組んでゲームをつくるよ
うにまでなった。子どもの才能を見つけたら、時間とお金を惜しみなく注ぐのがコツ。

●してくれ言葉に注意
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日本語の特徴かもしれない。しかし日本人は、何かを食べたいときも、「食べたい」とは
言わない。「おなかが、すいたア。(だから何とかしてくれ)」というような言い方をす
る。ほかに、「たいくつウ~(だから何とかしてくれ)」「つまらないイ~(だから何と
かしてくれ)」など。老人でも、若い人に向って、「私も歳をとったからねエ~(だから
大切にしてほしい)」というような言い方をする。日本人が、依存性の強い民族だと言わ
れる理由の一つは、こんなところにもある。

●人格の完成度は、共鳴性でみる
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他人の立場で、その他人の心の中に入って、その人の悲しみや苦しみを共有できる人のこ
とを、人格の完成度の高い人という。それを共鳴性という(サロヴェイ・「EQ論」)。
その反対側にいる人を、ジコチューという。つまり自己中心的であればあるほど、その人
の人格の完成度は、低いとみる。ためしにあなたの子どもの前で、重い荷物をもって歩い
てみてほしい。そのときあなたの子どもが、さっと助けにくればよし。そうでなく、知ら
ぬフリをしているようなら、人格の完成度は、低いとみる。

●平等は、不平等
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下の子が生まれると、そのときまで、100%あった、親の愛情が、半減する。親からみ
れば、「平等」ということになるが、上の子からみれば、50%になったことになる。上
の子は、欲求不満から、嫉妬したり、さらには、心をゆがめる。赤ちゃんがえりを起こす
こともある。それまでしなかった、おもらしをしたり、ネチネチ甘えたりするなど。下の
子に対して攻撃的になることもある。嫉妬がからんでいるだけに、下の子を殺す寸前まで
のことをする。平等は、不平等と覚えておくとよい。

●イライラゲームは、避ける
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ゲームにもいろいろあるが、イライラが蓄積されるようなゲームは、幼児には、避ける。
動きが速いだけの、意味のないゲームも避ける。とくに、夕食後から、就眠するまでの間
は、禁物。以前だが、夜中に飛び起きてまで、ゲームをしていた子ども(小5)がいた。
そうなれば、すでに(ビョーキ)と言ってもよい。子どもには、さまざまな弊害が現れる。
「ゲーム機器は、パパのもの。パパの許可をもらってから遊ぶ」という前提をつくるのも
よい。遊ばせるにしても、時間と場所を、きちんと決める

●おもちゃは、一つ
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あと片づけに悩んでいる親は、多い。そういうときは、『おもちゃは、一つ』と決めてお
くとよい。「つぎのおもちゃで遊びたかったら、前のおもちゃを片づける」という習慣を
大切にする。子どもは、つぎのおもちゃで遊びたいがため、前のおもちゃを片づけるよう
になる。

●何でも半分
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子どもに自立を促すコツがこれ。『何でも半分』。たとえば靴下でも、片方だけをはかせ
て、もう片方は、子どもにはかせる。あるいは途中まではかせて、あとは、子どもにさせ
る。これは子どもを指導するときにも、応用できる。最後の完成は、子どもにさせ、「じ
ょうずにできるようになったわね」と言って、ほめてしあげる。手のかけすぎは、子ども
のためにならない。

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●(核)攻撃はしない
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子どもの人格そのものに触れるような、攻撃はしない。たとえば「あなたは、やっぱりダ
メ人間よ」「あんたなんか、人間のクズよ」「あんたさえいなければ」と言うなど。こう
した(核)攻撃が日常化すると、子どもの精神の発達に、さまざまな弊害が現われてくる。
子どもを責めるとしても、子ども自身が、自分の力で解決できる範囲にする。子ども自身
の力では、どうにもならないことで責めてはいけない。それが、ここでいう(核)攻撃と
いうことになる。

●引き金は引かない
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仮に心の問題の「根」が、生まれながらにあるとしても、その引き金を引くのは、親とい
うことになる。またその「根」というのは、だれにでもある。またそういう前提で、子ど
もを指導する。たとえば恐怖症にしても、心身症にしても、そういった状況におかれれば、
だれでも、そうなる。たった一度、はげしく母親に叱られたため、その日を境に、一人二
役の、ひとり言をいうようになってしまった女の子(2歳児)がいた。乳幼児の子どもほ
ど、穏やかで、心静かな環境を大切にする。

●二番底、三番底に注意
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子どもに何か問題が起きると、親は、そのときの状態を最悪と思い、子どもをなおそうと
する。しかしその下には、二番底、さらには三番底があることを忘れてはいけない。たと
えば門限を破った子どもを叱ったとする。しかしそのとき叱り方をまちがえると、外泊(二
番底)、さらには家出(三番底)へと進んでいく。さらに四番底もある。こうした問題が
起きたら、それ以上、状況を悪くしないことだけを考えて、半年、1年単位で様子をみる。

●あきらめは、悟りの境地
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押してもダメ、引いても、ダメ。そういうときは、思い切ってあきらめる。が、子どもと
いうのは、不思議なもの。あきらめたとたん、伸び始める。親が、「まだ何とかなる」「こ
んなはずはない」とがんばっている間は、伸びない。が、あきらめたとたん、伸び始める。
そこは、おおらかで、実にゆったりとした世界。子育てには、行きづまりは、つきもの。
そういうときは、思い切って、あきらめる。そのいさぎのよさが、子どもの心に風穴をあ
ける。

●許して、忘れる
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英語では、『FOR・GIVE(許す)& FOR・GET(忘れる)』という。この単
語をよく見ると、(何かを与えるために、許し、何かを得るために、忘れる)とも読める。
何を、か? 言うまでもなく、「愛」である。親は子育てをしながら、幾多の山を越え、
谷を越える。それはまさしく、「許して忘れる」の連続。その度量の深さによって、親の
愛の深さが決まる。カベにぶつかったら、この言葉を思い出してみてほしい。あなたも、
その先に、一筋の光明を見るはずである。

●子育て、自由論
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子育ての要(かなめ)は、「自由」。「自らに由らせる」。だから自由というのは、自分
で考えさせる。自分で行動させる。そして自分で責任を取らせることを意味する。好き勝
手なことを、子どもにさせることではない。親の過干渉は、子どもから考える力をうばう。
親の過保護は、子どもから、行動力をうばう。そして親のでき愛は、子どもから責任感を
うばう。子育ての目標は、子どもを自立させること。それを忘れてはいけない。

●旅は、歩く
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便利であることが、よいわけではない。便利さに甘えてしまうと、それこそ生活が、地に
足がつかない状態になる。……というだけではないが、たとえば旅に出たら、歩くように
心がけるとよい。車の中から、流れるようにして見る景色よりも、一歩、一歩、歩きなが
ら、見る景色のほうが、印象に強く残る。しかし、これは人生そのものに通ずる、大鉄則
でもある。いかにして、そのときどきにおいて、地に足をつけて生きるか。そういうこと
も考えながら、旅に出たら、ゆっくりと歩いてみるとよい。

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●指示は具体的に
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「友だちと仲よくするのですよ」「先生の話をしっかりと聞くのですよ」と子どもに言っ
ても、ほとんど、意味がない。具体性がないからである。そういうときは、「これを○君
にもっていってあげてね。○君、きっと喜ぶわよ」「学校から帰ってきたら、先生がどん
な話をしたか、あとでママに話してね」と言う。子どもに与える指示には、具体性をもた
せるとよい。

●休息を求めて疲れる
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イギリスの格言に、『休息を求めて疲れる』というのがある。愚かな生き方の代名詞にも
なっている格言である。幼稚園教育は小学校へ入学するため。小学校教育は、中学校へ入
学するため。中学校や高校教育は、大学へ入学するため……、というのが、その愚かな生
き方になる。やっと楽になったと思ったら、人生が終わっていたということにもなりかね
ない。

●子どもの横を歩く
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親には、三つの役目がある。ガイドとして、子どもの前を歩く。保護者として、子どもの
うしろを歩く。そして友として、子どもの横を歩く。日本人は、概して言えば、ガイドと
保護者は得意。しかし友として、子どもの横を歩くのが苦手。もしあなたがいつも、子ど
もの手を引きながら、「早く」「早く」と言っているようなら、一度、子どもの歩調に合
わせて、ゆっくりと歩いてみるとよい。それまで見えなかった、子どもの心が、あなたに
も、見えてくるはず。

●先生の悪口は言わない
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学校から帰ってきて子どもが先生の悪口を言ったり、批評したりしても、決して、相づち
を打ったり、同意したりしてはいけない。「あなたが悪いからでしょう」「あの先生は、
すばらしい人よ」と、それをはねかえす。親が先生の悪口を言ったりすると、子どもはそ
の先生に従わなくなる。これは学校教育という場では、決定的にまずい。もし先生に問題
があるなら、子どもは関係のない世界で、処理する。

●子育ては、自分で楽しむ
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子どもを伸ばすコツは、子どものことは、あまり意識せず、親が楽しむつもりで、楽しむ。
その楽しみの中に、子どもを巻き込むようにする。つまり自分が楽しめばよい。子どもの
機嫌をとったり、歓心を買うようなことは、しない。コビを売る必要もない。親が楽しむ。
私も幼児にものを教えるときは、自分がそれを楽しむようにしている。

●ウソは、ていねいにつぶす
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子どもの虚言にも、いろいろある。頭の中で架空の世界をつくりあげてしまう空想的虚言、
ありもしないことを信じてしまう妄想など。イギリスの教育格言にも、『子どもが空中の
楼閣に住まわせてはならない』というのがある。過関心、過干渉などが原因で、子どもは、
こうした妄想をもちやすくなる。子どもがウソをついたら、叱っても意味はない。ますま
すウソがうまくなる。子どもがウソをついたら、あれこれ問いかけながら、静かに、てい
ねいに、それをつぶす。そして言うべきことは言っても、あとは、無視する

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●本物を与える
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子どもに見せたり、聞かせたり、与えたりするものは、いつも、本物にこころがける。絵
でも、音楽でも、食べ物でも、である。今、絵といえば、たいはんの子どもたちは、アニ
メの主人公のキャラクターを描く。歌といっても、わざと、どこか音のずれた歌を歌う。
食べ物にしても、母親が作った料理より、ファミリーレストランの料理のほうが、おいし
いと言う。こういう環境で育つと、人間性まで、ニセモノになってしまう(?)。今、外
からの見栄えばかり気にする子どもがふえているので、ご注意!

●ほめるのは、努力とやさしさ
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子どもは、ほめて伸ばす。それはそのとおりだが、ほめるのは、子どもが努力したときと、
子どもがやさしさを見せたとき。顔やスタイルは、ほめないほうがよい。幼いときから、
そればかりをほめると、関心が、そちらに向いてしまう。また「頭」については、慎重に。
「頭がいい」とほめすぎるのも、またまったくほめないのも、よくない。ときと場所をよ
く考えて、慎重に!

●親が前向きに生きる
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親自身に、生きる目的、方向性、夢、希望があれば、よし。そういう姿を見て、子どもも
また、前向きに伸びていく。親が、生きる目的もない。毎日、ただ何となく生きていると
いう状態では、子どももまた、その目標を見失う。それだけではない。進むべき目的をも
たない子どもは、悪の誘惑に対して抵抗力を失う。子育てをするということは、生きる見
本を、親が見せることをいう。生きザマの見本を、親が見せることをいう。

●機嫌はとらない
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子どもに嫌われるのを恐れる親は、多い。依存性の強い、つまりは精神的に未熟な親とみ
る。そして(子どもにいい思いをさせること)イコール、(子どもをかわいがること)と
誤解する。子どもがほしがりそうなものを買い与え、それで親子のキズナは太くなったは
ずと考えたりする。が、実際には、逆効果。親は親として……というより、一人の人間と
して、き然と生きる。子どもは、そういう親の姿を見て、親を尊敬する。親子のキズナも、
それで太くなる。

●うしろ姿の押し売りはしない
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生活で苦労している姿……それを日本では、「親のうしろ姿」という。そのうしろ姿を、
親は見せたくなくても、見せてしまうものだが、しかしそのうしろ姿を、子どもに押し売
りしてはいけない。つまり恩着せがましい子育てはしない。「産んでやった」「育ててや
った」「お前を大きくするために、私は犠牲になった」と。うしろ姿の押し売りは、やが
て親子関係を、破壊する。

●親孝行は美徳にあらず
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日本では、親孝行を当然の美徳とするが、本当にそうか? 「お前の人生は、お前のもの。
私たちのことは心配しなくていいから、思う存分、この世界をはばたいてみろ」と、一度
は、子どもの背中をたたいてあげてこそ、親は、親としての責任を果たしたことになる。
もちろんそのあと、子どもが自分で考えて、親孝行するというのであれば、それはそれ。
しかし親孝行は美徳でも何でもない。子どもにそれを強要したり、求めたりしてはいけな


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●「偉い」を廃語に!
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「偉い」という言葉を、廃語にしよう。日本では、地位の高い人や、何かの賞をとった人
を、「偉い人」という。しかし英語国では、日本人が、「偉い人」と言いそうなとき、「リ
スペクティド・マン」という。「尊敬される人」という意味である。リスペクティド・マ
ンというときは、地位や、名誉には関係ない。その人自身の中身を見て、そう判断する。
あなたの子どもには、「偉い人になれ」と言うのではなく、「尊敬される人になれ」と言
おう。

●家族を大切に
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『オズの魔法使い』という、小説がある。あの中で、ドロシーという女の子は、幸福を求
めて、虹の向こうにあるというエメラルドタウンを冒険する。しかし何のことはない。や
がてドロシーは、真の幸福は、すぐそばの家庭の中にあることを知る。今、「家族が一番
大切」と考える人が、80~90%になっている。99年の文部省の調査では、40%前
後でしかなかったから、これはまさにサイレント革命というにふさわしい。あなたも自信
をもって、子どもには、こう言おう。「この世界で、一番大切なものは、家族です」と。

●迷信を否定しよう
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子どもたちの世界では、今、占い、まじない、予言、超能力などが、大流行。努力して、
自ら立ちあがるという姿勢が、ますます薄らいできている。中には、その日の運勢に合わ
せて行動し、あとで、「運勢が当たった」と言う子どもさえいる。(自分で、そうしただ
けなのだが……。)子どもが迷信らしいことを口にしたら、すかさず、「そんなのはウソ」
と言ってやろう。迷信は、まさに合理の敵。迷信を信ずるようになればなるほど、子ども
は、ものごとを合理的に考える力を失う。

●死は厳粛に
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ペットでも何でも、死んだら、その死は厳粛にあつかう。そういう姿を見て、子どもは、
「死」を学び、ついで、「生」を学ぶ。まずいのは、紙か何かに包んで、ゴミ箱に捨てる
ような行為。決して遊んだり、茶化したりしてはいけない。子どもはやがて、生きること
そのものを、粗末にするようになるかもしれない。なぜ、ほとんどの宗教で、葬儀を重要
な儀式と位置づけているかと言えば、それは死を弔(とむら)うことで、生きることを大
切にするためである。生き物の死は、厳粛に。どこまでも厳粛に。

●悪玉親意識
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「私は親だ」というのが、親意識。この親意識にも、二種類をある。善玉親意識と、悪玉
親意識である。「私は親らしく、子どもの見本になろう」「子どもをしっかりと育てて、
親の責任をはたそう」というのが、善玉親意識。一方、「親に向かって何よ!」と、子ど
もに対して怒鳴り散らすのが、悪玉親意識。いわゆる『親風を吹かす』ことをいう。なお
親は絶対と考えるのを、「親・絶対教」という。

●達成感が子どもを伸ばす
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「ヤッター!」という達成感が、子どもを伸ばす。そんなわけで子どもが幼児のうちは、
(できる・できない)という視点ではなく、(がんばってやった・やらない)という視点
で子どもを見る。たとえまちがっていても、あるいは不十分であっても、子どもががんば
ってしたようなら、「よくやったわね」とほめて終わる。こまごまとした神経質な指導は、
子どもをつぶす。

●子どもは、下から見る
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子育てで行きづまったら、子どもは、下から見る。「下を見ろ」ではない。「下から見る」。
今、ここに生きているという原点から見る。そうすると、すべての問題が解決する。昔の
人は、こう言った。『上見て、キリなし。下見て、キリなし』と。つまり上ばかり見てい
ると、人間の欲望には、際限がなく、いつまでたっても、安穏とした世界はやってこない。
しかし生きているという原点から見ると、とたんに、すべての世界が平和になる。子育て
も、また同じ

●失敗にめげず、前に進む
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「宝島」という本を書いたのが、スティーブンソン。そのスティーブンソンがこんな言葉
を残している。『我らが目的は、成功することではない。我らが目的は、失敗にめげず、
前に進むことである』と。もしあなたの子どもが何かのことでつまずいて、苦しんでいた
ら、そっとそう言ってみてほしい。「あなたの目的は、成功することではない。失敗にめ
げず、前に進むことですよ」と。

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●すばらしいと言え、親の仕事
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親の仕事は、すばらしいと言う。それを口ぐせにする。どんな仕事でも、だ。仕事に上下
はない。あるはずもない。しかしこの日本には、封建時代の身分制度の名残というか、い
まだに、職業によって相手を判断するという風潮が、根強く残っている。が、それだけで
はない。生き生きと仕事をしている親の姿は、子どもに、大きな安心感を与える。その安
心感が、子どもの心を豊かに育てる。

●逃げ場を大切に
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どんな動物にも、最後の逃げ場というのがある。その逃げ場に逃げこむことによって、身
の安全をはかり、心をいやす。子どもも、またしかり。子どもがその逃げ場へ入ったら、
親は、そこを神聖不可侵の場と心得て、そこを荒らすようなことをしてはいけない。たい
ていは子ども部屋ということになるが、その子ども部屋を踏み荒らすようなことをすると、
今度は、「家出」ということにもなりかねない

●代償的過保護に注意
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過保護というときは、その背景に、親の濃密な愛情がある。しかし代償的過保護には、そ
れがない。子どもを親の支配下において、親の思いどおりにしたいというのを代償的過保
護という。いわば親自身の心のスキマを埋めるための、親の身勝手な過保護をいう。子ど
もの受験競争に狂奔している親が、それにあたる。「子どものため」と言いながら、子ど
ものことなど、まったく考えていない。ストーカーが、好きな相手を追いかけまわすよう
なもの。私は「ストーカー的愛」と呼んでいる。

●同居は、出産前から
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夫(妻)の両親との同居を考えるなら、子どもの出産前からするとよい。私の調査でも、
出産前からの同居は、たいていうまくいく(90%)。しかしある程度、子どもが大きく
なってからの同居は、たいてい失敗する。同居するとき、母親が苦情の一番にあげるのが、
「祖父母が、子どもの教育に介入する」。同居するにしても、祖父母は、孫の子育てにつ
いては、控えめに。それが同居を成功させる、秘訣のようである。

●無能な親ほど規則を好む
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イギリスの教育格言に、『無能な教師ほど、規則を好む』というのがある。家庭でも、同
じ。『無能な親ほど、規則を好む』。ある程度の約束ごとは、必要かもしれない。しかし
最小限に。また規則というのは、破られるためにある。そのつど、臨機応変に考えるのが、
コツ。たとえば門限にしても、子どもが破ったら、そのつど、現状に合わせて調整してい
く。「規則を破ったから、お前はダメ人間だ」式の、人格攻撃をしてはいけない。

●プレゼントは、買ったものは、ダメ
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できれば……、今さら、手遅れかもしれないが、誕生日にせよ、クリスマスにせよ、「家
族どうしのプレゼントは、買ったものはダメ」というハウス・ルールを作っておくとよい。
戦後の高度成長期の悪弊というか、この日本でも、より高価であればあるほど、いいプレ
ゼントということになっている。しかしそれは誤解。誤解というより、逆効果。家族のキ
ズナを深めたかったら、心のこもったプレゼントを交換する。そのためにも、「買ったも
のは、ダメ」と。

●子育ては、質素に
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子育ての基本は、「質素」。ときに親は、ぜいたくをすることがあるかもしれない。しか
し、そういうぜいたくは、子どもの見えない世界ですること。一度、ぜいたくになれてし
まうと、子どもは、あともどりができなくなってしまう。そのままの生活が、おとなにな
ってからも維持できればよし。そうでなければ、苦しむのは、結局は子ども自身というこ
とになる。

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●ズル休みも、ゆとりのうち
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子どもが不登校を起こしたりすると、たいていの親は、狂乱状態になる。そのときのため
というわけでもないが、自分の中に潜む、学歴信仰や学校神話とは、今から戦っていく。
その一つの方法が、「ズル休み」。ときには、園や学校をズル休みさせて、親子で、旅行
に行く。平日に行けば、動物園でも遊園地でも、ガラガラ。あなたは、言いようのない解
放感を味わうはず。「そんなことできない!」と思っている人ほど、一度、試してみると
よい。

●ふつうこそ、最善
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ふつうであることには、すばらしい価値がある。しかし、親たちには、それがわからない。
「もっと……」「もう少し……」と思っている間に、かえって子どもの伸びる芽をつんで
しまう。よい例が、過干渉であり、過関心である。さらに親の過剰期待や、子どもへの過
負担もある。賢い親は、そのふつうの価値に、それをなくす前に気づき、そうでない親は、
それをなくしてから気づく。

●限界を知る
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子育てには、限界はつきもの。いつも、それとの戦いであると言ってもよい。子どもとい
うのは不思議なもので、親が、「まだ、何とかなる」「こんなはずではない」「うちの子
は、やればできるはず」と思っている間は、伸びない。しかし親が、「まあ、うちの子は、
こんなもの」「よくがんばっている」と、その限界を認めたとたん、伸び始める。皮肉な
ことに、親がそばにいるだけで、萎縮してしまう子どもも、少なくない。

●ほどよい親
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子どもには、いつも、ほどよい親であること。あるいは「求めてきたときが、与えどき」
と覚えておくとよい。とくに、子どもが何らかの(愛の確認行為)をしてきたときは、す
かさず、いとわず。ていねいに、それに応じてあげる。ベタベタの親子関係がよくないこ
とは、言うまでもない。

●子どもの世界は、社会の縮図
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子どもの世界だけを見て、子どもの世界だけを何とかしようと考えても、意味はない。子
どもの世界は、まさに社会の縮図。社会に4割の善があり、4割の悪があるなら、子ども
の世界にも、4割の善があり、4割の悪がある。つまり私たちは子育てをしながらも、同
時に、社会にも目を向けなければならない。子どもがはじめて覚えたカタカナが、「ホテ
ル」であったり、「セックス」であったりする。そういう社会をまず、改める。子どもの
教育は、そこから始まる。

●よき家庭人
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日本では、「立派な社会人」「社会に役立つ人」が、教育の柱になっていた。しかし欧米
では、伝統的に、「よき家庭人(Good family man )」を育てるのが、教育の柱になって
いる。そのため学習内容も、実用的なものが多い。たとえば中学校で、小切手の切り方(ア
メリカ)などを教える。ところで隣の中国では、「立派な国民」という言葉がもてはやさ
れている。どこか戦後直後の日本を思い出させる言葉である。

●読書が教育の要
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アメリカには、「ライブラリー」という時間がある。週1回は、たいていどこの学校にも
ある。つまり、読書指導の時間である。ふつうの教科は、学士資格で教壇に立つことがで
きるが、ライブラリーの教師だけは、修士号以上の資格が必要である。ライブラリーの教
師は、毎週、その子どもにあった本を選び、指導する。日本でも、最近、読書の重要性が
見なおされてきている。読書は、教育の要である。

●教師言葉に注意
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教師というのは、子どもをほめるときは、本音でほめる。だから学校の先生に、ほめられ
たら、額面どおり受け取ってよい。しかしその反対に、何か問題のある子どもには、教師
言葉を使う。たとえば学習面で問題のある子どもに対しては、「運動面では問題ないです
が……」「私の指導力が足りないようです」「この子には、可能性があるのですが、今は、
まだその力を出し切っていませんね」というような言い方をする。

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●先取り教育は、幼児教育にあらず
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幼児教育というと、小学校でする勉強を先取りしてする教育だとか、あるいは小学校の入
学準備のための教育と考えている人は多い。そのため漢字を教えたり、掛け算の九九を教
えたりするのが、幼児教育と思っている人も多い。しかしこれは、まったくの誤解。幼児
期には幼児期で、しておくべきことが、山のようにある。子どもの方向性も、このころ決
まる。その方向性を決めるのが、幼児教育である。

●でき愛は愛にあらず
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でき愛を、「愛」と誤解している人は多い。しかしでき愛は、愛ではない。親の心のスキ
マをうめるための、親の身勝手な愛。それをでき愛という。いわばストーカーがよく見せ
る「愛?」とよく似ている。たとえば子どもの受験勉強に狂奔している親も、それにあた
る。「子どものことを心配している」とは言うが、本当は、自分の不安や心配を解消する
ための道具として、子どもを利用しているだけ。そしてベタベタの親子関係をつづけなが
ら、かえって子どもの自立をzちゃましてしまう。

●悪玉家族意識
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家族のもつの重要性は、いまさら説明するまでもない。しかしその家族が、反対に、独特
の束縛性(家族自我群)をもつことがある。そしてその家族に束縛されて、かえってその
家族が、自立できなくなってしまうことがある。あるいは反対に、「親を捨てた」という
自責の念から、自己否定してしまう人も少なくない。家族は大切なものだが、しかし安易
な論理で、子どもをしばってはいけない。

●伸びたバネは縮む
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受験期にさしかかると、猛烈な受験勉強を強いる親がいる。塾に、家庭教師に、日曜特訓
など。毎週、近くの公園で、運動の特訓をしていた父親さえいた。しかしこうした(無理)
は、一事的な効果はあっても、そのあと、その反動で、かえって子どもの成績はさがる。
「伸びたバネはちぢむ」と覚えておくとよい。イギリスの教育格言にも、『馬を水場に連
れていくことはできても、水を飲ませることはできない』というのがある。その格言の意
味を、もう一度、考えてみてほしい。

●利他度でわかる人格の完成度
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あなたの子どもの前で、重い荷物をもって、苦しそうに歩いてみてほしい。そのとき、「マ
マ、もってあげる!」と走りよってくればよし。反対に、知らぬ顔をして、テレビゲーム
などに夢中になってれば、あなたの子どもは、かなりのどら息子と考えてよい。子どもの
人格(おとなも!)、いかに利他的であるかによって、知ることができる。つまりドラ息
子は、それだけ人格の完成度の低い子どもとみる。勉強のできるできないは、関係ない。

●見栄、体裁、世間体
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私らしく生きるその生き方の反対にあるのが、世間体意識。この世間体に毒されると、子
どもの姿はもちろんのこと、自分の姿さえも、見失ってしまう。そしてその幸福感も、「と
なりの人より、いい生活をしているから、私は幸福」「となりの人より悪い生活をしてい
るから、私は不幸」と、総体的なものになりやすい。もちろん子育ても、大きな影響を受
ける。子どもの学歴について、ブランド志向の強い親は、ここで一度、反省してみてほし
い。あなたは自分の人生を、自分のものとして、生きているか、と。

●私を知る
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子育ては、本能ではなく、学習である。つまり今、あなたがしている子育ては、あなたが
親から学習したものである。だから、ほとんどの親は、こう言う。「頭の中ではわかって
いるんどえすが、ついその場になると、カッとして……」と。そこで大切なことは、あな
た自身の中の「私」を知ること。一見簡単そうだが、これがむずかしい。スパルタのキロ
ンもこう言っている。「汝自身を、知れ」と。哲学の究極の目標にも、なっている。

●知識はメッキ
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知識と思考力は、はっきりと区別する。もの知りな子どもイコール、賢い子どもというこ
とではない。もちろん人格的に高邁(こうまい)ということにもならない。脳みその中で
も、使う部分そのものがちがう。大切なのは、思考力。自分で考える力である。それをみ
て、その子どもの能力を判断する。

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●作文の前に速書きを
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計算力は、算数の力の基礎である。計算力があるからといって、算数の力があるというこ
とにはならない。しかし計算力がないと、算数の力を下へ引っ張ってしまう。同じように、
速書きは、作文力(表現力)の基礎である。速く書くことができるからといって、作文力
があるということにはならない。しかし速く書くことができないと、作文力を発揮できな
い。小1~2レベルで、15分間に、100~150文字を筆写できるようにするのを目
標とする。

●国語力が学力の基礎
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理科は、理科的な国語、社会は、社会的な国語と考える。国語力(読解力、理解力、表現
力)のあるなしは、すべての科目に大きな影響を与える。「本を読む」、つまり読書の重
要性は、今さら説明するまでもない。方法としては、大きな図書館で、子どもを自由に遊
ばせてみるとよい。それを定期的な習慣にする。

●会話は正しい日本語で
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「ほら、バス、バス、バスよ」ではなく、「もうすぐ、バスが来ます。あなたは外に立っ
て、バスを待ちます」と言う。こうした正しい言い方が、子どもの国語力の基礎となる。
子どもの国語力は、親、とくに母親が決める。なおこうした語りかけは、生後直後から始
める。赤ちゃん言葉(ウマウマ、ブーブーなど)、幼稚語(ワンワン、ニャーゴなど)は、
避ける。

●思考は作文力で
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これだけ視覚情報(テレビやゲーム)が多い中、さらにその上、右脳教育をあえてする必
要はないのではないか。それよりも大切なのは、分析力、論理的な思考力。こうした能力
は左脳が司っていると言われている。その分析力、思考力は、左脳が司る。分析力、思考
力を養うには、作文が第一。作文に始まって、作文に終わる。ものを書くという習慣を大
切に。

●思考と情報は分ける
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もの知りだからといって、その子どもに思考力があるということにはならない。かけ算の
九九をペラペラと口にしたからといって、その子どもに算数の力があるということにはな
らない。思考と情報は、いつも分けて考える。思考力のある子どもの目つきは、いつも深
く、静かに落ち着いている。

●「文化」は心の精神力
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その人(子ども)の精神的な深みは、日ごろの文化性で決まる。何かの事件に遭遇したと
き、あわてふためいて、ボロを出す人もいれば、そうでない人もいる。そのためにも、子
どもには、日ごろから、本物を見せておく。絵画でも音楽でも、さらに子どもが読む絵本
にしても、本物を見せておく。そういう日ごろの姿勢が、子どもの中の文化性を高める。
それが精神的な深みとなって、その人(子ども)を側面から支える。

●反面教師のゴーストに注意
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あなたの周囲にも、反面教師と呼んでよいような人がいるかもしれない。ひょっとしたら、
あなたの親が、そうであるかもしれない。人は(子どもも)、反面教師を教師として、自
分を高めることができるが、対処のし方を誤ると、あなた自身が、いつかその反面教師そ
っくりの人間になることもある。これを「ゴースト」という。反面教師がいても、批判の
ための批判だけに終わってはいけない。どこかでその人を乗り越える努力を忘れてはいけ
ない。

●子供の叱り方
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日本人は、親子の密着度、とくに母子の密着度が、高い。そのため母親は、自分の子供を
客観的に見ることができない。できない分だけ、叱るとき、とまどう。つまり自分の子供
のできの悪いのは、自分のせいと考えてしまう。とくに他人に自分の子供の批判を許さな
い。自分自身がけなされたかのように思ってしまう。子供の叱り方で悩んだら、母子関係
の密着度が高すぎないかも反省してみる。

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○受験は、淡々と
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子ども(幼児)の受験は、淡々と。合格することを考えて準備するのではなく、不合格に
なったときのことを考えて、準備する。この時期、一度、それをトラウマにすると、子ど
もは生涯にわたって、自ら「ダメ人間」のレッテルを張ってしまう。そうなれば、大失敗
というもの。だから受験は、不合格のときを考えながら、準備する。

○比較は、要注意
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情報交換はある程度までは必要だが、しかしそれ以上の、深い親どうしの交際は、避ける。
できれば、必要な情報だけを集めて、交際するとしても、子どもの受験とは関係ない人と
する。「受験」の魔力には、想像以上のものがある。一度、この魔力にとりつかれると、
かなり精神的にタフな人でも、自分を自分を見失ってしまう。気がついたときには、狂乱
状態に……ということにも、なりかねない。

○すべる、落ちるは禁句
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子どもの前では、「受験」「入試」「合格」「不合格」「落ちる」「すべる」などの用語
を口にするのは、タブーと思うこと。入試に向かうとしても、子どもに楽しませるような
お膳立ては、必要である。「今度、お母さんがお弁当つくってあげるから、いっしょに行
きましょうね」とか。またそういう雰囲気のほうが、子どもも伸び伸びとできる。また結
果も、よい。

○入試内容に迎合しない
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たまに難しい問題が出ると、親は、それにすぐ迎合しようとする。たとえば前年度で、球
根の名前を聞かれるような問題が出たとする。するとすぐ、親は、「では……」と。しか
し大切なことは、物知りな子どもにすることではなく、深く考える子どもにすることであ
る。わからなかったら、すなおに「わかりません」と言えばよい。試験官にしても、そう
いうすなおさを、試しているのである。

○子どもらしい子どもに
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子どもは子どもらしい子どもにする。すなおで、明るく、伸びやかで、好奇心が旺盛で、
生活力があって……。すなおというのは、心の状態と、表情が一致している子どもをいう。
ねたむ、いじける、すねる、ひねくれるなどの症状のない子どもをいう。そういう子ども
を目指し、それでダメだというのなら、そんな学校は、こちらから蹴とばせばよい。それ
くらいの気構えは、親には必要である。

○デマにご用心
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受験期になると、とんでもないデマが飛びかう。「今年は、受験者数が多い」「教員と親
しくなっておかねば不利」「裏金が必要」などなど。親たちの不安心理が、さらにそうし
たデマを増幅させる。さらに口から口へと伝わっていく間に、デマ自身も大きくなる。こ
ういうのを心理学の世界でも、「記憶錯誤」という。子どもよりも、おとなのほうが、し
かも不安状態であればあるほど、その錯誤が大きくなることが知られている。

○成功率(達成率)は、50%
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子どもが、2回トライして、1回は、うまくいくようにしむける。毎回、成功していたの
では、子どもも楽しくない。しかし毎回失敗していたのでは、やる気をなくす。だから、
その目安は、50%。その50%を、うまく用意しながら、子どもを誘導していく。そし
ていつも、何かのレッスンの終わりには、「ほら、ちゃんとできるじゃ、ない」「すばら
しい」と言って、ほめて仕あげる。

○無理、強制
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無理(能力を超えた負担)や強制(強引な指導)は、一時的な効果はあっても、それ以上
の効果はない。そればかりか、そのあと、その反動として、子どもは、やる気をなくす。
ばあいによっては、燃え尽きてしまったり、無気力になったりすることもある。そんなわ
けで、『伸びたバネは、必ず縮む』と覚えておくとよい。無理をしても、全体としてみれ
ば、プラスマイナス・ゼロになるということ

○条件、比較
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「100点取ったら、お小遣いをあげる」「1時間勉強したら、お菓子をあげる」という
のが条件。「A君は、もうカタカナが読めるのよ」「お兄ちゃんが、あんたのときは、学
校で一番だったのよ」というのが、比較ということになる。条件や比較は、子どもからや
る気を奪うだけではなく、子どもの心を卑屈にする。日常化すれば、「私は私」という生
き方すらできなくなってしまう。子どもの問題というよりは、親自身の問題として、考え
たらよい。(内発的動機づけ)

○方向性は、図書館で
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どんな子どもにも、方向性がある。その方向性を知りたかったら、子どもを図書館へ連れ
ていき、一日、そこで遊ばせてみるとよい。やがて子どもが好んで読む本が、わかってく
る。それがその子どもの方向性である。たとえばスポーツの本なら、その子どもは、スポ
ーツに強い関心をもっていることを示す。その方向性がわかったら、その方向性にそって、
子どもを指導し、伸ばす。(役割形成)

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○神経症(心身症)に注意
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心が変調してくると、子どもの行動や心に、その前兆症状として、変化が見られるように
なる。「何か、おかしい?」と感じたら、神経症もしくは、心身症を疑ってみる。よく知
られた例としては、チック、吃音(どもり)、指しゃぶり、爪かみ、ものいじり、夜尿な
どがある。日常的に、抑圧感や欲求不満を覚えると、子どもは、これらの症状を示す。こ
うした症状が見られたら、(親は、子どもをなおそうとするが)、まず親自身の育児姿勢
と、子育てのあり方を猛省する。

○負担は、少しずつ減らす
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子どもが無気力症状を示すと、たいていの親は、あわてる。そしていきなり、負担を、す
べて取り払ってしまう。「おけいこごとは、すべてやめましょう」と。しかしこうした極
端な変化は、かえって症状を悪化させてしまう。負担は、少しずつ減らす。数週間から、
1、2か月をかけて減らすのがよい。そしてその間に、子どもの心のケアに務める。そう
することによって、あとあと、子どもの立ちなおりが、用意になる

○荷おろし症候群
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何かの目標を達成したとたん、目標を喪失し、無気力状態になることを言う。有名高校や
大学に進学したあとになることが多い。燃え尽き症候群と症状は似ている。一日中、ボー
ッとしているだけ。感情的な反応も少なくなる。地元のS進学高校のばあい、1年生で、
10~15%の子どもに、そういう症状が見られる(S高校教師談)とのこと。「友人が
少なく、人に言われていやいや勉強した子どもに多い」(渋谷昌三氏)

○回復は1年単位
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一度、無気力状態に襲われると、回復には、1年単位の時間がかかる。(1年でも、短い
ほうだが……。)たいていのばあい、少し回復し始めると、その段階で、親は無理をする。
その無理が、かえって症状を悪化させる。だから、1年単位。「先月とくらべて、症状は
どうか?」「去年とくらべて、症状はどうか?」という視点でみる。日々の変化や、週単
位の変化に、決して、一喜一憂しないこと。心の病気というのは、そういうもの。

○前向きの暗示を大切に
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子どもには、いつも前向きの暗示を加えていく。「あなたは、明日は、もっとすばらしく
なる」「来年は、もっとすばらしい年になる」と。こうした前向きな暗示が、子どものや
る気を引き起こす。ある家庭には、4人の子どもがいた。しかしどの子も、表情が明るい。
その秘訣は、母親にあった。母親はいつも、こうような言い方をしていた。「ほら、あん
たも、お兄ちゃんの服が着られるようになったわね」と。「明日は、もっといいことがあ
る」という思いが、子どもを前にひっぱっていく。

○未来をおどさない
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今、赤ちゃんがえりならぬ、幼児がえりを起こす子どもがふえている。おとなになること
に、ある種の恐怖感を覚えているためである。兄や姉のはげしい受験勉強を見て、恐怖感
を覚えることもある。幼児のときにもっていた、本や雑誌、おもちゃを取り出して、大切
そうにそれをもっているなど。話し方そのものが、幼稚ぽくなることもある。子どもの未
来を脅さない。

○子どもを伸ばす、三種の神器
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子どもを伸ばす、三種の神器が、夢、目的、希望。しかし今、夢のない子どもがふえた。
中学生だと、ほとんどが、夢をもっていない。また「明日は、きっといいことがある」と
思って、一日を終える子どもは、男子30%、女子35%にすぎない(「日本社会子ども
学会」、全国の小学生3226人を対象に、04年度調査)。子どもの夢を大切に、それ
を伸ばすのは、親の義務と、心得る。

○上下意識は禁物
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 兄(姉)が上で、弟(妹)が下という、上下意識をもたない。……といっても、日本人
からこの意識を抜くのは、容易なことではない。伝統的に、そういう意識をたたきこまれ
ている。今でも、長子相続を本気で考えている人は多い。もしあなたがどこか権威主義的
なものの考え方をしているようなら、まず、それを改める。


【2】(特集)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

休みます。

【3】(近ごろ、あれこれ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

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