2012年5月21日月曜日

Annular eclipse

2012年5月20日(+金環食)

【サイエンス誌を読む】

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

「日経サイエンス」(日本経済新聞出版社)を買う。
久しぶり。
日本で、トップクラスの雑誌。
売価が高いのが、残念。
1400円。

今日はとくに予定もない。
人に会う約束もない。
日曜日。
精読と決め込む。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

●盲腸(P26)

 パラパラとめくって、まず目についたのが「盲腸(虫垂)」。
「盲腸には、盲腸の役目がある」という。

「盲腸はそれ自体が、細菌を養っている。
その細菌が、別の細菌から人体を守っている」(要旨)と。

 わかりやすく言えば、盲腸にはある種の細菌が住んでいる。
盲腸はその細菌を養っている。
腸がさらに致命的な最近に襲われたとき、盲腸の中の細菌が出動し、その致命的な細菌を攻撃する。
……ということらしい。

 ナルホド!

 人体に、無駄な臓器は何もない。
もし無駄なものなら、進化の過程で、とっくの昔に消えていたはず。
盲腸も、そのひとつ。
だからサイエンス誌は、こう結んでいる、

「……切除された虫垂は、人間と他の生物種との複雑な関係の象徴であり、人間の知識の乏しさの象徴でもある」と。
つまり無知が理由で、人間は、いまだに盲腸の切除手術をしている、と。

 どこか回りくどい日本語なのは、英文からの翻訳によるものである。
が、それにしても、絶妙な関係ではないか。
わかるかな?

 人体は、マフィア(致命的な細菌)から身を守るため、自ら用心棒(扱いやすい細菌)を養っている。
平たく言えば、そういうこと。

●超弦理論

 巻頭は、「超弦理論」。

 「万物のすべての力のおおもとは、9次元空間の中で振動する超微小のゴムひものようなもの」(P10)ということらしい。

 話せば長くなるが、「ヒモ理論」というのは、知っている。
宇宙の始まりは、ヒモだった、と。

 それをさらに発展させ、今まで説明できなかった部分を説明するのが、「超弦理論」ということになる。
名前が、すごい!
「超弦理論」!

こういうことまでわかる人間の知性に、感動。
驚く。
が、2度ほど読みなおしてみたが、まったく理解できなかった。
今夜、眠る前に、もう一度、読みなおしてみる。
ここで引き下がったら、1400円が、無駄になる。

●重力波の測定

 「重力波は、ブラックホールのような大質量の物体がはげしく運動するときなどに、時空のゆがみが並みとなって四方八方に光の速さで伝わる現象」(P17)とある。

 今度、巨大な装置を作り、この日本で、重力波の測定をすることになったという。
「Kagra」という。
「カルガ計画」?
「神岡鉱山の地下に、長さ3キロメートルのトンネルを直角に2本掘り、先端に鏡を取りつけたパイプ2本を組み合わせて干渉計を作る……」とある。

 何やらすごいことが始まるらしい。

 重力波の正体がわかれば、それを操ることができるようになるかもしれない。
そうなれば人間は、最終的には、光の速さで、宇宙を自由に飛び回ることができるようになるかもしれない。

●ララミディアの恐竜

 ララミディアの恐竜(P54)もおもしろかった。
ただし私はちがった視点で、その記事を読んだ。

 ……先週、ぼたんインコのヒナを買ってきた。
生まれて3週間目のヒナだった。
そのヒナを見たとき、「恐竜のティラノザウルスみたい」と思った。
「ジュラシックパーク」という映画の中で、車に乗った人間を追いかけた、あの恐竜である。
が、サイエンスの中で紹介されていた、ララミディアの恐竜は、さらに似ていた。
どこからどう見ても、ぼたんインコのヒナ。

 で、私の仮説。
「恐竜には、みな、羽毛が生えていた」と。
(サイエンス誌の中の恐竜は、みな、あかむけの丸裸。)
またそういうふうに考える方が、自然。
つまり羽毛があったと考える方が、自然。
なぜなら、恐竜の子孫である鳥類には、みな、羽毛がある!

 羽毛といっても、哺乳類の毛のような味気ない毛ではない。
カラフルで美しい。
ぼたんインコのような羽毛。
恐竜であるなら、なおさら。
身を隠す必要がない。
 
 また鳴き声にしても、もっと多彩であったはず。
そのつど、いろいろな鳴き方をしたはず。
知的能力も、もっと高かったはず。

●インコの知的能力

 今日、たまたま行ったペットショップで、こんな光景を見かけた。
ぼたんインコの鳥かごを、手で触った子ども(小3くらい)がいた。
そのときのこと。
鳥かごの奥の方で、身動きもせず身を構えていたインコが、突然、ラッシュ。
子どものほうに向かって走った。
子どもは手を引いた。
その瞬間、何と、ぼたんインコが、何と水入れを上下にくちばしでゆすりながら、人間の子どもを威嚇した。
ものすごい音がした。
ガチャ、ガチャ、ガチャ、と。

「鳥があんなことをする」と思った直後、それを見て、私とワイフは、笑った。
 
 で、驚いたのは、さらにつぎのこと。
今度は、私がその鳥かごに手で触れてみた。
が、私にはしなかった。

 そのぼたんインコは、子どもと、おとなの私を、ちゃんと見分けていた。
見ると、ぼたんインコの鳥かごには、みな、ドアが開かないように、鍵がついていた。
小さいが、ちゃんとした鍵である。
それを見て、私とワイフは、さらに笑った。

 何といっても、進化の歴史がちがう。
恐竜……そのララミディアは、白亜紀後期に生存していたという。
今から9000万年前から7000万年前。

 ……人間の親指の先ほどしかない脳みそで、あそこまで考えられる。
感情も、一人前。
考えてみれば、これはすごいことではないか。

 「失われた大陸、ララミディアの恐竜」を読んだとき、そんなことを考えた。

●ほかに……

 「脳を育む胎盤」(P73)は、さらにおもしろかった。
何と、あの胎盤にも、胎盤の役割があるというのだ。
今はまだ、未解明な部分も多いということらしいが、胎盤の働きを軽視してはいけない。
それが科学として、納得できた。

 すばらしい!
……つまり、人間の臓器には、無駄なものは、何一つ、ない。
もともとは無駄だったかもしれない臓器でも、長い進化の過程で、意味をもつようになった。
「脳を育む胎盤」は、それを人間に教えている。

●人間の英知

 こうした人間の英知に接すると、世の中のできごとが、みな、小さく、つまらなく見えてくる。
残念ながら私はそういう世界とは無縁の世界に生きている。
結果、私は、ちっぽけで、つまらない人間。
日々の些細事に振り回され、喜んだり、悲しんだり、怒ったり、恨んだり……。
相手とする人間も、これまた小さい。
くだらない。

 今日は、断続的ではあったが、サイエンス誌を読んで、1日を過ごした。
いつもながら、たいへんな内容の重い雑誌だった。
楽しかった。


Hiroshi Hayashi+++++++May. 2012++++++はやし浩司・林浩司

●5月21日、朝、山荘にて(はやし浩司 2012-05-21 金環食の朝)

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

今、時刻は、午前5時21分。
もうすぐ金環食ショーが始まる。
天気予報によれば、ラッキーなことに、その時間帯だけ、この浜松市周辺は晴れるそうだ。

 昨夜この山荘へ来てから、それを知った。
それまでは、「曇りだから見られない」と、あきらめていた。

 さっそく、ガラス板とローソクを探し、観測用の遮光ガラスを作る。
中学生のとき、よく作った。
ローソクの炎を、ガラス板に当てると、煤(すす)で、ガラス板が黒くなる。
それで太陽を見る。
私は中学生のとき、天文部にいた。
毎日、黒点観測をしていた。

 が、私は別のことを考えている。
車でそのとき、町の中を走る。
車からそのときの町の様子を、ビデオカメラに収める。
金環食そのものではなく、町の様子。
たぶん多くの人たちが通りに出て、金環食を見るだろう。
だから金環食そのものは、そうした人たちに任せておけばよい。
私は町の様子。
それを、ビデオカメラに収める。

 山の中の動物たちの様子でもよい。
いろいろな動物が、あわてふためき、走り回るかもしれない……ということはないにしても、それに近い現象が起きるかもしれない。
それを、ビデオカメラに収める。

●昨日

 昨日(5月20日)は、怠惰な1日だった。
朝から、調子が悪かった。
床から起きたとたん、こむら返り。
その痛さが、夕方までつづいた。
おまけに偏頭痛。
ひどい偏頭痛だった。
(偏頭痛は、薬でやがて収まったが……。)

 ……ということで、午前中は、家の中で寝たり、起きたり……。
原稿も、ほとんど書かなかった。
書きたいという意欲そのものが、わいてこなかった。
ときどき頭がボケたのではないかと、心配になった。
こんなことがあった。

●記銘力(脳に記憶を刻む力)

 ボケると、物忘れがひどくなるという。
が、この説は正しくない。

 物忘れがひどくなるのではない。
記銘力が弱くなる。
注意力が散漫になる。
つまりもとから、しっかりと、ものごとが記憶されない。
だから結果として、物忘れがひどくなったように見える。

 その証拠に、ものごとを脳に記銘するとき、それをしっかりとしておけば、忘れるということはない。
大切なことは、2、3度、頭の中で反復する。
そうすれば、忘れない。
 
 が、もうひとつ、数日前、こんなことを発見した。

●こだわり

 先週、ちょうど7日前のこと。
私はショッピングセンターで、5~6個のものを、買った。
どれも家庭で使う、必需品である。

 その中に、壁の補修材があった。
それを使い、割れた壁を補修するつもりだった。
が、その補修材が、どこかへ行ってしまった。
紙袋に入っていたはず。
小さなものだから、ワイフがゴミとして捨ててしまったかもしれない。
で、ワイフに聞くと、「教室へもっていったんじゃない?」と。
しかし私には、その記憶がない。

 で、何度も部屋のあちこちを探した。
引き出しの中も探した。
が、なかった。

 ……ということで、この1週間、心のどこかでその補修材のことばかりを考えていた。
脳の内側に、ペタリと張りついたような状態になっていた。
で、1週間が過ぎた。
おもしろい現象が起きた。

 私は補修材のことばかり気にしていた。
その反作用と言うべきか、その分だけ、ほかに何を買ったか、今、思い出せない。
補修材のほかに、あと4~5個、何かを買ったはず。
それが思い出せない。

 つまり私は補修材にこだわることによって、ほかの記憶が消えてしまった。
ほかに何を買ったか、忘れてしまった。

●穴のあいたバケツ

 こういった現象は、老人を観察していると、よくわかる。
中に、こだわりの強い老人がいる。
ある特定のことだけは、しっかりと覚えている。
しかしそのほかのことは、そうでない。
どんどんと忘れていく。
全体として、ボケていく。
そういう老人は、多い。

 言い換えると、ものごとにこだわるのは、よくない。
こだわっている部分については、記憶に強く残る。
しかし、そのほかのことは忘れていく。
忘れながら、忘れていくこと自体に、気がつかない。

 たとえばわかりやすい例として、新しい知識がある。
冒頭で、「日経サイエンス」の中の記事について、書いた。
盲腸や、超弦理論について書いた。
このときもし、私がある特定のことがらについて、強いこだわりをもっていたとすると、そればかりに気を取られるはず。
新しい知識をせっかく吸収しても、その(こだわり)のため、脳に刻まれなくなる。
つまり忘れていく。

 そうでなくても、50歳を過ぎると、脳みそ全体が、穴のあいたバケツのようになる。
知識や知恵、身についた技術ですら、どんどんとどこかへ流れ消えていく。
英語の単語を例にあげるまでもない。
50歳を過ぎると、新しい英語の単語を覚えるのに、苦労する。
若いころの何倍もの努力とエネルギーが必要となる。

●人とのこだわり

 知識や知恵、技術だけではない。
心も、そうだ。

 たとえばある特定の人にこだわっていたりすると、心の流れが、よどんでくる。
ばあいによっては、腐ってくる。
だからそういう人は、心の中に、置かないほうがよい。
わかりやすく言えば、忘れる。

 私も少し前のある時期、ある人に、強いこだわりをもっていた。
実に狡猾(こうかつ)な人だった。
慇懃無礼(いんぎんぶれい)というか、常識に欠ける人だった。
若いころなら、その家に乗り込んでいって、ぶん殴っていただろう。

 で、心に決めた。
「義絶する」と。

 「義絶」というのは、古い言葉。
「断絶する」という意味。
一切の関係を切ることをいう。

 で、義絶した。
メールが来ても、即、削除。
そのあと、フィルターをかけた。
年賀状も、文面を読む前に、ゴミ箱へ。
電話は、受信拒否に設定。

 とたん、心の流れが、よくなった。
サラサラと流れるようになった。

 ……今の私には、余分な時間は、もうない。
くだらない人とつきあう時間はない。
くだらない過去を引きずる時間はない。
(こだわり)というときには、そういう意味も含まれる。

●ゲーム脳

 このことは、脳科学の世界でも証明されつつある。
たとえば「ゲーム脳」。

 ゲームばかりしていると、脳のある特定の部分は、活発に働く。
が、それ以外の部分は、休止状態になる。
これを長い間つづけていると、脳みそ全体が変調してくる。
最近の研究では、感情の動きが鈍磨し、平坦化するということまでわかっている。
つまり脳みそというのは、全体を、まんべんなく、平均的に使うのがよい。

 ……という意味で、(こだわり)は、脳みその健康の大敵ということになる。
そうでなくても、(こだわり)は、うつ病の主症状にもなっている。
うつ病イコール、こだわり。
こだわりイコール、うつ病。

 気をつけよう。

●時刻は午前6時半

 今、時刻は午前6時半。
あたりが、何となく暗くなってきた。
「食」は、すでに始まっているらしい。
まだ外に出ていないのでよくわからないが、報道によれば、午前6時ごろから始まっているという。
午前7時半に、金環食。

 そろそろ帰り支度をし、ビデオ撮影の準備をしなければならない。
町の様子をビデオに収めながら、帰宅。

……ということで、今朝の日記は、ここまで。
2012/05/21

(はやし浩司 家庭教育 育児 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林浩司 BW はやし浩司 幼児教室 育児 教育論 Japan はやし浩司 金環食 2012ー05-21)


Hiroshi Hayashi+++++++May. 2012++++++はやし浩司・林浩司

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