●2002年(9年前)の電子マガジンより
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司
電子マガジンの過去版に目を通す。
創刊は、2002年3月。
その3か月後に書いた原稿。
今、読み返してみると、あのころの
私が鮮明に、よみがえってくる。
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司
【以下、2002年 3月期のマガジンより】(1)
件名:子育て情報(はやし浩司)3-22
彡彡人ミミ 彡彡彡彡彡
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子育て最前線の育児論
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02-3-22号(031)
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by はやし浩司(ひろし)
http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/
キーワードは、C,X,I(シー・エクス・アイ)
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1~250作は、サイト、http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ の
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静岡県教育委員会発行雑誌「ファミリス」での連載が、2002年度も続くことに
なりました。どうか、ご購読くださいますよう、心からお願いします。全力をあげて
この原稿に取り組んでいます。お申し込みは、学校の先生まで(静岡県)、あるいは
(株)静岡教育出版社 ℡054-281-8870(ファミリス販売部)までお申し込みください。
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子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(206)
子どもへの虐待
親だから……というふうに、ものごとは決めてかかってはいけない。「親だから子どもを愛する心があるはず」とか。先日も朝のワイドショーを見ていたら、キャスターの一人がそう言っていた。しかし実際には、人知れず子どもを愛することができないと悩んでいる母親は多い。「弟は愛することができるが、兄はどうしてもできない」とか、あるいは「子どもがそばにいるだけで、わずらわしくてしかたない」とかなど。私の調査でも子どもを愛することができないと悩んでいる母親は、約一〇%(私の母親教室で約二〇〇人で調査)。東京都精神医学総合研究所の調査でも、自分の子どもを気が合わないと感じている母親は、七%もいることがわかっている。そして「その大半が、子どもを虐待していることがわかった」(同、総合研究所調査・有効回答五〇〇人・二〇〇〇年)そうだ。
妹尾栄一氏らの調査によると、約四〇%弱の母親が、虐待もしくは虐待に近い行為をしているという。(妹尾氏らは虐待の診断基準を作成し、虐待の度合を数字で示している。妹尾氏は、
「食事を与えない」「ふろに入れたり、下着をかえたりしない」などの一七項目を作成し、それぞれについて、「まったくない……〇点」「ときどきある……一点」「しばしばある……二点」の三段階で親の回答を求め、虐待度を調べた。その結果、「虐待あり」が、有効回答(四九四人)のうちの九%、「虐待傾向」が、三〇%、「虐待なし」が、六一%であったという。)
だからといって、子どもの虐待が肯定されるわけではない。しかしこの虐待の問題は、もう少し根が深いのではないか。その一つのヒントとして、今の母親たちの世代というのは、日本が高度成長をやり遂げた時期に乳幼児期を過ごしている。そしてそのうちの大半が、かなり早い時期から親の手を離れ、保育園や保育所へ預けられた経験をもっている。つまり生まれながらにして、本来あるべき親の愛情が希薄な状態で育てられている。もちろんそれだけが理由とは言えないが、子育てというのは本能でできるようになるわけではない。親の温かい愛情に包まれて育ってはじめて、親になったとき、自分も子どもを温かい愛情で包むことができる。このことを考え合わせると、子どもを虐待する親というのは、そもそもそういう温かい愛情を知らない親と考えてよい。そしてその理由として、日本が戦後経験した、いびつな社会構造にあるのではないかと考えられる。私たち日本人は、仕事第一主義のもと、「家庭」や「家族」をあまりにもないがしろにし過ぎた。つまり今にみる子どもへの虐待は、あくまでもその結果でしかないということになる。
子どもを虐待する親もまた、自分ではどうしてよいかわからず苦しんでいる。世間一般は、子どもを虐待する親を、ただ一方的に責める傾向があるが、その親たちもまた現在の社会が生み出した犠牲者と考えてよい。虐待に対する一つの見方としてこの原稿をとらえてほしい。
子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(208)
悪筆、言ってなおらず
年長児くらいになると、子どもの悪筆が目立ってくる。小学校へ入ると、さらにそれがはっきりとわかるようになる。手の運筆能力が固定化してくるためと考えられる。その運筆能力は、子どもに丸(○)を描かせてみるとわかる。運筆能力のある子どもは、きれいな、つまりスムーズな丸を描くことができる。そうでない子どもは、多角形に近いぎこちない丸を描く。(縦線を描くときと横線を描くときは、指、手、手首の動きは基本的に違う。違うことは一度、自分で縦線と横線を描き、それらがどう変化するかを観察してみるとわかる。さらに丸を描くときは、これからがきわめて複雑な動きをするのがわかる。つまりきれいな丸を描くというのは、それだけたいへんということ。)
悪筆が目立ってくると、親はすぐ、「書道教室へ」と考えるが、これは誤解。そもそも運筆能力のない子どもに書道をならわせると、見た目にはきれいな文字を書くようになるが、今度は時間ばかりかかって、先へ進めなくなってしまう。学校の授業でも、先生が黒板に文字を書く速さについていけない子どもはいくらでもいる。以前、M君(小二男児)がいた。文字はきれいだが、とにかく遅い。皆が書き終わっても、まだノロノロと書いている。そこである日、私はきつく注意した。「はやく書きなさい!」と。とたんM君ははやく書くようになったが、私はその文字を見て心底驚いた。文字がめちゃめちゃだったのだ。しかしそれがM君の本来の文字だった。
運筆能力を養うためには、塗り絵がよい。塗り絵をしながら、子どもは運筆能力を養う。その塗り絵で訓練すると、こまかい四角や丸い部分を、いろいろな線を使って塗りつぶそうとする。
そうなればしめたもの。(塗り絵になれていない子どもは、横線なら横線ばかりで色を塗ろうとするから、線があちこち飛び出したりする。)文字の学習に先立って、子どもには塗り絵をさせる。あとあと文字がきれいに書けるようになる。
なおクレヨンと鉛筆のもち方は基本的に違う。クレヨンは三本の指でつかむようにしてもつ。
鉛筆は、親指とひとさし指でつかみ、中指でうしろから支えるようにしてもつ。(だからといってそれが正しいもち方ということにはならないが……。)鉛筆を使い始めたら、一度正しいもち方を教えるとよい。ちなみに年長児で、鉛筆を正しくもてる子どもは約五〇%。クレヨンをもつようにしてもつ子どもが、三〇%。残りの二〇%は、きわめて変則的なもち方をするのがわかっている(筆者調査)。
(はやし浩司のサイト:http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/)
子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(218)
頭をよくする方法
ふつう頭のよい子どもは、発想が豊かで、おもしろい。パンをくりぬいて、トンネル遊び。スリッパをひもでつないで、電車ごっこなど。時計を水の入ったコップに入れて遊んでいた子ども
(小三)がいた。母親が「どうしてそんなことをするの?」と聞いたら、「防水と書いてあるから、その実験をしているのだ」と。ただし同じいたずらでも、コンセントに粘土をつめる。絵の具を溶かして、車にかけるなどのいたずらは、好ましいものではない。善悪の判断にうとい子どもは、とんでもないいたずらをする。
その頭をよくするという話で思いだしたが、チューイングガムをかむと頭がよくなるという説がある。アメリカの「サイエンス」という雑誌に、そういう論文が紹介された。で、この話をすると、ある母親が、「では」と言って、ほとんど毎日、自分の子どもにガムをかませた。しかもそれを年長児のときから、数年間続けた。で、その結果だが、その子どもは本当に、頭がよくなってしまった。この方法は、どこかぼんやりしていて、何かにつけておくれがちの子どもに、特に効果がある。……と思う。
また年長児で、ずばぬけて国語力のある女の子がいた。作文力だけをみたら、小学校の
三、四年生以上の力があったと思う。で、その秘訣を母親に聞いたら、こう教えてくれた。「赤ちゃんのときから、毎日本を読んで、それをテープに録音して、聴かせていました」と。母親の趣味は、ドライブ。外出するたびに、そのテープを聴かせていた。
今回は、バラバラな話を書いてしまったが、もう一つ、バラバラになりついでに、こんな話もある。子どもの運動能力の基本は、敏しょう性によって決まる。その敏しょう性。一人、ドッジボールの得意な子ども(年長男児)がいた。その子どもは、とにかくすばしっこかった。で、母親にその理由を聞くと、「赤ちゃんのときから、はだしで育てました。雨の日もはだしだったため、近所の人に白い目で見られたこともあります」とのこと。子どもを将来、運動の得意な子どもにしたかったら、できるだけはだしで育てるとよい。
子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(219)
読書のしつけ
子どもの読書のしつけについて、いくつかのコツがある。
(1)まず方向性を知る……子どもには子どもの方向性がある。その方向性をうまく利用する。
たとえばサッカーが好きな子どもには、サッカーの本を与える。ゲームが好きな子どもなら、ゲームの攻略本でもよい。児童文学書などを無理に与えても、たいてい失敗する。私もあの文学者の書いた本が、どうも性に合わない。最近はほとんど読んだことがない。(これはたまたま私が出会った文学者というのが、どの人もまともでないという印象を受けたためだと思う。)
(2)レベルをさげる……つぎに子どもに与える本は、思い切って一、二年、レベルをさげる。親は書店へ行くと、どうしても一、二年レベルの高い本に手を子どもに買い与えようとする。しかしちょっとしたこの無理が、子どもを本から遠ざける。しかし子どもを本好きにさせようと考えるなら、レベルをさげる。(もともとレベルというのは、いいかげんなものだということもあるが、いわゆる児童文学者というのは、本当に子どものレベルを知っていて本を書いているのではない。
せいぜい漢字の使い方で、年齢別にしているに過ぎない。)
(3)教科書がよい……本を買うなら、少し大きな書店へ行くと、いろいろな学校の教科書を売っている。どうせ買い与えるなら、教科書がよい。内容も吟味されているが、値段も安い。何も国語の教科書に限らない。算数でも社会でもよい。理科でもよい。最近の教科書は子どもが楽しみやすいように工夫してあるので、読み物としてもそれなりにおもしろい。
(4)まず親が読んでみせる……子どもに本を与えるときは、まず親がおもしろそうに読んでみせる。これを動機づけという。動機づけがうまくいくと、あとは子どもが自らの力で本を読むようになる。こうなればしめたもので、あとは子ども自身に任せればよい。
なおちなみに経済協力開発機構(OECD)が調査した「学習到達度調査」(PISA・二〇〇〇
年調査)によれば、「毎日、趣味で読書をするか」という問いに対して、日本の生徒(一五歳)のうち、五三%が、「しない」と答えている。この割合は、参加国三二か国中、最多であった。また同じ調査だが、読解力の点数こそ、日本は中位よりやや上の八位であったが、記述式の問題について無回答が目立った。無回答率はカナダは五%、アメリカは四%。しかし日本は二九%! 文部科学省は、「わからないものには手を出さない傾向。意欲のなさの表れともとれる」(毎日新聞)とコメントを寄せている。
子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(222)
アルバムをそばに置く
おとなは過去をなつかしむためにアルバムを見る。しかし子どもは、アルバムを見ながら、成長していく喜びを知る。それだけではない。子どもはアルバムを通して、過去と、そして未来を学ぶ。ある子ども(年中男児)は、父親の子ども時代の写真を見て、「これはパパではない。お兄ちゃんだ」と言い張った。子どもにしてみれば、父親は父親であり、生まれながらにして父親なのだ。一方、自分の赤ん坊時代の写真を見て、「これはぼくではない」と言い張った子ども(年長男児)もいた。ちなみに年長児で、自分が哺乳ビンを使っていたことを覚えている子どもは、まずいない。哺乳ビンを見せて、「こういうのを使ったことがある人はいますか?」と聞いても、たいてい「知らない」とか、「ぼくは使わなかった」と答える。記憶が記憶として残り始めるのは、満四・五歳前後からとみてよい(※)。このころを境にして、子どもは、急速に過去と未来の概念がわかるようになる。それまでは、すべて「昨日」であり、「明日」である。「昨日の前の日が、おととい」「明日の次の日が、あさって」という概念は、年長児にならないとわからない。が、一度それがわかるようになると、あとは飛躍的に「時間の世界」を広める。その概念を理解するのに役立つのが、アルバムということになる。話はそれたが、このアルバムには、不思議な力がある。
ある子ども(小五男児)は、学校でいやなことがあったりすると、こっそりとアルバムを見ていた。また別の子ども(小三男児)は、寝る前にいつも、絵本がわりにアルバムを見ていた。つまりアルバムには、心をいやす作用がある。それもそのはずだ。悲しいときやつらいときを、写真にとって残す人は、まずいない。アルバムは、楽しい思い出がつまった、まさに宝の本。が、それだけではない。冒頭に書いたように、子どもはアルバムを見ながら、そこに自分の未来を見る。さらに父親や母親の子ども時代を知るようになると、そこに自分自身をのせて見るようになる。それは子どもにとっては恐ろしく衝撃的なことだ。いや、実はそう感じたのは私自身だが、私はあのとき感じたショックを、いまだに忘れることができない。母の少女時代の写真を見たときのことだ。「これがぼくの、母ちゃんか!」と。あれは私が、小学三年生ぐらいのときのことだったと思う。
学生時代の恩師の家を訪問したときこと。広い居間の中心に、そのアルバムが置いてあった。小さな移動式の書庫のようになっていて、そこには一〇〇冊近いアルバムが並んでいた。
それを見て、私も、息子たちがいつも手の届くところにアルバムを置いてみた。最初は、恩師のまねをしただけだったが、やがて気がつくと、私の息子たちがそのつど、アルバムを見入っているのを知った。ときどきだが、何かを思い出して、ひとりでフッフッと笑っていることもあった。そしてそのあと、つまりアルバムを見終わったあと、息子たちが、実にすがすがしい表情をしているのに、私は気がついた。そんなわけで、もし機会があれば、子どものそばにアルバムを置いてみるとよい。あなたもアルバムのもつ不思議な力を発見するはずである。
子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(236)
一芸論
子どもには一芸をもたせる。しかしその一芸は、つくるものではなく、見つけるもの。いろいろなことがあった。S君(年中児)は父親が新車を買ってきたときのこと、車の中のスイッチに異常なまでの興味をもった。そこで母親から相談があったので、私はパソコンを買ってあげることをすすめた。パソコンはスイッチのかたまりのようなもの。案の定S君はそのパソコンにのめりこみ、小学三年生のときにはベーシックを。中学生になるころには、C言語をマスターするまでになった。Tさん(二歳児)もそうだ。お風呂に入っても、お湯の中に平気でもぐって遊んでいたという。そこで母親が水泳教室へ入れてみたのだが、まさに水を得た魚のようにTさんは泳ぎ始めた。そのTさんは中学生のときには、全国大会に出場するまでに成長した、などなど。
中に「勉強一本!」という子どももいるが、このタイプの子どもは一度勉強でつまずくと、あとは坂をころげ落ちるかのように、勉強から遠ざかってしまう。そのためだけというわけではないが、子どもには一芸をもたせる。その一芸が子どもを側面から支える。さらに「芸は身を助ける」の格言どおり、その一芸がその子どもの天職となることもある。M君(高校生)は、不登校を繰り返し、ほとんど高校へは行かなかった。そのかわり近くの公園で、ゴルフばかりしていた。で、それから一〇年後、ひょっこり私の家にやってきて、いきなりこう言った。「先生、ぼくのほうが先生より、(お金を)稼いでいるよね」と。M君はゴルフのプロコーチになっていた。
一芸を子どもの中に見つけたら、お金と時間をたっぷりとかける。子どもの側からすれば、「これだけは絶対、人に負けない」という状態にする。また周囲の子どもの側からすれば、「これについては、あいつしかできない」という状態にする。
ただしここでいう一芸というのは、将来に向かって前向きに伸びていく「芸」のことをいう。モデルガンやゲームのカードを集めるというのは、ここでいう芸ではない。
子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(237)
一芸は聖域
子どもの一芸は、聖域と思うこと。この聖域を踏み荒らすようなことがあると、子どもの心は大きな影響を受ける。よくある例が、「成績がさがったから、(好きな)サッカーはやめさせる」というもの。こういうケースで、サッカーをやめさせればさせたで、成績はかえってさがる。こんなケースがある。
H君(中一)は毎日、学校から帰ってくると、パソコンに向かって作曲をしていた。が、成績がさがったこともあり、父親がそれを強引に禁止した。とたん。H君の情緒は不安定になってしまった。まず朝起きられなくなり、つづいて昼と夜が逆転し始めてしまった。食事も不規則になり、食べたり食べなくなったりするなど。何とか学校へは行くものの、感情的な反応そのものが鈍くなってしまった……。
子どもが一芸にのめりこむ背景には、そうせざるをえない子ども自身の心の問題が隠されていることが多い。いわば自分の心のすきまを生めるための代償的行為ともいえるもので、それを奪うと、子どもによってはここにあげるH君のようになる。H君は学校で疲れた心を、音楽を作曲することでなぐさめていた。それを父親が奪ってしまったのだから、H君の症状は当然といえば当然の結果でもあった。
また一芸が、子どもによってはいわば生きがいそのものになっていることが多い。ある女の子(中学生)は手芸で、また別の男の子(小学生)はスケボーで自分を光らせていた。もしそうであるなら、それを奪う権利は親にもない。さらに……。
これからはプロが生き残る時代といってもよい。少なくとも世界は、そういう方向に向かって進んでいる。たとえばアメリカでは、大学でも入学後の学部変更や、さらには大学から大学への転籍すら自由化されている。より高度な勉強を求めて、大学から大学へと渡り歩いている学生すらいる。「学歴」にこだわる理由そのものがない。そしてそれが今、国際間でもなされている。日本もやがてそうなるのだろうが、そういう意味でも子どもの一芸を大切にする。
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では、次回もご愛読くださいますよう、お願いします。
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件名:子育て情報(はやし浩司)3-28
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アメリカの図書(読書指導)について、調べました。→http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/
→トップページ→「アメリカの読書指導」へおいでください。
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近況
29日から2週間の春休みです。まとまった休みは、この春休みと、夏休みです。この春休みのよいところは、夏休みの間と違って、旅行するにも、格安で、また行楽地がふだんよりもすいていることです。いろいろ計画があります。このマガジンは、今のところ毎週発行していますが、春休み中は、気が向いたら(失礼!)、不定期にときどき発行するつもりでいます。そのときはよろしくお願いします。皆さんの子育てでお役にたてるよう、できるだけ実用的な記事を集めました。
愛知万博、名古屋市パビリオンの答申が、去る3月25日に終わりました。
哲学者の山折先生や、解剖学の養老先生、宇宙学の松井先生、キャスターの草野さんなどにお会いできたのが、何よりも収穫でした。隣の席でいつもすばらしい意見を聞かせてくれたのが、藤井フミヤ氏でした。私にはたいへんよい経験になりました。私をのぞいて、皆さん、第一級の世界でがんばっておられる人たちでした。
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子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(238)
フリ勉、ダラ勉、時間ツブシ
勉強が空回りするようになると、子どもはフリ勉、ダラ勉、時間ツブシをするようになる。フリ勉というのは、いかにも勉強していますというような様子だけを見せる勉強をいう。しかしその実、何もしない。ダラ勉というのは、簡単な計算問題を一〇~三〇分もかけてするなど。あるいは描かなくてもよいようなグラフを、いつまでも描きつづけたりする。さらに時間ツブシというのは、勉強のあいまに、シャーペンの芯を出したり入れたり、ときにあちこちに落書きをしたりしながら時間をつぶすことをいう。小学校の低学年で一度、こういう症状を見せると、その修復はたいへんむずかしい。それがその子どもの勉強方法として定着してしまうからである。無理、強制が日常的につづくと、子どもはそうなるが、この段階でそれに気づく親はまずいない。「やればできるはず」「そんなはずはない」と子どもを追い立てる。その悪循環がますます子どもをして、勉強から遠ざける。
では、どうするか。一度、こういう症状を示し始めたら、あきらめる。つまりそれがその子どもの能力と思い、あきらめる。しかもその時期は早ければ早いほどよい。小学一年生でも早過ぎるということはない。……と書くと、たいてい「まだ一年生ですよ!」と言う親がいる。しかし一年生だから、あきらめる。もう少し年齢が大きくなって、自意識でコントロールできるようになると、自分で勉強に向かうようになる。しかしその前に勉強グセをつぶしてしまうと、ここに書いたように修復そのものがむずかしくなる。(あるいは不可能になる。)
が、それで終わるわけではない。さらに症状が進むと、ごまかすのがうまくなる。学校ではいつもカンニングをして、その場をごまかすようになる。しかもそれが天才的に(?)うまくなる。先生の目を盗み、隣の子どもの答などを、そのまま丸写しにしたりする。小学二年生で、このタイプの子どもは、二〇人もいれば必ず一人はいる。もうこうなると、学力が身につくことなど、望むべくもない。
要はそういう子どもにしないこと。そのためには無理、強制を避ける。動機づけ(子どもに興味をいだかせるような努力)をしっかりとしながら、達成感(やり遂げたという喜び)を感じさせながら、少しずつ学習に向かわせる。英語には、「火をともして、引き出す」という格言がある。家庭教育の鉄則にもなっている。それはある意味でたいへんなことだが、子どもに勉強させるのは、それくらいたいへんなことだということを、まず親が自覚すること。またその前提で、子どもの勉強を考えること。
子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(244)
子どもの嫉妬
嫉妬はたいへん原始的な、つまり本能に根ざす感情であるだけに、扱い方をまちがえると、その子どもの人間性そのものにまで影響を与える。「原始的」というのは、犬やネコをみればわかる。犬やネコは、一方だけをかわいがると、他方ははげしく嫉妬する。また「人間性」というのは、情緒面のみならず、精神面にも大きな影響を与えるということ。そしてそれは多くのばあい、行動となって表れる。
嫉妬が「内」にこもると、子どもはぐずったり、いじけたりする。ひがみが強くなったり、がんこになったりする。幼児のばあい、原因不明の身体の不調(発熱、下痢、嘔吐)を訴えることもある。「外」に出ると、いじめや動物への虐待となることが多い。嫉妬がからんでいるばあいには、それが相手に向けられたときには、「殺す」というところまでする。残虐かつ陰湿になるのが特徴で、容赦しないのが特徴。弟に向かって自転車で突進したケースや、弟を逆さづりにして頭から落としたケース、さらに妹の人形をバラバラにしてしまったケースや、妹をトイレに閉じ込めてしまったケースなどがある。一人、妹にお菓子と偽り、チョークを口の中に入れた女の子(小二)もいた。また動物への虐待では、飼っていたハトの背中に花火をくくりつけ、ハトを殺してしまったケース、つかまえてきたカエルを地面にたたきつけて殺してしまったケースなどがある。
ふつう子どもが理由もなく(また原因がはっきりしないまま)、ぐずったり、ふさいだりするときは、愛情問題を疑ってみる。そういうときは抱いてみるとわかる。最初は抵抗する様子を見せるかもしれないが、強引に抱き込んだりすると、そのまま静かに落ち着く。
乳幼児期は、静かで穏やかな生活を大切にし、嫉妬と闘争心の二つはいじらないようにする。中に、わざと子どもを嫉妬させながら、親への依存心をもたせる人がいる。一昔前の親がよく使った方法だが、依存心をもたせるという意味で、好ましくないことは言うまでもない。
子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(256)
子どもの携帯電話を考える
携帯電話をもつ子どもがふえている。調査のたびに、ぐんぐんとうなぎ昇りにふえているので、調査そのものがあまり意味がない。が、それと同時に弊害も表面化してきた。それらを並べると……
(1)マジックミラー症候群……膨大な情報量の中で、知りたい相手の情報は見ても、自分の情報は流さない。一方的に相手を観察するだけで、自分の正体は明かさない。あるいは他人の意見を知り、それを攻撃することはできても、自分の意見は述べない。情報が一方通行化する。
(2)リセット症候群……一度、嫌いになると、ちょうどスイッチを切るかのように、相手を自分の世界から抹殺してしまう。その後その相手からメールが入っても、それを受けつけないか、無視する。
(3)オセロ症候群……白黒はっきりした人間関係をつくろうとする。敵の敵は味方という考え方をしながら、その色分けをはっきりする。中間色的なつきあいができなくなる。
(4)マトリックス症候群……バーチャルな人間関係を結ぼうとする。相手は無臭、無味、体温の感じない状態のほうが、つきあいやすい。自分の側の臭いや味、感情も文の上でコントロールしようとする。一方、現実の世界の人間とは、心を結べなくなる。
(5)字幕症候群……相手からの文字に、自分の心をのせて相手の文を読む。たとえば相手が「バカだなあ」と書いたとする。相手は冗談のつもりで書いたとしても、その「冗談」の部分はわからない。わからないから、こちらの感情でその文を読んで、ときには憤慨したり、怒ったりする。
(6)携帯電話依存症候群……携帯電話がないと落ち着かない。気分がすぐれない。携帯電話に固執する。
(7)カプセル症候群……メール用語、メールの世界だけしか通用しない用語だけで会話をしようとする。またそれを知らない人を、よそ者的に排斥しようとする。
(8)ワイアレス症候群……膨大な情報の中に埋もれてしまい、自分がわからなくなる。無能化、愚鈍化が進む。一日の行動が決められず、電話の運勢占いにすべてをかける。
(9)グラフィック症候群……音声の会話ができなくなる。メールでは何でも話せるのに、いざその人と直接対面すると、何も話せない。
(10)ボーダーレス現象……性情報が氾濫し、それが見境なく低年齢層に浸透している。
(11)情報のフェザー現象……情報の価値が限りなく軽くなり、その分、思考回路も軽くなる。会話能力の低下、思考能力の低下をきたす。
(12)親指人間、会話能力欠如、言葉の短文化、感情化、短絡化、文字のマンガ化、ムダ話がなくなった分だけ、黙々と携帯に文字を打ち込んでいる。
子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(259)
子どものウソ
子どものウソは、つぎの三つに分けて考える。(1)空想的虚言(妄想)、(2)行為障害による虚言、それに(3)虚言。空想的虚言というのは、脳の中に虚構の世界をつくりあげ、それをあたかも現実であるかのように錯覚してつくウソのことをいう。行為障害による虚言は、神経症による症状のひとつとして表れる。習慣的な万引き、不要なものをかいつづけるなどの行為障害と並べて考える。これらのウソは、自己正当化のためにつくウソ(いわゆる虚言)とは区別して
考える。空想的虚言については、ほかで書いたのでここでは省略する。
で、行為障害によるウソは、ほかにも随伴症状があるはずなので、それをさぐる。心理的な要因が原因で、精神的、身体的な面で起こる機能的障害を、神経症というが、ふつう神経症による症状は、つぎの三つに分けて考える。
(1)精神面の神経症……精神面で起こる神経症には、恐怖症(ものごとを恐れる)、強迫症状(周囲の者には理解できないものに対して、おののく、こわがる)、虚言癖(日常的にウソをつく)、不安症状(理由もなく悩む)、抑うつ感(ふさぎ込む)など。混乱してわけのわからないことを言ってグズグズしたり、反対に大声をあげて、突発的に叫んだり、暴れたりすることもある。
(2)身体面の神経症……夜驚症(夜中に狂人的な声をはりあげて混乱状態になる)、夜尿症、頻尿症(頻繁にトイレへ行く)、睡眠障害(寝ない、早朝覚醒、寝言)、嘔吐、下痢、便秘、発熱、喘息、頭痛、腹痛、チック、遺尿(その意識がないまま漏らす)など。一般的には精神面での神経症に先立って、身体面での神経症が起こることが多く、身体面での神経症を黄信号ととらえて警戒する。
(3)行動面の神経症……神経症が慢性化したりすると、さまざまな不適応症状となって行動面に表れてくる。不登校もその一つということになるが、その前の段階として、無気力、怠学、無関心、無感動、食欲不振、引きこもり、拒食などが断続的に起こるようになる。パンツ一枚で出歩くなど、生活習慣がだらしなくなることもある。
こうした症状があり、そのひとつとして虚言癖があれば、神経症による行為障害として対処する。叱ったり、ウソを追いつめても意味がないばかりか、症状をさらに悪化させる。愛情豊かな家庭環境を整え、濃厚なスキンシップを与える。あなたの親としての愛情が試されていると思い、一年単位で、症状の推移を見守る。「なおそう」と思うのではなく、「これ以上症状を悪化させないことだけ」を考えて対処する。神経症による症状がおさまれば、ウソも消える。
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件名:子育て情報(はやし浩司)3-30
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子育て最前線の育児論
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02-3-30号(033)
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by はやし浩司(ひろし)
http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/
キーワードは、C,X,I(シー・エクス・アイ)
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いつもこのマガジンをご愛読くださり、感謝しています。
昨日(29日)、島田市の青年会議所の方と、講演の打ち合わせをしました。
「何とか多くの人に来てほしい」とのこと。私はあまり講演会場への
入場者の数にはこだわっていないのですが、熱意に打たれました。
皆さんの中で、もし興味があれば、5月18日、島田市おおるり会館へ
午後2時においでください。お待ちしています。詳しくは
http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi//、「ニュース」のところに
書いておきました。
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「子育てストレスが子どもをつぶす」リヨン社・1300円+税が
発売中です。どうかよろしくお願いします。
4月3日に、読売新聞と中日新聞(全国版)に、広告が載るとの連絡が
出版社のほうからありました。どうか、ご覧ください。
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子育てアドバイスから、いくつかを選んでお送りします。
1~300作は、サイト、http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ の
ほうで紹介しています。トップページから、「ワンポイント」へと
お進みください。
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近況
数日前、バンクーバーのM氏より手紙が届く。カナダでも日本語を学ぶ高校生が急減しているという。日本語クラスを閉鎖した学校もあるという。国外での「日本離れ」は、今、急速に進んでいる。こうした現状を、日本人はどれだけ知っているだろうか。東京の株式市場に上場している外国企業も、125あまりから、現在は36社(90年)程度にまで減っている(2000年1月)。今年に入って、マクドナルド、ネスレ、ドレスナー銀行も日本からの撤退を決めている。アジアの経済の中心は、シンガポールに移ってしまった。いまだに「日本は経済大国だ」「アジアの中心だ」と思っている人が多いのには、驚かされる。日本の教育改革は、30年は遅れた。
教育がにっちもさっちもいかなくなって、いまごろ「改革」を叫んでも、その成果が出るのは、さらに20年後、30年後。私はもう知らないぞ! ……と言いつつ、今日もかろうじてがんばっています。
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静岡県教育委員会発行雑誌「ファミリス」での連載が、2002年度も続くことに
なりました。どうか、ご購読くださいますよう、心からお願いします。全力をあげて
この原稿に取り組んでいます。お申し込みは、学校の先生まで(静岡県)、あるいは
(株)静岡教育出版社 ℡054-281-8870(ファミリス販売部)までお申し込みください。
〒422-8006 静岡市曲金5-5-38、静岡教育出版社
一冊 300円プラス送料76円……現金書留にてお申し込みください。
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子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(260)
子育てじょうずな親
子どもには子どものリズムがある。そのリズムをいかにつかむかで、「子育てじょうずな親」「子育てべたな親」が決まる。子育てじょうずな親というのは、いわゆる子育てがうまい親をいう。子どもの能力をじょうずに引き出し、子どもを前向きに伸ばしていく親をいう。
結果は、子どもをみればわかる。子育てじょうずな親に育てられた子どもは、明るく屈託がない。心のゆがみ(ひねくれ症状、ひがみ症状、つっぱり症状など)がない。また心と表情が一致していて、すなおな感情表現ができる。うれしいときは、うれしそうな顔を満面に浮かべるなど。
子育てじょうずな親は、いつも子どものリズムで子育てをする。無理をしない。強制もしない。子どものもつリズムに合わせながら、そのリズムで生活する。そのひとつの診断法として、子どもと一緒に歌を歌ってみるという方法がある。子どものリズムで生活している人は、子どもと歌を歌いながらも、それを楽しむことができる。子どもと歌いながら、つぎつぎといろいろな歌を歌う。しかしそうでない親は、子どもと歌いながら、それをまだるっこく感じたり、めんどうに感じたりする。あるいは親の好きな歌を押しつけたりして、一緒に歌うことができない。
そもそもこのリズムというのは、親が子どもを妊娠したときから始まる。そのリズムが姿や形を変えて、そのつど現れる。ここでは歌を例にあげたが、歌だけではない。生活全般がそういう
リズムで動く。そこでもしあなたが子どもとの間でリズムの乱れを感じたら、今日からでも遅くないから、子どもと歩くときは、子どもの横か、できればうしろを歩く。リズムのあっていない親ほど、心のどこかでイライラするかもしれないが、しかし子どもを伸ばすためと思い、がまんする。
数か月、あるいは一年のうちには、あなたと子どものリズムが合うようになってくる。子どもがあなたのリズムに合わせることはできない。だからあなたが子どものリズムに合わせるしかない。そういうことができる親を、子育てじょうずな親という。
子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(261)
内弁慶、外幽霊
家の中ではおお声を出していばっているものの、一歩家の外に出ると、借りてきたネコの子のようにおとなしくなることを、「内弁慶、外幽霊」という。といっても、それは二つに分けて考える。自意識によるものと、自意識によらないもの。緊張したり、恐怖感を感じて外幽霊になるのが、前者。情緒そのものに何かの問題があって、外幽霊になるのが、後者ということになる。たとえばかん黙症などがあるが、それについてはまた別のところで考える。
子どもというのは、緊張したり、恐怖感を覚えたりすると、外幽霊になるが、それはごく自然な症状であって、問題はない。しかしその程度を超えて、子ども自身の意識では制御できなくなる
ことがある。対人恐怖症、集団恐怖症など。子どもはふとしたきっかけで、この恐怖症になりやすい。その図式はつぎのように考えるとわかりやすい。
もともと手厚い親の保護のもとで、ていねいにかつわがままに育てられる。→そのため社会経験がじゅうぶん、身についていない。この時期、子どもは同年齢の子どもととっくみあいのけんかをしながら成長する。→同年齢の子どもたちの中に、いきなりほうりこまれる。→そういう変化に対処できず、恐怖症になる。→おとなしくすることによって、自分を防御する。
このタイプの子どもが問題なのは、外幽霊そのものではなく、外で幽霊のようにふるまうことによって、その分、ストレスを自分の内側にためやすいということ。そしてそのストレスが、子どもの心に大きな影響を与える。家の中で暴れたり、暴言をはくのをプラス型とするなら、ぐずったり、引きこもったりするのはマイナス型ということになる。こういう様子がみられたら、それをなおそうと考えるのではなく、家の中ではむしろ心をゆるめさせるようにする。リラックスさせ、心を開放させる。多少の暴言などは、大目に見て許す。とくに保育園や幼稚園、さらには小学校に入学したりすると、この緊張感は極度に高くなるので注意する。仮に家でおさえつけるようなことがあると、子どもは行き場をなくし、さらに対処がむずかしくなる。
本来そうしないために、子どもは乳幼児期から、適度な刺激を与え、社会性を身につけさせる。親子だけのマンツーマンの子育ては、子どもにとっては、決して好ましい環境とはいえない。
子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(262)
灯をともして、引き出す
恩師のT氏が教えてくれた言葉だ。子どもは、「灯をともして、引き出す」。そしてこれが欧米流れの教育の基本でもある。エデュケーションの語源は、「EDUCE(引き出す)」である。
一方、日本語(中国語)では、「教え育てる」が基本になっている。どちらがよいとか悪いとか言っているのではない。「教育」に対する考え方が、基本的な部分で正反対だということ。日本では、子どもをある特定の形につくりあげるのが教育ということになっている。一方、欧米では、子ども自身の方向を認め、その選択を子ども自身に任せているということ。この違いは、いろいろな場面で表れる。
たとえば日本では、先生は、「わかったか?」「よし、ではつぎ!」と言って授業を進める。しかしアメリカでは、「どう思う?」「それはいい考えだ」と言って授業を進める。そのため日本では、子どもに子ども自身の考えをあまりもたせない。一方、アメリカでは、子どものときから、子どもの言葉で子どもに話させる。わかりやすく言えば、日本の教育は、まず学校があって教師がいる。そこへ生徒がやってくるという図式で成り立っている。一方、欧米では、まず子どもがいて、その周囲に教師がいて、学校があるという図式で成り立っている。わかりにくい話かもしれないが、要するに「学校中心」か、「子ども中心」かという話になる。だから……。
たとえばアメリカでは、学校の先生が落第を親にすすめると、親は喜んでそれに従う。「喜んで」だ。これはウソでも誇張でもない。事実だ。むしろ子どもの成績が落ちたりすると、親のほうから落第を頼みにいくケースも多い。「うちの子はまだ、進級する準備ができていない(レディできていない)」と。アメリカの親たちは、「そのほうが子どものためになる」と考える。が、この日本ではそうはいかない。いかないことは、あなた自身が一番よく知っている。
同じ「教育」といっても、外から見た「形」はよく似ていても、その中身、つまり意識は日本と欧米とでは、まるで違う。そういうことも考えながら、「灯をともして、引き出す」の意味を、もう一度考えてみてほしい。あなたもきっと、「なるほど」と納得するはずだ。
子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(263)
大学の独立法人化
やっとというか、日本でも大学の独立法人化が動き出した。教官の身分が保証されないという理由で、反対意見も多いが、しかしこんなことは日本以外の国では常識。アメリカではもう三〇年も前から、大学入学後の学部変更は自由。転籍も自由。それも即日に転籍できる。で、
学生たちはより高度な授業を求めて、大学の間をさまよい歩いている。そのため学科のスクラップアンドビルドは、日常茶飯事。やる気のない教官はどんどんクビになっている。学生に人気がなければ、学部すら閉鎖される。その結果だが……。
たまたまある日、二人の学生が遊びにきた。二〇〇一年にアメリカの州立大学を卒業したA君。もう一人は一九九九年に横浜の国立大学に入学したB君。そのB君を見て、A君が驚いた。「よくアルバイトをする時間があるな」と。アメリカの大学生にしてみれば、アルバイトなどは考えられない。実によく勉強する。毎週金曜日に試験があるということもあるが、毎晩夜遅くまで勉強しても、それでも時間が足りないそうだ。アメリカでは、オーストラリアでもそうだが、一単位ずつお金を出して講座を買うシステムになっている。(実際にはまとめて買うが……。)そのお金は、たいてい奨学金でまかなう。だから私たちがモノを選んで買うように、彼らもまたよい講座を選んで買う。そういう意識があるから、いいかげんな講義を許さない。私も一度、オーストラリアの大学で日本語を教えていたことがある。そのとき一人の学生が私にこう聞いた。
「『は』と『が』の違いを説明してほしい」と。「私は行く」と、「私が行く」はどう違うかというのだ。
そこで私が「わからない」と答えると、その学生はこう言った。「君は、この講義でお金を受け取っているのか」と。それで私が「受け取っていない。私はボランティアだ」と言うと、「じゃあ、いい」と。だから教えるほうも必死だ。
きびしさがあってはじめて、質は高くなる。ぬるま湯につかりながら、「いい教育」はできない。
できるはずもない。しかし今まで、日本の大学教育は、そのぬるま湯につかりすぎた。教授人事も、「そこに人がいるから人事が慣例化している」(東大元教授)で、改革ということになったが、それにしても遅過ぎた。今の改革が成果を生み出すのは、さらに二〇年後、三〇年後ということになる。そのころ世界はどこまで進んでいることやら。日本はどこまで遅れていることやら。考えれば考えるほど、暗澹(たん)たる気持ちになるのは私だけではあるまい。
子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(238)
フリ勉、ダラ勉、時間ツブシ
勉強が空回りするようになると、子どもはフリ勉、ダラ勉、時間ツブシをするようになる。フリ勉というのは、いかにも勉強していますというような様子だけを見せる勉強をいう。しかしその実、何もしない。ダラ勉というのは、簡単な計算問題を一〇~三〇分もかけてするなど。あるいは描かなくてもよいようなグラフを、いつまでも描きつづけたりする。さらに時間ツブシというのは、勉強のあいまに、シャーペンの芯を出したり入れたり、ときにあちこちに落書きをしたりしながら時間をつぶすことをいう。小学校の低学年で一度、こういう症状を見せると、その修復はたいへんむずかしい。それがその子どもの勉強方法として定着してしまうからである。無理、強制が日常的につづくと、子どもはそうなるが、この段階でそれに気づく親はまずいない。「やればできるはず」「そんなはずはない」と子どもを追い立てる。その悪循環がますます子どもをして、勉強から遠ざける。
では、どうするか。一度、こういう症状を示し始めたら、あきらめる。つまりそれがその子どもの能力と思い、あきらめる。しかもその時期は早ければ早いほどよい。小学一年生でも早過ぎるということはない。……と書くと、たいてい「まだ一年生ですよ!」と言う親がいる。しかし一年生だから、あきらめる。もう少し年齢が大きくなって、自意識でコントロールできるようになると、自分で勉強に向かうようになる。しかしその前に勉強グセをつぶしてしまうと、ここに書いたように修復そのものがむずかしくなる。(あるいは不可能になる。)
が、それで終わるわけではない。さらに症状が進むと、ごまかすのがうまくなる。学校ではいつもカンニングをして、その場をごまかすようになる。しかもそれが天才的に(?)うまくなる。先生の目を盗み、隣の子どもの答などを、そのまま丸写しにしたりする。小学二年生で、このタイプの子どもは、二〇人もいれば必ず一人はいる。もうこうなると、学力が身につくことなど、望むべくもない。
要はそういう子どもにしないこと。そのためには無理、強制を避ける。動機づけ(子どもに興味をいだかせるような努力)をしっかりとしながら、達成感(やり遂げたという喜び)を感じさせな
がら、少しずつ学習に向かわせる。英語には、「火をともして、引き出す」という格言がある。家庭教育の鉄則にもなっている。それはある意味でたいへんなことだが、子どもに勉強させるのは、それくらいたいへんなことだということを、まず親が自覚すること。またその前提で、子どもの勉強を考えること。
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また次回も、よろしくご愛読ください。おかげさまで、このマガジンも、少しずつですが読者がふ
えています。これもみなさんのおかげです。ありがとうございます。
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(( MMMMM ┃よろしく! ┃
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教育改革には二つの意味があります。制度の改革と、意識の改革です。この浜松市という
地方に住んでいて、制度の改革を訴えても、まさに「犬の遠吠え」。日本は中央集権国家なのです。地方に住んでいる私たちが、それを受け入れてしまっている! 数年前に、駅前に公立の大学ができましたが、学長以下80人の教官すべて、東京からきた人です(学生課調べ)。こういうことばかりしているから、地方はいつまでたっても「地方、地方」とバカにされるのです。みなさん、意識の改革をすすめましょう。みなさんの意識が変われば、日本も変わるのです。
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アメリカの図書(読書指導)について、調べました。→http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/
→トップページ→「アメリカの読書指導」へおいでください。
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近況
29日から2週間の春休みです。まとまった休みは、この春休みと、夏休みです。この春休みのよいところは、夏休みの間と違って、旅行するにも、格安で、また行楽地がふだんよりもすいていることです。いろいろ計画があります。このマガジンは、今のところ毎週発行していますが、春休み中は、気が向いたら(失礼!)、不定期にときどき発行するつもりでいます。そのときはよろしくお願いします。皆さんの子育てでお役にたてるよう、できるだけ実用的な記事を集めました。
愛知万博、名古屋市パビリオンの答申が、去る3月25日に終わりました。
哲学者の山折先生や、解剖学の養老先生、宇宙学の松井先生、キャスターの草野さんなどにお会いできたのが、何よりも収穫でした。隣の席でいつもすばらしい意見を聞かせてくれたのが、藤井フミヤ氏でした。私にはたいへんよい経験になりました。私をのぞいて、皆さん、第一級の世界でがんばっておられる人たちでした。
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(おまけ)
子育て ONE POINT アドバイス! by はやし浩司(244)
子どもの嫉妬
嫉妬はたいへん原始的な、つまり本能に根ざす感情であるだけに、扱い方をまちがえると、その子どもの人間性そのものにまで影響を与える。「原始的」というのは、犬やネコをみればわかる。犬やネコは、一方だけをかわいがると、他方ははげしく嫉妬する。また「人間性」というのは、情緒面のみならず、精神面にも大きな影響を与えるということ。そしてそれは多くのばあい、行動となって表れる。
嫉妬が「内」にこもると、子どもはぐずったり、いじけたりする。ひがみが強くなったり、がんこになったりする。幼児のばあい、原因不明の身体の不調(発熱、下痢、嘔吐)を訴えることもある。「外」に出ると、いじめや動物への虐待となることが多い。嫉妬がからんでいるばあいには、それが相手に向けられたときには、「殺す」というところまでする。残虐かつ陰湿になるのが特徴で、容赦しないのが特徴。弟に向かって自転車で突進したケースや、弟を逆さづりにして頭から落としたケース、さらに妹の人形をバラバラにしてしまったケースや、妹をトイレに閉じ込めてしまったケースなどがある。一人、妹にお菓子と偽り、チョークを口の中に入れた女の子(小二)もいた。また動物への虐待では、飼っていたハトの背中に花火をくくりつけ、ハトを殺してしまったケース、つかまえてきたカエルを地面にたたきつけて殺してしまったケースなどがある。
ふつう子どもが理由もなく(また原因がはっきりしないまま)、ぐずったり、ふさいだりするときは、愛情問題を疑ってみる。そういうときは抱いてみるとわかる。最初は抵抗する様子を見せるかもしれないが、強引に抱き込んだりすると、そのまま静かに落ち着く。
乳幼児期は、静かで穏やかな生活を大切にし、嫉妬と闘争心の二つはいじらないようにす
る。中に、わざと子どもを嫉妬させながら、親への依存心をもたせる人がいる。一昔前の親がよく使った方法だが、依存心をもたせるという意味で、好ましくないことは言うまでもない。
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2011年12月31日土曜日
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