2012年4月21日土曜日
We shall overcome!
Hiroshi Hayashi+++++++April. 2012++++++はやし浩司・林浩司
●「がんばろう、日本!」(Hold out, Japan!)
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司
あの3・11大震災のあと。
しばらくしてから、「がんんばろう、日本!」という言葉が生まれた。
だれが言い出したかしらないが、またたく間に、それが私たちの合い言葉になった。
しかし……。
「がんばろう、日本!」は、どこか、暗い。
うしろ向き。
「ふんばろう、日本!」にも、聞こえる。
あるいは、ある程度先が見えてきて、あと一息というときに、「がんばろう!」と言うのなら、まだわかる。
徹底的に叩きのめされたあとに、「がんばろう!」は、おかしい。
何をどうがんばれば、よいのか。
私はあのとき、ジョン・バエズ風に、「We shall overcome!」、あるいは、ランボー風に、「Keep moving forward!」という言葉を思いついた。
「私たちは負けない(We shall overcome)」、「前に向かって進もう(Keep moving forward)」と。
世界の人に向かっても、またそのほうが、わかりやすい。
ジョン・バエズと、ランボーを、YOUTUBEから、拾ってみる。
が、「がんばろう、日本!」が、まちがっているというのではない。
日本はがんばらなくてはいけない。
がんばるしかない。
ただその言葉を聞くと、勇気がわいてくる前に、泣けてくる。
どういうわけか、泣けてくる。
Hiroshi Hayashi+++++++April. 2012++++++はやし浩司・林浩司
●「アンビシャス、Japan」
あのクラーク博士は、札幌農学校を去るとき、「少年よ、大志を抱け」と言ったとか。
が、原語は、「Boys, be ambitious!」だった。
となると、「少年よ、大志を抱け」は、誤訳。
「ambitious」は、「ちまちま生きないで、野心的に生きろ」という意味である。
それについては、もう10年ほど前に、一度、書いたことがある。
原稿を探してみる。
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司
「たちあがれ、日本」に書いた原稿の中に、
それがあった(2010年)。
「たちあがれ、日本」という言葉が生まれたのは、
3・11大震災のちょうど半年ほど前のこと(2010年)。
3・11大震災は、2011年の3月11日に起きている。
そのとき、つぎの原稿を書いた。
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司
●『たちあがれ日本』
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自民党に離党届を提出した与謝野馨元財務相や無所属の平沼赳夫元経済産業相らが10日に結成する新党の党名は「たちあがれ日本」となる事が7日、決まった。
与謝野氏らは5日から党名や基本政策の協議を進めてきた。
新党関係者は「党名はほぼ合意が出来た」と語った。(読売新聞・4月7日・2010)
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●Ambitious Japan(立て、日本!)
『たちあがれ日本』という言葉を聞いて、10年ほど前に書いた原稿を、思い出した。
「Ambitious Japan」という言葉について書いた原稿である。
それをそのままここに紹介する。
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司
今、東海道新幹線(JR)の車両の横に、「Ambitious Japan」と書いてある。
「Ambitious」と言えば、W・クラーク博士。明治10年、札幌農学校(現在の北海道大学)を退任するときに、クラーク博士は、「Boys, be ambitious!」と言ったという。
日本では、「少年よ、大志を抱け」と翻訳されている。
その後、この翻訳は、正しくないという議論が、あちこちから起きた。
実は、私も、そう思う。
つまり、正しくない。
「ambitious」というと、「野心的な」という意味。
反対に、小さな世界で、こじんまりと生きている人のことを、「ambitious」とは、言わない。
そういう意味での、「ambitious」である。
「大志」というと、どこか出世主義のにおいが、プンプンとする。
明治という時代は、そういう時代だったかもしれないが、しかしアメリカ人のクラーク博士に、そういう意識があったかどうかは、疑問である。
あえて訳すなら、「生徒たちよ、こじんまり生きないで、もっと元気を出せ」という意味ではなかったのか。
英語で、「ambitious」というと、どこか「他人を蹴落としてでも、前に進め」というニュアンスを感ずる。
どこか荒々しく、乱暴。
たとえば会話でも、「He is an ambitious man.」と言ったときは、その彼をほめるというよりは、「彼はやり手」という意味で使う。
私のpoorな英語力で、こういう解釈を加えるのは、危険なことかもしれないが、少なくとも、「大志を抱け」という意味ではない。
で、その新幹線。
私は、「Ambitious Japan」という言葉が好きである。
この不況下。
みんな、どこか元気をなくしている。
自信をなくしている。
しかしあの新幹線が、轟音とともに走りすぎるのを見るたびに、「日本も、まだまだがんばっているな」と思う。
「捨てたものではないな」と思う。
先日も、オーストラリアの友人が、日本へ来て、新幹線が走っていることよりも、すでにその新幹線が、35年以上も前から走っていることに、驚いていた。
韓国の新幹線は、やっと今年になってから走った。
中国は、これからである。
が、日本では、35年以上!
「さあ、日本よ、元気だそう。まだ俺たちには、パワーがある」という意味での、「Ambitious Japan」である。
多分、JRのことだから、その道の英語の達人を、アドバイザーにしながら、この言葉
を考えたのだろう。
けだし、正解である!
で、一つだけ心配するのは、あの「Ambitious Japan」という英語を見て、中には、「日本よ、大志を抱け」と翻訳する人も、いるのではないかということ。
それについては、ここで、「その訳は、まちがっている」ということを、改めて、確認しておきたい。
さあ、みんな、元気を出して、前に進もう! Let's be ambitious!
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司
●ひらがな?
この原稿を書くとき、本当に「たちあがれ日本」でよいのか、不安に思った。
「立ち上がれ」あるいは、「立ちあがれ」ではないのか、と。
ウィキペディア百科事典には、つぎのようにある。
「2010年4月7日に新党の名称を「たちあがれ日本」にすることが固まった。
命名したのは新党を後押しする石原慎太郎東京都知事。
「すすめ日本」「がんばろう日本」「まもれ日本」「新党ちから」「よあけ」「れいめい」または「れいめいの会」なども候補にあがったが、平沼は「今の時代に合っているのは、ひらがながいいんじゃないか」と述べている。
翌8日には平沼が「代表」、与謝野が「共同代表」に就任することが合意された」(ウィキペディア百科事典より)と。
やはり「たちあがれ日本」が正しいということになる。
しかし私なら、「立て日本」とする。
そのほうが短くて、わかりやすい。
「たちあがれ日本」とすると、党名を覚えるとき、まちがえやすい。
私もすぐには、思い出せなかった。
「たちあがろう日本」?
「たとう日本」?
いろいろ迷った。
●虚しさ
が、「たちあがれ日本」という新党が生まれたとき、私はそこにある種の虚しさを覚えた。
「またか?」という思い。
それには2つの意味がある。
ひとつは、そのつどこうした調子のよい言葉(失礼!)が生まれる。
しかしいつも空振り。
先に載せた「Ambitious Japan」にしても、そうだ。
もう10年近くも前に書いた原稿である。
もうひとつは、民主党。
民主党が私たち(浮動票層)に与えた失望感には、相当なものがある。
国民の80%以上が、「やめろ・コール」を出しているのに、小沢幹事長は、いまだにその立場にしがみついている。
その見苦しさ。
その醜悪さ。
浮動票層は、民主党や小沢幹事長を選んだのではない。
反麻生勢力が、たまたま民主党に向かっただけ。
たしかに浮動票層は、今、行き場をなくし、右往左往している。
が、小沢幹事長はそれをそれ見越してか、「民主党しかない」と、勝手なことを言っている。
まるで国民の気持ちがわかっていない。
またそういう人物が、国政の頂点にいることを、とても残念に思う。
●立て、日本!
党名はともかくも、今の日本には、この言葉しかない。
ただし私なら、先にも書いたように、こう言う。
「立て、日本!」。
「たちあがろう日本」では、どこか弱々しい。
「Let's be ambitous」よりは、「Be ambitious」のほうが、よい。
だから、「立て、日本!」。
英語に訳すなら、「Ambitious Japan」となる。
自民党もだめ。
民主党もだめ。
だったら、私たち浮動票層はどこへ向かえばよいのか……という意味で、「たちあがろう日本」に、おおいに期待したい。
期待したいが、どうも道筋がはっきりと見えてこない。
悪く見れば、自民党残党の「生き残り政党」ということになる。
となると、おいそれと支持できない。
民主党に一度、裏切られているから、そこはどうしても慎重になってしまう。
「はい、では、たちあがろう日本にします」というわけいには、いかない。
もう少し様子をみよう。
ただすでに結果が出始めている。
各地でなされる首長選挙では、民主党の連敗がつづいている。
当然のことである。
(以上、2010年記)
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司
●Hold out.
すでにあのとき、「Ambitious Japan」という言葉があった。
2011年の3・11大震災のときのことである。
が、その言葉は、3・11大震災とともに、消えた。
かわりに出てきたのが、「がんばろう、日本」。
何も外国を意識する必要はないが、しかし外国向けには、「Ambitious Japan」のほうが、よかった。
ニュアンスが、前向き。
だいたい「がんばろう、日本!」は、英語では、どう翻訳すればよいのか。
手元にある電子辞書(プログレッシブ和英辞典)によれば、「がんばろう」は、「Hold out」「Hang on」になっている。
「前向きに進む」という意味ではない。
やはり「ふんばる」に近い。
つまり「がんばろう、日本!」というと、日本の外では、「ふんばろう、日本!」となる。
つまり、どこか、暗い。
……今にして思うと、そういう印象をもつ。
2012/04/21
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