2010年11月3日水曜日

*Beyond this Universe

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子育て最前線の育児論byはやし浩司   10年 11月 3日
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メルマガ(6万3000誌)の中で、2008年度、メルマガ・オブ・ザ・イヤーに
選ばれました!

【1】(子育てのこと)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

●ある母親からの相談

【Y県SD市のDさん(母親)より、はやし浩司へ】(一部改変)

こんにちは、はじめましてSD市に住んでいます、Dといいます。
相談するのは、小学5年生の長男についてです。
下に小3の二男と、1歳の三男がいます。

ずっとその長男について、悩んでいました。
親や友人に相談もしていたのですが、良くなることがなくどうしたらいいのかわからなく
なってしまいました。

先生のこのページを見てまさしく、ドラ息子に当てはまります。

まず、(1)に今年の先生から授業中手いたずらが多い、忘れ物が多い、机の中が汚い、み
んなで音楽の授業をしていても歌わないと指摘されました。去年の運動会でみんなで踊る
のに踊っていませんでした。それまではやって見せてくれていたの、何があったのかどう
したのかわかりません。

(2)人の話が聞けない、自分の意見を上手く話せない。
(せっかちで人が話している間に割り込んでしまい最後まで聞けません。話すのも早口で
よく冗談でアナウンサーみたいと言うくらい、早口になってしまいます。)

(3)マジギャザに今はまっていて漫画もせりふなど覚えてしまうほど読んでいて、ゲー
ムもマジギャザ。ゲームやりたさに宿題は学校でやったと嘘をついていました。(もしかし
て嘘ついてるかなとは思っていましたが信じようと思ってほっといたんです。先日、先生
に言われ嘘とわかりました。)

(4)みんなといっしょのゲームができない。(負けず嫌いで負けると泣いたりやる気をな
くしたりする)良くないと思い、鍛えさせる様なつもりでボーリングに連れて行ったりす
るのですが、良い方法に向かっているのかわかりません。

(5)小さい頃から絵を描くのが好きなんですが、この2年くらい家では描かなくなりま
した。わけを聞くと弟が下手だとか言うから。二男はよく絵を描いています。二男だけ褒
めないように私も主人も心がけているのですが。逆にうちで書いていた頃はよく褒めてい
たくらいです。

(6)食事中、毎回お茶碗を持ってと言わないといけない。(小学校の2年生くらいから犬
食いになったり、持たなくなったりとして注意が始まりました。犬食いはなくなりました
が落ち着きがありません。)

周りに関心がありません。みんなと同じようにというのができないのです。食事のマナー
だったり学校での歌や練習です。友達に言われたりして恥ずかしいとかそのうち思う年頃
だと思うのですが、その気配がありません(鼻くそもほじります)幼いと主人や母が言い
ます。

食事のときくらいしか子供とゆっくり話ができないので、テレビはいつもつけていません。
学校など話をしようとしても気が付くと、兄弟でマジギャザの話になってしまいがちです。
主人は不規則な仕事をしているため、ほとんどが私と子供たちの生活です。休みで主人が
いるとあまりのできなさに、説教の一日になってしまうこともしばしばあります。

三男が生まれる前は仕事もしていたりして、子育てと家事と仕事でつねにイライラしてま
した。小さい頃からそんな私のイライラを子供たちにぶつけていた気がします。
長男は悪くないに私のせいで主人や学校の先生に責められています。どうしたらいいのか
分からなくなってしまいました。何からどうしたらいいのでしょうか? 教えてください。
よろしくお願い致します。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

【はやし浩司より、Dさんへ】

 一読して、ウ~ンと、うなってしまいました。
いくつかの問題が複合して重なり、それが長い時間をかけて、こじれてしまっている。
しかしもう小学5年生。
どこからどう話すべきか……。

(1)長男を、D君とします。 
あなたとD君のリズムは、D君を妊娠したときから、合っていない。
不安先行型、心配先行型、それに恐らく愛情問題(夫婦間の問題)などがあり、あなたは
D君をいつも否定的態度で育ててきました。
今もそれがつづいています。
あなたはD君を愛することができないでいる。
そういう自分をごまかすために、「問題はD君にある」と、問題の核心をすりかえてしまっ
ている。
が、私はあなた自身に、問題があると思います。

 結婚当初の夫との不和もあったかもしれません。
家庭問題もあったかもしれません。
全幅にD君を、愛情でくるんで迎えたというよりは、何かのわだかまりやこだわりをその
時点でもってしまった。
それが今につづいているということです。
あなたはD君の悪い面ばかりが目につき、またそれを問題にして勝手に騒いでいる。
「勝手に」です。

D君にとって、今の家庭はさぞかし、居心地の悪い家庭でしょうね。
気楽にハナクソもほれない、気楽に食事もできない、テレビを見ることも、ゲームをする
こともできない。
私がD君なら、「うるさい!」「バカヤロー!」と叫んで、家を出ていくでしょうね。
あるいはそうなる可能性が高い。

(2)D君には、あなたの知らない、何かの情緒的問題(発達障害)があったものと思わ
れます。
今は年齢的にそれが改善していると思われます。
本来なら、3~5歳期に、発達相談センターのようなところで、相談すべきだったかもし
れません。
情報が不足していますから、ここではこれ以上のことは書けません。
しかし相談していれば、何かの診断名がくだされていたはずです。
つまり本人の意思では、コントロールできない問題を、D君はもっていたということです。
いわんや親が説教したり、叱ったりしたくらいでは、なおるはずもない。
むしろそんなことを繰り返せば、症状はこじれてしまいます。

 それに気づかないまま、あるいはあえて目をそむけたまま、無理に無理を重ねてきた。
症状をこじらせてしまった。
メールを読んで、そんな印象をもちました。

(3)あなた自身の生まれ育った環境にも、問題があります。
あなたは「男の子」というものが、どういうものか、まったくわかっていない。
小学5年生にもなって、学校であったことを親に話す子どもは、いません。
(あるいはD君は、あなたとは話をしたくない。)
過干渉と過関心。
それが混然となって、あなたは自分が理想とする子どもに、D君を作ろうとしています。
もしあなたに自然な親像、あるいは「男子観」があれば、もう少し自然な子育てができる
はずです。
つまりそれができないということは、あなた自身が生まれ育った環境に、問題があったと
いうことです。
たとえばあなたの父親が、権威主義的であったとか、あなたに男の兄弟がいなかったとか
……。(これは私の推測です。)

(4)D君は、その一方で、愛情飢餓状態にあります。
二男との年齢差が小さいので、逆算するとD君が2歳前後のとき、二男が生まれたことに
なります。
今の状態からすると、赤ちゃん返りもあったかもしれません。
あなたはD君の愛情飢餓に気づくこともないまま、「お兄ちゃんだから」と、上下意識でも
って、D君を抑え込んでしまった。
その可能性もあります。
だから今、思春期前夜の反抗期にかかり、無意識のうちにも、あなたの求める理想的な子
どもとは別の子どもを演じている。
「どうせ嫌われているのだから……」とです。
あなたにはD君のそんな悲しい声が聞こえないかもしれませんね。
おかしな親意識ばかりが強くて……。

 子どものウソを知ってどうなりますか。
どうしたいですか。
そんなウソが、どうして悪いのですか。
それともあなたは、そういうウソをついたことがないとでもいうのですか。
どうして笑ってすませないのですか。
言い替えると、自分の子育ての失敗を、子どもの責任にしてしまっている!

「子どもは家族の代表」と考えてください。
子どもに何か問題があったら、反省すべきは、まずあなた自身です。
自分のどこにどのような問題があったかを知る。
子どもというのは、あくまでも、「代表」、つまり「結果」です。

(5)問題はさらにこじれます。
今、あなたは「長男は最悪」と思っているかもしれません。
しかしこうした問題には、さらに二番底、三番底があります。
「まだ以前の状態のほうがよかった……」ということを、周期的に繰り返しながら、子ど
もは二番底、三番底に落ちていきます。

 だから「直そう」と思わないこと、
「今の状態をこれ以上悪くしないことだけ」を考えて対処します。
ボーリングへときどき連れていったくらいで、性格が直るはずもないでしょう。
5年生ですよ。
「鍛える」とか、「鍛えない」とか、そういう問題ではありません。
0~2歳まで、さんざん、甘やかしておいて、その結果、今の状態になり、あわてて「鍛
える」?
はっきり言いますが、もう直りません。
あきらめなさい。
あきらめて、「うちの子は、こういう子」と居直りなさい。
そこを原点にして、D君をもう一度、見つめなおしてあげてください。
そしてあなたは、こう言うのです。

「あなたはよくがんばっているわね」と。

あとは『許して、忘れます』。
(「はやし浩司、許して 忘れる」で原稿を検索してみてください。)

 あなたが「何とかしよう」「何とかなってほしい」とがんばればがんばるほど、あなたに
安穏たる日々はやってこないでしょう。
あなたはそれでよいとしても、かわいそうなのは、D君です。
私はあなたより、D君のほうに同情してしまいます。
もしD君にその力があるなら、きっと逆に、私にこんな相談をしてくるでしょうね。

「ぼくのママは、うるさくてたまりません。
ゲームも自由にできません。
宿題をやったかと、毎日聞きます。
で、ウソを言いました。
が、それを先生から聞き、また説教です。
家に帰るたびに説教です。
おまけにいつもできのいい弟と比較され、『あんたはダメな子』と決めつけてきます。
やりたくもないボーリングをさせられ、何をしても、おもしろくありません。
歌も、踊りもへたです。
家族には、幼稚ぽいとよく言われます。
食事のときくらい、テレビを見たいです。
が、あれこれと勉強の話ばかり……。
ぼくはどうしたらいいでしょうか」と。

(6)あなたはイライラしていた……。
理由は何であれ、もしそこまで気がついているなら、「これが運命」と受け入れるしかない
ですよ。
人間には無数の糸がからんでいます。
その糸が、ときとして自分を思わぬ方向へと導いていってしまうことがあります。
その運命ですが、逆らえば、キバをむいてあなたに襲いかかってきます。
しかし受け入れてしまえば、向こうからシッポを巻いて逃げていきます。

 私が今、あなたにできるアドバイスは、こうです。
運命を受け入れなさい、です。
あなたの子どもは、今、そこにいる子どもです。
これ以上、どうにもなりません。
あなたがもっている理想像など、クソ食らえと、捨てなさい。
(あるいはどんな子になれば、あなたは満足するのですか?)

「私のできが悪いから、子どものできも悪い」と、認めればよいのです。
気が楽になりますよ。
そしてここが重要ですが、あなたの気が楽になれば、D君もまた気が楽になるということ
です。
そのときD君の顔にも、笑顔が戻ってくるでしょう。

 たとえばゲームについても、頭から「悪いこと」と決めつけないで、たまにはあなたも
いっしょにゲームをしてみたらよいのです。
攻略本がたくさん出ていますから、一冊くらい買ってきて、読みなさい。
子どもの世界に、あなたが入っていくのです。
そうすれば、子どものほうから心を開いてくれます。
よかったら、私の「BW公開教室」をのぞいてみてください。
(http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/より)

(7)D君が、幼児もしくは小学1~2年生なら、別のアドバイスができたと思います。
しかし5年生です。
この時期はあっという間にすぎ、子どもはおとなになっていきます。
……というより、すでに半分、おとなです。
(おそらくあなたの異常な過関心と過干渉で、人格の核(コア)形成が遅れている可能性
もあります。幼稚ぽく見えるのは、そのためと考えてください。)

 あなたのできることは、もうほとんどないということです。
もしあるとすれば、先にも書いたように、D君をそういう子どもと認め(=人格を認め)、
そこを原点として再出発することくらいです。

 この先、とくに親子の絆づくりが大切なときがやってきます。
ここでキレツを入れると、そのまま「断絶」ということにもなりかねません。
もしそうなったら、それこそ家庭教育の大失敗ということになります。
それだけは避けてください。

 そのためにも、D君を信ずる。
信ずるということは、疑わないということです。
これはあなた自身との闘いです。
今のあなたにはたいへんむずかしいことかもしれませんが、……というのも、すでに10
年以上も確執がつづいていますから……、がんばってするしかないでしょう。

 よい面を見たら、ほめる。
よい面だけをさがして、それをほめる。
それを繰り返してください。
アラさがしは、タブーですよ!

歌や踊りのことは、先生に任せておけばよいでしょう。
あなたまでカリカリしてはいけません。
D君はますます行き場をなくし、やがて非行(二番底)へと進むかもしれません。

 ずいぶんときびしいことを書きましたが、参考にしてください。
今がまさに正念場です。


Hiroshi Hayashi+++++++Oct. 2010++++++はやし浩司・林 浩司

【2】(特集)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

【湯谷(ゆや)温泉・湯谷観光ホテル泉山閣(せんざんかく)に一泊】

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今日は、湯谷温泉に一泊。
浜松市内から、約45キロ。
車で1時間半と少し。
愛知県と静岡県の県境にある。

以前、電車で来たことがある。
そのときの印象があまりよくなかった。
そのこともあって、期待半分、
心配半分。

しかし来てみて、よかった!
すばらしかった!
泊まった旅館は、「湯谷観光ホテル泉山閣」。
建物は古いが、あちこちがしっかりと
補修してあった。

+++++++++++++++++++

●湯谷温泉(ゆやおんせん)

 自分に合った温泉をさがすのは、むずかしい。
自分に合った温泉に出会うのは、さらにむずかしい。
が、この温泉は、鍵と鍵穴がしっかりと合うように、私の心に合った。
うれしかった。
ホテルのロビーへ入ったとたん、ガチリと、それがわかった。

 私は長良川という川のほとりで、生まれ育った。
実家は田舎の街中にあったが、春夏秋冬、休みになると、母の郷里で過ごした。
現在は関市に編入されている。
岐阜県関市板取村である。
その実家の前を、日本一の清流と言われている板取川(長良川の支流)が流れている。
つまり私は生まれも、育ちも「川・人間」。
川のほとりにある旅館・・・ということで、私の心をしっかりと捉えた。

●板敷川(いたじきがわ)

 貸し切りの露天風呂が3つ。
24時間入れる中浴場(湯船が2つ)。
窓の外には、通称「板敷川(いたしきがわ)」という川が流れている。
まるで板のような、平らな岩盤が、連なって川底を作っている。

正式の名前は、「宇連川(うれがわ)」。
愛知県を流れる豊川(とよがわ)の支流である。
窓の外は全面、緑の山々。
手前に赤茶色の岩々にはさまれて、コバルトブルー色の川が流れている。
旅館に着くと、私とワイフは、すぐ貸し切りの露天風呂へと入った。
目の下すぐを、板式川が流れていた。
おまけに、カワセミ!
セキレイ!
オシドリ(?)らしき鳥。
カワセミを見るのは、40年ぶり。

 ワーッと声をあげたくなるほど、その景色が心になじんだ。
星はもちろん5つ星の、★★★★★。

(ただし、この評価は、きわめて個人的なもの。
客観的な評価とは言いがたい。
ワイフなどは、浜松生まれの浜松育ち。
「川」には縁のない世界で生きてきた。
だからワイフは、こう言った。
「私はあなたほどではないわ・・・」と。)

●泉山閣(せんざんかく)

 今年だけでも、いろいろな旅館やホテルに泊まった。
西浦温泉の銀波荘を皮切りに、三河湾沿いの温泉地に、4か所、泊まった。
その間に、伊良湖岬、浜名湖周辺の旅館やホテルにも泊まった。
伊豆の旅館にもいくつか泊まった。
熱川、伊東、下田……。

 どこもよかった。
しかしこの泉山閣は、格別。
先ほども書いたが、建物は、古い。
部屋も7~8畳。
補修、改修のあとが、あちこちに残っている。
それが何とも言えない懐かしさというか、独特の風情をかもし出している。

子どものころ、泊まった母の実家。
学生のころ、寝泊りした金沢の下宿。

 旅館やホテルは、建物では決まらない。
サービスのよさでも決まらない。
料理も大切だが、それ以上に重要なのは、心が休まるかどうか。
ほっとするような温もりを覚えるかどうか。
それで決まる。

 私は久々に・・・というか、今年はじめて、この泉山閣に泊まって、
その温もりを覚えた。
(これも私という人間の、きわめて個人的な評価。)

●本気

 旅館やホテルを選ぶとき、最近の私たちはインターネットを使う。
そのこともあって、ハズレが、ほとんどない。
というのも、旅館やホテルのよさは、本気度で決まる。
つまりやる気プラス、活気。
本気度のある旅館やホテルは、泊まっても楽しい。

 で、インターネットに顔を出してくるような旅館やホテルは、それだけ
本気ということになる。
もともとやる気のない旅館やホテルは、世の中の流れに、疎(うと)い。
疎いから、あとは悪循環の中で、評判を落としていく。
一方、やる気のある旅館やホテルは、前向き。
それが両者の「差」を広げていく。

 ただ全国的に、日本の旅館やホテルは、元気がない。
若い人たちを中心に、余暇の過ごし方が大きく変化してきた。
加えて今では、日本のどこかに泊まるよりも、外国に泊まったほうが、
安くあがる。
時代が、変わった。

●ぜいたく

 ところで団塊の世代は、粗雑にできている。
たくましく、荒波にも強い。
そのせいか、「ぜいたく」という言葉に、ある種の抵抗感を覚える。
ぜいたくをするたびに、罪悪感を覚えることもある。
あるいはぜいたくをしている人を見ると、怒りを覚えることもある。
私の息子たちが、そうだった。

 いつだったか、息子たちがスキーに出かけたときのこと。
息子たちは手ぶらで出かけ、手ぶらで帰ってきた。
そこで私が「荷物は?」と聞くと、「宅配便で送った」と。

 これには驚いた。
とたん怒りが、充満した。
「何という、ぜいたくなことを!」と。

 もっともあとになって友人に聞くと、その友人は、こう言った。
「最近の若い人たちはみなそうだよ」と
それを聞き、半分、安心し、半分、あきれた。
私たちの年代の人間は、そういう人間である。

●夕食

 夕食は6時からだった。
会席料理。
石狩鍋に、鮎の塩焼き・・・などなど。
私はこういうところへ来ると、いつも食べ過ぎてしまう。
で、たぶん明日も、1~2キロ、体重オーバー。

 自分でもバカだと思う。
「食べなければ損なのか、それとも食べたら損(そこ)ねるのか」と問いつつ、
結局は食べてしまう。
前頭連合野の理性の力が弱い。
誘惑に弱い。
欲望のまま生きている。
こういうところへ来ると、それがよくわかる。

●女 

 もうひとつこうした温泉へ来ると、変わった経験をする。
それはワイフが、「女」に見えること。
ふだんは空気のような存在で、まるで女を感じない。
が、こうした温泉では、ワイフが「女」に見える。
ときどき「お前も女だったんだな」と言うことがある。

 そういう意味でも、つまり夫婦円満のためにも、温泉に泊まることは
よいことだ。・・・と思う。

 私たち夫婦は、仲がよいのか、悪いのか、よくわからない。
周期的に喧嘩し、1、2日もすると、またもとに戻る。
たいていは私が家を飛び出す。
これを毎月のように繰り返している。

●団塊の世代

 つまり私たちの世代は、豪華すぎても落ち着かない。
しかし貧弱すぎてもいけない。
ほどほどというか、その許容範囲が割りと狭い。
だからといって泉山閣がどうこうと書いているのではない。
由緒ある旅館であることには、ちがいない。
館内のあちこちに、伝統の重みをズシリと感ずる。
また、チェックインすると同時に、女将自身が、緑茶を立ててくれた。
廊下の角には、生け花がしつらえてあった。
そういった小さな心づかいが、うれしい。

 だから・・・。
「川」に縁の深い人。
こぢんまりとした旅館で、のんびりしたい人。
おいしい料理を食べたい人。
貸し切りの露天風呂につかりたい人。
そして浜松市、豊橋市周辺の人。
プラス団塊の世代前後の人。

 こんな近くに、こんなすばらしい旅館があることを再認識してみたら、
どうだろうか。
私たちは夏も終わり、紅葉の季節にはまだという、言うなればシーズン
オフに、泉山閣に泊まった。
ぞれぞれの季節に泊まれば、もっとすばらしいかもしれない。

●尖閣諸島

 ところで今朝、私は「11次元」について書いた。
そのとき、別の心でこう思った。
まったく話が変わるが、許してほしい。
こうした旅行先では、脳みそがどうしてもハイになる。
そのためつぎからつぎへといろいろな思いが、脳みその表面に飛来しては消える。

 で、この宇宙には、中田島砂丘にある砂粒の数以上の、銀河がある。星ではない。
銀河である。
それぞれの銀河に、やはり中田島砂丘の砂粒以上の星がある。
地球は星ではない。
太陽くらいになって、はじめて「星」と呼ばれる。

 そうした星々が、大宇宙に散らばっている。
この地球は、その大宇宙の中では、チリにもならないチリ。
そのチリの一角で、これまたチリのような島の領有権を争って、
日本と中国が対立している。

 考えてみれば、これほど愚かな対立はない。
しかも、だ。
もし大きな彗星、もしくは隕石が地球に衝突したら、最後。
一瞬にして、人間どころか、あらゆる生物が蒸発する。
そういう可能性がないわけではない。
ないというより、いつそういう衝突が起きてもおかしくない。

 よく地球に向かってくる隕石を核兵器で爆破するというような映画がある。
しかし実際には、不可能。
隕石の大きさ、種類、速度にもよる。
とくに種類が問題。
ガスのような状態の隕石もあれば、鉄の塊(かたまり)のような隕石もある。
地球から遠くで捉えて、進む方向を変えるというのが、もっとも実現性
の高い方法ということになる。

 しかし中には自らガスを噴き出しながら、回転したり、方向を変えたり
するのもある。
つまり今、私たち人類が、かろうじて無事でいられるのは、偶然中の偶然に
過ぎない。
アインシュタインの言葉を借りるなら、奇跡中の奇跡。
どうしてそういう事実を前に、「尖閣諸島」?

●「11次元」(2)

 現在、超重力の世界も含めると、11次元の世界まで考えられるという。
そのうちのたまたま4つの次元が、現在私たちが住んでいる、この世界
ということになる。

 11次元(実際には、もっとあるかもしれない)のうち、別の次元で
構成された宇宙もあるかもしれない。
あるいは線だけの世界(2次元)、さらには時間が止まったままの世界
(3次元)なども考えられる。
さらに時間が逆行する世界も考えられる。
人間のような知的生物がすめる環境かどうかは別として、11次元すべてを
含む世界も考えられる。

 この宇宙も、実に多様性をもった世界ということになる。
しかも、だ。
そうした宇宙が、無限大のその無限大の数だけある(?)。
数に限りをつけるほうが、おかしい。
そうした宇宙が、あちこちで現れては消える。
あたかもバブルのように・・・。

 書き忘れたが、この大宇宙もやがて消滅する。
すべての星々は燃え尽き、素粒子さえも分解して消える。
「無」から生まれた大宇宙は、再び「無」に戻る。

●現実の世界

 その一方で、私たちは光と分子の織りなす世界で、それだけがすべてと
思い込んで生きている。
その姿は、水槽の中で生きている熱帯魚のようなもの。
熱帯魚が宇宙の存在を知ることがないように、人間もまた宇宙の存在を
知ることはない。
ごく一部の人たちを除いて・・・。

 で、問題は、どうすればそのごく一部の人たちの仲間になれるかということ。
せっかくこの世に生まれたのだから、それを知りたい。
知るだけでよい。
自分が科学者になりたいとか、そういうことではない。
その時間もないし、脳みその働きも、かなり鈍ってきた。
「今さら・・・」という気持ちのほうが、先に立ってしまう。
今さら、自分で新しいことを知るのは無理。

 ワイフと2人で、ロビーの外の景色を見ながら、そんなことを考えた。

●旅行

 旅行の話をつづける。

 実のところ、私は若いときは、ほとんど旅行などしなかった。
息子たちをゾロゾロと連れて歩くだけで、疲れてしまった。
それによく偏頭痛に悩まされた。
この病気は、「さあ、今日から休みだ」というその日の朝に、よく発病した。
やっかいで、うとましい病気だった。
が、今はすばらしい薬がある。
それに前兆現象をうまく捉えることができるようになった。
その段階で、薬を調整してのむ。

 で、今になってこう思う。
「もっと旅行をしておけばよかった」と。

 ただ外国旅行は苦手。
飛行機事故にあってからは、回数がぐんと減った。
それまでは毎週のように、世界中を飛び回っていた。
飛行機には乗れるが、行った先で不眠症になってしまう。
それがつらい。

●露天風呂

 夕食後、しばらくしてからまた露天風呂に入ってきた。
夜の川は幻想的。
川の中州が、旅館の光を反射して、白く光っていた。
石英か何か、そういった種類の石が多いのだろう。

 それをぼんやりと見ながら、再び、「ここはいいところだ」とワイフに言った。
川海苔の匂い。
冷気を含んだ、湿った風。
それに森の匂いがブレンドされ、湯から出た体を包む。
遠い昔、つまり子どものころ。
私は子どもながらに、川の中で温泉に入ることを想像した。
どこかにそういう温泉があると、たぶん、祖父か祖母から聞いた。
それでそう思った?

 その夢が、今日、実現した。

●おやすみ
 
 ワイフは今、寝支度をしている。
私も眠い。
今朝は、午前9時半に人と会う約束。
それはすぐ終わったが、そのあと日課プラス、仕事もろもろ。
いつもは午後の1時前後に昼寝をするが、それができなかった。

 そうそうGOOD NEWS!

 長男が断煙している。
今日でもう6日目になる。
長男がタバコを吸い始める前まで、私は禁煙運動を積極的にしていた。
が、長男がタバコを吸っていると知り、それをやめた。
以来、若い人たちがタバコを吸っているのを見かけると、個別に、説教を
繰り返してきた。

 10年ほど前、肺がんで友人が死んだ。
若いときからかなりのヘビースモーカーで、それが原因と言っても、だれも
疑わなかった。
その友人はまさに地獄の苦しみを味わった。
奥さんの話では、それが2年以上もつづいた。
肺を切ったときには、1リットル近い、タールのような血が出たという。
その話を、若い人たちにいつもする。

 もし長男がタバコをやめたら、こんなすばらしいNEWSはない。
久々に、胸の中がスカッとした。
また禁煙運動を再開できる。

 では、今日もおしまい。
忙しい一日だった。
明日もがんばろう。
なお大浴場は、24時間、入れるとか。
夜中に目が覚めたら、入ってみよう。
いや、その前に、(つまりこれから)、睡眠導入剤をのもう。
今夜はぐっすりと眠れそう。

 みなさん、おやすみ。

●鳶(とんび)の餌付け

 泉山閣の名物(?)は、「トンビの餌付け」。
毎朝、8時40分に、ホテルの従業員の人が、ベランダから空を舞うトンビに
餌をまく。
餌は、鳥の皮。
豊橋の養鶏場から冷凍で届けてもらった鳥の皮を、トンビにめがけて投げる。
それをトンビが競って食べる。

 なお、「鳶(とび)」と書くが、このあたりでも、「トンビ」という。
従業員の人が、「昔、三橋道也という歌手が、『♪・・・トンビがクルリと
輪を描いた・・・」と歌いましてね」と話してくれた。


【3】(近ごろ、あれこれ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

●携帯電話症候群

 短い言葉で、グサリと相手を突き刺す。
若い人たちの間で、そんな言い方がふえている。
たとえば私のBLOGや、YOUTUBEへのコメントでも、そうした言い方が目立つ。
今日も、あった。
「ケチとため込み屋」について書いたBLOGに、たった一言、こうあった。
「だれのこと?」と。

 いろいろなふうに解釈できる。
なぞかけ言葉のようですらある。
投稿者は、Jxxxx310とあった。
そこで「Jxxxx310」を、検索してみると、あるロックグループ
の1人ということがわかった。

(こういうところもインターネットのすごいところ。
本人は匿名を使い、自分がだれかわからないようにしているつもりらしい。
しかし同じ匿名をあちこちで使えば、どこかでその人物とつながっていく。
それをたどれば、その人物と特定できてしまう。)

 少し前は、こんなのもあった。
「人生」について書いた原稿に対して、「ごちそう様」と。

 ほかにもいろいろある。
しかし全体として、文章になっていない。
あるいはまともな文章が書けない?
時間がない?
めんどう?
それはわかるが、この先、こうした傾向は強くなることはあっても、弱くなることはない。
私はこうした現象を、「携帯電話症候群」と呼んでいる。
(携帯電話だけが原因とは特定できないが・・・。)
携帯電話でメールをやり取りするときは、できるだけ短文でそれをする。
言葉を縮めることもある。

が、相手と気心が通じているときは、それでよい。
そうでないときは、そうでない。
読んだほうはそのときの自分の気持ちで、それを読む。
たとえば「気取りバカ!」というコメントがあったとする。
相手がわかっていれば、まだよい。
それがわからないと、不気味ささえ覚える。

 さて冒頭に書いた「だれのこと?」。
「お前は自分のことをかいているんじゃないの?」とも解釈できる。
あるいは「勝手にオレのことを書きやがって!」とも解釈できる。
Jxxxx310という人は、自分のことを書かれたと思ったのかもしれない。
しかし私は、もちろんその人物とは一面識もない。
それを確認したあと、そのコメントは、削除した。
つまりその前の段階では、「ひょっとしたら知人のだれかを、傷つけてしまった
かもしれない」と思った。
もしそうなら、謝罪しなければならない。
(謝罪と言うより、弁解?)
「ここに書いた人は、あなたのことではありません。
誤解です」と。

・・・ということで、日本語が、ベーシックな部分で、大きく変化しつつある。
それがよいことかどうかという議論をしても、意味はない。
言葉というのは、その時代、時代の人たちが創りあげていく。
変化していく。
携帯電話症候群というのも、この先、いろいろな形で、日本の社会を変えていくだろう。
日本語の変化は、その一部にすぎない。

●温泉論

 このところ温泉に入る機会がふえた。
月に2、3回は、どこかの温泉に一泊するようにしている。
気分転換というより、ボケ防止策。
これも老人現象(老化現象ではなく、「老人現象」)。
若いころは、「温泉」と聞いただけで、どこかジジ臭く感じた。
が、今は、それが楽しみ。

 宿を選ぶ。
それが楽しい。
宿に向かう。
それも楽しい。
もちろん温泉につかるのも、楽しい。

 で、その温泉に行くたびにこう思う。
「もっと若い人たちが来られるようにするには、どうしたらいいか」と。
いらぬ節介だが、今は、どこへ行っても老人ばかり。
が、これでは温泉に明日はない。

 そこでワイフに相談すると、(相談するような話でもないが)、ワイフはこう言った。
「若い人たちは遊ぶのが目的だから、近くに遊ぶところがあればいいわね」と。
つまり旅館やホテルに泊まるのは、あくまでも手段であって、目的ではない、と。

 ナルホド!

 私にとっては、旅館は、泊まるのが目的。
ホテルであっても、あえて和室を求める。
たいていどこの旅館にも洋室と和室が用意してある。
和室のほうが割高になっている。
が、洋室では、どうも落ち着かない。
ゴロンと横になって・・・ということができない。
だから和室を選ぶ。

 となると、これからの旅館やホテルは、年配者を念頭において、経営を
考えたほうがよい。
(すでにそうしているのだろうが・・・。)
少し前、寸又峡(すまたきょう)にある、旅館に泊まった。
NHKのハイビジョン放送でも紹介されたことのある由緒ある旅館だった。
その旅館のばあい、一室が昭和20年代の博物館のようになっていた。
私はそれを見て、たまらないほどの懐かしさを覚えた。
そういった配慮は、これから先、もっと必要になるかもしれない。

・・・ということで、今日も始まった
10月6日、午前6時18分。
昨夜遅くこの山荘にやってきた。
中部電力の担当者と、会う約束になっている。
このところ電線がサルの遊び場になっている。
その対策を話し合う。

Hiroshi Hayashi++++++Oct 2010++++++はやし浩司(林浩司)

【11次元の世界】

●超次元

++++++++++++++++++

昨夜、山荘へ来る前、コンビニで、
「本当は怖い宇宙」という本を買った
(イースト・プレス・堀江純監修)。
1時間ほどかけ、一気に読んだ。
おもしろかった。
その本を読み終えたとき、どういうわけか、
孫の誠司を思い出した。

+++++++++++++++++

●誠司

 私のHPや、BW教室のコマーシャルに、孫の誠司の写真を使っている。
HPを開いたころ、誠司が生まれた。
それまでも遊びであれこれしていたが、誠司の誕生がきっかけになった。
当初は、誠司の写真集(アルバム)のようなものにするつもりだった。

 その誠司の父親、つまり私の二男は、現在、インディアナ州にある、
インディアナ州立大学で、コンピューターの技師をしている。
何やらたいへんなことをしているらしい。

●CERN

 ヨーロッパ(スイス)に、欧州原子核研究所(CERN)というのがある。
2008年9月に運転を開始したCERNの、「大型ハドロン衝突型加速器(LHC)」
は、周囲が27キロにもなる世界最大の粒子加速器という。

 二男はそこから出てくるデータをコンピューターで処理している。
が、何しろその量が膨大らしい。
「大型スパコンでも、どうしようもない」(二男)と。
そこで二男は、何人かの技術者と協力し、全世界の数十万台にもおよぶ
中型コンピューターをつないで、その処理を行っている。
つまりそのソフト開発に携わっている。

 どうしてスイスのCERNのデータを、アメリカで?、と思う人も
多いかもしれない。
私もそう思った。
が、二男は、こう教えてくれた。
「今ではそうしたデータは、すべて通信衛星を介して、リアルタイムに、
インディアナ大学に届くようになっている」と。
仲間の技術者にしても、ニューヨークとラスベガスに住んでいる、とも。
「不便はないのか?」と聞くと、「テレビ電話で仕事をしているよ」と。

 インディアナ州立大学といっても、端から端まで車で2時間もかかるという。
日本人の私たちには、想像もつかない、広大なキャンパスを誇る。

●ブラックホール

 話は少し飛躍するが、CERNでは、ブラックホールを作り出すことも可能
という。
「きわめて小さなブラックホールだから、問題はない」ということらしいが、
「へたをすれば、そのままこの地球のみならず、太陽系がそのまま消滅して
しまうかもしれない」と、警告を発している科学者もいる。
瞬時にブラックホールに飲み込まれてしまうから、私たちがそれに気づくことはない。
パッと消える・・・というより、その「パッ」もわからないまま、地球もろとも
消滅する。
考えてみれば、これほど恐ろしい話はない。

●異次元の世界 

 私たちは、(縦)x(横)x(高さ)、それに(時間)を加えて4次元
の世界に住んでいる。
しかし科学の世界では、すでに10次元まで解明されている。
残りの6次元は、10の33乗分の1センチという小さな世界に閉じ込められて
いる。
現在では、それに「超重力」を加えて、11次元まで考えられているという。
が、ここからがおもしろいところ。

 たまたま私たちは4次元の世界に住んでいるが、どうしてこの4次元だけが
表に出てきたのか、本当のところは謎なのだそうだ(上述、同書)。
そこで素人ながら、いろいろ考えてみる。

●模擬・異次元の世界

 たとえば目を閉じてみよう。
すると前に見える景色は消え、光も消える。
(実際にはまぶたの裏の模様が見えているが・・・。)
とたん、3次元の世界(縦x横x高さ)は、手探りの世界ということになる。

 が、それに代わって脳みその世界が、そこに現れる。
この時点で、もし私たちが脳みその中にある記憶を自由に選択、見たり
聞いたりすることができたとする。
すると少なくとも私たちは時間の世界を、自由に遊飛することができることになる、

 未来へ行くことは無理かもしれないが、過去へは自由に行ける。
それに脳みその世界には、3次元は存在しない。
長さという概念そのものもない。
空間も無限に広い(?)。

 もちろんこれは私という素人が考えた、模擬的異次元の世界である。
が、目を開くと、再びそこに四次元の世界が広がっている。
当たり前に見える世界かもしれないが、けっして当たり前でない。
だから「謎」というになる。

●「本当は怖い宇宙」

 宇宙はいつごろ、どのようにして誕生したか?
「宇宙への旅」(同書)によれば、こういうことらしい。

「10の44乗分の1秒後~10の34乗分の1秒後というごくわずかな
時間で、インフレーションと呼ばれる激しい膨張が発生した。
インフレーションにより、10の34乗分の1センチメートルという極小の
宇宙は、一気に10の100乗倍にふくらんだ」と。

 私たちがよく口にする「ビッグバン」は、そのあとに起こった。

「宇宙誕生から10の34乗分の1秒後にビッグバンが起こり、真空エネルギー
が熱エネルギーに変換された。
宇宙は超高温、超高密度の火の玉のような状態になった。
それがどんどんと膨張していき、それとともに密度が希薄になり、温度が
さがっていった。
そして現在のような状態になった」と。

 ではビッグバンを起こしたエネルギーはどこから来たのか?
それについては、こうある。

「当時の宇宙は、温相の真空と呼ばれる状態で、真空エネルギーに満ちていた。
それがインフレーションを発生させたと考えられている」と。
それが今から137億年前に起きた。

●素粒子

 物質を構成する最小の単位を、「素粒子」という。
現在素粒子は、数10種類が発見されている。
が、ここで素粒子を「大きさのない点」と考えると、矛盾が生じてくる。
大きさがないとなると、重量は無限大ということになってしまう。
コーヒーに入れる角砂糖を、無限に小さくしてみたばあいを考えて
みればよい。
無限に小さくすればするほど、反対に質量は無限に大きくなることになる。

 そこで考えられたのが、「ひも理論」。
素粒子にも大きさがあると考え、しかも「点」ではないと考えるようになった。
結果、素粒子はひものようなもの・・・ということになった。
「ひも理論」が生まれた。

 ただ素粒子の大きさは、10の33乗分の1センチ。
直接その形を見ることは不可能。

・・・というようなことを、CERNでは研究している。

●さらに・・・

 先ほど4次元の世界(私たちが現在住んでいる世界)について書いた。
が、科学の世界では、11次元の世界まで考えられている。

 そこでさらにこの考えを推し進めていくと、こうなるのだそうだ。

 つまり4次元の世界を、一枚の膜にたとえると、5次元以降の世界は
その膜の向こう(裏でもよいが)にあることになる。
これを「余剰次元」というのだそうだ。

 こうして考えていくと、こんどはさらに、その向こうに私たちが住む
世界と同じ、4次元の世界があるということになる。
私なりに頭の中を整理してみると、こうなる。

(4次元の世界)→(5次元以降の世界)→(4次元の世界)→・・・と。

 わかりやすく言うと、この世界だけがゆいいつの世界ではなく、別の世界が、
それこそ無限の数だけ、その向こうにあることになる。
そうした世界を、「パラレルワールド」という。

(いよいよおもしろくなってきた!)

 つまり私たちが現在目にしているこの世界(大宇宙でもよいが)は、
一枚の「膜」の上の世界にすぎない。
その膜の向こうに、目には見えないが、5次元以降の世界が隠されている。
さらにその向こうには、別の4次元の世界が隠されている。
それが延々と、無限につづいている。

 ハア~~?、と思ったのは、私だけではないと思う。
しかし今、どうやらそのあたりが、「科学的には常識的な世界」ということになる。
言い換えると、「無知」という点では、人間も、そこらにいるサルも、それほど
そんなにちがわないということ。

(このあたりには、サルの集団が群れを作って住んでいる!)

●終わりに・・・

 朝日が東の山から顔を出してきた。
ワイフは、まだ床の中。
私は、窓の外に見える山々の景色を見ている。

 いつか遠い未来ではなく、20年後とか30年後には、11次元の世界が
どんなものであるか、直接人類は体験することができるようになるかもしれない。
その研究は、着々と進んでいる。
恐らく二男は、私よりはるかにその世界に近いところにいて、日々に感動し
驚いているにちがいない。
ただ残念なのは、先日も二男がこう言ったことだ。

 私が「日本ではそういう研究はできないのか?」と聞いたときのこと。
二男はあっさりと、こう言った。
「東京に、ぼくの職場はない」と。

 現在、世界のコンピューターをつなぐ方式は、アメリカ方式とヨーロッパ
方式に分かれている。
それぞれ別の固有名詞で呼ばれている。
二男はその2つの方式をひとつにまとめるソフトを開発している。
「何やら、とんでもないことをしているらしい」(二男に会ってきた三男の話)。

 本来なら日本がその分野のリーダーとして君臨していても、おかしくない。
「遅れた」というより、日本はすでに世界から相手にされていない。
そういう印象を、私はもった。

●誠司

 誠司の写真は、私のHPのあちこちに飾ってある。
全体として、誠司のアルバムのようになっている。
今度誠司の写真を見たら、どうかその向こうに、CERNの技術者として
働いている二男の姿を想像してみてほしい。

 遠く離れて住んでいるので、私としてはさみしいが、そういう仕事をしているのなら、
あきらめもつく。
ここはただひたすらエールを送るしかない。
日本のためというより、人類全体のため。
がんばれ!
宗市!

(以上、参考文献:「本当は怖い宇宙」イースト・プレス(福江純監修)

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