2010年1月2日土曜日

*Short Advices by Hiroshi Hayashi

●知識はメッキ
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知識と思考力は、はっきりと区別する。もの知りな子どもイコール、賢い子どもということではない。もちろん人格的に高邁(こうまい)ということにもならない。脳みその中でも、使う部分そのものがちがう。大切なのは、思考力。自分で考える力である。それをみて、その子どもの能力を判断する。

http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/++++++++++++++++はやし浩司

●作文の前に速書きを
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計算力は、算数の力の基礎である。計算力があるからといって、算数の力があるということにはならない。しかし計算力がないと、算数の力を下へ引っ張ってしまう。同じように、速書きは、作文力(表現力)の基礎である。速く書くことができるからといって、作文力があるということにはならない。しかし速く書くことができないと、作文力を発揮できない。小1~2レベルで、15分間に、100~150文字を筆写できるようにするのを目標とする。

●国語力が学力の基礎
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理科は、理科的な国語、社会は、社会的な国語と考える。国語力(読解力、理解力、表現力)のあるなしは、すべての科目に大きな影響を与える。「本を読む」、つまり読書の重要性は、今さら説明するまでもない。方法としては、大きな図書館で、子どもを自由に遊ばせてみるとよい。それを定期的な習慣にする。

●会話は正しい日本語で
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「ほら、バス、バス、バスよ」ではなく、「もうすぐ、バスが来ます。あなたは外に立って、バスを待ちます」と言う。こうした正しい言い方が、子どもの国語力の基礎となる。子どもの国語力は、親、とくに母親が決める。なおこうした語りかけは、生後直後から始める。赤ちゃん言葉(ウマウマ、ブーブーなど)、幼稚語(ワンワン、ニャーゴなど)は、避ける。

●思考は作文力で
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これだけ視覚情報(テレビやゲーム)が多い中、さらにその上、右脳教育をあえてする必要はないのではないか。それよりも大切なのは、分析力、論理的な思考力。こうした能力は左脳が司っていると言われている。その分析力、思考力は、左脳が司る。分析力、思考力を養うには、作文が第一。作文に始まって、作文に終わる。ものを書くという習慣を大切に。

●思考と情報は分ける
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もの知りだからといって、その子どもに思考力があるということにはならない。かけ算の九九をペラペラと口にしたからといって、その子どもに算数の力があるということにはならない。思考と情報は、いつも分けて考える。思考力のある子どもの目つきは、いつも深く、静かに落ち着いている。

●「文化」は心の精神力
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その人(子ども)の精神的な深みは、日ごろの文化性で決まる。何かの事件に遭遇したとき、あわてふためいて、ボロを出す人もいれば、そうでない人もいる。そのためにも、子どもには、日ごろから、本物を見せておく。絵画でも音楽でも、さらに子どもが読む絵本にしても、本物を見せておく。そういう日ごろの姿勢が、子どもの中の文化性を高める。それが精神的な深みとなって、その人(子ども)を側面から支える。

●反面教師のゴーストに注意
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あなたの周囲にも、反面教師と呼んでよいような人がいるかもしれない。ひょっとしたら、あなたの親が、そうであるかもしれない。人は(子どもも)、反面教師を教師として、自分を高めることができるが、対処のし方を誤ると、あなた自身が、いつかその反面教師そっくりの人間になることもある。これを「ゴースト」という。反面教師がいても、批判のための批判だけに終わってはいけない。どこかでその人を乗り越える努力を忘れてはいけない。

●子供の叱り方
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日本人は、親子の密着度、とくに母子の密着度が、高い。そのため母親は、自分の子供を客観的に見ることができない。できない分だけ、叱るとき、とまどう。つまり自分の子供のできの悪いのは、自分のせいと考えてしまう。とくに他人に自分の子供の批判を許さない。自分自身がけなされたかのように思ってしまう。子供の叱り方で悩んだら、母子関係の密着度が高すぎないかも反省してみる。

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○受験は、淡々と
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子ども(幼児)の受験は、淡々と。合格することを考えて準備するのではなく、不合格になったときのことを考えて、準備する。この時期、一度、それをトラウマにすると、子どもは生涯にわたって、自ら「ダメ人間」のレッテルを張ってしまう。そうなれば、大失敗というもの。だから受験は、不合格のときを考えながら、準備する。

○比較は、要注意
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情報交換はある程度までは必要だが、しかしそれ以上の、深い親どうしの交際は、避ける。できれば、必要な情報だけを集めて、交際するとしても、子どもの受験とは関係ない人とする。「受験」の魔力には、想像以上のものがある。一度、この魔力にとりつかれると、かなり精神的にタフな人でも、自分を自分を見失ってしまう。気がついたときには、狂乱状態に……ということにも、なりかねない。

○すべる、落ちるは禁句
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子どもの前では、「受験」「入試」「合格」「不合格」「落ちる」「すべる」などの用語を口にするのは、タブーと思うこと。入試に向かうとしても、子どもに楽しませるようなお膳立ては、必要である。「今度、お母さんがお弁当つくってあげるから、いっしょに行きましょうね」とか。またそういう雰囲気のほうが、子どもも伸び伸びとできる。また結果も、よい。

○入試内容に迎合しない
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たまに難しい問題が出ると、親は、それにすぐ迎合しようとする。たとえば前年度で、球根の名前を聞かれるような問題が出たとする。するとすぐ、親は、「では……」と。しかし大切なことは、物知りな子どもにすることではなく、深く考える子どもにすることである。わからなかったら、すなおに「わかりません」と言えばよい。試験官にしても、そういうすなおさを、試しているのである。

○子どもらしい子どもに
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子どもは子どもらしい子どもにする。すなおで、明るく、伸びやかで、好奇心が旺盛で、生活力があって……。すなおというのは、心の状態と、表情が一致している子どもをいう。ねたむ、いじける、すねる、ひねくれるなどの症状のない子どもをいう。そういう子どもを目指し、それでダメだというのなら、そんな学校は、こちらから蹴とばせばよい。それくらいの気構えは、親には必要である。

○デマにご用心
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受験期になると、とんでもないデマが飛びかう。「今年は、受験者数が多い」「教員と親しくなっておかねば不利」「裏金が必要」などなど。親たちの不安心理が、さらにそうしたデマを増幅させる。さらに口から口へと伝わっていく間に、デマ自身も大きくなる。こういうのを心理学の世界でも、「記憶錯誤」という。子どもよりも、おとなのほうが、しかも不安状態であればあるほど、その錯誤が大きくなることが知られている。

○成功率(達成率)は、50%
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子どもが、2回トライして、1回は、うまくいくようにしむける。毎回、成功していたのでは、子どもも楽しくない。しかし毎回失敗していたのでは、やる気をなくす。だから、その目安は、50%。その50%を、うまく用意しながら、子どもを誘導していく。そしていつも、何かのレッスンの終わりには、「ほら、ちゃんとできるじゃ、ない」「すばらしい」と言って、ほめて仕あげる。

○無理、強制
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無理(能力を超えた負担)や強制(強引な指導)は、一時的な効果はあっても、それ以上の効果はない。そればかりか、そのあと、その反動として、子どもは、やる気をなくす。ばあいによっては、燃え尽きてしまったり、無気力になったりすることもある。そんなわけで、『伸びたバネは、必ず縮む』と覚えておくとよい。無理をしても、全体としてみれば、プラスマイナス・ゼロになるということ

○条件、比較
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「100点取ったら、お小遣いをあげる」「1時間勉強したら、お菓子をあげる」というのが条件。「A君は、もうカタカナが読めるのよ」「お兄ちゃんが、あんたのときは、学校で一番だったのよ」というのが、比較ということになる。条件や比較は、子どもからやる気を奪うだけではなく、子どもの心を卑屈にする。日常化すれば、「私は私」という生き方すらできなくなってしまう。子どもの問題というよりは、親自身の問題として、考えたらよい。(内発的動機づけ)

○方向性は、図書館で
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どんな子どもにも、方向性がある。その方向性を知りたかったら、子どもを図書館へ連れていき、一日、そこで遊ばせてみるとよい。やがて子どもが好んで読む本が、わかってくる。それがその子どもの方向性である。たとえばスポーツの本なら、その子どもは、スポーツに強い関心をもっていることを示す。その方向性がわかったら、その方向性にそって、子どもを指導し、伸ばす。(役割形成)

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○神経症(心身症)に注意
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心が変調してくると、子どもの行動や心に、その前兆症状として、変化が見られるようになる。「何か、おかしい?」と感じたら、神経症もしくは、心身症を疑ってみる。よく知られた例としては、チック、吃音(どもり)、指しゃぶり、爪かみ、ものいじり、夜尿などがある。日常的に、抑圧感や欲求不満を覚えると、子どもは、これらの症状を示す。こうした症状が見られたら、(親は、子どもをなおそうとするが)、まず親自身の育児姿勢と、子育てのあり方を猛省する。

○負担は、少しずつ減らす
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子どもが無気力症状を示すと、たいていの親は、あわてる。そしていきなり、負担を、すべて取り払ってしまう。「おけいこごとは、すべてやめましょう」と。しかしこうした極端な変化は、かえって症状を悪化させてしまう。負担は、少しずつ減らす。数週間から、1、2か月をかけて減らすのがよい。そしてその間に、子どもの心のケアに務める。そうすることによって、あとあと、子どもの立ちなおりが、用意になる

○荷おろし症候群
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何かの目標を達成したとたん、目標を喪失し、無気力状態になることを言う。有名高校や大学に進学したあとになることが多い。燃え尽き症候群と症状は似ている。一日中、ボーッとしているだけ。感情的な反応も少なくなる。地元のS進学高校のばあい、1年生で、10~15%の子どもに、そういう症状が見られる(S高校教師談)とのこと。「友人が少なく、人に言われていやいや勉強した子どもに多い」(渋谷昌三氏)

○回復は1年単位
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一度、無気力状態に襲われると、回復には、1年単位の時間がかかる。(1年でも、短いほうだが……。)たいていのばあい、少し回復し始めると、その段階で、親は無理をする。その無理が、かえって症状を悪化させる。だから、1年単位。「先月とくらべて、症状はどうか?」「去年とくらべて、症状はどうか?」という視点でみる。日々の変化や、週単位の変化に、決して、一喜一憂しないこと。心の病気というのは、そういうもの。

○前向きの暗示を大切に
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子どもには、いつも前向きの暗示を加えていく。「あなたは、明日は、もっとすばらしくなる」「来年は、もっとすばらしい年になる」と。こうした前向きな暗示が、子どものやる気を引き起こす。ある家庭には、4人の子どもがいた。しかしどの子も、表情が明るい。その秘訣は、母親にあった。母親はいつも、こうような言い方をしていた。「ほら、あんたも、お兄ちゃんの服が着られるようになったわね」と。「明日は、もっといいことがある」という思いが、子どもを前にひっぱっていく。

○未来をおどさない
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今、赤ちゃんがえりならぬ、幼児がえりを起こす子どもがふえている。おとなになることに、ある種の恐怖感を覚えているためである。兄や姉のはげしい受験勉強を見て、恐怖感を覚えることもある。幼児のときにもっていた、本や雑誌、おもちゃを取り出して、大切そうにそれをもっているなど。話し方そのものが、幼稚ぽくなることもある。子どもの未来を脅さない。

○子どもを伸ばす、三種の神器
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子どもを伸ばす、三種の神器が、夢、目的、希望。しかし今、夢のない子どもがふえた。中学生だと、ほとんどが、夢をもっていない。また「明日は、きっといいことがある」と思って、一日を終える子どもは、男子30%、女子35%にすぎない(「日本社会子ども学会」、全国の小学生3226人を対象に、04年度調査)。子どもの夢を大切に、それを伸ばすのは、親の義務と、心得る。

○上下意識は禁物
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 兄(姉)が上で、弟(妹)が下という、上下意識をもたない。……といっても、日本人からこの意識を抜くのは、容易なことではない。伝統的に、そういう意識をたたきこまれている。今でも、長子相続を本気で考えている人は多い。もしあなたがどこか権威主義的なものの考え方をしているようなら、まず、それを改める。

○兄弟は、名前で呼ぶ
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 「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」ではなく、兄でも、姉でも、子ども自身の名前で、子どもを呼ぶ。たとえば子どもの名前が太郎だったら、「太郎」と呼ぶ。一般的に、たがいに名前で呼びあう兄弟(姉妹)は、仲がよいと言われている。

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○兄弟は差別しない
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 長男、長女は、下の子が生まれたときから、恒常的な愛情不足、欲求不満の状態に置かれる。親は「平等」というが、長男、長女にしてみれば、平等ということが、不平等なのである。そういう前提で、長男(長女)の心理を理解する。つまり長男(長女)のほうが、不平等に対して、きわめて敏感に反応しやすい。

○兄弟の嫉妬はタブー
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 兄弟(姉妹)の間で、嫉妬感情をもたせない。これは子育ての鉄則と考えてよい。嫉妬は、確実に子どもの心をゆがめる。原始的な感情であるがゆえに、扱い方もむずかしい。この嫉妬がゆがむと、相手を殺すところまでする。兄弟(姉妹)を別々に扱うときも、たがいに嫉妬させないようにする。

○たがいを喜ばせる
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 兄弟を仲よくさせる方法として、「たがいを喜ばせる」がある。たとえばうち1人を買い物に連れていったときでも、「これがあると○○君、喜ぶわね」「△△ちゃん、喜ぶわね」というような買い与え方をする。いつも相手を喜ばすようにしむける。これはたがいの思いやりの心を育てるためにも、重要である

○たがいを批判しない
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 子どもどうしの悪口を、決して言わない。聞かない。聞いても、判断しない。たとえば兄に何か問題があっても、それを絶対に(絶対に)、弟に告げ口してはいけない。告げ口した段階で、あなたと兄の関係は、壊れる。反対に兄が弟のことで、何か告げ口をしても、あなたは聞くだけ。決して相づちを打ったり、いっしょになって、兄を批判してはいけない。

○得意面をさらに伸ばす
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子どもを伸ばすコツは、得意面をさらに伸ばし、不得意面については、目を閉じること。たとえば受験生でも、得意な英語を伸ばしていると、不得意だった数学も、つられるように伸び始めるということがよくある。「うちの子は、運動が苦手だから、体操教室へ……」という発想は、そもそも、その原点からまちがっている。子どもは(いやがる)→(ますます不得意になる)の悪循環を繰りかえすようになる。

○悪循環を感じたら、手を引く
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子育てをしていて、どこかで悪循環を感じたら、すかさず、その問題から、手を引く。あきらめて、忘れる。あるいはほかの面に、関心を移す。「まだ、何とかなる」「そんなハズはない」と親ががんばればがんばるほど、話が、おかしくなる。深みにはまる。が、それだけではない。一度、この悪循環に入ると。それまで得意であった分野にまで、悪影響をおよぼすようになる。自信喪失から、自己否定に走ることもある。

○子どもはほめて伸ばす
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『叱るときは、陰で。ほめるときは、みなの前で』は、幼児教育の大鉄則。もっとはっきり言えば、子どもは、ほめて伸ばす。仮にたどたどしい、読みにくい文字を書いたとしても、「ほほう、字がじょうずになったね」と。こうした前向きの強化が、子どもを伸ばす。この時期、子どもは、ややうぬぼれ気味のほうが、あとあと、よく伸びる。「ぼくはできる」「私はすばらしい」という自信が、子どもを伸ばす原動力になる。

○孤立感と劣等感に注意
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家族からの孤立、友だちからの孤立など。子どもが孤立する様子を見せたら、要注意。「ぼくはダメだ」式の劣等感を見せたときも、要注意。この二つがからむと、子どものものの考え方は、急速に暗く、ゆがんでくる。外から見ると、「何を考えているかわからない」というようになれば、子どもの心は、かなり危険な状態に入ったとみてよい。家庭教育のあり方を、猛省する。

○すなおな子ども
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従順で、親の言うことをハイハイと聞く子どもを、すなおな子どもというのではない。幼児教育の世界で、「すなおな子ども」というときは、心(情意)と、表情が一致している子どもをいう。感情表出がすなおにできる。うれしいときは、顔満面にその喜びをたたえるなど。反対にその子どもにやさしくしてあげると、そのやさしさが、スーッと子どもの心の中に、しみこんでいく感じがする。そういう子どもを、すなおな子どもという。

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○自己意識を育てる
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乳幼児期に、何らかの問題があったとする。しかしそうした問題に直面したとき、大切なことは、そうした問題にどう対処するかではなく、どうしたら、こじらせないか、である。たとえばADHD児にしても、その症状が現れてくると、たいていの親は、混乱状態になる。しかし子どもの自己意識が育ってくると、子どもは、自らをコントロールするようになる。そして見た目には、症状はわからなくなる。無理をすれば、症状はこじれる。そして一度、こじれると、その分だけ、立ちなおりが遅れる。

○まず自分を疑う
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子どもに問題があるとわかると、親は、子どもをなおそうとする。しかしそういう視点では、子どもは、なおらない。たとえばよくある例は、親の過干渉、過関心で、子どもが萎縮してしまったようなばあい。親は「どうしてうちの子は、ハキハキしないのでしょう」と言う。そして子どもに向かっては、「どうしてあなたは、大きな声で返事ができないの!」と叱る。しかし原因は、親自身にある。それに気づかないかぎり、子どもは、なおらない。

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