2012年3月10日土曜日

*The Crisis of Japan

●ロイター(2012年3月9日)「日本国債・暴落ストーリー」を精読する。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

「ギリシャのつぎは、日本!」……か?
ロイターは、「日本国債・暴落ストーリー」と題し、長文の論説をかかげている。

巷(ちまた)の倒産劇と同じ。
国が破産するときは、一気。
一気に破産する。
それまで耐えていた屋台骨が、ある日突然、ボキッと折れる。
そんな感じで、破産する。

うわさがうわさを呼び始めたら、最後。
日本は、そのまま一気に、奈落の底に。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

●ふえつづける国の借金

 国の借金が、1000兆円と聞いても、ピンとこない。
日本の人口を、1億人(生産者人口)とすると、1人あたり、1000万円。
夫婦2人で、2000万円。

 債権者(=国債の保有者)の90%が、日本人自身とか(ロイター)。
90%と喜んでいてはいけない。
2000年ごろには、95%という数字を聞いていたので、5%も減ったことになる。
わかりやすく言えば、こういうこと。

 日ノ本家なら、日ノ本家としておこう。 
その日ノ本家の親父が、家族4人で、4000万円もの借金をかかえた。
うち3600万円は、息子や娘たちから借りたもの。
残り400万円は、サラ金から借りたもの。

 それだけの借金があっても、親父はのんきなもの。
「わしは、できのいい息子や娘をもって、幸せだ」と。

が、このところ、少しずつだが、様子が変わってきた。
息子や娘たちの収入が減ってきた。
今までは何とか黒字になり、少しだが、親父に小遣いを渡していた。
が、それができなくなった。
その分だけ、親父に、こう言い出した。
「もう、これ以上、お金を貸すことができない」
「サラ金への利息までは、払えない」と。

 親父は、サラ金への利息の半分まで、息子や娘たちに負担させていた。

 ロイターは、そのことを、こう伝えている。

『……2011年の貿易収支が31年ぶりの赤字に転落、安定感があった国債市場に動揺が走った。
輸出の停滞に加えて、原発稼働率の大幅な低下による代替エネルギー燃料の輸入拡大が主な要因だが、貿易赤字が膨らみ続け、経常赤字が恒常化すれば、貯蓄率が低下し、国内勢主体の国債消化構造が揺らぐとの懸念がくすぶる。
8日に発表された1月単月ベースの経常収支は4373億円の赤字と、2009年1月を上回る過去最大の赤字を記録した。
SMBC日興証券・チーフストラテジストの末澤豪憲氏は、季節的な要因や中国春節などの特殊要因が重なったためで2月以降は黒字に戻ると予想するが、「原発再稼働に高いハードルがあり、黒字額は低水準にとどまる」との見方を示す』と。

●地震

 息子と娘の話を書いた。
その息子や娘も、50代。
孫たちも、大学へ通い始めた。
学費がズシンと、重くのしかかる。

 そんな折も折、地震がその地方を襲った。
母屋の一角が崩れた。
本来なら家の建て替えをしたほうがよい。
が、そのお金がない。
親父は、家の修理をすることにした。
その費用が、150万円(15兆円)。
もちろん、借金。

 ふつうなら、親父は支出を削らねばならない。
しかし道楽で始めた庭いじり。
今は庭石を取り寄せ、それで池のまわりを飾っている。

 ロイターはつぎのように書いている。

『来年度予算案には整備新幹線の未着工3区間の建設費用も盛り込まれたが、「なぜ今、国費で旧来型の新幹線を着工しなければならないのか」といった疑問を抱く関係者も少なくない。
今回の整備新幹線着工に経済合理性が議論された形跡は見られず「旧態依然とした公共投資で建設セクターに税金を流し込まないと景気が浮揚しない構図」(外資系証券)に、市場では構造改革に逆行した政策との批判もある』(ロイター)と。

●世間の風当たり

 こういう日ノ本家に対する、世間の風当たりは、きびしい。
「どうも、あの家は、おかしいのではないか」という、うわさが出始めた。
が、親父はどこ吹く風。
相も変わらず、ぜいたくざんまい。
やりたい放題。
息子や娘は、それを正すのだが、肝心の親父は、聞く耳さえもたない。
月に一度は、海外旅行。
そのたびに、「マイルがたまった」と、喜んでいる。
が、事故も多い。

 先月は、マカオへ行ってきたが、そこで、200万円(AIJ)ほど、バクチですってしまった。
が、親父は、それについても、知らぬ顔。
「あいつら詐欺師だ。オレが悪いのではない」と。

 ロイターは、つぎのように伝える。

『巨額な政府債務による財政の硬直性、ねじれ国会による政治の停滞に、震災による政治・経済面での環境変化が加わり、日本国債の信用力への評価がさらに厳しくなっている』と。

『財政の弾力性が低下している要因には、政権基盤の脆弱さがもたらす政策遂行能力の欠如もある。
いわゆる衆参ねじれの構造の弊害だ。
ねじれ構造下では、財政再建の両輪とされる歳出削減と歳入確保について、国民に強い負担を強いるような難しい政策を打ち出すことは困難』と。

●ハゲタカ

 そういう日ノ本家を、虎視眈々(こしたんたん)と狙っている連中がいる。
2つのグループに分けられる。

 ひとつは、日ノ本家の知的財産を奪ってやろうと考えている連中。
日ノ本家には、昔から伝わる技術がある。
その技術を盗もうとしている。
ときどき日ノ本家へやってきては、様子をうかがっている。

もうひとつは、破産に追い込み、財産を安く買いたたいてやろうと考えている連中。
その連中たちが、力を合わせ、日ノ本家に近づいてきた。

 「金を貸してあげようか」と。
やさしい顔をして、やってきた。
が、親父はお人好しのボンボン。

 ロイターはこう伝える。

『ヘッジファンドが日本国債暴落ストーリーを描き始めた……メリルリンチ日本証券・チーフ債券ストラテジストの藤田昇悟氏は語る。
暴落ストーリーを口にするタカ派なファンド勢はごく少数だが、日本の早期経常赤字化や巨大な財政赤字を手掛かりに、「日本のギリシャ化」を想定し、日本国債売りと円売りのポジションを構築しているという』と。

●では、どうするか?

 名誉やプライドをかなぐり捨てる。
もう一度、原点に立ち戻り、そこからはいあがる。
アジアの最貧国なら、最貧国でもよい。

 日ノ本家にたとえるなら、家屋敷を売り、一家全員が、狭いアパートに移る。
親父も、妻も、息子も、娘も、日雇い労働者となって働く。
つまりそれくらいの覚悟を、もつ。
もったら、そのときからどうすればよいかを、今から計画する。
その一例として、ロイターは、同じ町内に住む、ネシア家をあげる。

『世界でも有数の地震多発地帯であるインドネシアのスマトラ島。
2004年にマグニチュード(M)9を超える大地震と巨大津波で多くの死傷者を出した。
その後もM7~9規模の地震が頻発、今年1月にはM7.3の地震が発生したが、ムーディーズはその1週間後にインドネシアの信用格付けを「Ba1」から投資適格等級の「Baa3」に引き上げた。

インドネシアの投資適格等級への格付け復帰は1997年12月以来約15年ぶり。
好調な個人消費と輸出に支えられ、年5%後半から6%台の安定した経済成長が持続。
格付けが投資適格水準に引き上げられたことで、先進国中心に海外からの資金流入が加速している。

政治的な安定性も増しており「経済規模が大きいBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)諸国に引けを取らない成長期待が財政の弾力性を確保する大きな要因」(国内金融機関)となっている』と。

●風前の灯火の教育

 日本の国家破綻はありえない話ではない。
旧ソ連の例をあげるまでもない。
で、その日本をゆいいつ支えてきたのが、人材、つまり教育だった。
しかし今や、その教育も、風前の灯。
この半世紀で、日本人の「質」そのものが変わってしまった。
本来なら、日本の教育は先手、先手で、他国をリードしなければならなかった。
が、その努力さえ、怠ってしまった。

 旧態依然の、あたりさわりのない教育をつづけているだけ。
ダイナミズムが消えて、もう30年になる。
目標が消えたのも、そのころ。
教師自身が、どういう子どもを育てたらよいのか、その「像」すら、描ききれていない。
簡単に言えば、「上」から言われたことを、そのとおり実行しているだけ。
「やるべきことはしまう」「しかしそれ以上のことはしません」と。

 これでは最初から、勝負にならない。
近隣の国々と同じことをしていて、あるいはそれにも及ばないことをしていて、どうして近隣の国の人たちと渡りあっていくのか。
ひとつのヒントとして、私は「競争のシステムの導入」と「教育の自由化」をあげる。

●競争システムの導入

 日本もアメリカのように、「学年制」を廃止する。
(「学歴制度」はもちろんだが、「学年制」。誤解のないように!)
クラスの前には、その教師の名前だけを表示すればよい。
何かの植物の名前でもよい。
勉強ができる子ども(gifted child)は、たとえば「来週から、ダリア組へ行きなさい」と。
あるいは、その反対でもよい。
「まだこのアカシア組の授業の内容を、よく理解できていませんから、来年、もう1年、このアカシア組で勉強しなさい」と。

 競争を「悪」と決めつけるのは、簡単。
しかし日本を一歩、外に出れば、そこは競争原理の世界。
野獣と猛獣がうごめく、海千山千の世界。
それが「現実」。
その現実を無視して、日本の未来は、ない。

●自由化

 たとえば、どうしてこの日本が、電子教科書を採用しないのか。
それとも、それを採用することで、何か、まずいことでもあるというのか。
たとえば教科書会社との利権を失うとか?

 ……とまあ、いろいろ書きたいことはある。
あるが、昨日(2012年03月09日)、韓国の朝鮮N報は、こんな興味深いコラムを掲載している。
題は、『無責任政治に失望、無党派層が68%に』。

日本の現状を、鋭く指摘している。

++++++++++++++以下、朝鮮N報より+++++++++++++++

●東日本巨大地震:無責任政治に失望、無党派層が68%に
 極度の政治不信広がる

 「戦後最悪の危機だというのに、政治家は政争ばかり繰り返している」(35歳、会社員)
 「自民党が嫌いで民主党に投票したが、かなり失望した。
既成政党に期待することはない」(40歳、主婦)

 東日本巨大地震と福島第一原子力発電所事故の収拾が遅々として進まない中、日本では政治全体が極度の不信を招いている。
朝日新聞が最近実施した世論調査で、民主党の支持率は17%まで低下し、自民党は12%まで落ち込んだ。
日本国民は、民主党の災害対応能力に失望している上、何かにつけて政府の足を引っ張る自民党に対しても、絶望同然の感情を抱いている。
時事通信による最近の世論調査では、「支持政党なし」という無党派層の比率が68.2%まで上昇した。
1960年に世論調査が始まって以来、過去最高の数字だ。

■無責任の政治システムがむき出しに

 東京大学の木宮正史教授は、「日本政治の特徴である“無責任のシステム”が、原発事故の収拾過程でむき出しになった」と語った。
「無責任のシステム」とは、依然として太平洋戦争を起こした人物や責任を取るべき人物について究明しようとしないなど、責任と権限が不透明な日本政治の特徴を指す。
日本の国家システムは、頻繁に変わる首相が「国の顔」の役割を果たすだけで、実際には官僚が国家を動かすというものだった。
日本の高度成長を主導した官僚システムは、一時は世界最高水準という賛辞を受けた。
しかし、バブル崩壊後に動作不良に陥った官僚システムは、東日本大震災でそのもろさがはっきりと浮き彫りになった。
世宗研究所の陳昌洙(チン・チャンス)博士は「官僚のマニュアルに基づいて維持されてきた日本の政治システムは、リーダーの決断力を要する危機の状況では全く機能しないことが証明された」と語った。

■論文「日本の自殺」が再び流行

 1975年に発表された「日本の自殺」という論文が、最近『文藝春秋』などに再び掲載されるなど、関心を集めている。
「日本の自殺」は、リーダーシップの危機などにより、日本が内部から崩壊すると主張する論文で、日本の現状を最も的確に予測しているとの評価を受けている。

++++++++++++++以上、朝鮮N報より+++++++++++++++

●浮動票の王様

 私は自称、「浮動票の王様」。
私が動くところ、浮動票層もついて動く。
その浮動票の王様……というより、本当はその一員として、一言。

 「私たちは、たしかに絶望している」

 民主党も民主党なら、自民党も自民党。
木宮正史教授が述べていることを、箇条書きにしてみる。

(1)日本政治の特徴である“無責任のシステム”が、原発事故の収拾過程でむき出しになった」と語った。

(2)「無責任のシステム」とは、依然として太平洋戦争を起こした人物や責任を取るべき人物について究明しようとしないなど、責任と権限が不透明な日本政治の特徴を指す。

(3)日本の国家システムは、頻繁に変わる首相が「国の顔」の役割を果たすだけで、実際には官僚が国家を動かすというものだった。

(4)日本の高度成長を主導した官僚システムは、一時は世界最高水準という賛辞を受けた。
しかし、バブル崩壊後に動作不良に陥った官僚システムは、東日本大震災でそのもろさがはっきりと浮き彫りになった。

 その結果、

(5)世宗研究所の陳昌洙(チン・チャンス)博士は「官僚のマニュアルに基づいて維持されてきた日本の政治システムは、リーダーの決断力を要する危機の状況では全く機能しないことが証明された」と語った。

●私見

 順に考えてみよう。

(1)無責任システム……まったく、同感。
役人根性の第一は、余計なことはしない、管轄は守る、常に責任逃れの道を用意する。
その役人根性が、一般企業、さらには一般国民の間にまで浸透している。

(2)戦争責任……戦争責任もそうだが、江戸時代の封建時代の精算すらしていない。
いまだにあの暗黒かつ恐怖政治の時代を、美化している人が多いのには、驚かされる。

(3)官僚政治……日本が民主主義国家と思っているのは、日本人だけ。
地方の議会ですら、質問書も、答弁書も、みな、役人が書いている。
作文力のある政治家は、ほとんどいない。

(4)政治の硬直化……3月6日の各新聞は、あの厚生年金基金に、旧社保丁、および現日本年金機構から、646人も天下りをしていたと報じている。
一事が万事。
こうした団体が、日本の社会を硬直化させている。

(5)リーダーの喪失……日本人が、総一億、「もの言わぬ従順な民」に作りあげられてしまった。
その結果が、今。
だれも責任を取らない……ではなく、その前に、だれも責任を追及しない。

子どもたちの世界でも、みな、キバを抜かれたような子どもたちばかりになってしまった。
またそういう子どもほど、「できのいい子」と評価されている。
今では、ガキ大将はもちろん、腕白少年すら、いない。

●日本国債の暴落

 数日前、日銀のそれなりの地位にある人物が、こう発言した。
「2、3年後には、日本国債の暴落はあるかもしれない」と。

 が、この言葉の裏には、2つの意味がある。

 まともに取れば、「2、3年後までには、日本国債は暴落する」と解釈できる。
そうでなければ、わざわざこんな発言などしない。

 もうひとつの解釈は、こうだ。
こちらのほうが、ずっと現実味がある。
つまり「今すぐではない」と。
「今すぐではないから、あわてるな」と。
言い換えると、国債の暴落は、それほどまでにひっ迫している。
その火消しのために、そう発言した。

 もし経常収支が赤字になったら……。
もし高齢者たちが、国債を現金化し始めたら……。
もし国債の引き受け手が、国債の引き受けをしぶり始めたら……。
たとえ10%でも、外国人が国債を売り始めたら……。

 その結果として、国債の金利が、1%を超え、2%になったら……。
(現在、5年モノで、0・299%、10年モノで、0・983%。)
そのとたん、日本の国家財政は破綻する。

 とても2、3年も、もたない。
冒頭で書いたように、そのときは、一気にやってくる。
その警戒心だけは、ゆるめてはならない。


Hiroshi Hayashi+++++++March. 2012++++++はやし浩司・林浩司
 
【年長児に、かけ算の基礎と、平行について教えてみる】

「楽しく学ぶ子はよく学ぶ」(イギリスの教育格言)。
……ということで、今日は、年長児(5、6歳児)に、かけ算の基礎と、平行について、指導してみました。
子どもたちとの会話をお楽しみください。



 
Hiroshi Hayashi+++++++March. 2012++++++はやし浩司・林浩司

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