●静岡茶から放射能!(フランスで1000ベクレル以上)2011/06/19記
1970年ごろのこと。
オーストラリアでは、日本人は、「Sneaky Nips(小ずるい日本人)」と呼ばれていた。
大阪万博が開かれた当時のことである。
が、その後の努力で(?)、日本は今の地位を築き上げた。
世界でも、もっとも信頼できる国のひとつとして評価されるようになった。
が、そんな最中、フランスで静岡茶から、1キログラム当たり1000ベクレル以上もの放射線が観測された。
当然のことながら、このニュースは、私も含めて静岡県の人たちに、強烈な衝撃を与えた。
理由はいくつかある。
そのひとつ。
私たち静岡県人は、今回の福島第一原発事故とは無縁と信じていた。
放射能汚染地帯の(ワクの外)にいると信じていた。
事実、毎日報道される放射線量にしても、平均値以下。
0・04~0・05マイクロシーベルト前後(文科省観測)。
川勝静岡県知事も、そのつど、「安全」「安全」と、バカのひとつ覚えのように、その言葉を繰り返していた。
本当にバカだった!
●お湯で薄めれば安全
原茶、および製茶から、500ベクレル以上もの放射線量が観測された。
が、最初に観測したのは、販売業者。
県に通報すると、県側は、「混乱を招くから、発表をさしひかえてほしい」と要請。
そのあと静岡県は、独自に放射線量を検査した。
その結果、いくつかの製茶工場の製茶から、基準値以上の放射線量が観測された。
が、ここでおかしなことが起きた。
県側はこう説明した。
お茶は、原茶、製茶にする段階で、5倍に濃縮される。
だから放射線の量も、5倍になる。
しかし飲茶にすると、(お湯で薄めるので)、放射線の量は8分の1になる。
だから安全、と。
私はこの説明を聞いたとき、我が耳を疑った。
程度が低すぎるというか、バカというか、アホというか……。
いくら8分の1になっても、同じお茶を8杯飲んだら、同じ。
それがその数日後には、80分の1程度になると、訂正。
さらに数日前の川勝知事は、「100分の1になる」と、さらに訂正。
仮にお茶の中の放射線の量は薄められても、放射線物質は、そのまま溶け出ることになる。
わかりやすく説明しよう。
今、ここに大きなバケツがある。
そこにビー玉を100個入れる。
重さは計1キログラム。
すべてが放射線物質である。
測定してみたら、1000ベクレル。
そこでそのバケツに水を入れる。
ビー玉の100倍の水を入れる。
重さは、約110キログラムになる。
その中から、1キロを取りだして測定すれば、放射線量は、たしかに約10分の1になる。
100倍に薄めたのだから、約100ベクレル。
しかし残りのビー玉が、それで消えるわけではない。
その水の中に残る。
その水を飲み続ければ、当然、ビー玉は、すべて体内へ取り込まれる。
(ただし製茶の中のすべての放射性物質が、お湯の中に溶け出るわけではない。
ある程度の分は、製茶の中に残り、カスとして捨てられる。)
どうしてそれが「安全」なのか?
●「要請があれば、検査する」
そこで静岡県は、製茶工場から要請があれば、(放射線の)測定検査をする」と発表した。
言い換えると、「今後は、放射線検査はしない」と。
が、ここで疑問。
どこのだれが、そんな要請をするだろうか。
そうでなくても、静岡県茶は、農薬による薬害が問題になっている。
このあたりの農家でも、製品として出荷するお茶と、自分の家で飲むお茶を、しっかりと作り分けている。
へたに要請すれば、それこそまさにヤブヘビ。
その直後。
まさに静岡県が安全宣言した、その直後の翌日、フランスで、放射能汚染された静岡茶が発見された。
しかも静岡県で観測された放射線の2倍以上!
御前崎市にある浜岡原発が停止要請を受けたとき、御前崎市長はまっさきに、交付金の減額を心配した。
が、そのとき私はこう書いた。
「交付金の減額程度ですめば、まだよいほう。今に、川根茶すべてが、出荷停止になるだろう」と。
たいへん残念なことに、今、現実にそうなりつつある。
フランスでの検査に触発され、世界各国でも検査を始めるはず。
まっさきに韓国、中国が反応するはず。
すでにオーストラリアの友人から、「だいじょうぶか」というメールが入った。
4月にオーストラリアへ行ったとき、みなに、製茶をみやげとしてもっていった。
私は、「君たちにあげたお茶は、去年のものだから安心して飲むように」と返事を書いたが、オーストラリアでも輸入禁止になるはず。
つまりこうして輸入禁止は、世界中に及ぶ。
で、もし川勝知事にできることがあるとすれば、世界の新聞に、こういう記事を載せること。
「静岡茶は、100倍に薄めて飲めば安全です。放射線量も100分の1になります」と。
が、そんなことを書けば、世界の笑いものになるだけ。
バカにされるだけ。
が、それだけではすまない。
それ以上に、静岡県は、信用を失う。
再び、「Sneaky Nips」と呼ばれるようになる。
●県知事はだれの代表?
川勝県知事は、単科大学の元学長。
静岡県では珍しい、民間代表の県知事。
それだけに期待も大きかった。
が、しばらくすると、官僚病にどっぷりと冒されていた。
民衆の安全より、業者の利益を優先。
言わなくてもよいのに、そのつど安全宣言。
結局、大恥をかいたのは、川勝県知事自身ということになる。
だいたい、安全宣言なるものは、そこらの役人のすることではない。
役人たるものは、まず冷静に情報収集。
このばあいは、こまめに放射線量の観測。
それがわかったら、そのまま国民に知らせる。
必要な情報はそのつど提供はしても、あとの判断は、国民に任せる。
へたに小細工をするから、バレる。
インチキをするから、信用を失う。
が、こういう小細工やインチキは、もうこれで最後にしてほしい。
民衆の代表であるという原点に立ち返って、民衆の立場で、ものを考えてほしい。
あの浜岡原子炉が停止要請を受けたとき、川勝静岡県知事は、「英断」という言葉を使って、それに賛成したはず。
「よく言った」と私は感激していたが、今回の一連の発言で、その評価は、霧のように消えてしまった。
とても残念なことだが……。
●補記
さっそく静岡県側は、調査団をフランスへ送ることにしたという。
しかし製茶は、トン単位で、すでに世界中にばらまかれている。
先日の記者会見で、川勝県知事は、「発表が1日遅れたことで、どんな損害が出るのだ」というようなことを言った。
こういう姿勢が、損害、つまり被害を拡大させる。
静岡県茶の損害を私は心配しているのではない。
より多くの人が、健康被害を受ける。
Hiroshi Hayashi+++++++June. 2011++++++はやし浩司・林浩司
2011年6月19日日曜日
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