2012年7月5日木曜日

Objection to AERA





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子育て最前線の育児論byはやし浩司   2012年7月20日
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メルマガ(6万3000誌)の中で、2008年度、メルマガ・オブ・ザ・イヤーに
選ばれました!

【1】(子育てのこと)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

休みます。

【2】(特集)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

【5月17日のBW教室byはやし浩司】(学外教育への偏見と誤解)「AERAへの反論」

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

このところ6月中旬の陽気とか。
全国で熱中症で倒れる人が続出したという。
たしかに暑かった。
そのせいもあり、プラス疲れも出たこともあり、昨日(5/17)はバテぎみ。
そんな状態で、子どもたち(=生徒たち)と接した。
集中力、ゼロ。

私のほうが、楽しませてもらった。
「教えてやろう」という気持ちはほとんどなかった。
子どもたちとワイワイと騒ぎながら、ストレス解消。
(子どもたちも、楽しそうだったが……。)
昨日は、そんな1日だった。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

【年中児の勉強】(文字と数&順)



【小1&2児の、対称図形】



【小2&3児の、対称図形】




Hiroshi Hayashi+++++++May. 2012++++++はやし浩司・林浩司

●日本の家計

 現在、日本の家計は火の車。
大火災、進行中。
今ごろ消費税率をあげたところで、どうこうなるような状態ではない。
10%UPどころか、25%UPでも、焼け石に水。
昨日、野田首相は、「EUの経済危機は、対岸の火事ではない」と言い切った。
つまり他人ごとではない、と。

 事実、その通り。

 そんな危機的状況であるにもかかわらず、日本の国会は、麻痺状態。
機能停止状態。
「公約がどうの」「低所得者の負担がどうの」とか。
そんな問題では、ないだろ!
日本全体が、今まさに、ひっくり返ろうとしている。

 のんきというか、バカげている。
ピントがずれている。
たとえて言うなら、大火事の最中、逃げる順番をくじ引きで決めているようなもの。
そんなヒマがあったら、まず逃げろ!

 オーストラリアでは、消費税は、10%。
ただし食料品には、消費税をかけていない。
本当に低所得者のことが心配なら、消費税をかけてよいものと、そうでないものをより分ければよい。

 一方、こんな報道も。
何でも官僚たちは、7%、給料を削減され、やる気を失っているとか。
たったの7%!
民間の自営業者たちは、青息吐息。
給料らしい給料もなく、生活を切り詰めて生きている。
甘ったれるのも、いいかげんにしたらよい。

 今となっては手遅れだが、あの中曽根首相の時代に、公務員の人件費は50%カットすべきだった。
橋本首相の時代に、消費税を25%にすべきだった。

 日本が生き残るゆいいつの方法は、計画インフレ。
ここまでくると、もうそれしかない。
計画的にハイパーインフレを起し、実質的に国の借金を、10分の1にする。
もちろん物価は、10倍になる。
ラーメン1杯、8000円。
覚悟しよう!

●「塾なんか(行っても意味がない)」という主張

 「塾」の問題ではない。
言葉の問題。
「なんか」という、言葉の問題。

 この「なんか」という言葉の裏には、相手をさげすむ意味が込められている。
「勉強なんか、やっても意味はない」
「外国なんか、行っても意味がない」
さらには、「英語なんか、勉強しても、意味はない」など。

 で、昨日、ある教育評論家のサイトをのぞいてみたら、その言葉があった。
「塾なんか行かなくても、成績は伸びる」と。
元小学校教師という。
私はそれを一読した直後、こう思った。
この評論家(先生)は、塾を参観したことがあるのだろうか、と。
ひょっとしたら、頭の中だけで、「塾」の内容を想像しているだけではないのか、とも。

 しかもこの言い方は、論理的にも矛盾している。

 この主張が正しいというためには、つぎの命題を満足させなければならない。

(1)学校だけで、すべての子どもの学力を平均的に伸ばすことができる。
(2)塾へ行っても、みな、無駄に終わっている。

 もしそうなら、「塾なんか」ということになる。
さらに言えば、この発想は、全体主義国家の発想。
世界の教育の潮流に、完全に背を向けている。

 今、世界では、「自由教育」が主流になっている。
EUでも、(現在、EUは、たいへんな経済危機を迎えているが)、アメリカでも、学外教育が、主流になりつつある。
どうなりつつあるかは、自分で行き、調べてみたらよい。
ドイツでは、中学生たちは、たいてい午前中で授業を終え、そのままいろいろなクラブに通っている。

 アメリカでは、ホームスクーラーが、2000年に、推定で200万人を超えている。

 今の日本のように、「学校以外に道はなく、学校を離れて道はない」という状態のほうが、異常なのである。
画一的な人間を育てるには、すぐれたシステムである。
が、その程度。

 「なんか」という言葉に、カチンときたので、少し前に書いた原稿を再掲載する。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

●朝日新聞社の「AERA」誌への反論。

少し前、「AERA」誌も、「なんか」という言葉を使った。
この中で、AERAの記者は、大阪万博の前の年に発表された論文を根拠にしている点に注意してほしい。
その論文をもとに、たとえば「幼児期に文字を教えても、学校へ入ればすぐ追いつかれる。
つまり早期教育はやっても無駄」と。

それについて……。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

●反響(AERA・アエラの記事への反論)

+++++++++++++++++++++

数日前、雑誌「AERA」の記事に対して、
反論原稿を書いた。
その原稿にたいする反響には、ものすごい
ものがある。
直接的な意見はまだ届いていないが、「アラーム」
という機能を使うと、反響の大きさが、数字でわかる。
私の原稿を取り上げたBLOGやHPの数が、
そのまま、数字として、表示されるしくみになっている。

+++++++++++++++++++++

●「AERA」の記事

 「早期教育効果は小学生で消える」と題した、雑誌「AERA」の記事を要約すると、こうなる。
 早期教育の一例として、「読み書き」をあげ、幼児期に読み書きを教えても、その効果は小学校で消える。
そればかりか、無理な学習が、子どもを勉強嫌いにしてしまう。
「臨界期」というのは、科学的に証明されたものではない。
むしろ家で、先取り教育をすると、子どもは学校での勉強をつまらなく思ってしまうようになる……などなど。

 その一例として、5~6歳児が、小学5年生で学ぶ漢字を書いた子どもの例、高校へ入ったとたん、無気力になってしまった子どもの例などが、書いてあった。

 その底流に見え隠れするのは、「塾必要悪論」、もしくは、「家庭教育不要論」。
結論は、「あわてて教育しても、無駄」と。
私はその記事を一読して、「これはいつの原稿か?」と、ライターの常識というよりは、年齢を疑った。
今から25年ほど前の原稿というのなら、まだ話もわかる。
しかし今、どうしてこの時代に?

●親子のふれあい
 たまたま先月、私は、「ママターナル・デプリベイション(Maternal Deprivation)(母性愛欠乏)」についての原稿を書いた。

マターナル・デプリベイションというのは、「乳幼児期の母子関係の不全」をいう。
乳幼児期に、母子関係が不全だったりすると、それが後々、さまざまな症状の遠因となることがある。

その一部を、転載する。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

子どもというのは、心豊かな家庭環境、とくに心豊かな母子関係の
中で、心をはぐくむ。
が、母親側に何かの問題があり、本来あるべき母子関係が
築けなくなることがある。
育児拒否、ネグレクト、育児放棄、母性愛の欠落、虐待、暴行など。
また自分の子どもであっても、子どもを愛せない母親は、
8~10%はいる。
こうした母親側の育児姿勢が日常化すると、子どもには独特の
症状が現れるようになる。
ホスピタリズム(施設病)に似た症状を示すと説く学者もいる(後述)。
その第一が、他者との共鳴性の欠落。
わかりやすく言えば、心の温もりを失い、心の冷たい子どもになる。
他人の心の痛みが理解できない。
相手の立場に立って、ものを考えることができない、など。
そのため年齢を重ねるについれて、自分より弱い者をいじめたり、
自分より弱い立場にある動物を、虐待したりするようになる。
さらに成人してから、心の病気となって発現することもある。
ネットを使って、そうではないかと思われる症状をもった人を、
参考までに拾ってみた(2チャンネルより)。
もちろんここにあげた人たちの症例が、マターナル・デプリベイション
が原因というわけではない。
その疑いがあると、私が思うだけの話である。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

●早期教育
 雑誌「AERA」では、「親子のふれあいこそ大切」と書いている。
しかしそんなことは、今では、常識。
常識中の常識。

が、それはここにも書いたように、「マターナル・デプリベイション」という分野で、考えられるべき問題。

が、どうしてそれが、「早期教育」と結びつくのか?
「早期教育不要論」と結びつくのか?

 要するにAERAのライターは、「無理な早期教育の結果、親子のふれあいが犠牲になる」と言いたいのだろう。
が、ここでライターは、巧みに言葉のトリックを使っている。

(あるいは、「早期教育」の意味さえ、知らないのでは?
「先取り教育」と「早期教育」を混同している?)

何も文字の「読み書き」だけが、早期教育ではない。
また早期教育をしたからといって、親子関係が破壊されるというものでもない。

 AERAでは、無理に進学塾へ通わされた子どもの例や、目的の学校へ入学したとたん、無気力になってしまった子どもの例などをあげている。
そしてその上で、「臨界期なるものは、科学的に証明されたものではない」と。

 ?????

 ライターは、自説を補強するため、20年前、40年前の資料を、(~~教授)などと実名を添えて、並べている。
こうした手法は、多くのライターが使う。
自説に不安を感じたとき、権威者の名を借りて、それを補強する。
それにしても古すぎる!

 が、「臨界期」はある。
また臨界期をはずすと、人間は人間でなくなってしまうこともある。
その一例が、「野生児」である。
インドで1920年代に見つかったオオカミ姉妹にしても、同じころフランスで見つかった、ビクトールという少年にしても、それ以後、人間生活に復帰することはなかった。
言葉すら、覚えなかった。
人間らしい人間の心を取り戻すこともなかった。

 もっと簡単な例で言えば、小学校へ入学してから、音楽教育をほどこしても、そこそこの才能を見せるようになることはあっても、そこまで。
あえて言うなら、「読み書き」(=国語能力)について言えば、親子のふれあいというよりは、母親の言語能力が子どもに大きな影響を与える。
母親が、「ホラホラ、バスバス、ハンカチ、もった?」というような話し方を日常的にしていて、どうして子どもに国語力がつくというのか。
こういうとき母親は、子どもには、こう言う。
「もうすぐ、お迎えのバスが来ます。あなたはハンカチをもっていますか」と。
つまりこれが、わかりやすく言えば、「早期教育」である。

 AERAは、5~6歳の子どもが、小学5年生で習う漢字を書いている例をあげている。が、私は、40年近く幼児と接しているが、そんな子どもを見たことがない!
もしいるとしたら、自閉症(アスペルガー)の子どもということになる。
このタイプの子どもは、ある特定のことがらに、ふつうでない(こだわり)をもつことがある。

●小学校で消失?

 「計算力」と「算数の力」は、別。
計算力は、訓練で身につく。
しかし算数の力は、簡単には身につかない。
生活環境やその子どもの知的能力が、大きく影響する。

 同じように、「読み書き」と「国語の力」は、別。
読み書きは、訓練で身につく。
しかし国語の力は、簡単には身につかない。
生活環境やその子どもの知的能力が、大きく影響する。
ともに「思考力」の問題ということになる。

 その「思考力」を養うのに、早すぎるということはない。
乳幼児期でも、早すぎるということはない。
 が、AERAは、(読み書き)を例にあげ、そうした力は、小学校で消失する、と。
だから「早期教育は不要」と。
バカバカしいというか(失礼!)、反論するのも、疲れる。

●過熱する幼児教育

 少子化の問題もある。
それもあって、たしかに幼児教育が加熱している。
しかし問題は、なぜ加熱しているかということ。
その背景にまで、メスを入れないと、この問題は解決しない。
「早期教育は無駄」と、ハシゴをはずすのは簡単。
しかしハシゴをはずされた親たちは、どうすればよいのか。
どこへ向かえばよいのか。
それを書いてこそ、「さすがAERA!」ということになる。
まことにもって、無責任というか、乱暴なコラムということになる。

 もっとも朝日新聞社(AERAの出版元)の「塾必要悪論」は、今に始まったものではない。
私が37歳前後のことだったから、今から25年ほど前ということになる。
朝日新聞は、連日、「塾必要悪論」を展開していた。
が、そのときすでに、「塾で勉強した子どもは、学校での勉強をつまらなく思う」というような意見はあった。
教職員の間から、さかんにそういう意見が出てきた。
が、当のライターは、その時代から、一歩も進歩していない。
(使っている資料を見ても、それがよくわかる。)

 しかし、時代は変わった。
教え方も変わった。
親たちの意識も変わった。
今時、泣いていやがる子どもを、(幼児でもよいが)、無理矢理塾通いさせる親はいない。
またそんな教え方をしている塾は、ない。
さらに言えば、学校の勉強をつまらなくさせるように教えている塾は、ない。
ライターは、自分が受けた古い教育(=古傷)を原点に、自説を、自分流に料理しているだけ。

私はAERAの記事を読んだとき、「辛かった。お母さんにはいやだとは言えずに我慢していた。幼稚園の友達と、もっと遊びたかった。中学受験なんて必要なかった」と言った少女は、ライター自身のことではないかと疑った。

●反響

 世界の教育は自由化に向けて、まっしぐらに進んでいる。
アメリカのホームスクール、カナダの学校設立自由化、EUのクラブ制(塾制)などなど。
EUでは、大学の単位すら共通化された。
私が学んだオーストラリアのメルボルン大学では、40年も前から、世界の大学と単位交換をしていた。

 二男は、アメリカの私立大学で2年学んだあと、州立大学へ移籍。
しばらく民間企業に勤めたあと、現在はI大学(アメリカ)で、CERNのコンピュータ技師として仕事をしている。
また二男の嫁は、文学部出身だが、主婦業をするかたわら、司法試験に合格。
現在はロースクールに席を置いている。

 これを「自由化」という。
世界の若者たちは、自分の力とやる気に応じて、好き勝手なことをしている。
わかるかな、AERAさん?
そういう環境作りをする。
それを「自由化」という。
私たち日本人も、そういう世界を目指す。

 話が脱線したが、「読み書き」や、極端な例を取り上げ、「早期教育は小学校で消失」という意見は、まことにもって、暴論。
暴論というよりは、無知。
もしそうだとするなら、幼児教育とは何かということになってしまう。

 で、最後に「早期教育」について。
もちろんまだ未熟で不完全かもしれないが、その重要性は、年々、さらに大きく高まってきている。
脳科学の発達とともに、(近年、急速に発達しているが)、早期教育がどうあるべきか、その道筋も示されつつある。
繰り返すが、今時、「読み書き」?
日本人に与える影響の大きい雑誌だけに、残念。
これからも、AERAのコラムをテーマに、この問題について、書いてみたい。

(はやし浩司 家庭教育 育児 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林浩司 BW はやし浩司 AERA アエラ 早期教育は小学校で消失 早期教育無用論)

【補足】

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数日前に書いた原稿を、添付する。

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●早期教育効果は小学生で消える(?)「AERAの記事に、疑問あり!」(改訂版)

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こんな記事が、AERAという雑誌に載っていた(2010年)。
いわく「早期教育効果は、小学生で消える」と。
つづいて、

「……小学校入学前に読み書きを習得する子どもは多い。その風潮に警鐘を
鳴らす研究が報告されている。本質的な学力を決めるのは親子関係だという」と。

しかしこの原稿には、いくつかの言葉のトリックがある。
その第一、「早期教育」を、「読み書き」にすり替えている。
たしかに「読み書き」については、その効果は「小学校で消える」。
たとえば計算力にしても、幼児期に速くできるようになったからといって、
それがそのまま「数の力」に結びつくとはかぎらない。
よい例が、幼稚園によっては、かけ算の九九を暗唱させているところがある。
が、九九が言えるようになったからといって、「算数の力」が身についた
ということには、ならない。

が、こんなことは常識。

その常識を、逆手に取って、「小学生で消える」とは?
さらに言えば、消えたところで、無駄とは言い切れない。
その上に、さらに新しい知識を組みあげていく子どももいる。

(そうでない子どもも、もちろんいるが……。)

あえて言えば、「早期教育」と言っても、「知識教育」から離れ、最近では「考える子ども」
にするのが、ひとつのテーマになってきている。

ごく最近では、「Active Learning」という言葉も使われるようになった。
「ものごとに積極的に取り組む子どもにするための指導」という意味である。
「文字の読み書き」ではない!

+++++++++++++++++++++++++++++++++++

●読み書き

 「読み書き」をもって、早期教育と位置づける。
「だから、早い時期から学んでも、意味がない」と。
この原稿の最大のミスは、ここにある。
つまりこの原稿を書いた人は、「幼児教育」というのが、何であるか、よくわかっていない。
「早期教育」、さらには「先取り教育」の意味もよくわかっていない。
さらに最近話題になっている、「臨界期」という言葉も、知らない?

 たとえば、こんなことも書いてある。
「また、別の研究でも、漢字の習得では、早期教育を受けなかった子どもとの差は小学校2年生ごろに消滅し、むしろ国語嫌いは早期教育を受けた子に多かったということもわかっている(黒田実郎、「保育研究」)」(AERA)と。

(しかしこの資料も、調べてみたところ、1969年「日本保育学会」「就学前の幼児の恐怖」の中に収録されているものとわかった。
1969年といえば、40年以上も前!
大阪万博の前の年の資料!)

 それはさておき、それはその通り。
無理な文字指導が、子どもを文字嫌いにするという例は、多い。
その(文字嫌い)が悪循環となって、子どもを(国語)から、遠ざける。
たとえば年中児でも、「名前を書いてごらん」と声をかけただけで、体をこわばらせる子どもは、いくらでもいる。
中には涙ぐむ子どもさえいる。
文字に対して恐怖心をもっているためである。

 こんなことは、少し幼児に接してみれば、だれにでもわかること。
また幼児に接した経験のある人なら、だれでも知っている。
それを、ことさら学者名まで出して強調するところが、わざとらしい。

 逆に、世界広しといえども、幼児期の幼稚園教育で、文字の読み書きを教えないのは、この日本だけ。
そういう事実をさておいて、あたかも「幼児期に、文字教育は必要なし」というような印象を与えるのは、どうか。
誤解というより、偏見。

 そして「文字教育」を例にあげながら、「幼児期には何もしないほうがいい」というような印象を読者に与える。
こうした論法には、「?」マークを10個くらい、並べたい。
大切なことは、「教える」ではなく、「文字の読み書きは楽しい」ということを教えること。
それが幼児教育。
またそれが重要!

●偏見

 さらに……。

「……早期教育熱はやがて中学受験熱に変わる。Aさんの長女は、過酷な競争を勝ち抜き都内の難関の中高一貫進学校への入学を果たしたが、その後勉強熱が急速に冷めてしまった。競争の激しい進学校で成績は伸びず、大学受験は苦労した。

 有名中学に合格し、張り詰めていた緊張の糸がプツンと切れてしまったかのように、その後の成績が伸び悩む例は多い。子どものストレスは早期教育で終わらない。小学校に入れば塾通い、中学受験、それが終わっても大学受験と、常に急き立てられていく」(AERA)と。

 これを読んだときには、ア然とした。
このライターは、「燃え尽き症候群」「荷下ろし症候群」という言葉さえ、知らない?
そんな印象すらもった。

 たしかにこのタイプの子どもは、多い。
浜松市内の進学高校でも、高校入学と同時に、約20%の子どもが、燃え尽きる。
そのため無気力になったり、怠学に陥ったりする。
それはそれだが、だからといって、みながみな、そうなるわけではない。
何も受験競争の肩をもつわけではないが、「だから教育は無駄」式の論法には、首をかしげる。

 つまりここでも、「受験競争」と「早期教育」を、言葉のトリックを使ってすりかえ、読者を煙に巻いている。

●親子のかかわり

 幼児教育の第一は、「親子のかかわり」で始まる。
またそれで終わる。
その重要性は、基本的信頼関係に始まって、心の育成などなど、今さらあえて説くまでもない。
が、ここでも、このライターは、言葉のトリックを使っている。
つぎの文章を、よく読んでほしい。

 「……長男は文字をほとんど書けないまま小学校に入学した。入学後、近所の5歳の女の子が持っていた「お勉強ノート」を見て圧倒された。画数の多い小学校中学年向けの漢字がびっしりとノートのマスを埋めていた。入学後も、わが子がカタカナに四苦八苦する傍らで「5年生の漢字が書けるよ」「九九できるよ」と豪語する級友の存在を知り、長男が勉強についていけるか心配になった。

 しかし、お茶の水女子大学の内田伸子教授(発達心理学)は、文字の読み書きなどの早期教育に批判的だ。内田教授は昨年秋の東アジア学術交流会議で「幼児のリテラシー習得に及ぼす社会文化的要因の影響」調査を発表した」(AERAより)と。

 ある親は、ほかの子どもが、スラスラと漢字を書いている子どもを見て、ショックを受けたという。

(5~6歳の子どもが、5年生の漢字を書く?
しかし私は幼児教育を40年もしているが、そんな子どもを見たことがない!
本をスラスラと読む子どもはいたが、漢字を書いた子どもは知らない。
もし本当にいるとするなら、心に何らかの障害をもった子どもということになる。
その子どもがそうというわけではないが、たとえば自閉症の子どもは、ある特定のことがらに、ふつうでない(こだわり)を示すことがある。
全国の駅名を暗記する、どんな音楽でも一小節を聞いただけで、曲名を当てる、など。
5歳児が、5年生の漢字を書くというのは、おおげさというか、きわめてマレなケース。)

 つまりそういうトンデモナイ例を引きながら、その一方で自分の原稿に権威付けをするため、大学の教授名を並べる。

いわく、「……すでに内田教授は20年以上前に実施した調査で、3、4歳で文字を習得している子と、習得していない子との差は、小学校入学後に急速に縮まり、1年生の9月には両者の差は消えてしまうということを指摘してきた」と。
 (この資料も、20年前の資料!)

●過熱する幼児教育?

 早期教育というと、文字教育と考える。
早計というか、無知。
無知というか、誤解。
あるいは偏見。
私も「文字」をテーマに、レッスンを進めることは多い。
しかし「文字を教えよう」という気持ちは、さらさらない。
先にも書いたように、「文字は楽しい」ということは、教える。
もっと言えば、子どもたちを、楽しませる。
「文字は楽しい」という思いが、良循環となって、その子どもを前向きに引っ張っていく。
それが幼児教育。
その重要性は、ここに改めて書くまでもない。

 それをさておいて、「子どもには、必要な栄養食品だけを与えておけばいい」
「料理は無駄」と。
さらに言えば、こんなことも言える。
「大学へ入っても、無駄。人生の結論は、死ぬときの死に際の様子で決まる」と。
どこかのカルト教団が、信者たちにさかんに説いている言葉である。
このライターの(おかしさ)は、その一点に集約される。

●不適切な指導

 このライターの意見によるまでもなく、不適切な指導で、伸びる芽すら摘まれていく子どもは、多い。
たとえばここでは「読み書き」がひとつのテーマになっている。
実のところ私の二男もそうだった。

 私の二男は、生まれつき、左利き。
私たち夫婦は、自然の流れに任せた。
が、小学校へ入学して一変した。
学校の先生から、「文字は右手で書かせてください」と。
担任の先生が、書道の先生であったことも、災いした。

 毎晩、二男は泣きながらノートに漢字を書いていた。
鏡文字はもちろんのこと、書き順もめちゃめちゃ。
で、1年もたったころ、私は学校の先生に向かって、こう宣言した。
「息子は、左利きで通します。無理な指導は結構です」と。

 それに対して先生は、こう反論してきた。
「冷蔵庫でも、何でも、右利き用にできています。
不便を感ずるのは、あなたのお子さんですよ」と。

 が、さらに私は反論した。
「そんなことは、慣れれば何でもないことです!」と。

 そういう問題はある。
あるが、一方的に、「消滅するから無駄」という論法には、かなり強い違和感を覚える。
●針小棒大論

 受験塾の受験競争には、私も批判的。

擁護したことは、一度もない。
しかしそれは「学習」という面からではなく、「心の育成」という面から、問題にしてきた。
またそのような趣旨で、原稿を書いてきた。

 それをストレス説と結びつけて、「子どもの教育はストレスにつながる」と一方的に決めつけている。
さらにいつの論文かは知らないが、「脳神経学的に胎児期や乳幼児期の早期教育の有効性を正当化する科学的根拠はないとしている」(お茶の水女子大学の榊原洋一教授は、著書『子どもの脳の発達臨界期・敏感期』)と。

 だったら、「野生児」の問題など、なかったはず!
ある時期、親子のふれあいのなかった子どもが、どうなるか?
野生児と呼ばれた子どもを知っていれば、こんな意見は出てこないはず。
「科学的根拠」というが、その研究は、今、始まったばかり。
「臨界期」という言葉が、再びクローズアップされてきたのは、ここ数年のこと。

 そこでこの本(『子どもの脳の発達臨界期・敏感期』)の発行年月日を調べてみたら、2004年とわかった。
6年前!
現在は、廃刊になっている。
当時は「科学的に」は、無理だったかもしれない。
が、ここ数年の、脳科学の進歩には、著しいものがある。
脳の中の動きを、リアルタイムで観察することもできるようになった。

●「塾通いは悪」という偏見

 このライターは、世界の潮流というものを、知らないらしい。
EUでは、むしろ逆に、学校教育より、クラブ制のほうに、教育の重点を移動している。
子どもたちがそれぞれ放課後、好き勝手なクラブに通い、好き勝手なことをしている。
たとえばドイツでは、中学校では単位制を導入し、午後はみな、それぞれのクラブに通っている。

 その費用は、チャイルドマネーとして、満27歳になるまで、一律に支給されている。
額は1万5000円前後。
クラブの月謝が、1000円程度だから、その額だけで、約15のクラブに通えることになる。
学校の内部にクラブがあることもある。
日本がこの先めざすべき教育は、むしろ、そちらのほうではないのか。
10年一律というか、AERA(朝日新聞社)のばあいは、30年一律のごとく、「塾、必要悪論」を展開している。

 そこには、「学校や幼稚園でやることは問題なし」という、ぬぐいがたい偏見すら覚える。
が、事実は逆で、むしろ「民活」、つまり民間の活力を利用したほうが、よい面も多い。
たとえば英会話にしても、民間に任せた方が、ずっとよい教育をする。
実際に、よい教育をしている。

 それに第一、今時、泣きながらいやがっている子どもを、無理に塾へ通わせる親は、い・な・い!
いったいこの話も、何年前の話かと、聞きたくなる。
(20~30年前には、こういう話はよく耳にしたが……。)

その部分を、ここに転載させてもらう。

「…… Aさんの長女は、大学入学後に幼い頃の塾通いについて、
「辛かった。お母さんにはいやだとは言えずに我慢していた。幼稚園の友達と、もっと遊びたかった。中学受験なんて必要なかった」

 と涙を溢れさせながら訴えた」(AERAより)と。

 このライターは、自説の偏見を補強するため、ペタペタとあちこちの悪例を張りつけている。
わかるかな?

●塾で勉強したら……?

 さらにAERAの記事は、つづく。
「日本には飛び級制度はないし、習熟度別クラスも少ない。塾などで勉強したことを学校で「復習」する状態が常に続くと、学校での勉強がつまらなくなる」(AERAより)と。

 ヘエ~~?

 今時、こんなことを書くライターがいること自体、信じられない。
学校第一主義というか、学校神話信仰者というか。
つい先日、韓国で発表された調査結果をもう一度、ここにあげてみる。

●居眠りする高校生たち

(授業中、居眠りをしている高校生)
居眠りについて、「普通の行動」、または「たびたびおこなっている行動」
    日本人    45.1%    
    韓国人    32.3%
    アメリカ   20.8%
    中国      4.7%

 「学校の勉強がつまらない」のは、塾で先取り教育をしているからではない。
構造的な問題。
つまり公教育がかかえる構造的な問題に起因する。
これは高校生についての調査だが、中学校でも似たような現象が起きている。
小学校でも似たような現象が起きている。
また「塾」といっても、今時、このライターが書いているような授業をしていたら、生徒など、1人も集まらないだろう。

たとえて言うなら、「まずい料理を並べるレストラン」のようなもの。
それを「食べろ!」と押しつけても、今時の子どもは、食べない。
親だって、食べさせない。

●結論

 また動き盛りの子どもを、無理に机にしばりつけ、「読み書き」を教えれば、ストレスがたまるに決まっている。
体や心が変調をきたすのも、当然。
あえて「尿検査」をするまでもなく、子どもたちの表情を見れば、それがわかる。
「教育」というのは、そういうもの。
子どもの表情と様子を見て、判断する。

それを「……1997年に幼稚園児の尿を採取してストレス値を比較したところ、早期教育を受けている幼児は、受けていない幼児に比べてストレスが高かった」と。
1997年当時といえば、「早期教育」の定義も、まだあいまいだったはず。
またそのころから、不登校児が急増し、不登校が社会問題化した。
が、その一方で、水泳教室、書道など、おけいこ塾へ通っていない子どもなど、いなかったはず。

都会地域では、ほぼ100%。
地方の農村地帯でも、70%。
(この数字は記憶によるものなので、不正確。)

 ここでも「読み書き」と「早期教育」を混同させるという、言葉のトリックを使っている。

さらに言えば、ライターの思いこみを(柱)にし、あちこちから寄せ集め的に、古い資料をペタペタと張りつけている。

 で、問題があるとするなら、なぜ親たちが、こうまで過熱するのか。
(過熱しているなら、という前提だが……。)
その中まで、メスを入れる必要がある。
またそういう視点で、この問題を切り込んでほしい。
またメスを入れてこそ、「さずがAERA!」ということになる。
こうした記事を書くことによって、どういう問題が、どう解決するとういうのか?
ハシゴをはずすのは、簡単なこと。
「では、どうすればいいのか?」。

 親たちは、この日本にはびこる不平等性を、いやというほど、毎日見聞きしている。
人生の入り口で幸運に恵まれた人は、生涯、恵まれた生活を楽しむことができる。
そうでない人は、そうでない。
「受験」がその関門になっていることは、だれの目にも明らか。
親たちは日常的に、(あせり)と、(不安)を感じている。
そういう事実をさておいて、「読み書き」を「早期教育」にすりかえて、「早期教育は危険」と警鐘(?)を鳴らす。

 AERAが書くべきことがあるとすれば、「では、どうすればよいか」ということ。
「幼児をどう楽しく指導すればよいか」ということ。
ものごとは、後ろ向きに考えるのではなく、前向きに考える。
 
●AERAを、そのまま転載

 誤解があるといけないので、インターネット上に配信された、AERAの記事をそのまま転載させてもらう。

++++++++++++以下、AERAよりそのまま転載+++++++++++

●AERAより 2010年4月19日(月)

 都内に住む30代の母親は最近、4歳の女の子が図書館で読んでいる本を見て驚いた。絵はなく、漢字まじりの文字ばかり並ぶ小学校中学年用の読み物だ。自分の小学1年生の子どもは、入学してようやくひらがなを習ったばかりだというのに。思わず「すごいね」と声をかけると、女の子は「漢字も書けるよ」と言って、スラスラと漢字を書いた。女の子の母親と話すと、通っている有名私立幼稚園では珍しくない光景だという。

■所得よりも養育態度

 最近、地方都市から東京に転居してきた40代の母親の長男が通った保育園は、外遊びを重視し、幼児の読み書きなど早期教育には批判的な方針だった。長男は文字をほとんど書けないまま小学校に入学した。入学後、近所の5歳の女の子が持っていた「お勉強ノート」を見て圧倒された。画数の多い小学校中学年向けの漢字がびっしりとノートのマスを埋めていた。入学後も、わが子がカタカナに四苦八苦する傍らで「5年生の漢字が書けるよ」「九九できるよ」と豪語する級友の存在を知り、長男が勉強についていけるか心配になった。

 しかし、お茶の水女子大学の内田伸子教授(発達心理学)は、文字の読み書きなどの早期教育に批判的だ。内田教授は昨年秋の東アジア学術交流会議で「幼児のリテラシー習得に及ぼす社会文化的要因の影響」調査を発表した。

 ちょうどその2カ月ほど前、文部科学省は全国学力テストの結果を分析し、親の所得が高いほど子どもの学力が高いという調査を発表していた。親の年収が1200万円以上では国語、算数の正答率が全体の平均より8~10ポイント高く、200万円未満では逆に10ポイント以上低かった。

 だが、内田教授の調査では、子どもの学力格差は親の所得格差ではなく、親子のかかわり方が大きく影響していた。たしかに「読み・書き」能力だけみれば、3歳では親の所得や教育投資額が多いほど高かった。しかし、その差は子どもの年齢が上がるにつれて縮まり、小学校入学前に消滅した。文字などの早期教育の効果はわずか、数年しか続かないのだ。

 すでに内田教授は20年以上前に実施した調査で、3、4歳で文字を習得している子と、習得していない子との差は、小学校入学後に急速に縮まり、1年生の9月には両者の差は消えてしまうということを指摘してきた。また、別の研究でも、漢字の習得では、早期教育を受けなかった子どもとの差は小学校2年生ごろに消滅し、むしろ国語嫌いは早期教育を受けた子に多かったということもわかっている(黒田実郎、「保育研究」)。

■想像力豊かな子は…

 一方、幼児の語彙力については、親の所得や教育投資額が多いほど高かった。しかし、詳細な分析をした結果、語彙の成績を左右するのは所得や教育投資額ではなく、親の養育態度であるとわかった。

 内田教授は、こう話す。
「語彙力というのは自律的思考力を支えるものです。所得が低い家庭であっても、子どもとのふれあいを大事にして、楽しい経験を共有するような『共有型』の養育スタイルの家庭の子どもの語彙得点は高いのですが、所得が高くても大人の思いを押しつけ、トップダウンで禁止や命令、体罰などを多用する場合は子どもの語彙の成績は低いのです。他の子どもとの比較や勝ち負けの言葉を多用するとか、子ども中心で親が犠牲となる教育も、学力基盤を育むのに効果はありません」

 つまり親の「人間力」こそ、子どもの語彙力の発達には重要だということだ。しかも、この語彙力こそ学童期以降の子どもの学力と関連があると話す。
 また内田教授が文字を習得している幼児と習得していない幼児に、それぞれ空想でお話をつくってもらったところ、文字を習得していない子どもの方が想像力豊かな内容だったという。こうした研究を通じて、過熱する一方の早期教育に警鐘を鳴らしてきた内田教授は、こう話す。
「幼児期には五感を使って親子で体験を共有することが大切です。親子のコミュニケーションや会話のやりとりを通じて、子ども自身が考えて判断し、親子の絆が深まっていく中で子どもの語彙力は豊かになる。お金をかけなくても子どもは伸びるのです」

■鈍る昼間の活動

 研究者の間では以前から「早期教育」の効果に懐疑的な声は多かった。小児科医でもある、お茶の水女子大学の榊原洋一教授は、著書『子どもの脳の発達臨界期・敏感期』の中で、脳神経学的に胎児期や乳幼児期の早期教育の有効性を正当化する科学的根拠はないとしている。

 むしろ、早期教育の弊害として一番心配されるのは、子どものストレスだ。東北生活文化大学の土井豊教授らが、1997年に幼稚園児の尿を採取してストレス値を比較したところ、早期教育を受けている幼児は、受けていない幼児に比べてストレスが高かった。さらに早期教育を受けている幼児は、昼間の幼稚園での活動が鈍くなっていた。幼稚園後の「お勉強」に備え、日中は活動を休止して子どもなりに心と体のバランスをとっているのだろう。日中の活動の低下は子どもの発育にとってよくはない。ほかにも早期教育を受けた子どもがストレスで情緒障害を引き起こしたケースや、親子の愛着関係に悪影響を及ぼした事例も報告されている。

 都内に住むAさんは、長女の妊娠中からクラシック音楽や絵本の読み聞かせで胎教した。乳児期からは水泳、リトミックのほか、有名幼児教室にも電車で通った。自宅では幼児教室の教材やパズル、フラッシュカードで毎日1時間以上の早期教育を実践した。友達と自由に遊ぶ時間は少なかったが、長女に嫌がる様子も見えなかった。どんどん子どもが吸収していくのが嬉しかったし、何よりも子どものためと信じていた。

 早期教育熱はやがて中学受験熱に変わる。Aさんの長女は、過酷な競争を勝ち抜き都内の難関の中高一貫進学校への入学を果たしたが、その後勉強熱が急速に冷めてしまった。競争の激しい進学校で成績は伸びず、大学受験は苦労した。

 有名中学に合格し、張り詰めていた緊張の糸がプツンと切れてしまったかのように、その後の成績が伸び悩む例は多い。子どものストレスは早期教育で終わらない。小学校に入れば塾通い、中学受験、それが終わっても大学受験と、常に急き立てられていく。

■のしかかるストレス

 先の榊原教授は、こうした塾や学習教室での先取り学習も逆の効果を生む危険性があると話す。日本には飛び級制度はないし、習熟度別クラスも少ない。塾などで勉強したことを学校で「復習」する状態が常に続くと、学校での勉強がつまらなくなる。

 先の40代の母親の長男が通う小学校では「(学校の勉強は)簡単すぎてばからしい」と言う子どももいる。こうした子どもたちは、結果として学校の勉強に対するモチベーションが低下し、集中力も低下する。それこそが中学校以降の学力低下につながりかねないのだ。

 だが、榊原教授は早期教育や中学受験に熱心な親たちを一概には非難できないと話す。格差が広がるばかりの社会で、親が子どもの幸せのためにできることといえば、よりよい教育を受けさせることと思いつめるのも無理からぬことだからだ。フラッシュカードで天才児が育つかのような、教育産業のマニュアル化した教材は魅力的に見える。

 榊原教授はこう話す。
「早期教育が子どものストレスにならず『親子のふれあい』に寄与する程度なら使っても良いでしょう」

 フラッシュカードは、知能開発のためではなく、親子のコミュニケーションのために使えばよい。

 Aさんの長女は、大学入学後に幼い頃の塾通いについて、
「辛かった。お母さんにはいやだとは言えずに我慢していた。幼稚園の友達と、もっと遊びたかった。中学受験なんて必要なかった」
 と涙を溢れさせながら訴えた。

 Aさんは「頭にガツンとパンチをもらった感じ」だった。今まで注ぎ込んだお金と時間と苦労を思うと「間違いだった」とは認めたくない気持ちも残る。でも、「ごめんね」と、長女に心の底から詫びた。

 早期教育の効果はわずか数年足らず。だが、子どものストレスは成長した後も心に長く重くのしかかる。内田教授は、
「子どもはお母さんが大好きだから嫌とは言わない。だからこそ、親は子どものストレスのサインを見逃してはいけない」
 と話している。
ライター AS

(4月26日号)

++++++++++++以上、AERAよりそのまま転載+++++++++++

●ホ~~~~~~!

 AERAはこう書いている。

『「Aさんの長女は、大学入学後に幼い頃の塾通いについて、
「辛かった。お母さんにはいやだとは言えずに我慢していた。幼稚園の友達と、もっと遊びたかった。中学受験なんて必要なかった」
 と涙を溢れさせながら訴えた』(AERA)と。

 ホ~~~~~~!

 もう一度、昨日の私のレッスンの様子を、そのまま紹介する。
なおこの日は、いきなり6月中旬なみの暑気ということで、私も生徒たちも、かなりバテていた。

(はやし浩司 家庭教育 育児 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林浩司 BW はやし浩司 幼児教室 育児 教育論 Japan はやし浩司 AERA 偏見記事 学校第一主義 万能主義 早期教育の誤解 偏見 AERA)

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司





Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

●AERA誌へ

 さらに見てくださるようであれば、
http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/
より
「BW公開教室」へどうぞ!

20年前、43年前の話ではなく、「今」の話を書いてください。


Hiroshi Hayashi+++++++May. 2012++++++はやし浩司・林浩司

【3】(近ごろ、あれこれ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

【過去の記事を読み返す】

●当たるも経済専門家、当たらぬも、これまた経済専門家

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

時には、過去の記事をほじくり返してみるのも、楽しい。
とくに、予想記事と呼ばれる記事は、楽しい。
結果は、「今」ということになる。
その「今」と読み比べてみる。
それが楽しい。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

●経済

 今日(5月18日)、日本の株価は、大暴落した。
前日比、265円安。
週末観測で、7週連続の下落という。
Bloombergは、つぎのように伝える。
まず、それを読んでほしい。

『……5月18日(ブルームバーグ):

東京株式相場は大幅反落し、日経平均株価、TOPIXともことし最大の下落となった。
ギリシャ情勢の混乱が波及し、スペインの債務懸念が高まったほか、米国経済統計の低調でリスク資産圧縮の動きが鮮明化した。
対ドル、対ユーロでの円高も警戒され、輸出や金融を中心に東証1部33業種は全て安い。

TOPIXの終値は前日比21.62ポイント(2.9%)安の725.54、日経平均株価は同265円28銭(3%)安の8611円31銭。両指数は週間で米同時多発テロ前後の2001年9月以来、約11年ぶりに7週連続で下げた』(Bloomberg)と。

●ひどい!

 こういう記事を読むと、私はすぐこんなことを考える。
とくに今回は、そうだ。
ほんの数か月前には、ほとんどの経済学者たちは、口をそろえ、日本の株価は上昇しつづけると言っていた。

 いくら「当たるも~~、当たらぬも~~」と言っても、これはひどい。
数か月前の記事を探してみる。

●2か月前には、みな、どう書いていたか

以下、2012年3月14日、つまりちょうど2か月前の記事である。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

Seesaa 2012年03月14日より

●岡三オンライン証券チーフストラテジスト、IT氏

★日経平均、5月までに「震災前水準を回復」へ

『5月に向けて国内の年金基金の投資資金が流入するとみられ、日経平均は震災前水準(1万0434円)を回復。
目先の高値のメドである11年2月に付けた1万0891円を上回る展開になりそうだ。

★外国人投資家の買い意欲旺盛

外国人投資家の買い意欲は強く、欧米のヘッジファンドの買い戻しにとどまらず、米年金基金などの長期投資家の資金も動き出している。
年金資金を運用する機関投資家は、注文を平準化して一定期間続けて買うという傾向がある。
外国人は日本株を11年5月下旬から12月半ばまでに2兆円超売り越したが、そこから12年2月末までの買越額は1兆円を上回ったばかり。買いはまだ続くだろう』と。


●BNPパリバ証券日本株チーフストラテジスト、MR氏

★金融緩和で円高修正進む 上値メドは「1万1000円」

『FRBが実施した量的緩和第2弾(QE2)が効いてきた。
米景気回復が加速し、銀行貸し出しが増える好循環に入る兆しがある。
日米金利差が拡大し、円相場は1ドル=85円程度まで円安・ドル高が進みそうだ。
一方、欧州でも欧州中央銀行(ECB)の量的緩和策が奏功し、債務問題は小康状態を保っている。
日経平均は4~6月に1万1000円台を回復し、年内の高値をつけるのではないか。


★(3月)14日の日本株の上昇はショートカバー(売り方の買い戻し)が主体だろう。
空売り比率が24%程度と高まっていたので、買い戻しの動きが強まった。
長期投資家は国内外ともに、今の日本株の上昇に乗り切れていない。
本格的に買ってくるのはこれから。復興需要も株高を後押しするだろう』と。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

 結果は、ハズレ!
デタラメと言い切ってよいほどの、ハズレ!
とくに記事を選んだわけではない。
ここに書かれていることは、おおかたの経済学者たちも言っていたこと。

 が、問題はそのことではない。
ハズレたことが問題ではない。
問題は、こうした経済学者たちの意見を鵜のみにし、今というこの時点で、大損をした人がいるということ。
どこの記事だったかは、忘れた。
しかしこんな記事もあったはず。

「日本株は出遅れ感が強い。
夏場にかけて、大儲けのチャンス」と。

●経済学

 つまりこんな予想なり、コメントなら、だれにでも書ける。
私のような素人にでも書ける。
つまり書かないほうが、まし。
そこらの霊能力者の予言のほうが、ずっとわかりやすい。

 言い換えると、それほどまでに経済学というのは、いいかげん。
と、同時に、魔物。
一寸先は闇という言葉がある。
それに近い。
さらに言えば、経済学者の予想ほど、アテにならないものはないということ。
とくにどこかの証券会社に籍を置いている人間の言うことには、さらにアテにならない。
耳を貸さないほうがよい。
それを書きたかった。

●若い女の子

 それにしても、ひどい。
「大損」といっても、財産を失った人も、多いはず。
途方に暮れている人も、多いはず。
さらに恐ろしいことは、こうしたまちがった情報を、証券会社の女の子(怒りの念をこめて、そう言う)が、もっともらしく口にすること。
「今が底値ですから、買い時ですよ」と。

 経済学の「ケ」の字も知らない。
人生経験の「ジ」もないような、女の子。
そういう女の子が、それなりの年配者を手玉に取り、自分の利益につなげる。

 私もバカだったから、あのバブルショックのあと、それまでに儲けた分以上の損を出してしまった。
リーマンショックのときは、さすがに、それほどまでの損はしなかったが、それでも損をした。
が、そのあとは、「賢明な損切り」で、難をのがれることができた。
具体的には、証券会社の女の子の言いなりには、ならなかった。

 ドバイショック(2009)、3・11大震災(2011)ショックを経て、私は現在、証券会社との付き合いは、すべて断ち切っている。
が、これは日本経済にとって、たいへんな損失と考えてよい。
自由主義貿易体制の中にありながら、日本人の私たち自身が、資本主義の基本に不信をいだいている。
だから昔から、こう言う。
「株屋」と。
子どものころは、「株屋」といえば、詐欺師の代名詞にもなっていた。

●自己責任

 この世界には、「自己責任」という無責任主義が平気で大手を振って、大通りをかっ歩している。
だれも責任を追及しない。
だれも責任を取らない。
すべてが、ナーナーですんでしまう。

 が、おかしなことに、いつも大損をするのは、庶民という個人。
今回の福島第一原発事故もそうだが、だれも責任を追及しない。
責任を取らない。
東京電力にいたっては、「私たちには責任はない」と、居直ってしまっている。
「私たちは、国の指導に従い、やってきただけです」と。

 本来なら、万死……つまり責任者の法的処分に値する事故なのだが……。

 ……ともあれ、ときどきこうして過去をほじくり返してみるのも、楽しい。
その1例として、ちょうど2か月前の記事を、読みなおしてみた。

 で、ふと今、こう思う。
先に紹介した、岡三オンライン証券チーフストラテジスト、IT氏や、BNPパリバ証券日本株チーフストラテジスト、MR氏は、自分の書いたことに、少しは責任を感じているのだろうか、と。


Hiroshi Hayashi+++++++May. 2012++++++はやし浩司・林浩司



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