2010年9月7日火曜日

*To Control Our Emotion

●親友の接待

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理由は、よくわからない。
わからないが、このところ、「私」自身が、
大きく変化している。
そんな感じがする。

ほんの数年前までは、友人が、2か月とか
3か月、私の家にホームステイしても、
どうということはなかった。
毎日の生活を、いつもと同じように繰り返す
ことができた。

が、今回は、少し感じがちがう。
自分でもそれがよくわかる。
気疲れしやすいというか、重い負担感を覚える。
40年来の友人である。
気心も、よくわかっている。
その間に、たがいに何度も行き来している。
が、それでもいつもと感じがちがう。
今日は午後になって、偏頭痛まで起きた。
なぜだろう?

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●柔軟性(フレキシビリティ)

 ここ1、2年、急速に柔軟性が失われていくのを感ずる。
臨機応変にその場に対処できない。
ひとつの計画を立てると、それに固執するようになった。
つまり以前は、もう少しいいかげんな人間だった。
その場、その場で、平気で計画を変更した。
が、今は、それができない?
これも脳の老化現象のひとつ?

 友人は日本へ来てから、別棟の部屋に寝泊まりしている。
とくに世話がかかるわけではない。
もともと独立心の旺盛な友人で、ひとりであちこちに出かけたりする。
彼なりにここでの生活を楽しんでいる。
が、それでも気疲れを起こす。
「食事はどうしよう?」「どこへ連れていけばいいのか?」「洗濯はしているだろうか?」
などなど。
いつもそのことが頭から離れない。

●気疲れ
 
 今までとちがう点がひとつある。
それは今度の出会いが、最後になるかもしれないという閉そく感である。
手術はうまくいったとは言っているが、友人は今年、大病を患った。
だからよけいに私は、気を遣ってしまう。
今までのような気楽さが、ない。
それから生まれる気負いが、私を疲れさせる。

「おいしいものを食べさせてやろう」とか、「楽しい思いをさせてやろう」とか、
そんなことばかりを、考える。
友人は友人で、それが反対にわかるのか、どこか他人行儀な態度を見せる。
欧米人を家に迎えるときには、やりたいようにさせてやる。
それが最善の接待方法である。
よくわかっているが、今回は、どうしてもあれこれと干渉してしまう。

 それにもうひとつの理由は、この暑さ。
体の方がバテてしまっている。
ときどき軽いめまいがする。
何かにつけ、疲れやすい。
慢性的な睡眠不足症状もつづいている。
その友人がどうこうというのではなく、そういう状態のとき、人を接待するのも、
たいへん。
本来なら、仕事以外のときは、家の中でゴロゴロしている。
いや、今日は、仕事中に、ウトウトと眠ってしまった。
体力も、気力も、たしかに弱くなっている。

●接待の限界

 ワイフはこう言った。
「これからは無理かもね」と。
つまり会うとしても、長くて半日。
あるいは数時間。
どこかのレストランか、ホテルで会う。
宿泊までしてもらうというのには、無理がある。

 このことは反対に、私たちがだれかの家を訪問するときも、そうだ。
会うとしても、長くて半日。
あるいは数時間。
それ以上は、相手に大きな負担を与えるので、遠慮する。
若いときならともかくも、相手が60歳を過ぎていたら、遠慮する。
夫はともかくも、妻の方が、たいへん。
寝食の世話からすべて、いっさいがっさい、気を遣わなければならない。
相手が欧米人なら、まだよい。
あれこれ、家事を負担してくれる。
が、相手が日本人だと、そうはいかない。

●日本人

 「客人」とし来た日本人は、何もしない。
本当に何もしない。
つまり何も手伝ってくれない。
いつもどこかでデンと座っているだけ。
「上げ膳、据え膳」という言葉があるが、それだけではすまない。
風呂の世話から、寝具の世話などなど。
動き回るのは、私と妻。

 私も山荘をもったころは、毎週のようにいろいろな友人を呼んだ。
しかしそのうち、疲れるようになった。
せっかくの土日なのだが、それが終わるころには、ヘトヘトになってしまった。
ということで、今は、客人を、ほとんど招待しない。
……というか、体力的な限界もあって、招待できない。
内心では申し訳ないと思いつつ、駅前のレストランで会って、それで別れるように
している。

●やはり暑さのせい?

 これもひとつの変化かもしれない。
老後になればなるほど、交際の範囲が、狭く、淡白になっていく。
これは息子や娘たちとの交際についても、言える。
私のばあい、息子たちには、ほとんど気を遣わない。
しかし嫁となると、そうはいかない。
気を遣う。
孫がいれば、なおさら。

 最初から同居していれば、こういうこともないのだろう。
またこれは「慣れ」の問題。
毎週のように行き来していれば、それなりの対処もできる。
しかし私たちのようなばあい、やはり疲れる。
で、そのことをワイフに問うと、ワイフも同じようなことを言った。
「これからは、どこかのホテルに泊まってもらうようにしたら」と。

 実のところ、泊めてもらう側の私にしても、同じことが言える。
あれこれ気を遣うよりは、どこかのホテルに泊まったほうがよい。
好きな時刻に寝て、好きな時刻に起きる。
好きな料理を食べる。
どこか心さみしい感じがしないわけでもないが、つまりそれだけ心のほうが、
柔軟性(フレキシビリティ)を失っていることを意味する。

 ……いや、やはりこれは暑さのせいかもしれない。
もう少し気候のよいときだったら、こうも疲れないはず。
このところの暑さは異常!
本当に暑い!
心身が、二重、三重にバテてしまっている。
だからよけいに柔軟性を失ってしまった……ようだ。


Hiroshi Hayashi++++++++Sep. 2010+++++++++はやし浩司

●感情のコントロール

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感情のコントロールは、前頭の連合野が管理して
いる。
理性の府。
感情のコントロールができる人は、それだけ
人格の完成度が高いということになる。
が、この暑さ。
何かにつけ、イライラしやすい。
爆発しやすい。
つまりその分、セロトニン(脳間伝達物質)の
分泌が、旺盛になっている?
その前に暑さと、セロトニンの分泌とは、
関係があるのか。
たとえば暑いから、どうしてもアイスを食べたり、
甘味ジュースを飲んだりする。
それがインシュリンの分泌を促し、セロトニンの
分泌を促す。
結果として、キレやすくなる。

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●葬儀で大泣きした女性

 先日、ある葬儀に出たら、いざ出棺となったとき、人目もはばからずギャーギャーと
大泣きをした女性がいた。
年齢は65歳くらいか。
その女性の兄の葬儀だった。
その泣き方が、ふつうでないというか、異常だった。
みながなだめたが、5分以上は泣きつづけていた。
静かな会場だったので、よけいに目立った。

 感情のコントロールができない人というのは、そういう人をいう。
つまりそれだけ大泣きしたのだから、さぞショックだったのだろうと思ったが、その
あとの三日目の食事会のときには、ケロッとしていた。
むしろ快活に、はしゃいでいるようにも見えた。
大声で笑い、冗談まで言い合っていた。

 このタイプの人は、思慮深さがなく、また言ってよいことと悪いことの判断ができない。
その場の感情に溺れて、感情のおもむくまま、思いついたことを口にする。
愚痴、批判、悪口、中傷……まさに、何でもござれ。

●感情のコントロール

 かく言う私とて、偉そうなことは書けない。
私自身も、感情のコントロールに苦労する。
他人に対しては、めったに取り乱すことはないが、ワイフに対しては、そうでない。
そのままの自分を、ぶつけてしまう。
だから夫婦喧嘩ばかり……。

 自分でもそれがよくわかっているから、まず食事面で気をつけるようにしている。

(1) カルシュウム、マグネシウム、カリウム(海産物)の多い食生活に心がける。
とくにカルシュウム。
ときに錠剤で補う。

(2) 甘い食品を避ける。
一時的に甘い食品を多量に口にすると、インシュリンが分泌され、それが血糖値を
さげる。
さげたまま、さらにさげるから、結果的に低血糖状態になる。
低血糖状態になると、精神がきわめて不安定になりやすい。
イライラしたり、怒りっぽくなったりする。
集中力もなくなる。
とくに夏の暑いときは注意する。

 言い忘れたが、カルシュウム剤は、戦前までは精神安定剤として使われていた。
「どうもこのところ精神が不安定」と思っている人は、カルシュウム分の多い食生活
に心がけてみたらよい。
子どもについても、そうである。

(はやし浩司 家庭教育 育児 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林浩司 BW はやし浩司 感情のコントロール キレやすい キレやすい子ども)

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以前書いた原稿を、添付します。

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●キレる子どもの相談

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数年前、キレる子どもについて、
ある母親から、こんな相談が届いて
いる。

そのとき書いた原稿をそのまま
ここに紹介する。

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●小食で困ったら、冷蔵庫をカラに

 体重15キロの子どもが、缶ジュースを1本飲むということは、体重60キロのおとなが、四本飲む量に等しい。いくらおとなでも、缶ジュースを4本は飲めない。飲めば飲んだで、腹の中がガボガボになってしまう。アイスやソフトクリームもそうだ。子どもの顔よりも大きなソフトクリームを1個子どもに食べさせておきながら、「うちの子は小食で困っています」は、ない。

 突発的にキーキー声をはりあげて、興奮状態になる子どもは少なくない。このタイプの子どもでまず疑ってみるべきは、低血糖。

一度に甘い食品(精製された白砂糖の多い食品)を大量に与えると、その血糖値をさげようとインスリンが大量に分泌される。が、血糖値がさがっても、さらに血中に残ったインスリンが、必要以上に血糖値をさげてしまう。

つまりこれが甘い食品を大量にとることによる低血糖のメカニズムだが、一度こういう状態になると、脳の抑制命令が変調をきたす。そしてここに書いたように、突発的に興奮状態になって大声をあげたり、暴れたりする。

このタイプの子どもは、興奮してくるとなめらかな動きがなくなり、カミソリでものを切るように、スパスパした動きになることが知られている。アメリカで「過剰行動児」として、20年ほど前に話題になったことがある。

日本でもこの分野の研究者は多い(岩手大学名誉教授の大澤氏ほか)。そこでもしあなたの子どもにそういう症状が見られたら、一度砂糖断ちをしてみるとよい。効果がなくて、ダメもと。一周間も続けると、子どものによってはウソのように静かに落ち着く。

  話がそれたが、子どもの小食で悩んでいる親は多い。「食が細い」「好き嫌いがはげしい」「食事がのろい」など。幼稚園児についていうなら、全体の約50%が、この問題で悩んでいる。で、もしそうなら、一度冷蔵庫をカラにしてみる。お菓子やスナック菓子類は、思いきって捨てる。「もったいない」という思いが、つぎからのムダ買いを止める力になる。そして子どもが食事の間に口にできるものを一掃する。子どもの小食で悩んでいる親というのは、たいてい無意識のうちにも、間食を黙認しているケースが多い。もしそうなら、間食はいっさい、やめる。

(小食児へのアドバイス)

(1)ここに書いたように、冷蔵庫をカラにし、菓子類はすべて避ける。
(2)甘い食品(精製された白砂糖の多い食品)を断つ。
(3)カルシウム、マグネシウム分の多い食生活にこころがける。
(4)日中、汗をかかせるようにする。

 ただ小食といっても、家庭によって基準がちがうので、その基準も考えること。ふつうの家庭よりも多い食物を与えながら、「少ない」と悩んでいるケースもある。子どもが健康なら、小食(?)でも問題はないとみる。

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以前、同じような相談を受けたことがあります。
もっと年齢の大きなお子さんについてのものでしたが……。
それについて、書いた原稿を添付します。
あくまでも参考資料の一つとして、考えてください。

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●島根県のUYさんより

はじめまして。
HPをよく拝見させて頂いています。

娘の事を相談させていただきたく、メールをしています。
娘は5歳半になる年中児で、下に3歳半の妹がいます。

小さい頃から動作の一つ一つが乱暴で、よくグズリ、キーキー興奮しては些細な事で泣く子でした。

それは今でも続いており、集中が長く続かず、こだわりも他の子供よりも深い気がします。
話も目を見て心を落ち着けてゆっくり会話をする事が出来ません。

真剣な話をしながら足の先を神経質に動かしたり、手を振ったりして、とても聞いている態度には見えません。

走りまわるほどの多動ではありませんが、落ち着いて、じっとしていることが出来ないようです。

そのせいか、話し言葉も五歳にしては表現力がないと思われます。
物の説明はとても難解で、結局何を言っているのか分からない事も多々あります。

私自身、過関心であったと思います。
気をつけているつもりですが、やはり完全には治っていません。
今、言葉の方は『おかあさん、牛乳!』や、『あの冷たいやつ!』というような言い方については、それでは分からないという事を伝える様にしています。

できるだけ言葉で説明をさせるようにしています。これは少しは効果があるようです。
また食生活ではカルシウムとマグネシウム、そして甘いものには気をつけています。
食べ物の好き嫌いは全くありません。

そこで私の相談ですが、もっとしっかり人の話を聞けるようになってほしいと思っています。

心を落ち着かせることが出来るようになるのは、やはり親の過干渉や過関心と関係があるのでしょうか。

また些細な事(お茶を飲むときのグラスの柄が妹の方がかわいい柄っだった、公園から帰りたくない等)で、泣き叫んだりするのは情緒不安定ということで、過干渉の結果なのでしょうか。

泣き叫ぶときは、『そーかー、嫌だったのね。』と、私は一応話を聞くようにはしていますが、私が折れる事はありません。

その事でかえって、泣き叫ぶ機会を増やして、また長引かせている気もするのですが。。。

そしてテーブルの上でオセロなどのゲーム中に、意味も無く飛び上がったりしてテーブルをゆらしてゲームを台無しにしたりする(無意識にやってしまうようです)ような乱雑な動作はどのようにすれば良いのか、深く悩んでいます。『静かに落ち着いて、意識を集中させて動く』ことが出来ないのはやはり干渉のしすぎだったのでしょうか。
自分自信がんばっているつもりですが、時々更に悪化させているのではないかと不安に成ります。

できましたら,アドバイスをいただけますでしょうか。宜しくお願い致します。

【UYさんへ、はやし浩司より】

 メール、ありがとうございました。原因と対処法をいろいろ考える前に、大前提として、「今すぐ、なおそう」と思っても、なおらないということです。またなおそうと思う必要もありません。こう書くと、「エエッ!」と思われるかもしれませんが、この問題だけは、子どもにその自覚がない以上、なおるはずもないのです。

 UYさんのお子さんが、ここに書いた子どもと同じというわけではありませんが、つぎの原稿は、少し前に私が書いたものです。まず、その原稿を先に、読んでいただけたらと思います。

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●汝(なんじ)自身を知れ

「汝自身を知れ」と言ったのはキロン(スパルタ・7賢人の1人)だが、自分を知ることは難しい。こんなことがあった。

 小学生のころ、かなり問題児だった子ども(中2男児)がいた。どこがどう問題児だったかは、ここに書けない。書けないが、その子どもにある日、それとなくこう聞いてみた。

「君は、学校の先生たちにかなりめんどうをかけたようだが、それを覚えているか」と。するとその子どもは、こう言った。「ぼくは何も悪くなかった。先生は何でもぼくを目のかたきにして、ぼくを怒った」と。私はその子どもを前にして、しばらく考えこんでしまった。いや、その子どものことではない。自分のことというか、自分を知ることの難しさを思い知らされたからだ。

ある日1人の母親が私のところにきて、こう言った。「学校の先生が、席決めのとき、『好きな子どうし、並んですわってよい』と言った。しかしうちの子(小1男児)のように、友だちのいない子はどうしたらいいのか。配慮に欠ける発言だ。これから学校へ抗議に行くから、一緒に行ってほしい」と。

もちろん私は断ったが、問題は席決めことではない。その子どもにはチックもあったし、軽いが吃音(どもり)もあった。神経質な家庭環境が原因だが、「なぜ友だちがいないか」ということのほうこそ、問題ではないのか。その親がすべきことは、抗議ではなく、その相談だ。

話はそれたが、自分であって自分である部分はともかくも、問題は自分であって自分でない部分だ。ほとんどの人は、その自分であって自分でない部分に気がつくことがないまま、それに振り回される。よい例が育児拒否であり、虐待だ。

このタイプの親たちは、なぜそういうことをするかということに迷いを抱きながらも、もっと大きな「裏の力」に操られてしまう。あるいは心のどこかで「してはいけない」と思いつつ、それにブレーキをかけることができない。「自分であって自分でない部分」のことを、「心のゆがみ」というが、そのゆがみに動かされてしまう。ひがむ、いじける、ひねくれる、すねる、すさむ、つっぱる、ふてくされる、こもる、ぐずるなど。自分の中にこうしたゆがみを感じたら、それは自分であって自分でない部分とみてよい。

それに気づくことが、自分を知る第一歩である。まずいのは、そういう自分に気づくことなく、いつまでも自分でない自分に振り回されることである。そしていつも同じ失敗を繰り返すことである。

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 おとなですら、自分のことを知るのはむずかしい。いわんや、子どもをやということになります。ですからUYさんが、お子さんに向かって、「静かにしなさい」「落ち着きなさい」と言っても、子どもにその自覚がない以上、子どもの立場からしたら、どうしようもないのです。

 意識には、大きく分けて(1)潜在意識と、(2)自意識(自己意識)があります※。潜在意識というのは、意識できない世界のことです。自意識というのは、自分で自覚できる意識のことです。いろいろな説がありますが、教育的には、小学3、4年生を境に、急速にこの自意識が育ってきます。つまり自分を客観的に見ることができるようになると同時に、その自分を、自分でコントロールすることができるようになるわけです。

 幼児期にいろいろな問題ある子どもでも、この自意識をうまく利用すると、それを子ども自らの意識で、なおすことができます。言いかえると、それ以前の子どもには、その自意識を期待しても、無理です。たとえば「静かにしなさい」と親がいくら言っても、子ども自身は、自分ではそれがわからないのだから、どうしようもありません。UYさんのケースを順に考えてみましょう。

●小さい頃から動作の一つ一つが乱暴で、よくグズリ、キーキー興奮しては些細な事で泣く子でした。
●それは今でも続いており、集中が長く続かず、こだわりも他の子供よりも深い気がします。
●話も目を見て心を落ち着けてゆっくり会話をする事が出来ません。
●真剣な話をしながら足の先を神経質に動かしたり、手を振ったりして、とても聞いている態度には見えません。
●走りまわるほどの多動ではありませんが、落ち着いて、じっとしていることが出来ないようです。
●そのせいか、話し言葉も5歳にしては表現力がないと思われます。

 これらの問題点を指摘しても、当然のことですが、満5歳の子どもに、理解できるはずもありません。こういうケースで。「キーキー興奮してはだめ」「こだわっては、だめ」「落ち着いて会話しなさい」「じっとしていなさい」「しっかりと言葉を話しなさい」と言ったところで、ムダというものです。

たとえば細かい多動性について、最近では、脳の微細障害説、機能障害説、右脳乱舞説、ホルモン変調説、脳の仰天説、セロトニン過剰分泌説など、ざっと思い浮かんだものだけでも、いろいろあります。

されにさらに環境的な要因、たとえば下の子が生まれたことによる、赤ちゃんがえり、欲求不満、かんしゃく発作などもからんでいるかもしれません。またUYさんのメールによると、かなり神経質な子育てが日常化していたようで、それによる過干渉、過関心、心配先行型の子育てなども影響しているかもしれません。こうして考え出したら、それこそ数かぎりなく、話が出てきてしまいます。

 では、どうするか? 原因はどうであれ、今の症状がどうであれ、今の段階では、「なおそう」とか、「あれが問題」「これが問題」と考えるのではなく、あくまでも幼児期によく見られる一過性の問題ととらえ、あまり深刻にならないようにしたらよいと思います。

むしろ問題は、そのことではなく、この時期、親が子どものある部分の問題を、拡大視することによって、子どものほかのよい面をつぶしてしまうことです。とくに「あれがダメ」「これがダメ」という指導が日常化しますと、子どもは、自信をなくしてしまいます。生きザマそのものが、マイナス型になることもあります。

 私も幼児を35年もみてきました。若いころは、こうした問題のある子どもを、何とかなおしてやろうと、四苦八苦したものです。しかしそうして苦労したところで、意味はないのですね。子どもというのは、時期がくれば、何ごともなかったかのように、自然になおっていく。

UYさんのお子さんについても、お子さんの自意識が育ってくる、小学3、4年生を境に、症状は急速に収まってくるものと思われます。自分で判断して、自分の言動をコントロールするようになるからです。「こういうことをすれば、みんなに嫌われる」「みんなに迷惑をかける」、あるいは「もっとかっこよくしたい」「みんなに認められたい」と。

 ですから、ここはあせらず、言うべきことは言いながらも、今の状態を今以上悪くしないことだけを考えながら、その時期を待たれたらどうでしょうか。すでにUYさんは、UYさんができることを、すべてなさっておられます。母親としては、満点です。どうか自信をもってください。私のHPを読んでくださったということだけでも、UYさんは、すばらしい母親です。(保証します!)

ただもう一つ注意してみたらよいと思うのは、たとえばテレビやテレビゲームに夢中になっているようなら、少し遠ざけたほうがよいと思います。このメールの終わりに、私が最近書いた原稿(中日新聞発表済み)を、張りつけておきます。どうか参考にしてください。

 で、今度はUYさん自身へのアドバイスですが、どうか自分を責めないでください。「過関心ではないか?」「過干渉ではないか?」と。

 そういうふうに悩むこと自体、すでにUYさんは、過関心ママでも、過干渉ママでもありません。この問題だけは、それに気づくだけで、すでにほとんど解決したとみます。ほとんどの人は、それに気づかないまま、むしろ「私はふつうだ」と思い込んで、一方で、過関心や過干渉を繰りかえします。UYさんにあえていうなら、子育てに疲れて、やや育児ノイローゼ気味なのかもしれません。ご主人の協力は得られませんか? 少し子育てを分担してもらったほうがよいかもしれません。

 最後に「そしてテーブルの上でオセロなどのゲーム中に、意味も無く飛び上がったりしてテーブルをゆらしてゲームを台無しにしたりする(無意識にやってしまうようです)ような乱雑な動作はどのようにすれば良いのか、深く悩んでいます。『静かに落ち着いて、意識を集中させて動く』ことが出来ないのはやはり干渉のしすぎだったのでしょうか」という部分についてですが、こう考えてみてください。

 私の経験では、症状的には、小学1年生ぐらいをピークにして、そのあと急速に収まっていきます。そういう点では、これから先、体力がつき、行動半径も広くなってきますから、見た目には、症状ははげしくなるかもしれません。UYさんが悩まれるお気持ちはよくわかりますが、一方で、UYさんの力ではどうにもならない部分の問題であることも事実です。

ですから、愛情の糸だけは切らないようにして、言うべきことは言い、あとはあきらめます。コツは、完ぺきな子どもを求めないこと。満点の子どもを求めないこと。ここで愛情の糸を切らないというのは、子どもの側から見て、「切られた」と思わせいないことです。

それを感じると、今度は、子どもの心そのものが、ゆがんでしまいます。が、それでも暴れたら……。私のばあいは、教室の生徒がそういう症状を見せたら、抱き込んでしまいます。叱ったり、威圧感を与えたり、あるいは恐怖心を与えてはいけません。あくまでも愛情を基本に指導します。それだけを忘れなければ、あとは何をしてもよいのです。あまり神経質にならず、気楽に構えてください。

 約束します。UYさんの問題は、お子さんが小学3、4年生になるころには、消えています。ウソだと思うなら、このメールをコピーして、アルバムか何かにはさんでおいてください。そして、四、五年後に読み返してみてください。「林の言うとおりだった」と、そのときわかってくださると確信しています。もっとも、それまでの間に、いろいろあるでしょうが、そこは、クレヨンしんちゃんの母親(みさえさん)の心意気でがんばってください。コミックにVOL1~10くらいを一度、読まれるといいですよ。テレビのアニメは、コミックにくらべると、作為的です。

 また何かあればメールをください。なおこのメールは、小生のマガジンの2-25号に掲載しますが、どうかお許しください。転載の許可など、お願いします。ご都合の悪い点があれば、至急、お知らせください。
(030217)

※ ……これに対して、「自己意識」「感覚運動的意識」「生物的意識」の三つに分けて考える考え方もある。「感覚的運動意識」というのは、見たり聞いたりする意識のこと。「生物的意識」というのは、生物としての意識をいう。いわゆる「気を失う」というのは、生物的意識がなくなった状態をいう。このうち自己意識があるのは、人間だけと言われている。この自己意識は、四歳くらいから芽生え始め、三〇歳くらいで完成するといわれている(静岡大学・郷式徹助教授「ファミリス」03・3月号)。

++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

【YK様へ(2)】

 食生活がどうなっているのか、私にはわかりませんが、まず試してみるべきことは、(1)食生活の改善、です。

 ここにも書いたように、MG、CA、Kの多い食生活(自然海産物中心の献立)に切りかえてみてください。

 精製された白砂糖を多く含む食品は、避けます。(与えると意識しなくても、今では、ありとあらゆる食品に含まれています。幼児のばあい、2歳児でしたら、1日、10グラム前後でじゅうぶんです。)

 感情の起伏がはげしく、手にあまるようなら、一度、小児科を訪れてみられてはいかがでしょうか。以前とちがい、最近では、すぐれた薬も開発されています。(薬を使うときは、慎重にしますが、そのあたりのことは、よくドクターと相談して決めてください。)

 食生活の改善……徹底してするのが、コツです。アイス、ソフト、乳酸飲料などは、避けます。徹底してすれば、1、2週間ほどで、効果が現われてきます。

 同じようなケースを、もう一つ、思い出しました。その原稿を添付します。少し古い原稿なので、先に書いたことと、内容が少し異なるかもしれませんが、異なっている部分については、先に書いたほうを、優先してください。

++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

【栄養学の分野からの考察】

●過剰行動性のある子ども

 もう二〇年以上も前だが、アメリカで「過剰行動性のある子ども」(ヒュー・パワーズ・小児栄養学)が、話題になったことがある。ささいなことがきっかけで、突発的に過剰な行動に出るタイプの子どもである。

日本では、このタイプの子どもはほとんど話題にならなかったが、中学生によるナイフの殺傷事件が続いたとき、その原因の一つとして、マスコミでこの過剰行動性が取りあげられたことがある(九八年)。日本でも岩手大学の大沢博名誉教授や大分大学の飯野節夫教授らが、この分野の研究者として知られている。

●砂糖づけのH君(年中児)

 私の印象に残っている男児にH君(年中児)という子どもがいた。最初、Hさん(母親)は私にこう相談してきた。「(息子の)部屋の中がクモの巣のようです。どうしたらいいでしょうか」と。

話を聞くと、息子のH君の部屋がごちゃごちゃというより、足の踏み場もないほど散乱していて、その様子がふつうではないというのだ。が、それだけならまだしも、それを母親が注意すると、H君は突発的に暴れたり、泣き叫んだりするという。始終、こきざみに動き回るという多動性も気になると母親は言った。私の教室でも突発的に、耳をつんざくような金切り声をあげ、興奮状態になることも珍しくなかった。そして一度そういう状態になると、手がつけられなくなった。私はその異常な興奮性から、H君は過剰行動児と判断した。

 ただ申し添えるなら、教育の現場では、それが学校であろうが塾であろうが、子どもを診断したり、診断名をくだすことはありえない。第一に診断基準が確立していないし、治療や治療方法を用意しないまま診断したり、診断名をくだしたりすることは許されない。仮にその子どもが過剰行動児をわかったところで、それは教える側の内心の問題であり、親から質問されてもそれを口にすることは許されない。

診断については、診断基準や治療方法、あるいは指導施設が確立しているケース(たとえば自閉症児やかん黙児)では、専門のドクターを紹介することはあっても、その段階で止める。この過剰行動児についてもそうで、内心では過剰行動児を疑っても、親に向かって、「あなたの子どもは過剰行動児です」と告げることは、実際にはありえない。教師としてすべきことは、知っていても知らぬフリをしながら、その次の段階の「指導」を開始することである。
 
●原因は食生活?

ヒュー・パワーズは、「脳内の血糖値の変動がはげしいと、神経機能が乱れ、情緒不安になり、ホルモン機能にも影響し、ひいては子どもの健康、学習、行動に障害があらわれる」という。メカニズムは、こうだ。ゆっくりと血糖値があがる場合には、それに応じてインスリンが徐々に分泌される。しかし一時的に多量の砂糖(特に精製された白砂糖)をとると、多量の、つまり必要とされる量以上の量のインスリンが分泌され、結果として、子どもを低血糖児の状態にしてしまうという(大沢)。

そして(1)イライラする。機嫌がいいかと思うと、突然怒りだす、(2)無気力、(3)疲れやすい、(4)(体が)震える、(5)頭痛など低血糖児特有の症状が出てくるという(朝日新聞九八年2・12)。これらの症状は、たとえば小児糖尿病で砂糖断ちをしている子どもにも共通してみられる症状でもある。私も一度、ある子ども(小児糖尿病患者)を病院に見舞ったとき、看護婦からそういう報告を受けたことがある。

 こうした突発的な行動については、次のように説明されている。つまり脳からは常に相反する二つの命令が出ている。行動命令と抑制命令である。たとえば手でものをつかむとき、「つかめ」という行動命令と、「つかむな」という抑制命令が同時に出る。

この二つの命令がバランスよく調和して、人間はスムーズな動きをすることができる。しかし低血糖になると、このうちの抑制命令のほうが阻害され、動きがカミソリでスパスパとものを切るような動きになる。先のH君の場合は、こまかい作業をさせると、震えるというよりは、手が勝手に小刻みに動いてしまい、それができなかった。また抑制命令が阻害されると、感情のコントロールもできなくなり、一度激怒すると、際限なく怒りが増幅される。そして結果として、それがキレる状態になる。

●恐ろしいカルシウム不足

 砂糖のとり過ぎは、子どもの心と体に深刻な影響を与えるが、それだけではない。砂糖をとり過ぎると、カルシウム不足を引き起こす。

糖分の摂取が、体内のカルシウムを奪い、虫歯の原因になることはよく知られている。体内のブドウ糖は炭酸ガスと水に分解され、その炭酸ガスが、血液に酸性にする。その酸性化した血液を中和しようと、骨の中のカルシウムが、溶け出るためと考えるとわかりやすい。

体内のカルシウムの98%は、骨に蓄積されている。そのカルシウムが不足すると、「(1)脳の発育が不良になったり、(2)脳神経細胞の興奮性を亢進したり、(3)精神疲労をしやすくまた回復が遅くなるなどの症状が現われる」(片瀬淡氏「カルシウムの医学」)という。わかりやすく言えば、カルシウムが不足すると、知恵の発達が遅れ、興奮しやすく、また精神疲労を起こしやすいというのだ。甘い食品を大量に摂取していると、このカルシウム不足を引き起こす。

++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

●生化学者ミラー博士らの実験

 精製されてない白砂糖を、日常的に多量に摂取すると、インスリンの分泌が、脳間伝達物質であるセロトニンの分泌をうながし、それが子どもの異常行動を引き起こすという。アメリカの生化学者のミラーは、次のように説召している。

 「脳内のセロトニンという(脳間伝達)ニューロンから脳細胞に情報を伝達するという、神経中枢に重要な役割をはたしているが、セロトニンが多すぎると、逆に毒性をもつ」(「マザーリング」八一年(7)号)と。日本でも、自閉症や子どもの暴力、無気力などさまざまな子どもによる問題行動が、食物と関係しているという研究がなされている。ちなみに、食品に含まれている白砂糖の量は、次のようになっている。

製品名             一個分の量    糖分の量         
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 ヨーグルト    【森永乳業】     90ml  9・6g         
 伊達巻き       【紀文】     39g  11・8g         
 ミートボール   【石井食品】 1パック120g  9・0g         
 いちごジャム   【雪印食品】  大さじ30g  19・7g         
 オレンジエード【キリンビール】    250ml  9・2g         
 コカコーラ              250ml 24・1g         
 ショートケーキ    【市販】  一個100g  28・6g         
 アイス      【雪印乳業】  一個170ml  7・2g         
 オレンジムース  【カルピス】     38g   8・7g         
 プリン      【協同乳業】  一個100g  14・2g         
 グリコキャラメル【江崎グリコ】   4粒20g   8・1g         
 どら焼き       【市販】   一個70g  25g          
 クリームソーダ    【外食】  一杯      26g           
 ホットケーキ     【外食】  一個      27g          
 フルーツヨーグルト【協同乳業】    100g  10・9g         
 みかんの缶詰   【雪印食品】    118g  15・3g         
 お好み焼き   【永谷園食品】  一箱240g  15・0g         
 セルシーチョコ 【江崎グリコ】   3粒14g   5・5g         
 練りようかん     【市販】  一切れ56g  30・8g         
 チョコパフェ     【市販】  一杯      24・0g       

●砂糖は白い麻薬

 H君の母親はこう言った。「祖母(父親の実母)の趣味が、ジャムづくりで、毎週ビンに入ったジャムを届けてくれます。うちでは、それを食べなければもったいないということで、パンや紅茶など、あらゆるものにつけて食べています」と。

私はH君の食生活が、かなりゆがんだものと知り、とりあえず「砂糖断ち」をするよう進言した。が、異変はその直後から起きた。幼稚園から帰ったH君が、冷蔵庫を足げりにしながら、「ビスケットがほしい、ビスケットがほしい」と泣き叫んだというのだ。母親は「麻薬患者の禁断症状のようで、恐ろしかった」と話してくれた。が、それから数日後。今度はH君が一転、無気力状態になってしまったという。私がH君に会ったのは、ちょうど一週間後のことだったが、H君はまるで別人のようになっていた。ボーッとして、反応がまるでなかった。母親はそういうH君を横目で見ながら、「もう一度、ジャムを食べさせましょうか」と言ったが、私はそれに反対した。

●カルシウムは紳士をつくる

 戦前までは、カルシウムは、精神安定剤として使われていた。こういう事実もあって、イギリスでは、「カルシウムは紳士をつくる」と言われている。子どもの落ち着きなさをどこかで感じたら、砂糖断ちをする一方、カルシウムやマグネシウムなど、ミネラル分の多い食生活にこころがける。私の経験では、幼児の場合、それだけで、しかも一週間という短期間で、ほとんどの子どもが見違えるほど落ち着くのがわかっている。

川島四郎氏(桜美林大学元教授)も、「ヒステリーやノイローゼ患者の場合、カルシウムを投与するだけでなおる」(「マザーリング」八一年(7)号)と述べている。効果がなくても、ダメもと。そうでなくても、缶ジュース一本を子どもに買い与えて、「うちの子は小食で困ります」は、ない。体重15キロ前後の子どもに、缶ジュースを一本与えるということは、体重60キロの人が、4本飲む量に等しい。おとなでも缶ジュースを四本は飲めないし、飲めば飲んだで、腹の中がガボガボになってしまう。

 なお問題となるのは、精製された白砂糖をいう。どうしても甘味料ということであれば、精製されていない黒砂糖をすすめる。黒砂糖には、天然のミネラル分がほどよく配合されていて、ここでいう弊害はない。
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Hiroshi Hayashi++++++++Sep. 2010+++++++++はやし浩司

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