【1】(子育てのこと)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
○兄弟は、名前で呼ぶ
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「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」ではなく、兄でも、姉でも、子ども自身の名前で、子ど
もを呼ぶ。たとえば子どもの名前が太郎だったら、「太郎」と呼ぶ。一般的に、たがいに
名前で呼びあう兄弟(姉妹)は、仲がよいと言われている。
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○兄弟は差別しない
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長男、長女は、下の子が生まれたときから、恒常的な愛情不足、欲求不満の状態に置か
れる。親は「平等」というが、長男、長女にしてみれば、平等ということが、不平等なの
である。そういう前提で、長男(長女)の心理を理解する。つまり長男(長女)のほうが、
不平等に対して、きわめて敏感に反応しやすい。
○兄弟の嫉妬はタブー
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兄弟(姉妹)の間で、嫉妬感情をもたせない。これは子育ての鉄則と考えてよい。嫉妬
は、確実に子どもの心をゆがめる。原始的な感情であるがゆえに、扱い方もむずかしい。
この嫉妬がゆがむと、相手を殺すところまでする。兄弟(姉妹)を別々に扱うときも、た
がいに嫉妬させないようにする。
○たがいを喜ばせる
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兄弟を仲よくさせる方法として、「たがいを喜ばせる」がある。たとえばうち1人を買
い物に連れていったときでも、「これがあると○○君、喜ぶわね」「△△ちゃん、喜ぶわ
ね」というような買い与え方をする。いつも相手を喜ばすようにしむける。これはたがい
の思いやりの心を育てるためにも、重要である
○たがいを批判しない
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子どもどうしの悪口を、決して言わない。聞かない。聞いても、判断しない。たとえば
兄に何か問題があっても、それを絶対に(絶対に)、弟に告げ口してはいけない。告げ口
した段階で、あなたと兄の関係は、壊れる。反対に兄が弟のことで、何か告げ口をしても、
あなたは聞くだけ。決して相づちを打ったり、いっしょになって、兄を批判してはいけな
い。
○得意面をさらに伸ばす
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子どもを伸ばすコツは、得意面をさらに伸ばし、不得意面については、目を閉じること。
たとえば受験生でも、得意な英語を伸ばしていると、不得意だった数学も、つられるよう
に伸び始めるということがよくある。「うちの子は、運動が苦手だから、体操教室へ……」
という発想は、そもそも、その原点からまちがっている。子どもは(いやがる)→(ます
ます不得意になる)の悪循環を繰りかえすようになる。
○悪循環を感じたら、手を引く
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子育てをしていて、どこかで悪循環を感じたら、すかさず、その問題から、手を引く。あ
きらめて、忘れる。あるいはほかの面に、関心を移す。「まだ、何とかなる」「そんなハ
ズはない」と親ががんばればがんばるほど、話が、おかしくなる。深みにはまる。が、そ
れだけではない。一度、この悪循環に入ると。それまで得意であった分野にまで、悪影響
をおよぼすようになる。自信喪失から、自己否定に走ることもある。
○子どもはほめて伸ばす
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『叱るときは、陰で。ほめるときは、みなの前で』は、幼児教育の大鉄則。もっとはっき
り言えば、子どもは、ほめて伸ばす。仮にたどたどしい、読みにくい文字を書いたとして
も、「ほほう、字がじょうずになったね」と。こうした前向きの強化が、子どもを伸ばす。
この時期、子どもは、ややうぬぼれ気味のほうが、あとあと、よく伸びる。「ぼくはでき
る」「私はすばらしい」という自信が、子どもを伸ばす原動力になる。
○孤立感と劣等感に注意
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家族からの孤立、友だちからの孤立など。子どもが孤立する様子を見せたら、要注意。「ぼ
くはダメだ」式の劣等感を見せたときも、要注意。この二つがからむと、子どものものの
考え方は、急速に暗く、ゆがんでくる。外から見ると、「何を考えているかわからない」
というようになれば、子どもの心は、かなり危険な状態に入ったとみてよい。家庭教育の
あり方を、猛省する。
○すなおな子ども
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従順で、親の言うことをハイハイと聞く子どもを、すなおな子どもというのではない。幼
児教育の世界で、「すなおな子ども」というときは、心(情意)と、表情が一致している
子どもをいう。感情表出がすなおにできる。うれしいときは、顔満面にその喜びをたたえ
るなど。反対にその子どもにやさしくしてあげると、そのやさしさが、スーッと子どもの
心の中に、しみこんでいく感じがする。そういう子どもを、すなおな子どもという。
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○自己意識を育てる
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乳幼児期に、何らかの問題があったとする。しかしそうした問題に直面したとき、大切な
ことは、そうした問題にどう対処するかではなく、どうしたら、こじらせないか、である。
たとえばADHD児にしても、その症状が現れてくると、たいていの親は、混乱状態にな
る。しかし子どもの自己意識が育ってくると、子どもは、自らをコントロールするように
なる。そして見た目には、症状はわからなくなる。無理をすれば、症状はこじれる。そし
て一度、こじれると、その分だけ、立ちなおりが遅れる。
○まず自分を疑う
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子どもに問題があるとわかると、親は、子どもをなおそうとする。しかしそういう視点で
は、子どもは、なおらない。たとえばよくある例は、親の過干渉、過関心で、子どもが萎
縮してしまったようなばあい。親は「どうしてうちの子は、ハキハキしないのでしょう」
と言う。そして子どもに向かっては、「どうしてあなたは、大きな声で返事ができないの!」
と叱る。しかし原因は、親自身にある。それに気づかないかぎり、子どもは、なおらない。
○「やればできるはず」は、禁句
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たいていの親は、「うちの子は、やればできるはず」と思う。しかしそう思ったら、すか
さず、「やってここまで」と思いなおす。何がそうかといって、親の過関心、過負担、過
剰期待ほど、子どもを苦しめるものはない。それだけではない。かえって子どもの伸びる
芽をつんでしまう。そこで子どもには、こう言う。「あなたは、よくがんばっているわよ。
TAKE IT EASY!(気を楽にしてね)」と。
○子育ては本能ではなく学習
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だれしも、「頭の中では、わかっているのですが、ついその場になると……」と言いま
す。子育てというのは、もともと、そういうものです。そこでいつも同じようなパターン
で、同じような失敗をするときは、(1)あなた自身の過去を冷静に見つめてみる。(2)
何か(わだかまり)や(こだわり)があれば、まず、それに気づくことです。あとは時間
が解決してくれます。
○子育ては世代連鎖する
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子育ては、世代を超えて、親から子へと、よいことも、悪いことも、そのまま連鎖しま
す。またそういう部分が、ほとんどだということです。そういう意味で、「子育ては本能
ではなく、学習によるもの」と考えます。つまり親は子育てをしながら、実は、自分が受
けた子育てを、無意識のうちに繰りかえしているだけだということです。そこで重要なこ
とは、悪い子育ては、つぎの世代に、残さないということ。
○子育ては見本を見せる
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子育ての重要な点は、子どもを育てるのではなく、子育てのし方の見本を、子どもに見
せるということです。見せるだけでは、足りません。包みます。幸福な家庭というのは、
こういうものだ。夫婦というのは、こういうものだ。家族というのは、こういうものだ、
とです。そういう(学習)があって、子どもは、親になったとき、はじめて、自分で子育
てが自然な形でできるようになります。
○子どもに優位性を見せつけない
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子どもに、勝とうと思わないこと。つまり親の優位性を見せつけないこと。どうせ相手
にしてもしかたないし、本気で相手にしてはいけません。ときに親は、わざと負けて見せ
たり、バカなフリをして、子どもに自信をもたせます。適当なところで、親のほうが、手
を引きます。「こんなバカな親など、アテにならないぞ」と子どもが思えば、しめたもの
です。
○子育ては重労働
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子育ては、もともと重労働です。そういう前提で、します。自分だけが苦しんでいると
か、おかしいとか、子どもに問題があるなどと、考えてはいけません。しかしここが重要
ですが、そういう(苦しみ)をとおして、親は、ただの親から、真の親へと成長するので
すよ。そのことは、子育てが終わってみると、よくわかります。子育ての苦労が、それま
で見えなかった、新しい世界を親に見せてくれます。どうか、お楽しみに!
○子育ての前に生きザマを
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子育てをしながらも、親は、親で、自分の生きザマを確立します。「あなたはあなたで、
勝手に生きなさい。私は私で、勝手に生きます」と。そういう一歩退いた目が、ともすれ
ばギクシャクとしがちな、親子関係に、風を通します。子どもだけを見て、子どもだけが
視野にしか入らないというのは、それだけあなたの生きザマが、小さいということです。
あなたはあなたで、したいことを、すればいいのです。
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○問題のない子育てはない
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子育てをしていると、子育てや子どもにまつわる問題は、つぎからつぎへと、起きてくる。
それは岸辺に打ち寄せる波のようなもの。問題のない子どもはいないし、したがって、問
題のない子育ては、ない。できのよい子ども(?)をもった親でも、その親なりに、いろ
いろな問題に、そのつど、直面する。できが悪ければ(?)、もっと直面する。子育てと
いうのは、もともとそういうものであるという前提で、子育てを考える。
○解決プロセスを用意する
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英文を読んでいて、意味のわからない単語にぶつかったら、辞書をひく。同じように、子
育てで何かの問題にぶつかったら、どのように解決するか、そのプロセスを、まず、つく
っておく。兄弟や親類に相談するのもよい。親に相談するのも、よい。何かのサークルに
属するのもよい。自分の身にまわりに、そういう相談相手を用意する。が、一番よいのは、
自分の子どもより、2、3歳年上の子どもをもつ、親と緊密になること。「うちもこうで
したよ」というアドバイスをもらって、たいていの問題は、その場で解決する。
○動揺しない
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株取引のガイドブックを読んでいたら、こんなことが書いてあった。「プロとアマのちが
いは、プロは、株価の上下に動揺しないが、アマは、動揺する。だからそのたびに、アマ
は、大損をする」と。子育ても、それに似ている。子育てで失敗しやすい親というのは、
それだけ動揺しやすい。子どもを、月単位、半年単位で見ることができない。そのつど、
動揺し、あわてふためく。この親の動揺が、子どもの問題を、こじらせる。
○自分なら……?
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賢い親は、いつも子育てをしながら、「自分ならどうか?」と、自問する。そうでない親
は親意識だけが強く、「~~あるべき」「~~であるべきでない」という視点で、子ども
をみる。そして自分の理想や価値観を、子どもに押しつけよとする。そこで子どもに何か
問題が起きたら、「私ならどうするか?」「私はどうだったか?」という視点で考える。
たとえば子どもに向かって「ウソをついてはダメ」と言ったら、「私ならどうか?」と。
○時間をおく
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言葉というのは、耳に入ってから、脳に届くまで、かなりの時間がかかる。相手が子ども
なら、なおさらである。だから言うべきことは言いながらも、効果はすぐには、求めない。
また言ったからといって、それですぐ、問題が解決するわけでもない。コツは、言うべき
ことは、淡々と言いながらも、あとは、時間を待つ。短気な親ほど、ガンガンと子どもを
叱ったりするが、子どもはこわいから、おとなしくしているだけ。反省などしていない。
○叱られじょうずにしない
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親や先生に叱られると、頭をうなだれて、いかにも叱られていますといった、様子を見せ
る子どもがいる。一見、すなおに反省しているかのように見えるが、反省などしていない。
こわいからそうしているだけ。もっと言えば、「嵐が通りすぎるのを待っているだけ」。
中には、親に叱られながら、心の中で歌を歌っていた子どももいた。だから同じ失敗をま
た繰りかえす。
○人格攻撃はタブー
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先生に叱られたりすると、パッとその場で、土下座をしてみせる子どもがいる。いわゆる
(叱られじょうずな子ども)とみる。しかしだからといって、反省など、していない。そ
ういう形で、自分に降りかかってくる、火の粉を最小限にしようとする。子どもを叱るこ
ともあるだろうが、しかしどんなばあいも、最後のところでは、子どもの人権だけは守る。
「あなたはダメな子」式の、人格の「核」攻撃は、してはいけない。
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○「核」攻撃は、タブー
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子どもを叱っても、子どもの心の「核」にふれるようなことは、言ってはいけない。「や
っぱり、あなたはダメな子ね」「あんたなんか、生まれてこなければよかったのよ」など
というのが、それ。叱るときは、行為のどこがどのように悪かったかだけを、言う。具体
的に、こまかく言う。が、子どもの人格にかかわるようなことは言わない。
○子どもは、親のまねをする
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たいへん口がうまく、うそばかり言っている子どもがいた。しかしやがてその理由がわか
った。母親自身もそうだった。教師の世界には、「口のうまい親ほど、要注意」という、
大鉄則がある。そういう親ほど、一度、敵(?)にまわると、今度は、その数百倍も、教
師の悪口を言い出す。子どもに誠実になってほしかったら、親自身が、誠実な様子を、日
常生活の中で見せておく。
○一事が万事論
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あなたは交通信号を、しっかりと守っているだろうか。もしそうなら、それでよし。しか
し赤信号でも、平気で、アクセルを踏むようなら、注意したほうがよい。あなたの子ども
も、あなたに劣らず、小ズルイ人間になるだけ。つまり親が、小ズルイことをしておきな
がら、子どもに向かって、「約束を守りなさい」は、ない。ウソはつかない。約束は守る。
ルールには従う。そういう親の姿勢を見ながら、子どもは、(まじめさ)を身につける。
○代償的過保護は、愛情にあらず
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「子どもはかわいい」「私は子どもを愛している」と、豪語する親ほど、本当のところ、
愛が何であるか、わかっていない。子どもを愛するということは、それほどまでに、重く、
深いもの。中には、子どもを自分の支配下において、自分の思いどおりにしたいと考えて
いる親もいる。これを代償的過保護という。一見、過保護に見えるが、その基盤に愛情が
ない。つまりは、愛もどきの愛を、愛と錯覚しているだけ。
○子どもどうしのトラブルは、子どもに任す
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子どもの世界で、子どもどうしのトラブルが起きたら、子どもに任す。親の介入は、最小
限に。そういうトラブルをとおして、子どもは、子どもなりの問題解決の技法を身につけ
ていく。親としてはつらいところだが、1にがまん、2にがまん。親が口を出すのは、そ
のあとでよい。もちろん子どものほうから、何かの助けを求めてきたら、そのときは、相
談にのってやる。ほどよい親であることが、よい親の条件。
○許して忘れ、あとはあきらめる
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子どもの問題は、許して、忘れる。そしてあとはあきらめる。「うちの子にかぎって……」
「そんなはずはない」「まだ何とかなる」と、親が考えている間は、親に安穏たる日々は
やってこない。そこで「あきらめる」。あきらめると、その先にトンネルの出口を見るこ
とができる。子どもの心にも風が通るようになる。しかしヘタにがんばればがんばるほど、
親は、袋小路に入る。子どもも苦しむ。
●強化の原理
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子どもが、何かの行動をしたとする。そのとき、その行動について、何か、よいことが起
きたとする。ほめられるとか、ほうびがもらえるとか。あるいは心地よい感覚に包まれる
とか。そういう何かよいことが起こるたびに、その行動は、ますます強化される。これを
「強化の原理」という。子どもの能力をのばすための大鉄則ということになる。
●弱化の原理
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強化の原理に対して、弱化の原理がある。何か、行動をしたとき、つまずいたり、失敗し
たり、叱られたりすると、子どもは、やる気をなくしたり、今度は、その行動を避けるよ
うになる。これを弱化の原理という。子どもにもよるし、ケースにもよるが、一度弱化の
原理が働くようになると、学習効果が、著しく落ちるようになる。
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●内面化
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子どもは成長とともに、身長がのび、体重が増加する。これを外面化というのに対して、
心の発達を、内面化という。その内面化は、(1)他者との共鳴性(自己中心性からの脱
却)、(2)自己管理能力、(3)良好な人間関係をみるとよい(EQ論)。ほかに道徳
規範や倫理観の発達、社会規範や、善悪の判断力などを、ふくめる。心理学の世界では、
こうした発達を総称して、「しつけ」という。
●子どもの意欲
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子どもは、親、とくに母親の意欲を見ながら、自分の意欲を育てる。一般論として、意欲
的な母親の子どもは、意欲的になる。そうでない母親の子どもは、そうでない。ただし、
母親が意欲的過ぎるのも、よくない。昔から、『ハリキリママのションボリ息子』と言わ
れる。とくに子どもに対しては、ほどよい親であることが望ましい。任すところは子ども
に任せ、一歩退きながら、暖かい無視を繰りかえす。それが子育てのコツということにな
る。
●ほどよい目標
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過負担、過剰期待ほど、子どもを苦しめるものはない。そればかりではない。自信喪失か
ら、やる気をなくしてしまうこともある。仮に一時的にうまくいっても、オーバーヒート
現象(燃え尽き症候群、荷卸し症候群)に襲われることもある。子どもにとって重要なこ
とは、達成感。ある程度がんばったところで、「できた!」という喜びが、子どもを伸ば
す。子どもには、ほどよい目標をもたせるようにする。
●子どもの恐怖症
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恐怖症といっても、内容は、さまざま。対人恐怖症、赤面恐怖症、視線恐怖症、体臭恐怖
症、醜形恐怖症、吃音恐怖症、動物恐怖症、広場恐怖症、不潔恐怖症、高所恐怖症、暗所
恐怖症、閉所恐怖症、仮面恐怖症、先端恐怖症、水恐怖症、火恐怖症、被毒恐怖症、食事
恐怖症などがある。子どもの立場になって、子どもの視線で考えること。「気のせいだ」
式の強引な押しつけは、かえって症状を悪くするので注意。
●子どもの肥満度
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児童期の肥満度は、(実測体重Kg)÷(実測身長cmの3乗)×10の7乗で計算する。
この計算式で、値が160以上を、肥満児という(ローレル指数計算法)。もっと簡単に
見る方法としては、手の甲を上にして、指先を、ぐいと上にそらせてみる。そのとき、指
のつけねに腱が現れるが、この腱の部分にくぼみが現れるようになったら、肥満の初期症
状とみる。この方法は、満5歳児~の肥満度をみるには、たいへん便利。
●チック
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欲求不満など、慢性的にストレスが蓄積すると、子どもは、さまざまな神経症的症状を示
す。たとえば爪かみ、指しゃぶり、夜尿、潔癖症、手洗いグセなど。チックもその一つ。
こうした症状を総称して、神経性習癖という。このチックは、首から上に出ることが多く、
「おかしな行動をする」と感じたら、このチックをうたがってみる。原因の多くは、神経
質で、気が抜けない家庭環境にあるとみて、猛省する。
●子どもの姿は正確に
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あなたの子どもに、あなたはどのようなイメージをもっているだろうか。中には、問題が
あるのに、「問題はない」と思いこんでいる親がいる。反対に、問題がないのに、「問題
がある」と思いこんでいる親もいる。子どもの姿を正確にとらえるのは、たいへんむずか
しい。子どもの概念と、現実の子どもの間のギャップが大きければ大きいほど、親子の関
係はギクシャクしたものになりやすい。
●聞きじょうずになる
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子どもの姿を正確にとらえるためには、聞きじょうずになること。自分の子どもでも、他
人の子どもと思い、一歩退いて見るようにする。教師でも話しにくい親というのは、子ど
ものことになると、すぐカリカリするタイプ。何か言おうとすると、「うちでは問題はあ
りません」「塾では、しかkりとやっています」と反論する。しかしそう反論されると、
「どうぞ、ご勝手に」となる。
●自己愛者は、注意
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自己中心性が肥大化すると、自己愛者になる。完ぺき主義で、他人の批判を許さない。す
べてを自分(あるいは自分の子ども)中心に考えるようになる。こうなると、子育ては、
独善化する。他人の批評に耳を傾けなくなるからである。子育てじょうずな親というのは、
ものごとに謙虚である。その謙虚さが、心に風穴をあける。まずいのは、「自分は正しい」
と思いこんで、他人の意見を聞かないこと。
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●非行を防ぐ鉄則
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(したいこと)と(していること)が一致しているとき、子どもの心は、安定する。しか
し(したいこと)と(していること)が一致していないと、子どもの心は、急速に不安定
化する。非行の多くは、こうして始まる。そこで重要なことは、いつも、(子どものした
いこと)に静かに耳を傾けて、それを(していること)に結びつけていく。これを心理学
の世界でも、自我の同一性(アイデンテンティ)と呼ぶ。
●善行は日常から
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あなたの子どもを善人にしたいなら、日常的な、ごくささいなことから、約束やルールを
守る姿を、子どもに見せておく。そういう積み重ねが、あなたの子どもを善人にする。つ
まり日々の積み重ねが、月々の積み重ねとなり、それが年々、積もって、その人の人格と
なる。あなたが、平気で空き缶をポイ捨てしていおいて、あなたの子どもに「いい子にな
れ」は、ない。
●シャドウをつくらない
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あなたが仮面をかぶればかぶるほど、あなたの背後に、その正反対のシャドウ(影)がで
きる。子どもというのは、そのシャドウをそのまま受けついでしまう。よく例に出される
のが、佐木隆三の『復讐するは、我にあり』である。敬虔な牧師の息子が、殺人鬼になる
という小説である。緒方拳の主演で、映画にもなった。父親は牧師をしながら、息子の嫁
と不倫関係になる。そうしたシャドウが、その息子を殺人鬼にしたとも考えられなくはな
い。
●子どもには、ウソをつかない
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子どもには、ウソをつかない。これは親子関係を守るための、最後の砦(とりで)と考え
てよい。もしウソをつきたくなかったら、だまっていればよい。飾ったり、見栄をはった
りしてもいけない。ありのままを、すなおに見せておく。あとの判断は、子どもに任せれ
ばよい。
●ウソはていねいにつぶす
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子どもは、よくウソをつく。いろいろなウソがあるが、その中でも、空想したことを、あ
たかも本当のことのように話す子どもがいる。空想的虚言(妄想的虚言)というのが、そ
れ。はげしい親の過干渉が日常化すると、子どもは、この空想的虚言を口にするようにな
る。そういうとき親は、子どもをはげしく叱ったりするが、反省すべきは、むしろ親のほ
うである。こうしたウソは、ていねいに、つぶす。言うべきことは言いながら、あとは時
間を待つ。
○計算力と「数」の力
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子どもにとって、計算力と、「数」の力は、別のものと考えてよい。たとえば(3+4=
7)は、計算力があればできる。しかし「7は、5と□」という問題は、計算力だけでは、
カバーできない。ほかに「3と□で、6」「□は、3と4」など。小学1年生の問題だが、
それができる子どもは、スラスラとできる。しかしできない子どもは、何度説明しても、
できない。それがここでいう「数」の力ということになる。
○「遊び」を大切に
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自動車のハンドルでも、「遊び」があるから、運転できる。その「遊び」がなく、ギスギ
スだったら、運転できない。子どもの勉強も、その運転に似ている。多くの親たちは、「勉
強」というと、机に向かって黙々とするものだという偏見と誤解をもっている。しかしそ
れは大学の研究者のような人がする勉強であって、少なくとも、子どもの勉強ではない。
小学校の低学年児だったら、30分机に向かって座って、10分、勉強らしきことをすれ
ば、よしとする。
○リズムをつかむ
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子ども自身がもつ、学習のリズムは、みな、ちがう。数分きざみに、騒いだり、しゃべっ
たりする子どももいれば、5分くらい静かに作業したあと、1~2分、休んだりする。勉
強にとりかかるまでに、10分以上かかる子どももいれば、すぐ、勉強に入れる子どもい
る。大切なことは、それぞれのリズムに合わせて、指導するということ。とくに子どもが
小さいうちは、そうする。
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○ミスは、大目に
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たとえば20問、計算問題をする。そのとき、1、2問くらいなら、まちがっていても、
何も言わない。「よくがんばったね」と、ねぎらう。そして大きな丸を描いてすます。と
くに子どもが、懸命にしたときは、そうする。正解よりも、この時期大切なのは、達成感。
その達成感が、子どもを伸ばす。こまごまとした神経質な指導は、一見、親切に見えるが、
かえって子どもの伸びる芽をつんでしまうこともあるので注意する。
○テーマは、ひとつ
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子どもに何かを教えようとするときは、いつも、テーマは、一つにする。あれこれ、同時
に指示を与えても、意味がないばかりか、かえって、「二兎を追うもの、一兎……」とい
うことになりかねない。たとえば作文練習のときは、作文の内容だけを見て、文字のまち
がいなどは、無視する。作文の内容だけを見て、判断する。
○子どもを伸ばすのは、子ども
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子どもを伸ばすのは、子ども。しかしその子どもをつぶすのも、これまた子ども。とても
残念なことだが、「質」のよい子どももいれば、そうでない子どももいる。質がよいとい
うのは、おだやかで、知性的。自己管理能力もしっかりしていて、もの静か。そういう子
どもは、そういう子どもどうし集まる傾向がある。で、もしあなたの子どもが、そういう
子どもであれば、努力して、そういう子どもどうしが集まれるような環境をつくってやる
とよい。あなたの子どもは、さらに伸びる。
○サエをのばす
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子どもが、「アレッ」と思うようなヒラメキを示したときは、すかさず、それをほめて、
伸ばす。この時期、あとあと子どもほど、思考が柔軟で、臨機応変に、ものごとに対処で
きる。趣味も多く、多芸多才。興味の範囲は広く、何か新しいことを見せると、「やる!」
「やりたい!」と食いついてくる。この時期、することと言えば、テレビゲームだけ。友
だちも少ないというのは、子どもにとっては、望ましいことではない。
○一歩手前で、やめる
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子どもが30分ほど、勉強しそうだったら、20分くらいのところで、やめる。ワークを
10ページくらいしそうだったら、7~8ページくらいのところで、やめる。子どもを伸
ばすコツは、無理をしない。強制をしない。もしあなたが、「子どもというのは、しぼれ
ばしぼるほど伸びる」とか、「子どもの勉強には、きびしさが必要」と考えているなら、
それは、とんでもない誤解。どこかの総本山での、小僧教育ならともかくも、今は、そう
いう時代ではない。
○バカなフリをして伸ばす
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おとなは、決して、おとなの優位性を子どもに、見せつけてはいけない。押しつけてはい
けない。子どもにとって、最大の喜びは、父親や、母親を、何かのことで、負かすことで
ある。親の立場でいえば、子どもに負けることを、恥じることはない。反対に、ときには、
バカな親のフリをして、子どもに自信をもたせる。「こんな親では、アテにできない」と
子どもが思うようになったら、しめたもの。
○集中力も力のうち
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よく、「うちの子は、集中力がありません。集中力をつけるには、どうしたらいいでしょ
うか」という質問をもらう。しかし集中力も、「力」のうち。頭をよくする方法が、そん
なにないように、集中力をつける方法というのも、それほど、ない。あれば、私が知りた
いくらいである。ただ指導のし方によって、子どもを、ぐいぐいとこちらのペースに引き
こんでいくことはできる。しかし集中力のある・なしは、子どもの問題ではなく、指導す
る側の問題ということになる。
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○一貫性
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内容がどうであれ、よき親と、そうでない親のちがいといえば、一貫性のある、なしで、
決まる。権威主義的なら権威主義的でもかまわない。(本当は、そうでないほうがよいが
……。)親にその一貫性があれば、やがて子どものほうが、それに合わせる。私の叔父の
中には、権威主義のかたまりのような人がいた。しかし私は、その叔父は叔父として、認
めることで、良好な人間関係をつくることができた。それなりに尊敬もしている。子ども
の前では、いつも、同じ親であること。それが子どもの心に、大きな安定感を与える。
☆上下意識は、親子にキレツを入れる
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「親が上、子ガ下」という上下意識は、親子の間に、キレツを入れる。「上」の者にとっ
ては、居心地のよい世界かもしれないが、「下」の者にとっては、そうでない。言いたい
ことも言えない、したいこともできないというのは、親子の間では、あってはならないこ
と。親はいつも子どもの友として、横に立つ。そういう姿勢が、良好な親子関係を育てる。
☆「ダカラ論」は、論理にあらず
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「親だから……」「子だから……」「長男だから……」「夫だから……」というのを、『ダ
カラ論』という。このダカラ論は、論理ではない。えてして、問答無用式に相手をしばる
道具として、利用される。使い方をまちがえると、相手を苦しめる道具にもなりかねない。
先日もテレビを見ていたら、妻が、夫に、「あなたは一家の大黒柱なんだからね」と言っ
ているのを見かけた。それを見ていて、そういうふうに言われる夫は、つらいだろうなと、
私は、ふと、そう思った。
☆親の恩着せ、子どもの足かせ
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「産んでやった」「育ててやった」「大学まで出してやった」と親が、子どもに恩を着せ
れば着せるほど、子どもの心は親から遠ざかる。そればかりか、子どもが伸びる芽を摘ん
でしまうこともある。たとえ親がそう思ったとしても、それを口にしたら、おしまい。親
に恩を押しつけられ、苦しんでいる子どもは、いくらでもいる。
☆家族主義は、親の手本から
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まず子どもを幸福な家庭で包んでやる。「幸福な家庭というのは、こういうものですよ」
と。それが家族主義の原点。見せるだけでは足りない。子どもの体の中にしみこませてお
く。その(しみこみ)があってはじめて、子どもは、今度は、自分が親になったとき、自
然な形で、幸福な家庭を築くことができる。夫婦が助けあい、いたわりあい、励ましあう
姿は、遠慮なく、子どもに見せておく。
☆離婚は淡々と、さわやかに
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親が離婚するとき、離婚そのものは、大きな問題ではない。離婚にいたる家庭内騒動が、
子どもの心に暗い影を落とす。ばあいによっては、それがトラウマになることもある。だ
から離婚するにしても、子どもの前では淡々と。子どものいない世界で、問題を解決する。
子どもを巻きこんでの離婚劇、それにいたる激しい夫婦げんかは、タブー中のタブー。夫
婦げんかは、子どもへの「間接虐待」と心得ること。
☆よい聞き役が、子どもの思考力を育てる
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親は、子どもの前では、よき聞き役であること。ある人は、『沈黙の価値を知るものだけ
が、しゃべれ』というが、この格言をもじると、『沈黙の価値を知る親だけが、しゃべれ』
となる。子どもの意見だから、不完全で未熟であるのは、当たり前。決して頭ごなしに、
「お前の考え方はおかしい」とか、「まちがっている」とかは、言ってはいけない。「そ
れはおもしろい考え方だ」と言って、いつも前向きに、子どもの意見を引き出す。そうい
う姿勢が、子どもの思考力を育てる。
☆子どもの前では、いつも天下国家を論じる
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子どもに話すテーマは、いつも大きいほうがよい。できれば、天下国家を論ずる。宇宙の
話でも、歴史の話でもよい。親が小さくなればなるほど、子どもは小さくなる。隣や近所
の人たちの悪口や批判は、タブー。見栄、体裁、世間体は、気にしない。こうした生き様
は、子どものものの考え方を卑屈にする。「日本はねえ……」「世界はねえ……」という
語りかけが、子どもを大きくする。
☆仮面をはずし、子どもには本音で生きる
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あなたが悪人なら、悪人でもかまわない。大切なことは、子どもの前では、仮面をはずし、
本音で生きること。あるがままのあなたを、正直にさらけ出しながら生きる。かっこつけ
たり、飾ったりする必要はない。そういうあなたの中に、子どもは、いつか(一人の人間)
を見る。ただし一言。子育てといっても、あなたはいつも一人の人間として、自分を伸ば
していかねばならない。それが結局は、真の子育て法ということになる。
http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/++++++++++++++++はやし浩司
☆優越感の押しつけは、子どもをつぶす
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おとなや親の優越性を、子どもに押しつけてはいけない。賢い親は、(教師もそうだが……)、
バカなフリをしながら、子どもに自信をもたせ、そして子どもを伸ばす。相手は子ども。
本気で相手にしてはいけない。ゲームをしても、運動をしても、ときにはわざと子どもに
負けてみる。子どもが、「うちの父(母)は、アテにならない」と思うようなったら、し
めたもの。勉強について言うなら、「こんな先生に習うくらいなら、自分でしたほうがマ
シ」と思うようになったら、しめたもの。
☆親の動揺、子どもを不安にする
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たとえば子どもが不登校的な拒否症状を示すと、たいていの親は、狂乱状態になる。そし
て親が感ずる不安や心配を、そのまま子どもにぶつけてしまう。が、この一撃が、さらに
子どもの心に、大きなキズをつける。数か月ですんだはずの不登校が、1年、2年とのび
てしまう。子どもの心の問題を感じたら、一喜一憂は、厳禁。半年単位でものを考える。
「半年前はどうだったか?」「1年前はどうだったか?」と。
☆言うべきことは言っても、あとは時を待つ
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親は言うべきことは言っても、そこで一歩引き下がる。すぐわからせようとか、実行させ
ようと考えてはいけない。子どもの耳は、そういう意味で長い。脳に届いてから、それを
理解するまでに、時間がかかる。実行するまでには、さらに時間がかかる。まずいのは、
その場で、とことん子どもを追いつめてしまうような行為。子どもはかえってそれに反発
し、その反対のことをするようになる。
☆質素が子どもの心を豊かにする
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子どもには、質素な生活は、どんどん見せる。しかしぜいたくは、するとしても、子ども
のいないところで、また子どもの見えないところでする。子どもというのは、一度、ぜい
たくを覚えると、あともどりできない。だから、子どもにはぜいたくを、経験させない。
なお質素とケチは、よく誤解される。質素であることイコール、貧乏ということでもない。
質素というのは、つつましく生活をすることをいう。身のまわりにあるものを大切に使い
ながら、ムダをできるだけはぶく。要するに、こまやかな心が通いあう生活を、質素な生
活という。
☆うしろ姿を押し売りは、子どもを卑屈にする
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生活のためや、子育てのために苦労している姿を、「親のうしろ姿」という。日本では、
うしろ姿を子どもに見せることを美徳のように考えている人がいるが、これは美徳でも何
でもない。子どもというのは、親が見せるつもりはなくても、親のうしろ姿を見てしまう
かもしれないが、しかしそれでも、親は親として、子どもの前では、毅然(きぜん)とし
て生きる。そういう前向きの姿が、子どもに安心感を与え、子どもを伸ばす。
☆生きる力は、死を厳粛に扱うことから
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死があるから、生の大切さがわかる。死の恐怖があるから、生きる喜びがわかる。人の
死の悲しみがあるから、人が生きていることを喜ぶ。どんな宗教でも、死を教えの柱にお
く。その反射的効果として、「生」を大切にするためである。子どもの教育においても、
またそうで、子どもに生きることの大切さを教えたかったら、それがたとえペットの死で
あっても、死は厳粛にあつかう。
☆度量の大きさは、立方体で計算する
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子育ての度量の大きさは、(たて)X(横)X(高さ)で決まる。(たて)というのは、そ
の人の住む世界の大きさ。(横)というのは、人間的なハバ。(高さ)というのは、どこ
まで子どもを許し、忘れるかという、その深さのこと。もちろんだからといって、子ども
に好き勝手なことをさせろということではない。要するに、あるがままの子どもを、どこ
まで受け入れることができるかということ。
☆「今」を大切に、「今」を懸命に生きる
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過去なんてものは、どこにもない。未来なんてものも、どこにもない。あるのは、「今」
という現実。だからいつまでも過去を引きずるのも、また未来のために、「今」を犠牲に
するのも、正しくない。「今」を大切に、「今」という時の中で、最大限、自分のできる
ことを、懸命にがんばる。明日は、その結果として、必ずやってくる。だからといって、
過去を否定するものではない。また何かの目標に向かって努力することを否定するもので
もない。しかし大切なのは、「今」という現実の中で、自分を光り輝かせて生きていくこ
と。
http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/++++++++++++++++はやし浩司
☆『休息を求めて疲れる』は、愚かな生き方
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イギリスの格言である。愚かな生き方の代名詞のようにもなっている格言である。つま
り「いつか楽になろう、楽になろうとがんばっているうちに、疲れてしまい、結局は何も
できなくなる」ということ。しかしほんの少し考え方を変えれば、あなたの生活はみちが
えるほど、豊かになる。方法は簡単。あなたも1呼吸だけ、今までのリズムを遅くすれば
よい。
☆行きづまったら、生きる源流に視点を
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「子どもがここに生きている」という源流に視点をおくと、そのとたん、子育てにまつ
わるあらゆる問題は、解決する。「この子は生きているだけでいい」と思いなおすことで、
すべての問題は解決する。あなたももし、子育てをしていて、行きづまりを感じたら、こ
の源流から、子どもを見てみるとよい。それですべての問題は解決する。
☆モノより思い出
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イギリスの格言に、『子どもには、釣りザオを買ってあげるより、いっしょに魚釣りに
行け』というのがある。子どもの心をつかみたかったら、そうする。親は、よく、「高価
なものを買い与えたから、子どもは感謝しているはず」とか、「子どもがほしいものを買
い与えたから、親子のパイプは太くなったはず」と考える。しかしこれはまったくの誤解。
あるいは逆効果。子どもは一時的には、親に感謝するかもしれないが、あくまでも一時的。
物欲をモノで満たすことになれた子どもは、さらにその物欲をエスカレートさせる。
☆子育てじょうずは、よき先輩をもつことから
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あなたの近くに、あなたの子どもより、1~3歳年上の子どもをもつ人がいたら、多少、
無理をしてでも、その人と仲よくする。その人に相談することで、たいてい「うちも、こ
んなことがありましたよ」というような話で、あなたの悩みは、解消する。「無理をして
でも」というのは、「月謝を払うつもりで」ということ。相手にとっては、あまりメリッ
トはないのだから、これは当然といえば、当然。が、それだけではない。あなたの子ども
も、その人の子どもの影響を受けて、伸びる。
☆子どもの先生は、子ども
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あなたの近くに、あなたの子どもより1~3歳年上の子どもをもつ人がいたら、その人と
仲よくしたらよい。あなたの子どもは、その子どもと遊ぶことにより、すばらしく伸びる。
この世界には、『子どもの先生は、子ども』という、大鉄則がある。子ども自身も、同じ
仲間という意識で見るため、抵抗がない。また、こと「勉強」ということになると、1、
2年、先を見ながら、勉強するということは、それなりに重要である。
☆指示は具体的に
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子どもに与える指示は、具体的に。たとえば「あと片づけしなさい」と言っても、子ども
には、あまり意味がない。そういうときは、「おもちゃは、一つですよ」と言う。「友だ
ちと仲よくするのですよ」というのも、そうだ。そういうときは、「これを、○○君に渡
してね。きっと、○○君は喜ぶわよ」と言う。学校で先生の話をよく聞いてほしいときは、
「先生の話をよく聞くのですよ」ではなく、「学校から帰ってきたら、先生がどんな話を
したか、あとでママに話してね」と言う。
●汝自身を知れ
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古代ギリシアの7賢人の1人のターレスは、『汝自身を知れ』という言葉を残した。その
言葉が、アポロン神殿の柱に書かれているのを見て、ソクラテスが、『無知の知』という
言葉を導いた。「私たちは、自分のことを知っているようで、実は何も知らない」と。こ
の言葉を子育てにあてはめてみると、こうなる。「自分の子どものことは、自分がいちば
んよく知っていると思いこんでいる親ほど、自分の子どものことがわかっていない」と。
●約束(ルール)を守る,
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日々の積み重ねが月となり、その月が積み重なって、年となる。その年が、10年、20
年と積み重なって、その人の人格となる。その日々の積み重ねは、身の回りのほんのささ
いなことから始まる。子どもが見ているとか、見ていないとか、そういうことには関係な
く、約束(ルール)を守る。ウソをつかない。そういう親の姿を、子どもは、うしろから
見る。自分の人格とする。
●子どもは使う
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子どもは使えば使うほど、よい子になる。忍耐力(=いやなことをする力)も、それで身
につく。社会性も身につく。が、それ以上に、他人の苦しみや悲しみを理解できるように
なる。言うまでもなく、子どもにかぎらず人は、自分で苦労をしてみてはじめて、他人の
苦労が理解できるようになる。その心のポケットができる。あなたが重い荷物をもって歩
いているとき、「もってあげる!」と子どもが助けてくれれば、それでよし。そうでなけ
れば、家庭教育のあり方を、猛省する。
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●夢と希望、そして目的
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目的(目標)をもった子どもは、強い。多少の誘惑くらいなら、自らはねのけてしまう。
心の抵抗力ができていると考える。その心の抵抗力をつける第一。それが夢と希望。その
先に目標(目的)ができる。そのため、子どもの夢や希望は、大切にする。親の価値観を、
けっして、押しつけてはいけない。子どもが「花屋さんになりたい」と言ったら、すかさ
ず、「そうね、それはすてきね」と言い返してやる。そういう親の姿勢が、子どもの夢や
希望を育てる。
●子どもの横に立つ
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子育てには、3つの役目がある。ガイドとして、子どもの前に立つ。保護者として、子ど
ものうしろに立つ。そして友として、子どもの横に立つ。日本人は、伝統的に、子どもの
前やうしろに立つのは得意だが、横に立つのが苦手。そのため多くのばあい、子どもが親
離れを始めるころから、親子の間にキレツが入るようになり、さらに多くのばあい、その
キレツは、断絶へとつながっていく。
●忍耐力は、いやなことをする力
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試しに、台所のシンクにたまった生ごみを、始末させてみればよい。あるいは風呂場の排
水口にたまった毛玉でもよい。そのとき、「ハ~イ」と言って、あなたの子どもがそれを
始末したとしたら、あなたの子どもは、すばらしい子どもとみてよい。またこのタイプの
子どもは、学習面でも、伸びる。なぜなら、勉強というのは、もともと(イヤなもの)。
そのイヤなことを乗り切る力が、ここでいう忍耐力ということになる。その忍耐力を育て
るためには、子どもは、使う。
●思考回路というレール
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夢や希望をもち、さらには目標(目的)をもち、その目標に向かって努力する。その道筋
を、思考回路という。大切なのは、その思考回路。というのも、夢や希望というのは、そ
のつど変化する。変化して当然。幼児のころは、「お花屋さんになりたい」と言っていた
子どもでも、小学生になると、「パン屋さんになりたい」「ケーキ屋さんになりたい」と
言うかもしれない。中身は何であれ、思考回路にできている子どもは、その思考回路の上
に夢や希望を乗せて、前向きに進んでいくことができる。 ※
●子どもに育てられる
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親は、子育てをしながら、子どもに否応(いやおう)なしに育てられる。はじめて子ども
を幼稚園へ連れてきたような母親は、たしかに若くて美しいが、中身がない。そんな母親
でも、子育てで苦労をするうち、やがて姿勢が低くなる。幼稚園を卒園するころになると、
みなに、深々と頭をさげるようになる。中身ができてくる。つまり親が子どもを育てるの
ではない。子どもが親を育てる。子どもに育てられることを、恐れてはいけない。
●熟成される「善」
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西洋では、「善と悪は、神の左手と右手である」という。しかし善と悪は、決して、平等
ではない。善人ぶることは簡単なこと。しかし自分の体の中から、悪を抜くのは、容易な
ことではない。しかもその善と悪は、長い時間をかけて、心の中で熟成される。とくに善
は、10年とか、20年とか、長い年月を経て熟成される。いつか、あなたも、親ではな
く、1人の人間として、子どもに評価されるときがやってくる。その評価に耐えうる人間
になれるかどうか。それは子育てにおける、大きなテーマのひとつと考えてよい。
●すなおな子ども
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親や教師の言うことに従順で、それに静かに従う子どもを、すなおな子どもというのでは
ない。すなおな子どもというときは、(1)心の状態(=情意)が、そのまま表情となっ
て表れる子ども、(2)心のゆがみ(いじける、つっぱる、ひねくれるなど)のない子ど
もをいう。イヤだったら、「イヤ!」と言う。何でもないことかもしれないが、それが自
然な形でできる子どもを、すなおな子どもという。
●至上の愛
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ある母親は、自分の子どもが死ぬか、生きるかの大病を繰りかえしたとき、天に向かって、
こう言って祈ったという。「私の命は、どうなってもいい。私の命と交換してでもいいか
ら、子どもの命を救ってエ!」と。こうした(自分の命すら惜しくない)という、まさに
至上の愛は、人は、子どもをもってはじめて知る。子どもを、ただの子どもと思ってはい
けない。あなたの子どもは、あなたに何かを教えるために、そこにいる。
●シャドウに警戒する
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人は善人ぶることによって、自分の中に潜む(邪悪な部分)を、どこかへ押し込める。こ
れをユングという学者は、「シャドウ」と呼んだ。そのシャドウを、子どもはうしろから
見ていて、そっくりそのまま、引き継いでしまう。ときとして、牧師や僧侶など、聖職者
と呼ばれる人の子どもが、凶悪犯罪人になるプロセスは、こうして説明される。善人ぶる
としても、それを仮面(ペルソナ)として、意識すること。仮面を脱ぎ忘れてはいけない。
http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/++++++++++++++++はやし浩司
●自立したよき家庭人
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アメリカでもオーストラリアでも、そしてドイツでもフランスでも、親や教師たちはみな、
こう言う。「子育ての目標は、よき家庭人として、子どもを自立させること」と。が、一
方、この日本では、いまだに、出世主義、名誉主義、さらには権威主義が、大手を振って、
まかり通っている。封建時代の亡霊たちが、いまだに、のさばっている。そしてそれが教
育について言えば、諸悪の根源になっている。
●「偉い」という言葉を、廃語にしよう
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日本では、地位や肩書のある人を、「偉い人」という。一方、英語には、「偉い人」にあ
たる言葉すらない。あえて言うなら、「respected man」ということになる。「尊敬される
人」という意味である。地位や肩書は、関係ない。だから子どもには、「偉い人になれ」
ではなく、「尊敬される人になれ」と言う。それが子どもの心をまっすぐ伸ばす。
●「家族」という重圧
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家族は、それ自体、美徳であり、個々の人の心をいやす、心のより所である。が、その家
族も、ひとたびリズムが狂うと、今度は、重圧感となって、その人を苦しめることもある。
事実、その重圧感(=家族自我群)の中で、もがき苦しんでいる人も多い。反対に、自分
の子どもを、安易な親意識で、縛りつける親も少なくない。「産んでやった」「育ててや
った」と。こうした言葉は、親子の間では、使うとしても、心して最小限にする。
●恩の押し売り
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日本の親たちは、無意識のうちにも、子どもに対して、恩の押し売りをする。「産んでや
った」「育ててやった」と。その代表的なものが、窪田聡という人が作詞した、『かあさ
んの歌』。「♪せっせと手袋編んでやった」「♪おとうは土間で、藁打ち仕事」と。あれ
ほどまでに恩着せがましい歌はない。言うとしたら、「♪春になれば、温泉へ行ってくる
よ」「♪家のことは心配しなくていいからね」だ。
●悪玉親意識
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親意識にも、2種類ある。善玉親意識(=私は親としての責任を果たすという親意識)と、
悪玉親意識(=親風を吹かし、自分の子どもを自分の支配下に置こうとする親意識)。悪
玉親意識が強い親は、「産んでいやった」「育ててやった」「大学まで出してやった」と、
そのつど、親の恩を子どもに押しつける。そしてあげくの果てには、「大学まで出してや
ったのに、何だ、その態度は!」と言うようになる。悪玉親意識に、注意!
●親の統合性
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子どもは、自分のしたいこと(=自己概念)を、現実にすること(=現実自己)によって、
自分を確立することができる。これを「自己の同一性」という。一方、親は、それでは満
足できない。親は、自分がすべきことを、現実にすることによって、自分を確立する。こ
れを「自己の統合性」という。その(すべきこと)には、多くのばあい、苦労や苦痛がと
もなう。親は子育てをしながらも、自己の統合性をめざす。
2010年1月4日月曜日
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