【今日・あれこれ】(3月26日)
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テレビに出演したことがある人なら、
みな、よく知っている。
とくに討論的な番組ではそうである。
最初にディレクターから、いろいろな
注意を受ける。
「政治的な話は避けてください」「文科省の批判は
避けてください」とか、何とか。
生放送では、とくにそうである。
今回の震災、それにつづく原発事故ニュースでも、
それを強く感ずる。
恐らく……というより100%、出演者たちは
あらかじめ、こう釘を刺されているにちがいない。
「視聴者を不安にさせるような話は避けてください」と。
あるいは「風説被害を拡大させるような発言には
注意してください」と。
その結果、「事実」が、ねじ曲げられる。
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●海外の報道
今回の原発事故について、海外の報道は、かなりきびしい。
すでに「(今回の事故は)チェルノブイリ級」という報道している国もある(フランス)。
あるいは「スイスでも放射能が観測された」という報道もある。
このままでは、福島県程度では、すまない。
……すむはずがない。
成田空港の閉鎖は、時間の問題。
いくら「成田空港は安全です」とアピールしても、成田発の飛行機が、外国では
着陸できなくなる。
その結果として、成田空港は閉鎖される。
すでに香港へ入った貨物船が、洋上で停泊を余儀なくさせられているという(23日)。
これから先、北風が吹くようになれば、東京があぶなくなる。
この静岡県もあぶなくなる。
そういう現実が、まったくわかっていない。
……で、こういうのを「風説」というらしいが、ならば聞く。
どうして政府や東京電力は、「事実」をもっと正確に公表しないのか。
ある外国のメディアはこう書いている。
「同心円状に、避難地域、屋内退避地域を決めるのは、おかしい」と。
つまり放射性物質は、同心円状に拡散するのではない。
風向きによっては、ばあいによっては、数百キロ先に放射性物質が飛ぶこともある。
つねに最悪のばあいを考え、その準備をする。
●Independent Thinker(自分で考え、自分で行動する人)
恩師の田丸謙二先生は、いつも口癖のように学生たちにこう言っている。
「せっかくいい頭をおもちなのですから、自分で考えなさい」と。
英語では、「Independent Thinker(自分で考え、自分で行動する人)」という。
今回ほど、この言葉が胸にしみたことはない。
つまり日本人は、自分で考え、自分で行動することが苦手。
田丸先生が、こんなエピソードを話してくれたことがある。
学生(東大の大学院生)に、ある問題を出したときのこと。
その学生が、田丸先生にこう聞いたという。
「この問題には、解答があるのですか?」と。
そこで田丸先生が、「さあ、わかりません」と答えると、その学生が、こう言ったという。
「解答のない問題など、出さないでほしい」と。
ここから先は、あくまでも私の推察。
今の今も、関係者による必死の作業がつづいている。
まさに命がけの作業ということになる。
それには頭がさがる。
が、その一方で、テレビに顔を出す保安院の職員や東京電力の社員には、「本気度」が
感じられない。
危機感というか、緊張感が感じられない。
いつも口にするのは、耳障りのよいニュースばかり。
「今朝はxxxxマイクロシーベルでしたが、今はxxxマイクロシーベルにさがっています」
とか、など。
さらに「被爆」したこと自体が、深刻な事故であるにもかかわらず、今朝の報道には、
こうある。
「……千葉市の放射線医学総合研究所へと転院し、入院治療を行うことになりました。全身の状態に大きな問題はなく、意識も鮮明で、自力で歩くこともできるといいます」(TBS)と。
わかりやすく言えば、私たちの「意識」は、作為的に作りあげられていく。
そのためそこに危機が迫っているにもかかわらず、それがわからなくなる。
が、しかし、これがこわい。
つまりこわいのは、風説ではなく、「ゆがめられた意識」。
日ごろから、自分で考え、自分で判断するという習慣が身についていないと、そうなる。
●脳内ストレス
ところでこんな話。
3・11の大震災以来、私はショック状態になってしまった。
今も、それがつづいている。
ものが考えられなくなってしまった。
文章を書こうとしても、頭の中でまとまらない。
言いようのない不安感。
それがザワザワと、いつも心の中で騒いでいる。
落ち着かない。
原因は、脳内ストレス(脳ストレス)。
同じストレスでも、それに敏感に反応する人と、そうでない人がいる。
私などは、もともとうつ気質だから、ストレスに弱い。
何かあると、すぐ考えこんでしまう。
悶々としてしまう。
結果として、神経疲労を起こしやすい。
そこで調べてみると、こんなことがわかった。
何かのストレスを受けると、免疫細胞が、サイトカインという物質を放出し、
それが脳内ストレスを、増大させるという。
それと同じような反応が、コルチゾール濃度の上昇など、うつ病患者にもみられる
という(新井康允氏)。
わかりやすく言えば、健康な人がストレスを受けた脳内の状態と、うつ病患者の脳内の状態は、よく似ているということ。
つまりもともとうつ病の人は、それだけストレスの影響をモロに受けやすいということ。
今回のばあいは、深刻な災害が外因となり、私をうつ状態にした。
が、これは私たちの年代の者にとっては、たいへん危険なことでもある。
言うまでなく、免疫機能が低下すれば、たとえばがんなどの発生率が、きわめて高くなる。
●茶化す
そこで私のばあい、テレビの報道はなるだけ見ないようにした。
震災から数日間は、一日中、報道番組を見ていた。
自分でも、どんどんと気がヘンになっていくのが、よくわかった。
何を考えても、ユーウツ。
人を恨んだり、怒ったりした。
で、それをやめた。
「非国民」と思われるかもしれないが、あえて遠ざかった。
あえて映画館にも足を運んだ。
あえて新しいデジカメも買った。
気分は重いが、その重さに敗れたら、自分自身がどうかなってしまう。
それでそうした。
が、ことは深刻になる一方。
それは先に書いたとおり。
そこでつぎに私がとった方法は、茶化すこと。
自分をごまかすこと。
言うなればブラック・ジョークということになる。
それを口にした。
「福島原発温泉(核燃料プール)、無料で入浴できます」とか、など(ごめん!)。
(もちろん原発事故を喜んでいるというわけではない。
自分の心を防衛するため、やむをえず、そうした。
どうか誤解のないように!)
●正確な情報
どうであるにせよ、私たち(=私)がほしいのは正確な情報。
たとえば海水の汚染度にしても、示されたのは、福島原発の南側の海のデータ。
海流は南から北へ流れる。
そのため南側のデータは、意味がない。
つまり汚染度が低いのは当たり前。
どうして北側の海のデータは公表されないのか。
また放射能の測定値にしても、どこか行き当たりばったり。
観測時刻もバラバラ。
たとえば1キロ四方ごとに定点を決め、どうしてそこで連続的に観測しないのか。
またそういう装置や観測システムを、構築しないのか。
さらに気になるのは、今回被爆した作業員にしても、報道によれば、「下請け企業の
作業員」ということらしい。
どうして東京電力の職員や社員ではないのか。
研究員ではないのか。
あるいは東京電力の社員は、何をしているのか?
ことの重大さがわかっているのか?
本当はそうではないと信じたいが、しかし報道などでかいま見る社員の姿を見ていると、
まるで(よそごと)、(他人ごと)。
当初は「想定外の……」という言葉を、連発した。
「やるべきことはします」「言われたことはします」「しかしそれ以上のことはしません」
と。
その上で、今度は「計画停電?」。
「東京電力を追いつめれば、あなたたちだって困りますよ」と。
何かしら私たち国民のほうが、逆に恫喝されているような気分。
その正確な情報さえあれば、私たちは(私は)、自分で判断する。
まだ本気ではないと思うが、ワイフは、最近、こう言う。
「2、3年、オーストラリアで過ごしてきましょうよ」と。
いざとなったら、私はそうする。
最後の最後には、そうする。
そういうふうに考えられるようになる。
Hiroshi Hayashi+++++++March. 2011++++++はやし浩司・林浩司
2011年3月26日土曜日
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