【LSホテルにて】(浜名湖、浜松市)(2010-1-17)
●眠られぬ夜
++++++++++++++++++++
今夜は、この原稿を、浜名湖畔にある、
LSホテルの一室で書いている。
本来なら、1泊、2万8500円のホテルだが、
1泊、5000円でよいとのこと。
それなりのホテルかなと思って泊まってみたが、
案内されて、びっくり!
仰天!
13階建てホテルの、最上階。
ペントハウス!
いろいろなホテルに泊まったことがあるが、
こんな部屋に泊まったことはない。
(外国で泊まったホテルをのぞく。)
豪華というより、ぜいたく。
私のような下賎の者には、かえって落ち着かない。
そのため、かえって眠られなくなってしまった。
ベッドに入って、しばらく目を閉じる。
あれこれ考える。
が、「眠らなければ・・・」と思えば思うほど、
頭が冴えてしまう。
それに今日は、昼寝もしていない。
しかたないので、枕もとの電灯をつけて、パソコンのふたをあける。
時刻はわからない。
恐らく午前0時をすでに過ぎていると思う。
++++++++++++++++++++++
●自然体で
こういう眠られぬ夜は、珍しくない。
月に、1、2度はある。
そういうときは、無理をしない。
一説によると、2晩や3晩、人間は眠らなくても、どうということはないそうだ。
だから焦らない。
なるようにしか、ならない。
眠くなったら、眠ればよい。
それまで好きなことをすればよい。
で、今が、そのとき。
ワイフは横のベッドで、寝息をたてている。
いっしょに来た長男は、隣の和室で眠っている。
全体で、25坪くらいはある。
この部屋だけでも、15、6畳。
窓のそばには、60インチを超える、大型液晶テレビがすえつけてある。
和室にも、40インチのテレビ。
「こういうところに泊まる人もいるのだなあ」と思いつつ、改めて部屋の周囲を見回す。
●講演
今朝はA町の教育委員会のほうで呼ばれて、講演をしてきた。
話しやすかった。
みな、真剣に聞いてくれた。
終わりごろ、何人かの女性が、懸命に泣くのをこらえて、顔をまっかにしていた。
「どうして泣いているんだろう?」と思いつつ、私は視線をそらして話した。
そういうときは、そういう人たちの顔を、できるだけ見ないようにしている。
あとでそのことをワイフに告げると、ワイフは、こう言った。
「花粉症か何かではなかったの?」と。
そうだったかもしれない。
そうでなかったかもしれない。
で、午後はふつうの仕事をして、夕方遅く、このホテルにやってきた。
料理は和食。
おいしかったが、ホテルの経営者の方に申し訳なく、居心地が、あまりよくなかった。
そういう点では、私は、小物。
見分不相応の場所にくると、すぐこうなってしまう。
●健康寿命
今日、講演の中で、こう言った。
「私も、平均寿命まで、あと16年を切りました」と。
自分でそう言っておきながら、その言葉が、今ごろ気になりだした。
(平均寿命)-10年が、(健康寿命)ということになる。
健康寿命で計算すると、残りは、あと6年。
それから10年は、病気と闘い。
徐々に死に向かう。
16年といっても、あっという間に過ぎる。
現在、満63歳だから、16年を引くと、47歳ということになる。
あれこれと、自分が47歳だったころのことを思い浮かべてみる。
その47歳のときから、今日まで、あっという間。
だからこの先、16年も、同じように、あるいはさらに加速されて、あっという間に、
過ぎていくにちがいない。
いろいろあった。
今まで、いろいろあった。
そういうことを考えながら、私も覚悟を決める年齢になってきた。
死ぬ覚悟というより、いつ死を宣告されても動揺しないという覚悟。
だから今日もがんばった。
今も、がんばっている。
明日も、がんばろう。
●幸福
近く、大学の同窓会がある。
ホテルの予約も済んだ。
今日、列車の切符の予約も済んだ。
長男も行くというので、予定外の家族旅行になった。
「雪が見られるよ」と言うと、ワイフも長男も、うれしそうだった。
ここしばらく私も、本格的な雪を見ていない。
それに今の時期は、ズワイ蟹がおいしい。
長男の好物は、蟹。
「ぼくは同窓会に行くけど、お前たちは、どこかで蟹でも食べてきな」と言うと、
ワイフと長男は、さらにうれしそうな顔をした。
横顔だったが、長男の顔に、幼児のころのあの、あどけない笑みが浮かんだ。
うれしかった。
父親にとって、息子というのは、何歳になっても息子。
夜、ベッドの中に入ったとき、私はふとワイフにこう言った。
「二男も三男も、遠くへ去ってしまったけど、ぼくは、今、幸福だよ。
幸福すぎて、こわいほどだよ」と。
●同じ台詞
目の前には、大きな鏡がある。
そこに私の顔が、部屋全体の風景とともに、映っている。
皺だらけの、ジジ臭い顔。
体重を落としたせいか、顔が細くなったような気がする。
そんな顔を見ながら、「お前も年を取ったな」と、声をかける。
何かをしてきたようで、結局は、何もできなかった。
「明日こそは・・・」と、いつも思うだけ。
思うだけで、何もできない。
いつも空振り。
無念と言えば無念だが、だからといって、どうしようもない。
が、また今も、同じ台詞(せりふ)を口にする。
「明日こそは!」と。
やりたいこと、やるべきことを、頭の中で、いろいろ考える。
いつもだったら、そのまま眠くなって眠ってしまう。
が、今夜は、眠くならない。
先ほど、精神安定剤を半錠、それに睡眠導入剤を、ひとかけら口の中で
溶かした。
もうすぐそれが効いてくるはず。
今は、静かにそれを待つ。
●パソコン
そう言えば、昨日、N君(小3男児)の母親から、こんなことを頼まれた。
「息子にパソコンを買ってやりたいが、ついては先生(=私)のほうで、よいのを
選んでくれないか」と。
こういう依頼は、大歓迎。
さっそく昨夜、家に帰ってから、いろいろな雑誌から記事を切り抜く。
DVD(CD)ドライブがついているのと、ついていないのとでは、値段が大きくちがう。
ついていなければ、外付けのドライブを、別に購入しなければならない。
それにウィルス・セキュリティソフトはマスト(=必需品)。
そんな話を、N君の母親に話した。
それについて、「先生に任すから、注文してほしい」と。
こういう依頼は、自分のことのようにうれしい。
どういうわけか、うれしい。
まるで自分が、新しいパソコンを買うような気分。
「昨年の秋モデルだったら、3~4万円は安く買えますよ」と教えてやった。
明日にでも電話して、もう少し詳しく話を聞いてみよう。
●静かな夜
眠られぬ夜は、そっと自分の心を夜にゆだねればよい。
無理をしない。
頭の中に、現れては消える雑念。
それにそっと耳を傾ければよい。
窓の外には、浜名湖をはさんで、遠くに町の明かりが見える。
カーテン越しに、それがぼんやりとした光となって、そこに見える。
まばたきもしない。
いや、たった今、信号の明かりが、赤から青に変った。
その間を、赤いテールランプを灯して、車が去っていく。
静かな夜。
おだやかな夜。
睡魔がかすかに脳裏をかすめた。
まぶたが重くなった。
「このまま眠られるかな?」と。
かすかな不安は残るが、ここでパソコンの電源を落とすことにした。
みなさん、おやすみなさい。
今日も、ありきたりの一日が、終わった。
「明日こそは、がんばろう」と。
●翌朝
今、起きたところ。
風呂は、朝6時から、入れるとのこと。
時刻は、6時37分。
あまりよく眠られなかった。
ベッドが西洋式で、硬かった。
それに暖房が、少し効きすぎていた。
寝苦しかった。
数回、夜中に目をさました。
テーブルには、手書きのあいさつ状。
それに今日の天気予報が記されていた。
それには、曇り、ときどき晴れと書いてあった。
こまかい気配りが、かえって私の心を重くする。
「温泉でも入れればいい」と、軽い気持ちでやってきた。
その軽い気持ちが、部屋に入ったとたん、吹き飛んでしまった。
あとで礼状を書くにも、どうやって書けばいいのか。
●朝風呂
朝風呂は、部屋の中の風呂ですますことにした。
鏡を見ると、髪の毛が、ボサボサ。
で、このまた風呂がすごい。
超ハイテク。
ジェット水流付き。
「こんな風呂に入っていいのかなあ?」と声をかけると、ワイフは、
「いいんじゃないの」と。
私よりいつも、ワイフのほうが、大物。
肝っ玉がすわっている。
・・・ということで、思いがけず、今日は旅行気分。
目の前に広がる浜名湖の写真を、何枚か取った。
これから朝食を済ませて、そのまま帰るつもり。
さあ、今日こそ、がんばるぞ!
みなさん、おはようございます。
LSホテルのみなさん、ありがとうございました。
(講演は、「BW公開教室」→「2010年2月」に収録、
「LSホテルでの一泊」は、「音楽と私」の2010年2月のところに収録。)
Hiroshi Hayashi++++++Feb.2010++++++はやし浩司
2010年2月18日木曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。